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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】断裁機
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/01 20060101AFI20220224BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
B26D7/01 C
B26D7/06 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018115801
(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公開番号】P2019217582
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 智之
(72)【発明者】
【氏名】金尾 真道
(72)【発明者】
【氏名】田渕 秀明
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-088090(JP,A)
【文献】特開2001-261215(JP,A)
【文献】特開2006-159385(JP,A)
【文献】特開2016-221619(JP,A)
【文献】特開平11-042593(JP,A)
【文献】特開昭59-097958(JP,A)
【文献】特開2009-150765(JP,A)
【文献】特開2004-322286(JP,A)
【文献】特開2006-263855(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0000440(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/01
B26D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製本物を断裁する断裁機であって、
前記製本物を押すプッシャと、
前記プッシャを移動するプッシャ移動機構と、
前記プッシャで押された前記製本物を位置決めする位置決め部と、
前記プッシャが停止する停止位置を検知する位置検知部と、
前記プッシャに作用する反力を検知する反力検知部と、
前記プッシャが待機すべき位置である設定待機位置と、前記プッシャが停止すべき位置である設定停止位置とを記憶する設定位置記憶部と、
前記プッシャの許容位置範囲を記憶する許容位置記憶部と、
前記プッシャの許容反力範囲を記憶する許容反力記憶部と、
前記製本物の長さが正常か異常かを判定する判定部と、を備え、
前記プッシャ移動機構は、
前記プッシャが前記設定待機位置から前記設定停止位置へ移動する間に、前記プッシャの反力が前記許容反力範囲の上限に達すると、前記プッシャの移動を停止し、
前記判定部は、
前記プッシャの前記停止位置が前記許容位置範囲内であり、かつ、前記プッシャの前記反力が前記許容反力範囲内であるとき、前記製本物の長さが正常と判定し、
前記プッシャの前記停止位置が前記許容位置範囲外であるか、又は、前記プッシャの前記反力が前記許容反力範囲外であるとき、前記製本物の長さが異常と判定する
ことを特徴とする断裁機。
【請求項2】
前記プッシャ移動機構は、サーボモータを備え、
前記位置検知部は、前記サーボモータの回転位置を検知し、
前記反力検知部は、前記サーボモータのトルク量を検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の断裁機。
【請求項3】
前記プッシャは、
前記製本物を押す押圧板と、
前記押圧板に連結されたバネと、を備え、
前記反力検知部は、前記バネの変位量を検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の断裁機。
【請求項4】
前記判定部は、前記製本物の長さが異常と判定したとき、前記断裁機を停止する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の断裁機。
【請求項5】
前記断裁機は、三方断裁機であって、
前記断裁部は、
前記製本物の小口部を断裁する小口断裁部と、
前記製本物の天部及び地部を断裁する天地断裁部と、を備え、
前記位置決め部は、前記小口断裁部に設けられている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の断裁機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本工程に用いられて、製本の仕上げのために、製本物を断裁する断裁機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
断裁機として、例えば、特許文献1に開示された三方断裁機がある。三方断裁機は、製本工程に用いられて、製本の仕上げのために、製本物の天部、地部及び小口部を断裁する。製本物は、本身と、本身に取り付けられた表紙と、で構成される。
【0003】
特許文献1の図1の通り、三方断裁機では、製本物1は、ベルトコンベア100に載せられて搬送されて、第1位置決め部110に当接されて位置決めされる。第1位置決め部110で位置決めされた製本物1は、製本物1の小口部1a側に配置されたプッシャ2で押されて、製本物1の小口部1aを断裁する小口断裁部52へ搬送される。
【0004】
小口断裁部52は、小口断裁刃3を備える。小口断裁部52へ搬送された製本物1は、製本物1の小口部1aが小口断裁刃3の下方に配置されるように位置決めされる。小口断裁刃3が非断裁位置から断裁位置へ降下すると、製本物1の小口部1aが断裁される。小口部1aが断裁された製本物1は、チャック機構15で把持されて、製本物1の天部1b及び地部1cを断裁する天地断裁部53へ搬送される。
【0005】
ところで、断裁前の製本物1を製造するとき、製本物1の紙の折り量、製本物1の紙に付けられた糊量及び製本物1のミーリング量等に対して誤差が生じるので、製本物1の長さが異なることがある。断裁前の製本物1の長さが、許容の範囲内のとき(正常の場合)は問題ない。一方、断裁前の製本物1が、許容の範囲を超えて大きい又は小さいとき(異常の場合)は問題がある。
【0006】
三方断裁機は、断裁前の製本物1の長さに応じて、プッシャ2が停止すべき位置が予め設定される。しかし、断裁前の製本物1の長さが異常の場合、製本物1を適切に位置決めできないため、製本物1を正確に断裁できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-221619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、異常な長さの製本物を断裁前に取り除く等の対応をとるために、製本物の長さが正常か異常かを判定できる断裁機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る断裁機は、
製本物を断裁する断裁機であって、
製本物を押すプッシャと、
プッシャを移動するプッシャ移動機構と、
プッシャで押された製本物を位置決めする位置決め部と、
プッシャが停止する停止位置を検知する位置検知部と、
プッシャに作用する反力を検知する反力検知部と、
プッシャが待機すべき位置である設定待機位置と、プッシャが停止すべき位置である設定停止位置とを記憶する設定位置記憶部と、
プッシャの許容位置範囲を記憶する許容位置記憶部と、
プッシャの許容反力範囲を記憶する許容反力記憶部と、
製本物の長さが正常か異常かを判定する判定部と、を備え、
プッシャ移動機構は、
プッシャが設定待機位置から設定停止位置へ移動する間に、プッシャの反力が許容反力範囲の上限に達すると、プッシャの移動を停止し、
判定部は、
プッシャの停止位置が許容位置範囲内であり、かつ、プッシャの反力が許容反力範囲内であるとき、製本物の長さが正常と判定し、
プッシャの停止位置が許容位置範囲外であるか、又は、プッシャの反力が許容反力範囲外であるとき、製本物の長さが異常と判定する。
【0010】
好ましくは、
プッシャ移動機構は、サーボモータを備え、
位置検知部は、サーボモータの回転位置を検知し、
反力検知部は、サーボモータのトルク量を検知する。
【0011】
好ましくは、
プッシャは、
製本物を押す押圧板と、
押圧板に連結されたバネと、を備え、
反力検知部は、バネの変位量を検知する。
【0012】
好ましくは、
判定部は、製本物の長さが異常と判定したとき、断裁機を停止する。
【0013】
好ましくは、
断裁機は、三方断裁機であって、
断裁部は、
製本物の小口部を断裁する小口断裁部と、
製本物の天部及び地部を断裁する天地断裁部と、を備え、
位置決め部は、小口断裁部に設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る断裁機は、製本物の長さが正常か異常かを判定できる。従って、異常な長さの製本物を断裁前に取り除く等の対応をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】三方断裁機を示す平面図。
図2】三方断裁機の搬入部、待機部及び小口断裁部を示す斜視図。
図3】三方断裁機の待機部及び小口断裁部を示す平面図。
図4図3のA-A線断面図。
図5】プッシャが停止位置で停止した状態を示すA-A線断面図。
図6】小口押さえ板が製本物を押さえた状態を示すA-A線断面図。
図7】製本物及びプッシャの位置を示す平面図。
図8図7に対応するプッシャの位置及び反力を示すタイミングチャート図。
図9】他の実施形態の反力検知部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明に係る断裁機について説明する。
【0017】
図1の通り、本実施形態の断裁機は、三方断裁機である。製本物1は、小口部1a、天部1b、地部1c及び背部1dを有する。三方断裁機は、製本物1の小口部1a、天部1b及び地部1cを断裁することで、所定寸法の製本物1を形成する。
【0018】
三方断裁機は、搬入部50、待機部51、小口断裁部52、天地断裁部53及び搬出部54で構成される。製本物1は、搬入部50に設けられたベルトコンベア100によって待機部51へ搬送される。製本物1は、その天部1bが待機部51の第1位置決め部110に当接して位置決めされる。
【0019】
その後、待機部51に設けられたプッシャ2が小口断裁部52へ移動して、製本物1は、プッシャ2で押されて小口断裁部52へ搬送される。製本物1は、その背部1dが小口断裁部52の第2位置決め部111に当接して位置決めされる。
【0020】
そして、製本物1の小口部1aが、小口断裁部52の小口断裁刃3によって断裁される。その後、製本物1は、チャック部15で挟まれて天地断裁部53へ搬送される。そして、製本物1の天部1b及び地部1cが、天地断裁部53の天断裁刃120及び地断裁刃121によって断裁される。その後、製本物1は、チャック部15に挟まれて搬出部54へ搬送されて、搬出部54のベルトコンベア101によって搬出される。
【0021】
図2の通り、三方断裁機は、プッシャ2に連結された本体部21を備える。本体部21は、プッシャ移動機構20に連結されている。プッシャ移動機構20は、本体部21及びプッシャ2を水平方向に前後移動する。
【0022】
三方断裁機は、小口断裁刃3を上下方向に断裁位置と非断裁位置との間で移動する断裁刃移動機構30を備える。断裁位置は、小口断裁刃3が製本物1の小口部1aを断裁する位置である一方、非断裁位置は、小口断裁刃3が製本物1から離れた位置である。
【0023】
また、三方断裁機は、小口断裁刃3で製本物1を断裁する際に製本物1を押さえる小口押さえ板4を備える。三方断裁機は、小口押さえ板4を上下方向に押圧位置と非押圧位置との間で移動する押さえ板移動機構40を備える。
【0024】
押圧位置は、小口押さえ板4が製本物1の小口部1aを押さえる位置である一方、非押圧位置は、小口押さえ板4が製本物1から離れた位置である。断裁刃移動機構30及び押さえ板移動機構40は、周知なボールねじ機構、リンク機構等で構成されるので、詳細な説明は省略する。三方断裁機は、製本物1を載置する載置台7を備える。載置台7は、小口断裁刃3の刃先を受ける刃受け70を備える。
【0025】
三方断裁機は、プッシャ移動機構20、断裁刃移動機構30及び押さえ板移動機構40を制御する制御部5を備える。
【0026】
図3及び図4の通り、プッシャ移動機構20は、搬送方向2a(逆搬送方向2b)に延設されたガイドレール22を備える。プッシャ2に連結された本体部21は、ガイドレール22にスライド可能に係合される。プッシャ移動機構20は、本体部21に取り付けられたベルト23を備える。ベルト23は、複数のローラ25及びサーボモータ24に架け渡されている。サーボモータ24の正逆方向の回転によって、プッシャ2が本体部21と共に、搬送方向2a(逆搬送方向2b)に移動するように構成されている。
【0027】
図3の通り、三方断裁機は、設定位置記憶部80を備える。設定位置記憶部80は、プッシャ2が待機すべき位置である設定待機位置SP0と、プッシャ2が停止すべき位置である設定停止位置SP1とを記憶する。設定待機位置SP0は、待機部51に配置される。設定停止位置SP1は、小口断裁部52に配置される。制御部5は、設定位置記憶部80等からの信号に基づいて、プッシャ移動機構20(サーボモータ24)を駆動する。
【0028】
設定待機位置SP0及び設定停止位置SP1は、製本物1の長さLに応じて予め設定される。製本物1の長さLは、第2位置決め部111に当接される部分と、プッシャ2で押される部分との間の距離を意味し、本実施形態では、第2位置決め部111に当接される背部1dと、プッシャ2で押される小口部1aとの間の距離を意味する(図2)。
【0029】
図4の通り、製本物1が搬入部50から待機部51へ搬送されるとき、プッシャ2は、設定待機位置SP0で待機している。このとき、プッシャ2は、製本物1の小口部1aから離れている。
【0030】
その後、図5の通り、プッシャ2は、搬送方向2aに向けて移動して、製本物1の小口部1aを押す。製本物1の背部1dは、小口断裁部52の第2位置決め部111に押し当てられ、プッシャ2が設定停止位置SP1で停止する。
【0031】
その後、図6の通り、小口押さえ板4が非押圧位置から押圧位置へ下降して、製本物1を押さえる。そして、プッシャ2は、逆搬送方向2bに向けて移動して、設定待機位置SP0へ戻る。小口押さえ板4が製本物1を押さえている間に、小口断裁刃3が非断裁位置から断裁位置へ下降して、製本物1の小口部1aを断裁する。
【0032】
図3の通り、三方断裁機は、プッシャ2が停止する停止位置Pを検知する位置検知部61を備える。三方断裁機は、プッシャ2に作用する反力Fを検知する反力検知部62を備える。本実施形態では、位置検知部61は、サーボモータ24の回転位置を検知する。反力検知部62は、サーボモータ24のトルク量を検知する。
【0033】
三方断裁機は、プッシャ2の許容位置範囲PRを記憶する許容位置記憶部81を備える。製本物1の長さLが正常であるとき、プッシャ2の停止位置Pが許容位置範囲PR内に配置され、製本物1の長さLが異常であるとき、プッシャ2の停止位置Pが許容位置範囲PR内に配置されないよう、許容位置範囲PRが設定される。許容位置範囲PRは、例えば、設定停止位置SP1から3mmの範囲である。
【0034】
三方断裁機は、プッシャ2の許容反力範囲FRを記憶する許容反力記憶部82を備える。プッシャ移動機構20は、プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FRの上限に達すると、プッシャ2の移動を停止するので、プッシャ2の反力Fは、許容反力範囲FRを超えることはない。そのため、製本物1が第2位置決め部111に当接すると、プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FR内になる。
【0035】
また、製本物1が第2位置決め部111に当接しないと、プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FRの下限より小さくなるよう、許容反力範囲FRが設定される。
【0036】
本実施形態では、オペレータが、タッチパネル等の入力手段(不図示)を使って、製本物1に応じて、許容位置範囲PR及び許容反力範囲FRを入力する。
【0037】
プッシャ移動機構20は、プッシャ2が設定待機位置SP0から設定停止位置SP1へ移動する間に、プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FRの上限に達すると、プッシャ2の移動を停止する。従って、後述する通り、プッシャ2は、設定停止位置SP1に到着するまでに、停止することがある。
【0038】
三方断裁機は、製本物1の長さLが正常か異常かを判定する判定部8を備える。判定部8は、以下の(i)及び(ii)の判定基準に基づいて、判定する。
(i)プッシャ2の停止位置Pが許容位置範囲PR内であり、かつ、プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FR内であるとき、製本物1の長さLは正常である。
(ii)プッシャ2の停止位置Pが許容位置範囲PR外であるか、又は、プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FR外であるとき、製本物1の長さLは異常である。
【0039】
三方断裁機は、判定部8によって製本物1の長さLが異常であると判定されたとき、制御部5が、判定部8からの信号に基づいて、三方断裁機の動作を停止すると共に、サイレン等の報知手段(不図示)でオペレータに報知する。そして、オペレータは、異常な製本物1を断裁前に取り除くことができる。
【0040】
図7及び図8に基づいて、判定部8の判定方法について、さらに詳細に説明する。
【0041】
<事案1>
図7(a)及び図8(a)に基づいて、事案1の製本物1の判定方法を説明する。
【0042】
プッシャ2が設定待機位置SP0から設定停止位置SP1に向けて移動する間、プッシャ2の反力Fは許容反力範囲FRの上限に達していないので、プッシャ2は、設定停止位置SP1で停止する。即ち、プッシャ2の停止位置Pは、設定停止位置SP1と一致し、許容位置範囲PR内である。
【0043】
また、プッシャ2が停止するとき、プッシャ2の反力Fは許容反力範囲FR内である。プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FR内であることから、製本物1は第2位置決め部111に当接して停止したことがわかる。
【0044】
従って、本事案の場合、製本物1の背部1dが第2位置決め部111に当接し、製本物1の小口部1aが許容位置範囲PR内に配置している。そのため、製本物1の長さLは、第2位置決め部111から許容位置範囲PRまでの長さである。そこで、判定部8は、製本物1の長さLが正常と判定する。
【0045】
<事案2>
図7(b)及び図8(b)に基づいて、事案2の製本物1の判定方法を説明する。
【0046】
プッシャ2が設定待機位置SP0から設定停止位置SP1に向けて移動する間、プッシャ2の反力Fは許容反力範囲FRの上限に達していないので、プッシャ2は、設定停止位置SP1で停止する。即ち、プッシャ2の停止位置Pは、設定停止位置SP1と一致し、許容位置範囲PR内である。
【0047】
また、プッシャ2が停止するとき、プッシャ2の反力Fは許容反力範囲FRの下限より小さい。プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FRの下限より小さいことから、製本物1は第2位置決め部111に当接していないことがわかる。
【0048】
従って、本事案の場合、製本物1の背部1dが第2位置決め部111に当接しておらず、製本物1の小口部1aが許容位置範囲PR内に配置している。そのため、製本物1の長さLは、第2位置決め部111から許容位置範囲PRまでの長さより小さい。そこで、判定部8は、製本物1の背部1dから小口部1aまでの長さLが異常と判定する。
【0049】
<事案3>
図7(c)及び図8(c)に基づいて、事案3の製本物1の判定方法を説明する。
【0050】
プッシャ2が設定待機位置SP0から設定停止位置SP1に向けて移動する間、プッシャ2の反力Fは許容反力範囲FRの上限に達するので、プッシャ2は、設定停止位置SP1より前で停止する。即ち、プッシャ2の停止位置Pは、設定停止位置SP1と異なる。本事案の場合、プッシャ2の停止位置Pは許容位置範囲PR内である。
【0051】
また、プッシャ2が停止するとき、プッシャ2の反力Fは許容反力範囲FRの上限と一致する。プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FRの上限と一致することから、製本物1は第2位置決め部111に当接して停止したことがわかる。
【0052】
従って、本事案の場合、製本物1の背部1dが第2位置決め部111に当接し、製本物1の小口部1aが許容位置範囲PR内に配置している。そのため、製本物1の長さLは、第2位置決め部111から許容位置範囲PRまでの長さである。そこで、判定部8は、製本物1の長さLが正常と判定する。
【0053】
<事案4>
図7(d)及び図8(d)に基づいて、事案4の製本物1の判定方法を説明する。
【0054】
プッシャ2が設定待機位置SP0から設定停止位置SP1に向けて移動する間、プッシャ2の反力Fは許容反力範囲FRの上限に達するので、プッシャ2は、設定停止位置SP1より前で停止する。即ち、プッシャ2の停止位置Pは、設定停止位置SP1と異なる。本事案の場合、プッシャ2の停止位置Pは、許容位置範囲PR内でなく許容位置範囲PR外である。
【0055】
また、プッシャ2が停止するとき、プッシャ2の反力Fは許容反力範囲FRの上限と一致する。プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FRの上限と一致することから、製本物1は第2位置決め部111に当接して停止したことがわかる。
【0056】
従って、本事案の場合、製本物1の背部1dが第2位置決め部111に当接し、製本物1の小口部1aが許容位置範囲PR内でなく許容位置範囲PR外に配置している。そのため、製本物1の長さLは、第2位置決め部111から許容位置範囲PRまでの長さより大きい。そこで、判定部8は、製本物1の長さLが異常と判定する。
【0057】
[他の実施形態]
位置検知部61は、周知技術であるエンコーダや変位センサ等で構成されてもよい。反力検知部62は、周知技術であるトルクセンサやロードセル等で構成されてもよい。
【0058】
図9の通り、プッシャ2は、製本物1を押す押圧板27と、押圧板27に連結されたバネ28と、を備えてもよい。反力検知部62は、バネ28の変位量を検知するように構成されてもよい。
【0059】
製本物1の厚さが小さいにも関わらず、許容反力範囲FRの上限が大きく設定されると、製本物1が第2位置決め部111に当接しても、プッシャ2の反力Fが許容反力範囲FRの上限に達しないので、プッシャ2が製本物1をさらに押して折り曲げるという問題がある。そこで、製本物1がプッシャ2で折り曲げられないように、許容反力範囲FRは、製本物1の厚さ等に基づいて、自動的に算出されてもよい。
【0060】
三方断裁機は、所定の製本物1を断裁工程から排出する排出手段(不図示)を備えてもよい。三方断裁機は、判定部8からの信号部に基づいて、排出手段で自動的に、異常な製本物1を断裁前に取り除いてもよい。
【0061】
第2位置決め部111は、待機部51に設けられてもよい。その場合、設定待機位置SP0及び設定停止位置SP1の双方が、待機部51に設けられる。プッシャ2が移動して製本物1を押して、製本物1が第1位置決め部111に当接して位置決めされる。製本物1は、待機部51で位置決めされる。その後、位置決めされた製本物1がチャック機構15で把持されて、チャック機構15が製本物1を小口断裁部52へ搬送する。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0063】
1 製本物
1a 製本物の小口部
5 制御部
51 待機部
52 小口断裁部
2 プッシャ
2a 搬送方向
2b 逆搬送方向
20 プッシャ移動機構
61 位置検知部
62 反力検知部
8 判定部
80 設定位置記憶部
81 許容位置記憶部
82 許容反力記憶部
111 第2位置決め部
SP0 設定待機位置
SP1 設定停止位置
P 停止位置
F 反力
PR 許容位置範囲
FR 許容反力範囲
L 製本物の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9