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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】検眼装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/14 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
A61B3/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017176929
(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公開番号】P2019051008
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 尚樹
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-091427(JP,A)
【文献】特開2009-254725(JP,A)
【文献】特開2017-063851(JP,A)
【文献】特開2011-147786(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0236744(US,A1)
【文献】特開2015-139527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0280740(US,A1)
【文献】中国実用新案第205338905(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
A61B 8/00 - 8/15
A61B 5/00 - 5/0538
A61B 5/06 - 5/398
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、前記ベース部の前方に位置する被検者に対面した状態でこのベース部に水平方向及びこれに垂直な方向にそれぞれ可動可能に支持され、かつ光学系を介して被検眼像を観察しつつ検査を行う測定ヘッドと、前記被検眼像及び操作ボタン像を少なくとも提示可能なタッチパネル式の表示面を有するモニタ部と、前記測定ヘッドの頂部に設けられて前記モニタ部が取り付けられた取付部とを有する検眼装置において、
前記取付部は、垂直軸回りに回動可能に前記測定ヘッドの頂部に取り付けられている支持アーム部材を有し
前記モニタ部の前記表示面に対して裏面には、このモニタ部の上下方向に沿って延在する部材が取り付けられ、
前記支持アーム部材の先端部は、前記上下方向に沿って延在する部材に嵌め込まれて、この部材の延在方向に沿って摺動可能に支持され、
前記支持アーム部材の先端部には、前記モニタ部が、この支持アーム部材に対して相対的に上下動自在に取り付けられている
ことを特徴とする検眼装置。
【請求項2】
前記支持アーム部材は、前記測定ヘッドの頂部に固定された固定部と、垂直軸回りに回動する垂直軸部及び水平軸回りに回動する水平軸部を介して前記測定ヘッドの頂部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の検眼装置。
【請求項3】
前記取付部は水平軸として機能する中空筒部とこの中空筒部を支持する支承板を有し、この中空筒部に対して回動可能に前記支持アーム部材が設けられ、前記中空筒部は前記支持アーム部材に軸方向の抜け止めリング部材により前記支承板に固定され、前記中空筒部の貫通穴を通じて前記モニタ部と前記測定ヘッドとが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の検眼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニタ部の位置の自由度の向上を図ることが可能な検眼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者に対面して上下左右前後方向に可動されかつ被検眼像を光学系を介して観察しつつ検査を行う測定ヘッドと、これを操作するジョイスティックを有しかつ被検者の被検眼像をモニタ部に表示する操作・表示ユニットとをケーブル接続することにより、測定ヘッドに対する操作・表示ユニットの配置の自由度を向上させた構成の検眼装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、操作・表示ユニットとしてのコントローラ装置の本体部に対してモニタ部を回動可能の構成とした検眼装置も知られている。モニタ部の表示面にはタッチパネルが設けられ、表示面には、操作ボタンを示す像と各種の画像・文字情報の像とが表示される。
【0004】
表示面は、モニタ部の水平軸回りの回動により、検者に対面する側と被検者に対面する側とに向けられ、検者に対面する側に向けられたときと被検者に対面する側とに向けられたときとで、その表示面に表示されている像が上下左右に反転され、かつ、回転前のボタンの位置と回転後のボタンの位置とが見た目上同じとなるような位置に制御回路により制御される(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、使用者が自身の姿勢に合うようにモニタ部を容易に移動させることができる超音波診断装置のモニタ支持装置も知られている(例えば、特許文献3参照)。更に、測定ヘッドの後部側にモニタ部を略垂直状態から水平状態まで傾斜可能に保持する保持手段を設ける眼科装置も知られている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3676053号公報
【文献】特開2007-68583号公報
【文献】特開2007-37981号公報
【文献】特許第4587741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された眼科装置は、測定ヘッドとこれを操作する操作・表示ユニットとが別体の構成であるので、測定ヘッドに対するモニタ部の配置の自由度は向上するものの、別々に持ち運ばなければならず、不便である。また、省スペース化を図り難く、被験者がいる側から操作するのも不便である。
【0008】
例えば、被検者によっては、開瞼状態の悪い人がおり、このような被検者に対しては、検者が、被検者に寄り添って開瞼の手伝いを行っているが、被検者のいる側からはモニタ部の表示面は見えず、測定効率の低下等を招いている。
【0009】
そこで、特許文献2に開示された技術を用いて、モニタ部と測定ヘッドとの一体化を図り、被検者に対面する側と検者に対面する側とにモニタ部の表示面を向けることのできる構成とすることが考えられる。
【0010】
このような構成とすると、検者に対面する側と被検者に対面する側とに表示面を向けることができて、持ち運びが便利であり、かつ、省スペース化を図ることもできるが、測定ヘッドに対するモニタ部の位置が制限され、測定ヘッドとモニタ部とが別体であることによる自由度が減少する。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、測定ヘッドとこれを操作するモニタ部との一体化を図った場合でも、位置変更作業の効率化を図りつつ、測定ヘッドに対するモニタ部の位置の自由度の向上を図ることができる検眼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の検眼装置は、ベース部と、ベース部の前方に位置する被検者に対面した状態でこのベース部に水平方向及びこれに垂直な方向にそれぞれ可動可能に支持され、かつ光学系を介して被検眼像を観察しつつ検査を行う測定ヘッドと、被検眼像及び操作ボタン像を少なくとも提示可能なタッチパネル式の表示面を有するモニタ部と、測定ヘッドの頂部に設けられてモニタ部が取り付けられた取付部とを有する検眼装置において、取付部は、垂直軸回りに回動可能に測定ヘッドの頂部に取り付けられている支持アーム部材を有しモニタ部の表示面に対して裏面には、このモニタ部の上下方向に沿って延在する部材が取り付けられ、支持アーム部材の先端部は、上下方向に沿って延在する部材に嵌め込まれて、この部材の延在方向に沿って摺動可能に支持され、支持アーム部材の先端部には、モニタ部が、この支持アーム部材に対して相対的に上下動自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
ここで、支持アーム部材は、測定ヘッドの頂部に固定された固定部と、垂直軸回りに回動する垂直軸部及び水平軸回りに回動する水平軸部を介して測定ヘッドの頂部に取り付けられた構成とすることができる。
【0014】
また、取付部が水平軸として機能する中空筒部とこの中空筒部を支持する支承板を有し、この中空筒部に対して回動可能に支持アーム部材が設けられ、中空筒部は支持アーム部材に軸方向の抜け止めリング部材により支承板に固定され、中空筒部の貫通穴を通じてモニタ部と測定ヘッドとが電気的に接続されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成された本発明の検眼装置では、支持アーム部材が、垂直軸回りに回動可能に測定ヘッドの頂部に取り付けられる。モニタ部の表示面に対して裏面に、このモニタ部の上下方向に沿って延在する部材が取り付けられる。支持アーム部材の先端部は、上下方向に沿って延在する部材に嵌め込まれて、この部材の延在方向に沿って摺動可能に支持され、支持アーム部材の先端部に、モニタ部が、この支持アーム部材に対して相対的に上下動自在に取り付けられている。
【0016】
従って、支持アーム部材の水平軸回りの回動及びモニタ部の上下動により、測定ヘッドに対するモニタ部の位置の自由度を高めることができ、測定ヘッドとこれを操作するモニタ部との一体化を図った場合でも、位置変更作業の効率化を図りつつ、測定ヘッドに対するモニタ部の位置の自由度の向上を図ることができる。
【0017】
ここで、支持アーム部材は、測定ヘッドの頂部に固定された固定部と、垂直軸回りに回動する垂直軸部及び水平軸回りに回動する水平軸部を介して測定ヘッドの頂部に取り付けられているので、垂直軸部及び水平軸部の回動及びモニタ部の上下動により、位置変更作業の効率化をさらに図りつつ、測定ヘッドに対するモニタ部の位置の自由度の向上をさらに図ることができる。
【0018】
また、取付部が水平軸として機能する中空筒部とこの中空筒部を支持する支承板を有し、この中空筒部に対して回動可能に支持アーム部材が設けられ、中空筒部は支持アーム部材に軸方向の抜け止めリング部材により支承板に固定され、中空筒部の貫通穴を通じてモニタ部と測定ヘッドとが電気的に接続されているので、モニタ部の回動によってもモニタ部と測定ヘッドとの電気的接続を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一実施形態である検眼装置を示す正面図である。
図2】第一実施形態の検眼装置の側面図である。
図3】第一実施形態の検眼装置の背面図である。
図4図2のA方向矢視図である。
図5図4のB-B矢視断面図である。
図6図6(a)は本発明の第二実施形態である検眼装置を示す側面図、図6(b)は第二実施形態の検眼装置を示す正面図である。
図7図7(a)は第二実施形態の検眼装置を示す側面図、図7(b)は第二実施形態の検眼装置を示す正面図である。
図8図8(a)は第二実施形態の検眼装置を示す側面図、図8(b)は第二実施形態の検眼装置を示す背面図である。
図9図9(a)は第二実施形態の検眼装置を示す側面図、図9(b)は第二実施形態の検眼装置を示す背面図である。
図10図10(a)は第二実施形態の検眼装置を示す側面図、図10(b)は第二実施形態の検眼装置を示す背面図である。
図11】第二実施形態の検眼装置の取付部の概略構成を示す斜視図である。
図12】第二実施形態の検眼装置の取付部と回路基板との位置関係を示す一部分解斜視図である。
図13】第二実施形態の検眼装置の取付部のうち垂直筒部の取付構造の概略構成を示す部分断面図である。
図14】第二実施形態の検眼装置の取付部のうち中空筒部の取付構造の概略構成を示す断面図である。
図15】第二実施形態の検眼装置の取付部の概略構成を示す側面図である。
図16】第二実施形態の検眼装置の取付部と回路基板と表側カバー枠部材との位置関係を示す一部分解斜視図である。
図17】第二実施形態の検眼装置の取付部、回路基板、表側カバー及び下側カバー部材の取付状態の一例を示す一部分解斜視図である。
図18】第二実施形態の検眼装置の取付部、回路基板、表側カバー及び下側カバー部材の取付状態の他の例を示す一部分解斜視図である。
図19】第二実施形態の検眼装置の取付部、回路基板、表側カバー、下側カバー部材及び裏側カバー部材の取付状態の一例を示す一部分解斜視図である。
図20】第二実施形態の検眼装置の取付部、回路基板、表側カバー、下側カバー部材及び裏側カバー部材の取付状態の他の例を示す背面図である。
図21】第二実施形態の検眼装置の取付部とモニタ部との位置関係の一例を示す背面図である。
図22】第二実施形態の検眼装置の取付部とモニタ部との取付状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
図1図3は、それぞれ本発明の第一実施形態である検眼装置を示す正面図、側面図及び背面図である。
【0021】
なお、本明細書を通じて各図に記すようにX軸、Y軸及びZ軸を取り、図1における左右方向(X軸正方向が右方向、負方向が左方向)、前後方向(Y軸正方向が後方向、負方向が前方向)及び上下方向(Z軸正方向が上方向、Z軸負方向が下方向)を基準として明細書中の説明を行う。また、水平方向とはX-Y平面に沿った方向、垂直方向とはZ軸に沿った方向である。
【0022】
これら図において、本実施の形態である検眼装置1は、ベース部2と測定ヘッド3とを有する。ベース部2の前方には顎受け部4が設けられ、この顎受け部4の上部には、この顎受け部4と一体に形成された額当て5が設けられている。本実施の形態である検眼装置1の被検者は、検眼装置1の前方に設けられた椅子等に座った状態で検眼装置1と対峙し、顎受け部4に顎を置き、額当て5に額を当てた状態で検査を受ける。
【0023】
測定ヘッド3の内部には、図2に破線で示すように、公知の観察・撮影用の光学系6が設けられている。この光学系6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能である。
【0024】
ベース部2には、図2に破線で示すように、測定ヘッド3を駆動する公知の駆動機構・駆動回路8が設けられている。駆動機構・駆動回路8の駆動部には、例えば、図示を略すステッピングモータが用いられる。
【0025】
測定ヘッド3は、モニタ部10を操作することにより、駆動機構・駆動回路8によりベース部2に対して水平方向及びこれに垂直な垂直方向に駆動される。これにより、測定ヘッド3はベース部2に水平方向及びこれに垂直な垂直方向にそれぞれ可動可能に支持されている。
【0026】
測定ヘッド3の頂部9には、支持アーム部材40により支持されたモニタ部10が設けられている。モニタ部10は、被検眼像及び操作ボタン像を少なくとも提示可能なタッチパネル式の表示面25を有する。
【0027】
支持アーム部材40は、測定ヘッド3の頂部9に垂直軸回りに回動可能に取り付けられている。そして、支持アーム部材40の先端部には上述のモニタ部10が取り付けられている。
【0028】
モニタ部10の取付構造について、図4及び図5を参照して詳細に説明する。図4に詳細を示すように、モニタ部10の表示面25に対して裏面には、このモニタ部10の上下方向に沿って延在するレール部材41が取り付けられ、支持アーム部材40の先端部40aは、このレール部材41に嵌め込まれて(図5参照)、このレール部材41の延在方向に沿って摺動可能に支持されている。これにより、モニタ部10は、支持アーム部材40の先端部40aに、この支持アーム部材40に対して相対的に上下動自在に取り付けられている。
【0029】
このように構成された第一実施形態の検眼装置1では、支持アーム部材40が、垂直軸回りに回動可能に測定ヘッド3の頂部9に固定され、支持アーム部材40の先端部40aに、モニタ部10が、この支持アーム部材40に対して相対的に上下動自在に取り付けられている。
【0030】
従って、支持アーム部材40の水平軸回りの回動及びモニタ部10の上下動により、測定ヘッド3に対するモニタ部10の位置の自由度を高めることができ、測定ヘッド3とこれを操作するモニタ部10との一体化を図った場合でも、位置変更作業の効率化を図りつつ、測定ヘッド3に対するモニタ部10の位置の自由度の向上を図ることができる。
(第二実施形態)
【0031】
次に、図6図10は、それぞれ本発明の第二実施形態である検眼装置を示す正面図、側面図及び背面図である。
より詳細には、図6は検者が検眼装置を間に介して被検者に向かい合って検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、さらには、モニタ部の表示面が検者の側に向けられている状態を示す図である。また、図7は被検者と同じ側に検者が立って検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、さらには、モニタ部の表示面が被検者の側に向けられている状態を示す図である。また、図8は検眼装置の右側に検者が立った状態で検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、さらには、被検者から見てモニタ部の表示面が右側に向けられている状態を示す説明図である。さらに、図9は検眼装置の右側に検者が座った状態で検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、さらには被検者から見てモニタ部の表示画面が右側に向けられている状態を示す図である。そして、図10は検眼装置の左側に検者が座った状態で検査を行う場合のモニタ部の位置を説明するための図であり、さらには被検者から見てモニタ部の表示面が左側に向けられている状態を示す説明図である。
【0032】
なお、以下の説明において、第一実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0033】
本実施形態の検眼装置1において、測定ヘッド3の頂部9には、図6図10に示すように、モニタ部10が取り付けられた取付部11が設けられている。
【0034】
取付部11の概略構成について、図11等を参照して説明する。図11に拡大して示すように、取付部11は、図11において図略の測定ヘッド3の頂部9に固定された固定部Rを有する。この固定部Rは、板金製の垂直軸受け部材12と、板金製の水平軸受け部材13とから概略構成されている。
垂直軸受け部材12は、略平板状の台座部12aと、この台座部12aの左右両端部に設けられ、この台座部12aから左右にそれぞれ延出する一対の固定板部12bとから概略構成されている。
【0035】
固定板部12bは、ネジ等の図略の固定部材により、測定ヘッド3の頂部9に固定されている。台座部12aの略中央部には、長手方向が垂直方向に延在する垂直筒部14が、例えば溶着手段により溶着固定されている。
【0036】
水平軸受け部材13は、図11及び図12に示すように、水平板部13aと、この水平板部13aの左右両端部から図中上方に立ち上げられて形成された一対の支承板部13bとから構成されている。
【0037】
水平板部13aの略中央部には、図12に示すように、その中央に円形開口13cが形成されており、垂直筒部14はこの円形開口13cに挿入されている。
【0038】
図13に示すように、垂直筒部14の上端部には径の狭い段差部14aが形成されている。垂直筒部14の段差部14aには、水平軸受け部材13の水平板部13aを図中上下から挟むようにして円板状の摩擦リング板15が挿入されていると共に、この摩擦リング板15と水平板部13aとを挟むようにして、摩擦リング板15よりも小径の円板状の抜け止めリング部材15′が嵌め込まれている。
【0039】
これにより、水平板部13aは、垂直筒部14の段差部14aに支承され、さらに、抜け止めリング部材15′と摩擦リング板15により垂直軸方向に適宜の下方への圧力を受けつつ垂直筒部14の軸回り、より正確にはZ軸方向に沿った回転軸回りに適宜の力を受けて回動可能とされ、垂直軸(Z軸)回りの適宜の位置で停止状態を維持可能とされている。
【0040】
一対の支承板部13b、13bには、図11及び図12に示すように、支持アーム部材13dが取り付けられている。この支持アーム部材13dは、一対のアーム板部13e、13fと、これらアーム板部13e、13fの先端部に架け渡された取付けブラケット板部13gとを有する。
【0041】
図11及び図12において左上側に位置するアーム板部13eには水平軸支部13hが設けられている。一方、図11及び図12において右下側に位置するアーム板部13fには円形開口13jが形成されている。
【0042】
水平軸支部13hは一方の支承板部13b、すなわち図11及び図12において左上側に位置する支承板部13bに、水平軸回り、より正確にはX軸方向に沿った回転軸に沿って回動可能に支承されている。水平軸支部13hには公知のトルクヒンジ部材が用いられる。このトルクヒンジ部材により水平軸回りの回動力の調整を行うことができる。
【0043】
他方の支承板部13b、すなわち図11及び図12において右下部に位置する支承板部13bには、円形開口13jに対向する位置に、この円形開口13jと略同径の円形開口13kが形成されている。そして、これら円形開口13j、13kには、図11図13に示すように中空筒部19が挿通されている。この中空筒部19は他方の支承板部13bに固定されている。
【0044】
これにより、支持アーム部材13dはこの中空筒部19と水平軸支部13hとにより水平軸回り、より正確にはX軸方向に沿った回転軸に沿って回動可能とされている。従って、これら中空筒部19及び水平軸支部13hにより、本実施形態の水平軸部Hが構成されている。一方、支持アーム部材13dは、これを支持する水平軸受け部材13が垂直筒部14、摩擦リング板15及び抜け止めリング部材15′により垂直軸回り、より正確にはZ軸方向に沿った回転軸に沿って回動可能とされている。従って、これら垂直筒部14、摩擦リング板15及び抜け止めリング部材15′により、本実施形態の垂直軸部Vが構成されている。
【0045】
中空筒部19には、図14に示すようにその軸方向(長手方向)に間隔を開けて一対の環状溝20、20が形成されている。これら環状溝20、20には、軸方向の抜け止めリング部材としてのC形止め輪21、21がそれぞれ装着されている。これにより、中空筒部19は支承板部13bに対する軸方向の抜け止めが図られている。
【0046】
中空筒部19には、図14に示すように、樹脂製の軸受けフランジ部材22が貫挿されている。支持アーム部材13dは、この軸受けフランジ部材22に適宜の力を受けて回動可能に摺接されている。
【0047】
なお、図14において、符号13f′はアーム板部13fに屈曲形成された屈曲板部であり、円形開口13jはこの屈曲板部13f′に形成され、アーム板部13fはこの屈曲板部13f′を介して中空筒部19に回動可能に支承されている。
【0048】
中空筒部19を回動可能に支承する支承板部13bには、図11及び図15に拡大して示すように、水平軸回り方向、より正確には支承板部13bの周方向に間隔を開けて一対の突起部13m、13mが形成されている。図15に示すように、これら突起部13m、13mの間にC形止め輪21の開放端部21a、21aが配置されている。
【0049】
中空筒部19は、突起部13m、13mの間にC形止め輪21の開放端部21a、21aが配置されることにより、中空筒部19の水平軸回り方向の回転が阻止され、中空筒部19の耐久性の向上が図られている。
【0050】
図11に示すように、中空筒部19の貫通穴19a及び垂直筒部14の貫通穴14bを通じて、モニタ部10と測定ヘッド3とを電気的に接続するリード線16bが引き出されている。これにより、モニタ部10の回動操作に伴うリード線16bのねじれが防止される。
【0051】
上述したように、取付けブラケット板部13gは、図11図12及び図14に示すように、一対のアーム板部13e、13fの先端部に跨って配置されている。取付けブラケット板部13gには、図12図16などに示すように、この取付けブラケット板部13gの面と略平行に支持板29が取り付けられており、さらに、この支持板29から所定の距離を置いて、かつ、この支持板29と略平行となるように回路基板23が配設されている。支持板29及び回路基板23等の位置関係については後に詳述する。
【0052】
回路基板23の裏側には制御回路ユニット24が配設され、その表側(図16において奥側、Y軸正方向)には、図6(b)、図7(b)、図8(a)、図9(a)、図10(a)に示す表示面25を有する液晶ディスプレイ25j(図21参照)が回路基板23と略並行に配設されている。
【0053】
図15に最もよく示すように、取付けブラケット板部13gと一対のアーム板部13e、13fの為す角度は鈍角である。より正確には、取付けブラケット板部13gの面(図16において右面)の法線と水平軸部Hの回転軸(X軸)を通る垂直面(X-Z平面)との為す角度が鈍角となるように、取付けブラケット板部13g及びアーム板部13e、13fの形状が定められている。
【0054】
そして、モニタ部10を構成する液晶ディスプレイ25jの表示面25は取付けブラケット板部13gの(右)面と略並行であるので、結果的にモニタ部10と支持アーム部材13dとの為す角度が鈍角となる。これにより、モニタ部10の検者に対面する側から被検者に対面する側への位置変更作業を支障なく行うことができる。
【0055】
アーム板部13eと支承板部13bとには、図11に示すように、モニタ部10(一対のアーム板部13e、13f)の水平軸回りの回動を検出する検出センサー25a、25bが設けられている。これら検出センサー25a、25bは、例えば、モニタ部10の表示面25が水平状態のときにオンし、水平状態から所定角度を超えたときに、オフする構成とされている。
【0056】
制御回路ユニット24は、その検出センサー25a、25bと協働して、モニタ部10が水平軸回りに回動されて、その表示面25が逆さまになる前と逆さまになったときとで、被検眼像と操作ボタン像との見た目上の位置が同じ位置となるように、かつ、表示面25に表示される画像情報が上下左右反転するように制御する。
【0057】
制御回路ユニット24は、例えば、その検出センサー25a、25bによる出力信号の立ち上がりと立ち下がりを検出すると、その表示面25による画像情報が上下左右反転するように制御する。表示面25に表示される操作ボタン像、被検眼像の詳細については後述する。
【0058】
回路基板23の表側(図16において奥側、Y軸正方向)には、図16図18に示すように、表側カバー枠部材26がネジ等の図略の固定部材により取り付けられている。これにより、回路基板23の周辺部が化粧される。なお、図16は表側カバー枠部材26の取付け前の状態を示している。
また、支持アーム部材13dの取付けブラケット板部13gには、図17及び図18に示すように、その裏側かつ下側を被覆する下側カバー部材27が設けられている。
【0059】
下側カバー部材27は、下部カバー部27aと取付けアーム部27bと背面被覆部27cとを有する。下側カバー部材27は、取付けブラケット板部13gに取付けアーム部27bにネジ等の図略の固定手段により取り付けられている。なお、図17は下側カバー部材27の取付け直前の状態を示し、図18は下側カバー部材27の取付け後の状態を示している。
【0060】
回路基板23の裏側には、図19及び図20に示すように、その回路基板23の裏側を被覆する裏側カバー部材28がネジ等の図略の固定部材により取り付けられている。
【0061】
裏側カバー部材28は取付部11を被覆する被覆部28aを有する。これにより、回路基板23の裏側と取付部11の側面部とが化粧される。
【0062】
なお、図19は裏側カバー部材28を回路基板23に取り付ける前の状態を示し、図20は裏側カバー部材28をその回路基板23に取り付け後の状態を示している。
【0063】
図19及び図20に示すように、裏側カバー部材28は、被覆部28aと一体化された裏側カバー部材本体28bと、この裏側カバー部材本体28bの左右両側に設けられた一対の裏側カバー部材側部28c、28cとに分割して形成されている。
【0064】
図21に詳細を示すように、裏側カバー部材本体28bは、図略の固定手段により支持板29(及び図略の取付けブラケット板部13g)と一体化され、一方、裏側カバー部材側部28c、28cは、その端部が表側カバー枠部材26に嵌め合わされて一体化されている。上述したように、表側カバー枠部材26は回路基板23の表側に固定部材により取り付けられており、従って、裏側カバー部材側部28c、28cは表側カバー枠部材26及び回路基板23等と一体化されている。
【0065】
図21の拡大図に示すように、裏側カバー部材側部28c、28cの裏側カバー部材本体28bとの端部近傍の裏面(支持板29側の内面)には、図17の紙面に直交する方向に延在するガイド部材32が設けられている。ガイド部材32にはその長手方向(つまり図17の紙面に直交する方向)に沿って溝32aが形成され、一方、裏側カバー部材本体28bには、その裏面(支持板29側の内面)に、この溝32aに係合する爪部28dが形成されている。これにより、図21に示すように、裏側カバー部材側部28c、28cが、裏側カバー部材本体28bに対して図21において上下動可能に取り付けられている。これにより、支持アーム部材13dの先端部には、モニタ部10が、この支持アーム部材13dに対して相対的に上下動可能に取り付けられていることになる。
【0066】
このように構成された本実施形態の検眼装置1では、支持アーム部材13dが測定ヘッド3の頂部9に固定された固定部Rと、垂直軸回りに可動する垂直軸部V及び水平軸回りに回動する水平軸部Hを介して測定ヘッド3の頂部に取り付けられ、支持アーム部材13dの先端部に、モニタ部10が、この支持アーム部材13dに対して相対的に上下動自在に取り付けられている。
【0067】
従って、垂直軸部V及び水平軸部Hの回動及びモニタ部10の上下動により、測定ヘッド3に対するモニタ部10の位置の自由度を高めることができ、測定ヘッド3とこれを操作するモニタ部10との一体化を図った場合でも、位置変更作業の効率化を図りつつ、測定ヘッド3に対するモニタ部10の位置の自由度の向上を図ることができる。
【0068】
一例として、被検者から見て測定ヘッド3の右側にモニタ部10の表示面25を向けた場合、測定ヘッド3の左側にモニタ部10の表示面25を向けた場合には、図8図9に一例として示すように、検者が立った状態で測定作業、座った状態で測定作業を行うことができるので便利である。
【0069】
ここで、モニタ部10と支持アーム部材13dとの為す角度が鈍角であるので、モニタ部10の表示面25が検者に対面する側から被検者に対面する側への位置変更作業を支障なく行うことができ、位置変更作業の効率化をさらに図りつつ、測定ヘッド3に対するモニタ部10の位置の自由度の向上をさらに図ることができる。
【0070】
また、取付部11が水平軸として機能する中空筒部19とこの中空筒部19を支持する支承板部13bを有し、この中空筒部19に対して回動可能に支持アーム部材13dが設けられ、中空筒部19は支持アーム部材13dに軸方向の抜け止めリング部材であるC形止め輪21により支承板部13bに固定され、中空筒部19の貫通穴19aを通じてモニタ部10と測定ヘッド3とが電気的に接続されているので、モニタ部10の回動によってもモニタ部10と測定ヘッド3との電気的接続を確実にすることができる。
【0071】
ここで、取付部11の支持アーム部材13dの基部から先端までの長さをより一層長くすれば、図6図9図10に一例として示すように、検者が座って操作する場合に、モニタ部10の表示面25をより一層検者に近づけることができるので、タッチパネルの操作に便利である。
【0072】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0073】
一例として、モニタ部10の表示面25が被検者に対面する側に向けられて、被検者が顎受けに顔を固定する前等に、図7(b)に示すように、「固視標を見てください。」等のガイドメッセージを表示面25に表示させる構成としても良い。
【0074】
また、上述の実施の形態である検眼装置1では、モニタ部10が水平軸回りに回動されて表示面25が逆さまになる前と逆さまになったときとで被検眼像と操作ボタン像との見た目上の位置が同じ位置となるようにかつ表示面25に表示される画像情報が上下左右反転するように制御されていたが、かかる構成を省略した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 検眼装置
2 ベース部
3 測定ヘッド
9 頂部
10 モニタ部
11 取付部
13b 支承板部
13d、40 支持アーム部材
14 垂直筒部
15 摩擦リング板
15′ 抜け止めリング部材
19 中空筒部
19a 貫通穴
25 表示面
28 裏側カバー部材
28b 裏側カバー部材本体
28c 裏側カバー部材側部
29 支持板
41 レール部材
H 水平軸部
R 固定部
V 垂直軸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図18
図19
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図22