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特許7029298有機高分子の熱的性質の特性温度の分析方法
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  • 特許-有機高分子の熱的性質の特性温度の分析方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】有機高分子の熱的性質の特性温度の分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/20 20060101AFI20220224BHJP
   G01N 1/06 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
G01N25/20 B
G01N1/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018006403
(22)【出願日】2018-01-18
(65)【公開番号】P2018136312
(43)【公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2017031140
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】内田 公典
(72)【発明者】
【氏名】三田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】奥 達也
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-231269(JP,A)
【文献】特開平09-248840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/20
G01N 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機高分子界面層を含む物品の、有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を分析する方法であり、
有機高分子界面層のみの一部を薄膜生成装置で切削して分析用切片を作製する工程(I)、および
分析用切片を、上記特性温度より十分低温に冷却した後、昇温過程で示差走査熱量計により上記特性温度を検知する工程(II)を含む、
有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を分析する方法。
【請求項2】
工程(II)の昇温過程が、50℃/秒以上の一定の昇温速度での昇温過程である請求項1に記載の有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を分析する方法。
【請求項3】
工程(I)で用いる薄膜生成装置がミクロトームである請求項1または2に記載の有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を分析する方法。
【請求項4】
有機高分子界面層を含む物品が、有機高分子界面層を含む層と異なる有機高分子からなる層とを有する積層体、または有機高分子界面層を含む層と無機材料からなる層とを有する積層体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を分析する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機高分子界面層を含む物品の有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を分析する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機高分子の熱的性質の特性温度、例えば、融点などの相転移温度、ガラス転移温度などはその性質を把握する上では1つの重要な指標となり、従来から、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TG)、熱機械分析(TMA)、動的粘弾性測定などによりこれら特性温度の把握が行われてきた(例えば、非特許文献1など参照)。この有機高分子を含む材料として、有機高分子界面層を含む物品は種々の用途で検討されている。
【0003】
この有機高分子の界面層(以下、有機高分子界面層とも称する。)を有する物品において、有機高分子界面層が他の材料からなる層と接する場合にはその他の材料からなる層の性質などに由来して、あるいは有機高分子界面層が物品の最外層となっている場合には空気と接する部分であることなどに由来して、有機高分子界面層は、同一の有機高分子のバルクでの性質とは異なる性質を示す場合があることが従来から知られている。
【0004】
また、有機高分子からなる層を一層として含む積層体は、従来から樹脂の用途で検討されている。この積層体では、有機高分子からなる層の界面部分(有機高分子界面層)の性質、例えば熱的性質を把握することは重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】十時 稔、「最新分析機器分析講座(第XXII講)熱分析法」、色材協会誌、2006年、Vol.79、No.7、 p.296-311
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、有機高分子界面層は物品全体に対し非常に少量である場合があり、その部分の物性を選択的に分析することが困難である場合があった。また、有機高分子界面層と物品全体とで、製造後の状態(例えば、有機高分子界面層が物品の最外層を形成しており、物品全体が有機高分子界面層と同じ材料で形成されていても、冷却速度が異なる等)の違いにより、通常の熱的性質の分析手段では有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を的確に把握することが困難な場合もあった。そのため、有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を確実に測定する方法はいまだ確立されていないのが実情である。本発明の課題は、有機高分子界面層を含む物品の、有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を確実に測定する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の、有機高分子界面層を含む物品の、有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を分析する方法は、
有機高分子界面層の一部を薄膜生成装置で切削して分析用切片を作製する工程(I)、および
分析用切片を、示差走査熱量計により上記特性温度より十分低温に冷却した後、昇温過程で上記特性温度を検知する工程(II)を含むことを特徴とする。
【0008】
工程(II)の昇温過程は、50℃/秒以上の一定の昇温速度での昇温過程であることが好ましい。工程(I)で用いる薄膜生成装置はミクロトームが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、有機高分子界面層を含む物品において、その界面層の熱的性質の特性温度を確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1での示差走査熱量計による積層フィルムの融点の測定結果を示す図である。
図2】比較例1での示差走査熱量計による積層フィルム融点の測定結果を示す図である。
図3】製造例1および製造例2で用いた原料ペレットの示差走査熱量計による融点の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の熱的性質の特性温度を分析する対象は、物品に含まれる有機高分子界面層である。かかる有機高分子界面層としては、例えば、物品の外気と接する最外層(有機高分子表面層)、物品が有機高分子材料からなる層とその高分子材料とは異なる他の材料からなる層を含む積層体である場合には、他の材料からなる層と接する有機高分子界面層が挙げられる。
【0012】
有機高分子界面層は有機高分子を含む組成物から形成される。その組成物に含まれる有機高分子については特に制限はなく、例えば、熱可塑性重合体を用いることができる。
上記熱可塑性重合体としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等)、エチレン・α-オレフィン共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・オクテン共重合体等)、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、エチレン・ブテン・ジエン共重合体等)、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体等)、プロピレン・α-オレフィン共重合体(プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン・エチレン共重合体等)、ポリブテン、ブテン・α-オレフィン共重合体(ブテン・エチレン共重合体、ブテン・プロピレン共重合体等)、4-メチル-1-ペンテン重合体、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン;
エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-スチレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体などのエチレン-ビニル化合物共重合体;
ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、スチレン系熱可塑性エラストマーなどのスチレン系重合体;
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素樹脂などのビニルハロゲン系重合体;
ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、オイルビニルアルコール、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル;
PA6、PA12、PA66、PA46、PA610、PA612、PA11、MXD6、PA6T、PA9T、PA6T/66、PA6T/6などのポリアミド;
ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性重合体;
ポリウレタン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂などが挙げられる。
これら有機高分子は1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0013】
上記組成物には、有機高分子以外に、高分子界面層の物性を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増核剤、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、充填剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0014】
物品には、有機高分子界面層が含まれていれば特に制限はなく、有機高分子界面層以外の他の部分が含まれていてもよい。
かかる他の部分を形成する材料については特に制限はなく、上述した熱可塑性重合体等の有機高分子などの有機材料、ガラス、鉄、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、金、銀、銅、金属酸化物、セラミックス、セメント、スレート、大理石や御影石、モルタルなどの無機材料、ガラス繊維、炭酸カルシウムなどの無機材料や炭素繊維と不飽和ポリエステル樹脂などの有機材料とを複合化したSMC(シート・モールディング・コンパウンド)等のコンポジット材料などが挙げられる。
【0015】
他の部分を形成する材料は1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、他の部分を形成する材料は有機高分子界面層を形成する材料と同一でも異なっていてもよい。
【0016】
有機高分子界面層を含む物品としては、例えば、有機高分子界面層を含む層と異なる有機高分子からなる層とを有する積層体(例えば、積層フィルムまたは積層シート)、有機高分子界面層を含む層と無機材料からなる層とを有する積層体、結晶性の有機高分子からなる物品を作製した後、熱処理などして表面部分を選択的に結晶化させた、表面層が有機高分子界面層となっている結晶化有機高分子表面層を有する有機高分子からなる物品などが挙げられる。
【0017】
上記積層体中、有機高分子界面層を含む層は、物品の表面層(最外層)であってもよく、他の層と接する物品の内部に存在する層であってもよい。また、物品の表面層である場合には、かかる表面層は、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、電子線・放射線処理や表面グラフト化処理といった表面処理を施されていてもよい。
【0018】
有機高分子界面層の熱的性質の特性温度としては、融点、結晶化温度、結晶相の相転移温度などの相転移温度、ガラス転移温度などが挙げられる。
本発明の有機高分子界面層の熱的性質の特性温度を分析する方法では、まず物品に含まれる有機高分子界面層の一部を薄膜生成装置で切削して分析用切片を作製する(工程(I))。薄膜生成装置としては、ミクロトームが好ましい。ミクロトームを用いて分析用切片を作成する場合には、例えば、分析対象の物品から、有機高分子界面層を含む物品の一部を切り出し、これをミクロトームにセットして、ナイフ(例えば、ガラスナイフ、ダイヤモンドナイフなど)により切削して、分析用切片を作製すればよい。示差走査熱量計により有機高分子界面の熱的性質の特性温度を確実に分析するためには、分析用切片は有機高分子界面層のみからなっていることが好ましい。したがって、分析用切片を作製する際には、物品の一部は有機高分子界面層のみが切削できる条件でミクロトームにセットされ、切削されることが好ましい。例えば、物品が板状の有機高分子界面層を含む層が板状の他の層上に形成された積層体(例えば、積層フィルム、積層シート)の場合、特に有機高分子界面層を含む層が積層体の表面層である場合には、ナイフの切削面が、有機高分子界面層を含む層と高分子界面層を含む層に隣接する他の層とが接する面に対して、ほぼ平行になるように物品の一部がミクロトームにセットされ、有機高分子界面層が選択的に切削されるようにすることが好ましい。
【0019】
また、有機高分子界面層の熱的性質などの性質が切削の影響を受けやすい(例えば、有機高分子界面層を含む層が変形しやすいなど)場合には、冷却条件下でミクロトームによる切削(例えば、クライオミクロトーム法による切削)を行うことが好ましい。
【0020】
分析用切片は、その後、上記特性温度より十分低温に冷却する。冷却温度は、特性温度を検知できる程度に十分に低温であり、有機高分子層を形成する有機高分子の性質を損なわない限り、特に制限はないが、通常-100℃~20℃程度の範囲、好ましくは、-100℃~-10℃程度の範囲である。
【0021】
上記温度まで示差走査熱量計中で分析用切片を冷却した後、昇温過程で示差走査熱量計により上記特性温度を検知する(工程(II))。昇温過程は通常一定の昇温速度で昇温される過程であり、昇温速度は、50℃/秒以上が好ましく、80℃/秒以上であることがより好ましく、90℃/秒以上であることがさらに好ましい。このような高速の昇温速度条件化で、上記特性温度を検知することにより、少量のサンプルであっても、特性温度を確実に検出できる。また、昇温速度が十分に大きいため、例えば熱履歴の違いによる有機高分子層特有の特性温度を検出することができる。
【実施例
【0022】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1](有機高分子表面層を基材層上に有する積層フィルム1の作製)
有機高分子表面層(有機高分子界面層)が基材シートの両面に形成された押出シート(全体の厚み1mm、有機高分子表面層の厚み0.08 mm)を作製し(押出条件:230℃、冷却ロール温度60℃)、得られた押出シートを逐次二軸延伸して(延伸条件:縦5倍、横8倍、延伸速度238 %/秒、温度158℃)して、有機高分子表面層1および2(それぞれの厚さ約2μm)が基材層上に形成された、2種3層の積層フィルム(全体の厚さ25μm)を作製した。なお、有機高分子表面層1および2を形成する有機高分子材料、基材シートを形成する有機高分子材料の組成は以下のとおりである。
【0023】
(組成)
有機高分子表面層1および2:プロピレンランダム共重合体 85重量%およびエチレン・α-オレフィン共重合体 15重量%の組成物
基材層:プロピレン単独重合体
【0024】
[製造例2](有機高分子表面層を基材層上に有する積層フィルム2の作製)
有機高分子表面層3および4を形成する有機高分子材料をプロピレンランダム共重合体のみ(100重量%)とする以外は、製造例1と同様にして、有機高分子表面層3および4(それぞれの厚さ約2μm)が基材層上に形成された2種三層の積層フィルム(全体の厚さ25μm)を作製した。
【0025】
[実施例1]
(分析用切片の作製)
製造例1で得られた積層フィルム1から、縦0.5 mm、横0.5 mm、厚さ25μmの大きさの2種3層構造の積層フィルムの小片を切り出し、クライオウルトラミクロトーム(ライカ社製 UC7、FC7)に、ダイヤモンドナイフの切削面が、基材フィルムと高分子表面層1および2の界面とほぼ平行になるようにセットした。その後、小片を入れたクライオウルトラミクロトーム内の切削室の温度を-120℃に設定して小片を冷却し、-120℃の条件下で、ダイヤモンドナイフで、高分子表面層1を選択的に切削し、厚さ0.8μmの分析用切片1を作製した。同様にして、製造例2で得られた積層フィルム2から、分析用切片2を作製した。
【0026】
(示差走査熱量計(DSC)による融点の測定)
得られた分析用切片1を、超高速DSC(Flash DSC :METTLER TOLEDO社製)にセットして温度-20℃に設定した後、窒素気流下で、-20℃から230℃まで昇温速度は100℃/秒で測定を行った。その結果、分析用切片1では120℃に融解ピークが確認された。同様にして分析用切片2を、超高速DSCにセットし、-20℃から230℃まで昇温速度は100℃/秒で測定を行った。その結果、分析用切片2では125℃に融解ピークが確認された。結果を図1に示す。
【0027】
これらの結果から、高分子表面層にエチレン・α-オレフィン共重合体を含ませることにより、ポロプロピレンランダム共重合体単独の場合と比較して、融点が低下することが、高分子表面層を直接分析した結果から確認することができた。
【0028】
(原料ぺレットのDSCによる融点の測定)
製造例1で用いたプロピレンランダム共重合体 85重量%およびエチレン・α-オレフィン共重合体 15重量%の組成物のペレット、製造例2で用いたプロピレンランダム共重合体のペレットについて、実施例1と同様に分析用切片の作製、示差走査熱量計(DSC)による融点の測定を行った。しかし、これら2つのペレットの融点の違いがないことが確認できた(図3)。積層フィルムの測定結果と原料ペレットの測定結果から、本発明の熱的性質の特性温度を分析する方法によれば、成形条件に由来する熱的性質の特性温度の変化を確実に確認できることが分かった。
【0029】
[比較例1]
(分析用切片の作製)
製造例1で得られた積層フィルム1から、2種3層構造の積層フィルムの小片を切り出し、表面界面物性解析装置SAICAS(ダイプラ・ウィンテス社製 DN型)を用いて、有機高分子表面層の表面から斜め方向に切削して、分析用切片1’を作製した。同様にして、製造例2で得られた積層フィルム2から、分析用切片2’を作製した。
【0030】
(DSCによる融点の測定)
得られた分析用切片1’を、DSC(X-DSC7000 : SII社製)にセットして、温度20℃に設定した後、窒素気流下で、20℃から230℃まで昇温速度は10℃/秒で測定を行った。その結果、分析用切片1’では163℃に融解ピークが確認された。同様にして分析用切片2’を、DSCにセットし、20℃から230℃まで昇温速度は10℃/秒で測定を行った。その結果、分析用切片2’でも同様に163℃に融解ピークが確認された。結果を図2に示す。この融点163℃は、基材フィルムを形成するプロピレン単独重合体に由来するものと考えられ、製造例1で得られた積層フィルム中の高分子表面層と製造例2で得られた積層フィルム中の高分子表面層の融点の違いは確認できなかった。
図1
図2
図3