(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】冷却器付き電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/02 20060101AFI20220224BHJP
H02K 9/06 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
H02K9/02 B
H02K9/06 E
(21)【出願番号】P 2018045432
(22)【出願日】2018-03-13
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄司
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021642(JP,A)
【文献】特開2007-060838(JP,A)
【文献】特開2006-234255(JP,A)
【文献】実開昭62-004866(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0169440(US,A1)
【文献】特開2016-056929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/02
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機本体と、
この電動機本体を覆うフレームと、
前記電動機の回転軸の後端に連結され、前記フレームの外部に配置されるファンと、
このファンを覆うように、前記フレームに取り付けられるファンカバーと、
このファンカバーの通風面に接して取り付けられ、内部に注入される液体を前記ファンによる送風で冷却する冷却器とを備え
、
前記冷却器が前記ファンカバーに接する部分に緩衝部材を備え、
前記通風面には、前記緩衝部材を取り付けるための取付口を備え、
前記緩衝部材は枠状であり、当該枠の外側に取付用の溝部を備え、前記溝部を前記取付口の開口周辺に嵌合させて取り付けられている冷却器付き電動機。
【請求項2】
前記取付口は、前記通風面の中央部に係るように形成されている請求項
1記載の冷却器付き電動機。
【請求項3】
前記電動機本体を設置するため前記フレームに取り付けられ、後端が前記ファンカバーの取付位置を超えて延設されている脚部を備え、
前記冷却器は、前記脚部に固定されている請求項1
又は2に記載の冷却器付き電動機。
【請求項4】
前記冷却器は、矩形状であり、
一辺側に配置される液体注入部と、
前記一辺の対辺側に配置される液体排出部と、
前記液体注入部と前記液体排出部との間を接続し、前記液体注入部に注入された液体を前記液体排出部に送出するため、所定の間隔をおいて配置される複数の液体送出部と、
これら複数の液体送出部の間にそれぞれ配置される複数の放熱フィンとを備える請求項1から
3の何れか一項に記載の冷却器付き電動機。
【請求項5】
前記放熱フィンは、自身を挟む2つの液体送出部の間をジクザク状に連続して折り返す形状である請求項
4記載の冷却器付き電動機。
【請求項6】
一端が前記液体注入部に接続される液体注入管と、
一端が前記液体排出部に接続される液体排出管とを備え、
前記液体注入管及び前記液体排出管は、前記フレームの外部において前記回転軸の軸方向に沿って配置されており、それらの他端が前記回転軸の前端側に導出されている請求項
4又は
5記載の冷却器付き電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷却器を備える電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧装置は、例えば特許文献1に開示されているように、油タンクに貯蔵された作動油を吸入して吐出する油圧ポンプや、作動油を冷却するための冷却器を備えている。冷却器は、油圧ポンプを駆動する電動機側に設けられているファンによる送風で作動油を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、冷却器を備えている分だけ、前記電動機の軸方向寸法が長くならざるを得ず、油圧装置全体のサイズが大型化している。
そこで、冷却器を用いる構成においても、軸方向寸法の増長を抑制できる冷却器付き電動機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷却器付き電動機は、
電動機本体と、
この電動機本体を覆うフレームと、
前記電動機の回転軸の後端に連結され、前記フレームの外部に配置されるファンと、
このファンを覆うように、前記フレームに取り付けられるファンカバーと、
このファンカバーの通風面に接して取り付けられ、内部に注入される液体を前記ファンによる送風で冷却する冷却器とを備える。
そして、前記冷却器が前記ファンカバーに接する部分に緩衝部材を備え、前記通風面には、前記緩衝部材を取り付けるための取付口を備え、前記緩衝部材は枠状であり、当該枠の外側に取付用の溝部を備え、前記溝部を前記取付口の開口周辺に嵌合させて取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態であり、電動機を後端側から見た背面図であり、冷却器を示す図
【
図2】ファンカバーの通風面に取り付けられたパッキンを示す図
【
図3】電動機の構成をフレームの一部を破断して示す側面図
【
図4】
図3相当図において、ファンによる送風の流れを矢印で示す図
【
図7】第2実施形態であり、ファンカバーの通風面に取り付けられたパッキンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について
図1から
図7を参照して説明する。
図6は油圧装置の斜視図,
図7は同正面図である。油タンク1の内部には作動油が貯蔵される。油タンク1は、底板1Eに第1側板1A,第2側板1B,第3側板1C及び第4側板1が立設され、上部が開口された略直方体形状である。上板2は油タンク1の上部開口を閉塞するもので、油タンク1に対し着脱自在に設けられている。電動機3は、油圧ポンプ4を回転駆動するもので、電動機3の軸方向に沿って伸びる2本の脚部36,36及び複数の緩衝部材5を介して上板2に固定されている。
【0008】
油圧ポンプ4は、上板2上において電動機3の前面に固定され、電動機3の回転駆動力により油タンク1内の作動油を吸入管路4Aより吸入し、吐出路4Bから吐出させる。吐出路4Bは、図示しないアクチュエータに接続されている。アクチュエータを経由した作動油は、戻り路6を介して油タンク1へ戻される。圧力計7は、油圧ポンプ4の吐出圧力を表示するもので、取付部材7Aにより吐出路4Bに接続され、正面が第1側板1Aの方向に向いている。
【0009】
給油口部材10は、上板2に配設され、作動油を油タンク1内部に給油する給油口をなしている。蓋部材11は、給油口を閉塞するもので、給油口部材10に着脱自在に取り付けられている。油面計8は、作動油の貯蔵量をその正面方向から視認するために設けられで、油タンク1の第1側板1Aに正面方向と対向する背面方向が当接されている。
【0010】
第1側板1A下方には、作動油を排出する排出口を着脱自在に閉塞する栓部材12が設けられている。上板2には、装置を吊り上げて移動するための複数のフック部材13とが設けられている。油受け19はポンプ4より漏洩した作動油を収容するもので、油タンク1に着脱自在に取付けられている。油受け19は、油受け底部19Cに立設して逆L字形状のタンク取付部19Aを2個有し、タンク取付部19Aに底板1Eを取付けることで、底板1Eと油受け底部19Cとの間に間隙を有している。
【0011】
電動機4の後端側にはファンカバー35が配置されており、そのファンカバー35の通風面に接して動油を冷却するための冷却器41が配置されている。油注入管14は、ドレンを油圧ポンプ4より冷却器41に注入するもので、油排出管15L,15Rは、冷却器41で冷却されたドレンをタンク1に還流させる。
【0012】
図3から
図5は、電動機3の構成をフレームの一部を破断して示す側面図である。尚、図示の都合上、符号を
図3から
図5に振り分けている。フレーム21の内周部には、固定子22が配置されている。固定子22は、固定子鉄心22aと、該鉄心22aに装設した固定子巻線22bとを備えている。固定子22の内部には回転子23が配設されており、回転子23は、回転子鉄心23aと、該鉄心23aに巻装かご形の回転子巻線23bとを備えている。回転子23の中心部には、回転軸24が軸方向,図中の左右方向に挿通されている。
【0013】
フレーム21の軸方向両端部には、それぞれブラケット25,26が複数本のボルト27,28により結合されている。これらのブラケット25,26に、回転軸24の両端部24a,24bがそれぞれ軸受31,32を介して支承されている。両ブラケット25,26は、フレーム21とで固定子22及び回転子23からなる電動機本体を内包する筐体33を構成している。回転軸24の両端部24a,24bは、両ブラケット25,26から外方に突出している。また、筐体33の下部には、前述した脚部36が取り付けられている。
【0014】
また、フレーム21は、フィン21aを放熱用に多数有しており、このフィン21aは何れもフレーム21の径方向に突出して軸方向に延びている。回転軸24の一端部24aは出力軸であり、油圧ポンプ4の駆動機構が連結される。他端部24bには、ファン34が取付けられている。すなわち、この回転電機は全閉外扇形である。
【0015】
加えて、フレーム21には、ファン34側の端部に、ファン34の全部を覆うファンカバー35が結合されている。ファンカバー35の通風面には、油圧装置の作動油を冷却するための冷却器41が接するように取り付けられている。
図1に示すように、冷却器41は、概ね矩形状であり、図中左側の側辺部が油注入部42,右側の側辺部が油排出部43となっている。油注入部42の上部には油注入管14が接続され、油排出部43の上部には油排出管15が接続されている。
【0016】
油注入部42と油排出部43とは、扁平な管状をなす複数の油送出部44により接続されている。これらにより、油注入部42に注入された作動油は、油送出部44を経由して油排出部43に至る。そして、複数の油送出部44の間には、ジグザグ状の金属板からなる放熱フィン45が配置されている。
【0017】
また、
図3及び
図6に示すように、油注入管14及び油排出管15は、電動機3の軸方向に沿って、フレーム21のフィン21aの間に配置され、電動機3の前方側に導出されている。油注入管14は油圧ポンプ4に接続され、油排出管15は油タンク1に接続されている。電動機3の脚部36の後端36aは、ファンカバー35の取付位置を超えて冷却器41の下方まで延設されており、冷却器41は脚部36に載置されて、ボルト37によって脚部36に固定されている。
【0018】
図2は、ファンカバー35の通風面35aを示しており、通風面35aの中央部には、緩衝部材であるパッキン3
8が接着材等により貼り付けられている。パッキン3
8は円形の薄板状であり、冷却器41の一部がパッキン3
8を介して通風面35aに接することで、電動機3が発生させて冷却器41に伝わる振動を減衰させる。
【0019】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1及び
図3には、冷却器41を経由する作動油の流れを矢印で示している。また、
図4には、ファン34により生じた風の流れを矢印で示している。
【0020】
作動油は、油圧ポンプ4のドレンから油注入管14を流れて冷却器41の油注入部42に注入される。作動油が有している熱は、油送出部44内を通過する際に放熱フィン45に伝達され、ファン34により生じた送風が放熱フィン45を冷却する。このようにして作動油が冷却される。そして、作動油は、油排出部43から油排出管15を介して油タンク1に還流する。尚、油注入部42,油排出部43にも送風は当たるので、それらにおいても油は冷却される。
【0021】
また、フレーム21のフィン21aの間には、
図3及び
図4に示すように、ファン34による送風が軸方向の前端側に向けて通過する経路となっている。したがって、作動油は、油注入管14及び油排出管15を流れている間も前記送風により冷却される。これにより、冷却効率が向上する。
【0022】
以上のように本実施形態によれば、回転軸24の後端24bにファン34が連結されている電動機3において、ファン34を覆うファンカバ35ーの通風面35aに接して冷却器41を配置した。冷却器41は、内部に注入される油圧ポンプ4の作動油をファン34による送風で冷却する。したがって、電動機3に冷却器41を加えた軸方向寸法が従来よりも短くなり、全体が小型になる。
【0023】
そして、冷却器41は、一辺側に配置される油注入部42と、その対辺側に配置される油排出部43と、油注入部42と油排出部43との間を接続し、油注入部42に注入された作動油を油排出部43に送出するため、所定の間隔をおいて配置される複数の油送出部44と、複数の油送出部44の間にそれぞれ配置される複数の放熱フィン45とを備える構成とした。これにより、ファン34による送風で作動油を効率的に冷却できる。また、放熱フィン45を、自身を挟む2つの油送出部44の間をジクザク状に連続して折り返す形状としているので、油を更に効率的に冷却できる。
【0024】
また、ファンカバー35の通風面35aと冷却器41との間にパッキン38を配置したので、冷却器41をファンカバー35に接触させる構成を採用しても、冷却器41に伝わる振動をパッキン38により減衰させることができる。更に、フレーム21を含む筐体33に取り付けられ、後端36aがファンカバー35の取付位置を超えて延設されている脚部36に冷却器41を固定したので、ファンカバー35を加工することなく冷却器41を固定できる。
【0025】
加えて、油注入管14及び油排出管15を、電動機3のフレーム21の外部において回転軸24の軸方向に沿って配置し、回転軸24の前端24a側に導出するようにした。これにより、作動油は油注入管14及び油排出管15を流れている間も送風により冷却されるので、冷却効率が一層向上する。
【0026】
また、内部に作動油を貯蔵する油タンク1と、作動油を吸入して吐出する油圧ポンプ4と、油圧ポンプ4を回転駆動する電動機3とを備えて油圧装置を構成したので、油圧装置を小型に構成できる。
【0027】
(第2実施形態)
図7及び
図8は第2実施形態であり、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
図2相当図である
図7に示すように、ファンカバー35に替わるファンカバー51の通風面51aの中央部には、正方形状の取付口51bが形成されている。その取付口51bには、正方形枠状であるパッキン52が取り付けられている。
【0028】
図8に示すように、パッキン52の外周部には、取付用の溝部52aが形成されており、溝部52aを取付口51bの開口部に嵌合させることで、パッキン52が通風面51aに取り付けられている。
【0029】
以上のように第2実施形態によれば、ファンカバー51の通風面51aの中央部に取付口51bを形成し、正方形枠状のパッキン52を、外周部の溝部52aを取付口51bの開口部に嵌合させて取り付ける。このように構成すれば、冷却器41及び通風面51aを介して電動機3側に向かう風をパッキン52により妨げることが無いので、作動油や電動機3を効率的に冷却できる。
【0030】
(その他の実施形態)
冷却器41を90度回転させて、上辺側に油注入部42,下辺側に油排出部43が位置するように配置しても良い。
油排出管15を、油排出部43の上部側で接続しても良い。
油注入管14及び油排出管15は、必ずしもフレーム21に沿うように配置する必要は無い。
【0031】
冷却器の外形は、正方形や矩形等に限る必要はない。
放熱フィンの形状は、ジグザグ状に限らない。
第1実施形態のパッキンの形状は、円形に限らず、その他正方形や矩形などでも良い。
第2実施形態のパッキンの形状は、正方形枠状に限らず、その他矩形枠状や円形枠状などでも良い。
冷却器は、脚部36に固定するものに限らず、ファンカバー35に固定しても良い。
電動機は、油圧装置に使用されるものに限らない。
冷却器が冷却する対象は油に限ることなく、その他水等の液体であれば良い。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
図面中、3は電動機、4は油圧ポンプ、14は油注入管、15は油排出管、21はフレーム、21aはフィン、34はファン、35はファンカバー、35aは通風面、36は脚部、38はパッキン、41は冷却器、42は油注入部、43は油排出部、44は油送出部、45は放熱フィン、51はファンカバー、51aは通風面、51bは取付口、52はパッキン、52aは溝部を示す。