(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート、ガラス板用間紙及びポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20220224BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20220224BHJP
C03B 40/00 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B5/18
C03B40/00
(21)【出願番号】P 2018105818
(22)【出願日】2018-06-01
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000131810
【氏名又は名称】株式会社ジェイエスピー
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100126413
【氏名又は名称】佐藤 太亮
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 聡
(72)【発明者】
【氏名】西本 敬
(72)【発明者】
【氏名】竹内 亮平
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-042556(JP,A)
【文献】特開2010-018758(JP,A)
【文献】特開2011-162688(JP,A)
【文献】特開2013-032478(JP,A)
【文献】特開2016-182736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも片面側に積層接着されたポリオレフィン系樹脂表面層とを有する積層発泡シートであって、
前記表面層には、ポリエチレングリコール(PEG)が配合されており、
前記ポリエチレングリコール(PEG)が、25℃で液体である第1のポリエチレングリコール(PEG1)と、25℃で固体である第2のポリエチレングリコール(PEG2)とからなり、
前記表面層における前記第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量が、前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であり、
前記表面層における前記第2のポリエチレングリコール(PEG2)の配合量が、前記表面層における第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量100質量部に対して3質量部以上
100質量部以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
【請求項2】
前記第1のポリエチレングリコール(PEG1)の数平均分子量が100以上800以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
【請求項3】
前記第2のポリエチレングリコール(PEG2)の数平均分子量が2000以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
【請求項4】
前記第2のポリエチレングリコール(PEG2)の凝固点が50℃を超える温度であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡
シート。
【請求項5】
前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対する前記ポリエチレングリコール(PEG)の総配合量が15質量部以下であることを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
【請求項6】
前記表面層に高分子型帯電防止剤が配合されており、該高分子型帯電防止剤の配合量が前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して2質量部以上30質量部以下であることを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
【請求項7】
前記発泡層を構成するポリオレフィン系樹脂が低密度ポリエチレンであり、
前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂が低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1から
6のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートからなるガラス板用間紙。
【請求項9】
ポリオレフィン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも片面側に積層接着されたポリオレフィン系樹脂表面層とを有する積層発泡シートを共押出発泡により製造する製造方法であって、
前記表面層には、ポリエチレングリコール(PEG)が配合されており、
前記ポリエチレングリコール(PEG)が、25℃で液体である第1のポリエチレングリコール(PEG1)と、25℃で固体である第2のポリエチレングリコール(PEG2)とからなり、
前記表面層における前記第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量が、前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であり、
前記表面層における前記第2のポリエチレングリコール(PEG2)の配合量が、前記表面層における第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量100質量部に対して3質量部以上100質量部以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂積層発泡シート及び該積層発泡シートからなるガラス板用間紙に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートは、柔軟性や緩衝性に優れており、被包装物の損傷、傷つき等を防止できることから、家電製品、ガラス器具、陶器等の包装材として広く使用されてきた。また、ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートは、近年、薄型テレビの開発、需要拡大に伴い、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等のディスプレイパネルの製造に用いられるガラス板用間紙としても広く使用されている。
【0003】
ガラス板用間紙は、ガラス板の間に介装されて使用されるシート材である。一般的に、ガラス板用間紙は、ガラス板の保管や輸送等といった複数のガラス板をまとめて取り扱う場合においてガラス板に傷や破損を生じるおそれを防止するために用いられる。
【0004】
ディスプレイの高精細化に伴い、ディスプレイ用のガラス板に対しては、より一層の高い品質が求められる。ガラス板が使用される際には、水等でガラス板の表面洗浄が行われることが一般的である。このため、ガラス板については、洗浄によって表面の状態をきわめて清潔な状態とすることができることが求められている。したがって、ガラス用間紙に対しては、ガラス板等の被包装物の洗浄性を阻害しないものや、ガラス板等の被包装物に対して優れた洗浄性を付与することができるものが求められてきている。
【0005】
こうした点に関して、例えば、特許文献1には、表面層にポリエチレングリコール等の親水性化合物を含有させたポリオレフィン系樹脂積層発泡シートが提案されている。このポリオレフィン系樹脂積層発泡シートが包装用シートとして使用された場合、包装用シートで包装される被包装物の洗浄性が向上し、異物等が移行した場合であっても水等による被包装物の洗浄を実施することで被包装物の表面の汚れを容易に除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、保管や輸送等の際に、ガラス板等の被包装物が高温多湿の雰囲気下に置かれることが生じてきている。高温多湿の雰囲気下において従来のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートを使用した場合、ガラス板等の被包装物の洗浄性の付与がやや不十分となる場合があった。
【0008】
本発明は、高温多湿下にあってもガラス板等の被包装物に対して優れた洗浄性を付与することができる積層発泡シートの提供、及びそのような積層発泡シートを利用したガラス板用間紙の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(1)ポリオレフィン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも片面側に積層接着されたポリオレフィン系樹脂表面層とを有する積層発泡シートであって、
前記表面層には、ポリエチレングリコール(PEG)が配合されており、
前記ポリエチレングリコール(PEG)が、25℃で液体である第1のポリエチレングリコール(PEG1)と、25℃で固体である第2のポリエチレングリコール(PEG2)とからなり、
前記表面層における前記第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量が、前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であり、
前記表面層における前記第2のポリエチレングリコール(PEG2)の配合量が、前記表面層における第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量100質量部に対して3質量部以上100質量部以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層発泡シート、
(2)前記第1のポリエチレングリコール(PEG1)の数平均分子量が100以上800以下であることを特徴とする(1)に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート、
(3)前記第2のポリエチレングリコール(PEG2)の数平均分子量が2000以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート、
(4)前記第2のポリエチレングリコール(PEG2)の凝固点が50℃を超える温度であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡
シート、
(5)前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対する前記ポリエチレングリコール(PEG)の総配合量が15質量部以下であることを特徴とする(1)から(4)のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート、
(6)前記表面層に高分子型帯電防止剤が配合されており、該高分子型帯電防止剤の配合量が前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して2質量部以上30質量部以下であることを特徴とする(1)から(5)のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート、
(7)前記発泡層を構成するポリオレフィン系樹脂が低密度ポリエチレンであり、
前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂が低密度ポリエチレンであることを特徴とする(1)から(6)のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート、
(8)(1)から(7)のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートからなるガラス板用間紙、
(9)ポリオレフィン系樹脂発泡層と、該発泡層の少なくとも片面側に積層接着されたポリオレフィン系樹脂表面層とを有する積層発泡シートを共押出発泡により製造する製造方法であって、
前記表面層には、ポリエチレングリコール(PEG)が配合されており、
前記ポリエチレングリコール(PEG)が、25℃で液体である第1のポリエチレングリコール(PEG1)と、25℃で固体である第2のポリエチレングリコール(PEG2)とからなり、
前記表面層における前記第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量が、前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であり、
前記表面層における前記第2のポリエチレングリコール(PEG2)の配合量が、前記表面層における第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量100質量部に対して3質量部以上100質量部以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法、を要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層発泡シートは、高温多湿下にあっても、ガラス板等の被包装物に対して優れた洗浄性を付与することができるポリオレフィン系樹脂積層発泡シートである。また、積層発泡シートを用いた本発明のガラス板用間紙は、高温多湿下にあっても、ガラス板に対して優れた洗浄性を付与することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の積層発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂発泡層(以下、単に、発泡層と呼ぶことがある)とポリオレフィン系樹脂表面層(以下、単に、表面層と呼ぶことがある)とを有する。
【0012】
(積層発泡シートの平均厚み)
本発明の積層発泡シートの平均厚みに特に制限はないが、積層発泡シートの平均厚みは、概ね0.05mm以上10mm以下である。積層発泡シートの平均厚みが上記範囲内であると、ガラス板用間紙として使用した場合においても、嵩張ることなく十分な緩衝性を確保することができる。上記観点から、積層発泡シートの平均厚みは、0.07mm以上1.0mm以下が好ましく、0.1以上0.5mm以下がより好ましく、0.12mm以上0.3mm以下が更に好ましい。
【0013】
(積層発泡シートの平均厚みの特定)
本発明における積層発泡シートの平均厚みは、積層発泡シートの全幅に亘って幅方向に1cm間隔で測定される積層発泡シートの全厚み(mm)の算術平均値として特定される。幅方向とは、例えば押出機を用いた製造方法によって積層発泡シートが製造される場合においては、積層発泡シート面に沿った方向であり且つ積層発泡シートの押出方向に対して直交する方向を示す。
【0014】
(発泡層)
本発明の積層発泡シートの発泡層は、ポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とする発泡体で形成される層である。基材樹脂となるポリオレフィン系樹脂は、オレフィン系モノマーに由来する成分単位の割合を50モル%以上とする樹脂である。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂のなかでも、特にポリエチレン系樹脂が、より柔軟性に優れる点で好適である。
【0015】
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、さらにそれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0016】
これらのポリエチレン系樹脂の中でも、低密度ポリエチレンが好ましい。なお、低密度ポリエチレンは、密度が890kg/m3以上935kg/m3以下のポリエチレン系樹脂、好ましくは密度が900kg/m3以上930kg/m3以下のポリエチレン系樹脂である。
【0017】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと他のオレフィン等との共重合体が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のオレフィンとしては、例えば、エチレンや、1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセンなどの炭素数4から10のα-オレフィンが例示される。
【0018】
ポリオレフィン系樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、スチレン系樹脂等の他の樹脂や、エチレンプロピレンゴムやスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体等のエラストマー等を添加しても良い。その場合、他の樹脂やエラストマーの添加量は、発泡層を構成するポリオレフィン系樹脂の添加量を100質量部とする場合に25質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
【0019】
また、ポリオレフィン系樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、気泡調整剤、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、抗菌剤、収縮防止剤等の機能性添加剤、無機充填剤等を挙げることができる。
【0020】
(積層発泡シートの見掛け密度)
本発明の積層発泡シートの見掛け密度は好ましくは20kg/m3以上450kg/m3以下であることが好ましい。積層発泡シートの見掛け密度が上記範囲内であると、積層発泡シートは、柔軟性に優れると共に、保形性や圧縮強さ等の機械強度に優れるものとなる。積層発泡シートの柔軟性の観点から、該見掛け密度の上限は、300kg/m3であることが好ましく、より好ましくは200kg/m3である。また、積層発泡シートの機械強度やコシ強度の観点から、該見掛け密度の下限は30kg/m3であることが好ましく、より好ましくは40kg/m3、更に好ましくは50kg/m3である。
【0021】
積層発泡シートの見掛け密度は、積層発泡シートから試験片を切り出し、その試験片の質量(kg)を、その試験片の外形寸法から求められる体積(m3)で除した値から特定される。
【0022】
(表面層)
本発明の積層発泡シートの表面層は、発泡層の表裏面のうちの少なくとも片面側に積層接着されており、積層発泡シートの最表面側に位置する。また、発泡層と表面層との間に中間層が形成されていてもよい。中間層としては、例えば、発泡層と表面層の両方の層に対して接着性を有する樹脂からなる層を挙げることができる。
【0023】
表面層は、ポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とする樹脂組成物で形成される層である。基材樹脂となるポリオレフィン系樹脂、及び、これに配合される他の樹脂や添加剤等としては、発泡層について前記したものと同様のものを用いられてよい。
【0024】
本発明の積層発泡シートにおいて、発泡層と表面層の構成するポリオレフィン系樹脂は同一樹脂を用いてもよく、発泡層と表面層とで互いに異なる樹脂を用いてもよい。積層発泡シートとして発泡層と表面層とが互いに同じ種類の樹脂で形成されている場合、発泡層と表面層の接着性が高いものとなる。発泡層と表面層の接着性の観点から、表面層についても低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0025】
表面層の坪量は、片面について、0.5g/m2以上であることが好ましく、0.7g/m2以上であることがより好ましく、1.0g/m2以上がさらに好ましい。表面層の坪量が上記範囲を満たすと、所望される被包装物の洗浄性が十分に高められる。該表面層の坪量の上限は、被包装物の洗浄性の観点からは特に制限されないが、緩衝性や軽量性の観点からはその上限は、100g/m2であることが好ましく、60g/m2であることがより好ましく、50g/m2であることがさらに好ましい。
【0026】
本発明における表面層の坪量[g/m2]は、押出機を用いた製造方法によって積層発泡シートが製造される場合においては、積層発泡シート製造時における表面層の吐出量X[kg/h]と、得られる積層発泡シートの幅W[m]、積層発泡シートの単位時間あたりの長さL[m/h]から、以下の式(1)により求めることができる。なお、発泡層の両面側に表面層を積層する場合には、それぞれの表面層の吐出量からそれぞれの表面層の坪量を求める。
【0027】
【0028】
(ポリエチレングリコール(PEG))
本発明の積層発泡シートの表面層には、ポリエチレングリコール(PEG)が配合されている。表面層に配合されるポリエチレングリコール(PEG)は、第1のポリエチレングリコール(PEG1)と、第2のポリエチレングリコール(PEG2)とからなる。
【0029】
本発明の積層発泡シートは、高温多湿の雰囲気下に置かれていたとしても、ガラス板等の被包装物に対して優れた洗浄性を付与することができるものである。本発明の積層発泡シートが、高温多湿下にあっても被包装物に対して優れた洗浄性を付与することができる理由は、明らかではないが、次に示す2つの理由を考えることができる。
【0030】
第一に、本発明の積層発泡シートは、25℃で液体の第1ポリエチレングリコールと共に25℃で固体の第2のポリエチレングリコールが配合されているため、積層発泡シートの吸水率が低く抑えられたものとなる。したがって、高温多湿の雰囲気下に置かれていたとしても、積層発泡シートの表面に塵や埃が付着しにくいと考えられる。このため、積層発泡シートを包装材として使用した場合に積層発泡シートを経由して塵や埃が被包装物に付着して被包装物が汚染されるおそれを効果的に抑制できる。さらに、積層発泡シートの吸水率が低く抑えられていることにより、汚れの要因となる大気中の有機物や、水分に含まれる水素イオンやカルシウムイオン等の不純物が空気中の水分とともに積層発泡シートに付着するおそれを抑制することができると考えられる。
【0031】
第二に、本発明の積層発泡シートは、25℃で液体の第1ポリエチレングリコールと共に25℃で固体の第2のポリエチレングリコールが配合されているため、高温多湿の雰囲気下に置かれていたとしても、第1のポリエチレングリコールが表面層から被包装物に、より均一にブリードアウトするものとなると考えられる。したがって、被包装物の洗浄時において、被包装物の洗浄ムラの抑制されたものとなると考えられる。
【0032】
こうしたことから、本発明の積層発泡シートは、高温多湿下にあっても被包装物に対して優れた洗浄性を付与することができるものとなると考えられる。
【0033】
(ポリエチレングリコールの配合量)
表面層におけるポリエチレングリコール(PEG)の総配合量は、表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して15質量部以下であることが好ましい。表面層におけるポリエチレングリコール(PEG)の総配合量が上記範囲内であると、高温多湿の雰囲気下にあっても、ガラス板等の被包装物に対してより優れた洗浄性を付与することができる積層発泡シートとなる。上記観点から、ポリエチレングリコール(PEG)の配合量の上限は、12質量部であることがより好ましく、10質量部であることが更に好ましい。また、ポリエチレングリコールの配合量の下限は0.5質量部であることが好ましく、1.0質量部であることがより好ましい。
【0034】
(第1のポリエチレングリコール(PEG1))
表面層における第1のポリエチレングリコール(PEG1)は、25℃で液体であるポリエチレングリコールである。前記第1のポリエチレングリコールが25℃で液体であることにより、第1のポリエチレングリコールが表面層からよりブリードアウトしやすく、被包装物に対して優れた洗浄性を付与できるものとなる。上記観点から、第1のポリエチレングリコール(PEG1)は、23℃で液体であることがより好ましく、10℃で液体であることがさらに好ましく、0℃で液体であることが特に好ましい。
【0035】
(第1のポリエチレングリコール(PEG1)の数平均分子量)
上記したPEG1が液体である温度についての説明で示すような表面層からPEG1がブリードアウトしやすくなる観点から、前記第1のポリエチレングリコール(PEG1)の数平均分子量は、100以上800以下であることが好ましく、150以上700以下であることがより好ましく、200以上600以下であることが更に好ましい。
【0036】
(数平均分子量の特定方法)
第1のポリエチレングリコールの数平均分子量は、水酸基価から算出される周知の方法により求めることができる。
【0037】
(第1のポリエチレングリコールの配合量)
表面層における前記第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量は、前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下である。第1のポリエチレングリコールの配合量の割合が上記範囲内であると、積層発泡シートは、被包装物に対してより優れた洗浄性を付与することができる。上記観点から、第1のポリエチレングリコールの配合量は、1.0質量部以上8質量部以下であることがより好ましく、2質量部以上6質量部以下であることが更に好ましい。
【0038】
第1のポリエチレングリコールは、市場から入手することができる。本発明において第1のポリエチレングリコールとして使用できる市販品としては、例えば、富士フィルム和光純薬株式会社製の「Polyethylene Glycol 300」等が挙げられる。
【0039】
(第2のポリエチレングリコール(PEG2))
表面層における第2のポリエチレングリコール(PEG2)は、25℃で固体であるポリエチレングリコールである。25℃で固体である第2のポリエチレングリコール(PEG2)が、25℃で液体である第1のポリエチレンとともに積層発泡シートの表面層に配合されていることにより、積層発泡シートが高温多湿の雰囲気下に置かれていたとしても、ガラス板等の被包装物に対してより優れた洗浄性を付与することができる。
【0040】
(第2のポリエチレングリコール(PEG2)の数平均分子量)
高温多湿下において、ガラス板等の被包装物の洗浄性をより高めるという観点から、前記第2のポリエチレングリコール(PEG2)の数平均分子量は、2000以上であることが好ましく、2500以上であることがより好ましく、3000以上であることが更に好ましい。第2のポリエチレングリコールの数平均分子量の上限はおおむね20000である。
【0041】
(数平均分子量の特定方法)
第2のポリエチレングリコールの数平均分子量は、前記した第1のポリエチレングリコールの数平均分子量と同様の方法により求めることができる。
【0042】
(第2のポリエチレングリコール(PEG2)の凝固点)
さらに、高温多湿下において、ガラス板等の被包装物の洗浄性をより高めるという観点から、第2のポリエチレングリコール(PEG2)の凝固点が50℃を超える温度であることが好ましく、52℃以上であることがより好ましく、55℃以上であることが更に好ましい。第2のポリエチレングリコールの凝固点の上限はおおむね65℃である。
【0043】
(凝固点の特定方法)
第2のポリエチレングリコールの凝固点は、JIS K 0065(1992年)に記載の方法等により求めることができる。
【0044】
(第2のポリエチレングリコールの配合量)
表面層における第2のポリエチレングリコール(PEG2)の配合量は、前記表面層における第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量100質量部に対して3質量部以上である。第2のポリエチレングリコール(PEG2)の配合量が少なすぎると、高温多湿の雰囲気下に置かれた場合に、ガラス板等の被包装物に対して洗浄性を十分に付与できないおそれがある。上記観点から、表面層における第2のポリエチレングリコール(PEG2)の配合量は、前記表面層における第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量100質量部に対して5質量部以上であることがより好ましい。
【0045】
表面層における第2のポリエチレングリコール(PEG2)の配合量の上限は、特に限定されないが、積層発泡シートの製造安定性の観点から、前記表面層における第1のポリエチレングリコール(PEG1)の配合量100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。
【0046】
第2のポリエチレングリコールは、市場から入手することができる。本発明において第2のポリエチレングリコールとして使用できる市販品としては、例えば、富士フィルム和光純薬株式会社製の「Polyethylene Glycol 6000」等が挙げられる。
【0047】
さらに、本発明の積層発泡シートは、表面層に第1ポリエチレングリコールと共に第2のポリエチレングリコールが含有されているため、高温多湿の雰囲気下にあっても、被包装物に対する剥離強度が小さいものとなる。このため、例えば、被包装物を持ち上げて取り出す際に、積層発泡シートからなる包装材が被包装物に追従して被包装物と共に持ち上げられてしまうおそれが抑制され、被包装物を使用する際の作業性を良好にすることができる。
【0048】
(帯電防止剤)
本発明の積層発泡シートは、本発明の目的効果を阻害しない範囲において表面層に帯電防止剤を配合されてもよい。帯電防止剤としては、高分子型帯電防止剤を用いることが好ましい。高分子型帯電防止剤としては、ポリエーテル-ポリオレフィン共重合体、アイオノマー樹脂などが例示される。ポリエーテル-ポリオレフィン共重合体としては、例えば、三洋化成工業株式会社製「ペレスタット(商標)VL300」、「ペレスタットHC250」、「ぺレクトロン(商標)HS」、「ぺレクトロンPVH」、「ぺレクトロンLMP」などの商品名で市販されているものが挙げられる。アイオノマー樹脂としては、例えば、三井・デュポンポリケミカル株式会社製「エンティラ(商標)SD100」、「エンティラMK400」などの商品名で市販されているものが挙げられる。
【0049】
(表面抵抗率)
本発明の積層発泡シートの表面抵抗率は、1×108Ω以上1×1014Ω以下であることが好適である。積層発泡シートの表面抵抗率が上記範囲内であると、積層発泡シートは十分な帯電防止性を示すものとなる。上記観点から、積層発泡シートの表面抵抗率は、5×1013Ω以下が好ましく、1×1013Ω以下がさらに好ましい。
【0050】
積層発泡シートの表面抵抗率は、JIS K 6271(2008)に準拠して測定される。すなわち、積層発泡シートの表面を含む所定の寸法に切り出した試験片を温度20℃、相対湿度30%の雰囲気下に36時間放置して試験片の状態調節を行う。状態調節された試験片を用いて、JIS K 6271(2008)に準拠して印加電圧500Vの条件にて電圧印加を開始して1分経過後に、試験片のうち積層発泡シートの表面層の表面部分の表面抵抗率を求め、これを積層発泡シートの表面抵抗率とする。
【0051】
前記高分子型帯電防止剤の配合量は、表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して2質量部以上30質量部以下であることが好ましい。帯電防止剤の配合量が上記範囲内であると、積層発泡シートは、帯電防止性能に優れるものとなる。上記観点から、帯電防止剤の配合量は、前記表面層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3質量部以上25質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
【0052】
(積層発泡シートの製造方法)
本発明の積層発泡シートは、例えば、環状ダイを用いた共押出法により製造することができる。まず、発泡層形成用のポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて添加される気泡調整剤などの添加剤とを発泡層形成用押出機に供給し、ポリオレフィン系樹脂と添加剤の混合物を加熱混練して、さらに物理発泡剤を圧入し、さらに混合物と物理発泡剤を混錬して発泡層形成用樹脂溶融物を得る。他方、表面層形成用のポリオレフィン系樹脂と、ポリエチレングリコールと、必要に応じて添加される帯電防止剤などの添加剤とを表面層形成用押出機に供給し、加熱混練して表面層形成用樹脂溶融物を得る。その後、発泡層形成用樹脂溶融物と表面層形成用樹脂溶融物とを共押出用環状ダイに導入し、共押出発泡することにより、発泡層に表面層が積層された筒状積層発泡体を形成し、該筒状積層発泡体を拡径しつつ引き取りながら切り開いて積層発泡シートを得ることができる。
【0053】
積層発泡シートの製造方法において表面層形成用樹脂溶融物を得るにあたり、ポリエチレングリコールが添加され、すなわち第1のポリエチレングリコールと第2のポリエチレングリコールが添加される。このとき、第1のポリエチレングリコールと第2のポリエチレングリコールの添加方法は特に限定されるものではない。例えば、第1のポリエチレングリコールと第2のポリエチレングリコールとを、同時に表面層形成用押出機に供給してもよく、また別々に表面層形成用押出機に供給しても良い。また、第2のポリエチレングリコールは表面層形成用押出機にポリオレフィン系樹脂とともに供給しても良く、あらかじめ加熱して液状とし、液中ポンプ等を用いて表面層形成用押出機に供給してもよい。第1のポリエチレングリコールは液中ポンプを用いて表面層形成用押出機に供給しても良い。その他、第1のポリエチレングリコールと第2のポリエチレングリコールとをあらかじめ表面層形成用のポリオレフィン系樹脂と混錬してマスターバッチ化したものを表面層形成用押出機に供給しても良い。
【0054】
発泡層を形成する際に使用される気泡調整剤としては、有機系のもの無機系のもの特に問われることなく使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム等が挙げられる。また、有機系気泡調整剤としては、リン酸-2,2-メチレンビス(4,6-tert-ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等を挙げることができる。また、クエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として使用することができる。さらに、これら例示した各気泡調整剤は、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0055】
また、気泡調整剤としては、上述した中でも、発泡層の気泡径を調整しやすい観点から、タルクを用いることが好ましい。なお、気泡調整剤は、発泡層を構成するポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、概ね0.1質量部以上3質量部以下の範囲で添加することが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上2質量部以下である。
【0056】
物理発泡剤は、積層発泡シートの発泡層の製造に適用することができるものであれば特に限定されず使用することができる。物理発泡剤としては、無機系物理発泡剤や有機系物理発泡剤を使用することができる。無機系物理発泡剤としては、例えば、酸素、窒素、二酸化炭素、空気等を挙げることができる。有機系物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2-テトラフロロエタン、1,1-ジフロロエタン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン等のフッ化炭化水素、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類等が挙げられる。さらに、上記の物理発泡剤は、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0057】
これらの物理発泡剤の中でも、共押出法を安定して実施することができ、良好な発泡層を安定して得ることができるという観点から、物理発泡剤としてはノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0058】
(ガラス板用間紙)
本発明の積層発泡シートは、ガラス板用間紙として使用することができる。ガラス板用間紙は、ガラス板の間に介装されて用いることができるものであり、ガラス板同士の接触による破損のおそれを防止することができるものである。このようなガラス板用間紙を用いられるガラス板としては、液晶ディスプレイ用のガラス板が挙げられる。液晶ディスプレイ用のガラス板を使用するにあたっては、ガラス板の間に介装されたガラス板用間紙が取り外された後、通常は、個々のガラス板が水等で洗浄され、そして洗浄されたガラス板が使用される。このとき、ガラス板面に塵や埃、有機物等が接触していると、水等で塵や埃、有機物等を洗い流すことが難しい。この点、ガラス板用間紙が、本発明の積層発泡シートからなる場合には、ポリエチレングリコールが積層発泡シートからガラス板の面に良好に移行しており、個々のガラス板を水等で洗浄する際にガラス板の表面に付着した塵や埃、有機物等が容易に洗浄されるようになる。
【0059】
また、ガラス板用間紙はガラス板の間に介装された状態で、高温多湿雰囲気下に置かれることもある。この点、ガラス板用間紙が、本発明の積層発泡シートからなる場合には、積積層発泡シートの吸水率が低く抑えられており、高温多湿の雰囲気下に置かれていたとしても、積層発泡シートの表面に塵や埃、有機物等が付着しにくい。そのため、積層発泡シートを経由して塵や埃、有機物等がガラス板に付着してガラス板が汚染されてしまうおそれを効果的に抑制できる。
【0060】
さらに、本発明の積層発泡シートは、上述したように高温多湿雰囲気下にあっても被包装物との剥離強度が小さいため、例えば、板状の被包装物を持ち上げて取り出す際に、積層発泡シートが被包装物に追従して被包装物と共に持ち上げられてしまうことがなく、作業性の良いものとなる。この点からも、本発明の積層発泡シートは、ガラス板用間紙として好適に使用することができる。
【0061】
なお、本発明の積層発泡シートは、発泡層の片面のみに表面層が積層されているもののみならず、両面に表面層が積層されているものであってもよいが、積層発泡シートをガラス板用間紙として使用する場合には表面層が発泡層の両面に積層されていることが好ましい。発泡層の両面に表面層が備えられることで、ガラス板用間紙は、ガラス板の間に介装されて用いられた際に、ガラス板用間紙に接触する2枚のガラス板の両方ともに、汚染性を低減し且つ洗浄性を向上させることができる。
【0062】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0063】
ポリオレフィン系樹脂として、低密度ポリエチレン(密度922kg/m3)(表2中、LDPE1という略号で示す)(株式会社NUC製、グレード名 NUC8321)を用いた。
【0064】
ポリエチレングリコール(表1、表2中、PEGという略号で示す)として、表1に示すように、PEG300、PEG600、PEG4000、PEG6000の4種類のものを用いた。PEG300、PEG600が第1のポリエチレングルコール(表2中、PEG1という略号で示す)に対応し、PEG4000、PEG6000が第2のポリエチレングリコール(表2中、PEG2という略号で示す)に対応する。
【0065】
【0066】
帯電防止剤として、高分子型帯電防止剤であるポリエーテル-ポリオレフィン共重合体(表2中、ASP1という略号で示す)(三洋化成株式会社製、商品名ペレスタット(商標)300、体積抵抗率1×108(Ω・cm))を用いた。
【0067】
物理発泡剤として、ノルマルブタン70質量%とイソブタン30質量%とからなる混合ブタンを用いた。
【0068】
気泡調整剤として、低密度ポリエチレン80質量%に対してタルク(松村産業株式会社製、商品名ハイフィラー#12)を20質量%配合してなる気泡調整剤マスターバッチを用いた。
【0069】
発泡層形成用押出機として、内径90mmの第一押出機と内径120mmの第二押出機とからなるタンデム押出機を用い、表面層形成用押出機として、内径50mm、L/D=50の第三押出機を用いた。さらに、共押出用環状ダイに、第二押出機と第三押出機のそれぞれの出口を連結し、それぞれの樹脂溶融物を共押出用環状ダイ内で積層可能にした。
【0070】
実施例1から7
(発泡層形成用樹脂溶融物の調製)
低密度ポリエチレン系樹脂と、該樹脂100質量部に対して1.5質量部の気泡調整剤マスターバッチとを第一押出機に供給し、溶融、混練し、約200℃に調整された樹脂溶融物とした。次に、該樹脂100質量部に対して10質量部の混合ブタンを圧入し、次いで第一押出機の下流側に連結された第二押出機に移送して、押出樹脂温度を115℃に調整して発泡層形成用樹脂溶融物とし、前記共押出用環状ダイに導入した。
【0071】
(表面層形成用樹脂溶融物の調製)
他方、表2に示す量の低密度ポリエチレン系樹脂と高分子型帯電防止剤と、表2に示す量・種類の第1のポリエチレングリコール(PEG1)及び第2のポリエチレングリコール(PEG2)を第三押出機に供給して溶融、混練し、押出樹脂温度を115℃に調整して表面層形成用樹脂溶融物とし、前記共押出用環状ダイに導入した。なお、前記PEG1は第三押出機に連結された液中ポンプを介して供給し、PEG2は第三押出機に低密度ポリエチレン系樹脂とともに添加した。
【0072】
共押出用環状ダイに導入された発泡層形成用樹脂溶融物の外側と内側に、共押出用環状ダイに導入された表面層形成用樹脂溶融物を合流、積層し、環状ダイから、吐出量130kg/hrで大気中に押出し、ブローアップ比2.8となるよう拡径しつつ、引取速度67m/minで引取り、さらに押出方向に沿って切り開き、表面層/発泡層/表面層の3層構成の積層発泡シート(幅約1400mm)を製造した。
【0073】
得られた積層発泡シートについて、平均厚み、見掛け密度、表面抵抗率、吸水率、及びガラス板剥離強度を次のように測定した。また、次のように、ガラス板洗浄性を評価した。結果を表2に示す。
【0074】
(積層発泡シートの平均厚み)
積層発泡シートの全幅にわたって幅方向に沿って1cm間隔でシートの厚み(mm)を測定し、それらの算術平均による平均厚みを算出した。前記測定を積層発泡シートの無作為に選択された3箇所に対して行い、算出した前記3箇所の平均厚みの値の算術平均値を積層発泡シートの平均厚み(mm)とした。
【0075】
(積層発泡シートの見掛け密度)
積層発泡シートの押出方向において無作為に5箇所選択し、各箇所についてシートの全幅にわたりシート幅×幅100mmに切り出して5つの試験片を準備した。そして各試験片の質量(kg)を測定するとともに外形寸法から体積(m3)を求め、上記質量(kg)を上記体積(m3)で除して各試験片の見掛け密度(kg/m3)を求め、得られた値の算術平均値を見掛け密度(kg/m3)とした。
【0076】
(積層発泡シートの表面抵抗率)
積層発泡シートの表面抵抗率は、JIS K 6271(2008)に準拠して測定した。具体的には、積層発泡シートから無造作に縦100mm×横100mmの試験片を切り出し、温度20℃、相対湿度30%の雰囲気下に36時間放置して試験片の状態調節を行った。次いでそれぞれの試験片の両面に対して印加電圧500Vの条件にて電圧を印加した。電圧印加を開始して1分経過後に、試験片の表面抵抗率を測定し、それらの算術平均値(試験片5片×両面[n=10])を積層発泡シートの表面抵抗率とした。
【0077】
(積層発泡シートの吸水率)
積層発泡シートの吸水率(質量ppm)を、以下のように測定した。まず、積層発泡シートから横500mm×縦400mmのサイズに切り出した試験片を、温度25℃、湿度50%RH及び温度50℃、湿度80%RHの2つの条件にて24時間保管した後、空気を遮断した閉鎖空間の中で試験片を180℃にて乾燥させ、水分以外の気化物を除去し、水分を分子ふるい性吸着剤(ナカライテスク株式会社製、モレキュラーシーブ3A°)に選択的に吸着させ、その質量変化から以下の式(2)により吸水率(質量ppm)を求めた。なお、RHは相対湿度であることを示す。
【0078】
【0079】
ただし、上記式(2)中、M1は、乾燥前の試験片の質量(g)、M2は、水分吸着後の吸着剤の質量(g)、M3は、水分吸着前の吸着剤の質量(g)を示す。
【0080】
(ガラス板剥離強度)
積層発泡シートとガラス板との剥離強度(ガラス板剥離強度)(N)を、以下のように測定した。まず、積層発泡シートから横60mm×縦90mmのサイズの試験片を5枚切り出し、切り出した5枚の試験片と5枚のガラス板とを交互に重ね、荷重25g/cm2にて7日間圧着させた。その後、ガラス板に圧着した試験片を100mm/minの速度で剥離したときの荷重を測定し、剥離強度(N)とした。剥離強度の測定は、温度25℃、湿度50%RH及び温度50℃、湿度80%RHの2つの条件下で行った。
【0081】
(ガラス板洗浄性)
ガラス板洗浄性は、ガラス板の洗浄性の評価試験によって評価される。ガラス板の洗浄性の評価試験は、常温保管条件と高温多湿保管条件という2つの条件で次のように実施された。すなわち、積層発泡シートをガラス板に接触させた状態で(荷重条件:3.8g/cm2)、25℃、50%RHで24時間保管した(常温保管条件)後に、ガラス板を洗浄し、ガラス板の面のうち積層発泡シートとの接触面における水の接触角を測定した。また、積層発泡シートをガラス板に接触させた状態で、50℃、80%RHで24時間保管した(高温多湿保管条件)後に、ガラス板を洗浄し、ガラス板の面のうち積層発泡シートとの接触面における水の接触角を測定した(測定雰囲気条件:温度25℃、湿度50%RH)。
【0082】
洗浄後のガラス板における水の接触角の測定結果をもとに、ガラス板洗浄性を以下の評価基準によって評価した。
○(ガラス板洗浄性は良好):洗浄後の水の接触角が10°未満
×(ガラス板洗浄性は不良):洗浄後の水の接触角が10°以上
【0083】
比較例1
第2のポリエチレングリコールを使用せずに第1のポリエチレングリコールのみ使用した他は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。得られた積層発泡シートを用いて実施例1と同様にして、平均厚み(mm)、発泡層の見掛け密度(kg/m3)、表面抵抗率(Ω)、吸水率(質量ppm)、ガラス板剥離強度(N)を測定した。また、ガラス板洗浄性の評価試験を実施した。結果を表2に示す。得られた積層発泡シートは、高温多湿条件において、吸水率が高く、ガラス洗浄性に劣るものであった。
【0084】
比較例2
第1のポリエチレングリコールとして表2に示すものを用いた他は、比較例1と同様にして積層発泡シートを得た。得られた積層発泡シートを用いて実施例1と同様にして、平均厚み、発泡層の見掛け密度、表面抵抗率、吸水率、ガラス板剥離強度を測定した。また、ガラス板洗浄性の評価試験を実施した。結果を表2に示す。比較例1同様に、得られた積層発泡シートは、高温多湿条件において、吸水率が高く、ガラス洗浄性に劣るものであった。
【0085】
比較例3
第1のポリエチレングリコールを使用せずに第2のポリエチレングリコールのみ使用した他は、実施例1と同様にして積層発泡シートを得た。得られた積層発泡シートを用いて実施例1と同様にして、平均厚み、発泡層の見掛け密度、表面抵抗率、吸水率、ガラス板剥離強度を測定した。また、ガラス板洗浄性の評価試験を実施した。結果を表2に示す。得られた積層発泡シートは、吸水率は低く抑えられているものであったが、ガラス洗浄性に大きく劣るものであった。
【0086】