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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ラベル連続体
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20220224BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
G09F3/02 C
G09F3/02 F
G09F3/10 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018067486
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179107
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴弘
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187733(JP,A)
【文献】特開2017-003804(JP,A)
【文献】特開2000-276051(JP,A)
【文献】特開2013-210463(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0286032(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/02
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なフィルムに印刷層が設けられているラベル連続体であって、
前記印刷層が、
前記フィルムの裏面側の一部分に設けられた第1着色印刷層と、
前記第1着色印刷層の裏面を含んで前記フィルムの裏面側に設けられ且つ粒状滑剤を含む透明印刷層と、
前記透明印刷層の裏面の一部分に設けられ且つ粒状滑剤を含む第2着色印刷層と、を有し、
ラベル最裏面が、前記透明印刷層の裏面及び第2着色印刷層の裏面から構成されている、ラベル連続体。
【請求項2】
前記第2着色印刷層が、前記透明印刷層の裏面のうち、前記第1着色印刷層の縁で挟まれた箇所に対応して少なくとも設けられている、請求項1に記載のラベル連続体。
【請求項3】
前記第1着色印刷層、透明印刷層及び第2着色印刷層が、凸版印刷層で構成されている、請求項1または2に記載のラベル連続体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器などの被着体に装着されるラベルを含むラベル連続体に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料容器、調味料容器、化粧品容器、医療用容器などの各種容器に、ラベルが装着されている。
ラベルは、任意の纏まりのあるデザインを表した印刷層が少なくとも設けられたフィルムから構成されており、通常、ラベル連続体の形態で供給される。
具体的には、ラベル連続体は、長尺帯状のフィルムの長さ方向に、任意の纏まりのある1つのデザインを表した印刷層が繰り返して印刷されている。このような長尺帯状のラベル連続体は、通常、ロール状に巻き取って保管・運搬に供される。例えば、ラベル連続体を巻き付けラベルとして使用する場合、前記ロール状に巻き取られたラベル連続体は、ラベラー(ラベルを被着体に装着する装置)に充填される。ラベラーは、ロールから巻付けラベル連続体を引き出し、それを搬送ラインにて装着部位にまで搬送し、前記装着部位の直前で、巻き付けラベル連続体を、1つのデザインを表した印刷層ごとに切断して1つのラベルを得、これを被着体に装着する。
このような装着工程から、ラベル連続体をロールから円滑に引き出せること、搬送ラインなどで円滑に搬送できること、或いは、被着体の所定位置にラベルを装着できるように被着体に対してラベルの最裏面が過度に緩衝しないこと、などが求められる。
【0003】
特許文献1には、ロール状に巻き取った際にブロッキングを生じ難く、ラベラーにて円滑に搬送できるようにするため、フィルムの裏面側に、白色インキが隙間無く連続した全白色印刷層と透明な樹脂層が設けられ、その連続体の最裏面が、全白色印刷層の裏面と透明な樹脂層の裏面で構成されている巻付けラベル連続体が開示されている。
具体的には、特許文献1の[0048]及び図7に示すように、フィルム2の裏面にデザイン印刷層7が設けられ、そのデザイン印刷層7の裏面の一部分にメタリック印刷層4が設けられ、そのメタリック印刷層4の裏面に、全白色印刷層5と部分白色印刷層51が設けられ、部分白色印刷層51の裏面を含んで透明な樹脂層6が設けられている(引用文献1の符号をそのまま援用)。デザイン印刷層7、メタリック印刷層4、全白色印刷層5、部分白色印刷層51及び透明な樹脂層6は、何れもインキ固化層からなり、公知の印刷法によって形成される。
特許文献1の巻付けラベル連続体は、最裏面が優れた滑り性を有するので、ロール状に巻き取った際にブロッキングを生じ難く、ラベラーにて円滑に搬送できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-3804号公報
【発明の概要】
【0005】
前記部分白色印刷層の裏面を含んで設けられる透明な樹脂層は、白色インキからなる部分白色印刷層の裏面に、透明インキを公知の印刷法によって印刷することによって形成される。
しかしながら、前記透明な樹脂層を形成するべく、フレキソ印刷法などの凸版印刷方式で透明インキを白色印刷層の上に重ね印刷していくと、インキ抜け或いは印刷ぼけが発生する場合がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、良好な滑り性を有する最裏面を有しつつ、着色印刷層によるデザインが綺麗に表されているラベル連続体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、良好な滑り性を有する透明な樹脂層を形成する透明インキを、白色印刷層の上に重ね印刷した場合に、インキ抜け或いは印刷ぼけが発生する原因について鋭意研究した。以下、透明な樹脂層を「透明印刷層」といい、インキ抜けや印刷ぼけを総称して「印刷不良」という場合がある。
フレキソ印刷法は、円筒状の版胴とその版胴の周囲に巻き付けたシート状凸版とを有する円筒状版を用いてフレキソインキを印刷する凸版印刷方式である。一般に、フレキソ印刷法や凸版輪転印刷法などの円筒状版を用いた凸版印刷方式にあっては、円筒状版の凸版上にインキが載せられており、凸版をフィルム側に押しつけることにより、インキがフィルムに転移して印刷される。従って、白色印刷層の上に、透明インキを重ね印刷する際には、凸版が白色印刷層の表面に接触する。その凸版の接触時に、白色印刷層が僅かに掻き取られ、インキ抜けが生じる。また、フィルムの長さ方向に連続的に印刷していくため、前記のように掻き取られた白色印刷層(白色インキ)が透明インキを印刷する凸版に付着し、透明印刷層が僅かに白化し、印刷ぼけが生じる。
【0008】
このような印刷不良は、特に、白色印刷層上に透明印刷層を形成する際に生じることも判ってきた。すなわち、白色印刷層は、白色以外の色彩を呈する着色印刷層に比して透けて見え易いので(隠蔽性が低いので)、白色以外の着色印刷層よりも厚く形成される。また、一般に使用されている白色インキは、その固化時間が長い傾向にある。そのため、比較的厚く且つ固化が不十分な状態の白色印刷層に、凸版が接触した際に、前記のような白色印刷層が僅かに掻き取られ、凸版に白色インキが付着する。かかる知見の下、本発明を完成した。
【0009】
本発明のラベル連続体は、透明なフィルムに印刷層が設けられているラベル連続体であって、前記印刷層が、前記フィルムの裏面側の一部分に設けられた第1着色印刷層と、前記第1着色印刷層の裏面を含んで前記フィルムの裏面側に設けられ且つ粒状滑剤を含む透明印刷層と、前記透明印刷層の裏面の一部分に設けられ且つ粒状滑剤を含む第2着色印刷層と、を有し、ラベル最裏面が、前記透明印刷層の裏面及び第2着色印刷層の裏面から構成されている。
【0010】
本発明の好ましいラベル連続体は、前記第2着色印刷層が、前記透明印刷層の裏面のうち、前記第1着色印刷層の縁で挟まれた箇所に対応して少なくとも設けられている。
本発明の好ましいラベル連続体は、前記第1着色印刷層、透明印刷層及び第2着色印刷層が、凸版印刷層で構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のラベル連続体は、ロール状に巻き取った際にブロッキングを生じ難く、ラベラーにて円滑に搬送できる。さらに、本発明のラベル連続体は、着色印刷層によって綺麗なデザインを表すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ラベル連続体を表面側から見た表面図。
図2】同ラベル連続体を裏面側から見た裏面図。
図3】一部拡大裏面図。
図4図3のIV-IV線で切断した端面図。なお、端面図は、切断面のみを表した図をいう(以下、同じ)。
図5図3のV-V線で切断した端面図。
図6図3のVI-VI線で切断した端面図。
図7図3のVII-VII線で切断した端面図。
図8】ラベル連続体の製造工程を示す参考側面図。
図9】複列のラベル連続体から得られた単列のラベル連続体の表面図。
図10】単列のラベル連続体から得られたラベルを物品に装着する過程を示す正面図。
図11】単列のラベル連続体から筒状ラベルを形成する過程を示す参考斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本明細書において、表面視は、フィルム(又はラベル連続体)の表面側から法線方向にフィルム(又はラベル連続体)を見ることをいい、裏面視は、フィルム(又はラベル連続体)の裏面側から法線方向にフィルム(又はラベル連続体)を見ることをいう。
「~」で表される数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「~」で結んだ範囲とすることができるものとする。
また、各図における印刷層などの各構成の寸法、厚み、縮尺比などは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0014】
[ラベル連続体]
図1は、ラベル連続体を表面側から見た図であり、図2は、裏面側から見た図である。ただし、長さ方向においてラベル連続体を省略して表している。省略された部分は同じ構成が繰り返されている。図3は、図2の一部分を拡大した図である。
図1及び図2において、本発明のラベル連続体1は、表面視で、長尺帯状である。
本明細書において、長尺帯状は、長さ方向の長さが幅方向よりも十分に長い表面視略長方形状をいう。前記幅方向は、長さ方向と直交する方向である。長尺帯状の長さ方向の長さとしては、例えば、5m以上、好ましくは10m以上である。
ラベル連続体1は、長尺帯状のフィルム2を有し、そのフィルム2には、ラベル連続体1の表面側から視認できる任意のデザインが表示されている。
前記デザインは、着色インキを印刷した印刷層によって表されている。
【0015】
具体的には、図1乃至図7に示すように、ラベル連続体1は、表面視長尺帯状の透明なフィルム2と、フィルム2の長さ方向に繰り返して印刷されたデザインを表した印刷層を含む印刷層3,4,5と、を有する。印刷層3,4,5は、それぞれ独立して、インキによって形成され、そのインキが固化したインキ固化層からなる。以下、デザインを表した印刷層を「デザイン表示の印刷層」という場合がある。
透明なフィルム2は、柔軟性並びに適宜な強度及び剛性を有する透明なものであれば特に限定されず、例えば、単層又は多層構造の合成樹脂製フィルム、透明な機能層が積層された合成樹脂製フィルムなどが挙げられる。透明な機能層としては、ガスバリア層(例えば、透明な無機薄膜など)、透明な接着剤層などが挙げられる。
合成樹脂製フィルムなどの材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリエチレンを含む共重合ポリマーなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系などが挙げられる。
【0016】
ここで、本明細書において「透明」は、好ましくは無色透明を意味する。透明は、対象物の裏面側に、その裏面から1cm離れた箇所に、白地の紙に黒色インキで任意の数字(大きさ12ポイント)を印刷したものを配置し、前記対象物を透かしてその数字を表面側から識別できる状態をいう。不透明は、前記と同じ条件で裏面側に配置した数字を対象物の表面側から視認できない状態(数字を認識できない状態)をいう。透明の指標としては、例えば、全光線透過率などを用いて表すことができる。透明の指標としては、例えば、全光線透過率が70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、透明である測定対象(透明なフィルムである場合にはそのフィルムが測定対象、透明又は不透明な印刷層である場合には、前記透明なフィルムに透明な印刷層を設けたものが測定対象)を、JIS K 7361(プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
【0017】
また、フィルム2は、熱収縮性及び/又は自己伸縮性を有するものでもよく、或いは、実質的に熱収縮性及び自己伸縮性を有さないものでもよい。前記熱収縮性は、所定温度(例えば、70℃~100℃)に加熱されることによって収縮する性質をいう。自己伸縮性は、引っ張り力を加えることによって伸張し、その後、引っ張り力を解除することによってほぼ元の状態に復元する性質をいう。熱収縮性を有するフィルムとしては、例えば、幅方向(又は長さ方向)の熱収縮率が20%以上のフィルム、好ましくは同熱収縮率が30%以上のフィルムが挙げられる。幅方向(又は長さ方向)を主たる熱収縮方向とするフィルムは、長さ方向(又は幅方向)に熱収縮性を有していてもよく、その場合の長さ方向(又は幅方向)の熱収縮率は、例えば、10%以下である。なお、実質的に熱収縮性を有さないフィルムとしては、例えば、長さ方向及び幅方向のそれぞれの熱収縮率が5%以下のフィルム、好ましくは同熱収縮率が3%以下のフィルムが挙げられる。
【0018】
ただし、熱収縮率は、加熱前(標準状態(23℃、1気圧、50RH%)雰囲気下で24時間保存)のフィルムの長さ(元の長さ)と、90℃温水中に10秒間浸漬して取り出した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)と、をそれぞれ標準状態下で計測し、下記式に代入して求められる。
熱収縮率(%)=[{(幅方向(又は長さ方向)の元の長さ)-((幅方向(又は長さ方向)の浸漬後の長さ)}/((幅方向(又は長さ方向)の元の長さ)]×100。
フィルム2の厚みは、特に限定されず、例えば、8μm~200μmであり、好ましくは、10μm~120μmである。
【0019】
前記フィルム2には、デザイン表示の印刷層を含む印刷層3,4,5が印刷されている。前記デザイン表示の印刷層によって表されるデザインは、フィルム2の表面側から視認できる。
なお、フィルム2の表面には、透明な表面保護層(図示せず)が設けられていてもよい。表面保護層は、例えば、透明なニスを公知の印刷法にてフィルム2の表面に印刷することによって形成できる。
【0020】
デザイン表示の印刷層に表されるデザインは、特に限定されず、任意の文字、図形、記号などである。
デザイン表示の印刷層は、纏まりある任意のデザインを1つのデザインパターンとし、そのデザインパターンがフィルム2の長さ方向に繰り返して印刷されている。その長さ方向に並んだ複数の印刷層を「列」とすると、デザイン表示の印刷層は、フィルム2の幅方向に1列だけ設けられていてもよいが、通常、幅方向に2列以上(複数列)設けられる。
なお、図1では、表面側から見て、文字ABC及びその文字ABCの周囲の大きな長方形、バーコード及びそのバーコードの周囲の小さな長方形、並びに、文字XYZを、1つのデザインパターンとし、このデザインパターンが幅方向に10列且つ長さ方向に順で配設されたラベル連続体1を例示している。
1つのデザインパターンは、1つのラベルに相当し、従って、幅方向に10列のデザインパターンが配設されているラベル連続体1は、幅方向に10列のラベルを有する。
【0021】
前記印刷層は、フィルム2の裏面側の一部分に設けられた第1着色印刷層3と、前記第1着色印刷層3の裏面側を含むフィルム2の裏面側に設けられ且つ粒状滑剤を含む透明印刷層4と、前記透明印刷層4の裏面の一部分に設けられ且つ粒状滑剤を含む第2着色印刷層5と、を有する。
【0022】
詳しくは、第1着色印刷層3は、フィルム2の裏面に直接的に積層されている。第1着色印刷層3は、文字、図形などのデザインを表示するデザイン表示の印刷層であり、そのデザインに応じて、フィルム2の裏面の一部分に形成されている。
第1着色印刷層3は、任意の色彩を呈する着色インキから形成されている。第1着色印刷層3を形成するインキを「第1着色インキ」という。第1着色インキとしては、例えば、着色剤及び樹脂成分を含むカラーインキであって、必要に応じて任意の添加剤を含むカラーインキを用いられる。着色剤としては、公知の顔料又は染料が挙げられ、樹脂成分としては、公知のインキに用いられる樹脂が挙げられる。
第1着色印刷層3は、単層でもよく、多層(着色インキの重ね塗り)でもよい。
また、第1着色印刷層3は、1色の着色インキから形成されていてもよく、或いは、2色以上の着色インキ(色彩の異なる2種類以上の着色インキ)から形成されていてもよい。
【0023】
第1着色印刷層3(第1着色インキ)は、有色透明又は有色不透明でもよい。好ましくは、第1着色印刷層3(第1着色インキ)は、有色不透明である。
第1着色印刷層3は、滑り成分として粒状滑剤を含んでいてもよいが、透明印刷層4の裏面をより平滑状にするために、第1着色印刷層3は、粒状滑剤を実質的に含まないことが好ましい。なお、「実質的に粒状滑剤を含まない」とは、不可避的に含まれる程度の微量の粒状滑剤の混入は許容され、有意な量の混入は除外されるという意味である。
第1着色印刷層3の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5μm~5μmであり、好ましくは、1μm~4μmである。
【0024】
透明印刷層4は、フィルム2の裏面側の全体に、又は、形成されるラベルの端部に対応する領域を除くフィルム2の裏面側の全体にベタ状に設けられている。
図示例では、長尺帯状のフィルム2の幅方向両側端において長さ方向に延びる帯状領域2a及び長さ方向所定間隔を開けて幅方向に延びる帯状領域2bには、透明印刷層4が設けられていない。つまり、図2及び図3のように、長さ方向に延びる帯状領域2aと幅方向に延びる帯状領域2bには、印刷層が設けられておらず、フィルム2の裏面が露出している。
ここで、本明細書において、ベタ状とは、印刷層を構成するインキが面方向に延在して1つの連続した層を成していることをいう。ただし、グラビア印刷法やフレキソ印刷法などの有版印刷法にて形成される印刷層は、ドット状に付着したインキ固化物の集合から構成されるので、巨視的に見ると、そのインキ固化物が面方向に延在して1つの連続した層を成しているが、微視的に見ると、その面内に無数の極微細な隙間が存在する場合があることに留意されたい。このように微視的に見ると、微細な隙間を有する場合でも、巨視的に1つの連続した層を成している場合には、ベタ状の範疇に含まれるものとする。
【0025】
第1着色印刷層3がフィルム2の一部分に設けられているので、前記透明印刷層4は、第1着色印刷層3及びフィルム2に跨がるように、第1着色印刷層3の裏面からフィルム2の裏面にかけて直接的に積層されている。
透明印刷層4は、実質的にデザインを表示しない層であり、第1着色印刷層3を保護する。また、粒状滑剤を含む透明印刷層4は、良好な滑り性を有する滑り層としても機能し、透明印刷層4の裏面は、第2着色印刷層5の裏面と共にラベル連続体1(ラベル)の最裏面を構成する。
【0026】
前記透明印刷層4の裏面は、その表面粗さが算術平均粗さRaで0.1μm~0.3μmに形成されていることが好ましい。
透明印刷層4の裏面が算術平均粗さRaで0.1μm~0.3μmとされていることにより、その裏面に印刷した第2着色印刷層5がインキ割れを生じ難く、第2着色印刷層5が不鮮明になることを防止でき、全体的に綺麗なデザインを表示できるラベル連続体1を提供できる。
前記算術平均粗さRaは、JIS B0601(2001)に準拠して測定された値をいう。
【0027】
前記透明印刷層4は、滑り成分として粒状滑剤を含む透明インキから形成されている。透明印刷層4は、単層でもよく、多層(透明インキの重ね塗り)でもよい。
前記透明インキとしては、着色剤を含まず且つ粒状滑剤及び樹脂成分を含むインキであって、さらに必要に応じて任意の添加剤を含むインキが用いられる。透明インキは、例えば、粒状滑剤を添加したメジウムインキを用いることができる。
【0028】
前記粒状滑剤としては、シリカ、黒鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの無機微粒子;アクリル酸エステル、シリコーン樹脂、ポリアミドなどの有機微粒子;オレフィンワックス、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、カルナウバワックスなどのワックス類;などが挙げられる。粒状滑剤は、1種単独で、或いは、2種以上用いることができる。
粒状滑剤の大きさは、特に限定されないが、前記算術平均粗さRaを有する裏面を良好に形成できることから、平均粒子径が0.1μm~20μmの粒状滑剤を用いることが好ましく、平均粒子径が0.1μm~10μmの粒状滑剤がより好ましい。
ただし、前記平均粒子径は、体積平均のD50%値をいう。
【0029】
透明印刷層4の粒状滑剤の含有量は、特に限定されないが、余りに多いと透明印刷層4が脆くなり、余りに少ないとラベル最裏面の滑り性が低下するおそれがある。かかる観点から、粒状滑剤は、透明印刷層4の全体(透明インキの固化層の全体)を100重量%とした場合に、0.1重量%~20重量%含まれていることが好ましく、0.1重量%~10重量%含まれていることがより好ましい。
透明印刷層4の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5μm~5μmであり、好ましくは、1μm~4μmである。
【0030】
第2着色印刷層5は、透明印刷層4の裏面の一部分に直接的に積層されている。第2着色印刷層5は、文字、図形などのデザインを表示するデザイン表示の印刷層である。
また、粒状滑剤を含む第2着色印刷層5は、良好な滑り性を有する滑り層としても機能し、第2着色印刷層5の裏面は、透明印刷層4の裏面と共にラベル連続体1の最裏面(ラベルの最裏面)を構成する。
第2着色印刷層5は、任意の色彩を呈し且つ粒状滑剤を含む着色インキから形成されている。第2着色印刷層5を形成するインキを「第2着色インキ」という。第2着色インキとしては、例えば、粒状滑剤、着色剤及び樹脂成分を含むカラーインキであって、必要に応じて任意の添加剤を含むカラーインキが用いられる。
【0031】
第2着色印刷層5は、単層でもよく、多層(着色インキの重ね塗り)でもよい。
また、第2着色印刷層5は、1色の着色インキから形成されていてもよく、或いは、2色以上の着色インキ(色彩の異なる2種類以上の着色インキ)から形成されていてもよい。
第2着色印刷層5(第2着色インキ)は、有色透明又は有色不透明でもよい。好ましくは、第2着色印刷層5(第2着色インキ)は、有色不透明である。
例えば、第2着色印刷層5は、無模様一色の印刷層であり、好ましくは、無模様白色、無模様銀色又は無模様黒色の印刷層である。
【0032】
第2着色印刷層5の粒状滑剤としては、透明印刷層4で例示したようなものが挙げられる。第2着色印刷層5に含まれる粒状滑剤と透明印刷層4に含まれる粒状滑剤の種類は、同じでもよく、或いは、異なっていてもよい。第2着色印刷層5の裏面と透明印刷層4の裏面が同様な滑り性を有し、全体に亘って略均等な滑り性を有するラベル最裏面を構成できることから、第2着色印刷層5に含まれる粒状滑剤と透明印刷層4に含まれる粒状滑剤は、同種であることが好ましく、例えば、層4,5は、いずれも粒状滑剤としてワックス類を含むことがより好ましい。
【0033】
第2着色印刷層5の粒状滑剤の含有量は、特に限定されないが、余りに多いと第2着色印刷層5が脆くなり、余りに少ないとラベル最裏面の滑り性が低下するおそれがある。かかる観点から、第2着色印刷層5の粒状滑剤は、第2着色印刷層5の全体を100重量%とした場合に、0.1重量%~20重量%含まれていることが好ましく、0.1重量%~10重量%含まれていることがより好ましい。
第2着色印刷層5の裏面と透明印刷層4の裏面が同様な滑り性を有し、全体に亘って略均等な滑り性を有するラベル最裏面を構成できることから、第2着色印刷層5の粒状滑剤の含有量と透明印刷層4の粒状滑剤の含有量は、同程度であることが好ましい。
第2着色印刷層5の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm~10μmであり、好ましくは、2μm~8μmである。特に、白色インキで形成される第2着色印刷層5は、白色を呈し且つ透けて見え易いので、その厚みは比較的大きいことが好ましく、例えば、3μm~10μmである。
【0034】
前記第1着色印刷層3及び第2着色印刷層5は、それぞれ単独でデザインを表示していてもよく、両印刷層が協働してデザインを表示していてもよい。
透明なフィルム2の裏面側に設けられた第1着色印刷層3の色彩は、透明なフィルム2の表面側から視認でき、その第1着色印刷層3の表面視形状及び色彩にて任意のデザインが表示される。
同様に、透明なフィルム2及び透明印刷層4の裏面側に設けられた第2着色印刷層5は、透明なフィルム2の表面側から視認でき、その第2着色印刷層5の表面視形状及び色彩にて任意のデザインが表示される。
また、フィルム2の厚み方向において、第1着色印刷層3の裏面側に第2着色印刷層5が重なっている部分においては、透明なフィルム2の表面側から第1着色印刷層3の色彩を視認でき、或いは、透明なフィルム2の表面側から第2着色印刷層5の色彩(背景色)と融合した第1着色印刷層3の色彩を視認でき、その部分の表面視形状及び色彩にて任意のデザインが表示される。
【0035】
図示例では、第1着色印刷層3は、表面視で、内部に抜き文字ABCを有する大長方形を象った部分と、バーコードを象った部分と、文字XYZを象った部分と、からなる(図1乃至図3)。
詳しくは、内部に抜き文字ABCを有する大長方形を象った部分は、表面視で、抜き文字ABCを表す部分を除いて第1着色インキを印刷したインキ固化物からなる。従って、抜き文字は、第1着色インキ固化物の縁で囲われた箇所である。その箇所には第1着色インキ固化物は存在せず、空虚部となっている。従って、第1着色インキ固化物を海島構造の海部分と表現すると、抜き文字は、島部分に相当する。バーコードを象った部分は、そのバーが第1着色インキ固化物で表されている。文字XYZを象った部分も、その文字が第1着色インキ固化物で表されている。
これらの部分は、同じ色彩(同一色の着色インキ)であってもよく、少なくとも2つの部分が異なる色彩であってもよい。例えば、大長方形を象った部分が青色からなり、バーコードを象った部分が黒色からなり、文字XYZを象った部分が赤色とその赤の周囲の黄色とからなる、などが挙げられる。
【0036】
上述のように抜き文字ABCやバーコードの各バーの間などの幾つかの箇所においては、第1着色印刷層3(第1インキ固化物)を有さず、フィルム2の裏面が露出している。この第1着色印刷層3(第1インキ固化物)を有さない箇所のうち、第1着色印刷層3(第1インキ固化物)の縁で挟まれた箇所は、フィルム2の裏面が僅かに露出している。文字などの大きさにもよるが、第1着色印刷層3の縁で挟まれた箇所のうち幾つかは、例えば、最小幅が0.5mm~2mm程度となっている所もある。
【0037】
透明印刷層4は、前記第1着色印刷層3の裏面のみならず、第1着色印刷層3の縁で挟まれた箇所を含むフィルム2の裏面を覆うように、裏面視で略長方形状に設けられている。
一方、第2着色印刷層5は、透明印刷層4の裏面の一部分に設けられており、好ましくは、透明印刷層4の裏面のち、前記第1着色印刷層3の縁で挟まれた箇所に対応する透明印刷層4の裏面に少なくとも設けられている。
具体的には、第2着色印刷層5は、裏面視で、前記抜き文字ABCを覆い且つその抜き文字の外形よりも大きく象った部分と、前記バーコードを覆い且つその外形よりも大きく象った部分と、からなる(図1乃至図3)。これらの部分は、同じ色彩(同一色の着色インキ)であってもよく、少なくとも2つの部分が異なる色彩であってもよい。例えば、抜き文字の外形よりも大きく象った部分とバーコードの外形よりも大きく象った部分とが、いずれも白色からなる。
【0038】
図示例のような構成のラベル連続体1を表面側から見ると、青色の大長方形の中に白色の文字ABCが表示され、さらに、白色の小長方形の中に黒色のバーコードが表示され、さらに、黄色で縁取られた赤色の文字XYZが表示される。
図1において、便宜上、第1着色印刷層3の色彩が見える部分を黒塗潰しで表し、第2着色印刷層5の色彩が見える部分を、網掛けで表している。また、図2及び図3において、便宜上、透明印刷層4が設けられた範囲に無数のドットを付し、第2着色印刷層5が設けられた範囲に網掛けを付している。
【0039】
ラベル連続体1の最裏面は、実質的に透明印刷層4の裏面と第2着色印刷層5の裏面で構成されている。透明印刷層4が粒状滑剤を含み且つ第2着色印刷層5が粒状滑剤を含んでいるので、透明印刷層4の裏面と第2着色印刷層5の裏面で構成されているラベル最裏面は、滑り性に優れている。
【0040】
[ラベル連続体の製造方法]
上記ラベル連続体1は、例えば、次のような方法で得ることができる。ただし、本発明のラベル連続体1は、下記製法によって得られたものに限定されるわけではない。
ラベル連続体1は、長尺帯状のフィルム2を長さ方向に搬送する工程、搬送中のフィルム2に、少なくとも2つの着色インキ(第1着色インキ及び第2着色インキ)及び透明インキを印刷して少なくとも第1着色印刷層3、透明印刷層4及び第2着色印刷層5を形成する工程、によって得られる。
各印刷層の形成工程において、フィルム2の裏面の任意の部分に第1着色インキを印刷し固化させることにより第1着色印刷層3を形成した後、第1着色印刷層3の裏面及びフィルム2の裏面に透明インキを印刷し固化させることにより透明印刷層4を形成した後、透明印刷層4の裏面の任意の部分に第2着色インキを印刷し固化させることにより第2着色印刷層5を形成する。
【0041】
各印刷層の形成する際の印刷方式は、特に限定されず、グラビア印刷などの凹版印刷方式、フレキソ印刷などの凸版印刷方式などが挙げられる。本発明の特徴を顕在化できることから、各印刷層(第1着色印刷層3、透明印刷層4及び第2着色印刷層5)は、いずれも、凸版印刷方式で形成された凸版印刷層で構成され、好ましくは、フレキソ印刷方式で形成されたフレキソ版印刷層で構成される。
各印刷層を形成するインキの種類は、印刷方式に応じて適宜選択でき、例えば、フレキソインキ、凸版輪転インキなどの凸版印刷インキ、グラビアインキなどの凹版印刷インキなどが挙げられる。
インキの性状としては、水性インキ、溶剤揮発型インキ、紫外線硬化型などの電離線硬化型インキなどが挙げられ、好ましくは、水性インキが用いられる。
以下、フレキソ印刷方式で各印刷法を形成してラベル連続体を製造する場合を主として説明する。
【0042】
<フィルムの準備>
長尺帯状のフィルム2を準備する。フィルム2は、上述のような長尺帯状のものが用いられ、このフィルム2を製造ラインにて搬送する途中で、各印刷層をフレキソ印刷にて形成していく。
長尺帯状のフィルム2は、通常、ロール状に巻かれており、そのロールからフィルム2を引き出して長さ方向に搬送する。
【0043】
<各印刷層の形成>
フィルム2を長さ方向に送る途中に、印刷機が配置されている。印刷機は、例えば、フレキソ印刷方式の円筒状版を有する。前記円筒状版の数は、印刷層の数に対応しており、上述のように、印刷層が第1着色印刷層3、透明印刷層4及び第2着色印刷層5から構成される場合には、少なくとも3つの円筒状版(第1円筒状版、第2円筒状版及び第3円筒状版)が配設される。
【0044】
詳しくは、図8に示すように、フレキソ印刷機9は、フィルム2を搬送するセンタードラム97と、前記フィルム2を挟んでセンタードラム97の周囲に配置された3つの円筒状版8(第1円筒状版81、第2円筒状版82及び第3円筒状版83)と、を有する。なお、特に図示しないが、例えば、第1着色印刷層3(及び第2着色印刷層5)が2色以上のインキから形成される場合には、第1円筒状版(及び第3円筒状版)が2台以上配設される。
【0045】
第1円筒状版81、第2円筒状版82及び第3円筒状版83には、それぞれアニロックスロール71とドクターチャンバー72が具備されている。ドクターチャンバー72からアニロックスロール71にインキが付着し、アニロックスロール71から円筒状版8の凸版にインキが転移し、円筒状版8の凸版からフィルム2にインキが印刷される。
円筒状版8、アニロックスロール71及びドクターチャンバー72は、従来公知のフレキソ印刷方式で用いられているものを用いることができる。
【0046】
具体的には、アニロックスロール71は、表面に微細な凹部が無数に形成されたものである。ドクターチャンバー72からインキがアニロックスロール71の表面の微細な凹部に溜められ、アニロックスロール71及び円筒状版8の回転に従い、前記微細な凹部のインキが円筒状版8の凸版8bに付着する。アニロックスロール71は、ドクターチャンバー72などのインキ供給元から供給されたインキを定量且つ均一に円筒状版8の凸版8bへ転移させるものである。
凸版8bへのインキ転移量(インキ供給量)は、アニロックスロール71の線数によって調整できる。線数が大きくなるほど、アニロックスロール71の凹部(セルとも言う)の容積は小さくなり、凸版8bに供給されるインキ転移量は小さくなる。反対に、線数が小さくなるほど、アニロックスロール71の凹部の容積は大きくなり、凸版8bに供給されるインキ転移量は大きくなる。
【0047】
前記円筒状版8は、円筒状の版胴8aと、その版胴8aの周囲に巻き付けたシート状凸版8bと、を有する。シート状凸版8bは、例えば、エラストマーやゴムなどの柔軟性を有するシートに、凸版8bが形成されたものである。凸版8bの表面には、無数の小突起が密集して突設されており、凸版8bは、微視的には、無数の小突起の集合で構成されている。印刷時には、アニロックスロール71からのインキが各小突起の頂面に付着しており、この小突起の頂面からフィルム2などにインキが移転して印刷が完了する。
【0048】
第1円筒状版81により、フィルム2の裏面に第1着色インキを印刷し、第1着色印刷層3を形成する。次に、第2円筒状版82により、前記第1着色印刷層3からフィルム2の裏面に跨がって透明インキを印刷し、透明印刷層4を形成する。次に、第3円筒状版83により、透明印刷層4の裏面に第2着色インキを印刷し、第2着色印刷層5を形成する。なお、インキの種類に応じて、インキの乾燥或いは紫外線などの電離線照射などを行い、各インキを固化させることにより、各インキ固化物を生じる。
得られたラベル連続体1は、通常、図8に示すように芯材98に巻き取られて、保管・運搬に供される。
【0049】
前記第1着色印刷層3、透明印刷層4及び第2着色印刷層5を形成する際の、第1円筒状版81、第2円筒状版82及び第3円筒状版83並びにそれぞれに付随するアニロックスロール71は、適宜なものを使用できる。
中でも、透明印刷層4を形成する第2円筒状版82に付随するアニロックスロール71の線数は、500線/インチ以上であることが好ましく、さらに、600線/インチ以上がより好ましく、700線/インチ以上がさらに好ましく、800線/インチ以上が特に好ましい。なお、第2円筒状版82に付随するアニロックスロール71の線数の上限は、余りに大きいと、インキ転移量が小さくなること及び適度な粒径の粒状滑剤がインキに含まれなくなるおそれがあることから、1500線/インチ以下であり、好ましくは1200線/以下であり、より好ましくは1000線/インチ以下である。
このような線数のアニロックスロール71を用いたフレキソ印刷によって透明印刷層4を形成した後、その裏面に第2着色インキを印刷することにより、インキ割れが生じ難く、鮮明な第2着色印刷層5を形成できる。
【0050】
上述のように、500線/インチ以上の線数を有するアニロックスロール71を使用して透明印刷層4を形成することにより、インキ割れのない第2着色印刷層5を形成できる理由は、明確ではないが、本発明者らは次のように推定する。
上述のように、粒状滑剤を含む透明印刷層を形成するため、透明インキには粒状滑剤が含まれている。この透明インキに含まれる粒状滑剤は、粒径がある程度揃っているが、粒度分布により比較的粒径の大きい粒子も混在している。この透明インキを転移させるアニロックスロールの凹部が比較的大きいと、比較的粒径の大きい粒状滑剤も凸版に転移し、その結果、粒径の大きい粒状滑剤を含んだ透明印刷層が形成され得る。透明印刷層のうち前記粒径の大きい粒状滑剤が存在している箇所は、微視的に見ると比較的大きな凸部となっており、従って、透明印刷層は、全体として比較的高低差の大きい凹凸面を有している。かかる凸部上を含んで透明印刷層の裏面に第2着色インキを印刷すると、そのインキ割れが生じると考えられる。
【0051】
この点、上述のように、500線/インチ以上の線数を有するアニロックスロールを使用して透明印刷層を形成することにより、粒径の大きすぎる粒状滑剤は、アニロックスロールの凹部に入らず、従って、比較的高低差のない平滑面を有する透明印刷層を形成できる。このため、インキ割れが生じ難い、鮮明な第2着色印刷層を形成できる。
また、1500線/インチ以下の線数を有するアニロックスロールを使用して透明印刷層を形成することにより、粒径の小さすぎる粒状滑剤のみを含む透明印刷層にならず、適度な粒径の粒状滑剤を含む透明印刷層を形成できる。このため、透明印刷層の裏面の滑り性も確保できる。
【0052】
上記のようにして得られたラベル連続体1は、透明印刷層4の裏面に設けられた第2着色印刷層5が不鮮明になることなく、全体的に綺麗なデザインを表示できる。
また、上記ラベル連続体1のラベル最裏面は、透明印刷層4の裏面と第2着色印刷層5の裏面で構成されているため、良好な滑り性を有する。このため、ロール状に巻き取った際にブロッキングを生じ難く、ラベラーにて円滑に搬送できるラベル連続体1を提供できる。
【0053】
[ラベルの製造方法]
本発明のラベルは、上記ラベル連続体1を切断することによって得られる。
具体的には、ロール状に巻き取られたラベル連続体1を長さ方向に引き出す。上記のように、幅方向に2列以上のデザインパターンが配置されているラベル連続体1にあっては、図1及び図2の矢印で示す位置で、長さ方向に切断し、デザインパターンが1列且つ長さ方向に順に配設された単列のラベル連続体11を作製する(図9参照)。
この単列のラベル連続体11を、1つのデザインパターン毎に幅方向に切断することにより、個々のラベルが得られる。フィルム2の裏面が露出した領域(幅方向に延びる帯状領域)で切断することにより、両端部又は一方端部若しくは反対端部を除いて透明印刷層4が積層されているラベルが得られる。
【0054】
得られたラベルは、例えば、容器などの物品Bに巻き付けるように装着するラベル(以下、巻き付けラベルという)として使用できる。
例えば、巻き付けラベルAの少なくとも両端部の裏面に接着剤を塗布し、図10(a)に示すように、その一方端部を容器などの物品Bに貼り付け、巻き付けラベルAを物品Bの周囲に巻き付けた後、同図(b)に示すように、その反対端部の裏面を一方端部の表面に貼り付ける(又はその反対端部の裏面を物品Bに貼り付ける)ことにより、ラベル付き物品が得られる。
【0055】
また、熱収縮性及び/又は自己伸縮性を有するフィルム2を使用したラベル連続体1にあっては、物品Bに嵌め入れて装着するラベル(以下、筒状ラベルという)として使用することもできる。かかる筒状ラベルは、上述のような第1着色印刷層3、透明印刷層4及び第2着色印刷層5を有する単列のラベル連続体11を、図11に示すように、その幅方向を周方向として筒状に形成した後、その筒状に形成した単列のラベル連続体11を1つのデザインパターン毎に分割するべく幅方向に沿って切断することによって得られる。
なお、図11では、第1着色印刷層3及び第2着色印刷層5を省略している。
【符号の説明】
【0056】
1,11 ラベル連続体
2 フィルム
3 第1着色印刷層
4 透明印刷層
5 第2着色印刷層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11