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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ベルトサンダ
(51)【国際特許分類】
   B24B 23/06 20060101AFI20220224BHJP
   B24B 21/18 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
B24B23/06
B24B21/18 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017203826
(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公開番号】P2019076970
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】ピッサン ペッシー
(72)【発明者】
【氏名】ウィラワン アートウィシァン
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/022362(WO,A1)
【文献】特開2008-207295(JP,A)
【文献】特開2015-116650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 23/06
B24B 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを制御するコントローラと、
前記モータ及び前記コントローラを収容するハウジングと、
前記モータによって回転し、回転軸が左右方向に支持される前後2つのローラと、を含み、前記2つのローラ間に張設されるサンディングベルトの下面によって研磨面が規定されるベルトサンダであって、
前記モータは、前記ハウジング内で出力軸が前記研磨面と平行となる姿勢で配置されて、前記出力軸の一端部にはファンが設けられ、
前記コントローラは、最短辺を有する第1の面と、前記第1の面と直角となる平面とを含む外形を呈して、前記出力軸の軸方向で、前記ファンと、前記出力軸の他端部との間で且つ前記サンディングベルトの上面によって規定される前後左右方向の平面より上方となる領域に、全体が位置すると共に、前記平面が前記軸方向と平行となるように配置されて、
前記ファンの回転により生じる冷却風によって前記コントローラが冷却可能であることを特徴とするベルトサンダ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前方へ突出する前グリップを含み、前記コントローラは、前記前グリップの下方で前記ハウジング内に収容されていることを特徴とする請求項1に記載のベルトサンダ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記最短辺方向で前記モータとオーバーラップしない位置に配置されて、前記平面が前記研磨面を向いた姿勢で保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベルトサンダ。
【請求項4】
前記ハウジング内で前記モータを収容するモータ収容部と前記コントローラを収容するコントローラ収容部とを連通させて、前記ファンによって前記モータ収容部に冷却風を通過させて前記モータを冷却すると共に、前記モータ収容部内に負圧を発生させて、前記コントローラ収容部に、前記ハウジング外部から吸い込んだ冷却風を通過させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のベルトサンダ。
【請求項5】
前記ファンによる冷却風を生じさせる吸気口を少なくとも三箇所備え、このうち少なくとも一箇所が前記コントローラの冷却用、少なくとも二箇所が前記モータの冷却用であって、前記モータ冷却用の二箇所の前記吸気口は、前記ハウジングの互いに異なる面に設けられて互いに異なる方向から吸気可能であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のベルトサンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの下部に、モータから回転伝達される駆動ローラと、駆動ローラと平行な従動ローラとを前後に配置して、両ローラに跨がって無端状のサンディングベルトを張設したベルトサンダに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトサンダは、ハウジングの下部に、モータから回転伝達される駆動ローラと、駆動ローラと平行な従動ローラとを前後に配置して、両ローラに跨がって無端状のサンディングベルトを張設してなる。ハウジング内には、スイッチの操作によってモータの駆動を制御するコントローラが配置されている(例えば特許文献1参照)。
一方、電動工具においては、コントローラの温度上昇を抑制するために、モータの出力軸に設けたファンの回転による冷却風によってコントローラを冷却することがよく行われている。例えば特許文献2には、ハウジング内に、出力軸の端部にファンを有するモータを収容すると共に、ファンに隣接してコントローラを配置して、ファンの回転に伴って、モータ側から吸い込んだ空気でモータを冷却する一方、コントローラ側から吸い込んだ空気でコントローラを冷却するようにした構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-167678号公報
【文献】米国特許第9505119号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ベルトサンダのハウジング内に特許文献2のような冷却構造を採用すると、モータの出力軸の軸方向にモータとファンとコントローラとが並ぶことになり、ハウジングがモータの軸方向に大型化してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ファンによるコントローラの冷却を可能としつつ、モータの出力軸の軸方向でのコンパクト化が達成できるベルトサンダを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、モータと、モータを制御するコントローラと、モータ及びコントローラを収容するハウジングと、モータによって回転し、回転軸が左右方向に支持される前後2つのローラと、を含み、2つのローラ間に張設されるサンディングベルトの下面によって研磨面が規定されるベルトサンダであって、
モータは、ハウジング内で出力軸が研磨面と平行となる姿勢で配置されて、出力軸の一端部にはファンが設けられ、コントローラは、最短辺を有する第1の面と、第1の面と直角となる平面とを含む外形を呈して、出力軸の軸方向で、ファンと、出力軸の他端部との間で且つサンディングベルトの上面によって規定される前後左右方向の平面より上方となる領域に、全体が位置すると共に、平面が軸方向と平行となるように配置されて、ファンの回転により生じる冷却風によってコントローラが冷却可能であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、ハウジングは、前方へ突出する前グリップを含み、コントローラは、前グリップの下方でハウジング内に収容されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、コントローラは、最短辺方向でモータとオーバーラップしない位置に配置されて、当該平面が研磨面を向いた姿勢で保持されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、ハウジング内でモータを収容するモータ収容部とコントローラを収容するコントローラ収容部とを連通させて、ファンによってモータ収容部に冷却風を通過させてモータを冷却すると共に、モータ収容部内に負圧を発生させて、コントローラ収容部に、ハウジング外部から吸い込んだ冷却風を通過させることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、ファンによる冷却風を生じさせる吸気口を少なくとも三箇所備え、このうち少なくとも一箇所がコントローラの冷却用、少なくとも二箇所がモータの冷却用であって、モータ冷却用の二箇所の吸気口は、ハウジングの互いに異なる面に設けられて互いに異なる方向から吸気可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、コントローラを、モータの出力軸の軸方向で、ファンと、出力軸の他端部との間の領域に位置するように配置して、ファンの回転により生じる冷却風によってコントローラを冷却可能としたことで、ファンによるコントローラの冷却を可能としつつ、出力軸の軸方向でのハウジングのコンパクト化が達成できる。
特に、コントローラを、最短辺を有する第1の面と、第1の面と直角となる平面とを含む外形を呈するものとして、当該平面が出力軸の軸方向と平行となるように配置したことで、出力軸の径方向にコンパクトとなる上、モータとコントローラとの互いの冷却風を平行に流すことができるので、風速のロスが低減される。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、コントローラを、最短辺方向でモータとオーバーラップしない位置に配置して、当該平面が研磨面を向いた姿勢で保持しているので、全体の上下方向の寸法がコンパクトとなる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、モータ収容部内に負圧を発生させて、コントローラ収容部にハウジング外部から吸い込んだ冷却風を通過させているので、ベンチュリー効果により、コントローラをハウジング外部から吸い込んだ新鮮な空気によって効果的に冷却することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、ファンによる冷却風を生じさせる吸気口を少なくとも三箇所備え、モータ冷却用の二箇所の吸気口を、ハウジングの互いに異なる面に設けられて互いに異なる方向から吸気可能としているので、モータ冷却用の冷却風の取り入れがスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ベルトサンダの後方左側からの斜視図である。
図2】ベルトサンダの前方右側からの斜視図である。
図3】(A)ベルトサンダの左側面、(B)は背面をそれぞれ示す。
図4】ベルトサンダの底面図である。
図5】ベルトサンダの中央縦断面図である。
図6図5のA-A線断面図である。
図7】側面カバーを省略して集塵経路を示す説明図である。
図8図5のB-B線断面図である。
図9図6のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~4は、ベルトサンダの一例を示す外観図、図5は中央縦断面図である。
このベルトサンダ1は、ブラシレスモータ3を収容した本体部2の下部に、前後方向に延びるベルト駆動部4を備えている。本体部2の後部には、後方に向けてグリップ5が形成されて、グリップ5の後端とベルト駆動部4の後端とは、上下方向に繋がって、電源となるバッテリーパック7を装着可能なバッテリー装着部6を形成している。本体部2の前部には、グリップ5の延長線上で前方へ突出する前グリップ8が形成されて、本体部2の左側部には、平面視でベルト駆動部4よりも左側へ突出する駆動伝達部9が設けられている。
【0010】
ベルトサンダ1のハウジングは、本体ハウジング10と、横ハウジング12と、側面カバー13とからなる。本体ハウジング10は、本体部2及びベルト駆動部4、グリップ5、バッテリー装着部6、前グリップ8を含む形状となる左右一対の半割ハウジング11A,11Bをネジ止めすることで形成されている。左側の半割ハウジング11Aの左側面に、駆動伝達部9を収容する横ハウジング12及び側面カバー13がネジ止めされている。
【0011】
ブラシレスモータ3は、図5,6に示すように、筒状のステータ15と、ステータ15を貫通するロータ16とを有するインナロータ型で、ロータ16の出力軸17を左右方向に向けて本体部2内に収容されている。ステータ15は、複数のコイル19,19・・が巻回されるステータコア18を有し、左側の半割ハウジング11A内に形成された筒状リブ20によって保持されて、左側端面には、ロータ16のロータコア21に設けた永久磁石22,22・・の位置を検出する回転検出素子を備えたセンサ回路基板23が取り付けられている。
ロータ16は、永久磁石22,22・・を内設したロータコア21の軸心に出力軸17を備え、出力軸17の左端部は、左側の半割ハウジング11Aに形成されて横ハウジング12内に突出する軸受部24に、軸受25を介して軸支される。出力軸17の右端部は、右側の半割ハウジング11Bに形成された軸受部26に、軸受27を介して軸支される。出力軸17におけるロータコア21と軸受27との間には、遠心ファン28が設けられている。
【0012】
また、右側の半割ハウジング11Bには、筒状リブ20に外側から嵌合する受けリブ29,29が、筒状リブ20と同軸の円周方向で断続的に形成されて、受けリブ29には、遠心ファン28の羽根に沿って右側へ行くに従って拡開し、中央に出力軸17が貫通する透孔31を備えた円盤状のバッフル部30が一体形成されている。また、半割ハウジング11Bの側面で遠心ファン28の外周に沿った位置には、図2に示すように、複数の排気口32,32・・が形成されている。
こうして本体部2内には、筒状リブ20及び受けリブ29、左右の軸受部24,26とで囲まれるモータ収容部33が形成される。
【0013】
出力軸17の左端部は、軸受部24を貫通して横ハウジング12内に突出しており、軸受部24の左側で出力軸17の突出端には、左側にプーリ部36を有し、右側に放射状の羽根37,37・・を備えた集塵用ファン35が一体に固着されている。
また、横ハウジング12内で軸受部24には、集塵用ファン35の羽根37側に対向して左側が開口し、集塵用ファン35の外周に沿って渦巻き状に旋回する集塵路39を形成した皿状のスクロールプレート38が設けられて、集塵路39の終端に当たる横ハウジング12の後面上部には、図3に示すように、集塵路39と連通する排出筒40が後ろ向きに突設されている。さらに、スクロールプレート38よりも右側(ステータ15側)で横ハウジング12の前面及び後面、下面には、図1~4及び図9等に示すように、それぞれ複数の前吸気口41,41・・、後吸気口42,42、下吸気口43,43が形成されている。
【0014】
駆動伝達部9において、出力軸17の後方下側には、中間シャフト45が、横ハウジング12に設けた軸受46と、左側の半割ハウジング11Aの左側面に設けた軸受47とによって、出力軸17と平行に軸支されている。中間シャフト45は、左端部を横ハウジング12から側面カバー13内へ突出させており、側面カバー13内で当該左端部には、集塵用ファン35のプーリ部36よりも大径のプーリ48が一体に結合されて、プーリ部36とプーリ48との間には、無端状のシンクロベルト49が張設されている。中間シャフト45における軸受46,47の間には、ギヤ50が形成されている。
【0015】
一方、本体ハウジング10内では、本体部2とベルト駆動部4との間を仕切る前後方向の仕切板55が形成され、本体部2におけるブラシレスモータ3の前方下側には、仕切板55上でベルト駆動部4の前端に合わせて前方へ突出する平面視四角形状の突出部56が形成されている。この突出部56から筒状リブ20の前方空間に跨がって、コントローラ収容部57が形成されて、このコントローラ収容部57内にコントローラ58が収容されている。
コントローラ58は、コンデンサ60や、センサ回路基板23で検知されたロータ16の回転位置情報に基づいて制御信号を送信するマイコンからなる制御回路、この制御回路から受信した制御信号に基づいてブラシレスモータ3の電流をスイッチングするFETからなる駆動回路、及びバッテリの状態の検出結果に応じて過放電又は過電流状態とならないようにブラシレスモータ3への電力供給を遮断するオートストップ回路等を搭載した平面視四角形状の制御回路基板59を、同形皿状のケース61に収容してなる。そして、ケース61の前端が、仕切板55の前端に凹設された前受け部62に支持され、後端が、筒状リブ20の前側で半割ハウジング11A,11Bの内面に突設された後受けリブ63に支持されることで、コントローラ58は、コントローラ収容部57内で、前後方向で且つ後端が前端よりもやや上方となる前下がり傾斜姿勢で支持されている。このときコントローラ58の後端は、コンデンサ60と共に筒状リブ20の前側に位置して、上下方向でブラシレスモータ3とオーバーラップしないようになっている。
【0016】
こうして支持されるコントローラ58は、右側の遠心ファン28と、出力軸17の左端部との間の領域内にあって、モータ収容部33よりも左右には突出しないようになっている。
また、コントローラ58は、ケース61の上下方向(高さ方向)が最短辺となる第1の面としての側面61aと、側面61aと直角となる平面としての下面61bとを含み、下面61bが出力軸17と平行となる左右方向に配置されている。この配置により、コントローラ収容部57が上下方向にコンパクトとなっている。ケース61の下面61bは、やや傾いた姿勢で下向きとなり、後述するサンディングベルト74による研磨面74aに対向している。
【0017】
さらに、コントローラ収容部57内でコントローラ58の上下には、突出部56の内面と仕切板55の上面との間でそれぞれ隙間が形成されている。なお、ケース61の下面61bには、互いに交差する複数の溝によって凹凸部64が形成されている。
そして、制御回路基板59の前端には、バッテリーパック7の残容量やブラシレスモータ3の回転数等を表示する表示部及び透明な導光部65が設けられて、導光部65は、突出部56の前側上面に設けた窓66を介して外部へ露出している。
【0018】
本体部2内でコントローラ収容部57は、ブラシレスモータ3のステータ15を保持する筒状リブ20によってモータ収容部33と区画されるが、コントローラ収容部57の右側は、筒状リブ20とバッフル部30との間を介して遠心ファン28と連通している。また、突出部56の左側面には、図7,8に示すように、コントローラ収容部57と連通する側面吸気口67,67が形成されている。
よって、ここには、遠心ファン28の回転により、側面吸気口67,67から吸い込まれた空気がコントローラ収容部57内でコントローラ58の上側及び下側を通過して左から右へ流れた後、筒状リブ20とバッフル部30との間から透孔31を通って遠心ファン28に至り、排気口32,32・・から排出されるコントローラ冷却流路68(図8)が形成されることになる。
【0019】
ベルト駆動部4は、後側の駆動ローラ70と、前側の従動ローラ71と、両ローラ70,71の間で両ローラ70,71を支持する支持枠72とを有し、支持枠72の底面に、駆動ローラ70と従動ローラ71との間に張設されるサンディングベルト74を被研磨材側へ押圧するプレート73が設けられている。
駆動ローラ70は、軸心に設けた回転軸としての後ローラ軸75の右端部が支持枠72に軸支され、左端部は、半割ハウジング11Aに保持された軸受76に軸支されて横ハウジング12内に突出し、その突出端に設けたギヤ77が、中間シャフト45のギヤ50と噛合している。
よって、出力軸17の回転に伴ってプーリ部36が一体回転すると、シンクロベルト49及びプーリ48を介して中間シャフト45が回転し、その回転がギヤ50,77を介して後ローラ軸75に伝わることで、駆動ローラ70は、図5に示す矢印a方向へ回転する。
【0020】
従動ローラ71は、軸心の回転軸としての前ローラ軸78が、平面視がコ字状の支持板79によって軸支されている。支持板79は、後部に設けた支持バー80を支持枠72に挿入させて、前後移動可能に支持されており、支持枠72に設けた操作レバー81(図2)の操作により、支持板79を前進位置へ付勢する状態と、支持板79を前後フリーとする状態とに切替可能となっている。すなわち、支持板79と共に従動ローラ71を前後フリー状態とすると、駆動ローラ70との間でサンディングベルト74の着脱が可能となり、サンディングベルト74を装着した状態で支持板79と共に従動ローラ71を前進位置へ付勢すると、サンディングベルト74が両ローラ70,71間に張設される。本体ハウジング10の左側面には、サンディングベルト74の左右方向の横ずれを規制する調整つまみ82が設けられている。
【0021】
また、駆動ローラ70の下方には、左右方向に集塵口83が開口しており、本体ハウジング10内には、集塵口83と連通して駆動ローラ70の後方から仕切板55の上側に回り込んだ後、左側へ移動して、スクロールプレート38の集塵路39の始端と連通する案内路84が形成されている。
【0022】
一方、グリップ5内には、プランジャ86を下向きに突出させたスイッチ85と、プランジャ86を押し込み操作可能なスイッチレバー87とが設けられている。
バッテリー装着部6は、上方からバッテリーパック7を差し込み装着可能で、バッテリー装着部6内には、装着されたバッテリーパック7と電気的に接続する端子台88が設けられている。スイッチ85や端子台88から引き出されるリード線は、グリップ5から本体部2内でモータ収容部33の上側を通ってコントローラ58の制御回路基板59に配線される。センサ回路基板23から引き出される電源線や信号線も制御回路基板59に配線される。前グリップ8内には、右側面側へ露出する回転数調整ダイヤル89が設けられて、この回転数調整ダイヤル89を搭載する基板からのリード線も本体部2内を通って制御回路基板59に配線される。
【0023】
また、バッテリー装着部6に装着した状態でのバッテリーパック7は、本体部2の上面より上方には突出せず、ここではバッテリーパック7の上面と本体部2の上面とが、前後左右方向で規定される同一平面上に位置するようになっている。さらに、前グリップ8の上面には、上端が当該同一平面上に位置する球面状突起8aが突設されている。よって、平坦な面上にベルトサンダ1を裏返して載置した際には、本体部2の上面とバッテリーパック7の上面と球面状突起8aとが載置面に当接して、ベルトサンダ1を裏返し姿勢で支持可能となっている。
【0024】
以上の如く構成されたベルトサンダ1においては、スイッチレバー87を押し込み操作してスイッチ85をONさせると、ブラシレスモータ3が駆動して出力軸17が回転する。すなわち、制御回路基板59のマイコンが、センサ回路基板23の回転検出素子から、ロータコア21の永久磁石22の検出信号を得ることでロータ16の回転状態を取得し、取得した回転状態に応じて、各スイッチング素子のON/OFFを制御し、ステータ15の各コイル19に対し順番に電流を流すことでロータ16を回転させるものである。
こうして出力軸17が回転すると、前述のように駆動伝達部9では、集塵用ファン35のプーリ部36からシンクロベルト49及びプーリ48を介して中間シャフト45に回転が伝わり、中間シャフト45からギヤ50,77を介して駆動ローラ70に回転が伝わるため、駆動ローラ70が回転して従動ローラ71との間でサンディングベルト74が回転する。よって、プレート73によってサンディングベルト74が押し付けられる研磨面74aによって被研磨材の研磨が可能となる。
【0025】
また、出力軸17の回転に伴う集塵用ファン35の羽根37,37・・の回転により、案内路84及びスクロールプレート38の集塵路39を介して集塵用ファン35と連通する集塵口83には吸引力が発生するため、研磨によって発生した粉塵は、集塵口83から吸い込まれ、図7に矢印で示すように案内路84を通って集塵路39に至る。そして、集塵路39を周回して排出筒40から排出される。排出筒40に、図示しないダストバッグや集塵機に繋がるホースを接続しておけば、粉塵を飛散させることなく回収できる。
【0026】
同時に、出力軸17の回転に伴う遠心ファン28の回転により、本体部2内では、図9に矢印で示すように、横ハウジング12の前吸気口41、後吸気口42、下吸気口43を介して三方向からそれぞれ外気が吸い込まれる。そして、図6の矢印(ここでは前吸気口41のみを示す)に示すように、冷却風は、筒状リブ20内でブラシレスモータ3のステータ15とロータ16との間を通過してブラシレスモータ3を冷却した後、透孔31からバッフル部30に導かれて遠心ファン28の外側の排気口32,32・・から排出される。
この空気流が開口面積の狭い透孔31を通過する際、流速が増加して圧力が低下し、バッフル部30の手前で負圧となるため、モータ収容部33と連通するコントローラ収容部57では、ベンチュリー効果によって側面吸気口67から新鮮な外気が吸い込まれる。そして、図8に矢印で示すように、冷却風は、コントローラ冷却流路68を通ってコントローラ58の上下を通過して制御回路基板59及びケース61を冷却した後、透孔31からバッフル部30に導かれて排気口32,32・・から排出される。
【0027】
このように、上記形態のベルトサンダ1によれば、ブラシレスモータ3を、本体部2の本体ハウジング10内で出力軸17が研磨面74aと平行となる姿勢で配置して、出力軸17の一端部には遠心ファン28を設け、コントローラ58を、出力軸17の軸方向で、遠心ファン28と、出力軸17の他端部との間の領域に位置するように配置して、遠心ファン28の回転により生じる冷却風によってコントローラ58を冷却可能としたことで、遠心ファン28によるコントローラ58の冷却を可能としつつ、出力軸17の軸方向での本体ハウジング10及び横ハウジング12のコンパクト化が達成できる。
【0028】
特にここでは、コントローラ58を、最短辺を有する側面61aと、側面61aと直角な平面となる下面61bとを含む外形を呈するものとして、下面61bが出力軸17の軸方向と平行となるように配置しているので、本体部2が出力軸17の径方向(特に上下方向)にコンパクトとなる。加えて、ブラシレスモータ3とコントローラ58との互いの冷却風を平行に流すことができるので、風速のロスが低減される。
また、コントローラ58を、最短辺方向でブラシレスモータ3とオーバーラップしない位置に配置して、下面61bが研磨面74aを向いた姿勢で保持しているので、本体部2全体の上下方向の寸法がコンパクトとなる。
【0029】
さらに、本体ハウジング10内でブラシレスモータ3を収容するモータ収容部33とコントローラ58を収容するコントローラ収容部57とを連通させて、遠心ファン28によってモータ収容部33に冷却風を通過させてブラシレスモータ3を冷却すると共に、モータ収容部33内に負圧を発生させて、コントローラ収容部57に、本体ハウジング10の外部から吸い込んだ冷却風を通過させているので、ベンチュリー効果により、コントローラ58を本体ハウジング10の外部から吸い込んだ新鮮な空気によって効果的に冷却することができる。
【0030】
そして、遠心ファン28による冷却風を生じさせる前吸気口41、後吸気口42、下吸気口43、側面吸気口67を備え、一箇所の側面吸気口67をコントローラ58の冷却用、三箇所の前吸気口41、後吸気口42、下吸気口43をブラシレスモータ3の冷却用として、ブラシレスモータ3冷却用の三箇所の前吸気口41、後吸気口42、下吸気口43を、横ハウジング12の互いに異なる面に設けて互いに異なる方向から吸気可能としているので、ブラシレスモータ3の冷却用の冷却風の取り入れがスムーズに行える。
【0031】
なお、モータの向きは上記形態に限らず、遠心ファンが左側となるように配置してもよいし、出力軸を左右方向に向ける姿勢に限らず、上下方向や斜め方向に向けて配置してもよい。モータもブラシレスに限らず、整流子モータ等も採用できる。
また、上記形態では、モータ収容部とコントローラ収容部との空気流を遠心ファンの上流側で連通させて、コントローラを新鮮な空気で冷却するようにしているが、両収容部を遠心ファンの下流側で連通させて、ブラシレスモータ冷却後の空気流をコントローラ収容部に導いてコントローラを冷却することも可能である。ファンも軸流ファン等としてもよい。
さらに、コントローラの配置姿勢も、前下がり傾斜姿勢に限らず、後下がり傾斜姿勢や、研磨面と平行な姿勢としたりしてもよいし、上下方向でモータとオーバーラップするように配置してもよい。コントローラ自体もケースや表示部がないものであっても差し支えない。
加えて、モータとコントローラとの配置も上記形態に限らず、例えばコントローラがベルト駆動部の上側にあってモータがベルト駆動部の前側若しくは後側にあるような配置であっても、本発明は適用可能である。
【0032】
一方、上記形態では、ファンにより冷却風を生じさせる吸気口を四箇所設けているが、三箇所でもよいし、逆に五箇所以上設けてもよい。コントローラ冷却用の吸気口も二箇所以上としたり、モータ冷却用の吸気口も二箇所としたり、四箇所以上としたりしても差し支えない。各箇所での吸気口の数を1つのみとしてもよい。
その他、ベルト駆動部や駆動伝達部の構成も上記形態に限らず、ベルト駆動部では駆動ローラと従動ローラとを前後逆にしたり、駆動伝達部ではスクロールプレートや中間シャフトを省略したり、ベルト伝達でなくギヤ伝達としたり等、適宜変更可能である。電源もバッテリーパックに限らず、商用電源を用いるベルトサンダであっても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1・・ベルトサンダ、2・・本体部、3・・ブラシレスモータ、4・・ベルト駆動部、9・・駆動伝達部、10・・本体ハウジング、11A,11B・・半割ハウジング、12・・横ハウジング、13・・側面カバー、15・・ステータ、16・・ロータ、17・・出力軸、20・・筒状リブ、24,26・・軸受部、28・・遠心ファン、30・・バッフル部、31・・透孔、32・・排気口、33・・モータ収容部、35・・集塵用ファン、35・・スクロールプレート、41・・前吸気口、42・・後吸気口、43・・下吸気口、55・・仕切板、56・・突出部、57・・コントローラ収容部、58・・コントローラ、59・・制御回路基板、61・・ケース、61a・・側面、61b・・下面、67・・側面吸気口、68・・コントローラ冷却流路、70・・駆動ローラ、71・・従動ローラ、74・・サンディングベルト、74a・・研磨面、83・・集塵口、85・・スイッチ。
図1
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図9