(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】フォレンジック暗号化方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20220224BHJP
H04N 1/32 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
H04N1/387 110
H04N1/32 144
(21)【出願番号】P 2018536077
(86)(22)【出願日】2016-09-27
(86)【国際出願番号】 US2016053929
(87)【国際公開番号】W WO2017058773
(87)【国際公開日】2017-04-06
【審査請求日】2019-09-25
(32)【優先日】2015-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】チャマンディ ポール
(72)【発明者】
【氏名】オコネル デイヴィッド
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-222157(JP,A)
【文献】特開2005-310048(JP,A)
【文献】特開2006-201943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
H04N 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォレンジック符号化された2Dバーコードを印刷するためのプリンタ実装方法であって、
前記フォレンジック符号化された2Dバーコード(100)のエリア内に、又は前記エリアに隣接して印刷することができるグリフを含む1又は2以上のフォントをプリンタのストレージモジュールに記憶するステップと、
前記1又は2以上のフォントに含まれるグリフのうちの1又は2以上のグリフを含むフォレンジック符号化された2Dバーコードを印刷する命令をコンピュータから受け取るステップと、を含み、
前記命令は、前記印刷すべき1又は2以上のグリフ(104)を含んでおらず、
前記方法は、
前記プリンタの前記ストレージモジュールから、プロセッサを用いて、前記グリフを含む1又は2以上のフォントにアクセスするステップと、
プロセッサを用いて、前記命令に基づき、前記フォレンジック符号化された2Dバーコードに追加すべき前記1又は2以上のフォントに含まれるグリフから、1又は2以上のグリフを選択するステップと、
前記命令から、プロセッサを用いて、前記1又は2以上の選択されたグリフを含むフォレンジック符号化された前記2Dバーコードを生成するステップと、
前記フォレンジック符号化された2Dバーコードを印刷するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ハロー、ダッシュ、スペース、ドット、意図的欠陥、及び過多のトナー又はサーマルリボンから材料に類似する文字の周囲の画像「汚れ」の組のうちの少なくとも1つを含む明白な欠陥を選択し、該明白な欠陥を前記1又は2以上の選択されたグリフに追加するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プリンタの前記ストレージモジュールに記憶される前記1又は2以上のフォントは、前記プリンタに動作可能に接続されたいずれのコンピュータのストレージモジュールにも記憶されない、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
フォレンジック符号化された2Dバーコードを印刷するためのシステムであって、
前記フォレンジック符号化された2Dバーコード(100)のエリア内に、又は前記エリアに隣接して印刷することができるグリフを含む1又は2以上のフォントを記憶するストレージモジュールと、
プロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、
前記1又は2以上のフォントに含まれるグリフのうちの1又は2以上のグリフを含むフォレンジック符号化された2Dバーコードを印刷する命令を受け取るように構成され、
前記命令は、前記印刷すべき1又は2以上のグリフ(104)を含んでおらず、
前記プロセッサは、さらに、
前記ストレージモジュールに記憶された、前記グリフを含む1又は2以上のフォントにアクセスし、
前記命令に基づき、前記フォレンジック符号化された2Dバーコードに追加すべき前記1又は2以上のフォントに含まれるグリフから、1又は2以上のグリフを選択し、
前記1又は2以上の選択されたグリフを含むフォレンジック符号化された前記2Dバーコードを生成する、ように構成され、
前記システムは、さらに、前記フォレンジック符号化された2Dバーコードを印刷するプリンタを含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、ハロー、ダッシュ、スペース、ドット、意図的欠陥、及び過多のトナー又はサーマルリボンから材料に類似する文字の周囲の画像「汚れ」の組のうちの少なくとも1つを含む明白な欠陥を選択し、該明白な欠陥を前記1又は2以上の選択されたグリフに追加するように構成されている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ストレージモジュールに記憶される前記1又は2以上のフォントは、前記プリンタに動作可能に接続されたいずれのコンピュータのストレージモジュールにも記憶されない、
請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
QRコード(登録商標)などの二次元又は「マトリクス」バーコードは、データを目に見えるマトリクスの形で表す情報記憶伝達技術である。通常、二次元バーコードは、モノクロの、又は場合によっては多色の図形記号を通じて二次元方向に分布する特定の幾何学的パターンを用いてデータ情報を記録する。ほとんどの二次元バーコード符号化フォーマットでは、コンピュータシステムにおいて一般的に採用されている種類の論理「0」及び論理「1」のビットストリームを利用して、テキスト情報及び数字情報の2進表現に対応する図形記号を形成する。これらの図形記号は、一旦形成すれば、図形記号内に符号化された情報を処理するために専用バーコードスキャナ又はスマートフォンなどの画像入力装置又は光電スキャン装置によって読み取ることができる。
【0002】
通常、二次元バーコードは、製品識別、製品追跡、偽造防止、セキュリティ及び一般的なマーケティングなどの様々な役割で使用することができる。使用されている二次元バーコードの中でも、QRコードは、標準的なUPCバーコードと比べた時の読み取り時間の速さ及び記憶容量の大きさ、並びに人がスマートフォン又はその他の装置を用いてスキャンできる容易さに起因して特に人気が高い。使用できる他の二次元バーコード規格としては、他の二次元バーコード規格の中でもとりわけ、Aztec Coding、Datamatrix、PDF417、MaxiCode、SPARQCodeのようなQRの変種、又はMicrosoft社のHigh Capacity Color Barcode(大容量カラーバーコード、HCCB)符号化フォーマットのようなカラーバーコードフォーマットを挙げることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、バーコードをセキュリティ又は認証目的で使用することが望ましい時には、QRコードフォーマットの人気にもいくつかの短所がある。技術が発展し、バーコードをスキャンするように構成されたスマートフォンなどの装置の普及が進むとともに、QRコードの符号化及び復号方法が広く知られて利用できるようになってきた。従って、セキュリティ及び偽造防止の分野では、偽造者が特定の製品上のQRコードを完全に復号した後に、有効に見せ掛けたQRコードを生成して偽造品に取り付けることができる可能性があるので、一般に製品を認証するためにQRコードを単独で使用することはできない。
【0004】
他の2Dバーコードも、同じ不利点を有することがある。特定の2Dバーコード設計の人気が高まってますます大衆に受け入れられるようになると、より多くの大衆メンバーがバーコード復号能力を利用できるようになり、これらのメンバーに偽造者が含まれる可能性がある。これによってセキュリティ及び偽造防止ツールとしてのバーコードの価値がさらに制限されてしまう恐れがある。一方で、大衆による人気が高まっていない、又は大衆に受け入れられていない2Dバーコード設計は、セキュリティ及び偽造防止ツールとしての目的以外のあらゆる目的にとって価値が限られ、その役割における有用性も限られたものとなり得る。例えば、製品へのマークに使用される特定の2Dバーコード設計の復号方法が公になっておらず、そのバーコードを復号するのにユーザが専用アプリをダウンロードする必要がある場合、製品に関するより多くの情報を見つけ出すためにわざわざアプリのダウンロード又は製品バーコードのスキャンを行うユーザはほとんどいないと考えられる。
【0005】
すなわち、この特定の2Dバーコードを製品に付けた企業は、販売後にどの製品がどこでスキャンされているかを特定することによって自社の製品を追跡するという能力が制限される可能性がある。また、この特定の2Dバーコードを製品に付けた企業は、複数の異なる場所でスキャンされている同一の製品バーコードを探し求めることによって偽造品を識別する能力が大幅に低いということでもある。例えば、ある製品バーコードが月曜日にニューヨークでスキャンされ、同一の製品バーコードが火曜日にカリフォルニアでスキャンされたとすれば、企業は、この2つの製品の少なくとも一方を偽造品として識別することができる。しかしながら、ユーザが自身の製品をスキャンしようとしなければ、企業は一致するバーコードを突き止められず、対処しなければならないことも分からないと考えられる。従って、エンドユーザが容易に復号することができない専用のバーコードフォーマットを使用することも望ましい解決策とはなり得ない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1つの例示的な実施形態により、フォレンジック暗号化のためのシステムを図示し説明する。このシステムは、一意の製品に取り付けられた、印刷可能表面上の領域内に印刷された複数の標準的2Dバーコード要素を有する2Dバーコードパターンと、印刷可能表面の表面エリア上のスペースを節約する、2Dバーコードパターンのエリア内に印刷された少なくとも1つのグリフとを含むことができる。ユーザは、標準的バーコード要素102を単回スキャンすることができる。バーコード要素102は、グリフ又は記号104がどのように見えるはずであるかを折り返しユーザに伝える。ユーザは、例えばユーザの空想力を利用することによって2回目のスキャンを行って、手元のラベルが画面上に示されたグリフに対応するかどうかを検証する。本発明は、少なくとも1つのグリフがバーコードに隣接して、或いはバーコードとは反対側のラベル上に存在できることを検討する。本発明の別の実施形態では、2Dバーコードパターン及び少なくとも1つのグリフ又は記号とは別個の画像が第1のスキャナによって復号されて第1の情報がもたらされ、少なくとも1つのグリフを含む2Dバーコードパターンが第2のスキャナによって復号されて第2の情報がもたらされることにより、第1の情報と第2の情報とが互いに比較されるようになる。第1のスキャナは、特定の特殊タイプのリーダとすることができる。
【0007】
別の例示的な実施形態では、フォレンジック符号化された2Dバーコードの印刷方法を説明することができる。この方法は、フォレンジック符号化された2Dバーコード内に印刷すべきグリフを含む1又は2以上のフォントをプリンタのストレージモジュールに記憶するステップと、1又は2以上のグリフを含むフォレンジック符号化された2Dバーコードを印刷するための、印刷すべき1又は2以上のグリフを含んでいない命令をコンピュータから受け取るステップと、プリンタのストレージモジュールから、プロセッサを用いて、フォレンジック符号化された2Dバーコード内に印刷すべきグリフを含む1又は2以上のフォントにアクセスするステップと、プロセッサを用いて、フォレンジック符号化された2Dバーコードに追加すべき1又は2以上のグリフを選択するステップと、命令から、プロセッサを用いて、1又は2以上の選択されたグリフを含むフォレンジック符号化された2Dバーコードを生成するステップと、フォレンジック符号化された2Dバーコードを印刷するステップとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】標準的バーコード要素と埋め込まれたグリフ又は記号とを含む2Dバーコード設計の例示的な実施形態を示す図である。
【
図2A】製品タグ検索システムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2B】製品タグ検索システムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2C】製品タグ検索システムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2D】製品タグ検索システムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2E】製品タグ検索システムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2F】本発明によるグリフ配置の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の実施形態を対象とする以下の説明及び関連図面に本発明の態様を開示する。本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、別の実施形態を考案することもできる。また、本発明に関連する細部を曖昧にしないように、本発明の例示的な実施形態の周知の要素については詳細に説明せず、又は省略する。さらに、以下では、説明を容易に理解できるように、本明細書で使用するいくつかの用語について説明する。
【0010】
本明細書で使用する「例示的な(exemplary)」という単語は、「例、実例、又は説明例としての役割を果たす」ことを意味する。本明細書で説明する実施形態は限定ではなく、むしろ例示にすぎない。説明する実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいもの又は有利なものとして解釈すべきではないと理解されたい。さらに、「本発明の実施形態」、「実施形態」又は「発明」という用語は、説明する特徴、利点又は動作モードを本発明の全ての実施形態が含むことを必要とするものではない。
【0011】
さらに、本明細書で説明する実施形態の多くは、例えばコンピュータ装置の要素によって実行される一連の動作面から説明するものである。当業者であれば、本明細書で説明する様々な一連の動作は、特定の回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))によって、及び/又は少なくとも1つのプロセッサによって実行されるプログラム命令によって実行することができると認識されたい。また、本明細書で説明する一連の動作は、少なくとも1つのプロセッサがこれらの一連の動作を実行することによって本明細書で説明する機能を実行できるように、あらゆる形のコンピュータ可読記憶媒体内に完全に具体化することができる。さらに、本明細書で説明する一連の動作は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせで具体化することができる。従って、本発明の様々な態様は多くの異なる形で具体化することができ、これらの全てが本発明主題の範囲に含まれるように企図されている。また、本明細書では、本明細書で説明する各実施形態について、対応する全てのこのような実施形態の形を、例えば説明する動作を実行する「ように構成されたコンピュータ」として説明することができる。
【0012】
図1に、標準的バーコード要素102と、バーコード要素102に埋め込まれたグリフ(glyph)又は記号104とを有する2Dバーコード設計100の例示的な実施形態を示す。
図1に示す画像では、ユーザが、標準的バーコード要素102を単回スキャンすることができる。バーコード要素102は、グリフ又は記号104がどのように見えるはずであるかを折り返しユーザに伝える。ユーザは、例えばユーザの空想力を利用することによって2回目のスキャンを行って、手元のラベルが画面上に示されたグリフに対応するかどうかを検証する。1つの例示的な実施形態によれば、標準的バーコード要素102が既存の規格を利用することができ、例えばAztec Coding、Datamatrix、PDF417、MaxiCode又はQRコーディングなどのいずれかの既存の2Dバーコードフォーマットに対応することができる。Microsoft社のHigh Capacity Color Barcode(大容量カラーバーコード、HCCB)符号化フォーマットなどのカラー2Dバーコードフォーマットを利用することもできる。別の例示的な実施形態によれば、例えば偽装に対する特別なセキュリティの層を提供するために、標準的バーコード要素102自体を専用のものとして、標準的バーコード要素102の復号方法を公開しないこともできる。別のさらなる例示的な実施形態によれば、新たな符号化規格を開発して公開することもできる。
【0013】
グリフ又は記号104は、カスタムアルファベット内のいずれかのグリフ又は記号とすることも、或いは複数のこのようなグリフ又は記号とすることもできる。例えば、1つの例示的な実施形態によれば、この記号を、ラテン語のアルファベット又は他のいずれかのアルファベット内のいずれかの記号とすることができる。別の例示的な実施形態によれば、この記号を、いずれかのUnicode文字、或いはコンピュータ化されたアルファベット又は記号ライブラリ内の他のいずれかの文字とすることができる。第3の別の実施形態によれば、新たな又は特別なグリフ又は記号の組を開発して使用することができる。上記のあらゆる組み合わせを含む他の実施形態も望む通りに使用することができる。
【0014】
例示的な実施形態によれば、1又は2以上のカスタムフォントを用いて、グリフ104、又はグリフ104を埋め込むことができる他の製品タグ要素を作成することができる。例えば、1つの例示的な実施形態によれば、図形記号、特定の文字、数字及びロゴを含むフォントを生成することができ、これらは全て拡張可能とすることができる。これにより、製造工程に一定量の柔軟性が備わるようにすることができ、例えばグリフ104をフォントの一部として記憶している場合には、2Dバーコード100の所望のサイズに一致させるためにこれらをいずれかの所望のサイズに容易に拡大又は縮小して標準的バーコード情報102のための十分な余地を与えることができる。バーコードに隣接して少なくとも1つのグリフを配置する本発明の実施形態では、少なくとも1つのグリフを基板上に目立たないように配置して基板上の空間を節約することもできる。
【0015】
例示的な実施形態によれば、グリフ104をフォントの一部として記憶することによってグリフ符号化プロセスのセキュリティを高めることもでき、グリフ104をフォントの一部として記憶することによって、フォントをプリンタ内にロードして、メーカーがグリフ104自体に直接アクセスする必要なくグリフ104を印刷できるようにすることもできる。これにより、メーカーのコンピュータに物理的にアクセスできる不良従業員などの何者がフォントにアクセスして複製できないように保証して、偽造者が直接プリンタを盗み出すことなくメーカーのフォントにアクセスする能力を制限することができる。
【0016】
例示的な実施形態によれば、プリンタのスループット又はグリフ104の画像品質を改善するために、製品ラベルデータがプリンタに送信される前に1又は2以上のグリフ104を記憶したフォントを予めプリンタにロードしておくこともできる。例えば、例示的な実施形態によれば、プリンタに関連するメーカーのPC上に存在する描画エンジンよりも正確な描画エンジンがプリンタ上に存在することができ、この結果、プリンタに関連するコンピュータに記憶されたフォントではなく、プリンタに記憶されたフォントからグリフ104を追加することによってグリフ104の画像品質を改善することができる。このような実施形態では、グリフ104を拡大縮小する時などの何らかの選択状況又は応用に見合った他の状況においてグリフ104の画像品質を大幅に改善することもできる。
【0017】
別の例示的な実施形態によれば、1又は2以上のグリフ104を記憶したフォントを、プリンタに関連するコンピュータに記憶することもできる。グリフ104のデータは、印刷すべき製品ラベルの組を表すバッチラベルデータをプリンタに送信する前に又は送信と同時にプリンタに送信することができる。プリンタには、小さな又は大きなバッチを望む通りに送信することができる。例えば、小さな製品ラベルバッチを常にプリンタに送信しておくと、製品ラベルの特定のフィールドをバッチ間でより頻繁に変更して、最終的な製品ラベルの組がより可変的かつ動的になるように保証することができる。一方で、プリンタのスループットを改善するために、代わりに大きなバッチの送信を行うこともできる。各事例には他の利点も存在することができる。
【0018】
表示されるシリアルナンバーなどの製品タグ上の他の要素も、カスタムフォントを用いて作成することができ、これらの要素を2Dバーコード100と組み合わせてセキュリティを高めることもできる。カスタムフォントは、通常フォントとの間に、純正品と偽造品とを区別する役割を果たすわずかではあるが一貫した違いを有することができ、例えば、1つの例示的な実施形態によれば、偶数と奇数とで高さが異なるフォントを構築することができる。1つの例示的な実施形態によれば、特定のグリフ104の使用を特定のフォントの使用と組み合わせてセキュリティを高めることもでき、例えば、特定の製品タグ上にグリフAを使用する場合には、偶数が奇数よりもわずかに高くなり得るようにフォントを選択することができ、グリフBではこの逆とすることができる。
【0019】
2Dバーコード100におけるグリフ104の配置は、様々なものを想定することができる。例えば、1つの例示的な実施形態によれば、2Dバーコード100の全ての変化形態において、
図1に示すような中央右側又は別のこのような位置などの2Dバーコード100内の同じ一貫した位置に望む通りにグリフを配置することができる。別の例示的な実施形態によれば、別の位置又は複数の位置に望む通りにグリフ104を配置することができる。例示的な実施形態によれば、他の点では同一のグリフ104を2Dバーコード100の異なる変化形態内で変化させ、これをさらなる情報の符号化に使用することも又はしないこともできる。例えば、2Dバーコード100の変化形態においてグリフを90度、180度又は270度回転させたり、或いはx軸又はy軸を挟んだ鏡像としたりすることができ、これらの変化形態の各々によって追加データを望む通りに符号化することができる。グリフ又は記号104の様々な回転又は配向は、望む通りに利用することができ、これによって2Dバーコード100、或いは記号又はグリフ104の所望の又は強化されたスキャン能力又は読み取り能力をもたらすことができる。
【0020】
例えば、情報を符号化するために、或いはグリフ104のコピー又は複製を困難にするために、グリフの色又はグリフのサイズなどのグリフ104の他の属性を変更することもできる。例えば、1つの例示的な実施形態によれば、偽造者がグリフ104を撮影又はスキャンして正確に複製する能力を制限するために、グリフ104を非フォトブルー/非複製ブルーなどの複製防止色で着色することができる。別の例示的な実施形態によれば、グリフ104に、例えばハロー、ダッシュ、スペース、ドット、意図的欠陥、サーマルリボンからのトナー又は材料過多に類似する文字の周囲の画像「汚れ」、又は他のいずれかのこのような変化などのさらなる特徴を加えることができる。これらも同様にセキュリティを高めるために使用することができ、例えば、1つの例示的な実施形態によれば、明らかな画像欠陥の配置、サイズ、形状又はその他の属性によってデータを符号化することができる。他の色及び他の変化を想定することもできる。
【0021】
設計の例示的な実施形態によれば、標準的バーコード要素102と、グリフ又は記号104(「グリフ」)を含む2Dバーコード100とを別個に読み取り可能とすることができる。例えば、1つの例示的な実施形態によれば、2Dバーコード100を特定の製品に取り付けることができる。この製品を購入した消費者は、2Dバーコードスキャニングユーティリティを用いて2Dバーコードをスキャンし、これを行うことによって、標準的バーコード要素102内に符号化された特定の情報を復号することができる。この情報は、例えば製品の識別に使用できる一意のシリアルナンバーの全部又は一部、或いは他の望む通りの識別情報とすることができる。しかしながら、消費者が利用できるバーコードスキャニングユーティリティは、グリフ104によって符号化された情報又は(グリフの配置に符号化された情報などの)グリフ104に関連する情報などの2Dバーコード100内の全ての情報を復号することができず、又はそのように構成されていない可能性もある。
【0022】
例えば、1つの例示的な実施形態によれば、2Dバーコード100が、例えば15文字などのいくつかの文字数の長さである製品シリアルナンバーを符号化することができる。グリフ104は、グリフのタイプ又は配置に基づいて、例えばこれらの文字のうちの2つなどのこれらの文字のうちのいくつかを符号化することができる。残りの文字は、打ち切りバーコード(truncated barcode)に対応することができる。例示的な実施形態によれば、この打ち切りバーコードが、ユーザに対して製品を識別するのに十分となものとなり得る。一方で、2Dバーコード100のグリフ104の部分は、製品の販売元又はメーカーに対して製品を識別するために使用することができ、特定のシリアルナンバーの製品が販売されてこのシリアルナンバーに特定のグリフタイプのみが関連付けられている場合、予想されるグリフ104がスキャンしたグリフ104に一致しなければ、この製品をメーカーのみに対して偽造品として識別することができる。これにより、たとえ偽造者がシリアルナンバー符号化スキームを何とか解析して模倣した場合であっても偽造品を確実に識別できるとともに、偽造品の可能性があるものとしてフラグを立てただけの製品ではなく偽造品であることが明確に分かった製品の場所についてメーカーに通報することができる。
【0023】
グリフ104の別の例示的な実施形態によれば、グリフ104が、ラベル上の全部又は一部の文字から生成されるチェックサムなどの製品ラベル全体に関する情報を符号化することもできる。この情報は、製品シリアルナンバー又は製品のサイズ情報などの、製品毎に普通に異なり得る情報を含むことができる。製品ラベル上の情報の配置などの他の情報、又は製品ラベル上に全く存在しない情報を用いてチェックサムを計算し、グリフ104を生成することもできる。
【0024】
別の例示的な実施形態によれば、ユーザの製品が偽造品であるか否かをユーザに対して識別するために1又は2以上のグリフ104を使用することもできる。このような実施形態によれば、ユーザは、例えば製品シリアルナンバーを打ち込むことによって、又は2Dバーコード100をスキャンすることによって、特定の製品に関連する製品シリアルナンバー又は他の製品識別情報をアプリ又はウェブフォームに入力することができる。この製品識別情報は、関連する特定のグリフ104又は特定の複数のグリフを有することができ、ユーザが製品識別情報を入力すると、その製品識別情報に関連する特定のグリフ104又は複数のグリフをユーザに表示することができる。この結果、ユーザは、ユーザが購入を検討している又は購入した製品上に存在するグリフ104が、ユーザが入力した製品識別情報に関連するグリフ104のいずれかに一致するかどうかを判定することによって、ユーザに販売されている製品又はユーザが購入した製品が純正品であるか否かを検証することができる。予想されるグリフと実際のグリフ104とが一致しなければ、ユーザは購入を再考したいと望むことができる。
【0025】
このような実施形態には、シリアルナンバー又は2Dバーコードの標準的バーコード要素102の偽造方法を決定する偽造者が、この情報に関連する正しいグリフ104又は複数のグリフを特定するためにこの製品識別情報をメーカーに送信することによって「自分の作業をチェック」できるという点で潜在的な不利点がある。また一方、この実施形態では、グリフ情報を求める多くの要求が全て同じエリアから繰り返されることによって、特に問い合わせられたシリアルナンバーの多くが偽造品上での発見に行き着く場合には、そのエリアにおける潜在的な偽造操作の存在についてメーカーに警告することができるので、偽造者にとっての不利点も多い。
【0026】
次に、
図2A~
図2Eを参照して、製品タグ検索システム200の例示的な実施形態を開示することができる。
図2Aから開始して、最初にユーザは、例えば専用スマートフォンアプリ又は別のこのようなユーティリティとすることができる製品タグ検索ユーティリティ202を用いて、製品タグ上又はその他の場所に存在する2Dバーコードをスキャンすることができる。製品タグ検索ユーティリティ202は、2Dバーコード又はその他の製品識別情報を読み取って復号し、及び/又はユーザに表示することができる。例えば、2Dバーコードは、製品シリアルナンバー204A内に復号した後に製品レコードの一部としてユーザに表示することができる。製品のサイズ又は寸法などの他の製品情報206Aを読み取り、及び/又はユーザに表示することもでき、これによってユーザは、表示された全ての製品情報が自身の製品の属性と一致することを確認することによって自身の製品の真正性を望む通りに検証できるようになる。例えば、表示された製品情報206Aが10 1/2という米国サイズの紳士服を示し、ユーザが手にしている品物が10 1/2のサイズの婦人服である場合、ユーザは、偽造品を有している可能性が高いと分かる。
【0027】
次に、例示的な
図2Bを参照すると、2Dバーコードは、ユーザによってスキャンされると、2Dバーコード208Bの正確な表現を製品情報として表示することもできる。この2Dバーコード208Bは、2Dバーコード208B内に存在すると予想されるいずれかのグリフ又は他の特徴と、これらのグリフの正しい配置及び配向とを含むことができる。これにより、ユーザは、自身の製品上の2Dバーコードが、製品タグ検索ユーティリティ202によって表示された2Dバーコード208Bと正確に一致するかどうかを検証できるようになることによって、偽造の可能性がある商品を排除できるようになる。
【0028】
次に、例示的な
図2Cを参照すると、製品タグ検索システム200は、製品に関する他のいずれかの適用可能なフォレンジック情報又はその他の情報を製品タグ検索ユーティリティ202に提供することもできる。例えば、注釈付き製品ラベル210Cを表示するとともに製品ラベルを複製しようと試みる偽造者が一般的に犯す様々な誤り212Cをリスト化するフォレンジックキーをユーザに提供することができる。例えば、製品ラベルの特定の行が2つの異なるフォント又は難解なフォントを用いて作成されていたことで、1つのフォントを用いて作成された特定の文字又は記号を複製しようと試みる偽造者が誤って別のフォントを使用していると分かるかもしれない。
図2Cに示す例示的な実施形態では、記号「#」の配向が予想された以外のものであることが、1つのこのような「気配」としての、又は製品が偽造品である旨の指標としての役割を果たすことができる。他にも、例えば2Dバーコードの配置又は配向に関連する「トラップ」などのこのような軽率な偽造者のためのトラップを望む通りに使用することができる。
【0029】
ユーザは、検査状態ユーティリティ214Cを利用することもできる。ユーザにフォレンジックキーを提供する例示的な実施形態によれば、ユーザは、フォレンジックキーを調べた時点で、検査状態ユーティリティ214Cを用いて特定の製品に「有効」又は「無効」としてマークを付けることができる。他にも、検査する製品にフラグ付けするためのオプション、又はさらなる注釈を付けるためのオプションなどのオプションを提供することもできる。
【0030】
次に、例示的な
図2Dを参照すると、検査状態ユーティリティ214Dは、「無効」「不審」及び「本物」という3つのオプションを含むことができる。「無効」オプションは、製品が明らかに偽造品であることを知っているユーザが選択することができ、「不審」オプションは、製品が偽造品ではないかと疑ってはいるが、例えば示された不規則性が非常にささいなものであって製品の製造公差の範囲内の可能性もあるため確信が持てないユーザがチェックすることができる。最後の「本物」オプションは、製品が本物であることを知っている又はそれを証明できるユーザが選択することができる。
【0031】
ユーザは、製品の真正性についてフィードバックを行うための複数のオプションを有することができる。例えば、ユーザは、画面216Dにおいて、製品フォレンジックが一致するか否か、どのフォレンジックが一致又は不一致であるか、各フォレンジックがどれほど厳密に一致するか、或いは他のいずれかの関連情報を指定することができる。ユーザは、別の利用可能な画面において、製品の検査状態に関連し得る他のいずれかの詳細218Dを指定し、或いは様々な注釈又はその他のテキストを望む通りに示すこともできる。
【0032】
次に、例示的な
図2Eを参照すると、ユーザは、製品タグ検索ユーティリティ202を用いて製品ラベル220Eの複数の写真表現を取り込んでアップロードすることもできる。この写真表現は、オリジナルの製品タグ画像をデフォルトで含むことができ、さらには製品タグ又は製品自体の他の表現を含むこともできる。例えば、1つの例示的な実施形態によれば、偽造品の製品タグは正確に複製されているが、偽造品の縫い目が純正品と異なることによって偽造品としてマーク付けすることもできる。ユーザは、製品の偽造状態の証拠を示すために、偽造品の縫い目の写真を取り込み、後でアップロードすることができる。
【0033】
図2Fには、2D記号に隣接して少なくとも1つのグリフが配置されたドットパターンのグリフを配置した本発明の1つの実施形態を示す。
【0034】
本発明の別の実施形態では、現在説明しているフォレンジック暗号化のためのシステムを第2の認証暗号化システムと組み合わせて利用することによって二重認証機能を可能にすることができる。例えば、さらなる認証及び暗号化のために2回の異なるスキャンを利用することができる。1つの実施形態では、特殊なリーダによる最初のスキャンを行った後に、自動化プロセスを通じて2Dバーコード及び少なくとも1つのグリフの2回目のスキャンを行う。これにより、最初の画像と、バーコード及び少なくとも1つのグリフとの間のフォレンジックの比較が可能になる。本発明は、最初のスキャンによって、バーコード及び少なくとも1つのグリフとは別個のものとすることができる特定の画像をスキャンすることを企図する。この特定の画像は、透かし、或いは特定の化学物質の存在時に感知するスクランブル標識(scrambled indicia)のような他のタイプの光学像とすることができる。この画像は、2Dバーコード又は少なくとも1つのグリフに組み込むことも、或いはこれらの両方から完全に分離することもできる。二重認証機能を有するシステムを利用することにより、システムがさらに自動化されてユーザの判断に対する依存度が低くなる。
【0035】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つのグリフを含む2Dバーコードパターンを第2のバーコードスキャナによって復号して異なる製品情報をもたらすことができる。
【0036】
上記の説明及び添付図面には、本発明の原理、好ましい実施形態及び動作モードを示した。しかしながら、本発明を、上述した特定の実施形態に限定されるものとして解釈すべきではない。当業者であれば、例えば本発明の特定の構成に関連する特徴を代わりに本発明の他のいずれかの構成に望む通りに関連付けることなどの、上述した実施形態のさらなる変形を認識するであろう。
【0037】
従って、上述した実施形態は、限定的なものではなく例示的なものと見なすべきである。従って、当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態の変形例を構成することができると認識されたい。
【符号の説明】
【0038】
100 2Dバーコード
102 バーコード要素
104 グリフ