(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】幹細胞の培養及び治療のための培地、方法、細胞、及び分泌因子
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0775 20100101AFI20220224BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220224BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20220224BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20220224BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20220224BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220224BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20220224BHJP
C12N 15/19 20060101ALN20220224BHJP
【FI】
C12N5/0775
A61P29/00
A61P37/06
A61K35/28
A61K35/12
A61K31/7105
A61K48/00
C12N15/113 Z
C12N15/19
(21)【出願番号】P 2018551264
(86)(22)【出願日】2017-03-30
(86)【国際出願番号】 US2017025153
(87)【国際公開番号】W WO2017173150
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2019-02-28
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503235673
【氏名又は名称】サンバイオ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベタンコート,アライン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターマン,ルース・エス
(72)【発明者】
【氏名】イセット,トーマス・エフ
【審査官】藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104845933(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1415039(KR,B1)
【文献】特開2015-171389(JP,A)
【文献】特表2015-532596(JP,A)
【文献】特開2012-031127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0010517(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0220053(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0017787(US,A1)
【文献】PLoS ONE,2010年,vol. 5, issue 4,e10088
【文献】J. Cell Biochem.,2012年,vol. 113, no. 8,pp. 2704-2713
【文献】Experimental Hematology,2007年,vol. 35,pp. 640-652
【文献】J. Immunol,2015年,vol. 195,pp. 875-881
【文献】Cell Stem Cell,2013年,vol. 10, no. 3,pp. 244-258
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養培地であって、
a.Toll様受容体3(TLR3)リガンドと、
b.アセチルコリン、
及びリポキシンA4のうちの1又は複数から
選択される第2の誘発剤とを含む培地。
【請求項2】
TLR3リガンドは、ポリ(I:C)、ポリ(A:U)、又はこれらの組み合わせを含む請求項1に記載の培地。
【請求項3】
エリスロポエチンをさらに含む請求項1又は2に記載の培地。
【請求項4】
塩化コバルト、デスフェリオキサミン、又はこれらの組み合わせを更に含む請求項1~3のいずれか一項に記載の培地。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の培地と、
間葉幹細胞集団とを含む細胞培養物。
【請求項6】
前記
間葉幹細胞集団においてCXCL9mRNAの20倍超の誘発を生じる請求項5
に記載の細胞培養物。
【請求項7】
前記
間葉幹細胞集団において、miR-Let7a/d、miR-17_1、miR-222、miR-92a、及びmiR-1260aからなる群より選択されるいずれか1つのmiRNAの2倍超の誘発を生じる請求項5
又は6に記載の細胞培養物。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の培地において
間葉幹細胞集団を培養することを含む方法であって、培養が低酸素条件下で行われる、方法。
【請求項9】
免疫学的に極性化された
間葉幹細胞集団であって、請求項5~
7のいずれか一項の前記細胞培養物から採取された
間葉幹細胞集団。
【請求項10】
炎症性又は自己免疫性の疾患の処置において使用される請求項
9に記載の
間葉幹細胞集団。
【請求項11】
非刺激
間葉幹細胞集団から免疫学的に極性化された
間葉幹細胞集団を作成する方法であって、前記非刺激
間葉幹細胞集団を請求項1~4のいずれか一項に記載の前記培地に接触させることを含む方法。
【請求項12】
細胞外小胞を作成する方法であって、非刺激
間葉幹細胞集団を請求項1~4のいずれか一項に記載の前記培地に接触させることを含む方法。
【請求項13】
前記細胞外小胞は、前記培地から分離及び/又は精製される請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
請求項
12に記載の方法によって作成される分離精製細胞外小胞であって、
myosin-1(MYH1)
タンパク質又はその一部、myosin-2(MTH2)
タンパク質又はその一部、myosin-7(MYH-7)
タンパク質又はその一部、又は組織因子経路阻害物質2(TFPI2)タンパク質
又はその一部のいずれか1つ以上を高いレベルで
含み、
前記高いレベルとは、
非刺激間葉幹細胞集団によって作成された細胞外小胞に存在するレベルとの比較である分離精製細胞外小胞。
【請求項15】
myosin-1(MYH1)、myosin-2(MTH2)、myosin-7(MYH-7)、又は組織因子経路阻害物質2(TFPI2)のうちのいずれか2つ以上を高いレベルで含む請求項
14に記載の分離精製細胞外小胞。
【請求項16】
myosin-1(MYH1)、myosin-2(MTH2)、myosin-7(MYH-7)、及び組織因子経路阻害物質2(TFPI2)のうちの4つ全てを高いレベルで含む請求項
14又は
15のいずれかに記載の分離精製細胞外小胞。
【請求項17】
(a)請求項
14~16のいずれか一項に記載の分離精製細胞外小胞
と、(b)薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又はキャリアとを含む、組み合わせ。
【請求項18】
炎症性又は自己免疫の疾患を罹患した被験者の処置に使用される請求項
14~16のいずれか一項に記載の分離精製細胞外小胞
又は請求項17に記載の組み合わせ。
【請求項19】
薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又はキャリアをさらに含む、請求項
9に記載の
免疫学的に極性化された間葉幹細胞集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多能性幹細胞及び間葉幹細胞は、Toll様受容体の選択的刺激により、無投薬又は非刺激状態から炎症誘発(タイプ1)又は抗炎症(タイプ2)表現型に誘発可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本開示は、無投薬多能性幹細胞であり、いくつかの実施形態においては間葉幹細胞を炎症及び免疫を選択的促進又は抑制する個別の多能性タイプ1又はタイプ2の細胞表現型に誘発、活性化、又は起爆することを目的とした、新規の培養培地組成、幹細胞培養方法、及び治療方法を提供する。従って、本開示は、免疫系の炎症反応の変調が望ましい(例えば、癌、視神経炎)有用な処置を提供する。従来の方法と比べて、本発明において、細胞は、より効率的に病変部位に移動してより高いレベルで抗炎症サイトカインを一貫して発現する同質タイプ2集団に導入されてもよく、このため細胞の効能及び有効性がより高くなることが期待される。従来の方法と比べて、本発明において、細胞は、独自の炎症誘発特性を備えて、腫瘍壊死に繋がる或るサイトカインが一貫してより高く発現し、腫瘍内微小環境に効率的に移動する能力を備えた同質タイプ1集団に誘発されてもよく、このため細胞の安全性、効能、及び有効性がより高くなることが期待される。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、炎症及び免疫を選択的に促進又は抑制するために個別の均一な細胞表現型を導入、極性化、活性化、又は起爆することを目的とした新規の幹細胞培養及び治療方法と、培養培地組成とを提供し、細胞ベース治療において使用される既知の培養培地及び方法を上回る顕著な効果を提供する。当該方法及び培地組成は、細胞ベース治療のために使用可能であり、より均一且つ予測可能であり、生体外増殖され、誘発、極性化、活性化、又は起爆された多能性幹細胞の集団を提供するために使用可能である。本開示の種々の実施形態の効果は、患者への導入に際して、予測可能に挙動する均一且つ個別の表現型に多能性幹細胞の培養を誘発、極性化、活性化、又は起爆するために使用できることである。いくつかの実施形態において、多能性幹細胞は、間葉幹細胞である。
【0004】
本開示はまた、副産物を生じることを目的とした、新規の幹細胞培養、治療方法、及び培地組成の副産物も提供する。或る実施形態において、副産物は、本開示の新規の幹細胞培養方法及び組成を使用した多能性幹細胞によって作成された馴化媒質である。或る実施形態において、副産物は、本開示の新規の幹細胞培養方法及び組成を使用した多能性幹細胞によって作成された細胞外小胞である。いくつかの実施形態において、多能性幹細胞は、間葉幹細胞である。
【0005】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成するための培地であって、Toll様受容体3(TLR3)リガンドと、第2の誘発剤とを備え、第2の誘発剤は、異なるToll様受容体リガンド、神経伝達物質、神経伝達物質様分子、非エリスロポエチンポリペプチド、又は脂質を備える培地について記載する。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ヒスタミン、アセチルコリン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、エピネフリン、セロトニン、メラトニン、リポキシンA4、α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)、及びロイコトリエンB4からなるリストより選択される。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(I:C)、ポリ(A:U)、又はこれらの組み合わせを備える。或る実施形態において、当該培地は、i)低酸素条件、ii)低酸素模倣、iii)エリスロポエチン、又はiv)これらi)、ii)、又はiii)の任意の組み合わせをさらに備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルト、デスフェリオキサミン、又はこれらの組み合わせを備える。或る実施形態において、培地は、多能性幹細胞集団をさらに備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団を備える。或る実施形態において、当該培地は、非刺激多能性幹細胞集団に比してCXCL9mRNAの20倍超の誘発を生じる。或る実施形態において、当該培地は、非刺激多能性幹細胞集団に比して、miR-Let7a/d、miR-17_1、miR-222、miR-92a、及びmiR-1260aからなるリストより選択されるいずれか1つのmiRNAの2倍超の誘発を生じる。ある実施形態において、多能性幹細胞集団であって、当該培地から採取される。或る実施形態において、多能性細胞集団は、間葉細胞集団からなる。ある実施形態において、多能性細胞集団は、基本的に、間葉細胞集団からなる。ある実施形態において、多能性幹細胞集団は、炎症性又は自己免疫の疾患の処置において使用されるものである。或る実施形態において、炎症性又は自己免疫性の疾患を処置する方法であって、本段落に記載の培地から採取された免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を、治療効果のある量、被験者に投与することを備える。或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成する方法であって、非刺激多能性幹細胞集団を本段落に記載の培地に接触させることを備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉細胞集団を備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、基本的に、間葉細胞集団からなる。或る実施形態において、当該方法は、本段落に記載の免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を、治療効果のある量、被験者に投与することをさらに備える。本明細書に記載の或る実施形態において、細胞外小胞を作成する方法であって、非刺激多能性幹細胞集団を本段落に記載の培地に接触させることを備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団を備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、基本的に、間葉幹細胞集団からなる。或る実施形態において、細胞外小胞は、培地から分離及び/又は精製される。
【0006】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成する培地であって、Toll様受容体4(TLR4)リガンドである第1の誘発剤と、第2の誘発剤とを備え、第2の誘発剤は、第1の誘発剤とは異なるToll様受容体リガンド、神経伝達物質、神経伝達物質様分子、非エリスロポチンポリペプチド、又は脂質である培地について記載する。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ヒスタミン、アセチルコリン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、エピネフリン、セロトニン、メラトニン、リポキシンA4、αメラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)、及びロイコトリエンB4からなるリストより選択される。或る実施形態において、TLR4リガンドは、リポ多糖体、アミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェート、又はこれらの組み合わせを備える。或る実施形態において、当該培地は、i)低酸素条件、ii)低酸素模倣、iii)エリスロポエチン、又はiv)これらi)、ii)、又はiii)の任意の組み合わせをさらに備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルト、デスフェリオキサミン、又はこれらの組み合わせを備える。或る実施形態において、当該培地は、多能性幹細胞集団をさらに備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団を備える。或る実施形態において、培地は、非刺激多能性幹細胞集団に比してTNFSF10mRNAの20倍超の誘発を生じる。或る実施形態において、培地は、非刺激間葉幹細胞集団におけるよりも、miR-146、miR-155、miR-1305、miR-575、及びmiR-1973から選択されるいずれか1つのmiRNAを2倍超の誘発を生じる。本明細書のある実施形態において、多能性幹細胞集団であって、本段落に開示される当該培地から採取される。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団を備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、基本的に、間葉細胞集団からなる。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、腫瘍又は癌の処置に使用されるものである。本明細書の或る実施形態において、腫瘍又は癌の処置方法であって、本段落に開示される培地から採取された多能性幹細胞集団を、治療効果のある量、被験者に投与することを備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉細胞集団を備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、基本的に、間葉細胞集団からなる。本明細書の或る実施形態において、非刺激間葉幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成する方法であって、非刺激多能性幹細胞集団を本段落に開示される培地に接触させることを備える方法について記載する。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団を備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、基本的に、間葉幹細胞集団からなる。或る実施形態において、当該方法は、免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を、治療効果のある量、被験者に投与することをさらに備える。本明細書における或る実施形態において、細胞外小胞を作成する方法であって、多能性幹細胞集団を本段落に開示される培地に接触させることを備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団を備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、基本的に、間葉幹細胞集団からなる。或る実施形態において、細胞外小胞は、培地から分離及び/又は精製される。
【0007】
或る実施形態において、分離精製細胞外小胞であって、グルセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)、結合プラコグロビン(JUP)、デスモプラキン(DSP)、モエシン(MSN)、ビメンチン(VIM)、アクチン(ACTB)、又はアネキシンA2(ANXA2)タンパク質、又はこれらの複数の部分のうちのいずれか1つ以上を高いレベルで備え、高いレベルとは、無投薬非刺激間葉幹細胞にあるレベルとの比較である分離精製細胞外小胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該分離精製細胞外小胞は、グルセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)、結合プラコグロビン(JUP)、デスモプラキン(DSP)、モエシン(MSM)、ビメンチン(VIM)、アクチン(ACTB)、又はアネキシンA2(ANXA2)のうちのいずれか2つ以上を高いレベルで備える。或る実施形態において、当該分離精製細胞外小胞は、グルセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)、結合プラコグロビン(JUP)、デスモプラキン(DSP)、モエシン(MSN)、ビメンチン(VIM)、アクチン(ACTB)、及びアネキシンA2(ANXA2)のうちの7つ全てを高いレベルで備える。或る実施形態において、当該分離精製細胞外小胞は、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又はキャリアをさらに備える。或る実施形態において、当該分離精製細胞外小胞は、腫瘍又は癌を罹患した被験者の処置に使用されるものである。或る実施形態において、被験者の癌又は腫瘍を処置する方法であって、本段落に記載の分離精製細胞外小胞を、治療効果のある量、投与することを備える。
【0008】
或る実施形態において、分離精製細胞外小胞であって、myosin-1(MYH1)、myosin-2(MTH2)、myosin-7(MYH-7)、又は組織因子経路阻害物質2(TFPI2)タンパク質、又はこれらの複数の部分のうちのいずれか1つ以上を高いレベルで備え、高いレベルとは、無投薬非刺激間葉幹細胞にあるレベルとの比較である分離精製細胞外について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該分離精製細胞外小胞は、myosin-1(MYH1)、myosin-2(MTH2)、myosin-7(MYH-7)、又は組織因子経路阻害物質2(TFPI2)のうちのいずれか2つ以上を高いレベルで備える。或る実施形態において、当該分離精製細胞外小胞は、myosin-1(MYH1)、myosin-2(MTH2)、myosin-7(MYH-7)、及び組織因子経路阻害物質2(TFPI2)のうちの4つ全てを高いレベルで備える。或る実施形態において、当該分離精製細胞外小胞は、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又はキャリアから選択される非活性成分をさらに備える。或る実施形態において、分離精製細胞外小胞は、腫瘍又は癌を罹患した被験者の処置において使用されるものである。或る実施形態において、被験者の癌又は腫瘍を処置する方法であって、本段落に記載の分離精製細胞外小胞を、治療効果のある量、投与することを備える。
【0009】
ある実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成するための培地であって、第1及び第2の誘発剤を備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体3(TLR3)リガンドであり、第2の誘発剤は、第1の誘発剤とは異なるToll様受容体リガンド、神経伝達物質、神経伝達物質様分子、エリスロポエチンでないポリペプチド、又は脂質である培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ヒスタミンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、アセチルコリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、グルタミン酸塩である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ノルエピネフリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、エピネフリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、セロトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、メラトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、リポキシンA4である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、αメラニン細胞刺激ホルモンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ロイコトリエンB4である。ある実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(I:C)である。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(A:Uである)或る実施形態において、当該培地は、第3の誘発剤をさらに備え、第3の誘発剤は、低酸素条件、低酸素模倣、又はエリスロポエチンを備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。ある実施形態において、当該培地は、第4の誘発剤をさらに備え、第4の誘発剤は、第3の誘発剤とは異なり、低酸素条件、低酸素模倣、又はエリスロポエチンを備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。或る実施形態において、当該培地は、多能性幹細胞集団をさらに備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、非刺激多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、被刺激多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、被誘発多能性幹細胞である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、成人多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、ヒト多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、当該培地は、ヒト又は動物由来の血清を備えない。或る実施形態において、当該培地は、非刺激多能性幹細胞に比して被刺激幹細胞集団においてCXCL9mRNAの20倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、当該培地は、非刺激多能性幹細胞に比してCXCL9mRNAの30倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、当該培地は、非刺激多能性幹細胞に比してCXCL9mRNAの50倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、この段落に記載されている免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団は、関節リウマチの処置に使用されるものである。或る実施形態において、この段落に記載されている免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団は、糖尿病性神経障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、この段落に記載されている免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団は、クローン病の処置に使用されるものである。或る実施形態において、この段落に記載されている免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団は、急性肺障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、この段落に記載されている免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団は、多発性硬化症の処置に使用されるものである。或る実施形態において、この段落に記載されている免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団は、急性視神経炎の処置に使用されるものである。或る実施形態において、この段落に記載されている免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団は、クラッベ病の処置に使用されるものである。
【0010】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成するための培地であって、第1及び第2の誘発剤を備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体4(TLR4)リガンドであり、第2に誘発剤は、第1の誘発剤とは異なるToll様受容体リガンド、神経伝達物質、神経伝達物質様分子、エリスロポエチンでないポリペプチド、又は脂質である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ヒスタミンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、アセチルコリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、グルタミン酸塩である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ノルエピネフリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、エピネフリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、セロトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、メラトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、リポキシンA4である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、αメラニン細胞刺激ホルモンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ロイコトリエンB4である。或る実施形態において、TLR4リガンドは、LPSである。或る実施形態において、TLR4リガンドは、アミノアルキルグルコサミニド-4-ホスフェートである。或る実施形態において、当該培地は、第3の誘発剤をさらに備え、第3の誘発剤は、低酸素条件、低酸素模倣、又はエリスロポエチンを備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。或る実施形態において、当該培地は、第4の誘発剤をさらに備え、第4の誘発剤は、第3の誘発剤とは異なり、低酸素条件、低酸素模倣、エリスロポエチンを備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。或る実施形態において、当該培地は、多能性幹細胞集団をさらに備える。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、非刺激多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、被刺激多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、被誘発多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、成人多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、ヒト多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、当該培地は、ヒト又は動物由来の血清を備えない。或る実施形態において、当該培地は、被刺激多能性幹細胞に比して被刺激幹細胞集団においてTNFSF10mRNAの20倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、当該培地は、非刺激多能性幹細胞に比してTNFSF10mRNAの30倍超の誘発を生じることができる。当該培地は、非刺激多能性幹細胞に比してTNFSF10mRNAの50倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、この段落に記載されている免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団は、卵巣癌の処置に使用されるものである。ある実施形態において、この段落に記載されている免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団は、乳癌の処置に使用されるものである。
【0011】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成する方法であって、非刺激多能性幹細胞集団を、第1及び第2の誘発剤を備える培地に接触させることを備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体3(TLR3)リガンドであり、第2の誘発剤は、神経伝達物質、エリスロポエチンでないポリペプチド、又は脂質である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ヒスタミンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、アセチルコリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、グルタミン酸塩である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ノルエピネフリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、エピネフリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、セロトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、メラトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、リポキシンA4である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、αメラニン細胞刺激ホルモンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ロイコトリエンB4である。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(I:C)である。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(A:U)である。或る実施形態において、当該培地は、第3の誘発剤をさらに備え、第3の誘発剤は、低酸素条件、低酸素模倣、エリスロポエチン、又はこれらの任意の組み合わせを備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。或る実施形態において、当該培地は、第4の誘発剤をさらに備え、第4の誘発剤は、第3の誘発剤とは異なり、低酸素条件、低酸素模倣、エリスロポエチン、又はこれらの任意の組み合わせを備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、被誘発多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、成人多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、ヒト多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、当該培地は、ヒト又は動物由来の血清を備えない。或る実施形態において、当該方法は、非刺激多能性幹細胞集団に比して被刺激幹細胞集団においてCXCL9mRNAの20倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、当該方法は、非刺激多能性幹細胞集団に比してCXCL9mRNAの30倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、当該方法は、当該培地は、非刺激多能性幹細胞集団に比してCXCL9mRNAの50倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、前述の方法で作成される極性化多能性幹細胞集団について本明細書に記載する。或る実施形態において、前述の方法で作成される極性化多能性幹細胞集団は、関節リウマチの処置に使用されるものである。或る実施形態において、前述の方法で作成される極性化多能性幹細胞集団は、糖尿病性神経障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、前述の方法で作成される極性化多能性幹細胞集団は、クローン病の処置に使用されるものである。或る実施形態において、前述の方法で作成される多能性幹細胞集団は、急性肺障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、前述の方法で作成される極性化多能性幹細胞集団は、多発性硬化症の処置に使用されるものである。或る実施形態において、前述の方法で作成される極性化多能性幹細胞集団は、急性視神経炎の処置に使用されるものである。或る実施形態において、前述の方法で作成される極性化多能性幹細胞集団は、クラッベ病の処置に使用されるものである。
【0012】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成する方法であって、非刺激多能性幹細胞集団を、第1及び第2の誘発剤を備える培地に接触させることを備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体4(TLR4)リガンドであり、第2の誘発剤は、神経伝達物質、エリスロポエチンでないポリペプチド、又は脂質である方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ヒスタミンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、アセチルコリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、グルタミン酸塩である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ノルエピネフリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、エピネフリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、セロトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、メラトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、リポキシンA4である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、αメラニン細胞刺激ホルモンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ロイコトリエンB4である。或る実施形態において、TLR4リガンドは、LPSである。或る実施形態において、TLR4リガンドは、アミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェートである。或る実施形態において、当該培地は、第3の誘発剤をさらに備え、第3の誘発剤は、低酸素条件、再酸素模倣、エリスロポエチン、又はこれらの任意の組み合わせを備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。或る実施形態において、当該培地は、第4の誘発剤をさらに備え、第4の誘発剤は、第3の誘発剤とは異なり、低酸素条件、低酸素模倣、エリスロポエチン、又はこれらの任意の組み合わせを備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、被誘発多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、成人多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、ヒト多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、当該培地は、ヒト又は動物由来の血清を備えない。或る実施形態において、当該方法は、非刺激多能性幹細胞集団に比して被刺激幹細胞集団においてTNFSF10mRNAの20倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、当該方法は、非刺激多能性幹細胞集団に比してTNFSF10mRNAの30倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、当該方法は、非刺激多能性幹細胞集団に比してTNFSF10mRNAの50倍超の誘発を生じることができる。或る実施形態において、前述の方法によって作成される極性化多能性幹細胞集団について本明細書に記載する。或る実施形態において、前述の方法で作成された極性化多能性幹細胞集団は、卵巣癌の処置に使用されるものである。或る実施形態において、前述の方法で作成された極性化多能性幹細胞集団は、乳癌の処置に使用されるものである。
【0013】
或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団から分泌された因子について本明細書に記載する。或る実施形態において、因子は、被刺激多能性幹細胞に接触した培地から分離されたものである。或る実施形態において、分離方法は、遠心分離、抽出、析出、ろ過、及び凍結のうちのいずれか1つ以上を備える。或る実施形態において、因子は、炎症誘発である。或る実施形態において、因子は、抗炎症である。或る実施形態において、因子は、細胞外小胞である。或る実施形態において、因子は、サイトカインである。或る実施形態において、因子は、ケモカインである。或る実施形態において、因子は、miRNAである。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、Toll様受容体3(TLR3)で刺激されたものである。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(I:C)である。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(A:U)である。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、Toll様受容体4(TLR4)で刺激されたものである。或る実施形態において、TLR4リガンドは、リポ多糖体である。或る実施形態において、TLR4リガンドは、アミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェートである。或る実施形態において、誘発剤は、低酸素条件又は低酸素模倣である。或る実施形態において、低酸素条件は、低酸素模倣である。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、エリスロポエチンで刺激されたものである。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、ヒスタミンで刺激されたものである。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、アセチルコリンで刺激されたものである。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、グルタミン酸塩で刺激されたものである。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、エピネフリンで刺激されたものである。或る実施形態は、被刺激多能性幹細胞集団は、セロトニンで刺激されたものである。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、リポキシンA4で刺激されたものである。或る実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、αメラニン細胞刺激ホルモンで刺激されたものである。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、ロイコトリエンB4で刺激されたものである。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、ヒト又は動物由来の血清を伴うことなく刺激されたものである。或る実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、被誘発多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、成人多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、ヒト多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団は、間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、タイプ1間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、タイプ1間葉幹細胞集団は、非刺激間葉幹細胞集団に比して高いレベルでTNFSF10mRNAを発現する。或る実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、タイプ2間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、タイプ2間葉幹細胞集団は、非刺激間葉幹細胞集団に比して高いレベルでCXCL9mRNAを発現する。或る実施形態において、因子は、関節リウマチの処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、糖尿病性神経障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、クローン病の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、急性肺障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、多発性硬化症の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、急性視神経炎の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、クラッベ病の処置に使用される処置方法において使用されるものである。
【0014】
或る実施形態において、TLR4リガンドを備える培地で刺激された間葉幹細胞集団から分泌された細胞外小胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該培地は、エリスロポエチン及び低酸素条件又は低酸素模倣を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、卵巣癌の処置に使用されるものである。或る実施形態において、細胞外小胞は、乳癌の処置に使用されるものである。
【0015】
或る実施形態において、TLR3リガンドを備える培地で刺激された間葉幹細胞集団から分泌された細胞外小胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該培地は、エリスロポエチン及び低酸素条件又は低酸素模倣を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、関節リウマチの処置に使用されるものである。或る実施形態において、細胞外小胞は、糖尿病性神経障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、細胞外小胞は、クローン病の処置に使用されるものである。或る実施形態において、細胞外小胞は、急性肺障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、細胞外小胞は、多発性硬化症の処置に使用されるものである。或る実施形態において、細胞外小胞は、急性視神経炎の処置に使用されるものである。或る実施形態において、細胞外小胞は、クラッベ病の処置に使用されるものである。
【0016】
或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団から分泌された因子を作成する方法であって、非刺激多能性幹細胞集団を誘発剤を備えた培地に接触させることと、非刺激多能性幹細胞集団で培地を培養することと、培地を採取することとを備え、培地で培養することにより、非刺激多能性幹細胞集団から被刺激多能性幹細胞集団を作成し、結果として、被刺激多能性幹細胞集団から少なくとも1つの因子の分泌を生じる方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該方法は、更に培地から因子を分離することを備える。或る実施形態において、分離することは、遠心分離、抽出、析出、ろ過、及び凍結のうちのいずれか1つ以上を備える。或る実施形態において、因子は、炎症誘発である。或る実施形態において、因子は、抗炎症である。或る実施形態において、因子は、細胞外小胞である。或る実施形態において、因子は、サイトカインである。或る実施形態において、因子は、ケモカインである。或る実施形態において、因子は、miRNAである。或る実施形態において、誘発剤は、Toll様受容体3(TLR3)リガンドである。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(I:C)である。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(A:U)である。或る実施形態において、誘発剤は、Toll様受容体4(TLR4)リガンドである。或る実施形態において、TLR4リガンドは、リポ多糖である。或る実施形態において、TLR4リガンドは、アミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェートである。或る実施形態において、誘発剤は、低酸素条件又は低酸素模倣である。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトである。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンである。或る実施形態において、誘発剤は、エリスロポエチンである。或る実施形態において、誘発剤は、ヒスタミンである。或る実施形態において、誘発剤は、アセチルコリンである。或る実施形態において、誘発剤は、グルタミン酸塩である。或る実施形態において、誘発剤は、エピネフリンである。或る実施形態において、誘発剤は、セロトニンである。或る実施形態において、誘発剤は、リポキシンA4である。或る実施形態において、誘発剤は、メラニン裁縫刺激ホルモンである。或る実施形態において、誘発剤は、ロイコトリエンB4である。或る実施形態において、当該培地は、ヒト又は動物由来の血清を含有しない。或る実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、被誘発多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、成人多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、ヒト多能性幹細胞集団である。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞は、間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、被刺激多能性細胞は、タイプ1間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、タイプ1間葉幹細胞集団は、非刺激間葉幹細胞集団より高いレベルでTNFSF10mRNAを発現する。ある実施形態において、被刺激多能性細胞集団は、タイプ2間葉幹細胞集団である。或る実施形態において、タイプ2間葉幹細胞集団は、非刺激間葉幹細胞集団より高いレベルでCXCL9を発現する。或る実施形態において、因子は、卵巣癌の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、乳癌の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、関節リウマチの処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、糖尿病性神経障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、クローン病の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、急性肺障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、多発性硬化症の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、急性視神経炎の処置に使用されるものである。或る実施形態において、因子は、クラッベ病の処置に使用されるものである。
【0017】
或る実施形態において、間葉幹細胞集団から分泌された細胞外用法を作成する方法であって、非刺激間葉幹細胞集団をTLR4リガンドを備えた培地に接触させることと、培地を非刺激間葉幹細胞集団で培養することと、培地を採取することとを備え、培地で培養することで、非刺激間葉幹細胞集団から被刺激間葉幹細胞集団を作成し、結果として、被刺激間葉幹細胞集団から少なくとも1つの細胞外小胞の分泌を生じる。或る実施形態において、当該培地は、エリスロポエチン及び低酸素条件又は低酸素模倣を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、卵巣癌の処置に使用されるものである。
【0018】
或る実施形態において、間葉幹細胞集団から分泌された細胞外小胞を作成する方法であって、非刺激間葉幹細胞集団をTLR3リガンドを備えた培地に接触させることと、培地を非刺激間葉幹細胞集団で培養することと、培地を採取することとを備え、培地で培養することにより、非刺激間葉幹細胞集団から被刺激間葉幹細胞集団を作成し、結果として、被刺激間葉幹細胞集団から少なくとも1つの細胞外小胞の分泌を生じる方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該培地は、エリスロポエチン及び低酸素条件又は低酸素模倣を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、関節リウマチの処置に使用されるものである。或る実施形態において、細胞外小胞は、糖尿病性神経障害の処置に使用されるものである。或る実施形態において、細胞外小胞は、クローン病の処置に使用される。或る実施形態において、細胞外小胞は、急性肺障害の処置において使用される。或る実施形態において、細胞外小胞は、多発性硬化症の処置において使用される。或る実施形態において、細胞外小胞は、急性視神経炎の処置において使用される。或る実施形態において、細胞外小胞は、クラッベ病の処置において使用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】MyD88依存性Toll様受容体経路を示す。
【
図2】細胞外小胞及び分泌因子を使用した、本明細書に記載の治療方法の概略フローチャートを示す。
【
図3A】TLR3との組み合わせによる誘発剤の刺激に応じた間葉幹細胞によるCXCL9mRNA発現の誘発を示す。
【
図3B】TLR3との組み合わせによる誘発剤の刺激に応じた間葉幹細胞によるCXCL9mRNA発現の誘発を示す。
【
図4A】TLR4との組み合わせによる誘発剤の刺激に応じた間葉幹細胞によるTNFSF10(TRAILとしても既知である)mRNA発現を示す。
【
図4B】TLR4との組み合わせによる誘発剤の刺激に応じた間葉幹細胞によるTNFSF10(TRAILとしても既知である)mRNA発現を示す。
【
図5A】TLR4で誘発された間葉幹細胞内のmiRNAの誘発又は減少を示す。
【
図5B】TLR3で誘発された間葉幹細胞内のmiRNAの誘発又は減少を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に記載の方法は、炎症誘発又は抗炎症の特性のいずれかを持つように多能性幹細胞を誘発するのに有用である。Toll様受容体(TLR)結合(炎症誘発特性に対してはTLR4、抗炎症特性に対してはTLR3)と第2の薬剤との組み合わせにより、TLR結合を単独で使用した場合より強い表現型を生じる。このようなより強い表現型(炎症誘発又は抗炎症のいずれか)は、治療上、有用である。例えば、炎症誘発多能性幹細胞は、新生物(腫瘍又は癌等)との戦いに効用を有し、抗炎症多能性幹細胞は、炎症性又は自己免疫の障害との戦いに効用を有する。
【0021】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成するための培地であって、第1及び第2の誘発剤を備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体3(TLR3)リガンドであり、第2の誘発剤は、第1の誘発剤とは異なるToll様受容体リガンド、神経伝達物質、神経伝達物質様分子、エリスロポエチンでないポリペプチド、又は脂質である培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成する培地であって、第1及び第2の誘発剤を備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体4(TLR4)リガンドであり、第2の誘発剤は、第1の誘発剤とは異なるToll様受容体リガンド、神経伝達物質、神経伝達物質様分子、エリスロポエチンでないポリペプチド、又は脂質である培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成する方法であって、非刺激多能性幹細胞集団を第1及び第2の誘発剤を備えた培地に接触させることを備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体3(TLR3)リガンドであり、第2の誘発剤は、神経伝達物質、エリスロポエチンでないポリペプチド、又は脂質である方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成する方法であって、非刺激多能性幹細胞集団を第1及び第2の誘発剤を備えた培地に接触させることを備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体4(TLR4)リガンドであり、第2の誘発剤は、神経伝達物質、エリスロポエチンでないポリペプチド、又は脂質である方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団から分泌された因子について本明細書に記載する。或る実施形態において、TLR4リガンドを備えた培地で刺激された間葉幹細胞集団から分泌された細胞外小胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、TLR3リガンドを備えた培地で刺激された間葉幹細胞集団から分泌された細胞外小胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該培地は、エリスロポエチン及び低酸素条件又は低酸素模倣を備える。或る実施形態において、被刺激多能性幹細胞集団から分泌された因子を作成するための方法であって、非刺激多能性幹細胞集団を誘発剤を備えた培地に接触させることと、非刺激多能性幹細胞集団で培地を培養することと、培地を採取することとを備え、培地で培養することにより、非刺激多能性幹細胞集団から被刺激多能性幹細胞集団を作成し、結果として、被刺激多能性幹細胞集団から少なくとも1つの因子の分泌を生じる方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、間葉幹細胞集団から分泌された細胞外小胞を作成するための方法であって、非刺激間葉幹細胞集団をTLR4リガンドを備えた培地に接触させることと、非刺激間葉幹細胞集団で培地を培養することと、培地を採取することとを備え、培地で培養することにより、非刺激間葉幹細胞集団から被刺激観桜間葉幹細胞集団を作成し、結果として、被刺激間葉幹細胞集団から少なくとも1つの細胞外小胞の分泌を生じる方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、間葉幹細胞集団から分泌された細胞外小胞を作成するための方法であって、非刺激間葉幹細胞集団をTLR3リガンドを備えた培地に接触させることと、非刺激間葉幹細胞集団で培地を培養することと、培地を採取することとを備え、培地で培養することにより、非刺激間葉幹細胞集団から被刺激間葉幹細胞集団を作成し、結果として、被刺激間葉幹細胞集団から少なくとも1つの細胞外小胞の分泌を生じる方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該培地は、エリスロポエチン及び低酸素条件又は低酸素模倣を備える。
<特定の定義>
【0022】
規定のない限り、本明細書において使用されるすべての技術的用語は、本発明の属する技術分野において通常の技術を有する当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書及び添付の請求書において使用される通り、単数形の不定冠詞及び定冠詞は、文脈上明記のない限り、複数の参照も含む。本明細書中の「又は」という任意の参照は、言及のない限り、「及び/又は」を包含することが意図されるものである。
【0023】
本明細書において使用される通り、指摘のない限り、「約」という用語は、言及された量に近い量を言うものであり、例えば、10%、5%、又は1%に収まる量を言うものである。
【0024】
「多能性幹細胞」という用語は、多数の異なるタイプの細胞を生じることのできる細胞を意味する。「間葉幹細胞」という用語は、元来、間充組織に由来する幹細胞を意味する。この用語は、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、又は筋細胞のうちの少なくとも2つ以上に分化可能な細胞をいう。間葉幹細胞(MSC)は、成人組織の任意のタイプから分離される。一般的に、間葉幹細胞は、骨髄、脂肪組織、臍帯、又は抹消血から分離される。好適な態様において、MSCは、骨髄又は脂肪組織から得られる吸引脂肪組織より得られる。「多能性」又は「多分化能性」という用語はまた、多能性幹細胞、被誘発多分化能性幹細胞、又は任意の化学的又は遺伝学的手段を使用して多分化能性ステージに誘発された細胞を包含する。或る実施形態において、本開示の多能性又は多分化能性幹細胞は、間葉幹細胞である。
【0025】
「生物学的活性」という用語は、転写、翻訳、リン酸化反応又はアセチル化又は分解等の翻訳後タンパク質修飾、分泌、細胞分裂、アポトーシス、又は細胞運動性のうちの1つ以上を言う。生物学的活性を誘発する物質は、これらの生物学的活性のいずれかを増減するであろう。
【0026】
本明細書に記載の多能性及び間葉幹細胞を参照した「集団」という用語は、分子的に同一であるか、又は高度に類似した複数の細胞を言う。集団は、ヒト組織から分離されるか、又は培養で増殖可能である。本明細書において提供される任意の集団は、多能性幹細胞又は間葉幹細胞等の言及された細胞から「基本的になる」ものとすることができる。本明細書において使用される通り、「基本的になる」とは、細胞集団が細胞組成の観点から略純粋であることを意味する。例えば、細胞は、約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%超純粋とすることができる。
【0027】
「細胞治療」又は「細胞ベース治療」という用語は、損傷を受けた組織又は器官の置換又は修復、免疫反応の調節、及び炎症性症候及び癌の減少等を非限定的に含む疾患又は障害に関連付けられた1つ以上の症候を予防、処置、又は改善するための、ヒト又は動物の細胞の移植を意味する。細胞治療は、誘発培地から採取された多能性又は間葉の幹細胞を、治療効果のある量、投与することによって達成することができる。
【0028】
「被験者」という用語は、動物、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、又はマウス)又は霊長類(例えば、サル又はヒト)を含む哺乳類を言う。或る実施形態において、被験者は、ヒトである。
【0029】
「低酸素条件」又は「低酸素」という用語は、約11%の通常の生理学的酸素レベルに比較して酸素欠乏した疾患の下、細胞又は培地を培養することを言う。
【0030】
「処置する」「処置」及び「処置すること」という用語は、患者又は被験者を参照して直接使用するとき、任意の癌、任意の腫瘍又は新生物、炎症性障害、自己免疫疾患、又は移植器官及び組織の拒絶を含む免疫を介した疾患を非限定的に含む障害に関連付けられた1つ以上の症候を改善することを言い、ここでの改善は、本発明によって産出された免疫調節(すなわち、免疫学的に極性化された)細胞又は本発明によって産出された免疫調節細胞を備えた薬剤組成を、このような処置を必要とする被験者に投与した結果として達成される。
【0031】
「非刺激」又は「無投薬」という用語は、本開示の方法による処置、極性化、又は誘発の施されていない細胞集団を言う。フレッシュ又は凍結された初代分離間葉幹細胞は、非刺激又は無投薬と考えられる。Toll様受容体リガンド、エリスロポエチン、低酸素、又は低酸素模倣のうちの少なくとも1つを欠いた化合物又は組成で既に処置された細胞は、非刺激と考えられる。
【0032】
「自己免疫障害」という用語は、被験者の免疫反応によって自身の細胞、組織、及び/又は器官に生じさせられた細胞、組織、及び/又は器官の損傷によって特徴づけられる、被験者の疾患を言う。
【0033】
「炎症性疾患」という用語は、免疫細胞の活性化の強化、サイトカイン、ケモカイン、又は免疫細胞の活性又は補充を引き起こすその他の因子の分泌を特徴とする疾患を言う。
【0034】
「細胞外小胞」という用語は、血液、リンパ液、尿、唾液、及び細胞培養の病変培地を含む真核流体に存在する細胞由来小胞を言う。これらの細胞外小胞は、細胞エンドソーム及び原形質膜に由来し、DNA、RNA(miRNAを含む)、タンパク質、ポリペプチド、脂質、及び小分子を備えることができる。細胞外小胞は、細胞由来の小さな小胞であり、エキソソーム、微小小胞、及びアポトーシス小体を含む。或る実施形態において、細胞外小胞は、エキソソームを備えるか、エキソソームからなるか、基本的にエキソソームからなる。
【0035】
或る実施形態において、本明細書に記載の主題の方法及び組成は、疾患の処置に使用されるものである。或る実施形態において、本明細書に記載の主題の方法及び組成は、ヒトの疾患の処置に使用されるものである。或る実施形態において、本明細書に記載の主題の方法及び組成は、家畜の疾患の処置に使用されるものである。或る実施形態において、本明細書に記載の主題の方法及び組成は、ヒト以外の動物の処置に使用されるものである。或る実施形態において、ヒト以外の動物は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、又はヤギである。
<培地>
【0036】
或る実施形態において、本明細書に記載の培地は、ヒト又はその他の動物由来の細胞、幹細胞、多能性幹細胞、間葉幹細胞の培養に使用されるものである。或る実施形態において、本明細書に記載の培地は、ヒト又はその他の動物由来の細胞、幹細胞、多能性幹細胞、又は間葉幹細胞における個別の表現型の作成に使用されるものである。或る実施形態において、本明細書に記載の培地は、本明細書において具体的に記載された成分に加え、細胞培養のための標準培地成分を備える。例えば、或る非限定的実施形態において、培地は、ビタミン、ミネラル、塩分、糖分、アミノ酸、ピルビン酸、ホルモン、ヒト血清、ウシ胎児血清、ウシ胎仔血清、脂質、タンパク質、染料、pH緩衝剤、及びこれらの組み合わせを備える。或る実施形態において、当該培地は、濃縮培養サプリメントである。或る実施形態において、当該培地は、少なくとも2倍の濃縮である。或る実施形態において、当該培地は、少なくとも10倍の濃縮である。或る実施形態において、当該培地は、少なくとも100倍の濃縮である。或る実施形態において、当該培地は、非限定的な例として、水等の任意の好適な水性溶媒の添加によってもどされた乾燥粉末製剤である。或る実施形態において、当該培地は、殺菌される。或る実施形態において、当該培地は、任意の好適な容器にパッケージ化されて供給される。或る実施形態において、当該培地は、殺菌ろ過される。或る実施形態において、当該培地は、非限定的な例として、MEM、DMEM、又はRPMI等の標準培養培地の製剤を含有することができる。或る実施形態において、当該培地は、ヒト又はその他の動物由来の血清を備えない。
<TLR4リガンド>
【0037】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成するための培地であって、第1及び第2の誘発剤を備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体(TLR)リガンドを備え、第2の誘発剤は、生物学的活性を有する分子を備える培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、TLRリガンドは、Toll様受容体4(TLR4)リガンドを備える。或る実施形態において、TLR4リガンドは、リポ多糖体を備える。或る実施形態において、TLR4リガンドは、アミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェートを備える。或る実施形態において、TLR4リガンドは、約10pg/mLから約10μg/mL、約100pg/mLから約10μg/mL、約1ng/mLから約1μg/mL、約5ng/mLから約1μg/mL、約10ng/mLから約1μg/mL、約100ng/mLから約1μg/mL、約5ng/mLから約50ng/mL、又は約5ng/mLから約25ng/mLの濃度である。或る実施形態において、TLR4リガンドは、少なくとも10pg/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、少なくとも100pg/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、少なくとも1ng/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、少なくとも10ng/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、少なくとも100ng/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、少なくとも1μg/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、少なくとも10μg/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、1g/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、100mg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、10mg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、1mg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、500μg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、200μg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR4リガンドは、100μg/mL未満の濃度で存在する。
<TLR3リガンド>
【0038】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成するための培地であって、第1及び第2の誘発剤を備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体(TLR)リガンドを備え、第2に誘発剤は、生物学的活性を有する分子を備える培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、TLRリガンドは、Toll様受容体3(TLR3)リガンドを備える。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(I:C)を備える。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(A:U)を備える。或る実施形態において、TLR3リガンドは、約10pg/mLから約100μg/mL、約100pg/mLから約100μg/mL、約1ng/mLから約100μg/mL、約5ng/mLから約100μg/mL、約10ng/mLから約100μg/mL、約100ng/mLから約100μg/mL、約0.1μg/mLから約50μg/mL、約0.1μg/mLから約10μg/mL、約0.25μg/mLから約7.5μg/mL、約0.5μg/mLから約5μg/mL、約1μg/mLから約2.5μg/mL、又は約1μg/mLから約1.5μg/mLの濃度である。或る実施形態において、TLR3リガンドは、少なくとも10pg/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、少なくとも100pg/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、少なくとも1ng/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、少なくとも10ng/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、少なくとも100ng/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、少なくとも1μg/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、少なくとも10μg/mLの濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、1g/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、100mg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、10mg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、1mg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、500μg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、200μg/mL未満の濃度で存在する。或る実施形態において、TLR3リガンドは、100μg/mL未満の濃度で存在する。
<追加の薬剤>
【0039】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成するための培地であって、第1及び第2の誘発剤を備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体(TLR)リガンドを備え、第2の誘発剤は、生物学的活性を有する分子を備える培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、
図1を参照すると、第2の誘発剤は、TLRシグナリング経路の阻害物質又は活性物質を備える。或る実施形態において、TLRリガンドは、Toll様受容体3(TLR3)リガンドを備える。或る実施形態において、TLRリガンドは、Toll様受容体4(TLR4)リガンドを備える。或る実施形態において、第2の誘発剤は、生物学的活性を有する分子を備える。或る実施形態において、第2の誘発剤は、第1の誘発剤とは異なるToll様受容体リガンド、神経伝達物質、死刑伝達物質様分子、小分子、ポリペプチド、又は脂質である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、アセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの任意の組み合わせより選択される。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ヒスタミンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、アセチルコリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、αメラニン細胞刺激ホルモンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、グルタミン酸塩である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ノルエピネフリンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、エピネフリンである。或る実施形態において、第二の誘発剤は、セロトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、メラトニンである。或る実施形態において、第2の誘発剤は、リポキシンA4である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、リポキシンB4である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、ロイコトリエンB4である。或る実施形態において、第2の誘発剤は、エリスロポエチンでない。或る実施形態において、第2の誘発剤は、低酸素条件又は低酸素模倣でない。或る実施形態において、第2の誘発剤は、塩化コバルトでない。或る実施形態において、第2の誘発剤は、デスフェリオキサミンでない。或る実施形態において、ヒスタミン、アセチルコリン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、エピネフリン、セロトニン、メラトニン、リポキシンA4、αメラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)、及びロイコトリエンB4はすべて、MCS2誘発の増加又は増強に有用である。或る実施形態において、ヒスタミン、アセチルコリン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、エピネフリン、セロトニン、メラトニン、リポキシンA4、αメラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)、及びロイコトリエンB4はすべて、MSC1誘発の増加又は増強に有用である。或る実施形態において、アセチルコリン、グルタミン酸塩、及びリポキシンA4は、MSC2誘発の増加又は増強に有用である。或る実施形態において、セロトニン、メラトニン、リポキシンA4、及びロイコトリエンB4は、MSC1誘発の増加又は増強に有用である。
<アセチルコリン(AcH)>
【0040】
或る実施形態において、第2の誘発剤は、アセチルコリンを備える。或る実施形態において、AcHの濃度は、約1ナノモルから約100マイクロモルである。或る実施形態において、AcHの濃度は、少なくとも1ナノモルである。或る実施形態において、AcHの濃度は、少なくとも10ナノモルである。或る実施形態において、AcHの濃度は、少なくとも100ナノモルである。或る実施形態において、AcHの濃度は、少なくとも1マイクロモルである。或る実施形態において、AcHの濃度は、少なくとも10マイクロモルである。或る実施形態において、AcHの濃度は、100マイクロモル未満である。或る実施形態において、AcHの濃度は、10マイクロモル未満である。或る実施形態において、AcHの濃度は、1マイクロモル未満である。或る実施形態において、AcHの濃度は、100ナノモル未満である。或る実施形態において、AcHの濃度は、10ナノモル未満である。
<αメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)>
【0041】
或る実施形態において、第2の誘発剤は、αメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)を備える。或る実施形態において、MSHの濃度は、約100ピコモルから約100ナノモルである。或る実施形態において、MSHの濃度は、少なくとも100ピコモルである。或る実施形態において、MSHの濃度は、少なくとも1ナノモルである。或る実施形態において、MSHの濃度は、少なくとも10ナノモルである。或る実施形態において、MSHの濃度は、100ナノモル未満である。或る実施形態において、MSHの濃度は、1ナノモル未満である。
<メラトニン(MEL)>
【0042】
或る実施形態において、第2の誘発剤は、メラトニン(MEL)を備える。或る実施形態において、MELの濃度は、約1ナノモルから約100マイクロモルである。或る実施形態において、MELの濃度は、少なくとも1ナノモルである。或る実施形態において、MELの濃度は、少なくとも10ナノモルである。或る実施形態において、MELの濃度は、少なくとも100ナノモルである。或る実施形態において、MELの濃度は、少なくとも1マイクロモルである。或る実施形態において、MELの濃度は、少なくとも10マイクロモルである。或る実施形態において、MELの濃度は、100マイクロモル未満である。或る実施形態において、MELの濃度は、100マイクロモル未満である。或る実施形態において、MELの濃度は、10マイクロモル未満である。或る実施形態において、MELの濃度は、1マイクロモル未満である。或る実施形態において、MELの濃度は、100ナノモル未満である。或る実施形態において、MELの濃度は、10ナノモル未満である。
<セロトニン(5-HT)>
【0043】
或る実施形態において、第2の誘発剤は、セロトニン(5-HT)を備える。或る実施形態において、5-HTの濃度は、約100ピコモルから約100マイクロモルである。或る実施形態において、5-HTの濃度は、少なくとも100ピコモルである。或る実施形態において、5-HTの濃度は、少なくとも1ナノモルである。或る実施形態において、5-HTの濃度は、少なくとも10ナノモルである。或る実施形態において、5-HTの濃度は、少なくとも100ナノモルである。或る実施形態において、5-HTの濃度は、少なくとも1マイクロモルである。或る実施形態において、5-HTの濃度は、少なくとも10マイクロモルである。或る実施形態において、5-HTの濃度は、100マイクロモル未満である。或る実施形態において、5-HTの濃度は、10マイクロモル未満である。或る実施形態において、5-HTの濃度は、1マイクロモル未満である。或る実施形態において、5-HTの濃度は、100ナノモル未満である。或る実施形態において、5-HTの濃度は、10ナノモル未満である。或る実施形態において、5-HTの濃度は、1ナノモル未満である。
<グルタミン酸塩(GLU)>
【0044】
或る実施形態において、第2の誘発剤は、グルタミン酸塩(GLU)を備える。或る実施形態において、GLUの濃度は、約10ナノモルから約1ミリモルである。或る実施形態において、GLUの濃度は、少なくとも10ナノモルである。或る実施形態において、GLUの濃度は、少なくとも100ナノモルである。或る実施形態において、GLUの濃度は、少なくとも1マイクロモルである。或る実施形態において、GLUの濃度は、少なくとも10マイクロモルである。或る実施形態において、GLUの濃度は、少なくとも100マイクロモルである。或る実施形態において、GLUの濃度は、1ミリモル未満である。或る実施形態において、GLUの濃度は、100マイクロモル未満である。或る実施形態において、GLUの濃度は、10マイクロモル未満である。或る実施形態において、GLUの濃度は、1マイクロモル未満である。或る実施形態において、GLUの濃度は、100ナノモル未満である。
<ノリエピネフリン(NEPI)>
【0045】
或る実施形態において、第2の誘発剤は、ノルエピネフリン(NEPI)を備える。或る実施形態において、NEPIの濃度は、約100ピコモルから約100ナノモルである。或る実施形態において、NEPIの濃度は、少なくとも100ピコモルである。或る実施形態において、NEPIの濃度は、少なくとも1ナノモルである。或る実施形態において、NEPIの濃度は、少なくとも10ナノモルである。或る実施形態において、NEPIの濃度は、100ナノモル未満である。或る実施形態において、NEPIの濃度は、10ナノモル未満である。或る実施形態において、NEPIの濃度は、1ナノモル未満である。
<ヒスタミン(HIS)>
【0046】
或る実施形態において、第2の誘発剤は、ヒスタミン(HIS)を備える。或る実施形態において、HISの濃度は、約10ナノモルから約1ミリモルである。或る実施形態において、HISの濃度は、少なくとも10ナノモルである。或る実施形態において、HISの濃度は、少なくとも100ナノモルである。或る実施形態において、HISの濃度は、少なくとも1マイクロモルである。或る実施形態において、HISの濃度は、少なくとも10マイクロモルである。或る実施形態において、HISの濃度は、少なくとも100マイクロモルである。或る実施形態において、HISの濃度は、1ミリモル未満である。或る実施形態において、HISの濃度は、100マイクロモル未満である。或る実施形態において、HISの濃度は、10マイクロモル未満である。或る実施形態において、HISの濃度は、1マイクロモル未満である。或る実施形態において、HISの濃度は、100ナノモル未満である。
<リポキシンA4(LXA4)>
【0047】
或る実施形態において、第2の誘発剤は、リポキシンA4(LXA4)を備える。或る実施形態において、LXA4の濃度は、約100ピコモルから約1ミリモルである。或る実施形態において、LXA4の濃度は、少なくとも100ピコモルである。或る実施形態において、LXA4の濃度は、少なくとも1ナノモルである。或る実施形態において、LXA4の濃度は、少なくとも10ナノモルである。或る実施形態において、LXA4の濃度は、少なくとも100ナノモルである。或る実施形態において、LXA4の濃度は、少なくとも1マイクロモルである。或る実施形態において、LXA4の濃度は、少なくとも10マイクロモルである。或る実施形態において、LXA4の濃度は、少なくとも100マイクロモルである。或る実施形態において、LXA4の濃度は、1ミリモル未満である。或る実施形態において、LXA4の濃度は、100マイクロモル未満である。或る実施形態において、LXA4の濃度は、10マイクロモル未満である。或る実施形態において、LXA4の濃度は、1マイクロモル未満である。或る実施形態において、LXA4の濃度は、100ナノモル未満である。或る実施形態において、LXA4の濃度は、10ナノモル未満である。或る実施形態において、LXA4の濃度は、1ナノモル未満である。
<ロイコトリエンB4(LTB4)>
【0048】
或る実施形態において、第2の誘発剤は、ロイコトリエンB4(LTB4)を備える。或る実施形態において、LTB4の濃度は、約100ピコモルから約1ミリモルである。或る実施形態において、LTB4の濃度は、少なくとも100ピコモルである。或る実施形態において、LTB4の濃度は、少なくとも1ナノモルである。或る実施形態において、LTB4の濃度は、少なくとも10ナノモルである。或る実施形態において、LTB4の濃度は、少なくとも100ナノモルである。或る実施形態において、LTB4の濃度は、少なくとも1マイクロモルである。或る実施形態において、LTB4の濃度は、少なくとも10マイクロモルである。或る実施形態において、LTB4の濃度は、少なくとも100マイクロモルである。或る実施形態において、LTB4の濃度は、1ミリモル未満である。或る実施形態において、LTB4の濃度は、100マイクロモル未満である。或る実施形態において、LTB4の濃度は、100マイクロモル未満である。或る実施形態において、LTB4の濃度は、1マイクロモル未満である。或る実施形態において、LTB4の濃度は、100ナノモル未満である。或る実施形態において、LTB4の濃度は、10ナノモル未満である。或る実施形態において、LTB4の濃度は、1ナノモル未満である。
<低酸素>
【0049】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成するための培地であって、第1及び第2の誘発剤を備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体(TLR)リガンドを備え、第2の誘発剤は、生物学的活性を有する分子を備える。或る実施形態において、生物学的活性を有する分子は、異なるToll様受容体リガンド、神経伝達物質、神経伝達物質様分子、非エリスロポエチンポリペプチド、又は脂質を備える。或る実施形態において、生物学的活性を有する分子は、ヒスタミン、アセチルコリン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、エピネフリン、セロトニン、メラトニン、リポキシンA4、αメラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)、及びロイコトリエンB4からなるリストより選択される。或る実施形態において、TLRリガンドは、Toll様受容体3(TLR3)リガンドを備える。或る実施形態において、TLRリガンドは、Toll様受容体4(TLR4)リガンドを備える。或る実施形態において、第2の誘発剤は、アセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの任意の組み合わせより選択される。或る実施形態において、第3の誘発剤は、再酸素条件又は低酸素模倣である。或る実施形態において、第3の誘発剤は、エリスロポエチンを備える。
【0050】
或る実施形態において、本明細書に記載の培地は、低酸素条件を備える。或る実施形態において、低酸素条件は、低酸素又は酸素欠乏環境における培養を備える。或る実施形態において、低酸素環境は、10%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、8%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、6%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、5%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、4%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、3%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、2.5%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、2.0%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、1.5%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、1.0%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、0.5%未満の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、有効0%の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、0.5%から3.0%の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、0.5%から2.5%の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、0.5%から2.0%の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、0.5%から1.5%の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、0.5%から1.0%の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、1.0%から2.0%の酸素を有する。或る実施形態において、低酸素環境は、1.5%から2.0%の酸素を有する。
【0051】
或る実施形態において、本明細書に記載の培地は、低酸素模倣を備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、塩化コバルトを備える。或る実施形態において、塩化コバルトは、約50μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約100μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約200μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約300μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約400μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約500μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約600μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約700μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約800μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約900μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約1mMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約10μMから約1mMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約10μMから約800μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約10μMから約500μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約10μMから約400μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約10μMから約300μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約50μMから約300μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約100μMから約300μMの濃度で存在する。或る実施形態において、塩化コバルトは、約150μMから約300μMの濃度で存在する。
【0052】
或る実施形態において、本明細書に記載の培地は、低酸素模倣を備える。或る実施形態において、低酸素模倣は、デスフェリオキサミンを備える。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約50μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約200μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約300μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約400μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約500μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約600μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約700μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約800μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約900μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約1mMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約10μMから1mMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約10μMから800μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約10μMから500μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約10μMから400μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約10μMから300μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約50μMから300μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約100μMから300μMの濃度で存在する。或る実施形態において、デスフェリオキサミンは、約150μMから300μMの濃度で存在する。
【0053】
或る実施形態において、本明細書に記載の培地は、エリスロポエチンを備える。或る実施形態において、本発明の培地は、組換エリスロポエチンを備える。或る実施形態において、本発明の培地は、ヒト組換エリスロポエチンを備える。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、約0.1ng/mLから約1.0mg/mLである。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、約0.1ng/mLから約100ng/mLである。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、約0.1ng/mLから約50ng/mLである。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、約0.1ng/mLから約10ng/mLである。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、約0.1ng/mLから約1.0ng/mLである。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、約0.2ng/mLから約0.8ng/mLである。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、約0.3ng/mLから約0.6ng/mLである。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、10mg/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、5mg/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、1mg/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、100ng/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、30ng/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、10ng/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、5ng/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、4ng/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、1ng/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、0.8ng/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、1ng/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、5U/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、1U/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、0.5U/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、0.1U/mL未満である。或る実施形態において、エリスロポエチンの量は、0.05U/mL未満である。
【0054】
或る実施形態において、非刺激多能性幹細胞集団から免疫学的に極性化された多能性幹細胞集団を作成するための培地であって、第1及び第2の誘発剤を備え、第1の誘発剤は、Toll様受容体(TLR)リガンドを備え、第2の誘発剤は、生物学的活性を有する分子を備える培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、TLRリガンドは、Toll様受容体3(TLR3)リガンドを備える。或る実施形態において、TLRリガンドは、Toll様受容体4(TLR4)を備える。或る実施形態において、第2の誘発剤は、アセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの任意の組み合わせより選択される。或る実施形態において、当該培地は、第3の誘発剤を備える。或る実施形態において、第3の誘発剤は、低酸素条件又は低酸素模倣を備える。或る実施形態において、第3の誘発剤は、エリスロポエチンを備える。或る実施形態において、当該培地は、第4の誘発剤を備える。或る実施形態において、第4の誘発剤は、エリスロポエチンを備える。或る実施形態において、第4の誘発剤は、低酸素条件又は低酸素模倣を備える。
<多能性幹細胞>
【0055】
或る実施形態において、多能性幹細胞とともに使用される方法及び培養培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、多能性幹細胞集団とともに使用される方法及び培養培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該培地は、1つ以上の多能性幹細胞を備える。或る実施形態において、当該培地は、1つ以上の無投薬多能性幹細胞を備える。或る実施形態において、当該培地は、1つ以上の非刺激多能性幹細胞を備える。或る実施形態において、当該培地は、1つ以上の被刺激多能性幹細胞を備える。或る実施形態において、多能性幹細胞は、ヒト由来のものである。或る実施形態において、多能性幹細胞は、初代ヒト細胞である。或る実施形態において、多能性幹細胞は、血液から分離される。或る実施形態において、多能性幹細胞は、臍帯血から分離される。或る実施形態において、多能性幹細胞は、胎盤から分離される。或る実施形態において、多能性幹細胞は、歯髄から分離される。或る実施形態において、多能性幹細胞は、月経血から分離される。或る実施形態において、多能性幹細胞は、胎児から分離される。或る実施形態において、多能性幹細胞は、吸引脂肪組織から分離される。或る実施形態において、多能性幹細胞は、生検から分離される。
<間葉幹細胞>
【0056】
或る実施形態において、間葉幹細胞とともに使用される方法及び培養培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、間葉幹細胞集団とともに使用される方法及び培養培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該培地は、1つ以上の間葉幹細胞を備える。或る実施形態において、当該培地は、1つ以上の無投薬間葉幹細胞を備える。或る実施形態において、当該培地は、1つ以上の非刺激間葉幹細胞を備える。或る実施形態において、当該培地は、1つ以上の被刺激間葉幹細胞を備える。或る実施形態において、間葉幹細胞は、ヒト由来のものである。或る実施形態において、間葉幹細胞は、初代ヒト細胞である。或る実施形態において、間葉幹細胞は、血液から分離される。或る実施形態において、間葉幹細胞は、臍帯血から分離される。或る実施形態において、間葉幹細胞は、胎盤から分離される。或る実施形態において、間葉幹細胞は、歯髄から分離される。或る実施形態において、間葉幹細胞は、月経血から分離される。或る実施形態において、間葉幹細胞は、胎児から分離される。或る実施形態において、間葉幹細胞は、脂肪吸引組織から分離される。或る実施形態において、間葉幹細胞は、生検から分離される。
<タイプ1極性化多能性幹細胞>
【0057】
或る実施形態において、多能性又は間葉幹細胞における免疫学的極性化を誘発する方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、多能性幹細胞における免疫学的極性化を誘発する培地について本明細書に記載する。或る実施形態において、極性化多能性幹細胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、当該細胞は、タイプ1極性化を示す。タイプ1極性化は、炎症誘発メディエータの発現又は解放を特徴とする。TLR4リガンドで処置した細胞は、タイプ1極性化を示すであろう。タイプ1極性化は、TNFSF10(TRAIL)の発現を特徴とする。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、TNFSF10の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して2倍、TNFSF10の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して5倍、TNFSF10の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して10倍、TNFSF10の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して50倍、TNFSF10の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して100倍、TNFSF10の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して200倍、TNFSF10の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して500倍、TNFSF10の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して1000倍、TNFSF10の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して10000倍、TNFSF10の発現を誘発する。
【0058】
或る実施形態において、タイプ1極性化多能性又は間葉幹細胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、TNFSF10を発現する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して2倍多くのTNFSF10を発現する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して5倍多くのTNFSF10を発現する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して10倍多くのTNFSF10を発現する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して50倍多くのTNFSF10を発現する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して100倍多くのTNFSF10を発現する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して500倍多くのTNFSF10を発現する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して1000倍多くのTNFSF10を発現する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して10000倍多くのTNFSF10を発現する。
【0059】
或る実施形態において、タイプ1極性化多能性又は間葉幹細胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激多能性幹細胞に比較して或るmiRNAを高いレベルで発現する。或る実施形態において、増補miRNAは、miR-146、miR-155、miR-1305、miR-575、及びmiR-1973のうちのいずれか1つ以上を備える。或る実施形態において、増補miRNAは、miR-146、miR-155、miR-1305、miR-575、及びmiR-1973のうちのいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つすべてを備える。これらのmiRNAのいずれか1つのレベルは、非刺激多能性幹細胞集団に比較して少なくとも約2倍、3倍、4倍、又は5倍以上増補可能である。或る実施形態において、タイプ1極性化多能性幹細胞は、非刺激多能性幹細胞に比較して或るmiRNAを低減レベルで発現する。或る実施形態において、低減miRNAは、miRNA-24-3pを備える。このmiRNAのレベルは、非刺激多能性細胞集団に比較して少なくとも約2倍、3倍、4倍、又は5倍以上低減可能である。
<タイプ2極性化多能性幹細胞>
【0060】
或る実施形態において、多能性又は間葉幹細胞における免疫学的タイプ2極性化を誘発する方法について本明細書に記載する。或る実施形態において、多能性幹細胞におけるタイプ2極性化を誘発する培地について本明細書に記載する。タイプ2極性化は、抗炎症メディエータの発現又は解放を特徴とする。TLR3リガンドで処置された細胞は、タイプ2極性化を示すである。タイプ2極性化は、CXL9の発現を特徴とする。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、CXCL9の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して2倍、CXCL9の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して5倍、CXCL9の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して10倍、CXCL9の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較し50倍、CXCL9の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して100倍、CXCL9の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して200倍、CXCL9の発現を誘発する。或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地は、非刺激細胞に比較して500倍、CXCL9の発現を誘発する。
【0061】
或る実施形態において、タイプ2極性化多能性又は間葉幹細胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、CXCL9を発現する。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して2倍多くのCXCL9を発現する。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して5倍多くのCXCL9を発現する。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して10倍多くのCXCL9を発現する。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して50倍多くのCXCL9を発現する。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して100倍多くのCXCL9を発現する。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して200倍多くのCXCL9を発現する。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞に比較して500倍多くのCXCL9を発現する。
【0062】
或る実施形態において、非刺激細胞集団との比較時、少なくとも2倍、以下の遺伝子のいずれかを発現するタイプ2極性化多能性又は間葉幹細胞について本明細書に記載する。すなわち、CXCL9、EGFR、IRF1、A2M、FAS、IL2RG、MMP3、GBP1、ISG15、FCGR1、NFKB1、NOS2A、USF1、YY1、JAK2、STA2、STAT4、STAT5、SOCS1、又はIRF1である。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞集団との比較時、少なくとも2倍、以下の遺伝子のいずれかを発現する。すなわち、EPOR、F2R、STAM、PDGFRA、PIAS2、MYC、SH2B1、又はCSF2RBである。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞集団との比較時、少なくとも10倍、以下の遺伝子のいずれかを発現する。すなわち、CXCL9、GBP1、ISG15、SOCS1、MMP3、JAK2、又はIRF1である。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激細胞集団との比較時、少なくとも20倍、以下の遺伝子のいずれかを発現する。すなわち、CXCL9、GBP1、ISG15、又はSOCS1である。
【0063】
或る実施形態において、タイプ2極性化多能性又は間葉幹細胞について本明細書に記載する。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激多能性幹細胞に非悪して或るmiRNAを高いレベルで発現する。或る実施形態において、増補miRNAは、miR-Let7a/d、miR-17_1、miR-222、miR-92a、及びmiR-1260aのうちのいずれか1つ以上を備える。或る実施形態において、増補miRNAは、miR-Let7a/d、miR-17_1、miR-222、miR-92a、又はmiR-1260aのうちのいずれか1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つすべてを備える。或る実施形態において、タイプ2極性化多能性幹細胞は、非刺激多能性幹細胞に比較して或るmiRNAを低減レベルで発現する。或る実施形態において、低減miRNAは、miRNA-222を備える。このmiRNAのレベルは、非刺激多能性細胞集団に比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、又は5倍以上、低減可能である。
<細胞均一性>
【0064】
或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地により、培養後の極性化多能性細胞の均一性を増加することができる。いくつかの実施形態において、細胞の60%超がタイプ1マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の70%超がタイプ1マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の80%超がタイプ1マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の90%超がタイプ1マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の95%超がタイプ1マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の98%超がタイプ1マーカを発現する。或る実施形態において、タイプ1マーカは、TNFSF10である。マーカは、任意の好適な方法、例えば、免疫組織化学、ELISA、フローサイトメトリ、ウェスタンブロット、qRT-PCR、ノーザンブロット、又はデジタルPCRによって測定可能である。
【0065】
或る実施形態において、本開示の方法及び培養培地により、培養後の極性化多能性細胞の均一性を増加することができる。いくつかの実施形態において、細胞の60%超がタイプ2マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の70%超がタイプ2マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の80%超がタイプ2マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の90%超がタイプ2マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の95%超がタイプ2マーカを発現する。いくつかの実施形態において、細胞の98%超がタイプ2マーカを発現する。或る実施形態において、タイプ2マーカは、CXCL9である。マーカは、任意の好適な方法、例えば、免疫組織化学、ELISA、フローサイトメトリ、ウェスタンブロット、qRT-PCR、ノーザンブロット、又はデジタルPCRによって測定可能である。
<方法>
【0066】
或る実施形態において、本明細書に記載の方法は、培養培地と多能性幹細胞との間で或る接触量を可能とするものである。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に24時間未満、接触する。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に8時間未満、接触する。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に4時間未満、接触する。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に2時間未満、接触する。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に1時間未満、接触する。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に1分超、接触する。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に1時間超、接触する。。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に2時間超、接触する。。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に4時間超、接触する。。或る実施形態において、多能性細胞は、本開示の培地又は誘発剤に8時間超、接触する。
<分泌炎症誘発因子>
【0067】
或る実施形態において、本明細書に記載の方法及び培養培地により、非刺激多能性幹細胞に、治療効果のある因子を分泌させる。或る実施形態において、因子は、間葉幹細胞細胞によって分泌される。或る実施形態において、因子は、炎症誘発である。或る実施形態において、因子は、TLR4リガンドでの刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、TLR4リガンドは、LPS又はアミノアルキルグルコサミニドを備える。或る実施形態において、因子は、TLR4リガンド、エリスロポエチン、及び低酸素条件での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、因子は、TLR4リガンド、エリスロポエチン、低酸素条件、及びアセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの組み合わせから選択された追加の誘発剤での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、当該分泌因子は、サイトカインである。或る実施形態において、因子は、TLR4リガンド、並びにアセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの任意の組み合わせから選択された追加の誘発剤での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、サイトカインは、IL-3を備える。或る実施形態において、サイトカインは、IL-6を備える。或る実施形態において、サイトカインは、IL-8を備える。或る実施形態において、サイトカインは、IL-17を備える。或る実施形態において、サイトカインは、インターフェロンβを備える。或る実施形態において、分泌因子は、ケモカインを備える。或る実施形態において、ケモカインは、LIFを備える。或る実施形態において、ケモカインは、GM-CSFを備える。或る実施形態において、ケモカインは、MIGを備える。或る実施形態において、ケモカインは、MCP-1を備える。或る実施形態において、ケモカインは、TRILを備える。或る実施形態において、分泌因子は、mIRNAを備える。或る実施形態において、miRNAは、miR-146を備える。或る実施形態において、miRNAは、miR-155を備える。或る実施形態において、分泌因子は、サイトカイン、ケモカイン、又はmiRNAの組み合わせを備える。或る実施形態において、分泌因子は、被刺激細胞培養培地から分離されず、被験者の処置に使用可能な馴化培地の残り全てとともに存在するか、被験者に投与される細胞集団に接触する。
<分泌抗炎症因子>
【0068】
或る実施形態において、本明細書に記載の方法及び培養培地により、被刺激多能性幹細胞に、治療効果のある因子を分泌させる。或る実施形態において、因子は、間葉幹細胞によって分泌される。或る実施形態において、因子は、抗炎症である。或る実施形態において、因子は、TLR3リガンドでの刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(I:C)又はポリ(A:U)を備える。或る実施形態において、因子は、TLR3リガンド、エリスロポエチン、及び低酸素条件での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、因子は、TLR3リガンド、エリスロポエチン、低酸素条件、及びアセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの任意の組み合わせから選択される追加の誘発剤での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、分泌因子は、サイトカインである。或る実施形態において、因子は、TLR3リガンド、及びアセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの任意の組み合わせから選択される追加の誘発剤での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、分泌因子は、サイトカインである。或る実施形態において、サイトカインは、IL-4を備える。或る実施形態において、サイトカインは、IL-10である。或る実施形態において、サイトカインは、IL-13を備える。或る実施形態において、サイトカインは、TGFβを備える。或る実施形態において、分泌因子は、ケモカインを備える。或る実施形態において、ケモカインは、CXCL9を備える。或る実施形態において、ケモカインは、CCL5を備える。或る実施形態において、ケモカインは、CXCL10を備える。或る実施形態において、分泌因子は、miRNAを備える。或る実施形態において、miRNAは、miR LeT7a/dを備える。或る実施形態において、miRNAは、miR-17/92aを備える。或る実施形態において、分泌因子は、サイトカイン、ケモカイン、又はmiRNAの組み合わせを備える。或る実施形態において、分泌因子は、プラスたグランジンE2を備える。或る実施形態において、分泌因子は、インドールアミン2,3-ジオキシダーゼを備える。或る実施形態において、分泌因子は、被刺激細胞培養培地から分離されず、被験者の処置に使用可能な馴化培地の残りすべてとともに存在するか、又は被験者に投与される細胞集団に接触する。
<分泌因子の分離>
【0069】
或る実施形態において、本明細書に記載の分泌因子は、本開示の被刺激多能性幹細胞集団に接触した培養培地から分離される。或る実施形態において、本明細書に記載の分泌因子は、本開示の被刺激間葉幹細胞集団に接触した培養培地から分離される。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に1時間超、接触されたものである。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に2時間超、接触されたものである。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に4時間超、接触されたものである。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に8時間超、接触されたものである。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に24時間超、接触されたものである。或る実施形態において、分泌因子は、ろ過、遠心分離、析出、クロマトグラフィ、及び凍結を非限定的に含む任意の好適な方法で培養培地から分離される。或る実施形態において、分泌因子は、培養培地から分離されない。
<分泌炎症誘発細胞外小胞>
【0070】
細胞外小胞は、血液、尿、及び細胞培養の病変培地を含む、多数且つ恐らくは全ての真核流体に存在する細胞由来小胞である。これらの細胞外小胞は、細胞エンドソーム及び原形質膜に由来し、DNA、RNA(miRNAを含む)、タンパク質、ポリペプチド、脂質、及び小分子を含み得る。細胞外小胞は、細胞由来の小さな小胞であり、エキソソーム、微小小胞、及びアポトーシス小体を含む。或る実施形態において、細胞外小胞は、エキソソームを備える。或るじっしけいたいにおいて、本明細書に記載の方法及び培養培地により、被刺激多能性幹細胞に、治療効果のある細胞外小胞を分泌させる。或る実施形態において、細胞外小胞は、間葉幹細胞によって分泌される。或る実施形態において、細胞外小胞は、炎症誘発である。或る実施形態において、細胞外小胞は、TLR4リガンドでの刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、TLR4リガンドは、LPS又はアミノアルキルグルコサミドを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、TLR4リガンド、エリスロポエチン、及び低酸素条件での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、細胞外小胞は、TLR4リガンド、エリスロポエチン、低酸素条件、及びアセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの任意の組み合わせから選択された追加の誘発剤での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、細胞外小胞は、TLR4リガンド、並びにアセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの任意の組み合わせから選択された追加の誘発剤での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、細胞外小胞は、サイトカインを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、IL-3を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、IL-6を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、IL-8を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、IL-17を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、インターフェロンβを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、ケモカインを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、LIFを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、GM-CSFを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、MIGを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、MCP-1を備える。或る実施形態において、ケモカインは、TRAILを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、miRNAを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、miR-146を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、miR-155を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、サイトカイン、ケモカイン、又はmiRNAの組み合わせを備える。或る実施形態において、炎症誘発細胞外小胞は、非刺激無投薬多能性細胞集団から分泌された細胞外小胞に比べて増強された1つ以上のタンパク質を備える。或る実施形態において、1つ以上のタンパク質は、無投薬非刺激多能性幹細胞からの細胞外小胞に比べて、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)、結合プラコグロビン(JUP)、デスモプラキン(DSP)、モエシン(MSN)、ビメンチン(VIM)、アクチン(ACTB)、又はアネキシンA2(ANXA2)のうちのいずれか1つ以上をより高いレベルで備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、無投薬非刺激多能性幹細胞からの細胞外小胞に比べて、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)、結合プラコグロビン(JUP)、デスモプラキン(DSP)、モエシン(MSN)、ビメンチン(VIM)、アクチン(ACTB)、又はアネキシンA2(ANXA2)のうちのいずれか2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ全てをより高いレベルで備える。或る実施形態において、これらのタンパク質のうちのいずれかは、非刺激多能性細胞に比べて2倍、3倍、5倍、10倍、15倍、又は20倍以上、増強可能である。或る実施形態において、炎症誘発細胞外小胞は、非刺激無投薬多能性細胞集団から分泌される細胞外小胞に比べて低減された1つ以上のタンパク質を備える。或る実施形態において、1つ以上のタンパク質は、トロンボスポンジン-1(THBS1)、コラーゲンα2(VI)鎖(COL6A2)、デコリン(DCN)、インスリン様成長因子結合タンパク質7(IGFBP7)、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)、ビグリカン(BGN)、又はコラーゲンα-3(VI)鎖(COL6A3)のうちのいずれか1つ以上を低減レベルで備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、トロンボスポンジン-1(THBS1)、コラーゲンα2(VI)鎖(COL6A2)、デコリン(DCN)、インスリン様成長因子結合タンパク質7(IGFBP7)、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)、ビグリカン(BGN)、又はコラーゲンα-3(VI)鎖(COL6A3)のうちのいずれか2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ全てを低減レベルで備える。或る実施形態において、これらのタンパク質のいずれかは、非刺激多能性細胞に比べて2倍、3倍、5倍、又は10倍以上、低減可能である。
<分泌抗炎症細胞外小胞>
【0071】
或る実施形態において、本明細書に記載の方法及び培養培地により、被刺激多能性幹細胞に、治療効果のある細胞外小胞を分泌させる。或る実施形態において、細胞外小胞は、間葉幹細胞によって分泌される。或る実施形態において、細胞外小胞は、抗炎症である。或る実施形態において、細胞外小胞は、TLR3リガンドでの刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、TLR3リガンドは、ポリ(I:C)又はポリ(A:U)を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、TLR3リガンド、エリスロポエチン、及び低酸素条件での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、細胞外小胞は、TLR3リガンド、エリスロポエチン、低酸素条件、及びアセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの組み合わせから選択された追加の誘発剤での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、細胞外小胞は、サイトカインを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、TLR3リガンド、並びにアセチルコリン、αメラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、セロトニン、グルタミン酸塩、ノルエピネフリン、ヒスタミン、リポキシンA4、ロイコトリエンB4、及びこれらの組み合わせから選択された追加の誘発剤での刺激に応じて分泌される。或る実施形態において、細胞外小胞は、サイトカインを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、IL-4を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、IL-10を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、IL-13を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、TGFβを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、ケモカインを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、CXCL9を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、CCL5を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、CXCL10を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、miRNAを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、miR Let7a/dを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、miR-17/92aを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、サイトカイン、ケモカイン、又はmiRNAの組み合わせを備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、プロスタグランジンE2を備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、インドールアミン2,3-ジオキシダーゼを備える。或る実施形態において、抗炎症細胞外小胞は、非刺激多能性細胞集団から分泌された細胞外小胞に比べて増強された1つ以上のタンパク質を備える。或る実施形態において、1つ以上のタンパク質は、無投薬非刺激多能性幹細胞からの細胞外小胞に比べて、ミオシン-1(MYH1)、ミオシン-2(MTH2)、ミオシン-7(MYH-7)、又は組織因子経路阻害物質2(TFPI2)のうちのいずれか1つ以上をより高いレベルで備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、無投薬非刺激多能性幹細胞からの細胞外小胞に比べて、ミオシン-1(MYH1)、ミオシン-2(MTH2)、ミオシン-7(MYH-7)、又は組織因子経路阻害物質2(TFPI2)のうちのいずれか2つ、3つ、又は4つ全てをより高いレベルで備える。或る実施形態において、これらのタンパク質のいずれかは、非刺激多能性細胞に比べて、2倍、3倍、5倍、10倍、15倍、又は20倍多く増強可能である。或る実施形態において、抗炎症細胞外小胞は、無投薬非刺激多能性細胞集団から分泌された細胞外小胞に比べて低減された1つ以上のタンパク質を備える。或る実施形態において、1つ以上のタンパク質は、無投薬非刺激多能性幹細胞からの細胞外小胞に比べて、コラーゲンα-1(I)鎖(COL6A3)、スルフヒドリルオキシダーゼ-1(QSOX1)、デコリン-7(DCN)、コラーゲンα-2(VI)鎖(COL6A2)、トロンボスポンジン(THBS1)、又はコラーゲンα-1(I)鎖(COL1A1)のうちのいずれか1つ以上を低減レベルで備える。或る実施形態において、細胞外小胞は、無投薬非刺激多能性幹細胞からの細胞外小胞に比べて、コラーゲンα-1(I)鎖(COL6A3)、スルフヒドリルオキシダーゼ-1(QSOX1)、デコリン-7(DCN)、コラーゲンα-2(VI)鎖(COL6A2)、トロンボスポンジン(THBS1)、又はコラーゲンα-1(I)鎖(COL1A1)のうちのいずれか2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ全てを低減レベルで備える。或る実施形態において、これらのタンパク質のいずれかは、非刺激多能性細胞に比べて、2倍、3倍、5倍、又は10倍以上、低減可能である。
<細胞外小胞の分離>
【0072】
或る実施形態において、本明細書に記載の細胞外小胞は、本開示の被刺激多能性幹細胞集団に接触した培養培地から分離される。或る実施形態において、細胞外小胞は、本開示の被刺激間葉幹細胞集団に接触した培養培地から分離される。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に1時間超、接触されたものである。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に2時間超、接触されたものである。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に4時間超、接触されたものである。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に8時間超、接触されたものである。或る実施形態において、培養培地は、被刺激細胞集団に24時間超、接触されたものである。細胞外小胞は、培養培地から分離及び/又は精製可能である。培養培地から細胞外小胞を分離する公的な方法は、当分野において既知である。或る実施形態において、細胞外用法は、ろ過、遠心分離、超遠心分離、密度勾配分離、析出、免疫親和性分離、クロマトグラフィ、及び凍結を非限定的に含む任意の好適な方法により、培養培地から分離される。或る実施形態において、細胞外小胞は、培養培地から分離されない。
<治療方法>
【0073】
或る実施形態において、治療効果の或る方法、培養培地、細胞、分泌因子、及び細胞外小胞について本明細書に記載する。例えば、
図2は、本明細書に記載の方法、培養培地、細胞、分泌因子、及び細胞外小胞の非限定的処置プロトコルのフローチャートを示す。或る実施形態において、本明細書に記載の方法、培養培地、細胞、分泌因子、及び細胞外小胞は、癌の処置に有用である。或る実施形態において、本明細書に記載の方法、培養培地、細胞、分泌因子、及び細胞外小胞は、自己免疫疾患の処置に有用である。或る実施形態において、本明細書に記載の方法、培養培地、細胞、分泌因子、及び細胞外小胞は、抗炎症疾患の処置に有用である。或る実施形態において、TLR4リガンドを備えた培地で処置された多能性幹細胞は、癌の治療に有用である。或る実施形態において、TLR3リガンドを備えた培地で処置された他の静幹細胞は、自己免疫又は炎症性疾患の処置に有用である。
【0074】
或る実施形態において、TLR4リガンドを備えた培地で処置された間葉幹細胞は、癌の治療に有用である。或る実施形態において、TLR3リガンドを備えた培地で治療された間葉幹細胞は、自己免疫又は炎症性疾患の処置に有用である。或る実施形態において、多能性幹細胞をTLR4リガンドに接触させることを備えた方法で処置された多能性幹細胞は、癌の処置に有用である。或る実施形態において、多能性幹細胞をTLR3リガンドに接触させることを備えた方法で処置された多能性幹細胞は、自己免疫又は炎症性疾患の処置に有用である。或る実施形態において、間葉幹細胞をTLR4リガンドに接触させることを備えた方法で処置された間葉幹細胞は、癌の処置に有用である。或る実施形態において、間葉幹細胞をTLR3リガンドに接触すさせることを備えた方法で処置された間葉幹細胞は、自己免疫又は炎症性疾患の処置に有用である。
【0075】
或る実施形態において、TLR4リガンドを備えた培地で処置された多能性幹細胞は、癌の処置に有用である。或る実施形態において、TLR4リガンドを備えた培地で処置された多能性幹細胞から分泌された因子又は細胞外小胞は、癌の処置に有用である。或る実施形態において、TLR3リガンドを備えた培地で処置された間葉幹細胞は、自己免疫又は炎症性疾患の処置に有用である。或る実施形態において、TLR3リガンドを備えた培地で処置された間葉幹細胞から分泌された因子又は細胞外小胞は、自己免疫又は炎症性疾患の処置に有用である。
【0076】
或る実施形態において、多能性幹細胞をTLR4リガンドに接触させることを備えた方法で処置された多能性幹細胞から分泌された細胞外小胞又は因子は、癌の処置に有用である。或る実施形態において、多能性幹細胞をTLR3リガンドに接触させることを備えた方法で処置された多能性幹細胞から分泌された細胞外小胞又は因子は、自己免疫又は炎症性疾患の処置に有用である。或る実施形態において、間葉幹細胞をTLR4リガンドに接触させることを備えた方法で処置された間葉幹細胞から分泌された細胞外小胞又は因子は、癌の処置に有用である。或る実施形態において、間葉幹細胞をTLR3リガンドに接触させることを備える方法で処置された間葉幹細胞から分泌された細胞外小胞又は因子は、自己免疫又は炎症性疾患の処置に有用である。
【0077】
本開示は、(a)多能性幹細胞の集団を提供することと、(b)幹細胞集団を本明細書に記載の培地のいずれかに接触させることと、(c)適切な疾患の下、細胞を培養することと(d)被刺激細胞を被験者に投与することとを備える細胞治療方法を提供する。或る実施形態において、本開示は、(a)間葉幹細胞の集団を提供することと、(b)幹細胞集団を本明細書に記載の培地のいずれかに接触させることと、(c)適切な疾患の下、細胞を培養することと、(d)被刺激細胞を被験者に投与することとをそなえる細胞治療方法を提供する。或る実施形態において、細胞集団は、容器からの除去、遠心分離、超遠心分離、ろ過、透析、洗浄、及び殺菌中性緩衝食塩水等の適切な希釈剤中での懸濁を備えるステップにより、細胞及び培地の双方を備える容器から採取される。
<自己免疫及び炎症性疾患>
【0078】
或る実施形態において、本開示の方法、細胞、培養培地、細胞外小胞、及び分泌因子は、自己免疫疾患の処置のためのもである。或る実施形態において、本開示の方法、細胞、培養培地、細胞外小胞、及び分泌因子は、急性視神経炎、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫溶結性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫卵巣炎及び睾丸炎、自己免疫血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、閉塞性細気管支炎、心筋症、脂肪便症、慢性疲労症候群(CF1DS)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集疾患、円板状紅斑性狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、タイプ1又は免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発軟骨炎、多腺性免疫症候群s、リウマチ性多発筋痛症、多発性皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、レイノー病、ライター症候群、サルコイドーシス、強皮症、全身性進行性硬化症、シェーグレン症候群、グッドパスチャー症候群、ティッフマン症候群、全身性紅斑性狼瘡、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎疱疹性皮膚炎等の血管炎、白斑、ヴェグナー肉芽腫症、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、神経系の自己免疫疾患、家族性地中海熱、ランバート・イートン筋無力症候群症候群、交感性眼炎、多腺性内分泌障害、又は尋常性乾癬の処置のためのものである。
【0079】
或る実施形態において、本開示の方法、細胞、培養培地、細胞外小胞、及び分泌因子は、炎症性障害の処置のためのものである。或る実施形態において、炎症性障害は、クローン病、タイプ1糖尿病、関節リウマチ、炎症性腸疾患、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、全身性紅斑性狼瘡、橋本甲状腺炎、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、悪性貧血、アジソン病、強皮症、グッドパスチャー症候群、潰瘍性大腸炎、自己免疫溶血性貧血、不妊、重症筋無力症、多発性硬化症、バセドー病、血小板減少性紫斑病、ギラン・バレー症候群症候群、アレルギー、喘息、アトピー性疾患、動脈硬化症、心筋炎、心筋症、糸球体腎炎、再生不良性貧血、臓器移植後の拒絶である。或る実施形態において、炎症性障害は、急性視神経炎、糖尿病性神経障害、クラッベ病、急性肺障害、クローン病セリアック病、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(IBD)、喘息、脳炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性骨溶解、アレルギー障害、敗血性ショック、肺線維症(例えば、特発性肺線維症)、炎症性血管炎(例えば、結節性多発動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、高安動脈炎、側頭部動脈炎、リンパ腫様肉芽腫症)、外傷後血管形成(例えば、形成後の再狭窄)、未分化型脊椎関節炎、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解、慢性肝炎、又は慢性ウィルス又は細菌感染の結果として生じる慢性炎症である。
<癌>
【0080】
或る実施形態において、本開示の方法、細胞、培養培地、細胞外小胞、及び分泌因子は、癌の処置のためのものである。或る実施形態において、本開示の方法、細胞、培養培地、細胞外小胞、及び分泌因子は、腫瘍の処置のためのものである。或る実施形態において、本開示の方法、細胞、培養培地、細胞外小胞、及び分泌因子は、癌の処置の増補のためのものである。或る実施形態において、癌は、成人急性リンパ性白血病、小児急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、小児急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、虫垂癌、星細胞腫、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管癌、肝外癌、膀胱癌、骨肉腫、骨肉腫及び悪性線維性組織球腫、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、中枢神経系胎児性腫瘍、星細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣芽腫、脳腫瘍、上衣腫、髄芽腫髄芽腫、髄上皮腫、中間型松果体実質腫瘍、中分化、テント上原始神経外胚葉腫瘍及び松果体芽細胞腫、脳及び脊髄腫瘍、乳癌、男性乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胎児性腫瘍、中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性子宮頸癌、子宮頸癌、小児癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、大腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T-細胞リンパ腫、胎児腫瘍、中枢神経系、子宮内膜癌、上衣芽腫、上衣腫、食道癌、鼻腔神経芽細胞腫、腫瘍のユーイング肉ファミリー、頭蓋外細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、眼内メラノーマ、網膜芽細胞腫眼癌、胆嚢癌、胃(胃)癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍、頭蓋外細胞腫瘍、卵巣性腺外胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部癌、心臓癌、成人(原発性)肝細胞(肝臓)癌、肝細胞(肝臓)癌、組織球症、ランゲルハンス細胞、成人ホジキンリンパ腫、小児ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内メラノーマ、膵島細胞腫瘍(膵臓内分泌腺)、カポジ肉腫、腎臓(腎細胞)癌、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、小児喉頭癌、白血病、成人急性リンパ芽球性白血病、白血病、小児急性リンパ芽球性白血病、白血病、成人急性骨髄性白血病、白血病、小児急性骨髄性白血病、白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞、口唇癌および口腔癌、成人(原発性)肝臓癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞、肺癌、小細胞、リンパ腫、AIDS関連、リンパ腫、バーキット、リンパ腫、皮膚T-細胞、成人ホジキンリンパ腫、小児ホジキンリンパ腫、成人非ホジキンリンパ腫、小児非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、マクログロブリン血症、ワルデンストローム、骨悪性線維性組織球腫と骨肉腫、髄芽腫髄芽腫、髄上皮腫、メラノーマ、メラノーマ、眼内(眼)、メルケル細胞癌腫、成人悪性中皮腫、中皮腫、不顕性原発性を伴う頸部扁平上皮癌、口腔癌、多内分泌腺腫瘍症候群、多発骨髄腫/形質細胞新生物菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性白血病、成人骨髄性白血病、小児急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、副鼻腔癌及び鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、成人非ホジキンリンパ腫、小児非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口の癌、口腔癌、口唇及び口咽頭癌、骨肉腫及び骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣生殖細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、膵島細胞腫瘍膵臓癌、乳頭腫症、副鼻腔癌及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、中分化の松果体実質腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発骨髄腫、胸膜肺芽腫、妊娠期乳癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎臓)癌、腎盂尿管、移行細胞癌、第15染色体の変更を伴う気道癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、唾液腺癌、腫瘍のユーイング肉ファミリー肉腫、カポジ肉腫肉腫、成人軟組織、小児軟組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、皮膚癌(非メラノーマ)、皮膚癌、皮膚癌(メラノーマ)、メルケル細胞皮膚癌腫、小細胞肺癌、小腸癌、成人軟組織肉腫、小児軟組織肉腫、扁平上皮細胞癌腫、転移性不顕性原発性扁平上皮頸部癌、胃(胃)癌、テント上原始神経外胚葉腫瘍、皮膚T-細胞リンパ腫、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫及び胸腺癌腫、甲状腺癌、腎盂尿管の移行細胞癌、妊娠期絨毛腫瘍、未知の原発性部位、尿管及び腎盂の癌腫、移行細胞癌、尿道癌、子宮癌、子宮内膜、子宮肉腫、ぶどう膜メラノーマ、膣癌癌、外陰癌、ワルデンストロームマクログロブリン血症、又はウィルムス腫瘍である。
<投与スケジュール>
【0081】
或る実施形態において、本開示の方法、細胞、培養培地、細胞外小胞、及び分泌因子は、癌、自己免疫障害、又は炎症性障害の処置を必要とする被験者に投与するためのものである。或る実施形態において、本開示の方法、細胞、及び誘発培地は、異なる投与経路を包含する。或る実施形態において、投与経路は、皮下、頭頂、筋肉内、静脈、腫瘍内、眼内、網膜内、硝子体内、又は頭蓋内である。或る実施形態において、細胞は、腫瘍部位又は炎症部位に直接投与可能である。
【0082】
或る実施形態において、本開示の方法、細胞、培養培地、細胞外小胞、及び分泌因子は、癌、自己免疫障害、又は免疫介在性炎症性疾患の処置を必要とする被験者に投与するためのものである。或る実施形態において、本開示の方法、細胞、及び誘発培地は、異なる投薬回数を包含する。或る実施形態において、本開示の細胞及び方法は、1日に1回、1週間に1回、1ヶ月に1回、1年に1回投与される。或る実施形態において、本開示の細胞及び方法は、1日に2回、1週間に2回、1ヶ月に2回、1年に2回投与される。或る実施形態において、本開示の細胞及び方法は、1日に3回、1週間に3回、1ヶ月に3回、1年に3回投与される。或る実施形態において、本開示の細胞及び方法は、1日に4回、1週間に4回、1ヶ月に4回、1年に4回投与される。或る実施形態において、初期処置に続いて、1年に1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、又は12回の維持投薬が行われる。或る実施形態において、維持投薬は、少なくとも1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、又は10年以上、継続される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも1×106個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも2×106個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも3×106個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも4×106個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも5×106個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも6×106個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも7×106個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも8×106個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも9×106個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも1×107個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも2×107個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも3×107個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも4×107個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも5×107個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも6×107個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも7×107個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも8×107個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも9×107個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも1×108個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも2×108個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも3×108個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも4×108個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも5×108個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも6×108個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも7×108個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも8×108個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも9×108個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも1×109個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも2×109個の細胞が投与される。或る実施形態において、1回の投薬につき、少なくとも3×109個の細胞が投与される。
<薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、及びキャリア>
【0083】
本開示の細胞、培地、及び細胞外小胞は、投与、安定性、均一性、生体利用効率、又はこれらの任意の組み合わせを向上及び改善するために、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、又はキャリアと組み合わせることができる。或る実施形態において、本開示の細胞外小胞又は細胞は、無菌溶液中に懸濁して投与される。或る実施形態において、溶液は、0.9%のNaClを備える。或る実施形態において、溶液は、例えば、アセテート、クエン酸塩、ヒスチジン、コハク酸塩、ホスフェート、重炭酸塩、ヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)等の緩衝剤、例えば、ポリソルベート80(Tween80)、ポリソルベート20(Tween20)、又はポロキサマー188等の界面活性剤、グルコース、デキストロース、マンノース、マニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、又はデキストラン40等のポリオール/二糖類/多糖類、例えば、アスコルビン酸又はメチオニン等の抗酸化剤、例えば、EDTA又はEGTA等のキレート化剤のうちの1つ以上をさらに備える。或る実施形態において、本開示の細胞外小胞は、投与に先立ち、凍結乾燥及び再構成により、輸送/保管される。或る実施形態において、凍結乾燥細胞外小胞製剤は、マニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、及びデキストラン40等の増量剤を備える。
<実施例>
【0084】
以下の実施例は、例示を意図するものであり、本明細書に記載の発明を限定するものでない。
<実施例1-Toll様受容体及び特定誘導体の組み合わせによる間葉幹細胞起爆の強化>
【0085】
図3A及び
図3Bを参照すると、TLR3によるタイプ2間葉幹細胞起爆は、アセチルコリン(ACH)、グルタミン酸塩(GLU)、及びリポキシンA4(LaX4)でさらに強化される。ヒト骨髄由来間葉幹細胞は、ポリ(I:C)及び0.5ng/mLのヒト組換エリスロポエチンを使用してタイプ2間葉細胞に誘発される。すべてのRNAが分離、精製され、cDNAに逆転写せれる。定量リアルタイムPCRは、SYBRグリーンマスターミックスを使用して実施した。データは、定量比較CT法を使用し、目標遺伝子発現を18SrRNAハウスキーピング遺伝子に標準化することによって解析し、未処置コントロールより数倍の増加を示した。CXCL9遺伝子発現は、誘発に続いて著しく増加した。エラーバーは、+/-標準誤差(SEM)を表す。
図3A及び
図3Bに2つの独立した実験として示される通り、TLR3と、ACH(
図3Aでは約24倍、
図3Bでは約37倍)、GLU(
図3Aでは約317.4倍、
図3Bでは約59倍)、LAX4(
図3Aでは約32倍、
図3Bでは約47倍)のいずれか、又はこれら3つすべての組み合わせによる間葉幹細胞の刺激により、結果として、TLR3(
図3Aでは約8.8倍、
図3Bでは約22倍)、ACH(
図3Aでは約3.7倍、
図3Bでは約20倍)、GLU(
図3Aでは約1.4倍、
図3Bでは約16倍)、又はLAX4(
図3Aでは約-A倍、
図3Bでは約13倍)のいずれかを単独で使用するよりも、CXCL9の発現が増える。
【0086】
図4A及び
図4Bを参照すると、TLR4によりタイプ1間葉幹細胞の起爆は、ロイコトリエンB4(LTB4)、セロトニン(5-HT)、メラトニン(MEL)でさらに強化される。ヒト骨髄由来間葉幹細胞は、リポ多糖体(LPS)と0.5ng/mLのヒト組換エリスロポエチンとを使用して、タイプ1間葉幹細胞に誘発される。すべてのRNAが分離、精製され、cDNAに逆転写せれる。定量リアルタイムPCRは、SYBRグリーンマスターミックスを使用して実施した。データは、定量比較CT法を使用し、目標遺伝子発現を18SrRNAハウスキーピング遺伝子に標準化することによって解析し、未処置コントロールより数倍の増加を示した。TNFSF10(TRAILとしても既知である)遺伝子発現は、誘発に続いて著しく増加した。エラーバーは、+/-標準誤差(SEM)を表す。
図4A及び
図4Bに2つの独立した実験として示される通り、TLR4と、LTB4(
図4Aでは約875,457倍、
図4Bでは約15,437倍)、5-HT(
図4Bでは約12,323倍)、MEL(
図4Bでは約5,555倍)、又は3つすべての組み合わせ(
図4Bでは約22,238倍)のいずれかの組み合わせで間葉幹細胞を刺激することにより、結果として、これらのいずれかを単独で使用した場合よりTNFSF10の発現が多くなる。TLR
4(図4Aでは約425,854倍、
図4Bでは約7,567倍)、LTB4(
図4Aでは約49倍、
図4Bでは約49倍)、5-HT(
図4Bでは約333倍)、又はMEL(
図4Bでは約489倍)である。
<実施例2-起爆間葉幹細胞で分泌された因子の解析>
【0087】
広範の生物活性分子の分泌(すなわち、セクレトーム)は、MCSがその治療効果を達成し、目標疾患組織に最も影響を有する可能性の或る重要なメカニズムである。我々は、このような生物活性因子に対する既知の貢献主体として、エキソソーム[細胞外小胞、EV又は多小胞体、MEBとも称される]を含む。エキソソームは、付近の細胞に影響し得る分泌小胞である。我々は、潜在的にMSCによる貢献を受ける分子として、マイトジェン、細胞外基質(ECM)タンパク質、血管新生、エキソソーム、炎症性/免疫変調生物活性因子を含む。
【0088】
無投薬MSC、MSC1、及びMSC2セクレトーム/エキソソームは、メーカの指示(Human Group IⅈBio-Rad,Hercules,CA)に従ったBio-Plex生物活性因子、Sistemic Inc (UK),Phalanx Biotech group(CA)によるmiRNA解析、C-MS/MS System Biosciences(SBI、CA)による次世代タンパク質シーケンシングにり試験し、次いでウェスタンプロット解析、ELISA、フローサイトメトリー、及びRT-qPCRで査定した。
【0089】
無投薬MSC、MSC1、及びMSC2からの病変培地を収集し、生物活性因子解析に先立って遠心分離で浄化した。MSC1は、10ng/mLのLPSを使用したヒト骨髄由来間葉幹細胞で48時間処置することにより、刺激した。MSC2は、1μg/mLのポリ(I:C)を使用したヒト骨髄由来間葉幹細胞を48時間処置することにより、刺激した。すべてのレベルは、サンプル中のタンパク質総濃度で標準化し、さらに未処置投薬MSCレベルで標準化した。4倍超のレベルについては、統計的に有意であると考慮した。データは、3つ超の実験を代表するものであり、ELISA又はウェスタンプロット解析でさらに査定した。結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0090】
結果は、MSC1及びMSC2によって分泌される、明白な非重複分泌因子の組を示している。一般的に、炎症誘発因子は、MSC1によって分泌され、抗炎症因子は、MSC2によって分泌される。
<実施例3-起爆海洋幹細胞によって分泌される細胞外小胞のタンパク質含有量の解析>
【0091】
無投薬MSC、MSC1、及びMSC2からの細胞外小胞を分離し、液体クロマトグラフィ[LC]-質量分析[MS]/ExoQuick-TCキット(System Biosciences,Inc)を使用したMSによって解析した。要するに、無投薬、MSC1、及びMSC2からの病変培地は、血清/動物質を含まない培地において培養の48時間後に収集し、遠心分離で浄化した。MSC1は、10ng/mLのLPSと5ng/mLのヒト組換エリスロポエチンを使用して、アッセイに先立って48時間、ヒト骨髄由来間葉幹細胞の処置によって刺激した。MSC2は、1μg/mLのポリ(I:C)及び5ng/mLのヒト組換エリスロポエチンを使用して、アッセイに先立って48時間、ヒト骨髄由来間葉幹細胞の処置によって刺激した。細胞外小胞ペレットは、100℃にて15分、200μLの改質RIPA緩衝剤(2.0%SDS、150mMのNaCl、50mMのTris、pH8,5、1X完全プロテアーゼ阻害物質(Roche))に溶解した。溶解物は、遠心分離で浄化し、タンパク質濃度をQubitフルオロメータ(Invitrogen)で判定した。抽出されたタンパク質10μgは、MES緩衝システムにおいて10%Bis Tris NuPageミニゲル(Invitrogen)を使用したSDS-PAGEにより処理した。移行ウィンドウ(2cmレーン)を実施し、ProGestロボット(DigiLab)を使用してゲル内消化を行った。各消化サンプルの半分をThermoFisher Q ExactiveにインタフェースされたWaters NanoAcquity HPLCシステムを備えたナノLC-MS/MSで解析した。ペプチドは、トラップカラム上に搭載し、2時間の逆位相勾配を使用して、350nL/分、75μM解析カラムで溶出した。双方のカラムは、Luna C18樹脂(Phenomenex)でパック化した。MS/MSについては15個の最も豊富なイオンを選択した。結果を以下の表2に示す。
【表2】
<実施例
4-起爆間葉幹細胞によって発現されたmiRNAの解析>
【0092】
マイクロRNA[miRNA]は、細胞運命の判定に重要であった約20年前、線虫において最初に記載された。ヒトにおけるmiRNAの存在は、十数年前に最初に記載された。miRNAプロファイル研究は、miRNAが異なる器官において異なる展開段階で選択的に発現されることを実証した。MSCの異なる組織源に対するmiRNAシグニチャは、増殖、自己複製、及び分化能等、幹細胞特性の維持に関与するmiRNAのパターンを規定した。MSC1及びMSC2miRNAプロファイルは、起爆された細胞から解析を行い、未処置無投薬MSCと比較して独自の発現パターンを明らかにした。データは、3名超の別のドナーからの少なくとも3つの独立した実験を代表するものである。データは、無投薬MSC=1との比較で相対的な発言として表現されている。例えば、MSC1中に構築された炎症誘発miRNAの発現の増強は、その予測された炎症性表現型に一致する。MSC1は、アッセイに先立ち、4時間、10ng/mLのLPSと5ng/mLのヒト組換エリスロポエチンでヒト骨髄由来間葉幹細胞を処置することによって刺激した。MSC2は、アッセイに先立ち、4時間、1μg/mLのポリ(I:C)と5ng/mLのヒト組換エリスロポエチンとでヒト骨髄由来間葉幹細胞を処置することによって刺激した。
【0093】
図5A(MSC1)及びB(MSC2)は、これらの実験結果を示している。MSC1刺激細胞外小胞については、miR-146(約2.7倍)、miR-155(約3.3倍)、miR-1305(約2.3倍)、miR-575(約2.1倍)、及びmiR-1973(約2.3倍)のレベルがすべて、非刺激MSCに比べて2倍多く誘発され、miR-24-3pのレベルが約2倍低減した。MSC2-刺激細胞外小胞については、miR-Let7a/d(約3.4倍)、miR-17_1(約6.5倍)、miR-92a(約6.5倍)、及びmiR-1260a(約2.4倍)のレベルがすべて、非刺激MSCに比べて2倍多く誘発され、miR-222のレベルが約2倍低減した。
【0094】
本明細書中、本発明の好適な実施形態について図示及び説明したが、当業者にとって、このような実施形態が例示のみを目的として提供されるものであることは明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の修正、変更、及び置換に思い至るであろう。本発明の実施に際し、本明細書に記載の本発明の実施形態の種々の代替が採用されてもよいことが理解されなければならない。