(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】布類折畳装置
(51)【国際特許分類】
D06F 89/00 20060101AFI20220224BHJP
B65H 45/18 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
D06F89/00
B65H45/18
(21)【出願番号】P 2017209953
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 眞徳
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-109067(JP,A)
【文献】特開昭62-231700(JP,A)
【文献】特開2013-124140(JP,A)
【文献】特開2014-201371(JP,A)
【文献】特開2014-223224(JP,A)
【文献】特開2003-073027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 89/00
B65H 45/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コンベアベルトが巻回された第1ローラを有する第1コンベアと、
第2コンベアベルトが巻回され、前記第1ローラと対向する位置に配置された第2ローラを有する第2コンベアと、
前記第1ローラと前記第2ローラとの間の進入部に向かって進退する折板を有する折装置と、を備え、
前記第1ローラは、前記折板の表裏面のうち布類を折らずに前記進入部に導く場合に該布類が接触しない方の面に対向する位置に配置されており、
前記折板を前進させて前記布類を折りながら前記進入部に突き込む場合には、前記第1ローラは前進状態の前記折板から離間し、
前記折板を前進させて前記布類を折らずに前記進入部に導く場合には、前記第1ローラは前進状態の前記折板に接近する
ことを特徴とする布類折畳装置。
【請求項2】
前記第1ローラを前進状態の前記折板に対して接近離間させる第1駆動機構を備える
ことを特徴とする請求項
1記載の布類折畳装置。
【請求項3】
前記第1ローラを前進状態の前記折板に向かって付勢する第1付勢機構を備える
ことを特徴とする請求項
1記載の布類折畳装置。
【請求項4】
前記第2ローラは、前記折板の表裏面のうち該第2ローラと対向する方の面に接触する前記布類の厚みに従って、前進状態の前記折板に対して接近離間する
ことを特徴とする請求項
1~3のいずれかに記載の布類折畳装置。
【請求項5】
前記第2ローラを前進状態の前記折板に対して接近離間させる第2駆動機構を備える
ことを特徴とする請求項
4記載の布類折畳装置。
【請求項6】
前記第2ローラを前進状態の前記折板に向かって付勢する第2付勢機構を備える
ことを特徴とする請求項
4記載の布類折畳装置。
【請求項7】
前記布類を前記折装置に向かって搬送する第3コンベアを備え、
前記折板は前記第3コンベアの搬送速度に合わせて、動作速度が調整される
ことを特徴とする請求項
1~6のいずれかに記載の布類折畳装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布類折畳装置に関する。ランドリー工場などでは、シーツやタオルなどの布類を、洗濯・アイロン掛け後に小さく折り畳み、ホテルや病院などに出荷している。本発明は、このような、布類を折り畳む布類折畳装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に布類折畳装置は、布類を搬送する複数のコンベアと、コンベアで搬送されている布類を所定の折位置で折り畳む折装置とを備えている(例えば、特許文献1)。折装置は折板を2つのコンベアの接続部に向かって進退させるように構成されている。折板を駆動させ、布類の折位置を2つのコンベアの接続部に向かって突き込み、折位置で折られた布類を2つのコンベアの接続部に進入させることで布類を折り畳む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
布類の折り方によっては、布類を折らずに、折板で布類を2つのコンベアの接続部に導くことがある。ところが、突き込み状態の折板とコンベアローラとの間には、布類が通過するための隙間が設けられている。この隙間に起因して布類が折板からコンベアに正常に乗り移らない場合がある。そうすると、布類の折り畳みに失敗し、布類折畳装置の歩留まりが低下する。
【0005】
また、生地の厚みや、折り方によって、布類の厚みが変化する。突き込み状態の折板とコンベアローラとの間の隙間が、布類の厚みに対して適切に設定されていないと、布類の折り畳みに失敗することがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、布類の折り畳みの失敗を低減できる布類折畳装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の布類折畳装置は、第1コンベアベルトが巻回された第1ローラを有する第1コンベアと、第2コンベアベルトが巻回され、前記第1ローラと対向する位置に配置された第2ローラを有する第2コンベアと、前記第1ローラと前記第2ローラとの間の進入部に向かって進退する折板を有する折装置と、を備え、前記第1ローラは、前記折板の表裏面のうち布類を折らずに前記進入部に導く場合に該布類が接触しない方の面に対向する位置に配置されており、前記折板を前進させて前記布類を折りながら前記進入部に突き込む場合には、前記第1ローラは前進状態の前記折板から離間し、前記折板を前進させて前記布類を折らずに前記進入部に導く場合には、前記第1ローラは前進状態の前記折板に接近することを特徴とする。
第2発明の布類折畳装置は、第1発明において、前記第1ローラを前進状態の前記折板に対して接近離間させる第1駆動機構を備えることを特徴とする。
第3発明の布類折畳装置は、第1発明において、前記第1ローラを前進状態の前記折板に向かって付勢する第1付勢機構を備えることを特徴とする。
第4発明の布類折畳装置は、第1~第3発明のいずれかにおいて、前記第2ローラは、前記折板の表裏面のうち該第2ローラと対向する方の面に接触する前記布類の厚みに従って、前進状態の前記折板に対して接近離間することを特徴とする。
第5発明の布類折畳装置は、第4発明において、前記第2ローラを前進状態の前記折板に対して接近離間させる第2駆動機構を備えることを特徴とする。
第6発明の布類折畳装置は、第4発明において、前記第2ローラを前進状態の前記折板に向かって付勢する第2付勢機構を備えることを特徴とする。
第7発明の布類折畳装置は、第1~第6発明のいずれかにおいて、前記布類を前記折装置に向かって搬送する第3コンベアを備え、前記折板は前記第3コンベアの搬送速度に合わせて、動作速度が調整されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、布類を折らない場合に、第1ローラが前進状態の折板に接近し、それらの間の隙間が小さくなるので、布類を折板から第1コンベアに正常に乗り移すことができる。その結果、布類の折り畳みの失敗を低減できる。
第2発明によれば、第1ローラと前進状態の折板との間の隙間を、布類の折り方に応じて適切な大きさに設定できる。
第3発明によれば、布類を折る場合には、布類の厚みにより第1ローラが押されて、必要な隙間が確保される。布類を折らない場合には、第1ローラが折板に接近し隙間が小さくなる。
第4発明によれば、第2ローラと前進状態の折板との間の隙間を、布類の厚みに従って適切に設定できるので、布類の折り畳みの失敗を低減できる。
第5発明によれば、第2ローラと前進状態の折板との間の隙間を、布類の厚みに従って適切な大きさに設定できる。
第6発明によれば、布類の厚みに従って第2ローラが押されて、必要な隙間が確保される。
第7発明によれば、折板の動作速度が第3コンベアの搬送速度に合わせて調整されるので、布類を第3コンベアから折板にスムーズに乗り移すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る布類折畳装置の前段部の側面図である。
【
図2】
図1の布類折畳装置の後段部の正面図である。
【
図3】32折りの場合における工程(1)、(2)の説明図である。
【
図4】32折りの場合における工程(3)、(4)の説明図である
【
図5】32折りの場合における工程(5)、(6)の説明図である
【
図6】24折りの場合における工程(3)、(4)の説明図である
【
図7】24折りの場合における工程(5)、(6)の説明図である
【
図8】24折りの場合における工程(7)、(8)の説明図である
【
図10】32折りの場合における第5折装置近傍の拡大図である。
【
図11】24折りの場合における第5折装置近傍の拡大図である。
【
図12】第2実施形態における32折りの場合の第5折装置近傍の拡大図である。
【
図13】第2実施形態における24折りの場合の第5折装置近傍の拡大図である。
【
図14】第3実施形態における第5折装置近傍の拡大図である。
【
図15】第4実施形態における第5折装置近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
(布類の折り方)
本発明の第1実施形態に係る布類折畳装置1は、シーツ、タオルなどの方形状の布類Cを、複数種類の折り方で折り畳むことができる。布類Cの折り方として「32折り」と「24折り」とが挙げられる。
【0011】
図16に示すように、32折りは2つ折りを5回繰り返す折り方である。32折りはつぎの手順で行われる。まず、展張状態の布類C0を長手方向に平行な3つの折位置L1、L2、L3でそれぞれ折って4つ折り状態にする。つぎに、4つ折り状態の布類C1を長手方向の中央の折位置L4で2つ折りして8つ折り状態にする。つぎに、8つ折り状態の布類C2を長手方向の中央の折位置L5で2つ折りして16折り状態にする。つぎに、16折り状態の布類C3を長手方向の中央の折位置L6で2つ折りして、32折り状態の布類C4にする。
【0012】
図17に示すように、24折りは2つ折りと3つ折りとを組み合わせた折り方である。24折りはつぎの手順で行われる。まず、32折りと同様の手順で展張状態の布類C0を8つ折り状態にする。8つ折り状態の布類C2を長手方向の前縁Fから後縁Rにかけて1/3ずつをそれぞれ前部Ca、中央部Cb、後部Ccとする。後部Ccと中央部Cbとの境の折位置L8で折って、後部Ccが中央部Cbの上面に重なる状態にする。つぎに、後部Ccが中央部Cbに重なった状態の布類C5を、前部Caと中央部Cbとの境の折位置L7で折って、前部Caを後部Ccの下面に重ねて24折り状態の布類C6にする。
【0013】
(布類折畳装置)
つぎに、本実施形態の布類折畳装置1の構成を説明する。
布類折畳装置1は、展張状態の布類C0を4つ折りする前段部11(
図1参照)と、4つ折り状態の布類C1を最終的な折り方まで折り畳む後段部12とからなる(
図2参照)。
【0014】
(前段部)
図1に示すように、前段部11には、布類Cを搬送する3つコンベア21~23が備えられている。第1コンベア21はロールアイロナーなどから展張状態の布類C0を受け取って後送させるコンベアである。第2コンベア22は第1コンベア21の下側搬送面に接触状態で設けられている。第3コンベア23は第2コンベア22の下側搬送面に接触状態で設けられている。第3コンベア23の下流端は後段部12の第4コンベア24に接続されている。
【0015】
前段部11には2つの折装置41、42が備えられている。第1折装置41は第1コンベア21の終端と第2コンベア22の始端とが接続する進入部の近傍に設けられている。第2折装置42は第2コンベア22の終端と第3コンベア23の始端とが接続する進入部の近傍に設けられている。
【0016】
(後段部)
図2に示すように、後段部12には、布類Cを搬送する8つコンベア24~31が備えられている。第4コンベア24は前段部11の第3コンベア23の下流端に接続されている。第4コンベア24の中央下方には、第5コンベア25および第6コンベア26が互いの搬送面を接触させた状態で設けられている。第5コンベア25および第6コンベア26の搬送面は下方に傾斜している。布類Cは第5コンベア25と第6コンベア26とに挟まれた状態で下方に搬送される。
【0017】
第5、第6コンベア25、26の下方には第7コンベア27が設けられている。第7コンベア27の搬送面は略水平である。第7コンベア27の下流部分(
図2における右側部分)には第8コンベア28と第9コンベア29とが接続されている。第8コンベア28と第9コンベア29とは上下に配置されている。第9コンベア29の下流部分の上方には、第10コンベア30および第11コンベア31が互いの搬送面を接触させた状態で設けられている。第10コンベア30および第11コンベア31の搬送面は略鉛直に配置されている。布類Cは第10コンベア30と第11コンベア31とに挟まれた状態で上方に搬送される。
【0018】
後段部12には3つの折装置43~45が備えられている。第3折装置43は第5コンベア25の始端と第6コンベア26の始端とが接続する進入部の近傍に設けられている。第4折装置44は第7コンベア27の下流部分と第8コンベア28の始端とが接続する進入部の近傍に設けられている。第5折装置45は第10コンベア30の始端と第11コンベア31の始端とが接続する進入部の近傍に設けられている。
【0019】
第3折装置43は折板43aと、折板43aを駆動させるアクチュエータとからなる。第4折装置44は折板44aと、折板44aを駆動させるアクチュエータとからなる。第5折装置45は折板45aと、折板45aを駆動させるアクチュエータとからなる。
【0020】
第7コンベア27と第8コンベア28との接続部には隙間が開いている。後段部12には、この隙間を開閉する乗継板46が設けられている。
【0021】
第10コンベア30および第11コンベア31の下流には、折り畳まれた布類Cを所定枚数ずつ積層させる積層部50が接続されている。
【0022】
図1に示すように、布類折畳装置1は制御装置13を備えている。制御装置13はCPU、メモリなどで構成されたコンピュータである。制御装置13により、コンベア21~31、および折装置41~45の動作が制御される。
【0023】
なお、本実施形態におけるコンベア21~31の番号(第1、第2など)は説明の便宜のために振られたものであって、特許請求の範囲に記載のコンベアの番号とは一致しない。本実施形態の第10コンベア30、第11コンベア31、第9コンベアが、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1コンベア、第2コンベア、第3コンベアに相当する。
【0024】
また、本実施形態における折装置41~45の番号(第1、第2など)は説明の便宜のために振られたものである。本実施形態の第5折装置45が特許請求の範囲に記載の折装置に相当する。
【0025】
(布類の折畳方法)
つぎに、布類折畳装置1による布類Cの折畳方法を説明する。
前述のごとく、布類折畳装置1は「32折り」、「24折り」の少なくとも2種類の折り方で布類Cを折り畳むことができる。供給された布類Cに対する折り方の選択は制御装置13により行われる。以下、順に説明する。
【0026】
(32折り)
まず、
図3~
図5に基づき、32折りの場合を説明する。なお、
図3~
図5における(1)~(6)は、それぞれ以下の説明の(1)~(6)に対応する。
【0027】
展張状態の布類C0は一枚ずつ前段部11の第1コンベア21に供給される(
図1参照)。布類C0は第1~第3コンベア21~23で搬送される途中で、第1折装置41および第2折装置42によって4つ折り状態の布類C1まで折り畳まれる。
(1)そして、4つ折り状態の布類C1は第4コンベア24に供給される。
【0028】
(2)第3折装置43の折板43aが下方に前進することにより、布類C1は長手方向の中央の折位置L4が第5コンベア25と第6コンベア26との間の進入部に向かって突き込まれる。これにより、布類C1が2つ折りされ8つ折り状態の布類C2となる。8つ折り状態の布類C2は第5コンベア25と第6コンベア26とに挟まれた状態で下方の第7コンベア27に向かって搬送される。
【0029】
(3)第7コンベア27は正方向に駆動している。ここで、「正方向」とは布類C2を第8コンベア28に向かって搬送する方向(
図4における右方向)である。8つ折り状態の布類C2は第7コンベア27から第8コンベア28に向かって搬送される。このとき乗継板46は閉状態となっている。第7コンベア27と第8コンベア28との間の隙間が閉じられているので、布類C2は第7コンベア27から第8コンベア28へ乗り移ることができる。布類C2の前縁が第7コンベア27から第8コンベア28へ乗り移った後に乗継板46は開状態となる。
【0030】
(4)布類C2の長手方向の中央の折位置L5が第7コンベア27と第8コンベア28との間の進入部に達した時点で、第4折装置44の折板44aが下方に前進する。そうすると布類C2は折位置L5が第7コンベア27と第8コンベア28との間の進入部に向かって突き込まれる。これにより、布類C2が2つ折りされ16折り状態の布類C3となる。16折り状態の布類C3は第7コンベア27により下方に搬送される。
【0031】
(5)16折り状態の布類C3は第7コンベア27から第9コンベア29に乗り移る。布類C3は第9コンベア29により第5折装置45に向かって搬送される。布類C3は第9コンベア29の下流部分まで搬送される。
【0032】
(6)布類C3が第9コンベア29の下流部分に達すると、第5折装置45の折板45aが上方に前進する。そうすると、布類C3は長手方向の中央の折位置L6が第10コンベア30と第11コンベア31との間の進入部に向かって突き込まれる。これにより、布類C3が2つ折りされ32折り状態の布類C4となる。
【0033】
その後、32折り状態の布類C4は第10コンベア30と第11コンベア31とに挟まれた状態で上方に移送される。そして、布類C4は積層部50に供給される。
【0034】
(24折り)
つぎに、
図6~
図8に基づき、24折りの場合を説明する。なお、
図6~
図8における(3)~(8)は、それぞれ以下の説明の(3)~(8)に対応する。
【0035】
(1)、(2)32折りの場合と同様の手順で、展張状態の布類C0は8つ折り状態の布類C2まで折り畳まれる(
図3参照)。
【0036】
(3)8つ折り状態の布類C2は第5コンベア25と第6コンベア26とに挟まれた状態で下方の第7コンベア27に向かって搬送される。この際、布類C2は第5コンベア25の終端から下垂し、下垂方向に送り出される。ここで、布類C2の縁のうち第5コンベア25の搬送方向前方の縁を前縁Fとする。すなわち、第5コンベア25は布類C2を前縁Fから下垂させ、下垂方向に送り出す。
【0037】
第5コンベア25から下垂した布類C2は第7コンベア27に受けられる。第7コンベア27は布類C2を受ける初期は「逆方向」に駆動している。ここで、「逆方向」とは「正方向」と逆の方向(
図6における左方向)である。第7コンベア27は布類C2の前部Caおよび中央部Cbを受ける間は逆方向に駆動する。
【0038】
(4)布類C2の中央部Cbと後部Ccとの境の折位置L8が第7コンベア27に達した時点で、第7コンベア27は駆動方向を反転させる。すなわち、第7コンベア27は布類C2の後部Ccを受ける間は正方向に駆動する。第7コンベア27の駆動方向の反転により、布類C2は後部Ccが中央部Cbの上面に重なるように折られる。
【0039】
(5)後部Ccが中央部Cbに重なった状態の布類C5は第7コンベア27から第8コンベア28に向かって搬送される。このとき乗継板46は閉状態となっている。布類C5の一部が第7コンベア27から第8コンベア28へ乗り移った後に乗継板46は開状態となる。
【0040】
(6)布類C5の長手方向の中央の折位置L7が第7コンベア27と第8コンベア28との間の進入部に達した時点で、第4折装置44の折板44aが下方に前進する。そうすると布類C5は折位置L7が第7コンベア27と第8コンベア28との間の進入部に向かって突き込まれる。これにより、布類C5は前部Caが後部Ccの下面に重なるように折られる。
【0041】
ステップ(4)における第7コンベア27の駆動方向の反転と、ステップ(6)における第4折装置44の折動作とにより布類C2を3つ折りできる。これにより、24折り状態の布類C6が完成する。24折り状態の布類C6は第7コンベア27により下方に搬送される。
【0042】
(7)布類C6は第7コンベア27から第9コンベア29に乗り移る。布類C6は第9コンベア29により第5折装置45に向かって搬送される。布類C6は第9コンベア29の下流部分まで搬送される。ここで、第5折装置45の折板45aは第9コンベア29の搬送面に沿った状態で待機している。そのため、第9コンベア29により搬送された布類C6は折板45aに乗った状態となる。
【0043】
(8)布類C6の搬送方向前縁が折板45aの先端に達した時点で、折板45aが上方に前進する。そうすると、布類C6は折板45aにより持ち上げられ、搬送方向前縁から第10コンベア30に導かれる。すなわち、第5折装置45は折板45aを動作させ、布類C6を折らずに第10コンベア30に導く。
【0044】
その後、布類C6は第10コンベア30と第11コンベア31とに挟まれた状態で上方に移送される。そして、布類C6は積層部50に供給される。
【0045】
以上に説明したように、第5折装置45は32折りの場合と、24折りの場合とで動作が異なる。具体的には、32折りの場合、第5折装置45は折板45aを前進させて布類C3を折りながらコンベア30、31の進入部に突き込む(
図5参照)。一方、24折りの場合、第5折装置45は折板45aを前進させて布類C6を折らずにコンベア30、31の進入部に導く(
図8参照)。
【0046】
(第5折装置)
つぎに、最終段の第5折装置45およびその周囲に配置されたコンベア29~31の詳細を説明する。
図9に示すように、第5折装置45の折板45aはアーム45bの先端部に固定されている。アーム45bの基端部は支持軸45cにより軸支されている。アーム45bは支持軸45cを中心に旋回可能となっている。支持軸45cにはスプロケット45dが固定されている。
【0047】
第5折装置45は折板45aを駆動させるサーボモータ45eを有している。サーボモータ45eの出力軸と、スプロケット45dとは無端チェーン45fまたは無端ベルトで連結されている。サーボモータ45eを正逆回転させることにより、折板45aを旋回させることができる。
【0048】
なお、第5折装置45のアクチュエータとしてサーボモータ45eのほか、サーボシリンダなどのサーボアクチュエータを用いてもよい。サーボアクチュエータを用いれば折板45aの動作速度を制御できる。また、第5折装置45のアクチュエータとしてエアシリンダなど、サーボアクチュエータ以外のアクチュエータを用いてもよい。
【0049】
第9コンベア29は複数のローラと、複数のローラに巻回されたコンベアベルト29bとからなる。コンベアベルト29bの上側搬送面は略水平である。布類Cはコンベアベルト29bの上側搬送面に載せられた状態で、下流(
図9における右方向)に向かって搬送される。
【0050】
第10コンベア30は複数のローラと、複数のローラに巻回された第1コンベアベルト30bとからなる。第10コンベア30を構成する複数のローラのうち、第10コンベア30の始端に配置されたローラを第1ローラ30rと称する。第11コンベア31は複数のローラと、複数のローラに巻回された第2コンベアベルト31bとからなる。第11コンベア31を構成する複数のローラのうち、第11コンベア31の始端に配置されたローラを第2ローラ31rと称する。第1ローラ30rと第2ローラ31rとは互いに対向する位置に配置されている。これにより、進入部32が形成されている。
【0051】
第10コンベア30と第11コンベア31との間の進入部32は斜め下方に向けられている。第10コンベア30および第11コンベア31は布類Cを進入部32の奥に進入させる方向に駆動している。第1コンベアベルト30bの搬送面のうち、第1ローラ30rの直下流部分は斜め上方を向いている。進入部32に進入した布類Cは、第1コンベアベルト30bの傾斜搬送面に載せられた状態で、進入部32の奥に搬送される。
【0052】
第5折装置45の折板45aは進入部32に向かって進退する。
図9における実線で示すように、折板45aが進入部32に向かって前進した状態(以下、「前進状態」と称する。)では、折板45aの先端部が第1ローラ30rと第2ローラ31rとの間に挿入される。
図9における二点鎖線で示すように、折板45aが進入部32から後退した状態(以下、「後退状態」と称する。)では、折板45aはコンベアベルト29bの上側搬送面に沿って配置される。
【0053】
第10コンベア30の第1ローラ30rは、前進状態の折板45aに対して接近離間可能となっている。また、第10コンベア30には第1ローラ30rを前進状態の折板45aに対して接近離間させる第1駆動機構60が備えられている。
【0054】
第1駆動機構60は第1旋回アーム61を有している。第1旋回アーム61は基端部が軸支されており、基端部を中心に旋回可能となっている。第1旋回アーム61の中央部には第1ローラ30rが回転可能に支持されている。
【0055】
第1旋回アーム61の先端部にはエアシリンダ62のロッド先端部が連結されている。エアシリンダ62が伸縮することで、第1旋回アーム61が旋回する。また、第1旋回アーム61の旋回に伴い、第1ローラ30rが前進状態の折板45aに対して接近離間する。
【0056】
なお、第1駆動機構60はアクチュエータの駆動により動作する機構であればよい。第1駆動機構60に用いられるアクチュエータとしては、エアシリンダ62に限定されず、サーボモータ、サーボシリンダなどのサーボアクチュエータを用いてもよい。
【0057】
図10に示すように、32折りの場合、第5折装置45は布類C3を2つ折りする。より詳細には、第5折装置45は折板45aを上方に前進させて布類C3の中央の折位置L6を折りながら進入部32に突き込む。この際、布類C3は折板45aの先端部を覆う形となり、折板45aの表裏面の両方に存在こととなる。そのため、折板45aと第1ローラ30rとの間、および折板45aと第2ローラ31rとの間には、布類C3が通過するための隙間を設ける必要がある。
【0058】
そこで、布類C3を折りながら進入部32に突き込む場合には、第1ローラ30rは前進状態の折板45aから離間した位置に配置される。これにより、折板45aと第1ローラ30rとの間に適切な隙間が確保される。その結果、布類C3に無理な負荷をかけることなく、2つ折りできる。
【0059】
図11に示すように、24折りの場合、第5折装置45は折板45aを動作させ、布類C6を折らずに第10コンベア30に導く。この際、布類C6は折板45aの表面に乗った状態である。折板45aの裏面には布類C6が接触しない。
【0060】
ここで、第1ローラ30rは折板45aの表裏面のうち布類C6が接触しない方の面、すなわち裏面に対向する位置に配置されている。この位置に配置された第1ローラ30rと折板45aとの間の隙間が大きすぎると、布類C6の前縁が隙間から脱落して第10コンベア30に正常に乗り移らない場合がある。そうすると、布類C6に不要な折り目がつくなど、折り畳みに失敗することがある。
【0061】
そこで、布類C6を折らずに進入部32に導く場合には、第1ローラ30rは前進状態の折板45aに接近した位置に配置される。これにより、第1ローラ30rと前進状態の折板45aとの間の隙間が小さくなる。折板45aと第10コンベア30の搬送面とが連続した状態となるため、布類C6を折板45aから第10コンベア30に正常に乗り移すことができる。その結果、布類C6の折り畳みの失敗を低減できる。
【0062】
第1ローラ30rの位置変更は第1駆動機構60の動作により行われる。第1駆動機構60は布類Cの折り方に応じて第1ローラ30rの位置を変更する。そのため、第1ローラ30rと前進状態の折板45aとの間の隙間を、布類Cの折り方に応じて適切な大きさに設定できる。
【0063】
ところで、第9コンベア29の搬送速度と折板45aの動作速度との差が大きいと、布類C6をスムーズに導くことができない可能性がある。例えば、第9コンベア29の搬送速度に対して折板45aの動作速度が遅すぎると、布類C6にシワが生じる可能性がある。逆に、第9コンベア29の搬送速度に対して折板45aの動作速度が速すぎると、折板45aが動作している途中で布類C6の搬送方向前縁が折板45aの先端から後退する。そうすると、布類C6が第10、第11コンベア30、31に乗り移らない可能性がある。
【0064】
そこで、第5折装置45の折板45aは第9コンベア29による布類C6の搬送速度に合わせて、動作速度を調整することが好ましい。具体的には、折板45aの旋回軌跡上の動作速度を、第9コンベア29の搬送速度とほぼ一致させる。そうすれば、布類C6を第9コンベア29から折板45aにスムーズに乗り移すことができる。また、布類C6を折板45aから第10、第11コンベア30、31にスムーズに乗り移すことができる。
【0065】
〔第2実施形態〕
図12に示すように、第1ローラ30rの位置を変更する機構として、第1駆動機構60に代えて第1付勢機構70を採用してもよい。第1付勢機構70は第1ローラ30rを前進状態の折板45aに向かって付勢する機構である。
【0066】
第1付勢機構70は第1旋回アーム71を有している。第1旋回アーム71は基端部が軸支されており、基端部を中心に旋回可能となっている。第1旋回アーム71の中央部には第1ローラ30rが回転可能に支持されている。
【0067】
第1付勢機構70はスプリングユニット72を有している。スプリングユニット72はシリンダ73と、シリンダ73に組み込まれた圧縮コイルばね74とからなる。第1旋回アーム71の先端部にはシリンダ73のロッド先端部が連結されている。
【0068】
第1ローラ30rに外力が掛からない状態では、スプリングユニット72が伸長し、第1ローラ30rが前進状態の折板45aに対して接近する。第1ローラ30rに外力が掛かると、スプリングユニット72が圧縮され、第1ローラ30rが前進状態の折板45aから離間する。
【0069】
なお、第1付勢機構70は付勢部材により第1ローラ30rを付勢する機構であればよい。第1付勢機構70に用いられる付勢部材としては、各種のばね、ゴムなどの弾性材を用いることができる。
【0070】
図12に示すように、第5折装置45で布類C3を折る場合には、折板45aと第1ローラ30rとの間に布類C3が挟まる。この布類C3の厚みにより第1ローラ30rが押されて、第1ローラ30rが折板45aから離間する。これにより、折板45aと第1ローラ30rとの間に必要な隙間が確保される。
【0071】
図13に示すように、第5折装置45で布類C6を折らずに導く場合には、第1付勢機構70の付勢により第1ローラ30rが折板45aに接近する。これにより、折板45aと第1ローラ30rとの間の隙間が小さくなる。そのため、布類C6を折板45aから第10コンベア30に正常に乗り移すことができる。
【0072】
〔第3実施形態〕
図14に示すように、第1ローラ30rに代えて、または加えて第2ローラ31rの位置を変更するよう構成してもよい。
【0073】
第11コンベア31の第2ローラ31rは、前進状態の折板45aに対して接近離間可能となっている。また、第11コンベア31には第2ローラ31rを前進状態の折板45aに対して接近離間させる第2駆動機構80が備えられている。
【0074】
第2駆動機構80は第2旋回アーム81を有している。第2旋回アーム81は基端部が軸支されており、基端部を中心に旋回可能となっている。第2旋回アーム81の中央部には第2ローラ31rが回転可能に支持されている。
【0075】
第2旋回アーム81の先端部にはエアシリンダ82のロッド先端部が連結されている。エアシリンダ82が伸縮することで、第2旋回アーム81が旋回する。また、第2旋回アーム81の旋回に伴い、第2ローラ31rが前進状態の折板45aに対して接近離間する。
【0076】
なお、第2駆動機構80はアクチュエータの駆動により動作する機構であればよい。第2駆動機構80に用いられるアクチュエータとしては、エアシリンダ82に限定されず、サーボモータ、サーボシリンダなどのサーボアクチュエータを用いてもよい。
【0077】
折板45aの表面(第2ローラ31rと対向する方の面)に接触する布類Cの厚みは、布類Cの折り方、布類Cの生地の厚みによって変化する。第2駆動機構80はこの布類Cの厚みに従って、第2ローラ31rを前進状態の折板45aに対して接近離間させる。
【0078】
具体的には、布類Cが薄い場合には、第2ローラ31rを折板45aに接近させ、それらの間の隙間を狭くする。逆に、布類Cが厚い場合には、第2ローラ31rを折板45aから離間させ、それらの間の隙間を広くする。
【0079】
このように、第2駆動機構80により第2ローラ31rと前進状態の折板45aとの間の隙間を、布類Cの厚みに従って適切な大きさに設定できる。そのため、布類Cが適切な圧力で第11コンベア31に接触し、布類Cに第11コンベア31の駆動力が伝達される。その結果、布類Cをスムーズに搬送でき、布類Cの折り畳みの失敗を低減できる。
【0080】
なお、第1ローラ30rおよび第2ローラ31rの一方を前進状態の折板45aに対して接近離間可能としてもよい。第1ローラ30rおよび第2ローラ31rの両方を前進状態の折板45aに対して接近離間可能としてもよい。第1ローラ30rおよび第2ローラ31rの一方または両方と前進状態の折板45aとの間の隙間を調整することで、その隙間に起因する布類Cの折り畳みの失敗を低減できる。
【0081】
〔第4実施形態〕
図15に示すように、第2ローラ31rの位置を変更する機構として、第2駆動機構80に代えて第2付勢機構90を採用してもよい。第2付勢機構90は第2ローラ31rを前進状態の折板45aに向かって付勢する機構である。
【0082】
第2付勢機構90は第2旋回アーム91を有している。第2旋回アーム91は基端部が軸支されており、基端部を中心に旋回可能となっている。第2旋回アーム91の中央部には第2ローラ31rが回転可能に支持されている。第2旋回アーム91の先端部にはスプリングユニット92のロッド先端部が連結されている。
【0083】
第2ローラ31rに外力が掛からない状態では、スプリングユニット92が伸長し、第2ローラ31rが前進状態の折板45aに対して接近する。第2ローラ31rに外力が掛かると、スプリングユニット92が圧縮され、第2ローラ31rが前進状態の折板45aから離間する。
【0084】
なお、第2付勢機構90は付勢部材により第2ローラ31rを付勢する機構であればよい。第2付勢機構90に用いられる付勢部材としては、各種のばね、ゴムなどの弾性材を用いることができる。
【0085】
折板45aの表面に接触する布類Cの厚みは、布類Cの折り方、布類Cの生地の厚みによって変化する。この布類Cの厚みに従って第2ローラ31rが押されて、第2ローラ31rと折板45aとの間に必要な隙間が確保される。そのため、布類Cが適切な圧力で第11コンベア31に接触し、布類Cに第11コンベア31の駆動力が伝達される。その結果、布類Cをスムーズに搬送でき、布類Cの折り畳みの失敗を低減できる。
【符号の説明】
【0086】
1 布類折畳装置
29 第9コンベア
30 第10コンベア
30b 第1コンベアベルト
30r 第1ローラ
31 第11コンベア
31b 第2コンベアベルト
31r 第2ローラ
32 進入部
45 第5折装置
45a 折板
60 第1駆動機構
61 旋回アーム
62 エアシリンダ