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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】圧縮装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20220224BHJP
   B60S 1/54 20060101ALI20220224BHJP
   B60S 1/48 20060101ALN20220224BHJP
【FI】
F04B39/00 107Z
B60S1/54 Z
F04B39/00 103K
B60S1/48 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018163426
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033981
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(72)【発明者】
【氏名】肥田 昌志
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/104050(WO,A1)
【文献】特開2017-128188(JP,A)
【文献】特開2017-101653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0051691(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
B60S 1/54
B60S 1/60
B60S 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に収納され、軸方向を往復するピストンと、
前記筐体内において軸方向に延び、少なくとも1つの端部が前記筐体に保持され、前記ピストンの前記軸方向への移動を案内する主軸と、
前記ピストンが前記軸方向に沿って移動するように前記ピストンを駆動させる駆動部と、を備え、
前記ピストンは、
前記軸方向に延びる筒形状であり、前記主軸が前記軸方向に貫通し、前記軸方向の長さが前記主軸よりも短い主軸受と、
前記主軸受の外径よりも大きい外径を有し、前記主軸受における前記軸方向の一方の端部に固定される圧縮板と、を含み、
前記筐体内の流体が、前記圧縮板が前記軸方向の一方に移動することにより圧縮されて前記筐体の外へ噴射され、
前記駆動部は、前記圧縮板と前記筐体における前記軸方向の他方の端部とに挟まれた領域に配置される、圧縮装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮装置であって、
前記主軸受は、前記ピストンを前記軸方向に見た場合に、前記圧縮板の中心からずれた位置に配置される、圧縮装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の圧縮装置であって、さらに、
前記筐体内において軸方向に延び、少なくとも一方の端部が前記筐体に保持され、軸方向に見て前記主軸と異なる位置に配置され、前記ピストンが前記軸方向に沿って移動するように前記ピストンを案内する副軸、を備え、
前記ピストンは、さらに、
軸方向に延びる筒形状であり、前記副軸が前記軸方向に貫通する副軸受、を含む、圧縮装置。
【請求項4】
請求項3に記載の圧縮装置であって、
前記ピストンは、さらに、
前記軸方向に延び、前記圧縮板と前記副軸受とを接続する接続部、を含み、
前記副軸受は、前記圧縮板よりも前記軸方向の他方に配置され、前記ピストンを軸方向に見て前記圧縮板の外に配置される、圧縮装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の圧縮装置であって、
前記圧縮板の外周面には、前記圧縮板の周方向に延びる環状溝が形成されている、圧縮装置。
【請求項6】
請求項5に記載の圧縮装置であって、
前記ピストンは、さらに、
前記環状溝に嵌め込まれ、前記圧縮板と前記筐体との間の空間を封止する封止材、を含む、圧縮装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の圧縮装置であって、
前記圧縮板と前記主軸との間隔は、前記圧縮板と前記筐体との間隔よりも小さい、圧縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を圧縮する圧縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載され、車両の周辺を撮影する車載カメラが知られている。車載カメラによって撮影された画像は、車室内のモニタに表示される。
【0003】
車載カメラにおいて、水滴や雪、汚れなどの付着物がレンズに付着することがある。付着物を除去するため、圧縮空気を車載カメラのレンズに噴出する付着物除去装置が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に係る付着物除去装置は、圧縮装置及びノズルを備える。圧縮装置は、シリンダ内で回転体を回転させることにより圧縮空気を生成する。ノズルは、生成された圧縮空気をカメラのレンズへ噴射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-119480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この圧縮装置は、噴射効率が低い。その理由として、圧縮空気の漏れが発生する箇所が多いことと、圧縮空気を圧縮装置の外へ放出するまでの流路が複雑であることが挙げられる。この圧縮装置は、カメラのレンズに噴射する圧縮空気の量よりも多くの圧縮空気を生成する必要がある。この結果、シリンダの容積を大きくしなければならず、圧縮装置の小型化に限界があるという問題があった。
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明は、小型化を図ることができる圧縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の発明に係る圧縮装置は、筐体と、ピストンと、主軸と、駆動部とを備える。ピストンは、筐体内に収納され、軸方向を往復する。主軸は、筐体内において軸方向に延び、少なくとも1つの端部が筐体に保持され、ピストンの軸方向への移動を案内する。駆動部は、ピストンが軸方向に沿って移動するようにピストンを駆動させる。ピストンは、主軸受と、圧縮板とを含む。主軸受は、軸方向に延びる筒形状であり、軸方向の長さが主軸よりも短い。主軸が、主軸受を軸方向に貫通する。圧縮板は、主軸受の外径よりも大きい外径を有し、主軸受における軸方向の一方の端部に固定される。筐体内の流体が、圧縮板が軸方向の一方に移動することにより圧縮されて筐体の外へ噴射される。駆動部は、圧縮板と筐体における軸方向の他方の端部とに挟まれた領域に配置される。
【0009】
第1の発明によれば、主軸受の外径が圧縮板の外径よりも小さい。ピストンが筐体における軸方向他方の端部に最も近づいた場合であっても、圧縮板と、主軸受と、筐体における軸方向他方の端部とに囲まれた空間を駆動部の収納空間として利用できる。従って、圧縮装置を小型化できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明であって、主軸受は、ピストンを軸方向に見た場合に、圧縮板の中心からずれた位置に配置される。
【0011】
第2の発明によれば、駆動部の収納空間を大きくすることができる。従って、付着物除去装置をさらに小型化できる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明であって、圧縮装置は、さらに、副軸を備える。副軸は、筐体内において軸方向に延び、少なくとも一方の端部が筐体に保持され、軸方向に見て主軸と異なる位置に配置され、ピストンが軸方向に沿って移動するようにピストンを案内する。ピストンは、さらに、副軸受を含む。副軸受は、軸方向に延びる筒形状であり、副軸が軸方向に貫通する。
【0013】
第3の発明によれば、ピストンの軸方向への移動が主軸及び副軸によりガイドされるため、ピストンが軸方向に対して傾くことを抑制できる。従って、ピストンを軸方向に安定的に移動させることができる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明であって、ピストンは、さらに、接続部を含む。接続部は、軸方向に延び、前記圧縮板と前記副軸受とを接続する。副軸受は、圧縮板よりも軸方向の他方に配置され、ピストンを軸方向に見て圧縮板の外に配置される。
【0015】
第4の発明によれば、主軸から副軸までの距離を長くすることができるため、ピストンが軸方向に対して傾くことをさらに抑制できる。従って、ピストンを軸方向にさらに安定的に移動させることができる。
【0016】
第5の発明は、第1~第4のいずれかの発明であって、圧縮板の外周面には、圧縮板の周方向に延びる環状溝が形成されている。
【0017】
第5の発明によれば、ピストンの摺動性を確保する潤滑剤を環状溝に溜めることができるため、ピストンの摺動性を確保できる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明であって、ピストンは、さらに、封止材を含む。封止材は、環状溝に嵌め込まれ、圧縮板と前記筐体との間の空間を封止する。
【0019】
第6の発明によれば、封止材を圧縮板の外周面に配置できるため、流体が筐体と圧縮板との間に形成され隙間から軸方向の他方に漏れることを抑制できる。
【0020】
第7の発明は、第1~第6のいずれかの発明であって、圧縮板と主軸との間隔は、圧縮板と筐体との間隔よりも小さい。
【0021】
第7の発明によれば、圧縮板と主軸との間隔を圧縮板と筐体との間隔よりも小さくすることにより、ピストンが軸方向に移動する際に、圧縮板が筐体に引っかかることを抑制できる。従って、ピストンを軸方向に安定的に移動させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、小型化を図ることができる圧縮装置を提供できる。また、ピストンにより圧縮された空気を圧縮装置の外へ放出するまでの流路を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施の形態に係る圧縮装置を備える付着物除去装置を搭載する車両の斜視図である。
図2図1に示す付着物除去装置とカメラとの位置関係の一例を示す図である。
図3図1に示す付着物除去装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4図2に示す圧縮装置の平面図である。
図5図2に示す圧縮装置の分解斜視図である。
図6図4に示す圧縮装置1AのA-A断面図である。
図7図6に示す本体部を蓋部から見た斜視図である。
図8図5に示す放出部から見たピストンの斜視図である。
図9図5に示す蓋部から見たピストンの斜視図である。
図10図4に示す圧縮装置のB-B断面図である。
図11図10に示す領域Eの拡大図である。
図12図5に示す減速機の平面図である。
図13図5に示すピストンの動きの一例を示す図である。
図14図5に示す主軸受のクリアランスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
{1.付着物除去装置1の構成}
図1は、付着物除去装置1が搭載される車両2の斜視図である。図1を参照して、車両2は、付着物除去装置1及びカメラ3を備える。付着物除去装置1及びカメラ3は、例えば、車両2のライセンスプレート2aの上であり、かつ、車両2の左右方向の略中央である位置に設置される。
【0026】
付着物除去装置1は、本実施の形態に係る圧縮装置1A(図2参照)を備える。圧縮装置1Aの詳細については、後述する。付着物除去装置1は、カメラ3のレンズに付着した付着物を除去する。付着物は、水滴や雪、汚れなどである。具体的には、付着物除去装置1は、圧縮装置1Aにより生成された圧縮空気をカメラ3のレンズに噴射することにより、レンズに付着した付着物を除去する。
【0027】
カメラ3は、車両2の後方を撮影して画像を生成し、その生成した画像を車室内に設置されたモニタに出力する。車両2の運転者は、モニタに表示された画像により、車両2の後方を確認できる。
【0028】
付着物除去装置1が付着物を除去する対象は、カメラ3に限定されない。付着物除去装置1が付着物を除去する対象は、レンズを介して周辺の物標の情報を取得する光学センサであればよい。例えば、光学センサは、車両2の前方を撮影するフロントカメラ、車両2の側方を撮影するサイドカメラ、車両2周辺の物標を検出するレーダ装置などである。
【0029】
図2は、図1に示す付着物除去装置1とカメラ3との位置関係の一例を示す図である。図2を参照して、カメラ3は、バックパネル2bに取り付けられ、レンズを含む光学系が車両2の外に露出するように配置される。
【0030】
付着物除去装置1は、圧縮装置1Aと、ホース1Bと、ノズル1Cとを備える。圧縮装置1Aは、カメラ3のレンズに付着した付着物を除去するための圧縮空気を生成する。圧縮装置1Aは、バックパネル2bの内部に配置される。ホース1Bは、圧縮装置1Aにより生成された圧縮空気をノズル1Cに供給する。ノズル1Cは、ホース1Bを介して供給された圧縮空気を、カメラ3のレンズに向けて噴射する。
【0031】
図3は、図1に示す付着物除去装置1の構成を示す機能ブロック図である。図3を参照して、付着物除去装置1は、さらに、制御部1Dを備える。制御部1Dは、圧縮装置1Aを制御する。図3において、ホース1B及びノズル1Cの表示を省略している。
【0032】
圧縮装置1Aは、ピストン20と、駆動部30とを備える。ピストン20は、後述する圧縮空気の生成に用いられる。駆動部30は、制御部1Dからの制御信号に基づいて、ピストン20を駆動させる。
【0033】
制御部1Dは、マイクロコンピュータであり、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、不揮発性の記憶装置とを備える。制御部1Dは、ACC検知部2cと、シフトセンサ2dと、作動スイッチ2eと、カメラ3とに接続される。
【0034】
ACC検知部2cは、ACC(アクセサリ電源)がオンされる場合にACCオンを示す信号を制御部1Dへ出力する。シフトセンサ2dは、図示しないシフトレバーのポジションを示す信号を制御部1Dへ出力する。シフトレバーのポジションとして、車両2を前進させる「前進ポジション」や、車両2を後進させる「後進ポジション」等が挙げられる。作動スイッチ2eは、車室に設置され、車両2の運転者が付着物除去装置1による付着物の除去を所望する場合に操作される。
【0035】
制御部1Dは、ACC検知部2cからACCオンを示す信号を受けた場合、駆動部30を動作させて圧縮空気をカメラ3へ噴射させる。これにより、カメラ3に付着した付着物を、例えば、停車時に除去できる。
【0036】
制御部1Dは、シフトセンサ2dから後進ポジションを示す信号を受けた場合、駆動部30を動作させる。これにより、車両2が後進を開始するにあたり、カメラ3の視界を良好にすることが可能となる。
【0037】
制御部1Dは、作動スイッチ2eから操作された旨を示す信号を受けた場合、駆動部30を動作させる。これにより、運転者が所望するタイミングで付着物を除去できる。
【0038】
制御部1Dは、カメラ3により生成された画像を解析して、カメラ3の付着物の有無を判定する。制御部1Dは、カメラ3に付着物が付着していると判定した場合、駆動部30を動作させる。これにより、カメラ3に付着した付着物を早期に除去できる。
【0039】
なお、制御部1Dは、ACC検知部2c、シフトセンサ2d、作動スイッチ2e及びカメラ3により生成された画像のうち少なくとも1つに基づいて、駆動部30を動作させればよい。
【0040】
{2.圧縮装置1Aの構成}
{2.1.概略}
図4は、図2に示す圧縮装置1Aの平面図である。図4を参照して、圧縮装置1Aは、さらに、筐体10と、配線39とを備える。なお、図4において、配線39を保持するための構成を省略している。
【0041】
筐体10は、ピストン20及び駆動部30を収納する。配線39は、制御部1Dと駆動部30とを接続し、制御部1Dからの制御信号を駆動部30に供給する。
【0042】
図5は、図2に示す圧縮装置1Aの分解斜視図である。図5を参照して、圧縮装置1Aは、さらに、コイルばね40と、主軸50と、副軸60とを備える。コイルばね40、主軸50及び副軸60については、後述する。
【0043】
最初に、圧縮装置1Aの中心軸Pを定義する。中心軸Pは、ピストン20の圧縮板21に垂直であり、かつ、圧縮板21の中心を通る直線である。以下の説明において、中心軸Pの延びる方向であって、筐体10の蓋部12からピストン20を見た方向を軸方向一方と定義する。中心軸Pの延びる方向であって、ピストン20から筐体10の蓋部12を見た方向を軸方向他方と定義する。
【0044】
筐体10は、ピストン20及び駆動部30の他に、コイルばね40と、主軸50と、副軸60とを収納する。筐体10は、本体部11と、蓋部12とを含む。
【0045】
本体部11は、軸方向に延びる筒形状であり、筐体10における軸方向一方の端部を形成する。本体部11において、軸方向一方の端部は閉じ、軸方向他方の端部は開口している。
【0046】
蓋部12は、本体部11における軸方向他方の端部に嵌め込まれる。蓋部12は、筐体10における軸方向他方の端部を形成する。
【0047】
ピストン20は、筐体10内で軸方向を往復する。ピストン20が軸方向一方に移動した場合、筐体10内の空気が圧縮されことにより圧縮空気が生成される。
【0048】
駆動部30は、蓋部12とピストン20の圧縮板21との間に配置され、ピストン20が軸方向に沿って移動するようにピストン20を駆動させる。具体的には、駆動部30は、ピストン20を軸方向他方に向かって移動させる。
【0049】
コイルばね40は、ピストン20の主軸受22に挿入され、軸方向一方に向かう力をピストン20に付与する。詳細については後述するが、圧縮板21は、ピストン20の軸方向一方の端部であり、主軸受22は、ピストン20の軸方向方の端部である。
【0050】
主軸50は、筐体10内において軸方向に延びる円柱形状である。主軸50は、ピストン20が軸方向に沿って移動するようにピストン20を案内する。主軸50の少なくとも一方の端部は、筐体10に保持される。主軸50の中心軸は、圧縮板21の中心を通らない。
【0051】
副軸60は、筐体10内において軸方向に延びる円柱形状である。副軸60は、ピストン20が軸方向に沿って移動するようにピストン20を案内する。副軸60は、軸方向に見て主軸50と異なる位置に配置される。副軸60の少なくとも一方の端部は、筐体10に保持される。
【0052】
{2.2.筐体10の構成}
(本体部11)
図6は、図5に示す圧縮装置1AのA-A断面図である。図7は、図6に示す本体部11を蓋部12から見た斜視図である。
【0053】
図6を参照して、本体部11は、収納部111と、圧縮部112と、放出部113と、取付部114とを含む。収納部111と、圧縮部112と、放出部113と、取付部114とは、樹脂等の素材で一体的に形成される。
【0054】
収納部111は、軸方向に延びる筒形状であり、その断面形状は矩形である。収納部111において、軸方向の両端部は開口している。収納部111は、駆動部30と、ピストン20の一部とを収納する。収納部111は、本体部11の軸方向一方の端部である。
【0055】
圧縮部112は、軸方向に延びる筒形状であり、その断面形状は円形である。圧縮部112は、収納部111よりも軸方向一方に配置され、放出部113及び取付部114よりも軸方向他方に配置される。圧縮部112の軸方向他方の端部は開口している。圧縮部112の軸方向一方の端部は閉じている。圧縮部112の内部空間は、収納部111の内部空間と繋がっている。貫通孔112aが、圧縮部112の軸方向一方の端部を軸方向に貫通している。ピストン20が軸方向一方に移動した場合、圧縮空気が圧縮部112の中で生成される。圧縮空気は、貫通孔112aを通って、圧縮装置1Aの外へ移動する。
【0056】
図7を参照して、収納部111の内部空間の断面積は、圧縮部112の内部空間の断面積よりも大きい。内部空間の断面積とは、収納部111及び圧縮部112の各々の内部空間において、軸方向に垂直な領域の面積である。このため、収納部111は、軸方向一方の端部において、軸方向に垂直な内側端面111aを有する。
【0057】
図6を参照して、放出部113は、軸方向に延びる筒形状であり、その断面形状は円形である。放出部113は、圧縮部112よりも軸方向一方に配置される。放出部113の内径は、圧縮部112の内径よりも小さい。放出部113の両端部は、開口している。貫通孔113aが、放出部113を軸方向に貫通している。貫通孔113aは、圧縮部112の貫通孔112aと繋がっている。このため、圧縮空気は、貫通孔112aから放出部113を通って、圧縮装置1Aの外へ放出される。
【0058】
図5を参照して、取付部114は、収納部111の軸方向一方の端部から、軸方向一方に向かって突出している。取付部114は、圧縮装置1Aを車両2のバックパネル2bに固定するために用いられる。
【0059】
(蓋部12)
図6を参照して、蓋部12は、側板部121と、取付部122とを含む。側板部121と、取付部122とは、樹脂等の素材で一体的に形成される。
【0060】
側板部121は、軸方向に垂直であり、取付部122よりも軸方向一方に配置される。側板部121は、収納部111の軸方向他方の端部を閉じる。図5を参照して、切り欠き121aが、側板部121に形成されている。配線39は、切り欠き121aを通って、筐体10の外から中へ導入される。
【0061】
なお、図示していないが、筐体10からの空気漏れを防ぐために、シール部材が収納部111と側板部121との間に配置されてもよい。配線処理用のパッキンが、配線39を保持しつつ、切り欠き121aを塞いでもよい。
【0062】
{2.3.ピストン20の構成}
図5を参照して、ピストン20は、圧縮板21と、主軸受22と、副軸受23と、接続部24とを含む。圧縮板21と、主軸受22と、副軸受23と、接続部24とは、樹脂等の素材により一体的に形成される。
【0063】
図8は、図5に示す放出部113から見たピストン20の斜視図である。図9は、図5に示す蓋部12から見たピストン20の斜視図である。図10は、図4に示す圧縮装置1AのB-B断面図である。図11は、図10に示す領域Eの拡大図である。
【0064】
(圧縮板21)
図8を参照して、圧縮板21は、円盤状であり、中心軸Pと垂直に配置される。圧縮板21は、ピストン20における軸方向一方の端部である。圧縮板21の直径は、圧縮部112の内径に対応する。圧縮板21は、圧縮部112の中に配置される。このため、ピストン20が軸方向一方へ移動した場合、圧縮部112の内部の空気が、圧縮板21により圧縮される。
【0065】
貫通孔21aが、圧縮板21を軸方向に貫通する。貫通孔21aの内周面は円柱形である。圧縮板21を軸方向に見た場合、貫通孔21aの位置は、圧縮板21の中心とずれている。つまり、貫通孔21aの中心は、中心軸Pと一致しない。
【0066】
複数の取付穴21bが、圧縮板21の軸方向の端面のうち、軸方向一方の面211に形成される。衝撃吸収ゴム25(図5参照)が、複数の取付穴21bに嵌め込まれる。
【0067】
図11を参照して、環状溝21cが、圧縮板21の外周面に形成されている。環状溝21cは、圧縮板21の外周面において周方向に延びている。Oリング26が環状溝21cに嵌め込まれている。図11において、環状溝21c及びOリング26の各々の大きさを誇張して表示している。
【0068】
(主軸受22)
図9を参照して、主軸受22は、軸方向に延びる円筒形である。つまり、貫通孔22aが、主軸受22を軸方向に貫通している。貫通孔22aの内周面は、円柱形である。主軸受22の両端部は開口している。主軸受22の外径は、圧縮板21の外径よりも小さい。ここで、外径とは、各構成要素の中心軸から外周面までの距離である。各構成要素の中心軸は、軸方向に平行であり、かつ、各構成要素の重心を通過する。
【0069】
主軸受22は、圧縮板21よりも軸方向他方に配置される。主軸受22の軸方向一方の端部は、圧縮板21と接続される。主軸受22の内周面が貫通孔21aの内周面と連続しているため、圧縮板21の貫通孔21aと主軸受22の貫通孔22aとは、連続した1つの孔を形成する。貫通孔21aの内径は、貫通孔22aの内径と一致する。従って、ピストン20を軸方向に見た場合、主軸受22は、圧縮板21の中心とずれた位置に配置される。
【0070】
(副軸受23)
図9を参照して、副軸受23は、軸方向に延びる筒形状であり、ピストン20の軸方向他方に配置される。貫通孔23aが、副軸受23を軸方向に貫通している。副軸受23の両端部は開口している。ピストン20を軸方向に見た場合、副軸受23は、圧縮板21の外に配置されている。副軸受23は、接続部24によって圧縮板21と接続される。また、ピストン20を軸方向に見た場合、圧縮板21の中心は、主軸受22と副軸受23との間の帯状領域外に位置する。
【0071】
(接続部24)
図9を参照して、接続部24は、軸方向に延びており、副軸受23を圧縮板21と接続する。接続部24の軸方向一方の端部は、圧縮板21と接続される。接続部24の軸方向他方の端部は、副軸受23と接続される。副軸受23は、接続部24の軸方向他方の端部から、圧縮板21の径方向外方へ突出している。径方向は中心軸Pに垂直な方向である。
【0072】
接続部24の径方向の内方の面には、複数のラック歯24aが形成されている。ラック歯24aは、後述するように、駆動部30に含まれる減速機34の小歯車342と噛み合っている。
【0073】
{2.4.駆動部30の構成}
図5を参照して、駆動部30は、モータ31と、斜歯歯車32と、減速機33及び34と、ホルダ35とを含む。図5において、斜歯歯車32、減速機33及び減速機34の各々の歯の表示を省略している。
【0074】
モータ31は、配線39を介して制御部1Dと接続される。モータ31は、制御部1Dからの制御信号に応じて、ピストン20を軸方向他方に向かって移動させるための動力を提供する。なお、図5では、配線39の表示を省略している。
【0075】
斜歯歯車32は、モータ31の回転軸と一体に回転する。減速機33は、2段歯車であり、大歯車331と小歯車332とを含む。大歯車331の径は、小歯車332の径よりも小さい。大歯車331及び小歯車332は、同心軸上に配置され、互いに固定される。
【0076】
図12は、減速機34の平面図である。図12を参照して、減速機34は、大歯車341と小歯車342とを含む。図12において、大歯車341に形成される歯を省略している。大歯車341の径は、小歯車342の径よりも大きい。大歯車341及び小歯車342は、同心軸上に配置され、互いに固定される。
【0077】
小歯車342は、複数の歯形成領域342aと、複数の非歯形成領域342bとを含む。つまり、歯形成領域342aが、小歯車342の周方向において間欠的に配置されている。歯形成領域342aは、少なくとも1つの歯を含む。歯形成領域342aが間欠的に形成される理由については、後述する。
【0078】
斜歯歯車32は、減速機33の大歯車331と噛み合っている。減速機33の小歯車332は、減速機34の大歯車341と噛み合っている。減速機34の小歯車342は、ピストン20の接続部24に形成されたラック歯24aと噛み合っている。つまり、接続部24は、ラックとして動作し、小歯車342は、ピニオンとして動作する。この結果、モータ31の回転力が、ピストン20を軸方向他方に移動させる力に変換される。
【0079】
ホルダ35は、収納部111の中で固定され、モータ31を保持する。また、ホルダ35は、減速機33及び34の各々を回転可能に保持する。
【0080】
{2.5.コイルばね40の配置}
図10を参照して、コイルばね40は、軸方向に延びるように、筐体10内に配置される。主軸受22が、コイルばね40に挿入される。コイルばね40の軸方向一方の端部は、圧縮板21の軸方向他方の端面に接触する。コイルばね40の軸方向他方の端部は、蓋部12に接触する。これにより、コイルばね40は、軸方向一方に移動するための力をピストン20に与える。
【0081】
{2.6.主軸50の配置}
図7を参照して、主軸50は、筐体10内に配置される。具体的には、主軸50は、収納部111及び圧縮部112の中に配置される。
【0082】
図10を参照して、主軸50の軸方向一方の端部は、圧縮部112の軸方向一方の端部における内側端面112bと接続される。主軸50は、本体部11と一体的に形成されている。つまり、圧縮部112の軸方向一方の端部が、主軸50の軸方向一方の端部を保持する。
【0083】
主軸50の軸方向他方の端部は、蓋部12の側板部121により保持される。具体的には、凹部121aが、側板部121における軸方向一方の面に形成されている。凹部121aは、軸方向一方に向かって開口している。主軸50の軸方向他方の端部が凹部121aに嵌め込まれることにより、主軸50の軸方向他方の端部は、側板部121により保持される。なお、主軸50の両端部の少なくとも一方が、筐体10に保持されていればよい。
【0084】
主軸50は、圧縮板21の貫通孔21a及び主軸受22の貫通孔22aに挿入される。主軸50の軸方向の長さは、ピストン20の軸方向の長さよりも長い。これにより、主軸50は、ピストン20が軸方向に沿って移動するようにピストン20を案内できる。
【0085】
{2.7.副軸60の配置}
図7を参照して、副軸60は、筐体10内に配置される。具体的には、副軸60は、収納部111の中に配置される。副軸60は、ピストン10の副軸受23に形成された貫通孔23aに挿入される。従って、副軸60は、軸方向に見て主軸50と異なる位置に配置される。
【0086】
副軸60の軸方向一方の端部は、収納部111の内側端面111aと接続される。副軸60は、本体部11と一体的に形成されている。従って、収納部111の軸方向一方の端部が、副軸60の軸方向一方の端部を保持する。
【0087】
副軸60の軸方向方の端部は、側板部121により保持される。具体的には、図示しない凹部が、側板部121における軸方向一方の面に形成されている。副軸60の軸方向他方の端部は、この図示しない凹部に嵌め込まれることにより、蓋部12の側板部121により保持される。なお、副軸60の両端部の少なくとも一方が、筐体10に保持されていればよい。
【0088】
副軸60は、ピストン20の接続部24の軸方向他方の端部に接続された副軸受23を貫通する。従って、ピストン20が軸方向に沿って移動する際に、副軸60は、ピストン20を軸方向に案内することができる。
【0089】
{3.圧縮装置1Aの動作}
図13は、圧縮空気の生成時におけるピストン20の位置を示す図である。図13の上段は、ピストン20の初期位置を示す。図13の中段は、ピストン20が軸方向他方に向かって移動する様子を示す。図13の下段は、ピストン20が軸方向一方へ移動を開始する時のピストン20の位置を示す。
【0090】
付着物除去装置1が圧縮空気をカメラ3のレンズに噴射しない場合、駆動部30は、ピストン20を軸方向他方に向かって移動させない。コイルばね40は、駆動部30がピストン20を軸方向他方に移動させるか否かに関係なく、軸方向一方に向かう力を継続的にピストン20に与えている。この結果、図13の上段に示すように、ピストン20は、圧縮部112の内側端面112bに押し当てられる。より具体的には、衝撃吸収ゴム25が、内側端面112bに接触している。ピストン20が、図13の上段に示す位置から軸方向一方へ向かって移動できないため、圧縮空気は生成されない。
【0091】
図13の中段を参照して、モータ31の回転に応じて、減速機34が、時計周りの方向(矢印A1で示す方向)に回転する。小歯車342の歯形成領域342a(図12参照)が、ピストン20の接続部24に対向した場合、減速機34の小歯車342が、ピストン20の接続部24に形成されたラック歯24aと噛み合う。接続部24及び小歯車342がラックアンドピニオンとして動作するため、ピストン20は、矢印B1で示すように、軸方向他方に向かって移動する。
【0092】
図13の下段を参照して、モータ31がさらに回転を続けた場合、小歯車342の非歯形成領域342b(図12参照)が、ピストン20の接続部24に対向する。この結果、図13の下段に示すように、減速ギア34の小歯車342と、接続部24に形成されたラック歯24aとの噛み合いが解除される。小歯車332とラック歯24aとの噛み合いが解除されるタイミングにおいて、ピストン20が、側板部121(筐体10の軸方向他方の端部)に最も近づく。
【0093】
ピストン20が、側板部121(筐体10の軸方向他方の端部)に最も近づいた場合、図13の下段に示すように、圧縮板21から圧縮部112の内側端面112bまでの距離が最大となる。圧縮板21と内側端面112bとの間の空間内の空気が、圧縮空気の原料である。
【0094】
小歯車342とラック歯24aとの噛み合いが解除された場合、軸方向他方に向かう力が、ピストン20に作用しなくなる。ピストン20に作用する力は、コイルばね40で発生する軸方向一方に向かう力のみである。この結果、ピストン20は、軸方向一方に向かって勢いよく移動する。ピストン20が軸方向一方に向かう速度は、ピストン20が軸方向他方に向かう速度に比べて非常に大きい。圧縮板21が、圧縮板21と圧縮部112の内側端面112bとの間の空間内にある空気を圧縮することで、圧縮空気が生成される。圧縮空気は、放出部113を通って、速やかに圧縮装置1Aの外へ放出される。放出された圧縮空気は、ホース1B及びノズル1Cを通過して、カメラ3のレンズに噴射される。
【0095】
ピストン20が軸方向一方に向かって勢いよく移動することにより、圧縮板21が内側端面112bに衝突する。しかし、衝撃吸収ゴム25が、圧縮板21における軸方向一方側の面211に設けられている。このため、圧縮板21の衝突により発生する衝撃音の発生が抑制される。
【0096】
圧縮板21が内側端面112bに衝突した後、ピストン20は、図13の上段に示す位置に戻る。ピストン20が上記の動作を繰り返すことにより、圧縮空気が繰り返し生成される。
【0097】
{4.作用}
(駆動部30の位置)
図10を参照して、ピストン20において、圧縮板21の外径は、主軸受22の外径よりも大きい。ピストン20の形状は、径方向に見てT字状である。また、ピストン20が側板部121(筐体10の軸方向他方の端部)に最も近づく場合、圧縮板21と、主軸受22と、側板部121とに囲まれた空間が形成される。駆動部30は、圧縮板21と、主軸受22と、側板部121とに囲まれた空間に配置される。この結果、圧縮装置1Aを小型化できる。
【0098】
以下、圧縮板21と、主軸受22と、側板部121とに囲まれた空間を、「駆動部配置空間」と記載する。
【0099】
駆動部30が駆動部配置空間に配置されたとしても、駆動部30の大きさによっては、圧縮装置1Aを軸方向に見て、駆動部30が圧縮板21の外へ突出する場合が考えられる。この場合であっても、駆動部30の一部を駆動部配置空間に配置できるため、圧縮板21の外方へ突出する駆動部30のサイズを小さくできる。従って、圧縮装置1Aを小型化できる。
【0100】
主軸受22は、図10に示すように、軸方向に見て圧縮板21の中心を通過する中心軸Pとずれている。この結果、駆動部配置空間を軸方向に見た場合、駆動部配置空間を、中心軸Pを含む空間S1と中心軸Pを含まない空間S2とに分けることができる。空間S1の径方向のサイズが空間S2の径方向のサイズよりも大きいため、駆動部30がモータ31などの比較的大きな部材を含む場合であっても、これらの部材を空間S1に配置できる。従って、圧縮装置1Aをさらに小型化できる。
【0101】
また、ピストン20を軸方向に見た場合、圧縮板21の中心は、主軸受22と副軸受23との間の帯状領域の外に位置する。これにより、圧縮板21と副軸受23とを接続する接続部24が、空間S1に配置されることを防止できる。この結果、駆動部30がモータ31などの比較的大きな部材を含む場合であっても、駆動部30を駆動部配置空間に配置することができる。従って、圧縮装置1Aをさらに小型化できる。
【0102】
(副軸受23の作用)
ピストン20は、主軸受22に加えて、副軸受23を有する。主軸50が主軸受22を貫通し、副軸60が副軸受23を貫通する。このため、ピストン20は、軸方向に沿って移動する際に、主軸50及び副軸60により案内される。主軸受22が圧縮板21の中心とずれている。ピストン20が副軸受23を含まない場合、コイルばね40の弾性力により軸方向一方に移動するピストン20が、傾く虞がある。しかし、ピストン20は、軸方向に見て2つのガイド部により保持されるため、ピストン20が軸方向に対して傾くことを抑制できる。従って、ピストン20を安定的に軸方向に移動させることができる。
【0103】
また、副軸受23が軸方向に見て圧縮板21の外方に位置するため、主軸受22から副軸受23までの距離を長くすることができる。ピストン20が軸方向に対して傾くことをさらに抑制でき、ピストン20をさらに安定的に軸方向に移動させることができる。
【0104】
(ピストン20のクリアランス)
図14は、図5に示すピストン20のクリアランスを示す図ある。図14は、図10に示す領域Eの拡大図に相当する。ただし、図14において、ピストン20と筐体10とのクリアランスC1、及び、ピストン20と主軸50とのクリアランスC2を誇張して示している。
【0105】
図14を参照して、クリアランスC1は、クリアランスC2よりも大きい。ピストン20が軸方向に対して傾いた場合において、圧縮板21の外周面が収納部111及び圧縮部112の内周面に接触することが抑制される。つまり、圧縮板21が収納部111及び圧縮部112に引っかかることが抑制される。主軸50は、傾いたピストン20を軸方向に沿って移動させることができるため、ピストン20を安定的に軸方向に移動させることができる。
【0106】
(Oリング26の作用)
図5を参照して、Oリング26が、圧縮板21の外周面に形成された環状溝21cに嵌め込まれる。Oリング26の厚さは、環状溝21cの深さよりも大きい。この結果、Oリング26が、圧縮板21の外周面と圧縮部112の内周面との間の隙間を封止するため、ピストン20が圧縮空気を生成する際に、圧縮空気が圧縮板21の外周面と圧縮部112の内周面との間から漏れることを抑制できる。
【0107】
また、グリスなどの潤滑剤を圧縮部112の内周面に塗布しておいてもよい。潤滑剤を塗布することにより、Oリング26と圧縮部112の内周面との間に働く摩擦を緩和できるため、ピストン20の摺動性を良好に維持することができる。この場合、潤滑剤を環状溝21cに貯留できるため、潤滑剤を圧縮板21の外周面と圧縮部112の内周面との間の空間に長期間留めておくことができる。
【0108】
{5.変形例}
上記実施の形態では、ピストン20が副軸受23及び接続部24を含む例を説明したが、これに限られない。ピストン20は、副軸受23及び接続部24を含まなくてもよい。この場合であっても、駆動部30を駆動部配置空間に配置できるため、圧縮装置1Aを小型化できる。
【0109】
上記実施の形態では、副軸受23が、軸方向に見て圧縮板21の外方に位置する例を説明したが、これに限られない。副軸受23は、軸方向に見て圧縮板21の内方に位置してもよい。この場合であっても、ピストン20の軸方向の移動が、主軸受22及び23により案内されるため、ピストン20が軸方向に対して傾くことを抑制できる。
【0110】
上記実施の形態では、主軸受22が、軸方向に見て圧縮板21の中心とずれている例を説明したが、これに限られない。主軸受22が、軸方向に見て圧縮板21の中心と一致していてもよい。この場合であっても、駆動部配置空間を確保できるため、圧縮装置1Aを小型化できる。
【0111】
上記実施の形態では、Oリング26が、圧縮板21の外周面に形成された環状溝21cに嵌め込まれる例を説明したが、これに限られない。Oリング26を環状溝21cに嵌め込まなくてもよい。この場合であっても、環状溝21cは、潤滑剤を貯留することができる。Oリング26が嵌め込まれる場合に比べて、環状溝21cは、より多くの潤滑剤を貯留できるため、ピストン20の摺動性を長期間維持することができる。
【0112】
上記実施の形態では、環状溝21cが、圧縮板21の外周面に形成される例を説明したが、これに限られない。環状溝21cが、圧縮板21の外周面に形成されていなくてもよい。この場合であっても、駆動部30を駆動部配置空間に配置できるため、圧縮装置1Aを小型化できる。
【0113】
上記実施の形態では、圧縮装置1Aが空気を圧縮する例を説明したが、これに限られない。圧縮装置1Aは、流体を圧縮して噴射すればよい。流体は、空気の他に、空気以外の気体と、水や洗浄液等の液体とを含む。
【0114】
圧縮装置1Aが液体を噴射する場合、圧縮装置1Aは、液体を貯留しておくタンクをさらに備える。貫通孔112aと別の貫通孔が、圧縮部112の側壁に形成され、ホース1Bと別のホースの一端が挿入される。別のホースの他端は、タンクと接続される。また、弁が貫通孔112a及び別の貫通孔の各々に設けられる。ピストン20が軸方向他方に移動する場合、貫通孔112aに設けられた弁が閉じ、別の貫通孔に設けられた弁が開く。これにより、タンクに貯留された液体が圧縮部112内に引き込まれる。ピストン20が軸方向一方に移動する場合、貫通孔112aに設けられた弁が開き、別の貫通孔に設けられた弁が閉じる。これにより、圧縮部112内に引き込まれた液体が、貫通孔112aを通って噴射される。
【0115】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 付着物除去装置
1A 圧縮装置
1B ホース
1C ノズル
1D 制御部
10 筐体
20 ピストン
21 圧縮板
22 主軸受
23 副軸受
24 接続部
30 駆動部
40 コイルばね
50 主軸
60 副軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14