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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】鶏ゲージ積込み用トラック荷台
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/04 20060101AFI20220224BHJP
   B60P 3/04 20060101ALI20220224BHJP
   B62D 33/027 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
B62D33/04 C
B60P3/04
B62D33/027 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020094072
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021187285
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】595174898
【氏名又は名称】有限会社小田切車体
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】小田切 勝実
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1373706(KR,B1)
【文献】国際公開第2013/000050(WO,A1)
【文献】特開2014-159214(JP,A)
【文献】特開2015-131516(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第2683195(FR,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1579685(KR,B1)
【文献】実開平7-33788(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0243975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/04
B60P 3/04
B62D 33/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台床から立設した支柱に短手方向に横梁を架設して、天井部である開放上面および側壁部である開放面側面を有する荷台ボデー枠を形成し、この荷台ボデー枠の開放上面に、長尺バーとこの長尺バーに直交するアームからなるコ字状フレームをその長手方向にある開口を荷台前後方向に向け、この開口を挟むコ字状フレームの両側の前記アームの端部を荷台ボデー枠センターに近づけて設けて軸着し、コ字状フレームを跳ね上げ可能とし、荷台ボデー枠にコ字状フレームを水平状態で支える受け部材を突設し、受け部材に孔を形成し、一方、コ字状フレームからは錐状の突起を下向きに突設して、該突起を孔に差入れることを特徴とする鶏ゲージ積込み用トラック荷台。
【請求項2】
天井部である開放上面および側壁部である開放面側面はネットで覆う請求項1記載の鶏ゲージ積込み用トラック荷台。
【請求項3】
ネットはワイヤーまたはレールに沿って移動し、コ字状フレームの開閉と干渉しない位置で折り畳み可能とする請求項1または請求項2記載の鶏ゲージ積込み用トラック荷台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏ケージ搬送用のトラック荷台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックボデーには中型トラック、大型トラックでは荷台がフラット型の汎用的なトラックである平ボデー、荷台がアルミ製の箱型のトラックであるバンボデー、荷物の積卸しがしやすいように、バンボデーの両側が開くトラックであるウイングボデーがある。図13図15に各タイプの概要と各部の名称を示す。図13は平ボデーの場合、図14はバンボデーの場合、図15はウイングボデーの場合である。
【0003】
トラックを用いた鶏の運搬で、トラックへの積込みには鶏ケージが使用される。鶏は死亡すると血が凝固することから養鶏場から食肉加工場へ鶏を運搬する際には、養鶏場にて、鶏が眠っている夜間に3~4羽を鶏ケージに捕獲し、捕獲した鶏ケージを段積みし、3段積みの鶏ケージを地面に並置した敷設レール上を押して養鶏場から運搬トラックまで搬送し、運搬トラックの荷台に鶏ケージを例えば、9段重ねで3列17行積みして、生きたまま食肉加工場へ運搬するようにしている。
【0004】
図9に、平ボデーのトラック1の荷台2に鶏ケージ3を段積みした様子を示す。
【0005】
なお、鶏ケージ3の運搬用のトラックに関する先行技術文献としての特許文献は存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9に示すように鶏ケージ3を平ボデーのトラック1に搭載するに際しては、運搬中に荷崩れしないように上部コーナーにカド当てをしてロープにて固縛しなければならない。地上高さ4mの高所作業で滑りやすく、足場の悪いプラスチックケースの上を歩きながら作業を行うために、雨、風、雪時に滑って落下する事故が多発している。
【0007】
鳥インフルエンザ対策のため運搬時の羽根の飛散防止を行なわなければならず、鶏ケージにネットをかける必要がある。高さ4mの荷台に積まれた鶏ケージの上を大きなネットを持って作業者は移動しなければならず、雨、風、雪時は落下するおそれがあり非常に危険な作業をしなければならない。
【0008】
荷台形状を箱型(バンボデー)にすると鶏ケージ3の固縛が不要となり高所での危険作業がなくなる。しかし、箱型(バンボデー)の場合、2階建て鶏舎で使用できなという問題がある。
【0009】
これまでこの問題の対策としてトラック1として、ウイングボデーやルーフ昇降ボデーを導入することも考えられるが、場所の制約や費用の面で普及には課題があった。
【0010】
特にトラック1としてウイングボデーのものを使用する場合は、トラックを近づけて横付けすると、ウイングサイドパネルの開閉時にこれが鶏舎にぶつかる。また、ウイングボデーのセンタービームが邪魔で作業性が悪い。
【0011】
昇降ボデーは屋根を昇降するためのジャッキ等の組込みが必要で、ボデー価格が高く、そのため導入し難い。
【0012】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、トラックボデーの天井部を開閉式にすることで、作業者と荷台の干渉を解決することができ、製作も安価であり、また、ネット掛け作業が安全にできて、2階建て鶏舎でも使用できる鶏ゲージ積込み用トラック荷台を提供することことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、荷台床から立設した支柱に短手方向に横梁を架設して、天井部である開放上面および側壁部である開放面側面を有する荷台ボデー枠を形成し、この荷台ボデー枠の開放上面に、長尺バーとこの長尺バーに直交するアームからなるコ字状フレームをその長手方向にある開口を荷台前後方向に向け、この開口を挟むコ字状フレームの両側の前記アームの端部を荷台ボデー枠センターに近づけて設けて軸着し、コ字状フレームを跳ね上げ可能とし、荷台ボデー枠にコ字状フレームを水平状態で支える受け部材を突設し、受け部材に孔を形成し、一方、コ字状フレームからは錐状の突起を下向きに突設して、該突起を孔に差入れることを要旨とするものである。
【0014】
請求項1記載の本発明によれば、トラックボデーの荷台は天井部である開放上面に設けたコ字状フレームを跳ね上げることにより、積み荷である鶏ゲージの上での作業者の邪魔になる天井部である開放上面を囲うフレームがなくなり、作業を効率的に行うことができる。
【0015】
また、トラックボデーは荷台ボデー枠を形成することで枠で囲まれたものであり、さらに、命綱などの使用で荷台ボデー枠のいずれかに身体の掛止しを行うことでネット掛け作業なども高所作業でも安全に行うことができる。
【0016】
請求項2記載の本発明は、天井部である開放上面および側壁部である開放面側面はネットで覆うことを要旨とするものでる。
【0017】
請求項2記載の本発明によれば、鳥インフルエンザ対策のためネットを張ることで運搬時の羽根の飛散を防止できるが、このネット張りは荷台ボデー枠を利用して行うことができ、鶏ケージにネットに直接掛けることがないので、簡単かつ安全に行うことができる。
【0018】
請求項3記載の本発明は、ネットはワイヤーまたはレールに沿って移動し、コ字状フレームの開閉と干渉しない位置で折り畳み可能とすることを要旨とするものである。
【0019】
請求項3記載の本発明によれば、コ字状フレームの開閉の際にはネットは邪魔になるが、ネットはワイヤーまたはレールに沿って移動し、コ字状フレームの開閉と干渉しない位置で折り畳み可能とすることで、邪魔にならないようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように本発明の鶏ゲージ積込み用トラック荷台は、トラックボデーの天井部を開閉式にすることで、作業者と荷台の干渉を解決することができ、製作も安価であり、また、ネット掛け作業が安全にできて、2階建て鶏舎でも使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の鶏ゲージ積込み用トラック荷台の1実施形態を示す平面図である。
図2】本発明の鶏ゲージ積込み用トラック荷台の1実施形態を示す正面図である。
図3】本発明の鶏ゲージ積込み用トラック荷台の1実施形態を示す要部の側面図である。
図4】中間部におけるコ字状フレームの回転軸受けを示す説明図である。
図5】後部におけるコ字状フレームの回転軸受けを示す説明図である。
図6】コ字状フレームのロック機構を示す斜視図である。
図7】コ字状フレームの取付を示す要部の平面図である。
図8】コ字状フレームのロック機構のロックピンの縦断側面図である。
図9】ネットの張設状態を示す斜視図である。
図10】ネットの折り畳み収納状態を示す斜視図である。
図11】コ字状フレームの開閉状態を示す斜視図である。
図12】従来例を示す斜視図である。
図13】トラックボデーの平ボデーの説明図である。
図14】トラックボデーのバンボデーの説明図である。
図15】トラックボデーのウイングボデーの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の鶏ゲージ積込み用トラック荷台の1実施形態を示す平面図、図2は同上正面図で、図中(A)は運転席(鳥居)側、(B)は後端リヤ側を示す。
【0023】
トラックの荷台2の床から支柱4を立設し、支柱4同士の短手方向に横梁5を架設して、これら支柱4と横梁5とで天井部である開放上面および側壁部である開放面側面を有する荷台ボデー枠6を形成した。
【0024】
なお、本実施形態では、荷台2はキャブオーバー式のボデーであり、支柱4は荷台2の中間部では支柱4は幅広のものを立設し、荷台ボデー枠6は前後で2個に分割して形成するようにした。
【0025】
トラックの荷台2のリヤ側(B)では、図5に示すように、縦桟17を間隔を存して並べ、図示は省略するが、そこにパネルを貼り後部壁として形成することもできる。若しくは、後述のように開放面とし、ここからも荷降ろしができるようにしてもよい。
【0026】
荷台ボデー枠6の天井部である開放上面に、本体である長尺バー7bとこの長尺バー7bに直交するアーム7aからなるコ字状フレーム7を跳ね上げ可能に収めた。長尺バー7bとアーム7aとのコーナー部は補強用バー7cを架け渡してトラスとする。
【0027】
コ字状フレーム7は長尺バー7bに対して回動可能なためにアーム7aを有すればよく、長尺バー7bやアーム7aで囲われた内側面をフレームやパネルで覆うことも可能である。
【0028】
コ字状フレーム7は長尺バー7bの伸び方向である長手方向が荷台2の前後方向になるように荷台ボデー枠6の天井部である開放上面に収められ、前記アーム7aの端部を荷台ボデー枠6のセンターに近づけて設けて支軸8で軸着した。(図4図5)支軸8は横梁5等に取付けたものである。
【0029】
このようにしてコ字状フレーム7は、長尺バー7bは横梁5に対する直交する縦梁として天井部である開放上面を矩形に枠組み、支軸8により、水平状態から開閉可能なものとして手で上に跳ね上げることができる。
【0030】
なお、コ字状フレーム7は荷台ボデー枠6の天井部の前後方向センターに対して左右に設けられ、ウィング状に跳ね上がる。また、跳ね上げるのを容易にするため、バネを介在させてもよい。アーム7aに回動用のコ字状の手掛けを設けることもできる。
【0031】
図6に示すように、荷台ボデー枠6からはコ字状フレーム7を水平状態で支える受け部材9を突設するが、このコ字状フレーム7は水平状態では荷台ボデー枠6にロック可能なもので該ロック機構としては図8に示すように、前記受け部材9にパイプによる孔10を形成し、一方、コ字状フレーム7からは錐状の突起11を下向きに突設して、該突起11を孔10に差入れた。
【0032】
荷台ボデー枠6の開放面側面の前後では、支柱4に昇降用のラダー(梯子)16を設け、このラダー16を構成する縦部材の脇にラッシングベルト取付用のフック15を複数個上下段に取付ける。また、荷台2の中間部の支柱4にもラッシングベルト取付用のフック15を上下段に取付け、これら相対向するフック15間にラッシングベルト(図示は省略)を架け渡して、このラッシングベルトで荷台ボデー枠6の開放面側面を拘束できるようした。
【0033】
さらに、図9図11に示すように、前記天井部である開放上面および側壁部である開放面側面はネット13で覆うことができるようにする。
【0034】
このネット13での覆い方は種々考えられるが、本発明は荷台ボデー枠6の天井部である開放上面および側壁部である開放面側面を分けて個別に覆うものとした。
【0035】
天井部である開放上面では、横梁5に沿ってレールとなるワーヤー12を張設し、このワーヤー12に沿ってネット13に取付けたリングをスライドできるようにする。その際、リングに相互間隔を持たせておけば、ネット13をアコーデオン状に折り畳んで寄せることができる。ワーヤー12は張力を保つように、端部から折り返して張る。
【0036】
一方、側壁部である開放面側面ではコ字状フレーム7の長尺バー7bと、その前後に連なる固定バー部にカーテンレール14,14′を取付け、このカーテンレール14に沿って、ネット13に取付けたリングを滑らすようにした。カーテンレール14,14′の設置は、長尺バー7bや固定バー部から少し隙間を取る様に支持金物を介してもよい。
【0037】
前記固定バー部に設けるカーテンレール14′はネットだまりとなるものであり、カーテンレール14に沿ってスライドさせたネット13をアコーデオン状に折り畳んで寄せることができる。
【0038】
次に使用法について説明する。トラック荷台2には鶏ケージ3が積み込まれているとして、この鶏ケージ3は段積状態で荷台ボデー枠6に収まっている。
【0039】
また、荷台ボデー枠6の開放面側面においては、ラッシングベルトを横方向に架け渡して、鶏ケージ3の脱落を防止する。
【0040】
トラックの走行に際してはネット12を架け渡すが、図7に示すように、天井部である開放上面および側壁部である開放面側面において、それぞれ、ワーヤー12やカーテンレール14,14′に沿ってネット12を広げればよい。
【0041】
目的地に到着して、鶏ケージ3を鶏舎に下ろすには、まず、張ってあるネット12を畳む。図8に示すように、天井部である開放上面ではトラックが横付けする鶏舎と反対側にネット13を畳み、このネット13がコ字状フレーム7の跳ね上げに邪魔にならないようにする。
【0042】
側壁部である開放面側面においても同様にネット13をカーテンレール14′のネットだまりによせる。
【0043】
鶏ケージ3の積み下ろしを行うには、図9に示すようにコ字状フレーム7を手で跳ね上げて天井部である開放上面にはこれを囲う縦梁がない状態とすれば、
作業員が鶏ケージ3の最上段に乗り、邪魔なものがない状態で、作業を行うことができる。
【0044】
なお、図7図9の実施形態は後部リヤの面は閉鎖された壁とせずに、開放面とし、ここにもネット13を掛けられるようにした場合である。リヤを開放面として貨物の積み下ろしをリヤ側からも出きるようにした。
【0045】
後端面でもカーテンレール17を取付け、このカーテンレール17に沿って、ネット13に取付けたリングを滑らすようにした。
【符号の説明】
【0046】
1…トラック 2…荷台
3…鶏ケージ 4…支柱
5…横梁 6…荷台ボデー枠
7…コ字状フレーム 7a…アーム
7b…長尺バー 7c…補強用バー
8…支軸 9…受け部材
10…孔 11…錐状の突起
12…ワーヤー 13…ネット
14,14′…カーテンレール
15…ラッシングベルト取付用のフック
16…ラダー 17…カーテンレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15