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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ライトガイド装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/237 20180101AFI20220224BHJP
   F21S 43/239 20180101ALI20220224BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20220224BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220224BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/239
F21W103:55
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017118606
(22)【出願日】2017-06-16
(65)【公開番号】P2019003864
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】望月 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 智之
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-023110(JP,A)
【文献】特開2014-102904(JP,A)
【文献】特開2007-227356(JP,A)
【文献】特開2012-109058(JP,A)
【文献】特開2017-103173(JP,A)
【文献】特開2012-190762(JP,A)
【文献】特開2004-134223(JP,A)
【文献】特開2008-004491(JP,A)
【文献】特開2010-086889(JP,A)
【文献】特開2012-064500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/237
F21S 43/239
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具の内側に、第1光源から入射した光を導く第1導光体と、前記第1導光体から入射した光を導く第2導光体とを備え、
前記第1導光体が、第2導光体よりも灯具外形線の近くに配置され、
前記第2導光体が、第1導光体よりも灯具外形線から灯具の内側へ離れた位置に配置されるとともに、該第2導光体を発光させるための複数の意匠用ステップを備え、
前記第1導光体の一部に前記第1光源から光を入射する入光部が突出形成され、前記入光部との接続部において、分光用のスプリッターが形成され
前記接続部においてのみ、灯具前方側に、拡散部が形成されたことを特徴とするライトガイド装置。
【請求項2】
前記第1導光体が灯具外形線に沿って略環状に延びる棒状導光体を含み、前記第2導光体が棒状導光体から灯具の内側に広がる板状導光体を含む請求項1記載のライトガイド装置。
【請求項3】
前記複数の意匠用ステップが、第2導光体の入射光を灯具前方へ反射する反射面を備え、各反射面の面積が灯具外形線から灯具内側へ離れた位置の意匠用ステップほど小さく設定されている請求項1又は2記載のライトガイド装置。
【請求項4】
前記複数の意匠用ステップが灯具の後方を向く第2導光体の背面に形成され、第2導光体の背面および各意匠用ステップが反射膜によって被覆されている請求項1~3の何れか一項に記載のライトガイド装置。
【請求項5】
前記第1導光体から灯具の内側へ最も離れた位置において、第2導光体の端面が黒色の遮光部によって被覆されている請求項1~4の何れか一項に記載のライトガイド装置。
【請求項6】
前記第1導光体が、第1光源から入射した光の一部を灯具の前方に向けて反射する配光用ステップと、第1光源から入射した光の別の一部を第2導光体に向けて反射する加飾用ステップとを含む請求項1~5の何れか一項に記載のライトガイド装置。
【請求項7】
第2光源から入射した光を灯具の外形線近くで導く第3導光体をさらに備え、第3導光体が前記第2光源から入射した光を灯具の前方に向けて反射する配光用ステップを含み、前記第1導光体が前記第1光源から入射した光を前記第2導光体に向けて反射する加飾用ステップを含む請求項1~5の何れか一項に記載のライトガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯具の内側において、光源からの光を第1導光体で第2導光体に導き、第2導光体を発光させるライトガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前照灯やリアコンビネーションランプ等の車両用灯具において、棒状の第1導光体と板状の第2導光体を一体に形成し、LED光源からの光を第1導光体に入射させ、第1導光体から第2導光体に誘導して、第2導光体を面発光させるライトガイド装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、板状導光体の一辺に棒状導光体を設け、LED光源からの光を棒状導光体で板状導光体に誘導し、板状導光体に形成された多数のステップにより板状導光体を面発光させるライトガイド装置が記載されている(段落0052)。
【0004】
特許文献2には、板状導光体の相対する二辺に棒状導光体を設け、2本の棒状導光体の端部に別々のLED光源を配置し、各光源が発生した異なる色の光を棒状導光体で板状導光体に誘導して、板状導光体を複数色に面発光させる技術が記載されている(図4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-190762号公報
【文献】特開2014-116142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のライトガイド装置によれば、棒状導光体と板状導光体を組み合わせているので、光源からの光を灯具内側の広範囲に分配できる利点がある。しかし、板状導光体の配光パターンが面発光に限定されたり、そのために棒状導光体の形状や位置が制限されたりするなど、配光パターンおよびレイアウトの自由度が低下するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、導光体の配光パターンおよびレイアウトの自由度を高め、点灯時および消灯時における灯具の外観を見栄えよくすることができるライトガイド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のライトガイド装置は、灯具の内側に、第1光源から入射した光を導く第1導光体と、第1導光体から入射した光を導く第2導光体とを備え、第1導光体が、第2導光体よりも灯具外形線の近くに配置され、第2導光体が、第1導光体よりも灯具外形線から灯具の内側へ離れた位置に配置されるとともに、第2導光体を発光させる複数の意匠用ステップを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、第1導光体が灯具外形線に沿って略環状に延びる棒状導光体を含み、第2導光体が棒状導光体から灯具の内側に広がる板状導光体を含む。ここで、棒状および板状導光体は、両者を一体に成形することもでき、別々に成形して互いに接近する位置に配置することもできる。
【0010】
第2導光体の意匠用ステップは、特定の形状および構成に限定されず、灯具点灯時の配光パターンまたは消灯時の外観を考慮して適宜に選択できる。例えば、複数の意匠用ステップに、第2導光体の入射光を灯具前方へ反射する反射面を設け、反射面の面積(意匠用ステップの表面積)を灯具外形線から灯具の内側へ離れた位置のステップほど小さく設定することができる。また、第2導光体が全体として斑点状または離散状に発光するように、面発光と比較して、意匠用ステップの分布を粗く設定することもできる。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態では、灯具点灯時に第2導光体を見栄えよく発光させるために、複数の意匠用ステップが灯具の後方を向く第2導光体の背面に形成され、第2導光体の背面および各意匠用ステップが反射膜によって被覆される。また、灯具消灯時の見栄えがよくなるように、第1導光体から灯具の内側へ最も離れた位置において、第2導光体の端面が黒色の遮光部によって被覆され、消灯時にその端面が意匠用ステップを介して黒く視認されるように構成することができる。
【0012】
本発明を実施するにあたり、第1導光体は発光してもよく、発光しなくてもよい。発光させる場合は、第1導光体に、第1光源から入射した光の一部を灯具の前方に向けて反射する配光用ステップと、第1光源から入射した光の別の一部を第2導光体に向けて反射する加飾用ステップとが設けられる。発光させない場合は、ライトガイド装置が、第2光源から入射した光を灯具の外形線近くで導く第3導光体をさらに備える。そして、第3導光体に、第2光源から入射した光を灯具の前方に向けて反射する配光用ステップが設けられ、第1導光体に、第1光源から入射した光を第2導光体に向けて反射する加飾用ステップが設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のライトガイド装置によれば、第1導光体を灯具の外形線近くに配置し、第2導光体を外形線から灯具の内側へ離れた位置に配置し、第2導光体に該導光体を発光させるための複数の意匠用ステップを設けたので、例えば、第1導光体を灯具の外形線に沿って環状に形成したり、第2導光体を斑点状に発光させたりするなど、導光体の配光パターンおよびレイアウトの自由度を高め、点灯時および消灯時における灯具の外観を見栄えよくすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態を示す車両用灯具の正面図である。
図2】実施例1のライトガイド装置を示す図1のA-A線断面図である。
図3】実施例1のライトガイド装置を示す図1のB部拡大図である。
図4】実施例1のライトガイド装置を示す図3のC-C線断面図である。
図5】実施例2のライトガイド装置を示す車両用灯具の断面図である。
図6】実施例2のライトガイド装置を示す部分断面図である。
図7】第2導光体の変更例を示す断面図である。
図8】第2導光体の他の変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を車両用前照灯のライトガイド装置に具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示す車両用前照灯1は、正面円形の灯具ボディ2を備え、灯具ボディ2の中央部に光源バルブ3が配置され、灯具ボディ2の前面に透光カバー4が被せられ、灯具ボディ2の内側にライトガイド装置11が設置されている。次に、ライトガイド装置11の構成および作用を実施例1,2に基づいて詳述する。なお、各実施例において、共通または類似する構成要素には図面に同一の符号が付されている。
【実施例1】
【0016】
図2図4は実施例1のライトガイド装置11を示す。図2に示すように、このライトガイド装置11は、灯具ボディ2の内側に、第1導光体としての棒状導光体12と、第2導光体としての板状導光体13とを備えている。各導光体12,13は透明樹脂で一体成形されている。棒状導光体12は、灯具ボディ2の外形線の近くに配置され、その外形線に沿って円環状に延び、前照灯1のデイライトランニングランプとして機能する。板状導光体13は、棒状導光体12よりも外形線の内側へ離れた位置に配置され、灯具ボディ2の後方側ほど小径となる円錐台形に広がり、デイライトランニングランプの点灯時に、棒状導光体12と光源バルブ3との間に意匠用の配光パターンを形成する。
【0017】
図3図4に示すように、棒状導光体12の一部には入光部14が突出形成され、その突端入射面15と対向するように、灯具ボディ2の内部に第1LED光源16が配置されている。入光部14との接続部において、棒状導光体12には分光用のスプリッター17と、スプリッター17を外部から隠すためのローレット加工部18とが形成されている。そして、第1LED光源16の発光がスプリッター17によって棒状導光体12の両方向に分岐され、棒状導光体12が第1LED光源16から入射した光を灯具ボディ2の外周方向に導き、板状導光体13が棒状導光体12から入射した光(図1に矢印で示す)を灯具ボディ2の内側または中央側に導くようになっている。
【0018】
図2図4に示すように、灯具ボディ2の内側には、黒色のエクステンション5が板状導光体13を灯具後方から覆うように配置されている。エクステンション5と対向する板状導光体13の背面には、この導光体13を発光させるための複数の意匠用ステップ20が形成されている。意匠用ステップ20には、板状導光体13の入射光を灯具前方へ反射する円錐面からなる反射面が設けられている。各反射面の面積は、灯具外形線から灯具内側へ離れた位置の意匠用ステップ20ほど小さくなるように設定されている(図1参照)。また、意匠用ステップ20は、板状導光体13の全域を斑点状あるいは離散状に発光させるために、所定の分布または密度で形成されている。なお、意匠用ステップ20の形状は、円錐形に限定されず、角錐形、円柱形、角柱形など、任意に変更可能である。
【0019】
一方、棒状導光体12の周面には、この導光体自体を発光させるために、第1LED光源16から入射した光の一部を灯具前方に向けて反射する配光用ステップ21と、第1LED光源16から入射した光の別の一部を板状導光体13に向けて反射する加飾用ステップ22とが導光体12の全長にわたって多数形成されている。加飾用ステップ22は、灯具ボディ2内に配置されたシェード7によって灯具側方から覆われている。また、板状導光体13の内側端面13a、つまり、棒状導光体12から灯具ボディ2の内側へ最も離れた位置にある端面13aは、エクステンション5の黒色の遮光部6によって灯具中心側から覆われている。
【0020】
以上のように構成された実施例1のライトガイド装置11によれば、棒状導光体12を灯具ボディ2の外形線に沿って環状に発光させ、板状導光体13を棒状導光体12の内側で意匠用ステップ20によって斑点状に発光させることができる。特に、意匠用ステップ20の反射面の面積を変化させることによって、板状導光体13を外周側ほど明るく発光させ、中心側ほど暗く発光させることができ、面発光と比較して斬新な配光パターンを創り出すことができる。また、板状導光体13の内側端面13aが黒色の遮光部6で覆われているので、デイライトランニングランプの消灯時に、外部光による不必要な発光を防止して、内側端面13aをエクステンション5と同じ黒色に見せることもできる。
【実施例2】
【0021】
図5および図6は実施例2のライトガイド装置11を示す。実施例2のライトガイド装置11は、第1導光体(棒状導光体12)および第2導光体(板状導光体)に加えて第3導光体を備えた点において実施例1と相違する。図5に示すように、第3導光体24は、棒状導光体12とほぼ同じ大きさの円環状に形成され、灯具ボディ2の外形線近くにおいて棒状導光体12よりも透光カバー4に接近する位置に配置されている。棒状導光体12と同様に、第3導光体24の一部には入光部14が突出形成され、その入射面15に第2LED光源26が対向配置され、入光部14にスプリッター17とローレット加工部18が設けられている。
【0022】
第3導光体24の周面には、第2LED光源26から入射した光を灯具前方に向けて反射する配光用ステップ21が設けられている。棒状導光体12には、第1LED光源16から入射した光を板状導光体13に向けて反射する加飾用ステップ22が設けられている。棒状導光体12と第3導光体24との間には、光の相互干渉を防止するための遮光板25が介装されている。そして、デイライトランニングランプの点灯時に、第3導光体24が第2LED光源26からの入射光で環状に発光し、棒状導光体12が第1LED光源16からの入射光を板状導光体13に導き、板状導光体13が複数の意匠用ステップ20によって斑点状に発光するように構成されている。したがって、実施例2のライトガイド装置11によっても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0023】
なお、本発明は、実施例1,2に限定されるものではなく、以下に例示するように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状や構成を適宜変更して実施することも可能である。
(1)図7に示すように、意匠用ステップ20を板状導光体13の背面に凸状に設けること。
(2)図7に示すように、板状導光体13の背後からエクステンションを省き、板状導光体13の内側端面13aを黒色の遮光部品31で被覆すること。
【0024】
(3)図8に示すように、板状導光体13の背面全体に反射膜32を蒸着により形成し、反射膜32によって板状導光体13の背面および意匠用ステップ20を被覆し、意匠用ステップ20からの反射光により板状導光体13を高輝度のドット状または斑点状に発光させること。
(4)実施例1,2において、エクステンション5および遮光部6を黒色以外の色、例えば車体と同じ色で着色し、灯具消灯時における前照灯1の外観に変化を与えること。
(5)本発明のライトガイド装置11を前照灯以外の車両用灯具、または、車両用灯具以外の各種灯具に適用すること。
【符号の説明】
【0025】
1 車両用前照灯
2 灯具ボディ
4 透光カバー
6 遮光部
11 ライトガイド装置
12 棒状導光体(第1導光体)
13 板状導光体(第2導光体)
16 第1LED光源
20 意匠用ステップ
21 配光用ステップ
22 加飾用ステップ
24 第3導光体
26 第2LED光源
31 遮光部品
32 反射膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8