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特許7029338ポリオール組成物及びポリウレタンフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ポリオール組成物及びポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20220224BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20220224BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20220224BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220224BHJP
【FI】
C08G18/00 K
C08G18/00 H
C08G18/08 038
C08G18/00 G
C08G18/40
C08G101:00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018070594
(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2018178096
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2017076215
(32)【優先日】2017-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛見 建彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和廣
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩造
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/129844(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物、発泡剤、フィラー、酸化金属微粒子を含み、前記発泡剤がハイドロフルオロオレフィンであり、前記酸化金属微粒子は、その表面に、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、ジメチルポリシロキサン基、ジメチルシロキサン基、アルキルシリル基、アミノアルキルシリル基、メタクリルシリル基から選択される一種以上疎水性基を有するものであることを特徴とする、ポリオール組成物。
【請求項2】
触媒及び/又は整泡剤を含む、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
前記フィラーが粉体難燃剤を含む、請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
前記フィラーが無機充填材を含む、請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
前記フィラーが顔料を含む、請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
【請求項6】
前記酸化金属微粒子の金属部分が、アルミニウム、チタンまたは珪素であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のポリオール組成物。
【請求項7】
前記酸化金属微粒子の吸水量が0.5質量%以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のポリオール組成物。
【請求項8】
前記請求項1~7いずれかに記載のポリオール組成物をポリイソシアネート化合物と混合して製造される、表面が疎水化処理されている金属酸化物微粒子を含むポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール組成物及びポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅、戸建住宅、学校の各種施設、商業ビル等の外壁等に、建物の強度を高める構造材料として、鉄筋等により補強されたコンクリートが使用されている。
【0003】
一方、コンクリートは蓄熱性および蓄冷性があるため、夏場に蓄積された熱により建物内部が加熱されたり、冬場の寒い時期にコンクリートが冷却される結果、建物内部が冷却されたりする短所がある。このようなコンクリートを通じて外温が長時間にわたり建物内部に与える影響を軽減するために、通常はコンクリートに対して断熱加工が施される。
【0004】
そこで断熱層として、火災に対する難燃性を備えた硬質ポリウレタンフォームが用いられている。
【0005】
特許文献1は、赤リンと沈降防止剤を含むポリウレタン用難燃剤組成物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-219127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、1ヶ月以上プレミックスを長期保管した際に、ハードケーキング(再撹拌できないほど固化)しないポリオール組成物、それを用いたポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のポリオール組成物、それを用いたポリウレタンフォームを提供するものである。
項1. ポリオール化合物、発泡剤、フィラー、酸化金属微粒子を含み、前記発泡剤がハイドロフルオロオレフィンであり、前記酸化金属微粒子の表面が疎水化処理されていることを特徴とする、ポリオール組成物。
項2. 触媒及び/又は整泡剤を含む、項1に記載のポリオール組成物。
項3. 前記フィラーが粉体難燃剤を含む、項1又は2に記載のポリオール組成物。
項4. 前記フィラーが無機充填材を含む、項1又は2に記載のポリオール組成物。
項5. 前記フィラーが顔料を含む、項1又は2に記載のポリオール組成物。
項6. 前記酸化金属微粒子の金属部分が、アルミニウム、チタンまたは珪素であることを特徴とする、項1~5のいずれかに記載のポリオール組成物。
項7. 前記酸化金属微粒子の吸水量が0.5質量%以下であることを特徴とする、項1~6のいずれかに記載のポリオール組成物。
項8. 前記項1~7いずれかに記載のポリオール組成物をポリイソシアネート化合物と混合して製造される、表面が疎水化処理されている金属酸化物微粒子を含むポリウレタンフォーム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1ヶ月以上保管した際でも再撹拌すればポリオール組成物が使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリオール組成物は、ポリオール化合物、発泡剤(ハイドロフルオロオレフィン)、フィラー、表面が疎水化処理されている酸化金属微粒子を含む。このポリオール組成物は、ポリイソシアネート化合物と混合することによりポリウレタンフォームを得ることができる。
【0011】
ポリオール組成物は、さらに触媒及び/又は整泡剤を含むことが好ましい。
【0012】
ウレタン樹脂の硬化剤であるポリオール化合物としては、例えばポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0013】
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコールなどが挙げられる。
【0014】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの水酸基含有化合物と、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネートなどとの脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
【0015】
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0016】
脂環族ポリオールとしては、例えばシクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、ジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
【0017】
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0018】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、ヒドロキシカルボン酸と上記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
【0019】
ここで多塩基酸としては、具体的には、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸等が挙げられる。また多価アルコールとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
【0020】
またヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
【0021】
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、メタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオールまたは、これらの水素添加物等が挙げられる。
【0022】
多価アルコールの変性ポリオールとしては、例えば、原料の多価アルコールにアルキレンオキサイドを反応させて変性したもの等が挙げられる。
【0023】
多価アルコールとしては、例えば、グリセリンおよびトリメチロールプロパン等の三価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト-ス、メチルグルコシドおよびその誘導体等の四~八価のアルコール;フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコ-ル、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1-ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン、1-ヒドロキシピレン等のフェノールポリブタジエンポリオール;ひまし油ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体およびポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2~100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)が挙げられる。
【0024】
多価アルコールの変性方法は特に限定されないが、アルキレンオキサイド(以下、AOと略す)を付加させる方法が好適に用いられる。
【0025】
AOとしては、炭素数2~6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2-プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3-プロピレンオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。
【0026】
これらの中でも性状や反応性の観点から、PO、EOおよび1,2-ブチレンオキサイドが好ましく、POおよびEOがより好ましい。AOを二種以上使用する場合(例えば、POおよびEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0027】
ポリエーテルポリオ-ルとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも一種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0028】
活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオ-ル等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0029】
本発明に使用するポリオールは、燃焼した際の総発熱量の低減効果が大きいことからポリエステルポリオール、またはポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
【0030】
その中でも分子量200~800のポリエステルポリオールを用いることがより好ましく、分子量300~500のポリエステルポリオールを用いることがさらに好ましい。
【0031】
ウレタン樹脂の主剤であるポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0032】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0033】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロへキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0034】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0035】
ポリイソシアネート化合物として、ウレタンプレポリマーを使用してもよい。ウレタンプレポリマーとしては、上記のポリオール化合物と過剰な上記のポリイソシアネート化合物を反応させて得られたものが挙げられる。
【0036】
ポリイソシアネート化合物は一種もしくは二種以上を使用することができる。ウレタン樹脂の主剤は、使い易いこと、入手し易いこと等の理由から、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートが好ましい。
【0037】
本発明の組成物において、イソシアネートインデックスは200以上であることが好ましく、260以上700以下であることがより好ましく、280以上600以下であることが更に好ましく、300以上500以下であることが最も好ましい。
【0038】
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の式にて算出される。
【0039】
INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)÷100/NCOの分子量、
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mg KOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は質量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56.1とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
【0040】
触媒は、ポリオール組成物に含まれていてもよく、ポリオール組成物をポリイソシアネート化合物及び触媒と混合してポリウレタン/ポリウレタンフォームを形成してもよい。
【0041】
触媒としては、三量化触媒及びウレタン触媒(樹脂化触媒、泡化触媒)が挙げられる。三量化触媒とは、イソシアネートが互いに反応することでイソシアヌレートの生成を促進する。
【0042】
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物;
酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、
トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩;
テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等などが挙げられる。
【0043】
三量化触媒は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは0.1質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%、さらに好ましくは0.5質量%~1質量%の範囲で含まれている。上記の割合で三量化触媒を加えることで三量化反応が十分に起こり、均一なフォームを形成できる。
【0044】
ウレタン触媒としては、例えば3級アミン、錫化合物、アセチルアセトン金属塩等が挙げられる。
【0045】
前記3級アミンとしては、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル-N’N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N-メチルイミダゾール、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン等が挙げられる。
【0046】
前記錫化合物としては、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
【0047】
前記アセチルアセトン金属塩としては、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられる。
【0048】
好ましい実施形態において、本発明の組成物はウレタン触媒として3級アミンを含む。ウレタン触媒は、3級アミンのみを一種もしくは二種以上、又は3級アミン及びこれ以外のウレタン触媒からなる二種以上の組み合わせを使用することができる。
【0049】
本発明の組成物におけるウレタン触媒の含有量は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましく0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~10質量%、さらに好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲である。ウレタン触媒を使用することで2量化反応が十分に起こり、3量化反応を起こすための十分な熱が発生するため、均一なフォームを形成できる。
【0050】
整泡剤は、ポリオール組成物に含まれていてもよく、ポリオール組成物をポリイソシアネート化合物と整泡剤を混合してポリウレタン/ポリウレタンフォームを形成してもよい。
【0051】
整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。
【0052】
整泡剤の含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは、0.1質量%~10質量%の範囲とすることができる。
【0053】
整泡剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0054】
発泡剤は、ウレタン樹脂の発泡を促進する。発泡剤としては、トランス-1 - クロロ-3,3,3- トリフルオロプロペン等の炭素数3または4のハイドロフルオロオレフィン、水が挙げられ、ハイドロフルオロオレフィンのみでもよいが、ハイドロフルオロオレフィンと水の併用が好ましい。
【0055】
発泡剤の含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは、0.1質量%~30質量%の範囲とすることができ、0.1質量%~18質量%の範囲であることがより好ましく、0.5質量%~18質量%の範囲であることが更に好ましく、1質量%~10質量%の範囲であることが最も好ましい。
【0056】
発泡剤の範囲が上記の範囲である場合には発泡が促進され、得られる成形体の密度を低減することができる。
【0057】
発泡剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0058】
本発明のポリオール組成物が3級アミンを含む場合、反応速度を調整する目的で、カルボン酸をさらに配合することができる。
【0059】
カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸等の脂肪族多価カルボン酸;乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシ酸;安息香酸、サリチル酸、没食子酸、桂皮酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、メリト酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸;ピルビン酸等のオキソカルボン酸;およびこれらの無水物またはこれらの混合物等が挙げられる。
【0060】
カルボン酸を使用する場合、本発明の組成物におけるカルボン酸の含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは0.01質量%~6質量%、より好ましくは0.05質量%~1質量%、さらに好ましくは0.1質量%~1質量%である。
【0061】
フィラーとしては、顔料、粉体難燃剤、無機充填材が挙げられる。フィラーは、市販品を適宜選択して使用することができる。
【0062】
顔料としては、無機顔料と有機顔料をいずれも使用することができ、特に制限されるものではないが、具体的には、酸化チタン等の白系の顔料;カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、鉄黒(アイアンブラック)等の黒系の顔料;紺青、群青、コバルトブルー、銅フタロシアニンブルー、インダンスロンブルー等の青系の顔料;合成黄色酸化鉄、透明べんがら(黄)、ビスマスバナデート、チタンイエロー、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、金属錯塩アゾイエロー、キノフタロンイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー等の黄系の顔料;べんがら、透明べんがら(赤)、モノアゾレッド、モノアゾレッド、無置換キナクリドンレッド、アゾレーキ(Mn塩)、キナクリドンマゼンタ、アンサンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、ペリレンレッド、ジケトピロロピロールクロムバーミリオン等の赤系の顔料;塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン等の緑系の顔料;ピラゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレットなどのその他の顔料が挙げられる。これらの顔料は、それぞれ単独で又は2種以上を組合わせて使用することができる。
【0063】
本発明に使用する顔料の含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1質量%~70質量%、より好ましくは1.5質量%~50質量%、さらに好ましくは2質量%~40質量%、最も好ましくは4.5質量%~30質量%である。
【0064】
粉体難燃剤としては、赤リン、ホウ素含有難燃剤、針状フィラー、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、窒素系難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物からなる群から選択される一種以上を含有することが好ましい。
【0065】
本発明に使用する赤リンに限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。
【0066】
フィラーとして赤リンを使用する場合、赤リンの含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1.5質量%~52質量%、より好ましくは1.5質量%~20質量%、さらに好ましくは2.0質量%~15質量%の範囲であり、最も好ましくは2.0質量%~10質量%である。
【0067】
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。
【0068】
酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
【0069】
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
【0070】
ホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましい。
【0071】
ホウ素含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる
フィラーとしてホウ素含有難燃剤を使用する場合、その含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1.5質量%~52質量%、より好ましくは1.5質量%~20質量%、さらに好ましくは2.0質量%~15質量%の範囲であり、最も好ましくは2.0質量%~10質量%である。
【0072】
針状フィラーは有機系フィラーであっても無機系フィラーであってもよいが、好ましくは無機系フィラーである。針状フィラーのアスペクト比は5~50であり、好ましくは8~40であり、より好ましくは10~40であり、更に好ましくは10~35であり、8~25が最も好ましい。ここで、本明細書でいうフィラーのアスペクト比とは、針状フィラーを走査型電子顕微鏡で観察して得られる画像にて確認されるフィラーの最大長さの最小厚さ(最大長さに対し垂直方向)に対する比(直径/厚さ比とも言う)であり、十分な数のフィラー、250個以上の平均である。
【0073】
針状フィラーの平均粒径は0.1μm以上15μm未満であり、好ましくは0.1μm以上14μm以下、より好ましくは0.3~10μmである。平均粒径はX線透過式沈降法粒度分布測定装置により求められる。針状フィラーの融点は750℃以上であり、好ましくは800℃以上、より好ましくは1,000℃以上である。
【0074】
針状の無機フィラーとしては、塩基性硫酸マグネシウム、硼酸アルミニウム、ウォラストナイト(珪灰石)、ゾノトライト、ドーソナイト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム系ウィスカー、珪素系ウィスカー、針状アルミナ、針状セラミック、アスベスト、針状炭酸カルシウム、石膏繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、炭素繊維(カーボンナノチューブ等の繊維状、針状又はフラーレン等の球状のニューカーボンを含む)、グラファイト繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、金属繊維等が例示される。
【0075】
針状フィラーは、収縮及び変形のうちの少なくとも一方を防止する。本明細書で「収縮」とは、長さ方向の長さ、幅方向の長さ、及び厚み方向の長さを含む、長さの変化を指し、「変形」とは、反り等の形状の変化、特には厚み方向の形状の変化を指す。針状とは、長径が短径の3倍以上をしたものをいい、所謂針形状だけでなく、紡錘形状、円柱形状のもの等も含む。
【0076】
好ましい一実施形態では、針状フィラーはアスペクト比が5~50、平均粒径が0.1μm以上15μm未満の針状無機フィラーである。好ましい針状フィラーはウォラストナイト又はチタン酸カリウムウィスカーである。
【0077】
フィラーとして針状フィラーを使用する場合、その含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1~30質量%、より好ましくは1質量%~25質量%、さらに好ましくは2質量%~18質量%である。
【0078】
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。周期律表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
【0079】
脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。
【0080】
芳香族アミンとして、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
【0081】
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよく、メラミン、ペンタエリスリトール等の公知の発泡助剤を加えても良い。
【0082】
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
【0083】
モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、等が挙げられる。
【0084】
またポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0085】
リン酸塩含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0086】
フィラーとしてリン酸塩含有難燃剤を使用する場合、その含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1.5質量%~52質量%、より好ましくは1.5質量%~20質量%、さらに好ましくは2.0質量%~15質量%、最も好ましくは2.0質量%~10質量%である。
【0087】
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。
【0088】
芳香族臭素化化合物の具体例としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフエノキシ)エタン、エチレンービス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー有機臭素化合物;臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカ-ボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート;臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物;ポリ(臭素化ベンジルアクリレート);臭素化ポリフェニレンエーテル;臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物;臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン;架橋または非架橋臭素化ポリ(-メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
【0089】
燃焼初期の発熱量を制御する観点から、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモベンゼン等が好ましく、ヘキサブロモベンゼンがより好ましい。
【0090】
臭素含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0091】
フィラーとして臭素含有難燃剤を使用する場合、その含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1.5質量%~52質量%、より好ましくは1.5質量%~20質量%、さらに好ましくは2.0質量%~15質量%、最も好ましくは2.0質量%~10質量%である。
【0092】
窒素系難燃剤としては、メラミン、ブチルメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、リン酸メラミンなどのメラミン誘導体、シアヌル酸、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのシアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレート、N,N'-ジエチルイソシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、ビス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌル酸誘導体、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、炭酸アンモニウムなどを挙げることができる。
【0093】
窒素系難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0094】
フィラーとして窒素系難燃剤を使用する場合、その含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1.5質量%~52質量%、より好ましくは1.5質量%~20質量%、さらに好ましくは2.0質量%~15質量%、最も好ましくは2.0質量%~10質量%である。
【0095】
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
【0096】
酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。
【0097】
アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。
【0098】
ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
【0099】
アンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
【0100】
アンチモン含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0101】
フィラーとしてアンチモン含有難燃剤を使用する場合、その含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1.5質量%~52質量%、より好ましくは1.5質量%~20質量%、さらに好ましくは2.0質量%~15質量%、最も好ましくは2.0質量%~10質量%である。
【0102】
また本発明に使用する金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等があげられる。
【0103】
金属水酸化物は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0104】
金属水酸化物の含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1.5質量%~52質量%、より好ましくは1.5質量%~20質量%、さらに好ましくは2.0質量%~15質量%、最も好ましくは2.0質量%~10質量%である。
【0105】
フィラーが粉体難燃剤を含む場合、粉体難燃剤の合計含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは4.5質量%~70質量%、より好ましくは4.5質量%~40質量%、さらに好ましくは4.5質量%~30質量%である。
【0106】
難燃剤が上記範囲であれば成形品が火災の熱により形成される緻密残渣が割れることを防止でき、組成物の発泡が阻害されない。
【0107】
無機充填材としては、特に限定はないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
【0108】
無機充填材は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0109】
本発明に使用する無機充填材の含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1質量%~70質量%、より好ましくは1.5質量%~50質量%、さらに好ましくは2質量%~40質量%、最も好ましくは4.5質量%~30質量%である。
【0110】
本発明のポリオール組成物は、液体難燃剤としてリン酸エステルを含むことができる。リン酸エステルは特に限定されないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。
【0111】
モノリン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレ二ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレ二ルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスフアフエナンスレン、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
【0112】
縮合リン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX-200)、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルが挙げられる。
【0113】
市販の縮合リン酸エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(ADEKA社製、商品名アデカスタブPFR)、ビスフェノールAポリクレジルホスフエ-ト(商品名FP-600、FP-700)等を挙げることができる。
【0114】
上記の中でも、硬化前の組成物中の粘度の低下させる効果と初期の発熱量を低減させる効果が高いためモノリン酸エステルを使用することが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートを使用することがより好ましい。
【0115】
リン酸エステルは一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0116】
液体難燃剤としてリン酸エステルを使用する場合、その含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは1.5質量%~52質量%、より好ましくは1.5質量%~20質量%の範囲、さらに好ましくは2.0質量%~15質量%、最も好ましくは2.0質量%~10質量%である。
【0117】
酸化金属微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムが挙げられ、これらの酸化金属微粒子表面は疎水化処理されている。疎水化処理は、常法に従い行うことができ、例えば、表面に水酸基を有する親水性酸化金属微粒子の水酸基をハロゲン化脂肪族炭化水素、モノクロロシラン、ジクロロシラン、オクチルシラン、シリコーンオイル等の疎水化剤で疎水化処理したものが挙げられる。疎水化処理により酸化金属微粒子の表面には、ジメチルシリル、トリメチルシリル、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、アルキルシリル、アミノアルキルシリル、メタクリルシリル等の疎水性基が存在する。酸化金属微粒子の平均一次粒径は、好ましくは3nm~60nm、より好ましくは5nm~50nm、さらに好ましくは5nm~40nmである。
【0118】
酸化金属微粒子の吸水量は、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下である。
【0119】
酸化金属微粒子の含有割合は、ポリウレタンを製造するための混合物全体の質量に対して、好ましくは0.1質量%~5質量%、より好ましくは0.3質量%~4質量%、さらに好ましくは0.5質量%~3質量%、最も好ましくは0.5質量%~2質量%である。
【0120】
本発明の組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の補助成分、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
【0121】
本発明の好ましい態様の1つにおいては、ウレタン触媒の合計含有量をX質量%及びカルボン酸の含有量をY質量%としたときに、X>Yであり、ウレタン触媒の含有量が、前記カルボン酸の含有量以上である。このような含有量とすることで、過剰に反応を抑制することがないため、反応率の向上が期待できる。
【0122】
本発明の好ましい実施形態において、触媒、整泡剤、発泡剤、フィラー及び酸化金属微粒子は、ポリオールとこれらの成分とを含むポリオール組成物として提供される(ポリイソシアネート化合物と反応させてポリウレタン発泡体を得るためのポリオール溶液組成物)。
【0123】
ポリオール組成物は、各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等公知の装置を用いて混練することにより得ることができる。
【0124】
次に本発明に係るポリオール組成物の硬化方法について説明する。
【0125】
ポリオール組成物とポリイソシアネート化合物を混合すると時間の経過と共に粘度が上昇し、流動性を失う。
【0126】
例えば、ポリオール組成物とポリイソシアネート化合物の混合物(以下、「発泡ウレタン組成物」と略す)を金型等の容器へ注入して硬化させることにより、ポリウレタンを発泡体(フォーム)として得ることができる。あるいは、発泡ウレタン組成物を、被塗構造物に吹き付けて硬化させることにより、ポリウレタンを発泡体として得ることができる。
【0127】
ポリオール組成物の粘度は、好ましくは100~3000mPas、より好ましくは300~2000mPas、さらに好ましくは500~1500mPasである。
【0128】
ポリウレタンフォームを得る際には、熱を加えたり、圧力を加えたりすることができる。
【0129】
ポリウレタンフォームの厚みは特に限定されないが、例えば1~50mmである。特に20mm以上の場合に、発熱性試験時の変形の抑制効果が発揮され有利である。一実施形態において、本発明のポリウレタンフォームは、100mm×100mm×20mm(長さ方向×幅方向×厚み方向)の成形体をISO-5660試験方法に従って輻射熱強度50kW/m2にて20分間加熱したときの加熱前に対する加熱後の成形体の長さ方向及び幅方向の寸法が95mmよりも大きく、厚み方向の変形が10mm未満である。
【0130】
本発明のポリウレタンフォームは、比重が0.020~0.130の範囲であることが取り扱いやすいことから好ましく、0.020~0.100の範囲であることがより好ましく、0.030~0.080の範囲であることがさらに好ましく、0.030~0.060の範囲であることが最も好ましい。
【0131】
本発明のポリウレタンフォームは、好ましくは、温度条件を30℃から900℃まで10℃/分の割合で昇温し、測定雰囲気を流量100mL/分の空気流とした場合の、空気条件下でのTG/DTA測定における質量減少率(1-加熱後のサンプル質量/加熱前のサンプル質量)×100(%))が5%以下である。このためフォームは加熱後も高い形状保持性を保持できる。
【0132】
次に本発明に係るポリウレタンフォームの応用例について説明する。
【0133】
前記ポリウレタンフォームを、薄厚のパネルに成形し、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物に配置することができる。あるいは、発泡ウレタン組成物を上記構造物に吹き付けることにより、前記構造物の表面にポリウレタンフォーム層を形成することができる。
【0134】
本発明の発泡ウレタン組成物およびポリウレタン発泡体の耐火性は、ISO-5660の試験方法に準拠したコーンカロリーメーター試験により評価することができる。具体的には、この耐火試験では、ポリウレタンフォームを縦10cm、横10cmおよび厚み5cmに切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備する。次に、コーンカロリーメーター試験用サンプル用いて、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/m2にて20分間加熱したときの総発熱量をコーンカロリーメーターにより測定する。
【0135】
本明細書において「不燃性」とは、(1)放射熱強度50kW/m2にて加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下である、(2)加熱開始後20分間に200kW/mを超える発熱速度が10秒を超えて継続しない、(3)加熱開始後20分間に防火上有害な亀裂または穴等の変形が生じない、という(1)~(3)の条件を全て具備するものをいう。
【0136】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例
【0137】
実施例1~11及び比較例1~4
実施例及び比較例で用いた各成分を表1に示し、各成分の配合量を表2に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
以下の基準で、得られたポリオール組成物および酸化金属微粒子の性能評価を行った。結果を表2に示す。
(1) ケーキング
ポリオール組成物について、表2に示される発泡剤以外の材料を500mlプラスチック容器に投入し、小型攪拌機で3000rpm5分間撹拌した。その後、発泡剤を投入し、3000rpmで1分間撹拌した。得られたサンプル(ポリオール組成物)を東京硝子器械社製の300mlマヨネーズ瓶に200g投入し40℃オーブン内で保管した。1ヶ月後にサンプルを取り出し、薬さじを静かに下ろし、自重で容器の底に達すれば○、途中で固い層にぶつかり達しなければ×とした。
(2) 粘度
ポリオール組成物について、BM型粘度計で、スピンドルBM3、回転数60rpm、温度25℃で測定した。
(3) 吸水量
酸化金属微粒子について、サンプル1gを20℃85%のオーブンに投入し、60分後の増加重量を測定し、重量増加率を算出した。尚、0.01%以下は測定誤差が大きいため、<0.01と記載する。