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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】駐車場用ゲート
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20220224BHJP
   E04H 6/06 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/06 V
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018015137
(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公開番号】P2019132044
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】成冨 将史
(72)【発明者】
【氏名】野上 達矢
【審査官】新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-137619(JP,A)
【文献】特開2011-214379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の車両配置エリアと外部とを開閉する駐車場用ゲートであって、モータによって上昇し、上昇位置にあるゲート本体を降下させる降下スイッチと、ゲート本体が上昇位置にあるときにゲート本体の降下を阻止する上昇時降下阻止手段を備え、前記降下スイッチが操作されると前記上昇時降下阻止手段が解除される駐車場用ゲートにおいて、
ゲート本体の降下を阻止する非常降下停止手段と、ゲート本体の異常な速度の降下を検知又はその前兆現象を検知する異常検知手段を有し、
降下スイッチが操作され、且つ異常検知手段が前記状況を検知した場合に、前記非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止するものであり、
異常検知手段は、外部からモータに供給される電流及び/又はモータが発生する電流を検知する電流検知手段であり、降下スイッチが操作され、且つ一定時間の間、電流検知手段が所定の電流を検知しなかった場合に、前記非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止することを特徴とする駐車場用ゲート。
【請求項2】
駐車場の車両配置エリアと外部とを開閉する駐車場用ゲートであって、モータによって上昇し、上昇位置にあるゲート本体を降下させる降下スイッチと、ゲート本体が上昇位置にあるときにゲート本体の降下を阻止する上昇時降下阻止手段を備え、前記降下スイッチが操作されると前記上昇時降下阻止手段が解除される駐車場用ゲートにおいて、
ゲート本体の降下を阻止する非常降下停止手段と、ゲート本体の異常な速度の降下を検知又はその前兆現象を検知する異常検知手段を有し、
降下スイッチが操作され、且つ異常検知手段が前記状況を検知した場合に、前記非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止するものであり、
異常検知手段は、外部からモータに供給される電流及び/又はモータが発生する電流を検知する電流検知手段であり、降下スイッチが操作されてから設定時間経過後に、電流検知手段が所定の電流を検知しなかった場合に、前記非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止することを特徴とする駐車場用ゲート。
【請求項3】
前記モータはブレーキを有しており、当該ブレーキはゲート本体が上昇位置にあるときにゲート本体の降下を阻止する上昇時降下阻止手段として機能し、且つ当該ブレーキが非常降下停止手段としても機能することを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車場用ゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場のゲートに関するものである。特に本発明は、マンション等の建屋に付属する駐車場や、立体駐車場のゲートの様に、車両配置エリアに人や物が入ることを規制する駐車場用ゲートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
限られた面積の土地を有効利用し、より多数の自動車を駐車させる装置として、機械式駐車装置が知られている。
機械式駐車装置は、自動車を立体的に駐車させる装置である。代表的な機械式駐車装置は、自動車を載置するパレットと、このパレットを昇降させる昇降装置を有している。また機械式駐車装置では、車両配置エリアに自動車を出し入れする車両出入り部がある。
そして車両出入り部から機械式駐車装置の車両配置エリアに自動車を導入し、パレットに自動車を載置し、パレットを昇降して所定の階に自動車を配置する。
またパズル式立体駐車装置と称されるものは、パレットを昇降させるだけでなく、パレットを横行させる機能も有している。
立体駐車装置は、例えば特許文献1、2に開示されている。
【0003】
機械式駐車装置のパレットは、上下に昇降したり横行するので、車両配置エリア内に人が立ち入ると危険である。
そのため車両出入り部にはゲートが設けられることが多い。
特許文献2に開示されたゲート(以下 従来技術のゲートと称する)は、昇降式のゲートであり、ゲート本体が上昇位置にある状態が開状態であり、ゲート本体が降下位置にある状態が閉状態である。
従来技術のゲートは、モータによって昇降する。従来技術のゲートには、落下を防止するための落下防止装置が設けられている。
落下防止装置は具体的には落下防止ピンであり、ゲート本体が上昇位置にあるときに突出する。またゲート本体には、前記した落下防止ピンと係合するストッパーが設けられている。
【0004】
従来技術では、ゲート本体が上昇して開放位置に達したことがゲート開放位置検知器で検知されると、落下防止ピンが突出する。
従来技術によると、ゲート本体が上昇位置にあるときにブレーキが故障しても、ゲート本体が落下防止ピンと係合してゲート本体の落下が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-42388号公報
【文献】特開平9-137619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術によると、ゲート本体が不意に落下してくる事故は概ね防止できる。
しかしながら、従来技術によっても、ゲート本体が予期しない速度で落下することを阻止することはできない。
従来技術によると、使用者がゲート本体を閉じるべくゲート降下スイッチを操作すると、落下防止ピンが退避することとなる。落下防止ピンは、ゲート本体を最上位の高さに維持するものであるためゲート本体が降下途中であるときに、仮にゲートをゆっくりと降下させる機器に不具合があれば、ゲート本体は自重によって高速度で落下する。即ち使用者が予期しない速度でゲート本体が落下し、ゲートが破損してしまう懸念がある。
【0007】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、ゲート本体が予期しない速度で落下することを防止する駐車場用ゲートを開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、駐車場の車両配置エリアと外部とを開閉する駐車場用ゲートであって、モータによって上昇し、上昇位置にあるゲート本体を降下させる降下スイッチと、ゲート本体が上昇位置にあるときにゲート本体の降下を阻止する上昇時降下阻止手段を備え、前記降下スイッチが操作されると前記上昇時降下阻止手段が解除される駐車場用ゲートにおいて、ゲート本体の降下を阻止する非常降下停止手段と、ゲート本体の異常な速度の降下を検知又はその前兆現象を検知する異常検知手段を有し、降下スイッチが操作され、且つ異常検知手段が前記状況を検知した場合に、前記非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止するものであり、異常検知手段は、外部からモータに供給される電流及び/又はモータが発生する電流を検知する電流検知手段であり、降下スイッチが操作され、且つ一定時間の間、電流検知手段が所定の電流を検知しなかった場合に、前記非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止することを特徴とする駐車場用ゲートである。
【0009】
本発明の駐車場用ゲートでは、ゲート本体の異常な速度の降下を検知又はその前兆現象を検知する異常検知手段を有している。
本発明の駐車場用ゲートでは、ゲート本体の異常な速度で降下しているか、その前兆があることを異常検知手段が検知すると、非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止する。そのためゲート本体が予期しない速度で落下することが防止される。
【0010】
駐車場用ゲートは、ゲート本体とモータは他の部材を介してゲート本体と常時係合していることが望ましい。またモータをゲート本体が降下する際の負荷として利用し、ゲートをゆっくりと降下させる構造のゲートであることが望ましい。
【0011】
請求項に記載の発明は、異常検知手段は、外部からモータに供給される電流及び/又はモータが発生する電流を検知する電流検知手段であり、降下スイッチが操作され、且つ一定時間の間、電流検知手段が所定の電流を検知しなかった場合に、前記非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、駐車場の車両配置エリアと外部とを開閉する駐車場用ゲートであって、モータによって上昇し、上昇位置にあるゲート本体を降下させる降下スイッチと、ゲート本体が上昇位置にあるときにゲート本体の降下を阻止する上昇時降下阻止手段を備え、前記降下スイッチが操作されると前記上昇時降下阻止手段が解除される駐車場用ゲートにおいて、ゲート本体の降下を阻止する非常降下停止手段と、ゲート本体の異常な速度の降下を検知又はその前兆現象を検知する異常検知手段を有し、降下スイッチが操作され、且つ異常検知手段が前記状況を検知した場合に、前記非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止するものであり、異常検知手段は、外部からモータに供給される電流及び/又はモータが発生する電流を検知する電流検知手段であり、降下スイッチが操作されてから設定時間経過後に、電流検知手段が所定の電流を検知しなかった場合に、前記非常降下停止手段が作動してゲート本体の降下を阻止することを特徴とする駐車場用ゲートである。
【0013】
請求項に記載の発明では、外部からモータに供給される電流及び/又はモータが発生する電流を検知する電流検知手段を有している。
前記した様に、本発明の駐車場用ゲートは、モータをゲート本体が降下する際の負荷として利用するものであるから、ゲート本体を降下する際には、積極的にモータに通電するか、或いはモータが発電機として機能し、モータ自体が回生電流を発生させる。
いずれにしても、ゲート本体を降下する際には、モータに電流が流れるはずである。
逆にゲート本体を降下させる際に、モータに電流が流れないならば、なんらかの故障があり、モータが負荷として機能していない可能性がある。
そこで本発明では、降下スイッチが操作され、且つ電流検知手段が所定の電流を検知しなかった場合に、非常降下停止手段を作動させ、ゲート本体の降下を阻止することとしている。そのためゲート本体が予期しない速度で落下することが防止される。
【0014】
請求項に記載の発明は、前記モータはブレーキを有しており、当該ブレーキはゲート本体が上昇位置にあるときにゲート本体の降下を阻止する上昇時降下阻止手段として機能し、且つ当該ブレーキが非常降下停止手段としても機能することを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車場用ゲートである。
【0015】
本発明では、モータが上昇時降下阻止手段及び非常降下停止手段としても機能するので、部品点数の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の駐車場用ゲートによると、ゲート本体が予期しない速度で落下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の駐車装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態の駐車場用ゲートの斜視図である。
図3】(a)は図2の駐車場用ゲートの概念図であり、(b)はモータに内蔵された電磁ブレーキが解除された状態を示し、(c)は電磁ブレーキが機能している状態を示す。
図4】(a)は図2の駐車場用ゲートの概念図であり、ゲート本体が正常に上昇する場合の動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図5】(a)は図2の駐車場用ゲートの概念図であり、ゲート本体が開状態にある場合の動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図6】(a)は図2の駐車場用ゲートの概念図であり、ゲート本体が正常に降下する場合の動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図7】(a)は図2の駐車場用ゲートの概念図であり、切り替えリレーが故障した状態でゲート本体を降下させようとした場合の動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図8】(a)は図2の駐車場用ゲートの概念図であり、図7に続く動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図9図2の駐車場用ゲートの動作を示すフローチャートである。
図10】(a)は本発明の第二実施形態の駐車場用ゲートの概念図であり、(b)はモータに内蔵された電磁ブレーキが解除された状態を示し、(c)は電磁ブレーキが機能している状態を示す。
図11】(a)は図10の駐車場用ゲートの概念図であり、ゲート本体が正常に上昇する場合の動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図12】(a)は図10の駐車場用ゲートの概念図であり、ゲート本体が開状態にある場合の動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図13】(a)は図10の駐車場用ゲートの概念図であり、ゲート本体が正常に降下する場合の動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図14】(a)は図10の駐車場用ゲートの概念図であり、切り替えリレーが故障した状態でゲート本体を降下させようとした場合の動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図15】(a)は図10の駐車場用ゲートの概念図であり、図14に続く動作を示し、(b)はそのときの電磁ブレーキの状態を示す。
図16】本発明の他の実施形態の駐車場用ゲートの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
実施形態の駐車装置1は、4階建であり、複数台の自動車(車両)を駐車することができる車両配置エリア2がある。
駐車装置1の車両配置エリア2には、自動車を載置するパレット(載置台)5が複数設けられている。各パレット5は、図示しない駆動機構によって左右方向と上下方向にパズル式に移動が可能である。
また、駐車装置1の1階(地上階)部分には、車両配置エリア2に自動車を出入りさせる車両出入り部3a~3dが設けられている。
【0019】
自動車の入庫時には、図示しない駆動機構によって、空いているパレット5が地上階に移動し、車両出入り部3a~3dのいずれかを介して自動車が車両配置エリア2に入ってパレット5上に載置される。また、自動車の出庫時には、図示しない駆動機構によって当該自動車が載置されたパレット5が地上階に移動し、当該パレット5上の自動車は、車両出入り部3a~3dのいずれかを介して車両配置エリア2から駐車装置1の外部へ出る(出庫する)ことができる。
【0020】
駐車装置1には、各車両出入り部3a,b,c,dにゲート(駐車場用ゲート)6a,b,c,dが設けられている。ゲート6a,b,c,dは、それぞれの車両出入り部3a,b,c,dを遮蔽するゲート本体20を有し、車両配置エリア2の内外をゲート本体20で仕切るものである。
本実施形態では、ゲート本体20が上下に移動して各車両出入り部3a,b,c,dを開閉するものである。ゲート本体20を昇降してゲート6を開閉する開閉手段10は、図2の様にギャードモータ11、駆動スプロケット12、従動スプロケット15、昇降用チェーン13によって構成されている。
即ち、ゲート6の上方に駆動スプロケット12が回転可能に設置され、ゲート6の下方に従動スプロケット15が回転可能に設置されている。
そして駆動スプロケット12及び従動スプロケット15に昇降用チェーン13が巻回されており、昇降用チェーン13の一部にゲート本体20が固定されている。
駆動スプロケット12にはギャードモータ11の出力軸が接続されている。
本実施形態では、ギャードモータ11を回転すると、昇降用チェーン13が走行し、ゲート本体20が昇降して車両出入り部3a,b,c,dを開閉する。
【0021】
以下、ゲート(駐車場用ゲート)6の構造及び電気回路について詳細に説明する。
ゲート6は、前記した様に、ゲート本体20と、開閉手段10を有している。さらにゲート6には、降下確認センサー22と、上昇確認センサー23を有している。また図1の様に、駐車装置1の近傍に制御装置18があり、制御装置18にゲート6を動作させる操作スイッチ25がある。操作スイッチ25には図3の様に、上昇スイッチ26と、降下スイッチ27がある。
【0022】
ゲート本体20を昇降させるギャードモータ11は、公知のそれと同様、モータ28と減速機が一体化されたものである。ギャードモータ11の部材たるモータ28は、公知の三相モータである。モータ28は、ブレーキ付きモータであり、図3の様に電磁ブレーキ30が内蔵されている。
電磁ブレーキ30は、モータ28の回転軸32に取り付けられたブレーキディスク33と、ブレーキパット35と、ブレーキ用電磁石36及び押圧バネ37によって構成されている。
ブレーキパット35は、常時、押圧バネ37によって、ブレーキディスク33に押し付けられている。
ブレーキ用電磁石36は、ブレーキパット35の近傍にあり、通電することによって、ブレーキパット35を引きつけ、ブレーキディスク33からブレーキパット35を引き離す。
この様に、電磁ブレーキ30は、常時、モータの回転軸32を回転不能に固定するものであり、ブレーキ用電磁石36に通電することによって、回転軸32を開放する。
【0023】
次に、電気回路について説明する。
モータ28には、インバータ装置40から通電される。インバータ装置40は、公知のそれと同様に、周波数を変換することができるものであり、モータ28に給電する電流の周波数を調整することによって、モータ28の回転数を変更することができる。
さらにインバータ装置40は、内部で出力相を変更する機能を有し、モータ28を正回転と逆回転を切り替えることができる。
また本実施形態で採用するインバータ装置40は、異常検知手段の一つとして、モータ28のコイルに流れる電流を検知する電流検知手段を備えている。インバータ装置40は電流検知手段として電流検知回路51を内蔵しているので、当該インバータ装置40によって、モータ28に供給される電流や、モータ28が発生する電流を検知することができる。
この様に、インバータ装置40は、周波数を変換する周波数変換回路50と、モータ28の回転方向を切り替える回転方向切り替え回路52を備えている。
【0024】
回転方向切り替え回路52は、図3の様なリレーR1乃至R4を含むリレー群42によって構成されている。そしてリレーR1乃至R4を切り替えることによってモータ28に供給する3相の内、2相が入れ代わり、モータ28の回転方向が切り替えられる。
本実施形態では、リレーR1、R2を通電状態とし、リレーR3、R4を遮断状態とすることによって、モータ28は正方向に回転して、ゲート本体20が上昇する。
逆にリレーR1、R2を遮断状態とし、リレーR3、R4を通電状態とすることによって、モータ28は逆方向に回転して、ゲート本体20が降下する。
【0025】
またモータ28内のブレーキ用電磁石36には、図示しない直流電流が供給される。ブレーキ用電磁石36の給電回路には、ブレーキ解除リレー45が介在されている。
ブレーキ解除リレー45が通電状態になれば、ブレーキ用電磁石36に通電され、押圧バネ37に抗してブレーキパット35がブレーキディスク33から離れ、ブレーキが解除される。
【0026】
また前記した様に、駐車装置1の近傍に制御装置18があり、制御装置18に降下確認センサー22と、上昇確認センサー23の信号が入力されている。またインバータ装置40の電流検知回路(電流検知手段)51の検知信号についても制御装置18に入力されている。
制御装置18は、コンピュータであり、ゲート6に各種の動作を行わしめるプログラムが記憶されている。
即ち図4の様に、操作スイッチ25の上昇スイッチ26をオンすることによって、切り替えリレー群42を構成するリレーR1、R2が通電状態となり、リレーR3、R4が遮断状態となってモータ28を正方向に回転させる。
また同時にブレーキ用電磁石36を通電状態とし、電磁ブレーキ30を解除する。その結果、図4の様に、駆動スプロケット12が回転し、矢印の様にゲート本体20が上昇する。
【0027】
また図5の様に、ゲート本体20が上端に達し、上昇確認センサー23が、ゲート本体20が上昇してゲート6が開状態となったことが確認されると、切り替えリレー群42が全て遮断状態となってモータ28が停止し、インバータ装置40からの送電が停止する。或いは切り替えリレー群42は図4のモータ28を正方向に回転させる接続関係を維持し、周波数変換回路50の出力を停止してインバータ装置40からの送電を停止する。
また図5の様に、ゲート本体20が上端に達すると、ブレーキ解除リレー45が遮断状態となり、電磁ブレーキ30が掛かってモータ28の回転軸32を保持し、外力によって回転軸32が回転することが阻止される。
【0028】
モータ28は、駆動スプロケット12及び昇降用チェーン13を介してゲート本体20と常時係合しているから、電磁ブレーキ30によってモータ28の回転が強制的に阻止されることによって、昇降用チェーン13は動かず、ゲート本体20は上昇した状態で止まり、ゲート6は開状態を維持する。
この様に本実施形態では、モータ28の電磁ブレーキ30が、ゲート本体20の降下を阻止する上昇時降下阻止手段として機能する。
【0029】
一方、ゲート本体20を降下してゲート6を閉じる場合には、操作スイッチ25の降下スイッチ27をオンする。
その結果、切り替えリレー群42を構成するリレーR1、R2が遮断状態となり、リレーR3、R4が通電状態となってモータ28を逆方向に回転させる。
また同時にブレーキ解除リレー45を通電状態としてブレーキ用電磁石36に通電し、電磁ブレーキ30を解除する。その結果、図6の様に、駆動スプロケット12が逆回転し、矢印の様にゲート本体20が降下する。
【0030】
なお、ゲート本体20が上昇位置にある際に電磁ブレーキ30を解除すると、重力によってゲート本体20が降下傾向となる。前記した様にモータ28は、駆動スプロケット12及び昇降用チェーン13を介してゲート本体20と常時係合しているから、ゲート本体20の重力降下によって、モータ28が強制的に回転される状態となる。
この状態では、モータ28は発電機として機能し、モータ28側からインバータ装置40側に電流が流れる。この電流は、図示しない抵抗で消費される。
そのためモータ28が負荷となって、ゲート本体20はゆっくりと降下し、最下点に至る。ゲート本体20が下端に達し、降下確認センサー22が、ゲート本体20が降下してゲート6が閉状態となったことが確認すると、切り替えリレー群42が全て遮断状態となってインバータ装置40の送電が停止する。
この様に、本実施形態では、モータ28が回生制動によって制動力を発現し、ゲート本体20をゆっくりと降下させる。
【0031】
以上は、ゲート6を構成する各機器が正常に機能した場合の動作を説明したものであるが、切り替えリレー群42に不具合があり、ゲート本体20を降下させるべく降下スイッチ27をオンにしたとき、切り替えリレー群42を構成するリレーR1乃至R4が全て遮断状態となることがあり得る。
また降下スイッチ27をオンにすることによって電磁ブレーキ30が解除される。
この状況下においては、モータ28の回生制動による制動力は期待できず、ゲート本体20は予期しない速度で落下することが予想される。
【0032】
本実施形態のゲート6では、この問題に対処するための方策が講じられている。
以下、図7図8及び図9を参照しつつ説明する。
本実施形態では、前記した様にインバータ装置40に、モータ28のコイルに流れる電流を検知する電流検知回路(電流検知手段)51が内蔵されている。そのためインバータ装置40によって、モータ28に供給される電流や、モータ28が発生する電流を検知することができる。そしてインバータ装置40の電流検知回路51の検知信号が制御装置18に入力されている。
【0033】
本実施形態では、降下スイッチ27をオンにした後、制御装置18がモータ28のコイルに流れる電流を監視し、一定時間の間に渡って電流を検知できなかったり、検知電流が一定未満である場合に、ゲート6を非常停止させる。前記した「一定時間」は、0.1秒から1.0秒程度であり、より好ましくは、0.2秒から0.5秒程度である。
「一定時間」は、ゲート本体20を制動負荷なく自然落下させた場合に、ゲート本体20が実際に落下する距離を参考にして決められることが望ましい。
具体的には、「一定時間」は、ゲート本体20を制動負荷なく自然落下させた場合に、数センチ以内の落下量となる時間であることが望ましい。
【0034】
本実施形態では、ゲート本体20を降下させる際には、モータ28をゲート本体20側から回転させて、回生電流を発生させ、この電流を消費することによって制動力を発現させている。
図7の様に、降下スイッチ27をオンして電磁ブレーキ30が解除したにも係わらず、モータ28のコイルに電流が無い場合は、ゲート本体20が何かに引っ掛かって降下しないか、あるいはモータ28や切り替えリレー群42に不具合が生じて、モータ28が制動力を発現していないかのいずれかである。
【0035】
そこで本実施形態では、安全性を確保するため、降下スイッチ27をオンにした後、モータ28のコイルに流れる電流を監視し、いずれかの段階で、一定時間の間に渡って電流を検知できなかったり、検知電流が一定未満である場合は、ゲート6を非常停止させる。
具体的には図8の様にブレーキ解除リレー45を遮断状態として電磁ブレーキ30を復活させ、電磁ブレーキ30によってモータ28の回転を強制的に停止させる。
その結果、落下しかけたゲート本体20は、中途の位置で停止する。なお実際には、ゲート本体20の降下距離は、数センチ以内であり、実質的にゲート本体20は動いたようには見えない。
この様に本実施形態では、モータ28の電磁ブレーキ30が、ゲート本体の降下を中途で阻止する非常降下停止手段としても機能する。
【0036】
図9のフローチャートに沿って説明すると、降下スイッチ27が押されてON状態となるのをステップ1で待つ。
降下スイッチがONされればステップ2に移行し、インバータ装置40が駆動する。
またステップ3に移行し、モータ28切り替えリレー群42を構成するリレーR1、R2が遮断状態となり、リレーR3、R4が通電状態となり、モータ28に対して逆回転する方向に駆動電流が出力される。
これと並行して、ステップ4では、ブレーキ解除リレー45を通電状態としてブレーキ用電磁石36に通電し、電磁ブレーキ30を解除する。
【0037】
続いてステップ5に移行し、制御装置18がモータ28のコイルに流れる電流を監視し、回生電流が発生しているか否かを確認する。
モータ28のコイルに一定値以上の電流が流れていることがステップ5で確認されれば、ステップ6に移行し、ゲート本体20が下端位置に到達したか否かが確認される。
即ちステップ5でモータ28が回生電流を発生していることが確認できた場合は、モータ28は、ゲート本体20の重力落下によって強制的に回転させられており、ゲート本体20は、ゆっくりと降下を続けている。
そのため一定時間後には、ゲート本体20は下端位置に到達する筈であるから、ステップ6でゲート本体20の下端位置への到達を待つ。
ステップ6に移行して、ゲート本体20が未だに下端位置に到達していなければ、ステップ5に戻り、モータ28のコイルに流れる電流を監視し続ける。
降下確認センサー22によって、ゲート本体20の下端位置への到達したことが確認さそれるとステップ7に移行し、インバータ装置40を停止して駆動電流の供給を停止する。
【0038】
一方ステップ5で一定以上の電流を検知できなかった場合は、ステップ8に移行し、一定時間が経過したか否かを確認する。そしてステップ5とステップ8の間を往復し、一定時間の間、モータ28に流れる電流を監視し、この間に電流が検知できればステップ6に移行する。
【0039】
一定時間の間監視したけれどもその間にモータ28に電流が流れていることが確認できなかった場合には、ステップ9に移行し、ブレーキ解除リレー45を遮断状態としてモータ28の電磁ブレーキ30を作動させ、モータ28の回転を強制的に停止する。その結果、図8の様にゲート本体20がその場で停止する。
その後、ステップ10に移行し、制御装置18の図示しない表示パネルにエラー表示を出す。その後、ステップ7に移行し、インバータ装置40を停止して駆動電流の供給を停止する。
【0040】
以上説明した実施形態では、一定時間の間、モータ28に流れる電流を監視し、この間に電流が検知できなければ電磁ブレーキ30を作動させ、モータ28の回転を強制的に停止した。
他の方法としては、降下スイッチ27が操作されてから一定時間(設定時間)経過後に、電流検知手段が所定の電流を検知しなかった場合に、電磁ブレーキ30を作動させ、モータ28の回転を強制的に停止させてもよい。
図16は、この方策を採用した場合の制御の流れを示すフローチャートである。
【0041】
以上説明した実施形態では、インバータ装置40内にモータ28の回転方向を切り替える回転方向切り替え回路52を設け、インバータ装置40内でモータ28の回転方向が切り替わる様に結線したが、インバータ装置40の内部又は外部で、モータ28のコイルを回生電量が発生する様に切り替えてもよい。
図10乃至図15に示すゲート(駐車場用ゲート)60は、モータ28のコイルを回生電量が発生する様に切り替えるものである。なお図10乃至図15に示す第二実施形態のゲート60の内、先の実施形態と同一の部材は、同一の番号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
図10乃至図15に示すゲート60では、インバータ装置40内にモータ28のコイルを通電状態から短絡状態に短絡切り替え回路55を設けている。短絡切り替え回路55はコイルを短絡するバイパス配線61を有し、バイパス配線61を断続するバイパスリレーR10、R11を設けている。またインバータ装置40からモータ28に給電する回路を断続する断続リレーR12、R13、R14が設けられている。
【0043】
即ちゲート本体20を上昇させる際には、図11の様にバイパスリレーR10、R11を遮断状態とし、断続リレーR12、R13、R14を通電状態としてモータ28を正方向に回転させる。
また同時にブレーキ解除リレー45を通電状態とし、電磁ブレーキ30を解除する。その結果、図11の様に、駆動スプロケット12が回転し、矢印の様にゲート本体20が上昇する。
【0044】
ゲート本体20を上昇して上昇確認センサー23が、ゲート本体20を検知すると、図12の様に、断続リレーR12、R13、R14が遮断状態となってモータ28が停止する。或いは各リレーは図11のモータ28を正方向に回転させる接続関係を維持し、周波数変換回路50の出力を停止してインバータ装置40からの送電を停止する。
また図12の様に、ゲート本体20が上端に達すると、断続リレーR12、R13、R14が遮断状態となり、電磁ブレーキ30が掛かってモータ28の回転軸32を保持し、外力によって回転軸32が回転することが阻止される。
【0045】
ゲート本体20を降下する際には、図13の様に、バイパスリレーR10、R11を通電状態とする。また同時にブレーキ解除リレー45を通電状態としてブレーキ用電磁石36に通電し、電磁ブレーキ30を解除する。その結果、図13の様に、駆動スプロケット12が逆回転し、矢印の様にゲート本体20が降下する。
【0046】
本実施形態においても、電流検知回路51の検知信号が制御装置18に入力されている。本実施形態では、降下スイッチ27をオンにした後、制御装置18がモータ28のコイルに流れる電流を監視し、一定時間の間に渡って電流を検知できなかったり、検知電流が一定未満である場合に、ゲート60を非常停止させる。
【0047】
即ち、本実施形態においても、ゲート本体20を降下させる際には、モータ28をゲート本体20側から回転させて、回生電流を発生させ、この電流を消費することによって制動力を発現させている。
降下スイッチ27をオンして電磁ブレーキ30が解除したにも係わらず、モータ28のコイルに電流が流れ無い場合は、ブレーキ解除リレー45を遮断状態として電磁ブレーキ30を復活させ、電磁ブレーキ30によってモータ28の回転を強制的に停止させる。
その結果、落下しかけたゲート本体20は、中途の位置で停止する。
【0048】
以上説明した実施形態では、モータ28にブレーキ付きモータを採用し、モータ28の外力による回転を内蔵する電磁ブレーキ30で強制的に停止させることによってゲート本体20の落下を阻止する構成を採用した。
本実施形態によると、モータ28の電磁ブレーキ30が、ゲート本体20が上昇位置にあるときにゲート本体20の降下を阻止する上昇時降下阻止手段として機能し、且つゲート本体20を繊維の位置で停止させる非常降下停止手段としても機能する。
【0049】
この構成は、部品点数を少なくすることができるものであり、推奨される構成であるが、上昇時降下阻止手段と非常降下停止手段を個別に設けることも可能である。
ゲート本体20の降下を阻止する方策(請求項の上昇時降下阻止手段及び非常降下停止手段)としては、ゲート本体20が降下する方向に物理的な障害物を設ける方法と、チェーン等の駆動を阻止する方法が考えられる。
従来技術の様な落下防止ピンを突出させるのは、ゲート本体20が降下する方向に物理的な障害物を設ける方法の一つであり、上昇時降下阻止手段として採用可能である。
【0050】
また落下防止ピンを高さ方向に複数設置し、ゲート本体20が落下せんとする際に、全ての落下防止ピンを突出させ、いずれかの落下ピンでゲート本体20を阻止することも考えられる。この方法によると、落下防止ピンによって非常降下停止手段を構成することができる。
また幅方向に拡張する部材をゲート本体20に設け、ゲート本体20が嵌合するレールやガイドの間で摩擦力を発生させてゲート本体20の落下を阻止することも可能である。
【0051】
また駆動スプロケット12や従動スプロケット15にブレーキを設けたり、昇降用チェーン13を強制的に保持してゲート本体20が降下を阻止してもよい。
【0052】
上記した実施形態では、モータ28のコイルに流れる電流を監視して、ゲート本体20が落下する兆候を検知した。電流検知回路(電流検知手段)51は、ゲート本体20の異常な速度の前兆現象を検知する異常検知手段の一例である。
これに対して、ゲート本体20が降下する際のモータ28の回転速度や、チェーン等の走行速度を検知し、ゲート本体20が異常な速度で降下する現象を直接的に検知してもよい。
【0053】
以上説明した実施形態では、モータ28は、駆動スプロケット12及び昇降用チェーン13を介してゲート本体20と常時係合しているが、これに代わってプーリとワイヤによってモータ28とゲート本体20を常時係合させてもよい。
またラックアンドピニオンや送りネジを利用してモータ28とゲート本体20を常時係合させてもよい。
【0054】
以上説明したゲート6、60は、ゲート本体20を上昇させて開状態とし、降下させて閉状態とするものであるが、ゲート本体20を床下に沈めて開状態とし、引き上げて閉状態とする構造のものに本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1 駐車装置
2 車両配置エリア
6,60 ゲート(駐車場用ゲート)
18 制御装置
20 ゲート本体
22 降下確認センサー
23 上昇確認センサー
26 上昇スイッチ
27 降下スイッチ
28 モータ
30 電磁ブレーキ(上昇時降下阻止手段)(非常降下停止手段)
40 インバータ
42 切り替えリレー群
45 ブレーキ解除リレー
51 電流検知回路(電流検知手段)(異常検知手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16