(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】防音ボックス
(51)【国際特許分類】
F02B 77/13 20060101AFI20220224BHJP
F02B 63/04 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
F02B77/13 B
F02B63/04 Z
F02B77/13 P
F02B77/13 C
(21)【出願番号】P 2020206233
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】川上 裕次郎
(72)【発明者】
【氏名】菊池 克弥
(72)【発明者】
【氏名】坂本 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山本 博之
【審査官】齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-115807(JP,A)
【文献】特公平06-028620(JP,B2)
【文献】特開2003-072874(JP,A)
【文献】中国実用新案第203901268(CN,U)
【文献】実開昭52-081540(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 77/13
F02B 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きに開放された下ボックス構成部と、下向きに開放され前記下ボックス構成部に支持された上ボックス構成部とを備えてなり、これら下ボックス構成部及び上ボックス構成部により形成された収容空間にエンジンによって駆動される可搬式の発電機を収容し得るようにした防音ボックスであって、
前記下ボックス構成部が、矩形状をなし前記発電機が載置される底壁と、この底壁の周縁部から立設された下周壁と、前記収容空間を構成し前記発電機の空気吸入部が位置する第一の空間部分と前記収容空間を構成し前記発電機の排気ガス排出部が位置する第二の空間部分とを隔て得るように前記底壁における前後方向中間部に立設された下隔壁とを備えたものであり、
前記上ボックス構成部が、前記底壁と略同じ大きさをなす天壁と、この天壁の周縁部から垂設され下端縁が前記下周壁の上端縁に突き合わされる上周壁と、前記下隔壁と協働して前記第一の空間部分と前記第二の空間部分とを隔て得るように前記天壁における前後方向中間部に垂設された上隔壁とを備えたものであり、
前記第一の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、外部空間と前記第一の空間部分との間を連通し得る第一空気導入孔と、この第一空気導入孔の近傍に配設され前記外部空間の空気を第一の空間部分に導入するための第一空気導入ファンとを有してなる第一の空気導入部が設けられており、
前記第二の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、前記排気ガス排出部から排出された排気ガスを外部空間に排出し得る排気導出部が設けられたものであり、
前記第一の空間部分が、前記第一の空気導入部により陽圧に設定されるものであ
り、
前記第二の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、外部空間と前記第二の空間部分との間を連通し得る第二空気導入孔と、この第二空気導入孔の近傍に配設され前記外部空間の空気を第二の空間部分に導入するための第二空気導入ファンとを有してなる第二の空気導入部が設けられたものである防音ボックス。
【請求項2】
前記排気導出部が、外部空間と前記第二の空間部分との間を連通し得る排気孔と、この排気孔の近傍に配設され前記第二の空間部分内に滞留した排気ガスを外部空間に排出するための排気ファンとを備えたものである請求項1記載の防音ボックス。
【請求項3】
筒状をなし前記第二の空間部分に配設された第一、第二の騒音抑制部材を備えたものであり、
前記第一の騒音抑制部材は、基端部が前記第二の空気導入部を囲繞しつつ当該第二の空気導入部の周縁部に取り付けられたものであり、
前記第二の騒音抑制部材は、基端部が前記排気導出部を囲繞しつつ当該排気導出部の周縁部に取り付けられたものである請求項
1又は2記載の防音ボックス。
【請求項4】
前記下ボックス構成部における前記下周壁の一端部と前記上ボックス構成部における前記上周壁の一端部とがヒンジを介して連結されたものであり、
前記下ボックス構成部及び前記上ボックス構成部のそれぞれが上側に開放された開き姿勢を採り得るように構成されている請求項1、2
又は3記載の防音ボックス。
【請求項5】
前記上ボックス構成部における外面側に複数の取手が設けられている請求項1、2、3
又は4記載の防音ボックス。
【請求項6】
前記下ボックス構成部に、前記発電機により得られる電気を使用するためのプラグ挿入孔を有したコンセント部が設けられている請求項1、2、3、4
又は5記載の防音ボックス。
【請求項7】
上向きに開放された下ボックス構成部と、下向きに開放され前記下ボックス構成部に支持された上ボックス構成部とを備えてなり、これら下ボックス構成部及び上ボックス構成部により形成された収容空間にエンジンによって駆動される可搬式の発電機を収容し得るようにした防音ボックスであって、
前記下ボックス構成部が、矩形状をなし前記発電機が載置される底壁と、この底壁の周縁部から立設された下周壁と、前記収容空間を構成し前記発電機の空気吸入部が位置する第一の空間部分と前記収容空間を構成し前記発電機の排気ガス排出部が位置する第二の空間部分とを隔て得るように前記底壁における前後方向中間部に立設された下隔壁とを備えたものであり、
前記上ボックス構成部が、前記底壁と略同じ大きさをなす天壁と、この天壁の周縁部から垂設され下端縁が前記下周壁の上端縁に突き合わされる上周壁と、前記下隔壁と協働して前記第一の空間部分と前記第二の空間部分とを隔て得るように前記天壁における前後方向中間部に垂設された上隔壁とを備えたものであり、
前記第一の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、外部空間と前記第一の空間部分との間を連通し得る第一空気導入孔を有してなる第一の空気導入部が設けられており、
前記第二の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、前記排気ガス排出部から排出された排気ガスを外部空間に排出し得る排気導出部が設けられたものであり、
前記第二の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、外部空間と前記第二の空間部分との間を連通し得る第二空気導入孔と、この第二空気導入孔の近傍に配設され前記外部空間の空気を第二の空間部分に導入するための第二空気導入ファンとを有してなる第二の空気導入部が設けられたものである防音ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型発電機の騒音を抑制する防音ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、小型発電機の騒音を抑制するための種々の防音ボックスが開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、小型発電機は、ガソリンエンジンを稼働させて発電するものであるため、必然的に高温の排気ガスが排出されるものとなっている。小型発電機を収容する防音ボックスは、防音効果を高めるために密閉度合いを高め過ぎてしまうと内部空間の温度が上昇し、小型発電機がオーバーヒートし易くなるという問題がある。
【0004】
一方で、防音ボックスの密閉度合いが弱すぎる場合には、初期の防音効果を達成することができないだけでなく当該防音ボックス内に雨水が侵入し易くなり、収容された小型発電機に不具合を生じさせてしまうものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、防音効果を維持しつつ、スムーズに排ガスを排出でき、なおかつ、発電機が収容される収容空間に雨水を侵入し難くする好適な構成を有した防音ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、上向きに開放された下ボックス構成部と、下向きに開放され前記下ボックス構成部に支持された上ボックス構成部とを備えてなり、これら下ボックス構成部及び上ボックス構成部により形成された収容空間にエンジンによって駆動される可搬式の発電機を収容し得るようにした防音ボックスであって、前記下ボックス構成部が、矩形状をなし前記発電機が載置される底壁と、この底壁の周縁部から立設された下周壁と、前記収容空間を構成し前記発電機の空気吸入部が位置する第一の空間部分と前記収容空間を構成し前記発電機の排気ガス排出部が位置する第二の空間部分とを隔て得るように前記底壁における前後方向中間部に立設された下隔壁とを備えたものであり、前記上ボックス構成部が、前記底壁と略同じ大きさをなす天壁と、この天壁の周縁部から垂設され下端縁が前記下周壁の上端縁に突き合わされる上周壁と、前記下隔壁と協働して前記第一の空間部分と前記第二の空間部分とを隔て得るように前記天壁における前後方向中間部に垂設された上隔壁とを備えたものであり、前記第一の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、外部空間と前記第一の空間部分との間を連通し得る第一空気導入孔と、この第一空気導入孔の近傍に配設され前記外部空間の空気を第一の空間部分に導入するための第一空気導入ファンとを有してなる第一の空気導入部が設けられており、前記第二の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、前記排気ガス排出部から排出された排気ガスを外部空間に排出し得る排気導出部が設けられたものであり、前記第一の空間部分が、前記第一の空気導入部により陽圧に設定されるものであり、前記第二の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、外部空間と前記第二の空間部分との間を連通し得る第二空気導入孔と、この第二空気導入孔の近傍に配設され前記外部空間の空気を第二の空間部分に導入するための第二空気導入ファンとを有してなる第二の空気導入部が設けられたものである防音ボックスである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記排気導出部が、外部空間と前記第二の空間部分との間を連通し得る排気孔と、この排気孔の近傍に配設され前記第二の空間部分内に滞留した排気ガスを外部空間に排出するための排気ファンとを備えたものである請求項1記載の防音ボックスである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、筒状をなし前記第二の空間部分に配設された第一、第二の騒音抑制部材を備えたものであり、前記第一の騒音抑制部材は、基端部が前記第二の空気導入部を囲繞しつつ当該第二の空気導入部の周縁部に取り付けられたものであり、前記第二の騒音抑制部材は、基端部が前記排気導出部を囲繞しつつ当該排気導出部の周縁部に取り付けられたものである請求項1又は2記載の防音ボックスである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記下ボックス構成部における前記下周壁の一端部と前記上ボックス構成部における前記上周壁の一端部とがヒンジを介して連結されたものであり、前記下ボックス構成部及び前記上ボックス構成部のそれぞれが上側に開放された開き姿勢を採り得るように構成されている請求項1、2又は3記載の防音ボックスである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記上ボックス構成部における外面側に複数の取手が設けられている請求項1、2、3又は4記載の防音ボックスである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記下ボックス構成部に、前記発電機により得られる電気を使用するためのプラグ挿入孔を有したコンセント部が設けられている請求項1、2、3、4又は5記載の防音ボックスである。
また、請求項7に記載の発明は、上向きに開放された下ボックス構成部と、下向きに開放され前記下ボックス構成部に支持された上ボックス構成部とを備えてなり、これら下ボックス構成部及び上ボックス構成部により形成された収容空間にエンジンによって駆動される可搬式の発電機を収容し得るようにした防音ボックスであって、前記下ボックス構成部が、矩形状をなし前記発電機が載置される底壁と、この底壁の周縁部から立設された下周壁と、前記収容空間を構成し前記発電機の空気吸入部が位置する第一の空間部分と前記収容空間を構成し前記発電機の排気ガス排出部が位置する第二の空間部分とを隔て得るように前記底壁における前後方向中間部に立設された下隔壁とを備えたものであり、前記上ボックス構成部が、前記底壁と略同じ大きさをなす天壁と、この天壁の周縁部から垂設され下端縁が前記下周壁の上端縁に突き合わされる上周壁と、前記下隔壁と協働して前記第一の空間部分と前記第二の空間部分とを隔て得るように前記天壁における前後方向中間部に垂設された上隔壁とを備えたものであり、前記第一の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、外部空間と前記第一の空間部分との間を連通し得る第一空気導入孔を有してなる第一の空気導入部が設けられており、前記第二の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、前記排気ガス排出部から排出された排気ガスを外部空間に排出し得る排気導出部が設けられたものであり、前記第二の空間部分を臨む前記下周壁又は前記上周壁に、外部空間と前記第二の空間部分との間を連通し得る第二空気導入孔と、この第二空気導入孔の近傍に配設され前記外部空間の空気を第二の空間部分に導入するための第二空気導入ファンとを有してなる第二の空気導入部が設けられたものである防音ボックスである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、防音効果を維持しつつ、スムーズに排ガスを排出でき、なおかつ、発電機が収容される収容空間に雨水を侵入し難くする好適な構成を有した防音ボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~11を参照して説明する。
【0018】
この実施形態は、本発明を、主として屋外において用いられる可搬式の防音ボックスに適用したものである。
【0019】
防音ボックスは、上向きに開放された下ボックス構成部Aと、下向きに開放され下ボックス構成部Aに支持された上ボックス構成部Dとを備えたトランクボックス状のものである。防音ボックスは、下ボックス構成部A及び上ボックス構成部Dにより形成された内部の収容空間Sに、エンジンによって駆動される可搬式の発電機Gを収容し得るようにしたものである。
【0020】
防音ボックスは、上ボックス構成部Dが下ボックス構成部Aに支持されて収容空間Sが閉じられている基本姿勢(L)と、下ボックス構成部A及び上ボックス構成部Dのそれぞれが地面等の載置面に載置され上側に開放された開き姿勢(M)を採り得るように構成されている。
【0021】
なお、発電機Gは、ガソリンエンジンを稼働させて発電できるようにした既知の構成のものである。そのため、発電機Gについては詳細な説明を省略するとともに図中では模式化したものを示すものとする。この実施形態の防音ボックスには、前端部側に空気吸入部g1が設けられているとともに後端部側に排気ガス排出部g2が設けられている発電機Gが適用されている。
【0022】
防音ボックスの収容空間Sは、隔壁によって前側に位置する第一の空間部分s1と後側に位置する第二の空間部分s2に隔てられている。すなわち、防音ボックスの収容空間Sは、隔壁である下隔壁C及び上隔壁Iによって、発電機Gの空気吸入部g1やガソリンタンクが位置する空間部分である第一の空間部分s1と、発電機Gの排気ガス排出部g2が位置する空間部分である第二の空間部分s2とを仕切ることができるようになっている。
【0023】
まずは、防音ボックスを構成する下ボックス構成部Aについて説明する。
【0024】
<<下ボックス構成部A>>
下ボックス構成部Aは、矩形状すなわち前後方向に長手をなす長方形状をなし発電機Gが載置される底壁1と、底壁1の周縁部すなわち前縁、後縁、及び、左右の側縁から立設された下周壁Bと、収容空間Sを構成し発電機Gの空気吸入部g1が位置する第一の空間部分s1と収容空間Sを構成し上隔壁Iと協働して発電機Gの排気ガス排出部g2が位置する第二の空間部分s2とを隔て得るように底壁1における前後方向中間部に立設された下隔壁Cを備えたものである。
【0025】
<底壁1>
底壁1は、矩形板状をなす底壁本体11と、底壁本体11の内面すなわち上面側に配設された底壁内層板12とを備えたものである。
【0026】
底壁本体11は、一定の剛性を備えた板状のものであり、例えば、プラスチック製中空板を適用することができるようになっている。
【0027】
底壁内層板12は、一定の剛性を備えた板状のものであり、例えば、特許第6478471号等に開示された吸音機能を備えたプラスチック製中空板(気泡ボード)が適用されるようになっている。底壁内層板12は、収容空間Sに収容される発電機Gの下に位置するいわゆる底じきとして機能するものとなっている。底壁内層板12には、必要に応じて、発電機Gの下端部に設けられた図示しない脚を回避するための図示しないずれ止め用嵌合孔が形成されるようになっている。
【0028】
発電機Gは、図示しないベルト等の緊締手段により底壁内層板12に対して締結されるようになっている。底壁内層板12には、必要に応じて、ベルト等の緊締手段を位置決めするための図示しない切欠孔や切欠部が形成されるようになっている。
【0029】
なお、底壁1の構成は、適宜の態様のものを採り得ることは言うまでもなく、例えば、底壁本体11と底壁内層板12との間に、防振シートを介設してもよい。また、底壁1には、上記したものとは別個の吸音材や緩衝材や断熱材や発電機Gに係り合う位置決め部材を配してもよいのはもちろんのことである。
【0030】
<下周壁B>
下周壁Bは、底壁1の前縁から当該底壁1に対して直交する上方に延びてなる下前壁部2と、底壁1の後縁から当該底壁1に対して直交する上方に延びてなる下後壁部3と、底壁1における左右の側縁から当該底壁1に対して直交する上方に延びてなる左右の下側壁部4を備えたものである。
【0031】
<下前壁部2(下周壁B)>
下前壁部2は、矩形板状をなす下前壁部本体21と、下前壁部本体21の内面側に配設された下前壁内層板22を備えたものである。
【0032】
下前壁部本体21は、一定の剛性を備えた板状のものであり、例えば、プラスチック製中空板を適用することができるようになっている。
【0033】
下前壁内層板22は、吸音機能や断熱機能を発揮し得る板状ないしシート状のものであり、例えば、グラスウールを材料に含み表面にガラスクロス化粧が施されたパネル板が適用されるようになっている。下前壁内層板22は、種々の接着手段により下前壁部本体21に接着されている。
【0034】
下ボックス構成部Aの下前壁部2には、左右方向中央部に発電機Gにより得られる電気を使用するためのプラグ挿入孔p1を有したコンセント部Pが設けられている。コンセント部Pには発電機Gに設けられた給電部g3に接続される図示しない給電機構が設けられている。
【0035】
<下後壁部3(下周壁B)>
下後壁部3は、矩形板状をなす下後壁部本体31と、下後壁部本体31の内面側に配設された下後壁内層板32とを備えたものである。
【0036】
下後壁部本体31は、一定の剛性を備えた板状のものであり、例えば、プラスチック製中空板を適用することができるようになっている。
【0037】
下後壁内層板32は、吸音機能や断熱機能を発揮し得る板状ないしシート状のものであり、例えば、グラスウールを材料に含んだパネル板が適用されるようになっている。下後壁内層板32は、種々の接着手段により下後壁部本体31に接着されている。下後壁内層板32は、発電機Gの排気ガス排出部g2から排出される排気ガスにより高温になりやすい第二の空間部分s2を臨む部位をなしており、表面にアルミラミネートが施されたものが適用されている。
【0038】
<下側壁部4(下周壁B)>
下側壁部4は、矩形板状をなす下側壁部本体41と、下側壁部本体41の内面側に配設された下側壁内層板42とを備えたものである。
【0039】
下側壁部本体41は、一定の剛性を備えた板状のものであり、例えば、プラスチック製中空板を適用することができるようになっている。
【0040】
下側壁内層板42は、吸音機能や断熱機能を発揮し得る板状ないしシート状のものであり、例えば、グラスウールを材料に含んだパネル板が適用されるようになっている。下側壁内層板42は、種々の接着手段により下側壁部本体41に接着されている。下側壁内層板42における第二の空間部分s2を臨む部位には、下後壁内層板32と同様に、表面にアルミラミネートが施されたものが適用されている。
【0041】
なお、下周壁Bの構成は、適宜の態様のものを採り得ることは言うまでもない。例えば、下前壁部本体21、下後壁部本体31、及び、下側壁部本体41と、下前壁内層板22、下後壁内層板32、及び、下側壁内層板42との間に、防振シートを介設してもよい。下周壁Bには、上記したものとは別個の吸音材や緩衝材や断熱材や発電機Gに係り合う位置決め部材を配してもよいのはもちろんのことである。
【0042】
上述した底壁本体11、下前壁部本体21、下後壁部本体31、及び、下側壁部本体41は、連結部材であるアルミフレームQを用いて一体化されたものになっている。
【0043】
<下隔壁C>
下隔壁Cは、後で詳述する上隔壁Iと協働することにより発電機Gの空気吸入部g1が位置する空間である第一の空間部分s1と発電機Gの排気ガス排出部g2が位置する空間である第二の空間部分s2とを仕切り得る壁状をなしている。
【0044】
下隔壁Cは、底壁1に載置される発電機Gを避けるようにして立設されている。下隔壁Cは左右に対をなして離間して配設されており、それぞれが底壁内層板12及び下側壁内層板42に連結されている。下隔壁Cは、外面にアルミラミネートが施された断熱性に優れた板状の部材により構成されている。
【0045】
発電機Gに近接することになる左右の下隔壁Cの各内側端縁には、弾性変形に優れた図示しないシーリング材が取り付けられている。シーリング材は、第一の空間部分s1と第二の空間部分s2とを適切に隔絶できるよう発電機Gの外側面に密着し得るように設定されている。
【0046】
下ボックス構成部Aの下周壁Bには、第一の空気導入部E、第二の空気導入部K、及び、排気導出部Jが設けられているが、これらについては後で詳述することにする。
【0047】
次に、防音ボックスを構成する上ボックス構成部Dについて説明する。なお、上ボックス構成部Dは、下向きボックス状をなしたものであり、下ボックス構成部Aを閉塞し得る上蓋として機能し得るものとなっている。
【0048】
<<上ボックス構成部D>>
上ボックス構成部Dは、矩形状すなわち前後方向に長手をなす長方形状をなし底壁1と略同じ大きさをなす天壁5と、天壁5の周縁部すなわち前縁、後縁、及び、左右の側縁から垂設され下端縁feが下周壁Bの上端縁beに突き合わされる上周壁Fと、収容空間Sを構成し発電機Gの空気吸入部g1が位置する第一の空間部分s1と収容空間Sを構成し下隔壁Cと協働して発電機Gの排気ガス排出部g2が位置する第二の空間部分s2とを隔て得るように天壁5における前後方向中間部に垂設された上隔壁Iを備えたものである。
【0049】
<天壁5>
天壁5は、矩形板状をなす天壁本体51と、天壁本体51の内面すなわち下面側に配設された天壁内層板52とを備えたものである。
【0050】
天壁本体51は、一定の剛性を備えた板状のものであり、例えば、プラスチック製中空板を適用することができるようになっている。
【0051】
天壁内層板52は、吸音機能や断熱機能を発揮し得る板状ないしシート状のものであり、例えば、グラスウールを材料に含み表面にガラスクロス化粧が施されたパネル板が適用されるようになっている。天壁内層板52は、種々の接着手段により天壁本体51に接着されている。
【0052】
なお、天壁5の構成は、適宜の態様のものを採り得ることは言うまでもなく、例えば、天壁本体51と天壁内層板52との間に、防振シートを介設してもよい。また、天壁5には、上記したものとは別個の吸音材や緩衝材や断熱材や発電機Gに係り合う位置決め部材を配してもよいのはもちろんのことである。
【0053】
<上周壁F>
上周壁Fは、天壁5の前縁から当該天壁5に対して直交する下方に延びてなる上前壁部6と、天壁5の後縁から当該天壁5に対して直交する下方に延びてなる上後壁部7と、天壁5における左右の側縁から当該天壁5に対して直交する上方に延びてなる左右の上側壁部8を備えたものである。
【0054】
<上前壁部6(上周壁F)>
上前壁部6は、矩形板状をなす上前壁部本体61と、上前壁部本体61の内面側に配設された上前壁内層板62とを備えたものである。
【0055】
上前壁部本体61は、一定の剛性を備えた板状のものであり、例えば、プラスチック製中空板を適用することができるようになっている。
【0056】
上前壁内層板62は、吸音機能や断熱機能を発揮し得る板状ないしシート状のものであり、例えば、グラスウールを材料に含み表面にガラスクロス化粧が施されたパネル板が適用されるようになっている。上前壁内層板62は、種々の接着手段により上前壁部本体61に接着されている。
【0057】
<上後壁部7(上周壁F)>
上後壁部7は、矩形板状をなす上後壁部本体71と、上後壁部本体71の内面側に配設された上後壁内層板72とを備えたものである。
【0058】
上後壁部本体71は、一定の剛性を備えた板状のものであり、例えば、プラスチック製中空板を適用することができるようになっている。
【0059】
上後壁内層板72は、吸音機能や断熱機能を発揮し得る板状ないしシート状のものであり、例えば、グラスウールを材料に含んだパネル板が適用されるようになっている。上後壁内層板72は、種々の接着手段により下後壁部本体31に接着されている。下後壁内層板32は、発電機Gの排気ガス排出部g2から排出される排気ガスにより高温になりやすい第二の空間部分s2を臨む部位をなしており、表面にアルミラミネートが施されたものが適用されている。
【0060】
<上側壁部8(上周壁F)>
上側壁部8は、矩形板状をなす上側壁部本体81と、上側壁部本体81の内面側に配設された上側壁内層板82とを備えたものである。
【0061】
上側壁部本体81は、一定の剛性を備えた板状のものであり、例えば、プラスチック製中空板を適用することができるようになっている。
【0062】
上側壁内層板82は、吸音機能や断熱機能を発揮し得る板状ないしシート状のものであり、例えば、グラスウールを材料に含んだパネル板が適用されるようになっている。上側壁内層板82は、種々の接着手段により上側壁部本体81に接着されている。上壁壁内層板82における第二の空間部分s2を臨む部位には、表面にアルミラミネートが施されたものが適用されている。
【0063】
なお、上周壁Fの構成は、適宜の態様のものを採り得ることは言うまでもない。例えば、上前壁部本体61、上後壁部本体71、及び、上側壁部本体81と、上前壁内層板62、上後壁内層板72、及び、上側壁内層板82との間に、防振シートを介設してもよい。上周壁Fには、上記したものとは別個の吸音材や緩衝材や断熱材や発電機Gに係り合う位置決め部材を配してもよいのはもちろんのことである。
【0064】
上述した天壁本体51、上前壁部本体61、上後壁部本体71、及び、上側壁部本体81は、連結部材であるアルミフレームQを用いて一体化されたものになっている。
【0065】
<上隔壁I>
上隔壁Iは、下隔壁Cと協働することにより発電機Gの空気吸入部g1が位置する空間である第一の空間部分s1と発電機Gの排気ガス排出部g2が位置する空間である第二の空間部分s2とを仕切り得る壁状をなしている。
【0066】
上隔壁Iは、底壁1に載置される発電機Gを避けるようにして設けられている。上隔壁Iは、全体として門形状をなしている。上隔壁Iにおける左右方向中央部には、発電機Gの上部の形状に対応して切り欠かれた切欠部i1が設けられている。上隔壁Iは、外面にアルミラミネートが施された断熱性に優れた板状の部材により構成されている。
【0067】
上隔壁Iの切欠部i1には、弾性変形に優れた図示しないシーリング材が取り付けれている。シーリング材は、第一の空間部分s1と第二の空間部分s2とを隔絶できるよう発電機Gの上部外面に密着し得るように設定されている。
【0068】
上ボックス構成部Dにおける外面側には複数の取手Tが設けられている。より具体的には、取手Tは、天壁5の上面に前後に対をなして設けられているとともに上周壁Fにおける上前壁部6及び上後壁部7にそれぞれ設けられている。
【0069】
下ボックス構成部Aにおける下周壁Bの一端部すなわち下前壁部本体21の上端部と、上ボックス構成部Dにおける上周壁Fの一端部すなわち上前壁部本体61の下端部とが、ヒンジたるダンパーヒンジHを介して連結されている。換言すれば、上ボックス構成部Dは、収容空間Sを開閉することができるように下ボックス構成部Aに対して回転可能に支持されている。
【0070】
また、この実施形態では、
図3に示すように、発電機Gのセッティング作業を行い易くするために、下ボックス構成部A及び上ボックス構成部Dのそれぞれが上側に開放された開き姿勢(M)を採り得るように構成されている。
【0071】
なお、防音ボックスの上ボックス構成部Dは、基本姿勢(L)において、下ボックス構成部Aに対してパッチン錠Rにより固定され得るようになっている。
【0072】
続いて、下ボックス構成部Aの下周壁Bに設けられた第一の空気導入部E、第二の空気導入部K、及び、排気導出部Jについて説明する。
【0073】
<第一の空気導入部E>
第一の空気導入部Eは、第一の空間部分s1を臨む下周壁B(より具体的には、下周壁Bにおける一方側の下側壁部4)に設けられ外部空間と第一の空間部分s1との間を連通し得る第一空気導入孔e1と、第一空気導入孔e1の近傍すなわち第一空気導入孔e1を臨む位置に配設され外部空間の空気を第一の空間部分s1に導入するための第一空気導入ファンe2とを備えてなるものである。
【0074】
第一空気導入ファンe2は、気流を生じさせるプロペラe21を図示しないモータの駆動力によって回転させるようにした既知の構成のものである。なお、第一空気導入ファンe2の電力は発電機Gから供給されるようになっている。
【0075】
この実施形態では、第一の空気導入部Eが稼働することにより、第一の空間部分s1が陽圧に設定されるようになっている。このため、発電機Gの空気吸入部g1に対して空気を不足させることなく適切に供給することができるだけでなく、下ボックス構成部Aと上ボックス構成部Dとの間や第一の空間部分s1に密接に関連する部分に形成され得る微細な隙間から雨水が第一の空間部分s1に侵入することを好適に抑制し得るものとなっている。
【0076】
<排気導出部J>
排気導出部Jは、第二の空間部分s2を臨む下周壁B(より具体的には、下周壁Bにおける他方側の下側壁部4)に設けられている。排気導出部Jは、排気ガス排出部g2から排出された排気ガスを外部空間に排出し得るものである。排気導出部Jは、外部空間と第二の空間部分s2との間を連通し得る排気孔j1と、排気孔j1の近傍すなわち排出孔を臨む位置に配設され第二の空間部分s2内に滞留した排気ガスを外部空間に排出するための排気ファンj2とを備えたものである。
【0077】
排気ファンj2は、気流を生じさせるプロペラj21を図示しないモータの駆動力によって回転させるようにした既知の構成のものである。なお、排気ファンj2の電力は発電機Gから供給されるようになっている。なお、排気導出部Jは、単に排気孔j1だけを有する構成のもの、すなわち、排気ファンj2を備えていない構成のものであってもよい。
【0078】
<第二の空気導入部K>
第二の空気導入部Kは、第二の空間部分s2を臨む下周壁B(より具体的には、下周壁Bにおける一方側の下側壁部4)に設けられ外部空間と第二の空間部分s2との間を連通し得る第二空気導入孔k1と、第二空気導入孔k1の近傍にすなわち第二空気導入孔k1を臨む位置に配設され外部空間の空気を第二の空間部分s2に導入するための第二空気導入ファンk2とを備えてなるものである。
【0079】
第二空気導入ファンk2は、気流を生じさせるプロペラk21を図示しないモータの駆動力によって回転させるようにした既知の構成のものである。なお、第二空気導入ファンk2の電力は発電機Gから供給されるようになっている。
【0080】
この実施形態では、第二の空気導入部Kが稼働することにより、第二の空間部分s2に排出された排気ガスを排気導出部Jから外部に排気するように促すことができるようになっている。このため、発電機Gの排気ガス排出部g2から排出された高温の排気ガスは、第二の空間部分s2に殆ど滞留することなく排気導出部Jから好適に排出されるものとなっている。
【0081】
つまり、第二の空気導入部K及び排気導出部Jが協働することにより、第二の空間部分s2には、高熱の排気ガスが滞留し難く、外部空間への排出が促されているため、第二の空間部分s2ひいては防音ボックスの全体が過剰に温度上昇し難いようになっている。
【0082】
この実施形態における防音ボックスには、筒状をなし第二の空間部分s2に配設された第一、第二の騒音抑制部材V1、V2を備えている。第一、第二の騒音抑制部材V1、V2は、発電機Gから発する騒音を低減させるためのいわゆるサイレンサーとして機能するものである。
【0083】
つまり、第一、第二の騒音抑制部材V1、V2は、外部空気の内部への滑らかな流通及び内部空気の外部への滑らかな流通を損ねることなく、発電機Gから生ずる騒音を直線的に第二空気導入孔k1や排気孔j1に至らないように構成されている。換言すれば、第一、第二の騒音抑制部材V1、V2は、発電機Gから生ずる騒音の伝達経路を可及的に長くすることにより、防音性能を高めることができるものとなっている。
【0084】
第一の騒音抑制部材V1は、正面視又は背面視において略L字状に湾曲した形状をなす円筒部材により構成されている。第一の騒音抑制部材V1の基端部は、第二の空気導入部Kを囲繞しつつ当該第二の空気導入部Kの周縁部すなわち下周壁Bにおける下側壁部本体41に取り付けられている。第一の騒音抑制部材V1の先端部は上向きに開口したものとなっている。
【0085】
第二の騒音抑制部材V2は、正面視又は背面視において略L字状に湾曲した形状をなす円筒部材により構成されている。第二の騒音抑制部材V2の基端部は、排気導出部Jを囲繞しつつ当該排気導出部Jの周縁部すなわち下周壁Bにおける下側壁部本体41に取り付けられている。第二の騒音抑制部材V2の先端部は上向きに開口したものとなっている。
【0086】
以下、本実施形態の防音ボックスに発電機Gを収容して発電機Gを稼働させた状態(以下、「防音ボックス収容状態(B)」という。)の騒音レベルと、発電機Gを防音ボックスに収容せずに外部に露出させて使用した状態(以下、「ブランク状態(A)」という。)の騒音レベルとの差異を検証するための実験の実施概要及びその実験結果を示す。
【0087】
この実験では、
図9及び
図10に示すように、(イ)、(ロ)、(ハ)、(二)の四ケ所において騒音計Mによる測定が行われた。
【0088】
図9に示すものは、防音ボックス収容状態(B)における騒音レベル測定の実施概要を示している。騒音計Mは、防音ボックスの周壁(下周壁B及び上周壁F)の外面から約1.5m離れた位置における床上約0.6mのところに設置した。
【0089】
図10に示すものは、ブランク状態(A)における騒音レベル測定の実施概要を示している。騒音計Mの位置は、
図9のものと同じである。
【0090】
上述した条件下において、発電機Gから生ずる騒音レベルを測定した結果、
図11に示す結果が得られた。すなわち、防音ボックス収容状態(B)における騒音の測定値は、ブランク状態(A)における騒音の測定値と比較して、平均値でマイナス8dBであることが分かった。換言すれば、発電機Gを防音ボックスに収容して稼働させた場合には、防音ボックスに発電機Gを収容しない場合と比較して、約8dBの防音効果が発揮されることが判明した。
【0091】
以上説明したように、本実施形態に係る防音ボックスは、上向きに開放された下ボックス構成部Aと、下向きに開放され下ボックス構成部Aに支持された上ボックス構成部Dとを備えてなるものである。
【0092】
そして、防音ボックスは、下ボックス構成部A及び上ボックス構成部Dにより形成された収容空間Sにエンジンによって駆動される可搬式の発電機Gを収容し得るようになっている。
【0093】
下ボックス構成部Aは、矩形状をなし発電機Gが載置される底壁1と、底壁1の周縁部から立設された下周壁Bと、収容空間Sを構成し発電機Gの空気吸入部g1が位置する第一の空間部分s1と収容空間Sを構成し発電機Gの排気ガス排出部g2が位置する第二の空間部分s2とを隔て得るように底壁1における前後方向中間部に立設された下隔壁Cとを備えたものである。
【0094】
上ボックス構成部Dは、底壁1と略同じ大きさをなす天壁5と、天壁5の周縁部から垂設され下端縁feが下周壁Bの上端縁beに突き合わされる上周壁Fと、下隔壁Cと協働して第一の空間部分s1と第二の空間部分s2とを隔て得るように天壁5における前後方向中間部に垂設された上隔壁Iとを備えたものである。
【0095】
下ボックス構成部A及び上ボックス構成部Dにより形成された第一の空間部分s1を臨む下周壁Bに、外部空間と第一の空間部分s1との間を連通し得る第一空気導入孔e1と、第一空気導入孔e1の近傍に配設され外部空間の空気を第一の空間部分s1に導入するための第一空気導入ファンe2とを有してなる第一の空気導入部Eが設けられているものであり、第二の空間部分s2を臨む下周壁Bに、排気ガス排出部g2から排出された排気ガスを外部空間に排出し得る排気導出部Jが設けられたものである。
【0096】
しかして、第一の空間部分s1が、第一の空気導入部Eにより陽圧に設定されるものとなっている。
【0097】
このため、発電機Gが収容される収容空間Sに雨水を侵入し難くする好適な構成を有した防音ボックスを提供することができるものとなる。
【0098】
第二の空間部分s2を臨む下周壁Bに、外部空間と第二の空間部分s2との間を連通し得る第二空気導入孔k1と、この第二空気導入孔k1の近傍に配設され外部空間の空気を第二の空間部分s2に導入するための第二空気導入ファンk2とを有してなる第二の空気導入部Kが設けられたものである。
【0099】
このため、第二の空気導入部Kに外部空気が第二の空間部分s2に導入されることになるため、発電機Gから排出される排出ガスが第二の空間部分s2に滞留し難くなり、排気導出部Jを通じて外部への排出が好適に促されるものとなる。
【0100】
排気導出部Jが、外部空間と第二の空間部分s2との間を連通し得る排気孔j1と、排気孔j1の近傍に配設され第二の空間部分s2内に滞留した排気ガスを外部空間に排出するための排気ファンj2とを備えたものである。
【0101】
このため、発電機Gから排出される排出ガスが第二の空間部分s2に滞留し難くなり、排気導出部Jを通じて外部への排出が好適に促されるものとなる。
【0102】
なお、本実施形態の構成によれば、発電機Gにおいてガソリンタンクが位置する第一の空間部分s1の温度が継続的に摂氏40度以下に抑えられ、発電機Gのエンジンをオーバーヒートさせることなく八時間の連続運転を実施することができた。
【0103】
筒状をなし第二の空間部分s2に配設された第一、第二の騒音抑制部材V1、V2を備えたものであり、第一の騒音抑制部材V1は、基端部が第二の空気導入部Kを囲繞しつつ当該第二の空気導入部Kの周縁部に取り付けられたものであり、第二の騒音抑制部材V2は、基端部が排気導出部Jを囲繞しつつ当該排気導出部Jの周縁部に取り付けられたものである。
【0104】
このため、第二空気導入孔k1及び排気孔j1に対して、発電機Gの騒音が直線的に及び難くなり、第二空気導入孔k1及び排気孔j1を通じて外部空間に伝達される騒音を好適に抑制し得るものとなっている。
【0105】
下ボックス構成部Aにおける下周壁Bの一端部と上ボックス構成部Dにおける上周壁Fの一端部とがヒンジたるダンパーヒンジHを介して連結されたものであり、下ボックス構成部A及び上ボックス構成部Dのそれぞれが上側に開放された開き姿勢(M)を採り得るように構成されている。
【0106】
このため、発電機Gのセッティングを柔軟に実施し得るだけでなく、上ボックス構成部Dを回転させるだけで収容空間Sが閉塞された基本姿勢(L)を簡単に採り得るものとなっている。
【0107】
上ボックス構成部Dにおける外面側すなわち天壁5及び上周壁Fに複数の取手Tが設けられている。
【0108】
このため、防音ボックスは、可搬性及び上ボックス構成部Dの開閉操作の利便性に優れたものとなっている。
【0109】
下ボックス構成部Aに、発電機Gにより得られる電気を使用するためのプラグ挿入孔p1を有したコンセント部Pが設けられている。
【0110】
このため、防音ボックスは、発電機Gによって生成された電気を外部に好適に提供し得るものとなっている。
【0111】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0112】
第一の空気導入部は、第一の空間部分を臨む下周壁又は上周壁に設けられたものであればよい。
【0113】
第二の空間導入部や排気導出部は、第二の空間部分を臨む下周壁又は上周壁に設けられたものであればよい。
【0114】
第一、第二の騒音抑制部材の形状は、種々の形状のものを採用することができるものであり、上述した実施形態に示されたものに限られるものではない。
【0115】
下ボックス構成部と上ボックス構成部とはヒンジを介して連結されていないものであってもよい。
【0116】
複数の取手は、上ボックス構成部や下ボックス構成部の外面側における適宜の箇所に設けてよいのはもちろんのことである。
【0117】
下ボックス構成部には、必ずしも、プラグ挿入孔を有したコンセント部が設けられている必要はない。つまり、防音ボックスは、収容された発電機から電気を得られるものであれば、その構成はどのようなものであってもよい。
【0118】
下ボックス構成部及び上ボックス構成部を構成する内層板の素材については、吸音機能や断熱機能を発揮し得るものであればよく、上記したグラスウールやガラスクロスの他、ロックウールやその他の不燃性クロスを適用したものであってもよい。
【0119】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0120】
A…下ボックス構成部
B…下周壁
C…下隔壁
D…上ボックス構成部
E…第一の空気導入部
F…上周壁
G…発電機
I…上隔壁
J…排気導出部
K…第二の空気導入部
S…収容空間
1…底壁
5…天壁
【要約】
【課題】発電機が収容される収容空間に雨水を侵入し難くする好適な構成を有した防音ボックスを提供する
【解決手段】下ボックス構成部Aと、上ボックス構成部Dとを備えてなり、収容空間Sに発電機Gを収容し得るようにした防音ボックスであり、第一の空間部分s1を臨む下周壁Bに、外部空間と第一の空間部分s1との間を連通し得る第一空気導入孔e1と、第一空気導入孔e1の近傍に配設され外部空間の空気を第一の空間部分s1に導入するための第一空気導入ファンe2とを有してなる第一の空気導入部Eが設けられ、第一の空間部分s1が、第一の空気導入部Eにより陽圧に設定されるものとした。
【選択図】
図2