(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】タイヤ成形装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/32 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
B29D30/32
(21)【出願番号】P 2017254664
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】小池 優
【審査官】橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-216022(JP,A)
【文献】特開2010-083117(JP,A)
【文献】特開2017-121793(JP,A)
【文献】特開2004-009457(JP,A)
【文献】実開昭55-083332(JP,U)
【文献】特開2014-177067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のビードコアの外周側にビードフィラーが設けられたビード部を円筒状のカーカスの幅方向端部で巻き込んだグリーンケースを保持するタイヤ成型装置において、
前記ビード部の径方向内側面に当接して前記グリーンケースを保持するビードロックを備え、
前記ビードロックは、前記ビード部との接触面の一部を構成する第1領域が、残部を構成する第2領域より離型性に優れた材料で形成され
、
前記第1領域が前記ビード部のタイヤ軸方向内側に当接するタイヤ成形装置。
【請求項2】
環状のビードコアの外周側にビードフィラーが設けられたビード部を円筒状のカーカスの幅方向端部で巻き込んだグリーンケースを保持するタイヤ成型装置において、
前記ビード部の径方向内側面に当接して前記グリーンケースを保持するビードロックを備え、
前記ビードロックは、前記ビード部との接触面の一部を構成する第1領域が、残部を構成する第2領域より離型性に優れた材料で形成され
、
前記第2領域が前記ビード部のタイヤ径方向内側に当接するタイヤ成型装置。
【請求項3】
環状のビードコアの外周側にビードフィラーが設けられたビード部を円筒状のカーカスの幅方向端部で巻き込んだグリーンケースを保持するタイヤ成型装置において、
前記ビード部の径方向内側面に当接して前記グリーンケースを保持するビードロックを備え、
前記ビードロックは、前記ビード部との接触面の一部を構成する第1領域が、残部を構成する第2領域より離型性に優れた材料で形成され
、
前記第1領域が樹脂で形成され、前記第2領域が金属で形成され、
前記ビードロックは、前記第2領域を構成する金属で形成された基部と、前記基部に設けられた樹脂収納部と、前記樹脂収納部に設けられ前記第1領域を形成する樹脂部材とを備え、前記樹脂部材の厚みが1mm以上3mm以下であるタイヤ成形装置
【請求項4】
前記第1領域が樹脂で形成され、前記第2領域が金属で形成されている請求項1
又は2に記載のタイヤ成形装置。
【請求項5】
前記第1領域が前記ビード部のタイヤ軸方向内側に当接する請求項
2又は3に記載のタイヤ成形装置。
【請求項6】
前記第2領域が前記ビード部のタイヤ径方向内側に当接する請求項
1又は3に記載のタイヤ成形装置。
【請求項7】
前記ビードロックは、前記
第2領域を構成する金属で形成された基部と、前記基部に設けられた樹脂収納部と、前記樹脂収納部に設けられ前記第1領域を形成する樹脂部材とを備え、前記樹脂部材の厚みが1mm以上3mm以下である請求項
1又は2に記載のタイヤ成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤを製造する方法として、一次成形機で成形したグリーンケースを、二次成形機でトレッドリングと合体させて生タイヤ(グリーンタイヤ)を成形する方法がある。
【0003】
詳細には、一次成形機の成形ドラムの外周にインナーライナー、カーカスプライを巻き付けて円筒状に設けた後、環状のビードコア及びビードフィラーを、円筒状のカーカスプライの軸方向両端部に外挿する。そして、カーカスプライの軸方向両端部でビードコアを巻き込むように折り返した後、サイドウォールゴムを積層してグリーンケースを成形する。
【0004】
得られたグリーンケースを、二次成形機において、ビード部の径方向内側からビードロックにより保持した状態で、軸方向中央部を膨らませてトロイド状にシェーピングし、ベルト及びトレッドゴムからなるトレッドリングに接合させて生タイヤを成形する。そして、得られた生タイヤをモールド内で加硫成型することで空気入りタイヤが得られる(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-9457号公報
【文献】特開2001-293793号公報
【文献】特開平9-12330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなシェーピングを行う二次成形機としてのタイヤ成形機では、シェーピング時にビード部がビードロックに過度に密着してしまい、成形した生タイヤが取り出しにくくなり作業性が低下したり、取り出し時にビード部を損傷したりすることがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1のタイヤ成形装置は、環状のビードコアの外周側にビードフィラーが設けられたビード部を円筒状のカーカスの幅方向端部で巻き込んだグリーンケースを保持するタイヤ成型装置において、前記ビード部の径方向内側面に当接して前記グリーンケースを保持するビードロックを備え、前記ビードロックは、前記ビード部との接触面の一部を構成する第1領域が、残部を構成する第2領域より離型性に優れた材料で形成され、前記第1領域が前記ビード部のタイヤ軸方向内側に当接するものである。
【0008】
本発明の第2のタイヤ成形装置は、環状のビードコアの外周側にビードフィラーが設けられたビード部を円筒状のカーカスの幅方向端部で巻き込んだグリーンケースを保持するタイヤ成型装置において、前記ビード部の径方向内側面に当接して前記グリーンケースを保持するビードロックを備え、前記ビードロックは、前記ビード部との接触面の一部を構成する第1領域が、残部を構成する第2領域より離型性に優れた材料で形成され、前記第2領域が前記ビード部のタイヤ径方向内側に当接するものである。
【0009】
本発明の第3のタイヤ成形装置は、環状のビードコアの外周側にビードフィラーが設けられたビード部を円筒状のカーカスの幅方向端部で巻き込んだグリーンケースを保持するタイヤ成型装置において、前記ビード部の径方向内側面に当接して前記グリーンケースを保持するビードロックを備え、前記ビードロックは、前記ビード部との接触面の一部を構成する第1領域が、残部を構成する第2領域より離型性に優れた材料で形成され、前記第1領域が樹脂で形成され、前記第2領域が金属で形成され、前記ビードロックは、前記第2領域を構成する金属で形成された基部と、前記基部に設けられた樹脂収納部と、前記樹脂収納部に設けられ前記第1領域を形成する樹脂部材とを備え、前記樹脂部材の厚みが1mm以上3mm以下であるものである。
【発明の効果】
【0012】
本実施形態によれば、シェーピング時にビード部がビードロックに過度に密着するのを防ぐことができ、成形した生タイヤをビードロックから損傷することなく速やかに取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係るタイヤ成形装置の半断面図。
【
図3】
図1のタイヤ成形装置がビード部を保持した状態の要部拡大断面図。
【
図4】第2実施形態に係るタイヤ成形装置の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態に係る空気入りタイヤは、図示を省略したが、左右一対のビード部と、ビード部からタイヤ径方向外方に延びる一対のサイドウォール部と、左右のサイドウォール部間に設けられたトレッド部とを備える。ビード部には、環状のビードコアと、その外周側に設けられた硬質ゴム製のビードフィラーからなるビード部材が埋設されている。
【0016】
タイヤには、一対のビード部間にまたがって延びるカーカスプライが埋設され、カーカスプライは、トレッド部からサイドウォール部を通りビード部において両端部が係止されており、少なくとも1プライで構成されている。カーカスプライは、平行配列された複数本のカーカスコードをゴム被覆してなるものであり、カーカスプライの両端部は、ビード部においてビード部材の内側から外側に折り返されて係止されている。ビード部には、かかるカーカスプライの折り返し部の周りにチェーファーが設けられている。
【0017】
トレッド部におけるカーカスプライの外周側には、ベルトプライからなるベルトが設けられておりトレッド部を補強する。カーカスプライの内側には、空気圧保持のためのインナーライナーがタイヤ内面の全体にわたって設けられる。
【0018】
このタイヤを製造するには、まず、不図示の一次成形機の成形ドラムの外周にインナーライナー、チェーファー、カーカスプライの順にこれらの部材を巻き付けて円筒状に設け、カーカスプライの幅方向両端部の外周面に環状のビード部材を装着する。そして、ビード部材を巻き込むようにカーカスプライの幅方向両端部が折り返された後、サイドウォールゴムが所定位置に配設される。これにより、
図1に示すような、円筒状のカーカスプライ2の両端部に環状のビードコア3Aを含むビード部4を設けたグリーンケース1が成形される。グリーンケース1は、環状のビードコア3Aとその外周側に設けられたビードフィラー3Bとからなるビード部材3をビード部4に備え、該ビード部材3をカーカスプライ2の両端部で巻き込んだ構造を有する。また、グリーンケース1は、インナーライナー5と、チェーファー6と、サイドウォールゴム7とを備える。
【0019】
一次成形機において成形されたグリーンケース1は、二次成形機に相当するタイヤ成形装置10によって保持される。
【0020】
詳細には、タイヤ成形装置10は、
図1に示すように、グリーンケース1の軸方向Lに沿って延びるシャフト12と、シャフト12の周りに回転可能に設けられた左右一対のシェーピングドラム14,14と、各シェーピングドラム14,14の外周に設けられた左右一対のビードロック16,16とを備える。
【0021】
一対のシェーピングドラム14,14は、軸方向Lに間隔をあけて配置されており、不図示の駆動手段によって、シャフト12の軸周りに回転駆動させるとともに、互いに近接離隔できるように軸方向Lに移動可能に構成されている。
【0022】
ビードロック16は、タイヤ径方向内側からビード部4に当接してグリーンケース1を保持する部材である。ビードロック16は、シェーピングドラム14の外周面に取り付けられており、その周方向において複数のセグメントに分割され、かつ径方向Rに拡縮径可能に設けられている。そのため、ビードロック16は、軸方向Lに移動可能に設けられるとともに、径方向Rに拡縮移動可能に設けられており、ビード部4の径方向内方において拡縮径する。
【0023】
ビードロック16は、アルミニウムやステンレスなどの金属材料を所定形状に成形した基部17を備える。基部17には、径方向外方に向けて開かれ径方向内方からビード部4を受ける凹部18を有している。凹部18は、ビード部4に対向する径方向外側面において径方向内方へ陥没する周方向に沿って延びる凹溝状をなしており、この凹部18でビード部4の径方向内側端部を受けてグリーンケース1を保持する。
【0024】
図1及び
図2に示すように、凹部18は、ビード部4の径方向内側面4Aが当接する軸方向Lに平行な底面18Aと、該底面18Aの軸方向内端から径方向外方に立ち上がる軸方向内側壁18Bと、該底面18Aの軸方向外端から径方向外方に立ち上がる軸方向外側壁18Cとを備える。
【0025】
凹部18の軸方向内側壁18Bは、ビード部4の軸方向内側面4Bの形状に沿った断面円弧状の湾曲面をなしている。凹部18の軸方向外側壁18Cは、径方向外方へ行くほど軸方向外側へ向けて傾斜する傾斜面をなしている。
【0026】
図3に示すように凹部18がビード部4を保持すると、ビード部4の軸方向内側面4Bが凹部18の軸方向内側壁18Bに接触し、ビード部4の径方向内側面4Aが凹部18の底面18Aに接触し、ビード部4の軸方向外側面4C(あるいは、ビード部4の径方向内側面4Aと軸方向外側面4Cとのエッジ部分)が凹部18の軸方向外側壁18Cに接触する。つまり、凹部18の軸方向内側壁18B、底面18A及び軸方向外側壁18Cが、ビード部4に接触する接触面を構成する。
【0027】
このような構成のタイヤ成形装置10において、ビード部4との接触面を構成する凹部18の軸方向内側壁18B、底面18A及び軸方向外側壁18Cのうち、軸方向内側壁18B及び軸方向外側壁18Cは、底面18Aより離型性に優れた材料(以下、良離型性材料と言うこともある)で形成されている。
【0028】
本実施形態では、凹部18の底面18Aは、基部17を構成する金属材料が露出し、軸方向内側壁18B及び軸方向外側壁18Cの表面には良離型性材料からなる被膜22,24が形成されている。良離型性材料の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂や、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0029】
タイヤ成形装置10は、グリーンケース1内に気体等の流体を供給する流体供給部(不図示)を備え、該流体供給部から供給される流体によりグリーンケース1をトロイド状に膨張させるように構成されている。
【0030】
タイヤ成形装置10は、また、グリーンケース1の径方向外側に、ベルトとトレッドゴムとを積層した円筒状のトレッドリング(不図示)を保持する保持手段(不図示)を備える。
【0031】
タイヤ成形装置10を用いて生タイヤを成形するには、まず、グリーンケース1を一次成形機からタイヤ成形装置10に移載する。具体的には、
図1及び
図2に示すようにグリーンケース1を、一対のシェーピングドラム14,14の外周部にわたって配置した後、ビードロック16をビード部4の径方向内側から径方向外方R1に移動させる(即ち、ビードロック16を拡径させる)。これにより、グリーンケース1のビード部4がビードロック16に設けられた凹部18に嵌め込まれ、グリーンケース1がビードロック16に保持される(
図3参照)。
【0032】
その際、凹部18の軸方向内側壁18B及び軸方向外側壁18Cの表面には、底面18Aより離型性に優れた材料からなる被膜22,24が設けられているため、軸方向内側壁18B及び軸方向外側壁18Cにおいてビード部4が凹部18に密着するのを防ぐことができるとともに、底面18Aにおいてビード部4が密着して、シェーピングドラム14,14の内部をシールする。これにより、グリーンケース1は、ビードロック16に過度に密着することなく、一対のシェーピングドラム14,14間で内部を気密状態に維持しながらタイヤ成形装置10に保持される。
【0033】
そして、ビードロック16が保持するグリーンケース1の径方向外側に該グリーンケース1の周りを取り囲むように不図示のトレッドリングを配設した後、不図示の流体供給部からグリーンケース1内に流体を供給しながら、一対のシェーピングドラム14,14を互いに近接するように軸方向内方L2に移動させることによって、グリーンケース1を径方向外方R1に膨出させる。すなわち、グリーンケース1をタイヤ形状に合わせたトロイド状に変形させる。これにより、径方向外側に配設されたトレッドリングにグリーンケース1を接合一体化させることができ、生タイヤが成形される。
【0034】
そして、成形された生タイヤの外周面を不図示の保持手段で保持しつつ、ビードロック16を径方向内方R2に移動させることで、ビード部4が凹部18から取り外され、生タイヤを保持手段へ受け渡す。得られた生タイヤは、モールド内で加硫成型されることで空気入りタイヤが得られる。
【0035】
本実施形態によれば、グリーンケース1のビード部4と接触する箇所(接触面)の一部に良離型性材料からなる被膜22,24が配設されているため、成形された生タイヤを取り出す際にビード部4を凹部18より容易に引き離すことができ、損傷することなく速やかに成形した生タイヤを取り出すことができる。
【0036】
また、本実施形態では、グリーンケース1のビード部4と接触する接触面の残部に良離型性材料が配設されていないため、当該残部においてグリーンケース1のビード部4とビードロック16とが密着してシェーピングドラム14,14間で内部を気密状態に維持することができる。
【0037】
しかも、本実施形態は、ビード部4の軸方向両側部分(つまり、軸方向内側壁18B及び軸方向外側壁18C)に良離型性材料を配設してビード部4との密着を抑制し、ビード部4の軸方向中央部(つまり、底面18A)においてビード部4を密着させている。ビード部4が密着する凹部18の底面18Aは、ビード部4を凹部18から引き離す方向(径方向外方)に対して垂直な面をなしているため、比較的小さい応力であってもビード部4を底面18Aから引き離すことができ、成形した生タイヤを損傷することなく速やかに取り出すことができる。
【0038】
特に、重荷重用あるいは小型トラック用の空気入りタイヤの製造では、シェーピング時に高い内圧が付与され、ビード部4がビードロック16の凹部18に密着しやすいが、本実施形態のように凹部18の軸方向内側壁18B及び軸方向外側壁18Cに良離型性材料を配設し、底面18Aに良離型性材料を配設しないことで、シェーピングドラム14,14間で内部を気密に維持しながらビード部4の凹部18への密着を抑制することができ、重荷重用あるいは小型トラック用の空気入りタイヤの製造において有利である。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図4に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には説明は省略し、異なる部分について説明する。
【0040】
本実施形態では、凹部18に良離型性材料を設ける方法が上記した第1実施形態と異なっている。
【0041】
具体的には、
図4に示すように、ビードロック16は、アルミニウムやステンレスなどの金属材料を所定形状に成形した基部17と、樹脂収納部26、28と、樹脂部材27,29とを備える。
【0042】
樹脂収納部26は、凹部18の軸方向内側壁18Bに対応する位置に開口するように設けられた周方向に沿って延びる凹部からなり、その内部に樹脂部材27が設けられている。樹脂部材27は、基部17を構成する金属材料より離型性に優れた樹脂材料(良離型性材料)からなる。樹脂部材27の表面は、凹部18の軸方向内側壁18Bを構成し、凹部18の底面18Aとなめらかに繋がっている。
【0043】
樹脂収納部28は、凹部18の軸方向外側壁18Cに対応する位置に開口するように設けられた周方向に沿って延びる凹部からなり、その内部に樹脂部材29が設けられている。樹脂部材29は、基部17を構成する金属材料より離型性に優れた樹脂材料からなる。樹脂部材29の表面は、凹部18の軸方向外側壁18Cを構成し、凹部18の底面18Aとなめらかに繋がっている。
【0044】
なお、樹脂収納部26、28に設けられた樹脂部材27,29の厚みは1mm以上3mm以下であることが好ましい。
【0045】
以上のような本実施形態では、ビードロック16に設けられた凹形状の樹脂収納部26,28に良離型性材料からなる樹脂部材27,29が設けられているため、タイヤ成形装置10を用いて生タイヤの成形を繰り返しても樹脂部材27,29が摩滅しにくくなる。
【0046】
なお、その他の構成及び作用効果については第1実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0047】
(その他の実施形態)
上記した第1実施形態及び第2実施形態では、凹部18の軸方向内側壁18B及び軸方向外側壁18Cを底面18Aより離型性に優れた材料で形成する場合について説明したが、離型性に優れた材料で形成する領域は凹部18においてビード部4と接触する接触面の任意の領域に設けることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1…グリーンケース、2…カーカスプライ、3…ビード部材、3A…ビードコア、3B…ビードフィラー、4…ビード部、5…インナーライナー、6…チェーファー、7…サイドウォールゴム、10…タイヤ成形装置、12…シャフト、14…シェーピングドラム、16…ビードロック、17…基部、18…凹部、18A…底面、18B…軸方向内側壁、18C…軸方向外側壁、22…被膜、24…被膜、26…樹脂収納部、27…樹脂部材、28…樹脂収納部、29…樹脂部材