(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】自動化されたフットウェア・プラットフォームのためのモータ制御
(51)【国際特許分類】
A43C 11/00 20060101AFI20220224BHJP
G05D 3/00 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
A43C11/00
G05D3/00 Z
(21)【出願番号】P 2018548672
(86)(22)【出願日】2017-03-15
(86)【国際出願番号】 US2017022435
(87)【国際公開番号】W WO2017160927
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-03-10
(32)【優先日】2016-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、サマー エル.
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/042216(WO,A1)
【文献】特表2016-530058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 11/00
G05D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化されたフットウェア・プラットフォームの中の
、フットウェアのレースを駆動させるための駆動機構のためのモータ制御方法であって、前記方法は、
前記駆動機構と関連付けられた予め定義されたトラベル距離を複数のセグメントに分けることと、
前記駆動機構のための複数の移動を定義することと、
複数の運動プロファイルを生成することであって、前記複数の運動プロファイルのうちのそれぞれの運動プロファイルが、前記複数の移動からの1つまたは複数の移動を含む、複数の運動プロファイルを生成することと、
前記複数の運動プロファイルからの1つまたは複数の運動プロファイルの選択に基づいて、前記駆動機構の移動を命令することと
を含
み、
前記予め定義されたトラベル距離は、完全に緩い状態と完全に締め付けられた状態との間で、前記レースが締め付けられる量に関連付けられており、
前記複数のセグメントは、前記予め定義されたトラベル距離に沿った位置に基づいてサイズが異なっており、
前記駆動機構の前記移動は、前記複数のセグメントを用いて、前記予め定義されたトラベル距離に沿って前記レースを締め付ける、又は緩めることである、モータ制御方法。
【請求項2】
前記複数の移動のうちのそれぞれの移動は、加速度パラメータ、速度パラメータ、減速度パラメータ、および距離パラメータを含む、請求項1に記載のモータ制御方法。
【請求項3】
前記距離パラメータは、前記複数のセグメントのうちのいくつかのセグメントに提供される、請求項2に記載のモータ制御方法。
【請求項4】
前記距離パラメータは回転角で提供される、請求項2に記載のモータ制御方法。
【請求項5】
前記回転角は、それぞれの移動と関連付けられた前記複数のセグメントのうちのいくつかのセグメントの選択を決定するために、前記複数のセグメントに対して適用される、請求項4に記載のモータ制御方法。
【請求項6】
移動を命令することは、
前記駆動機構の中のモータに供給されている電圧が閾値電圧を超えているとき、前記モータを作動させるための第1の目的の速度を決定することと、
前記モータに供給されている前記電圧が前記閾値電圧未満であるとき、前記モータを作動させるための第2の目的の速度を決定することと、
バッテリーにより供給されている第1の電圧を測定することと、
前記第1の電圧が前記閾値電圧以上であると決定すると、前記第1の目的の速度に等しい前記速度パラメータを設定することと、
前記第1の電圧が前記閾値電圧未満であると決定すると、前記第2の目的の速度に等しい前記速度パラメータを設定することと
をさらに含む、請求項2に記載のモータ制御方法。
【請求項7】
移動を命令することは、
受電バッテリー電圧を決定するために、前記駆動機構の中のモータに連結されたプロセッサー回路を使用して、前記モータに供給されているバッテリー電圧を測定することと、
前記受電バッテリー電圧が閾値電圧を超えるか下回るかどうか決定するために、前記プロセッサー回路を使用して、前記受電バッテリー電圧を前記閾値電圧と比較することと、
前記受電バッテリー電圧が前記閾値電圧を超えていると決定すると、第1の倍率を前記選択された1つまたは複数の運動プロファイルに適用することと、
前記受電バッテリー電圧が前記閾値電圧未満であると決定すると、第2の倍率を前記選択された1つまたは複数の運動プロファイルに適用することと
をさらに含む、請求項1に記載のモータ制御方法。
【請求項8】
移動を命令することは、
ユーザ入力を受信することと、
前記ユーザ入力に基づいて、前記1つまたは複数の運動プロファイルのうちのある運動プロファイルを選択することと
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のモータ制御方法。
【請求項9】
前記運動プロファイルを選択することは、前記予め定義されたトラベル距離に沿った現在の場所を認識することを含む、請求項8に記載のモータ制御方法。
【請求項10】
前記現在の場所を認識することは、前記現在の場所と関連付けられた前記複数のセグメントのうちのあるセグメントを認識することを含む、請求項9に記載のモータ制御方法。
【請求項11】
前記現在の場所を認識することは、前記駆動機構に連結されたエンコーダから受信されたデータを分析することを含み、前記エンコーダは、前記予め定義されたトラベル距離に沿った距離または場所に相関があり得る出力を提供するように構成される、請求項9に記載のモータ制御方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の運動プロファイルは、状態間の移動を表す複数の運動プロファイルを含む、請求項9に記載のモータ制御方法。
【請求項13】
前記状態は、ホーム/緩い状態、快適状態、パフォーマンス状態、および最大締め付け状態を含む、請求項9に記載のモータ制御方法。
【請求項14】
前記ユーザ入力を受信することは、短いボタン押圧を受信することを含み、前記運動プロファイルを選択することは、隣接する状態へ移動するためにプロファイルを選択することである、請求項13に記載のモータ制御方法。
【請求項15】
前記ユーザ入力を受信することは、ポジティブ・アクチュエータでの短いボタン押圧を受信することを含み、前記運動プロファイルを選択することは、次の次第に締め付けられた状態へ移動するためにプロファイルを選択することである、請求項13に記載のモータ制御方法。
【請求項16】
前記ユーザ入力を受信することは、ネガティブ・アクチュエータでの二度のボタン押圧を受信することを含み、前記運動プロファイルを選択することは、前記ホーム/緩い状態へ移動するためにプロファイルを選択することである、請求項13に記載のモータ制御方法。
【請求項17】
前記ユーザ入力を受信することは、保持ボタン押圧を受信することを含み、前記運動プロファイルを選択することは、前記保持ボタン押圧入力が解放されるまで移動するためにプロファイルを選択することである、請求項13に記載のモータ制御方法。
【請求項18】
前記複数のセグメントは、前記予め定義されたトラベル距離に沿って、前記完全に締め付けられた状態に近づくほど、前記サイズが小さくなる、請求項1に記載のモータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の明細書は、電動式レーシング(lacing)・システム、電動式および非電動式のレーシング・エンジン、レーシング・エンジンに関連するフットウェアの構成要素、自動化されたレーシング・フットウェア・プラットフォーム、ならびに、関連の組み立てプロセスのさまざまな態様を説明している。より詳細には、以下の明細書は、自動化されたフットウェア・プラットフォームのための電動式レーシング・エンジンの中で使用するためのモータ制御方法について説明している。
【背景技術】
【0002】
フットウェアの物品を自動的に締め付けるためのデバイスが、以前に提案されている。「自動締め付けシューズ(Automatic tightening shoe)」という標題の特許文献1において、リウ(Liu)は、くつのアッパー部分の上に装着される第1の締結具と、クロージャ部材に接続されている第2の締結具とを提供し、第2の締結具は、締め付けられた状態にクロージャ部材を保つために、第1の締結具と取り外し可能に係合することができる。リウ(Liu)は、ソールのかかと部分に装着される駆動ユニットを教示している。駆動ユニットは、ハウジング、ハウジングの中に回転可能に装着されたスプール、1対の引き紐、およびモータ・ユニットを含む。それぞれの紐は、スプールに接続されている第1の端部と、第2の締結具の中の紐孔に対応する第2の端部とを有している。モータ・ユニットは、スプールに連結されている。リウ(Liu)は、モータ・ユニットがハウジングの中のスプールの回転を駆動するように動作可能であり、第1の締結具に向けて第2の締結具を引っ張るために、スプールの上に引き紐を巻き上げるということを教示している。また、リウ(Liu)は、ガイド・チューブ・ユニットを教示しており、引き紐がガイド・チューブ・ユニットを通って延在することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来例に鑑みてなされたものであり、モータ制御技術を含む自動化されたフットウェア・プラットフォームに関連したシステム、装置、および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明の自動化されたフットウェア・プラットフォームの中の駆動機構のためのモータ制御方法は、駆動機構と関連付けられた予め定義されたトラベル距離を複数のセグメントに分けることと、駆動機構のための複数の移動を定義することと、複数の運動プロファイルを生成することであって、複数の運動プロファイルのうちのそれぞれの運動プロファイルが、複数の移動からの1つまたは複数の移動を含む、複数の運動プロファイルを生成することと、複数の運動プロファイルからの1つまたは複数の運動プロファイルの選択に基づいて、駆動機構の移動を命令することと、を含む。
【0006】
また、本発明の別の態様によると、モータ制御方法は、モータを含む駆動システムに連結されたプロセッサー回路を使用して、モータに供給されている受電バッテリー電圧を示す信号を受信することと、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えているかどうか決定するために、プロセッサー回路を使用して受電バッテリー電圧を閾値電圧と比較することと、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていると決定すると、第1の動作電圧での駆動システムの中のモータの動作に対応する第1の動作特徴を発生させるように、プロセッサー回路を使用してモータを制御することと、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていないと決定すると、第2の動作電圧でのモータの動作に対応する第2の動作特徴を発生させるようにモータを制御することと、を含む。
【0007】
本発明のさらなる態様によると、モータ制御方法は、モータに供給されている電圧が閾値電圧を超えるときに、モータを作動させるための第1の目的の速度を決定することと、モータに供給されている電圧が閾値電圧未満であるときに、モータを作動させるための第2の目的の速度を決定することと、バッテリーにより供給されている第1の電圧を測定することと、第1の電圧が閾値電圧以上であると決定することに基づいて、第1の目的の速度でモータを作動させることと、第1の電圧が閾値電圧未満であると決定することに基づいて、第2の目的の速度でモータを作動させることと、を含む。
【0008】
また、本発明のさらなる態様によると、システムは、動作電圧範囲を備えたバッテリーと、駆動システムを備えたモータと、プロセッサーとメモリ・デバイスとを含むプロセッサー回路であって、メモリ・デバイスは、命令であって、プロセッサー回路により実行されると、システムに対して、バッテリーによりモータに供給されている受電バッテリー電圧を示す信号を受信することと、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えているかどうか決定するために、受電バッテリー電圧を閾値電圧と比較することと、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていると決定すると、第1の動作電圧での駆動システムの中のモータの動作に対応する第1の出力速度を発生させるようにモータを制御することと、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていないと決定すると、第2の動作電圧でのモータの動作に対応する第2の出力速度を発生させるようにモータを制御することと、を含む動作を実施させる命令を含むプロセッサー回路と、を含む。
【0009】
また、本発明のさらなる態様によると、非一時的コンピュータ可読媒体は、命令であって、モータ制御装置により実行されると、モータ制御装置に対して、バッテリーによりモータに供給されている受電バッテリー電圧を示す信号を受信することと、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えているかどうか決定するために、受電バッテリー電圧を閾値電圧と比較することと、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていると決定すると、第1の動作電圧でのモータの動作に対応する第1の出力速度を発生させるように、駆動システムの中のモータを制御することと、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていないと決定すると、第2の動作電圧でのモータの動作に対応する第2の出力速度を発生させるようにモータを制御することと、を含む動作を実施させる命令を含む。
【0010】
図面は必ずしも実寸で描かれているわけではなく、図面において、同様の参照数字は、異なる図の中で同様の構成要素を説明している場合がある。異なる添え字を有する同様の参照数字は、同様の構成要素の異なる事例を表している場合がある。図面は、一般的に、例として、限定としてではないが、本文献の中で議論されているさまざまな実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・システムの構成要素を示す分解図。
【
図2A】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2B】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2C】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2D】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2E】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2F】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2G】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2H】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2I】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2J】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2K】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2L】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2M】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図2N】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面。
【
図3】いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・システムの構成要素を示すブロック図。
【
図4】いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンのためのモータ制御スキームを示す説明図。
【
図5】いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンのためのモータ制御スキームを示す説明図。
【
図6】いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンのためのモータ制御スキームを示す説明図。
【
図7】いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンのためのモータ制御スキームを示す説明図。
【
図8】いくつかの例示的な実施形態による自動化されたフットウェア・プラットフォームのためのモータ制御技術を示すフローチャート。
【
図9】いくつかの例示的な実施形態による自動化されたフットウェア・プラットフォームのためのモータ制御技術を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で提供されている見出しは、単に、便宜のためのものに過ぎず、必ずしも、使用されている用語の範囲または意味に影響を与えるわけではない。
自己締め付け式シュー・レースの概念は、最初に、1989年公開の映画バック・トゥ・ザ・フューチャII(Back to the Future II)の中のマーティ・マクフライ(Marty McFly)によって着用された架空のパワー・レース付きのNike(登録商標)スニーカによって広く知れわたった。Nike(登録商標)は、バック・トゥ・ザ・フューチャII(Back to the Future II)からの映画用小道具バージョンに外見が似ているパワー・レース付きのスニーカの少なくとも1つのバージョンをリリースしたが、これらの初期バージョンに用いられた内部機械システムおよび周囲のフットウェア・プラットフォームは、必ずしも、大量生産または日常使用に適しているわけではない。付加的に、電動式レーシング・システムに関する以前の設計は、多くの問題のうちの単にいくつかを強調すると、比較的に、高コストの製造、複雑さ、組み立ての困難さ、補修のしやすさの欠如、および、弱くまたは壊れやすい機械的機構などのような問題に悩まされていた。本発明者らは、なかでも、上記に議論されている問題のいくつかまたはすべてを解決する、電動式および非電動式のレーシング・エンジンを収容するために、モジュール式のフットウェア・プラットフォームを開発した。以下に議論されている構成要素は、それに限定されないが、補修のしやすい構成要素、交換可能な自動化されたレーシング・エンジン、強固な機械設計、信頼性の高い動作、合理化された組み立てプロセス、および、小売段階でのカスタマイズを含む、さまざまな利益を提供する。以下に説明されている構成要素のさまざまな他の利益は、当業者に明らかになることとなる。
【0013】
以下に議論されている電動式レーシング・エンジンは、自動化されたレーシング・フットウェア・プラットフォームの強固な、補修のしやすい、および交換可能な構成要素を提供するために、徹底的に開発された。レーシング・エンジンは、モジュール式のフットウェア・プラットフォームの中への小売段階での最終組み立てを可能にする独自の設計要素を含む。レーシング・エンジン設計は、フットウェア組み立てプロセスの大半が、公知の組み立て技術を活用することを可能にし、標準的な組み立てプロセスへの独自の適合は、依然として、現在の組み立て資源を活用することができる。
【0014】
例では、モジュール式の自動化されたレーシング・フットウェア・プラットフォームは、レーシング・エンジンを受け入れるための、ミッドソールに固定されたミッドソール・プレートを含む。ミッドソール・プレートの設計は、購入の時点において可能な限り遅く、レーシング・エンジンがフットウェア・プラットフォームの中へ落とされることを可能にする。ミッドソール・プレート、および、モジュール式の自動化されたフットウェア・プラットフォームの他の態様は、異なるタイプのレーシング・エンジンが相互交換可能に使用されることを可能にする。たとえば、以下に議論されている電動式レーシング・エンジンは、人力レーシング・エンジンと取り替えられ得る。代替的に、足存在センシング特徴または他の任意の特徴を備えた完全に自動的な電動式レーシング・エンジンが、標準的なミッドソール・プレートの中に収容され得る。
【0015】
本明細書で議論されている自動化されたフットウェア・プラットフォームは、フットウェア・プラットフォームの中のレースの自動化された(またはユーザが作動させる)締め付けを提供するための電動式レーシング・エンジンを含むことが可能である。電動式レーシング・エンジンは、フットウェア・プラットフォームのための特定のレーシング締め付け機能を提供するために、カスタム・モータ制御ルーティンを用いる。
【0016】
この最初の概要は、本特許出願の主題を導入することが意図されている。以下のより詳細な説明の中に開示されているさまざまな発明の排他的または包括的な説明を提供するということは意図されていない。
【0017】
自動化されたフットウェア・プラットフォーム
以下は、電動式レーシング・エンジン、ミッドソール・プレート、および、プラットフォームのさまざまな他の構成要素を含む、自動化されたフットウェア・プラットフォームのさまざまな構成要素について議論している。本開示の多くは、電動式レーシング・エンジンに焦点を合わせているが、議論されている設計の機械的な態様の多くは、追加的な能力またはより少ない能力を備えた人力レーシング・エンジンまたは他の電動式レーシング・エンジンに適用可能である。したがって、「自動化されたフットウェア・プラットフォーム」の中で使用されているような「自動化された」という用語は、ユーザ入力なしに動作するシステムをカバーすることだけが意図されているわけではない。むしろ、「自動化されたフットウェア・プラットフォーム」という用語は、フットウェアのレースを締めたりまたは保持したりするシステムのための、さまざまな電動機構、および人力の機構、自動的に作動させられる機構、ならびに、人間により作動させられる機構を含む。
【0018】
図1は、いくつかの例示的な実施形態に係るフットウェアのための電動式レーシング・システムの構成要素の分解図の説明図である。
図1に示されている電動式レーシング・システム1は、レーシング・エンジン10、蓋20、アクチュエータ30、ミッドソール・プレート40、ミッドソール50、およびアウトソール60を含む。
図1は、自動化されたレーシング・フットウェア・プラットフォームの構成要素の基本的な組み立て順序を示している。電動式レーシング・システム1は、ミッドソール・プレート40がミッドソールの中に固定されることから始める。次に、アクチュエータ30が、アウトソール60の中に埋め込まれ得るインターフェース・ボタンとは反対側に、ミッドソール・プレートの外側の中の開口部の中へ挿入される。次に、レーシング・エンジン10が、ミッドソール・プレート40の中へ落とされる。例では、レーシング・システム1は、レーシング・ケーブルの連続的なループの下に挿入され、レーシング・ケーブルは、レーシング・エンジン10の中のスプールと整合させられる(以下に議論されている)。最後に、蓋20が、ミッドソール・プレート40の中の溝部の中へ挿入され、閉位置へと固定され、ミッドソール・プレート40の中の凹部の中へラッチ係合される。蓋20は、レーシング・エンジン10を捕獲することが可能であり、また、動作の間のレーシング・ケーブルの配列を維持することを支援することが可能である。
【0019】
例では、フットウェア物品または電動式レーシング・システム1は、足存在特性をモニタリングもしくは決定することができる1つもしくは複数のセンサーを含むか、または、この1つもしくは複数のセンサーとインターフェース接続するように構成されている。1つまたは複数の足存在センサーからの情報に基づいて、電動式レーシング・システム1を含むフットウェアは、さまざまな機能を果たすように構成され得る。たとえば、足存在センサーは、足がフットウェアの中に存在しているかまたは存在していないかについてのバイナリー情報を提供するように構成され得る。足存在センサーからのバイナリー信号が、足が存在しているということを示す場合には、電動式レーシング・システム1が作動させられ得、フットウェア・レーシング・ケーブルを自動的に締め付けるかまたは弛緩させる(すなわち、緩める)ようになっている。例では、フットウェア物品は、プロセッサー回路を含み、プロセッサー回路は、足存在センサーからの信号を受信または解釈することが可能である。プロセッサー回路は、任意に、レーシング・エンジン10の中に、または、レーシング・エンジン10とともに、たとえば、フットウェア物品のソールの中などに、埋め込まれ得る。
【0020】
レーシング・エンジン10の例が、
図2A~
図2Nを参照して詳細に説明されている。電動式レーシング・システム1のさまざまな追加的な詳細が、本説明の残りの部分の全体を通して議論されている。
【0021】
図2A~
図2Nは、いくつかの例示的な実施形態による電動式レーシング・エンジンを示す説明図および図面である。
図2Aは、例示的なレーシング・エンジン10のさまざまな外部特徴を紹介しており、それは、ハウジング構造体100、ケースねじ108、レース溝110(レース・ガイド・リリーフ110とも称される)、レース溝壁112、レース溝移行部114、スプール凹部115、ボタン開口部120、ボタン121、ボタン膜シール124、プログラミング・ヘッダー128、スプール130、およびレース溝部132を含む。ハウジング構造体100の追加的な詳細が、
図2Bを参照して以下に議論されている。
【0022】
例では、レーシング・エンジン10は、ケースねじ108などのような1つまたは複数のねじによって、一緒に保持されている。ケースねじ108は、1次駆動機構の近くに位置決めされており、レーシング・エンジン10の構造的完全性を強化する。また、ケースねじ108は、たとえば、外部の繋ぎ目の超音波溶接のためにケースを一緒に保持するなど、組み立てプロセスを支援するように機能する。
【0023】
この例では、レーシング・エンジン10は、レース溝110を含み、自動化されたフットウェア・プラットフォームの中へ組み立てられると、レースまたはレース・ケーブルを受け入れる。レース溝110は、レース溝壁112を含むことが可能である。レース溝壁112は、面取りされた縁部を含むことが可能であり、動作の間にレース・ケーブルが走るための滑らかなガイド表面を提供する。レース溝110の滑らかなガイド表面の一部は、溝移行部114を含むことが可能であり、溝移行部114は、スプール凹部115に通じるレース溝110の広がった部分である。スプール凹部115は、溝移行部114から、スプール130の外形にぴったりと合う概して円形の部分の中へ移行している。スプール凹部115は、スプールに巻かれたレース・ケーブルを保つことを支援し、また、スプール130の位置を保つことを支援する。しかし、設計の他の態様は、スプール130の主要な保持を提供する。この例では、スプール130は、ヨーヨーの半分と同様に形状決めされており、レース溝部132が、平坦な頂面を通って走っており、スプール軸133(
図2Aには示されていない)が、反対側から下方に延在している。スプール130は、追加的な図を参照して以下にさらに詳細に説明されている。
【0024】
レーシング・エンジン10の側面は、ボタン開口部120を含み、ボタン開口部120は、機構を作動させるためのボタン121がハウジング構造体100を通って延在することを可能にする。ボタン121は、スイッチ122の作動のための外部インターフェースを提供しており、それは、以下に議論されている追加的な図に示されている。いくつかの例では、ハウジング構造体100は、ボタン膜シール124を含み、ほこりおよび水からの保護を提供する。この例では、ボタン膜シール124は、最大で数ミル(1ミルは25.4マイクロメートル(1000分の1インチ))の厚さの透明プラスチック(または、同様の材料)であり、この透明プラスチックは、ハウジング構造体100の上面から、角部を覆って、側面の下へ付着されている。別の例では、ボタン膜シール124は、ボタン121およびボタン開口部120をカバーする、50.8マイクロメートル(2ミル)の厚さのビニール接着剤付きの膜である。
【0025】
図2Bは、頂部102および底部104を含むハウジング構造体100の説明図である。この例では、頂部102は、ケースねじ108、レース溝110、レース溝移行部114、スプール凹部115、ボタン開口部120、およびボタン・シール凹部126などのような、特徴を含む。ボタン・シール凹部126は、ボタン膜シール124のための嵌め込み部を提供するように解放される頂部102の一部分である。この例では、ボタン・シール凹部126は、頂部104の上面の外側の2、3ミル(1ミルは25.4マイクロメートル)凹んだ部分であり、上面の外側縁部の一部分を覆って、頂部104の側面の一部分の長さにわたって下へ移行している。
【0026】
この例では、底部104は、ワイヤレス充電器アクセス105、ジョイント106、およびグリース隔離壁109などのような、特徴を含む。また、具体的には識別されていないが、ケースねじ108を受け入れるためのケースねじベース、および、駆動機構の一部分を保持するためのグリース隔離壁109の中のさまざまな特徴が図示されている。グリース隔離壁109は、ギヤ・モータおよび密閉型のギヤ・ボックスを含むレーシング・エンジン10の電気的な構成要素から離れるように、駆動機構を取り囲むグリースまたは同様の化合物を保つように設計されている。この例では、ウォーム・ギヤ150およびウォーム駆動部140は、グリース隔離壁109の中に含有されているが、一方、ギヤ・ボックス144およびギヤ・モータ145などのような、他の駆動に係る構成要素は、グリース隔離壁109の外側にある。さまざまな構成要素の位置決めは、たとえば、
図2Bと
図2Cとの比較を通して理解され得る。
【0027】
図2Cは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10のさまざまな内部構成要素の説明図である。この例では、レーシング・エンジン10は、スプール磁石136、Oリング・シール138、ウォーム駆動部140、ブッシング141、ウォーム駆動キー142、ギヤ・ボックス144、ギヤ・モータ145、モータ・エンコーダ146、モータ回路基板147、ウォーム・ギヤ150、回路基板160、モータ・ヘッダー161、バッテリー接続部162、およびワイヤード充電ヘッダー163をさらに含む。スプール磁石136は、磁力計(
図2Cには示されていない)による検出を通して、スプール130の移動をトラッキングすることを支援する。Oリング・シール138は、スプール軸133の周りにおいてレーシング・エンジン10の中へ侵入し得るほこりおよび湿気をシールするように機能する。
【0028】
この例では、レーシング・エンジン10の主要な駆動に係る構成要素は、ウォーム駆動部140、ウォーム・ギヤ150、ギヤ・モータ145、およびギヤ・ボックス144を含む。ウォーム・ギヤ150は、ウォーム駆動部140およびギヤ・モータ145の逆転駆動を阻止するように設計されており、これは、レーシング・ケーブルからスプール130を介して入ってくる主要な入力の力が、比較的に大きいウォーム・ギヤおよびウォーム駆動部の歯の上に分散されるということを意味している。この配置は、フットウェア・プラットフォームの活動的な使用からの動的荷重、または、レーシング・システムを締め付けることからの締め付け荷重の両方に耐えるのに十分な強度のギヤを含むことを必要としないように、ギヤ・ボックス144を保護する。ウォーム駆動部140は、駆動システムのより壊れやすい部分、たとえば、ウォーム駆動キー142などを保護することを支援する追加的な特徴を含む。この例では、ウォーム駆動キー142は、ギヤ・ボックス144から出てくる駆動軸を通してピンとインターフェース接続するウォーム駆動部140のモータ端部の中の半径方向のスロットである。この配置は、ウォーム駆動部140が軸線方向に(ギヤ・ボックス144から離れるように)自由に移動することを可能にし、それらの軸線方向の荷重をブッシング141およびハウジング構造体100に伝達することによって、ウォーム駆動部140がギヤ・ボックス144またはギヤ・モータ145に任意の軸線方向の力を付与することを防止する。
【0029】
図2Dは、レーシング・エンジン10の追加的な内部構成要素を示す説明図である。この例では、レーシング・エンジン10は、ウォーム駆動部140、ブッシング141、ギヤ・ボックス144、ギヤ・モータ145、モータ・エンコーダ146、モータ回路基板147、およびウォーム・ギヤ150などのような、駆動に係る構成要素を含む。
図2Dは、バッテリー170の説明図、および、上記に議論されている駆動に係る構成要素のうちのいくつかのよりよい図を加える。
【0030】
図2Eは、レーシング・エンジン10の内部構成要素を示す別の説明図である。
図2Eでは、ウォーム・ギヤ150は、インデキシング(indexing)・ホイール151(ジェネバ(Geneva)・ホイール151とも称される)をより良好に示すために除去されている。さらに詳細に以下に説明されているように、インデキシング・ホイール151は、電気的なまたは機械的な故障および位置の喪失の場合に、駆動機構をホームに復帰させるための機構を提供する。この例では、レーシング・エンジン10は、また、ワイヤレス充電インターコネクト165およびワイヤレス充電コイル166を含み、それらは、バッテリー170(これは、この図には示されていない)の下に位置付けされている。この例では、ワイヤレス充電コイル166は、レーシング・エンジン10の底部104の外部下面の上に装着されている。
【0031】
図2Fは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10の断面説明図である。
図2Fは、スプール130の構造体を示すだけでなく、どのようにレース溝部132およびレース溝110がレース・ケーブル131とインターフェース接続するかということを示すのを支援する。この例に示されているように、レース131は、レース溝110を通ってスプール130のレース溝部132の中へ連続的に走っている。また、断面説明図は、レース凹部135およびスプール中間部を示しており、それらは、レース131がスプール130の回転によって巻き取られるときに、レース131が巻き重ねられることとなる場所である。スプール中間部137は、スプール130の上面の下に配設されている、円形の縮径部である。レース凹部135は、スプール130の上部によって形成されており、スプール130の上部は、スプール凹部115、スプール凹部115の側部および床部、ならびにスプール中間部137を実質的に充填するように、半径方向に延在している。いくつかの例では、スプール130の上部は、スプール凹部115を越えて延在することが可能である。他の例では、スプール130は、スプール凹部115の中に完全にフィットし、半径方向の上部が、スプール凹部115の側壁まで延在しているが、スプール130がスプール凹部115によって自由に回転することを可能にする。レース131は、レーシング・エンジン10を横切って走るとレース溝部132によって捕獲され、これによってスプール130が回されるときに、レース131がレース凹部135の中のスプール130の本体部の上に回転させられるようになっている。
【0032】
レーシング・エンジン10の断面によって示されているように、スプール130は、スプール軸133を含み、スプール軸133は、Oリング138を通り抜けた後に、ウォーム・ギヤ150と連結する。この例では、スプール軸133は、接続ピン134を介して、ウォーム・ギヤに連結されている。いくつかの例では、接続ピン134は、スプール軸133から1つの軸線方向だけに延在しており、また、ウォーム・ギヤ150の方向が逆にされるときに、接続ピン134が接触される前に、ウォーム・ギヤ150のほとんど完全な回転を可能にするように、ウォーム・ギヤの上のキーによって接触されている。また、クラッチ・システムは、スプール130をウォーム・ギヤ150に連結するように実装され得る。そのような例では、クラッチ機構は、レースを緩める(弛緩させる)ときにスプール130が自由に回ることを可能にするように作動させられ得る。接続ピン134がスプール軸133から1つの軸線方向だけに延在している例では、スプールは、ウォーム・ギヤ150が逆転駆動されている間に、弛緩プロセスの初期の作動のときに自由に移動することを許容される。弛緩プロセスの初期部分の間にスプール130が自由に移動することを可能にすることは、レース131のもつれを防止することを支援する。その理由は、それが、ユーザがフットウェアを緩め始めるための時間を提供し、次にそれによって、ウォーム・ギヤ150によって駆動される前にレース131を緩める方向に張力を与えることとなるからである。
【0033】
図2Gは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10の別の断面説明図である。
図2Gは、
図2Fと比較して、レーシング・エンジン10のより内側の断面を示しており、それは、回路基板160、ワイヤレス充電インターコネクト165、およびワイヤレス充電コイル166などのような、追加的な構成要素を示している。また、
図2Gは、スプール130およびレース131のインターフェースを取り囲む追加的な詳細を示すために使用される。
【0034】
図2Hは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10の上面図である。
図2Hは、グリース隔離壁109を強調しており、また、どのようにグリース隔離壁109が、スプール130、ウォーム・ギヤ150、ウォーム駆動部140、およびギヤ・ボックス145を含む、駆動機構の特定の部分を取り囲むかということを示している。特定の例では、グリース隔離壁109は、ウォーム駆動部140をギヤ・ボックス145から分離している。また、
図2Hは、スプール130とレース・ケーブル131との間のインターフェースの上面図を提供しており、レース・ケーブル131が、スプール130の中のレース溝部132を通って内外方向に走っている。
【0035】
図2Iは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10のウォーム・ギヤ150およびインデックス・ホイール15の一部分の上面の説明図である。インデックス・ホイール151は、腕時計製造およびフィルム映写機において使用される周知のジェネバ・ホイールに関するバリエーションである。典型的なジェネバ・ホイールまたは駆動機構は、たとえば、フィルム映写機において必要とされるように、または、腕時計の秒針を断続的に移動させるために、連続的な回転移動を断続的な運動に変換する方法を提供する。腕時計メーカは、欠けているスロットを備えたジェネバ・ホイール(たとえば、ジェネバ・スロット157のうちの1つが欠けていることとなる)を使用して、機械的な腕時計スプリングの巻き過ぎを防止するために、異なるタイプのジェネバ・ホイールを使用した。欠けているスロットは、ジェネバ・ホイールのさらなる割り出しを防止することとなり、それは、スプリングを巻くことの原因であり、巻き過ぎを防止する。図示されている例では、レーシング・エンジン10は、ジェネバ・ホイールについてのバリエーション、インデキシング・ホイール151を含み、インデキシング・ホイール151は、ホームに復帰する動作において停止機構として作用する小さい停止歯156を含む。
図2J~
図2Mに示されているように、標準的なジェネバ歯155は、インデックス歯152がジェネバ歯155のうちの1つの隣のジェネバ・スロット157に係合しているときに、ウォーム・ギヤ150のそれぞれの回転に関して単純に割り出しする。しかし、インデックス歯152が停止歯156の隣のジェネバ・スロット157に係合しているときに、より大きい力が生成され、それは、ホームに復帰する動作において駆動機構を失速させるために使用され得る。停止歯156の側面プロファイルは(ジェネバ歯155の側面プロファイルと比較すると)より急勾配でありかつ略直線状である。停止歯156は、モータ・エンコーダ146などのような、他の位置決め情報の喪失の場合にホームに復帰するための機構の公知の場所を生成させるために使用され得る。
【0036】
この例では、ホームに復帰する装置(インデキシング・ホイール151)は、ホーム位置間での完全な4回転を可能にするように設計される。ホームに復帰する装置は2つのホーム位置を有し、1つ目は完全に緩い状態(全てのレースがスプールからほどかれている)を表し、2つ目は完全に締め付けられた状態(システムにおける多くのレースがスプールに巻き付くことができる)を表す。ホームに復帰する装置がいずれかのホーム位置に衝突すると、インデックス歯152と停止歯156との間の相互作用は、駆動機構を失速させるのに十分大きい力を生じる。システムは、モータ電流を通じて力を測定し得る。停止歯156に係合するインデックス歯152に関連付けられる力プロファイルは、ジェネバ歯155のうちの1つに係合するインデックス歯152により生成された力プロファイルと大きく異なり、プロセッサーがこの違いを特定し得る。例では、停止歯を衝突させることにより生成された力プロファイルは、より大きい規模および速い変化率(例えば、より高い勾配)を有する。停止歯に係合することにより生成された力プロファイルはまた、スプールを通じて駆動機構内へ伝達され得るレース・ケーブルを引っ張ることから生成された力プロファイルと識別可能であるように設計される。レース・ケーブルを通じて伝達された力により生成された力プロファイルは、一般的に、大きさがより小さく、変化率はよりゆっくりとなる(例えば、より低い勾配)。
【0037】
図2J~
図2Mは、例示的な実施形態に係るインデックス動作を通して移動するウォーム・ギヤ150およびインデックス・ホイール151の説明図である。上記に議論されているように、これらの図は、
図2Jから始めて
図2Mにわたって、ウォーム・ギヤ150の単一の全回転の間に何が起こるかということを示している。
図2Jでは、ウォーム・ギヤ150のインデックス歯153は、ジェネバ歯155の第1のジェネバ歯155aと停止歯156との間で、ジェネバ・スロット157の中に係合されている。
図2Kは、第1のインデックス位置にあるインデックス・ホイール151を示しており、ウォーム・ギヤ150によってインデックス歯153がその回転を開始するときに、第1のインデックス位置が維持される。
図2Lでは、インデックス歯153は、第1のジェネバ歯155aの反対側のジェネバ・スロット157に係合し始めている。最後に、
図2Mでは、インデックス歯153は、第1のジェネバ歯155aと第2のジェネバ歯155bとの間のジェネバ・スロット157の中に完全に係合されている。
図2J~
図2Mに示されているプロセスは、インデックス歯153が停止歯156に係合するまで、ウォーム・ギヤ150のそれぞれの回転を続ける。上記に議論されているように、インデックス歯153が停止歯156に係合するときに、増加した力が、駆動機構を失速させることが可能である。
【0038】
図2Nは、例示的な実施形態に係るレーシング・エンジン10の分解図である。レーシング・エンジン10の分解図は、どのようにすべてのさまざまな構成要素が組み合わさるかということの説明図を提供する。
図2Nは、上下逆さまにレーシング・エンジン10を示しており、底部104は、ページの上部にあり、頂部102は、底辺の近くにある。この例では、ワイヤレス充電コイル166が、底部104の外側(下)に付着されているとして示されている。また、この分解図は、どのようにウォーム駆動部140が、ブッシング141、駆動軸143、ギヤ・ボックス144、およびギヤ・モータ145とともに組み立てられるかということの良好な説明図を提供する。この説明図は、ウォーム駆動部140の第1の端部においてウォーム駆動キー142の中に受け入れられる駆動軸ピンを含まない。上記に議論されているように、ウォーム駆動部140は、駆動軸143上をスライドし、ウォーム駆動キー142の中の駆動軸ピンに係合し、ウォーム駆動キー142は、本質的に、ウォーム駆動部140の第1の端部において駆動軸143に対して横断方向に走るスロットである。
【0039】
図3は、いくつかの例示的な実施形態に係るフットウェアのための電動式レーシング・システム1000の構成要素を示すブロック図である。システム1000は、たとえば、インターフェース・ボタン1001、任意の足存在センサー1010、プロセッサー回路1020を備えたプリント回路基板組立体(PCA)、バッテリー1021、充電コイル1022、エンコーダ1025、モータ1041、トランスミッション1042、およびスプール1043などを含む電動式レーシング・システムの基本的な構成要素を示す。この例では、インターフェース・ボタン1001および足存在センサー1010は回路基板(PCA)1020と通信することができ、回路基板(PCA)1020はまた、バッテリー1021および充電コイル1022と通信している。また、エンコーダ1025およびモータ1041は、回路基板1020におよび互いに接続されている。トランスミッション1042はモータ1041をスプール1043に連結し、駆動機構1040を形成する。この例では、モータ1041、トランスミッション1042、およびスプール1043は駆動機構1040を構成し、駆動機構1040は、いくつかの例ではエンコーダ1025も含む。
【0040】
例では、プロセッサー回路1020は、駆動機構1040の1つまたは複数の態様を制御する。たとえば、プロセッサー回路1020は、ボタン1001から、および/または、足存在センサー1010から、および/または、バッテリー1021から、および/または、駆動機構1040から、および/または、エンコーダ1025から情報を受信するように構成され得、また、たとえば、他の機能の中でも、フットウェアを締め付けるかもしくは緩めるために、または、センサー情報を取得するかもしくは記録するために、コマンドを駆動機構1040に発行するようにさらに構成され得る。以下にさらに議論されるとおり、いくつかの例では プロセッサー回路1020は、バッテリー1021からの電圧および電流を測定し得る。プロセッサー回路1020はまた、エンコーダ1025からの信号を監視し得る。バッテリー1021およびエンコーダ1025からの情報は、プロセッサー回路1020により、駆動機構1040、特にモータ1041を制御するために使用され得る。いくつかの例では、プロセッサー回路1020はまた、モータ1041からの電流引込みを測定することができ、これは、モータ1041により発生させられたトルクの測定として使用され得る。以下にさらに議論されるとおり、電圧はプロセッサー回路1020により測定され得、電圧は、モータ速度の測定として使用され得る(またはこれらは直接的に関連する)。
【0041】
モータ制御スキーム
図4~9は、いくつかの例示的な実施形態に係る電動式レーシング・エンジンを制御するためのモータ制御スキームの態様を示す図およびフローチャートである。本明細書で議論されているモータ制御スキームは、駆動機構1040、より具体的にはモータ1041(または
図1~
図2Nに示されたモータ145)の動作を制御し得る。モータ制御スキームは、たとえば、さまざまなサイズの制御セグメント(
図4)、運動プロファイル(
図5~
図7)、バッテリー電圧に基づくモータ制御パラメータの修正などの概念を含む。
【0042】
図4は、例示的な実施形態に係るさまざまなサイズの制御セグメント概念を示す図を含む。この例では、さまざまなセグメント・サイズのモータ制御スキームは、レース巻き取りの観点から合計トラベルをセグメントに分割することを伴い、セグメントは、レース・トラベルの連続体の上での位置(例えば、一方の端にあるホーム/緩い位置と他方の端にある最大締め付けとの間)に基づいて、サイズが変化している。モータがラジアル・スプールを制御しており、モータ軸の上のラジアル・エンコーダを介して主に制御されることとなるため、セグメントは、スプール・トラベルの角度の観点からサイズ決めされ得る(それは、エンコーダ・カウントの観点から見ることも可能である)。連続体の緩い側において、セグメントは、たとえば、10度のスプール・トラベルなど、より大きくなっていることが可能である。その理由は、レース移動の量がより重要ではないからである。しかし、レースが締め付けられるにつれて、レース・トラベルのそれぞれのインクリメントが、所望の量のレース締め付けを取得するためにますます重要になる。モータ電流など他のパラメータが、レース締め付けまたは連続体位置の二次的な対策として使用され得る。
図4は、締め付け連続体に沿った位置に基づいて、異なるセグメント・サイズの2つの別々の説明図を含む。
【0043】
例では、さまざまなサイズの制御セグメントは、駆動機構の合計回転トラベルを、トラベルの連続体の中での位置に基づいて、さまざまなサイズのセグメントに分割することを伴う。上記に議論されているとおり、特定の例では、駆動機構1040は、限定された合計動作トラベルを有するように構成され得る。駆動機構の合計動作トラベルは、回転の観点から、または、直線距離の観点から見ることができる。直線距離の観点から見ると、合計動作トラベルは、駆動機構が巻き取り可能なレース(または張力部材)の量の観点から見ることができる。駆動機構の合計動作トラベルの連続体は、ホーム(または完全に緩い)位置と最大締め付け(例えば、上記に議論されている機械的停止機構により制御されたスプール1043の4全回転)との間を進むレース巻き取りの観点から見ることができる。連続体の緩い側における駆動機構1040の移動は、遥かにより動的である(例えば、より大きい)可能性があり、一方で、最大締め付け側では、命令された移動は、たとえば、制御セグメント401により図示されたものなど、遥かにより細かいレベルの制御を有する必要がある。したがって、例では、移動連続体はセグメントまたはグループに分割され、それぞれのユニットは、特定の移動サイズ(例えば、回転角、エンコーダ・カウント、または直線距離)を表すセグメントまたはグループの中にある。連続体の緩い側において、ユニットサイズはより大きくても、駆動機構1040のより大きい回転移動を命令してもよい。連続体の締め付け側では、ユニットは、駆動機構1040の小さい回転移動を命令するために遥かに小さい可能性がある。
【0044】
例では、さまざまな制御セグメント402は、6つの制御セグメント415、420、425、430、435、440に分割され得るトラベル410の連続体を含むことが可能である。トラベル410の連続体は、解くセグメント415から最大締め付けセグメント440へ進むことができ、ホームに復帰するセグメント420、快適セグメント425、パフォーマンス・セグメント430、高パフォーマンス・セグメント435が間にある。さまざまな制御セグメント402の中の異なる制御セグメントを示すブロックの異なる横方向距離により示されているとおり、それぞれの異なるセグメント・ユニットは、駆動機構1040に異なる量だけ移動するよう命令し得る。セグメント・ユニットは、スプールの回転角の観点から、またはレースの直線状トラベル距離の観点から定義され得る。
【0045】
運動プロファイル概念は、特定の所望の結果を命令するために、駆動機構の1つまたは複数の移動をプロファイルへグループ化することを伴う。それぞれの運動プロファイルは、駆動機構1040移動を制御するためにパラメータを含むことになる。例では、パラメータは、スプール1009移動を制御する観点から見られる。運動プロファイルは、移動の表から生成され得る。運動プロファイルは、追加的なグローバル・パラメータ、たとえば、バッテリー電圧と関連付けられたギヤ減速乗数および/または倍率により修正され得る。たとえば、
図8および
図9を参照して以下に議論されている運動制御技術は、運動プロファイルを修正するために後に使用されることになる倍率を修正し得る。
【0046】
図5は、現在の締め付け連続体位置および所望の端の位置に基づいて、運動プロファイルの表を構築するために締め付け連続体位置を使用することを示している。次いで、運動プロファイルは、ユーザ入力ボタンからの特定の入力へ変換され得る。この例では、運動プロファイルは、スプール運動のパラメータ、たとえば、加速度(Accel(度/秒/秒))、速度(Vel(度/秒))、減速度(Dec(度/秒/秒))、および、移動の角度(Angle(度))などを含む。いくつかの例では、移動パラメータは、代替的に、レース移動加速度、速度、減速度、および直線距離の観点から表され得る。
【0047】
図6は、経時的な速度のグラフの上にプロットされている例示的運動プロファイルを示している。グラフ601は、異なる運動プロファイル、たとえば、ホームから快適プロファイルおよびリラックス・プロファイルなどのための時間プロファイルの速度を示す。グラフ602は、解く移動プロファイルを示しており、システムは、駆動機構1040の中のもつれを除去するため(例えば、レースがスプール1043においてもつれた場合)に作用するように、間断なく締め付けられ、緩められる。
【0048】
図7は、締め付け連続体に沿ってさまざまな運動プロファイルを作動させるための例示的なユーザ入力を示すグラフィックである。たとえば、プラス・アクチュエータでの短いボタン作動は、たとえば、ホーム/緩いから快適へなど、連続体に沿ってより締め付けられた位置へ次第に移動するようにプログラムされ得る。反対に、ネガティブ・アクチュエータでの短いボタン作動は、たとえば、パフォーマンスから快適へなど、より緩い位置へ次第に移動するようにプログラムされ得る。個々のボタンの二度の押圧は、異なるプロファイルを作動させ得る。たとえば、ポジティブ・アクチュエータでの二度の押圧は、たとえば、パフォーマンスから最大締め付けへなど、連続体の上での次の次第に締め付けられた位置へより速く移動するようプログラムされ得る。一方で、ネガティブ・アクチュエータでの二度の押圧が、開始位置に関わらず、移行してホーム/緩い位置へ戻るようにプログラムされ得る。アクチュエータ・ボタンを保持することは、解放されるか停止(例えば、最大締め付けまたはホーム/緩い)に到達するまで、締め付ける(プラス・アクチュエータ)または緩める(ネガティブ・アクチュエータ)ようにプログラムされ得る。
【0049】
図8および
図9は、バッテリー電圧レベルに基づいて異なる動作ゾーンに少なくとも部分的に基づいて例示的な駆動機構制御スキームを示すフローチャートを含む。バッテリーにより動力供給されるモータを用いるデバイスにおいて、利用可能なバッテリー電圧は、モータが作動し得る速さ(速度)に直接的な影響を及ぼし得、利用可能な電圧が高いほど速度は速くなる。バッテリーは、一般的に、完全に充電されたレベルから低バッテリー・レベルまでの、それらバッテリーが出力する動作電圧範囲を有する(システムは通常、バッテリーを完全に枯渇させる/放電させるように設計されない)。放電サイクルの間、バッテリーにより供給される電圧は、放電によるダメージを回避するために、バッテリー管理システム(BMS:battery management system)がバッテリーを停止させるまで徐々に低下する。たとえば、特に、本明細書で議論されているレーシング・エンジンの設計において、4.3v~3.6vの動作電圧範囲を有するバッテリーが使用され得る。動作範囲にわたって、モータは、当然ながら、何らかの形態のモータ制御が無ければ、出力速度に潜在的に幅広いばらつきを呈することになる。特定のデバイスにおいて、モータ出力速度のばらつきは、負の消費者の印象、および/または、認識されるまたは実際のパフォーマンスの望ましくないばらつきをもたらし得る。たとえば、レーシング・エンジンは、レース締め付けの最大量に望ましくないばらつき、または、所望の締め付けレベルを達成するのにかかる時間に望ましくないばらつきを示すことがある。したがって、これらの潜在的に望ましくないパフォーマンスのばらつきを解決するために、モータの電圧動作範囲の少なくとも一部にわたってモータ出力速度をならすために、モータ制御スキームが考案された。この例では、動作範囲の一部にわたって、パフォーマンスの望ましくないばらつきの一部を依然として除去しつつ、モータが動作電圧範囲の最低端で可能なパフォーマンスのレベルを超えるパフォーマンスのレベルで作動させられ得るように、2つの動作ゾーンが選択された。また、このスキームを使用すると、たとえば、動作の速度および動作の間の可聴モータ音など、より一貫性のあるユーザ・エクスペリエンスを与えるという利益を提供することができる。
【0050】
この例では、電圧閾値は、1次動作電圧範囲の下端として選択される。いくつかの例では、閾値電圧を決定する代わりに、または閾値電圧を決定する手段として、所望の動作速度が選択される。これらの例では、使用されているモータには、入力電圧と出力速さ(速度)との直接的な関係が多少あり、したがって一方を選択すると他方を決定することになる。選択または決定された電圧閾値で、モータは、目的の出力速度を達成するために100%デューティ・サイクルで作動させられ得る。閾値電圧を超える電圧では、モータが目的の出力速度を維持することを可能にするために、モータは100%デューティ・サイクル未満で作動させられ得る。したがって、閾値電圧を超えてバッテリーにより出力することができる全ての動作電圧では、モータは一定の出力速度で作動させられ得る。制御スキームは、レース締め付け速度、張力、およびユーザへの可聴フィートバックを含むパフォーマンスの観点から、より一貫性のあるユーザ・エクスペリエンスを提供する。1つの追加的な利益、動作パラメータ、たとえば可聴フィートバックの結果、バッテリー電圧が閾値電圧未満に低下すると変化する。顕著な動作パラメータのそのような変化は、バッテリーを充電する必要があるというユーザに対する表示となり得る。
【0051】
この例では、バッテリー電圧が閾値電圧未満に低下すると、システム・パフォーマンスは、最低動作電圧(極めて低いバッテリー・レベルと呼ばれることもある)と一致するレベルへ低下する。駆動システムの出力パフォーマンスの低下は、バッテリーをすぐに充電する必要があるというユーザに対する表示となり得る。パフォーマンスの低下は、より低いパフォーマンス・レベルでの連続動作の期間を可能にするような方法で設計され得る。
【0052】
例示的レーシング・システムでは、4.3v~3.6vの動作範囲のバッテリーが使用され得る。このシステムにおいて、3.8vの閾値電圧が選択され得る。3.8vを超えるバッテリー電圧で、システムは、3.8vで100%デューティ・サイクルでの出力速度に等しい目的の出力速度で動作する。したがって、バッテリーが完全に充電されると(4.3v)、プロセッサー回路1020は、目的の出力速度を達成するためにモータに出力される動力を調節し得る。したがって、4.3vで、モータは、100%デューティ・サイクル未満のどこかで作動させられることとなる。バッテリーにより出力することができる電圧が3.8v未満に低下すると、システムは、目的の出力速度が3.6v(この例示的なシステムでは極めて低いバッテリー・レベル)で100%デューティ・サイクルでの出力速度と等しくなるようにパフォーマンスを低下させる。
【0053】
図8は、例示的な実施形態に係るモータ制御技術800を示すフローチャートである。この例では、システム1000は、たとえば、動作範囲をセグメントに分けること(810)、複数の移動を定義すること(820)、複数の運動プロファイルを生成すること(830)、移動を命令すること(840)などの動作を含むモータまたは駆動システム制御技術800を実装し得る。
【0054】
モータ制御技術800は、動作810で始まり得、プロセッサー回路1020が動作範囲、たとえば、トラベル410の連続体を異なる制御セグメントに分ける。いくつかの例では、810で、制御セグメントのセットは特定のシステムのために予め決定され得ることから、プロセッサー回路1020は特定の動作範囲のために制御セグメントのセットにアクセスする。
図4に示されているとおり、制御セグメントは、解くセグメント415から最大締め付けセグメント440への範囲にわたるセグメントを含むことが可能である。それぞれの制御セグメントは、回転角または直線距離で表された異なる量のトラベルを表し得る。トラベルの連続体を異なるサイズのセグメントに分けることは、トラベルの連続体に沿ってどこでシステムが作動しているかに基づいて移動サイズを自動的に変化させることにより、制御セグメントを利用して、運動プロファイルを単純化し得る。たとえば、フットウェア・プラットフォームがホーム(緩い)状態にあるときの単一のボタン押圧は、フットウェア・プラットフォームが最大締め付け状態の近くにあるときに対して遥かにより多い量のレース・トラベルが命令されることをもたらし得る。特定の例では、制御セグメントの定義はシステム1000の外側で実施され、システム1000のための動作命令は、予めプログラムされた制御セグメントを用いている。これらの例では、プロセッサー回路1020は、システム1000の中のメモリに格納されたデータ構造から、予めプログラムされた制御セグメントにアクセス可能である。
【0055】
820で、モータ制御技術800は、プロセッサー回路1020が複数のモータ移動を定義する(またはこれにアクセスする)ことを続け得る。モータ移動は、制御セグメントの観点から定義され得る、たとえば、2つのホーム・セグメント420および3つの快適セグメント425を移動する。モータ移動はまた、パフォーマンス・パラメータ、たとえば、加速度、速度、および減速度を含むことが可能である。いくつかの例では、モータ移動は、制御セグメント、回転角、または直線状トラベル距離の観点から定義される距離パラメータを含むことが可能である。動作820は、システム1000にロードされた命令に予めプログラムされ得る別の動作であり、このシナリオでは、プロセッサー回路1020は、システム1000のメモリに格納された表または同様のデータ構造から、予めプログラムされたモータ移動にアクセスし得る。
【0056】
830で、モータ制御技術800は、プロセッサー回路が複数の運動プロファイルを生成する(またはそれにアクセスする)ことを続け得る。運動プロファイルは、1つまたは複数のモータ移動を含むことが可能である。運動プロファイルの中のモータ移動は、フットウェア・プラットフォームのための異なる状態、たとえば、緩い(ホーム)状態または最大締め付け状態に到達するために定義され得る。動作830は、システム1000にロードされた命令に予めプログラムされ得る別の動作であり、予めプログラムされたときに、プロセッサー回路1020が、移動を命令するときに、運動プロファイルにアクセスする。
【0057】
840で、モータ制御技術800は、プロセッサー回路1020が運動プロファイルを使用して駆動機構1040の移動を命令することを続ける。移動を命令することは、トラベル連続体に沿った現在の場所に基づいて運動プロファイルを選択することを含むことが可能である。たとえば、システムがホーム位置から離れた場所にあるとき、プロセッサー回路1020はホーム復帰運動プロファイルのみを選択する。
【0058】
図9は、例示的な実施形態に係るモータ制御技術900を示すフローチャートである。いくつかの例では、モータ制御技術900はさらに、プロセッサー回路1020が上記に議論されている動作840に係る移動をどのように命令するかを定義する。他の例では、モータ制御技術900は、動作840またはモータ制御技術800とは無関係に実装され得る。図示された例では、モータ制御技術900は、たとえば、第1の目的の速度を決定すること(910)、第2の目的の速度を決定すること(920)、バッテリー電圧を測定すること(930)、バッテリー電圧が閾値の範囲を超えているかどうかを決定すること(940)、およびそれに応じて動作パラメータを設定すること(950、960)などの動作を含むことが可能である。
【0059】
910で、モータ制御技術900は、プロセッサー回路1020が第1の目的のモータ出力速度を決定する(またはそれにアクセスする)ことで始まり得る。特定の例では、第1の目的のモータ出力速度は、システムが100%デューティ・サイクルで作動している状態で、閾値バッテリー電圧でのモータの出力速度を決定することに基づいて決定される。いくつかの例では、第1の目的の速度はシステム1000に予めプログラムされ、プロセッサー回路1020は、動作910で第1の目的の速度にアクセスするだけである。
【0060】
920で、モータ制御技術900は、プロセッサー回路1020が第2の目的のモータ出力速度を決定する(またはそれにアクセスする)ことを続け得る。特定の例では、第2の目的のモータ出力速度は、システムが100%デューティ・サイクルで作動している状態で、極めて低いバッテリー・レベル(例えば、許容可能な最低動作電圧)での出力速度を決定することに基づき、決定される。いくつかの例では、第2の目的の速度はシステム1000に予めプログラムされ、プロセッサー回路1020は、動作920で第2の目的の速度にアクセスするだけである。
【0061】
特定の例では、動作910および動作920は、システム1000のリアルタイムの動作の外で実施される。これらの例では、第1および第2の目的のモータ出力速度は、決定または選択され得る。例では、第1および第2の目的のモータ出力速度を決定するために、閾値バッテリー電圧が選択および使用され得る。別の例では、第1の目的のモータ出力速度は、閾値電圧レベルを決定するために選択および使用され得る。この例では、閾値電圧レベルは、システムが、100%デューティ・サイクルで作動しつつ、選択された第1の目的のモータ出力速度を達成し得るレベルである。
【0062】
930で、モータ制御技術900は、プロセッサー回路1020が駆動機構1040に出力されている現在のバッテリー出力電圧を示す信号を受信することを続け得る。特定の例では、プロセッサー回路1020は電圧計を含むことが可能であり、他の例では、バッテリー、BMS、または別の構成要素が、電圧レベルを示す必要な信号をプロセッサー回路1020に提供し得る。
【0063】
940で、モータ制御技術900は、プロセッサー回路1020が、モータに出力されている電圧が閾値電圧の範囲を超えているかどうかを決定するために電圧レベルの表示を使用することを続ける。上記に議論されているとおり、いくつかの例では、システム1000は、特定の動作パラメータを有する特定の電圧範囲で、および動作パラメータの第2のセットを有する第2の電圧範囲で作動し得る。
【0064】
モータに出力されている測定された電圧が閾値電圧の範囲を超えている場合、モータ制御技術900は950で、プロセッサー回路1020が、(少なくとも1つの動作パラメータが第1の値に設定された状態で)動作特徴の第1のセットを使用して駆動システム1040を作動させることを続ける。例では、制御された動作パラメータはモータのための出力速度であり、モータは、動作950で単一の出力速度で、ある範囲の入力電圧にわたって制御される。
【0065】
モータに出力されている測定された電圧が閾値電圧の範囲を超えていない場合、モータ制御技術900は960で、プロセッサー回路1020が、動作特徴の第2のセットを使用して駆動システム1040を作動させることを続ける。動作特徴は、少なくとも1つの動作パラメータ、この例ではモータ出力速度を含む。この例では、バッテリー電圧が予め決定された閾値電圧未満に低下する場合、モータ出力速度は第2の目的の速度で作動させられる。制御されている動作特徴はまた、とりわけ電流またはデューティ・サイクルであり得る。
【0066】
以下の例は、上記に議論されているモータ制御技術の追加的な詳細を提供する。
実施例
本発明者らは、とりわけ、くつ紐(shoe laces、シュー・レース)の自動化されたおよび半自動化された締め付けのための電動式レーシング・エンジンの改良されたモータ制御の必要性を認識している。本明細書は、とりわけ、フットウェア・プラットフォームの中の電動式レーシング・エンジンを制御するためのモータ制御例を説明している。以下の例は、本明細書で議論されているフットウェア組立体においてレーシング・エンジンの中のモータを制御する方法の非限定的な例を提供する。
【0067】
例1は、自動化されたフットウェア・プラットフォームの中の駆動機構のためのモータ制御方法を含む主題を説明している。この例では、本方法は、予め定義されたトラベル距離をセグメントに分けること、複数の移動を定義すること、複数の運動プロファイルを生成すること、および駆動機構の移動を命令することを含むことが可能である。予め定義されたトラベル距離は駆動機構と関連付けられ、複数のセグメントにセグメント分けされ得る。複数の移動は、駆動機構が、フットウェア・プラットフォームの上でレースを締め付けるまたは緩めることと関連付けられた機能を実施するために定義される。複数の運動プロファイルは、複数の運動プロファイルのうちのそれぞれの運動プロファイルが複数の移動からの1つまたは複数の移動を含むように生成される。移動を命令することは、複数の運動プロファイルからの1つまたは複数の運動プロファイルの選択に基づいて駆動機構を作動させることを伴う。
【0068】
例2では、例1の主題は、任意に、加速度パラメータ、速度パラメータ、減速度パラメータ、および距離パラメータを有する複数の移動のうちのそれぞれの移動を含むことが可能である。
【0069】
例3では、例2の主題は、任意に、複数のセグメントのうちのいくつかのセグメントに提供されている距離パラメータを含むことが可能である。
例4では、例2の主題は、任意に、回転角で提供されている距離パラメータを含むことが可能である。
【0070】
例5では、例4の主題は、任意に、それぞれの移動と関連付けられた複数のセグメントのうちのいくつかのセグメントの選択を決定するために、複数のセグメントに対して適用されている回転角を含むことが可能である。
【0071】
例6では、例1~5のうちのいずれか1つの主題は、任意に、以下の動作をさらに含む、移動を命令することを含むことが可能である。モータに供給されている電圧が閾値電圧を超えているとき、駆動機構の中のモータを作動させるための第1の目的の速度を決定すること。モータに供給されている電圧が閾値電圧未満であるとき、モータを作動させるための第2の目的の速度を決定すること。バッテリーにより供給されている第1の電圧を測定すること。第1の電圧が閾値電圧以上であると決定すると、第1の目的の速度に等しい速度パラメータを設定すること、または、第1の電圧が閾値電圧未満であると決定すると、第2の目的の速度に等しい速度パラメータを設定すること。
【0072】
例7では、例1~5のうちのいずれか1つの主題は、任意に、以下の動作をさらに含む、移動を命令することを含むことが可能である。受電バッテリー電圧を決定するために、駆動機構の中のモータに連結されたプロセッサー回路を使用して、モータに供給されているバッテリー電圧を測定すること。受電バッテリー電圧が閾値電圧を超えるか下回るか(例えば、閾値の範囲を超える)どうか決定するために、プロセッサー回路を使用して受電バッテリー電圧を閾値電圧と比較すること。受電バッテリー電圧が閾値電圧を超えていると決定すると、第1の倍率を選択された1つまたは複数の運動プロファイルに適用すること、または、受電バッテリー電圧が閾値電圧未満であると決定すると、第2の倍率を選択された1つまたは複数の運動プロファイルに適用すること。
【0073】
例8では、例1~7のうちのいずれか1つの主題は、任意に、ユーザ入力を受信すること、およびユーザ入力に基づいて、1つまたは複数の運動プロファイルのうちのある運動プロファイルを選択することをさらに含む、移動を命令することを含むことが可能である。
【0074】
例9では、例8の主題は、任意に、予め定義されたトラベル距離に沿った現在の場所を認識することにより運動プロファイルを選択することを含むことが可能である。
例10では、例9の主題は、任意に、現在の場所と関連付けられた複数のセグメントのうちのあるセグメントを認識することにより、現在の場所を認識することを含むことが可能である。
【0075】
例11では、例9および10のうちのいずれか1つの主題は、任意に、駆動機構に連結されたエンコーダから受信されたデータを分析することにより現在の場所を認識することを含むことが可能であり、エンコーダは、予め定義されたトラベル距離に沿った距離または場所に相関があり得る出力を提供するように構成される。
【0076】
例12では、例9~11のうちのいずれか1つの主題は、任意に、状態間の移動を表す複数の運動プロファイルを有する1つまたは複数の運動プロファイルを含むことが可能である。
【0077】
例13において、例9~12のうちのいずれか1つの主題は、任意に、ホーム/緩い状態、快適状態、パフォーマンス状態、および最大締め付け状態を含む状態を含むことが可能である。
【0078】
例14では、例13の主題は、任意に、短いボタン押圧を受信することにより、ユーザ入力を受信することを含むことが可能であり、運動プロファイルを選択することは、隣接する状態へ移動するためにプロファイルを選択する。
【0079】
例15では、例13の主題は、任意に、ポジティブ・アクチュエータでの短いボタン押圧を受信することにより、ユーザ入力を受信することを含むことが可能であり、これは、次の次第に締め付けられた状態へ移動するためにプロファイルを選択することをもたらす。
【0080】
例16では、例13の主題は、任意に、ネガティブ・アクチュエータでの二度のボタン押圧を受信することによりユーザ入力を受信することを含むことが可能であり、これは、ホーム/緩い状態へ移動するためにプロファイルを選択することをもたらす。
【0081】
例17では、例13の主題は、任意に、保持ボタン押圧を受信することにより、ユーザ入力を受信することを含むことが可能であり、これは、保持ボタン押圧入力が解放されるまで移動するためにプロファイルを選択することをもたらす。
【0082】
例18は、モータを制御する方法を含む主題を説明している。この例では、モータ制御方法は、以下の動作を含むことが可能である。モータを含む駆動システムに連結されたプロセッサー回路を使用して、モータに供給されている受電バッテリー電圧を示す信号を受信すること。受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えているかどうか決定するために、プロセッサー回路を使用して、受電バッテリー電圧を閾値電圧と比較すること。受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていると決定すると、第1の動作電圧でのモータの動作に対応する第1の動作特徴を発生させるように、プロセッサー回路を使用して、駆動システムの中のモータを制御すること。受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていないと決定すると、第2の動作電圧でのモータの動作に対応する第2の動作特徴を発生させるように、モータを制御するためにプロセッサー回路を使用すること。
【0083】
例19では、例18の主題は、任意に、速度とトルクとを含む動作特徴の群から選択された第1の動作特徴および第2の動作特徴を含むことが可能である。いくつかのシステムでは、速度は入力電圧に関連しており、トルクは入力電流に関連している。
【0084】
例20では、例18および19のうちのいずれか1つの主題は、任意に、定荷重を受けている駆動システムを含むことが可能である。
例21では、例18~20のうちのいずれか1つの主題は、任意に、閾値電圧を超える電圧に対応する第1の動作電圧を含むことが可能である。
【0085】
例22では、例18~20のうちのいずれか1つの主題は、任意に、閾値電圧と等しい第1の動作電圧を含むことが可能である。
例23では、例18~22のうちのいずれか1つの主題は、任意に、閾値電圧未満の電圧に対応する第2の動作電圧を含むことが可能である。
【0086】
例24では、例23の主題は、任意に、モータ、駆動システムまたはレーシング・エンジンに関連付けられた最小有効動作電圧に対応する第2の動作電圧を含むことが可能である。
【0087】
例25では、例18~24のうちのいずれか1つの主題は、任意に、受電バッテリー電圧が第1の動作電圧を超える場合、モータを作動させることは、100%デューティ・サイクルで第1の動作電圧で定荷重でのモータの動作に対応する第1の動作特徴でモータを作動させるために、モータに供給される電圧を調整することを含むことが可能である。
【0088】
例26では、例25の主題は、任意に、100%デューティ・サイクル未満で電圧をパルス出力することにより、モータに供給される電圧を調整することを含むことが可能である。
【0089】
例27では、例18の主題は、任意に、モータにより発生させられた第1の可聴ピッチであるモータの第1の動作特徴を含むことが可能であり、第2の動作特徴は第2の可聴ピッチであり、第1の可聴ピッチは第2の可聴ピッチと異なる。
【0090】
例28では、例27の主題は、任意に、動作速度に主に基づいているモータにより発生させられた可聴ピッチを含むことが可能であり、モータは、バッテリー電圧が閾値電圧を超えているときに第1の動作速度で、および、バッテリー電圧が閾値電圧未満であるときに第2の動作速度で作動させられる。
【0091】
例29では、例18~28のうちのいずれか1つの主題は、任意に、3.8ボルトである第1の動作電圧と3.6ボルトである第2の動作電圧とを含むことが可能である。
例30では、例18~28のうちのいずれか1つの主題は、任意に、最大電圧動作範囲のおよそ30%である第1の動作電圧を含むことが可能である。
【0092】
例31では、例30の主題は、任意に、4.3v~3.6vにわたる最大電圧動作範囲を含むことが可能であり、最大電圧動作範囲の30%はおよそ3.8vである。
例32では、例18~31のうちのいずれか1つの主題は、任意に、最大電圧動作範囲のおよそ0%である第2の動作電圧を含むことが可能である。
【0093】
例33では、例32の主題は、任意に、4.3v~3.6vにわたる最大電圧動作範囲を含むことが可能であり、最大電圧動作範囲の0%は3.6vである。
例34では、例18~33のうちのいずれか1つの主題は、任意に、モータが100%デューティ・サイクルで作動させられると同時に一定動作負荷で選択された速度を発生させ得る電圧を決定することにより、閾値電圧を算出することを含むことが可能である。
【0094】
例35では、例34の主題は、任意に、最大バッテリー電圧を受信するとともに100%デューティ・サイクルで作動させられるときにモータが発生させ得る最大速度未満の選択された速度を含むことが可能である。
【0095】
例36では、例35の主題は、任意に、最大速度の予め決定されたパーセンテージである選択された速度を含むことが可能である。
例37では、例34~36のうちのいずれか1つの主題は、任意に、モータの速度である動作特徴を含むことが可能であり、モータのデューティ・サイクルは、受電バッテリー電圧が閾値電圧以上であるとき、第1の一定速度を発生させるように制御され、モータのデューティ・サイクルは、受電バッテリー電圧が閾値電圧未満であるとき、第2の一定速度を発生させるように制御される。
【0096】
例38は、モータを制御する方法を含む主題を説明しており、本方法は、本明細書において説明された自動化されたフットウェア・プラットフォームのレーシング・エンジンの中のモータを制御するために使用され得る。この例では、方法は、以下の動作を含むことが可能であり、これらの動作は、レーシング・エンジンの中のプロセッサー回路により実施され得る。モータに供給されている電圧が閾値電圧を超えるときに、モータを作動させるための第1の目的の速度を決定するかそれにアクセスすること。モータに供給されている電圧が閾値電圧未満であるときに、モータを作動させるための第2の目的の速度を決定するかそれにアクセスすること。バッテリーにより供給されている第1の電圧を測定すること、またはバッテリーにより供給されている第1の電圧を示す信号を受信すること。第1の電圧が閾値電圧以上であると決定することに基づいて第1の目的の速度でモータを作動させること、または、第1の電圧が閾値電圧未満であると決定することに基づいて、第2の目的の速度でモータを作動させること。
【0097】
例39は、システム、たとえば、本明細書において説明されたレーシング・エンジンシステムを説明している。この例では、システムは、バッテリー、モータ、およびプロセッサー回路を含むことが可能である。バッテリーは、動作電圧範囲を含むことが可能である。モータは、駆動システムを含むことが可能である。プロセッサー回路は、プロセッサーとメモリ・デバイスとを含むことが可能であり、メモリ・デバイスは、命令であって、プロセッサー回路により実行されると、システムに対して以下のような動作を実施させる命令を含むことが可能である。受電バッテリー電圧を取得するために、バッテリーによりモータに供給されている電圧を測定または受信すること。受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えているかどうか決定するために、受電バッテリー電圧を閾値電圧と比較すること。受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていると決定すると、第1の動作電圧でのモータの動作に対応する第1の出力速度を発生させるように、駆動システムの中のモータを制御すること。最後に、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていないと決定すると、第2の動作電圧でのモータの動作に対応する第2の出力速度を発生させるように、モータを制御すること。
【0098】
例40は、命令であって、モータ制御装置により実行されると、モータ制御装置に以下の動作を実施させる命令を含むメモリ・デバイスまたは非一時的コンピュータ可読媒体を説明している。受電バッテリー電圧を取得するために、バッテリーによりモータに供給されている電圧を測定または受信すること。受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えているかどうか決定するために、受電バッテリー電圧を閾値電圧と比較すること。受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていると決定すると、第1の動作電圧でのモータの動作に対応する第1の出力速度を発生させるように、駆動システムの中のモータを制御すること。最後に、受電バッテリー電圧が閾値電圧の範囲を超えていないと決定すると、第2の動作電圧でのモータの動作に対応する第2の出力速度を発生させるように、モータを制御すること。メモリ・デバイスは、命令であって、モータ制御装置に対して、例1~37のうちのいずれか1つにおいて説明された動作を実施させるための命令をさらに含むことが可能である。
【0099】
その他の注意事項
本明細書を通して、複数の事例は、単一の事例として記述される構成要素、操作、または構造を実装することができる。1つ以上の方法の個々の操作が別々の操作として図示され説明されているが、1つ以上の個々の操作が同時に実行されてもよく、操作が図示の順序で実行される必要はない。例示的な構成において別々の構成要素として提示される構造および機能は、結合された構造または構成要素として実装されてもよい。同様に、単一の構成要素として提示される構造および機能は、別個の構成要素として実装されてもよい。これらおよび他の変形、修正、追加および改良は、本明細書の主題の範囲内に入る。
【0100】
本発明の主題の概要は、特定の例示的な実施形態を参照して記載されているが、本開示のより広い範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正および変更を行うことができる。本発明の主題のそのような実施形態は、便宜上のためだけに、そして本出願の範囲を任意の単一の開示または発明の概念に自発的に限定しようとするものではなく、実際に開示されている。
【0101】
本明細書に示す実施形態は、当業者が開示された教示を実施することを可能にするために十分詳細に記載されている。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行うことができるように、他の実施形態を使用し、そこから誘導することができる。従って、開示は限定的な意味で解釈されるべきではなく、様々な実施形態の範囲は、開示される主題が権利を与えられる均等物の全範囲を含む。
【0102】
本明細書中で使用される場合、用語「または」は、包括的または排他的な意味で解釈され得る。さらに、複数の例が、本明細書で説明されるリソース、動作、または構造に対して単一の例として提供されてもよい。さらに、様々なリソース、操作、モジュール、エンジン、およびデータストア間の境界は、いくぶん恣意的であり、特定の動作は、特定の例示的な構成の状況で示されている。機能の他の割り当てが想定されており、本開示の様々な実施形態の範囲内に入る可能性がある。一般に、構成例において別個のリソースとして提示される構造および機能は、結合された構造またはリソースとして実装されてもよい。同様に、単一のリソースとして提示される構造および機能性は、別個のリソースとして実装されてもよい。これらおよび他の変形、修正、追加および改良は、添付の特許請求の範囲によって表される本開示の実施形態の範囲内に含まれる。したがって、明細書および図面は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。
【0103】
これらの非限定的な例の各々は、それ自体でも有効であるし、1つ以上の他の例との様々な順列または組み合わせで組み合わせることもできる。
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」または「例」とも呼ばれる。そのような実施例は、図示または説明されたものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示または記載された要素のみが提供される実施例も企図する。さらに、本発明者らは、特定の例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、または示されたまたは記載された要素(またはその1つまたは複数の態様)の任意の組み合わせまたは置換を使用する例を企図するか、または他の例(またはその1つまたは複数の態様)を示す。
【0104】
この文書とこれに参照として組み入れられた文書との間に一貫性のない使用があった場合、この文書の使用が制御される。
本明細書では、特許文献において一般的であるように、構成要素等を単数で記載する場合、「少なくとも1つの」または「1以上の」という他の記載または使用とは別に、1つまたは複数を含む。本明細書において、特に断りのない限り、「または」は非排他的に用いられ、例えば「AまたはB」というときには、「AではあるがBではない」、「BではあるがAではない」、および「AおよびB」を含む。本明細書では、「含む(including)」という用語は、「備える(comprising)」と同義で使用される。以下の請求項において、「含む」「備える」の後に構成を列挙する場合、その他の構成が加えられてもよい。システム、装置、物品、組成物、配合物、またはプロセスにおいて、列挙された構成に他の構成が追加されたとしても、それらは依然としてその請求の範囲内にある。
【0105】
さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」および「第3」などの用語は単に区別のために使用され、それらが付されたものに順番に係る要件を課すことを意図しない。
【0106】
モータ制御の例のような本明細書に記載の方法の例は、少なくとも部分的に機械的にまたはコンピュータで実施することができる。いくつかの例は、上記の例で説明した方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令でコード化された、コンピュータが読み取り可能な媒体または機械で読み取り可能な媒体を含むことができる。そのような方法の実装には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含めることができる。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成することができる。さらに、一例では、コードは、実行中または他の時など、1つまたは複数の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータで読み取り可能な媒体に有形に格納することができる。これらの具体的なコンピュータで読み取り可能な媒体の例には、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、取り外し可能な光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などが含まれる。
【0107】
上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、上記の例(またはその1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。上記の説明を検討することにより、当業者によって、他の実施形態を使用することができる。読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるように、要約は、米国特許法施行規則第1.72条(b)項に準拠して、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるように提供されている。請求の範囲または意味を解釈または制限するために使用しないように理解されたい。また、上記の説明では、様々な特徴をグループ化して、開示を合理化することができる。これは、クレームされていない開示された特徴がクレームに不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、開示された特定の実施形態のすべての特徴よりも少なくてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、実施形態または実施形態としての詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立して立証され、そのような実施形態は、様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせることができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに決定されるべきである。