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特許7029172骨量減少と関連する疾病を治療又は予防し、骨格構造及び生体力学的骨強度を改善する組成物
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  • 特許-骨量減少と関連する疾病を治療又は予防し、骨格構造及び生体力学的骨強度を改善する組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】骨量減少と関連する疾病を治療又は予防し、骨格構造及び生体力学的骨強度を改善する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/665 20060101AFI20220224BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20220224BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220224BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220224BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220224BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220224BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
A61K31/665
A61P19/10
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/16
A61K9/08
A61P19/08
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018228252
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2019099579
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】62/595,697
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518432920
【氏名又は名称】休斯生物科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100165663
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 光宏
(72)【発明者】
【氏名】王上達
(72)【発明者】
【氏名】許宸
(72)【発明者】
【氏名】蘇南維
【審査官】福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0111466(US,A1)
【文献】国際公開第1999/063995(WO,A1)
【文献】J Bone Miner Metab,2002年,Vol. 20,pp. 148-155
【文献】順天堂医学,2004年,Vol. 49, No. 4,pp. 440-444
【文献】Trace Nutrients Research,2010年,Vol. 27,pp. 35-38
【文献】日本比較内分泌学会ニュース,2001年,Vol. 2001, No. 101,pp. 18-20
【文献】JOURNAL OF FUNCTIONAL FOODS,2015年,Vol. 13,pp. 323-335
【文献】「新医薬品の臨床評価に関する一般指針について」(薬新薬第四三号)各都道府県衛生主管部局長あて厚生省薬務局新医薬品課長通知,1992年,第1-12頁
【文献】Guidance for Industry, Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers,U.S. Department of Health and Human Services Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research (CDER),2005年,pp. 1-27
【文献】日本内科学会雑誌,2005年,Vol. 94, No. 4,pp. 670-674 (pp. (64)-(68))
【文献】臨床薬理,2000年,Vol. 31, No. 3,pp. 539-540
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉経後骨粗鬆症又は卵巣摘出を原因として引き起こされる骨粗鬆症を治療又は予防する組成物であって、
前記組成物は、この治療を必要とする使用者に投与するための有効量のゲニステイン7―O―リン酸を含むことを特徴とし、
前記組成物のゲニステイン7―O―リン酸の前記有効量は0.5mg/kg b.w./day~2.5mg/kg b.w./dayであることを特徴とする組成物
【請求項2】
前記組成物のゲニステイン7―O―リン酸の前記有効量は0.86mg/kg b.w./day~1.73mg/kg b.w./dayであることを特徴とする請求項1に記載の組成物
【請求項3】
前記組成物は、経口投与することを特徴とする請求項1に記載の組成物
【請求項4】
前記組成物は、毎日少なくとも一回投与することを特徴とする請求項1に記載の組成物
【請求項5】
前記組成物は、24時間内に1~6回投与し、ゲニステイン7―O―リン酸の一日量は0.5mg/kg b.w.~2.5mg/kg b.w.であることを特徴とする請求項4に記載の組成物
【請求項6】
前記組成物は、丸剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤、バイアル又は滴剤の形態であることを特徴とする請求項3に記載の組成物
【請求項7】
前記組成物は更に1つ又は複数の薬学的に許容され得るアジュバント、担体及び/又は賦形剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物
【請求項8】
前記使用者は哺乳類であることを特徴とする請求項1に記載の組成物
【請求項9】
前記哺乳類はヒトであることを特徴とする請求項8に記載の組成物
【請求項10】
前記ヒトは女性であることを特徴とする請求項9に記載の組成物
【請求項11】
骨構造を改善する組成物であって、
前記組成物は、この治療を必要とする使用者に投与するための有効量のゲニステイン7―O―リン酸を含むことを特徴とし、
前記組成物のゲニステイン7―O―リン酸の前記有効量は0.5mg/kg b.w./day~2.5mg/kg b.w./dayであることを特徴とする骨構造を改善する組成物。
【請求項12】
前記使用者はヒトであることを特徴とする請求項11に記載の骨構造を改善する組成物。
【請求項13】
生体力学的な骨の強度を高める組成物であって、
前記組成物は、この治療を必要とする使用者に投与するための有効量のゲニステイン7―O―リン酸を含み、前記組成物のゲニステイン7―O―リン酸の前記有効量は0.5mg/kg b.w./day~2.5mg/kg b.w./dayであることを特徴とする組成物。
【請求項14】
前記使用者はヒトであることを特徴とする請求項13に記載の生体力学的な骨の強度を高める組成物。
【請求項15】
前記骨は大腿骨であることを特徴とする請求項13に記載の生体力学的な骨の強度を高める組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨量減少と関連する疾病を治療又は予防し、骨格構造及び生体力学的骨強度を改善する組成物に関する。特に、閉経後骨粗鬆症を治療又は予防するのに用いるゲニステインリン酸コンジュゲートを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な成人であれば、骨吸収量と骨形成量は共に厳密にコントロールされているため、骨量の変化は微々たるものでしかない。しかし、骨量減少と関連する疾病を患う患者については、骨吸収量と骨形成量のバランスが崩れ、骨量が減少し、骨組織が退化する現象が起こる。骨量減少と関連する疾病の代表としては骨粗鬆症がある。とある研究によると、骨粗鬆症の疫学ではその大多数が更年期の女性で発生しているため、このような骨粗鬆症を特に閉経後骨粗鬆症と呼ぶ。
【0003】
閉経後骨粗鬆症を治療又は予防する方法は多くあり、例えばサプリメントや薬品の服用が挙げられる。このうち、最も一般的な治療又は予防の方法はエストロゲン補充療法(estrogen replacement therapy,ERT)である。ERTは骨密度の低下を抑えるのに効果的だが、腫瘍への影響が増加するリスクがある。腫瘍への影響のリスクに鑑み、ERTに取って代わるものとして大豆イソフラボンを使用する更年期の女性が顕著に増加している。
【0004】
ゲニステイン(Genistein)は大豆の中に高濃度で存在する植物性エストロゲンであり、大豆イソフラボンの中で最も生理活性の高い化学構造を持っており、更年期症状を軽減するためのサプリメントの成分でもある。初期の研究ではゲニステインは更年期女性の更年期障害及び合併症を予防する効果が期待されていた。しかし、最近の長期臨床試験では、更年期障害及び合併症、特に骨量減少においては、顕著な効果はないことが指摘されている。
【0005】
Alekelらによる「骨量減少抑制のための大豆イソフラボン(SIRBL)研究:更年期女性における3年間の無作為化対照試験(アメリカ臨床栄養学会誌,2010;91:218-30)」(Alekel et al., “The Soy Isoflavones for Reducing Bone Loss (SIRBL) Study: a 3-y randomized controlled trial in postmenopausal woman”, American Journal of Clinical Nutrition 2010;91:218-30)では、更年期女性の腰椎と大腿骨近位部の骨密度に対し、大豆から抽出した2つの用量(80及び120mg/d)のイソフラボン(アグリコン型であるゲニステイン、ダイゼイン(daidzein)、グリシテイン(glycitein)の比率は1.3:1.0:0.3)による3年間の影響を研究しており、その結果、大豆イソフラボン抽出物に骨温存効果は現れず、大腿骨頸部で軽微な効果があるのみとしている。Levisらによる「大豆イソフラボンによる更年期における骨量減少及び更年期障害の予防(アーカイブスオブインターナルメディシン,2011;171(15):1363-1369)」(Levis et al., “Soy Isoflavones in the Prevention of Menopausal Bone Loss and Menopausal Symptoms”, Archives Internal Medicine 2011;171(15):1363-1369)では同様に、大豆イソフラボン抽出物による骨量減少及び更年期障害の予防への影響を研究しており、毎日200mgの大豆イソフラボンを2年間摂取しても骨量減少及び更年期障害を予防することはできないとしている。Turnerらによる「ゲニステインをサプリメントとして毎日一回服用しても閉経後骨量減少ラット脛骨モデルに効果は無かった(Menopause,2013 Jun; 20(6): 677-686)」(Turner et al., “Genistein delivered as a once daily oral supplement had no beneficial effect on the tibia rat models for postmenopausal bone loss”, Menopause. 2013 Jun; 20(6): 677-686)では、卵巣摘出ラットに毎日ゲニステイン3.2mg/kg b.w.をサプリメントとして長期(5か月間)服用した影響を研究しており、このような治療はラットの骨量、骨密度又は骨構造に影響がないとしている。上述のとおり、ゲニステインの骨量減少に対する効果は顕著ではなく、FDAの推奨用量(40~50mg)を超える量を摂取したとしても同様である。よって、この分野においては、骨粗鬆症を治療し、骨形成を促進する新しい組成物又は方法が必要であり、本発明はその需要を満たすものである。
【発明の概要】
【0006】
前述の問題するため、本発明は骨量減少と関連する疾病を治療又は予防する組成物を提供することを目的とする。前記組成物は、この治療を必要とする使用者に投与するための有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む。
【0007】
好ましい実施形態においては、前記組成物のゲニステインリン酸コンジュゲートの前記有効量は約0.5mg/kg b.w./day~約2.5mg/kg b.w./dayである。好ましい実施形態においては、前記組成物のゲニステインリン酸コンジュゲートの前記有効量は約0.86mg/kg b.w./day~約1.73mg/kg b.w./dayである。前記組成物のゲニステインリン酸コンジュゲートの前記有効量は体表面積正規化法(body-surface-area normalization method)により得られる。ヒトに適した有効量の範囲を求める式は以下のとおりである。
【数1】
【0008】
好ましい実施形態においては、前記組成物は経口投与する。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記組成物は毎日少なくとも一回投与する。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記組成物は24時間内に1~6回投与し、ゲニステインリン酸コンジュゲートの一日量は約0.5mg/kg b.w.~約2.5mg/kg b.w.である。
【0011】
好ましい実施形態においては、前記組成物は丸剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤、バイアル又は滴剤の形態である。
【0012】
好ましい実施形態においては、前記組成物は更に1つ又は複数の薬学的に許容され得るアジュバント、担体及び/又は賦形剤を含む。
【0013】
好ましい実施形態においては、前記疾病は原発性骨粗鬆症である。
【0014】
好ましい実施形態においては、前記原発性骨粗鬆症は老化、更年期、又は卵巣摘出を原因として引き起こされる骨粗鬆症である。
【0015】
好ましい実施形態においては、前記使用者は哺乳類である。
【0016】
好ましい実施形態においては、前記哺乳類はヒトである。
【0017】
好ましい実施形態においては、前記ヒトは女性である。
【0018】
本発明は更に、骨構造を改善する組成物を提供することを目的とする。前記組成物は、この治療を必要とする使用者に投与するための有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む。
【0019】
本発明は更に、生体力学的骨強度を高める組成物を提供することを目的とする。前記組成物は、この治療を必要とする使用者に投与するための有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む。
【0020】
好ましい実施形態においては、前記骨は大腿骨である。
【0021】
上述のとおり、本発明は従来の技術と比べ、更年期女性の症状及び合併症のリスクを減少させ、骨ミネラル含量、骨密度及び生体力学的骨強度を高め、この治療を必要とする使用者に有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む組成物を投与することで骨粗鬆症を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例における体重増加を示すグラフである。
図2】本発明の実施例における子宮の重さを示す棒グラフである。
図3】本発明の実施例における大腿骨近位部の骨密度を示す棒グラフである。
図4】本発明の実施例における大腿骨近位部の総体積に対する骨の割合を示す棒グラフである。
図5】本発明の実施例における大腿骨近位部の三次元X線CTスキャン画像である。
図6】本発明の実施例におけるラットの大腿骨遠位部スライドのHE染色を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の技術内容を図面に基づいて説明する。なお、これら図面は説明のためのものであるため、実際の比率に従い描かれたものではなく、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】
別途明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲記載の科学技術用語は全て、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。例えば本明細書及び特許請求の範囲記載の以下の用語は以下の意味を有する。
【0025】
別途明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲記載の「又は」は「及び/又は」と同じ意味である。「含む」又は「備える」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、挙げられた要素を備えるユニット、構造、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されるものでなく、明示的に挙げられていないか、又はこのようなユニット、構造、物品、または装置に本来備わっている他の要素も含んでよい。同様に、「含んでいる」、「備えている」、「有する」、「有している」、「含有する」、「含有している」またはそれらの変化形は、非排他的包含であることを意図するものである。
【0026】
本発明は、骨量減少と関連する疾病を治療又は予防する方法を提供する。前記方法は、この治療を必要とする使用者に組成物を投与することを含む。前記組成物は、有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む。また本発明は、骨量減少と関連する疾病を治療又は予防するのに用いる組成物を提供する。前記組成物は、この治療を必要とする使用者に投与するための有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む。本発明は更に、骨構造を改善する方法を提供する。前記方法は、この治療を必要とする使用者に組成物を投与することを含む。前記組成物は、有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む。また本発明は更に、骨格構造及び生体力学的骨強度を改善する組成物を提供する。前記組成物は、この治療を必要とする使用者に組成物を投与するための有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む。本発明ではまた、生体力学的骨強度を高める方法について言及する。前記方法は、この治療を必要とする使用者に組成物を投与することを含む。前記組成物は、有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む。また、生体力学的骨強度を高める組成物について言及する。前記組成物は、この治療を必要とする使用者に組成物を投与するための有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む。
【0027】
本発明は更に、有害な副作用が比較的少ない優位性を備えた骨格系疾患を治療及び/又は予防する組成物を提供する。前記骨格系疾患は例えば、閉経後骨粗鬆症、原発性骨粗鬆症、又は骨密度、骨量及び骨ミネラル含量の減少である。また本発明は、有害な副作用が比較的少ない優位性を備えた骨構造及び生体力学的骨強度を改善する組成物を提供する。好ましくは、前記原発性骨粗鬆症は老化、更年期、又は卵巣摘出を原因として引き起こされる骨粗鬆症である。
【0028】
「使用者」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、哺乳類及び哺乳類以外の動物であり、骨量減少のリスク又は骨量減少の症状があると診断された、本発明の方法及び組成物の受益者を指す。前記哺乳類は、ヒト、ヒト以外の霊長類、羊、犬、齧歯類(例えば:マウス、ラットなど)、モルモット、猫、ウサギ、牛、馬を含み、これに限定しない。前記哺乳類以外の動物は、鶏、両生類及び爬虫類を含み、これに限定しない。好ましくは、前記使用者はヒトである。より好ましくは、前記ヒトは女性である。
【0029】
「治療」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、前記使用者がゲニステインリン酸コンジュゲートを投与する前の同一症状について、ゲニステインリン酸コンジュゲート投与後にその症状が維持又は減少していることとして定義される。「予防」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、使用者の骨格系疾病(例えば、骨量減少)の発病を遅らせることとして定義される。
【0030】
「ゲニステインリン酸コンジュゲート(Genistein phosphate conjugate,P-GEN)」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、水溶性且つ体内で吸収され利用されやすい化合物である。本発明において、前記ゲニステインリン酸コンジュゲートは、ゲニステイン7―O―リン酸(genistein 7-O-phophate,G7P,下記構造式(I))及びゲニステイン4’-O-リン酸(genistein 4’-O-phophate,G4’P,下記構造式(II))を含む。好ましい実施形態においては、前記ゲニステインリン酸コンジュゲートはイソフラボンを納豆菌(Bacillus subtilis var. natto,台湾生物資源保存及び研究センターに保存,番号BCRC 80517)によって生物変換(biotransformation)することで得られる。その調製方法はFood Research InternationalでHsuらにより発表された研究(2013,第53編487-495ページ)(Hsu et al., Food Research International 53 (2013) 487-495)を参照のこと。好ましい実施形態においては、前記ゲニステインリン酸コンジュゲートは骨量減少を予防及び治療するための効果的な薬理学的介入である。好ましい実施形態においては、前記ゲニステインリン酸コンジュゲートは骨密度、骨量及び骨ミネラル含量の減少を抑制し、骨構造と最大負荷エネルギー及び弾性係数等の生体力学的骨強度を維持するものである。好ましい実施形態においては、前記ゲニステインリン酸コンジュゲートは原発性骨粗鬆症のような骨量減少と関連する疾病を予防及び治療するための効果的な薬理学的介入である。前記骨はより好ましくは脛骨及び大腿骨である。
【化1】
【0031】
好ましい実施形態においては、本発明に係る方法の前記ゲニステインリン酸コンジュゲートの前記有効量は約0.5mg/kg b.w./day~約2.5mg/kg b.w./dayであり、例えばこれに限定しないが、0.5mg/kg b.w./day、0.6mg/kg b.w./day、0.7mg/kg b.w./day、0.8mg/kg b.w./day、0.9mg/kg b.w./day、1.0mg/kg b.w./day、1.1mg/kg b.w./day、1.2mg/kg b.w./day、1.3mg/kg b.w./day、1.4mg/kg b.w./day、1.5mg/kg b.w./day、1.6mg/kg b.w./day、1.7mg/kg b.w./day、1.8mg/kg b.w./day、1.9mg/kg b.w./day、2.0mg/kg b.w./day、2.1mg/kg b.w./day、2.2mg/kg b.w./day、2.3mg/kg b.w./day、2.4mg/kg b.w./day又は2.5mg/kg b.w./dayである。より好ましい実施形態においては、本発明に係る前記ゲニステインリン酸コンジュゲートの前記有効量は約0.86mg/kg b.w./day~約1.73mg/kg b.w./dayであり、例えばこれに限定しないが、0.86mg/kg b.w./day、0.88mg/kg b.w./day、0.90mg/kg b.w./day、0.92mg/kg b.w./day、0.94mg/kg b.w./day、0.96mg/kg b.w./day、0.98mg/kg b.w./day、1.00mg/kg b.w./day、1.02mg/kg b.w./day、1.04mg/kg b.w./day、1.06mg/kg b.w./day、1.08mg/kg b.w./day、1.10mg/kg b.w./day、1.12mg/kg b.w./day、1.14mg/kg b.w./day、1.16mg/kg b.w./day、1.18mg/kg b.w./day、1.20mg/kg b.w./day、1.22mg/kg b.w./day、1.24mg/kg b.w./day、1.26mg/kg b.w./day、1.28mg/kg b.w./day、1.30mg/kg b.w./day、1.32mg/kg b.w./day、1.34mg/kg b.w./day、1.36mg/kg b.w./day、1.38mg/kg b.w./day、1.40mg/kg b.w./day、1.42mg/kg b.w./day、1.44mg/kg b.w./day、1.46mg/kg b.w./day、1.48mg/kg b.w./day、1.50mg/kg b.w./day、1.52mg/kg b.w./day、1.54mg/kg b.w./day、1.56mg/kg b.w./day、1.58mg/kg b.w./day、1.60mg/kg b.w./day、1.62mg/kg b.w./day、1.64mg/kg b.w./day、1.66mg/kg b.w./day、1.68mg/kg b.w./day、1.70mg/kg b.w./day、1.72mg/kg b.w./day又は1.73mg/kg b.w./dayである。これらの形態のそれぞれにおいて、経口投与、注射(筋肉注射又は皮下注射を含む)、経皮投与又は経鼻投与により投与することができる。好ましい実施形態においては、本発明に係る方法の投与設計は経口投与によるものである。好ましい実施形態においては、本発明に係る方法の投与設計は毎日少なくとも一回投与するものである。
【0032】
他の実施形態においては、投与される前記有効量はこれに限定しないが、対象の種、品種、大きさ、身長、体重、年齢、使用者の総合的な健康状態、製剤のタイプ、量、方法又は投与設計、又は骨粗鬆症の重症度を含む任意の数の変数に応じて決定する。
【0033】
好ましい実施形態においては、本発明に係る方法又は組成物は1つ又は複数の経口送達可能な用量単位を含む。前記用量単位は、約0.5mg~約15mgのゲニステインリン酸コンジュゲート及び1つ又は複数の薬学的に許容されるアジュバント、担体及び/又は賦形剤を含む。
【0034】
「賦形剤」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、前記ゲニステインリン酸コンジュゲートを対象(本明細書及び特許請求の範囲における使用者)に送達するための物質であり、前記組成物のゲニステインリン酸コンジュゲートと共に製剤される任意の物質を含む。前記賦形剤は、潤滑性、流動性、崩壊性、味を助長し、かつ何らかの形態の抗菌作用を付与し、又は前記組成物が必要とする形状と粘稠度を有する経口送達可能な用量単位に形成することができるものである。
【0035】
「アジュバント」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、前記ゲニステインリン酸コンジュゲートを含む前記組成物に添加すると、前記ゲニステインリン酸コンジュゲートの作用を増幅又は改良する物質を指す。
【0036】
「経口送達可能な用量単位」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、治療のために対象の口腔を経由して前記対象の胃腸に投与する組成物の用量単位を指す。好ましい実施形態においては、前記用量単位は丸剤、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、バイアル又は滴剤の形態である。本発明に係る方法は用量単位を定期的に投与するものである。例えば、一用量単位を一日一回から複数回、毎食後一回、又は四時間ごと又はその他の時間間隔ごとに一回投与する。
【0037】
「用量単位」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、対象を治療するために一度に投与される前記組成物中の前記ゲニステインリン酸コンジュゲートの量を指す。好ましい実施形態においては、本発明に係る組成物の前記ゲニステインリン酸コンジュゲートの用量単位は約1mg~約350mgであり、例えばこれに限定しないが、1.0mg、1.5mg、2.0mg、2.5mg、3.0mg、3.5mg、4.0mg、4.5mg、5.0mg、5.5mg、6.0mg、6.5mg、7.0mg、7.5mg、8.0mg、8.5mg、9.0mg、9.5mg、10.0mg、10.5mg、11.0mg、11.5mg、12.0mg、12.5mg、13.0mg、13.5mg、14.0mg、14.5mg、15.0mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、120mg、140mg、150mg、160mg、180mg、200mg、220mg、240mg、250mg、260mg、280mg、300mg、320mg、340mg又は350mgである。
【0038】
他の実施形態においては、前記ゲニステインリン酸コンジュゲートは高い溶解性を有し、本発明に係る前記組成物は前記使用者に注射するために調製される。注射する際は、前記組成物は水又はアルコールのような水溶液中に調製し、又はハンクス緩衝液、リンゲル液又は生理食塩水のような緩衝液の中に調製する。前記溶液は、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような処方剤を含む。注射製剤はまた、固形製剤の形態でもよく、例えば滅菌水、食塩水又はアルコールなど適したものによって使用前の短い時間内に注射に適した液体製剤の形態に変換することができる。
【0039】
好ましい実施形態においては、本発明に係る方法は24時間内に前記組成物を1~6回服用し、ゲニステインリン酸コンジュゲートの一日量は約0.5mg/kg b.w.~約2.5mg/kg b.w.である。また、本発明に係る組成物は、食料品、薬品又は飲用、摂取可能又は食用の組成物に組み込むことができる。
【0040】
「骨構造(Bone architecture)」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、骨全体の形状と幾何学形状並びに小柱骨及び皮質骨に細分化したものを指す。骨構造を示す変数は皮質の厚み、骨量(bone mass)、骨密度(bone mineral density,BMD)、小柱骨の体積及び小柱骨の数である。「生体力学的骨強度(Bio-mechanical strength of bone)」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、測定期間の変形率、密度、異なる骨部位の変化等多くの強度基準と関係する力学の性質を指す。生体力学測定の評価は最大負荷(maximal load)、最大負荷エネルギー(maximal energy)、破壊荷重(fracture load)及びヤング率(Young’s modulus)又は弾性係数(E)等である。
【0041】
「小柱骨」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、海綿状の外観を有する格子状のマトリックスネットワーク(骨梁とも呼ぶ)を特徴とする、骨格の内層を構成するものを指す。「皮質骨」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、骨格の皮質又は外殻を構成するものを指す。皮質骨は小柱骨よりもはるかに密度が高く、人体の骨の約80%の重量を占める。しかし、骨形成及び骨吸収(骨リモデリングとも呼ぶ)の不均衡は、小柱骨の結合性の喪失及び皮質骨の皮質の菲薄化又は小孔の増加に影響する。
【0042】
「卵巣摘出ラットモデル(ovariectomized rat model)」の語は、本明細書及び特許請求の範囲では、閉経後骨粗鬆症の研究で最もよく利用されるものを指す。卵巣摘出術の後、初期は骨吸収が骨形成を上回り、骨量減少を引き起こす。それからほどなくして、骨リモデリングが安定する。すなわち、骨吸収と骨形成のバランスがとれる。
【0043】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の理解を助けるためのものであり、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例
【0044】
A.方法
【0045】
(1)実験動物
【0046】
実験には12週齢の雌性ウィスターラットを使用する。すべての実験用ラットは台湾楽斯科生物科技社(BioLASCO)から購入した。飼育は台北医学大学実験動物センターの、21~24℃を維持、相対湿度は30~70%、12時間ごとに明暗を切り替える自動照明のある動物室で行った。実験期間は十分な飲用水と、一般的な飼料を与えた。ラットの飼育及び手術はすべて台北医学大学の施設内動物管理使用委員会(IACUC)の規定に従った。
【0047】
(2)卵巣摘出術及び偽手術
【0048】
卵巣摘出ラットについては、FDAガイドラインおよび骨粗鬆症動物モデルに従って、12週齢でZoletil50(Tiletamine20-40mg/kg+Zolazepam5-10mg/kg)及びRompunを用いた麻酔下で両側卵巣摘出手術を行った。対照グループとして設定した偽手術ラットについては、12週齢でZoletil50(Tiletamine20-40mg/kg+Zolazepam5-10mg/kg)及びRompunを用いた麻酔下で手術を行い、卵巣は切除しなかった。卵巣摘出術後、24匹の卵巣摘出ラットをランダムに4組、1組につき6匹のラットに分けた。手術から2週間後、それぞれのラットが属する組ごとに、毎日一回異なる組の試験サンプル及び水を経口投与した。ラットは12週の間毎週重さを測り、投与用量のベースとし、体重を記録した。最後に、屠殺したラットの卵巣を確認し卵巣摘出術が成功しているか確認した。卵巣摘出に失敗しているラットのデータは採用せず削除した。
【0049】
(3)実験期間
【0050】
FDAガイドライン及び以前の研究によると、骨構造は卵巣摘出術後12週間以内に明らかに変化する(FDAガイドラインおよび骨粗鬆症の動物モデル1995; International Journal of Experimental Pathology 2009、90(5)、512~519)。
【0051】
(4)用量
【0052】
FDAは、大豆タンパク質を25g(イソフラボン40~50mgに相当)と飽和脂肪及びコレステロールが低い食事を毎日摂ることで、心臓病を軽減することができると述べている。市販の大豆イソフラボンサプリメントの用量の多くは40~60mg/dayである。よって、人体における40mg/dayのG7Pを参照用量と見なす。体表面積正規化法(body-surface-area normalization)に従って、ラットに対するG7Pの投与量を以下の式により定義する。
【数2】
【0053】
一実施形態において、イソフラボンの1日の推奨量は40mg/day、一般的なヒトの女性の体重は60kg、ヒトの体表面積定数は37、ラットの体表面積定数は6、G7PMWは約350、ゲニステインの分子量は約270である。上述の式にこれらの値を適用すると、以下のようになる。
【数3】
【0054】
よって、この実施例でラットに使用するG7Pの一日量は5.33mg/kg/dayである。
【0055】
(5)サンプル管理及びグループ化
【0056】
計30匹のラットを次の5グループ(SHAM、OVX、G7P、G7P2X、E2)に分ける。
a.SHAMグループ:偽手術ラット、対照グループとして設定。経管栄養法によって滅菌水を与えた。
b.OVXグループ:卵巣摘出ラット、ネガティブ対照グループとして設定。経管栄養法によって滅菌水を与えた。
c. G7Pグループ:卵巣摘出ラット。経管栄養法により毎日一回5.33mg/kg b.w.1日1回のG7P溶液を投与。この用量は成人の大豆イソフラボン量の40mg /dayに等しい。
d. G7P2Xグループ:卵巣摘出ラット。経管栄養法により毎日一回10.66mg/kg b.w.のG7P溶液を投与。この用量は成人の大豆イソフラボン量の80mg /dayに等しい。
e.E2グループ:卵巣摘出ラット、ポジティブ対照グループとして設定。経管栄養法により毎日一回200μg/kg b.w.の17-βエストラジオールを投与。
【0057】
(6)骨量指数測定
【0058】
実験期間の第0、3、6、9及び12週の時に、気体麻酔を行ったラットの右太腿の大腿骨頭に対し動物用マイクロCT SkyScan1176を使用しマイクロCTスキャンを行い、3Dトモグラフィ画像を得た。得られた3Dトモグラフィ画像をさらにソフトウェアで解析して骨量指標データを得た。指標データは、骨密度及び総体積に対する骨体積比(bone volume/total volume, BV/TV, %)を含む。
【0059】
(7)ラットの屠殺及び動物サンプルの採取
【0060】
ラットを屠殺後、脛骨と大腿骨を採取し、骨密度及び骨応力を測定した。更に子宮を採取し、周りの脂肪を除去して重さを記録した。
【0061】
(8)骨の力学解析
【0062】
左足大腿骨周囲の軟組織を除去した後、生体力学的試験機器(RT1-TST、Royalty Tec.Ins.Ltd)を用いて測定した。まず、デジタルノギスで大腿骨の長さを測定し、大腿骨の中央位置が骨応力計で大腿骨の垂直方向に物理的な力で圧迫するときに合わせる目盛りの基準になるように設定した。大腿骨を生理食塩水で湿った状態に保ち、試験台に固定し、三点曲げ試験(three-point bending)を行った。骨応力計のモーター回転速度を0.05mm/secに設定し、大腿骨が折れるまで圧迫した後、試験システムによって得られた骨力学解析の変数は以下の通りであった。
1.最大負荷(maximal load):記録の最大重量から換算した力。単位はニュートン。
2.最大負荷エネルギー(maximal energy):記録曲線下の面積積分。単位はmJ。
3.破壊荷重(fracture load)
4.ヤング率(Young’s modulus)又は弾性係数(E)
【0063】
(9)組織病理学的観察
【0064】
右足大腿骨周囲の軟組織を除去した後、パラホルムアルデヒドで組織を固定し、酸による脱灰を行った後、パラフィン包埋し、ミクロトームで断面が円形になるよう縦方向に厚さ2μmでスライスし、スライドに接着させ、H&E染色した後、スライドを固定し骨の組織病理学的観察を行った。
【0065】
(10)統計解析
【0066】
動物実験データを線形モデルで分散分析し、グループ間の差異をスチューデントのt検定によって測定した。 データは平均値±標準偏差(Mean ± SD)で示した。
【0067】
B.結果
【0068】
(1)体重の変化
【0069】
卵巣摘出ラットは術後にエストロゲンの分泌が欠乏するため、自律神経失調症を引き起こし、ひいては更年期障害のような症状を引き起こす。このモデルは、更年期女性の生理学的状態をシミュレートすることができるため、本実施例ではこのモデルを骨粗鬆症試験のプラットフォームとした。一般的に、生物は長期的にエストロゲンが欠乏した状態になると体重が増加すると言われている。図1に示すように、すべての卵巣摘出ラットのグループで同様の状態が観察できた。卵巣摘出ラットの体重は卵巣摘出術後2週間後から顕著に増加しており、偽手術(SHAM)グループと明確な差異があった。また、卵巣摘出ラットの体重は実験期間の経過とともに増加し、最も重いG7Pグループは術後12週の体重が約400g前後だった。エストロゲンを与えたラットグループ(即ちE2グループ)の体重は他の卵巣摘出術を受けたグループ(即ちOVXグループ、G7Pグループ、G7P2Xグループ)と比べ第3週から軽くなり始め、第12週まで他のものより体重が軽かった。高用量のエストロゲンを経口投与することでエストロゲンの欠乏による体重の上昇を抑制することができることは明らかであり、G7Pを与えたグループ(即ちG7Pグループ及びG7P2Xグループ)は肥満を抑制する効果は無かった。
【0070】
(2)子宮の発育への影響
【0071】
文献によると、卵巣的術後の生物の子宮はエストロゲンが不足することにより急速に委縮するという。実験結果時の各グループの子宮の重量は図2に示すとおりである。卵巣摘出術後12週の卵巣摘出ラットの子宮の重量は偽手術ラットと比べ明らかに軽かった。より具体的には、卵巣摘出ラットの子宮の重量は正常な子宮の重量の四分の一しかなく、卵巣摘出術が成功していることを表している。また、実験中に経口投与したサンプルはすでに委縮した子宮の重量及び外観に顕著な影響を与えなかった。
【0072】
(3)骨密度及び骨体積への影響
【0073】
第12週時点の各グループの骨密度は図3に示すとおりである。結果から、偽手術(SHAM)グループの骨密度は試験期間の経過とともに正常に成長しており、第12週には1.14g/cmほどに成長した。それに対しOVXグループは0.03g/cmしかなかった。G7Pグループ、G7P2Xグループ及びE2グループのすべての骨密度の平均は明らかにOVXグループより高いことから、G7Pを経口投与したグループ(即ちG7Pグループ及びG7P2Xグループ)は骨ミネラル質の減少を抑制することができており、試験中に骨密度を維持することができていることから、17-βエストラジオールを200μg/kg b.w.を経口投与したグループ(即ちE2グループ)と同様の効果が現れていることは明らかである。
【0074】
図4に示すとおり、各グループのうちOVXグループのBV/TVが最低であった。また、G7Pグループ、G7P2Xグループ及びE2グループのBV/TVは皆OVXグループより高く、統計学的にも顕著な差異が見られた。このうち、G7P2XグループのBV/TVはG7Pグループ及びE2グループよりやや高かった。卵巣摘出術後にG7Pを経口投与することで骨体積を維持することができることを表しており、エストロゲンを経口投与したグループ(即ちE2グループ)と基本的には同様の効果があった。
【0075】
(4)骨形成への効果と小柱骨の発育への影響
【0076】
図5はマイクロCT造影した骨構造の3D画像であり、異なる番号は各グループにおいて異なる個体であることを示す。図から、SHAMグループは大腿骨頭に近い部分に緻密な小柱骨構造が分布しており、その分布範囲も他のグループと比べ広く、3D画像からはその小柱網も非常に整っていることが観察できた。SHAMグループと比べ、OVXグループは小柱骨の減少が明らかな状態であり、大腿骨頭には小柱網がほとんどなかった。G7PグループとG7P2Xグループで観察できた小柱骨の数は明らかにOVXグループより多く、その構造も整っていることから、G7Pを経口投与することで骨吸収を抑制する効果があり、G7Pが骨量減少を抑制するのに効果的なサプリメントであることがわかる。G7Pグループと比べ、ポジティブ対照グループとしたE2グループは小柱網がカバーする範囲がG7Pグループより広いが、その組織は比較的粗いことが観察できる。その結果、G7Pを与えたグループ(G7Pグループ及びG7P2Xグループ)とエストロゲンを経口投与したグループ(E2グループ)はともに大腿骨の小柱骨構造を維持することができているが、E2グループが維持できていた大腿骨構造は形態的にG7Pグループのものと有意に異なっていた。
【0077】
組織病理学的観察の結果は図6に示すとおりである。SHAMグループの骨組織中には、豊富なミネラル質(紫色の部分)及び緻密な小柱網(ピンク色の部分)がはっきり見て取れる。成長板の下にも一定数の骨芽細胞があり、強い骨形成活性を有することが現れている。しかしOVXグループのラットは骨組織中に多くの空洞があり、ミネラル質の減少が深刻であることが見て取れる。小柱骨組織も分散し断片化しており、組織中には骨形成活性がはっきりとは現れていなかった。G7Pグループ及びG7P2Xグループは骨ミネラル質の維持状態が良好であり、小柱骨の緻密さも高く、成長板の周囲にはっきりと骨芽細胞が作用しているのが見て取れる。破骨細胞も少なく、組織切片のスライドから骨量減少を抑制する作用がE2グループと同程度まであることが観察できるため、G7Pを経口投与することは有効なエストロゲン補充療法であり、骨粗鬆症の発生を抑制する効果があることを示している。本実施例においては、ラットに5.33mg/kg b.w./dayのG7Pを経口投与することで骨粗鬆症の発生を抑制し、10.66mg/kg b.w./dayを経口投与することでその効果はより良いものとなった。
【0078】
よって、体表面積正規化法に基づき、次に示す式によりヒトに適したG7Pの好ましい用量の範囲を求めることができる。
【数4】
【数5】
【0079】
式中、ヒトの体表面積定数は37であり、ラットの体表面積定数は6である。ヒトに適したG7Pの好ましい一日量の範囲は約0.86mg/kg b.w./day~約1.73mg/kg b.w./dayである。
【0080】
(5)骨応力への影響
【0081】
骨量が減少すると、機械的強度が劇的に変化し、骨の最大負荷や弾力性が低下し、骨折や骨の破砕の危険性が高まる。本実施例の第12週目におけるSHAMグループ、OVXグループ、G7Pグループ、G7P2Xグループ及びE2グループの生体力学的強度試験の結果は表1のとおりである。G7Pを経口投与したG7Pグループ及びG7P2Xグループは、卵巣摘出ラットにおける大腿骨の最大負荷エネルギーを有意に増加させ、そして弾性係数を偽手術(SHAM)グループと同様の水準まで大幅に増加させることができ、統計上も大きな差異は見られなかった。G7Pの投与は骨粗鬆症の発生を抑制し、骨量減少と関連する疾患の治療又は予防に対して大きな可能性を有する。
【表1】
【0082】
上述のとおり、本発明はこの治療を必要とする使用者に有効量のゲニステインリン酸コンジュゲートを含む組成物を投与することで、骨量減少と関連する疾病を治療又は予防し、骨ミネラル含量、骨密度及び生体力学的骨強度を高め、骨粗鬆症の発生を抑制することが可能である。
【0083】
以上、本発明について詳細に説明したが、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6