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特許7029414ランキンサイクルに従って機能する閉ループ回路に含まれているガス状流体を検出および抽出する方法ならびにその方法を使用するデバイス
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  • 特許-ランキンサイクルに従って機能する閉ループ回路に含まれているガス状流体を検出および抽出する方法ならびにその方法を使用するデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ランキンサイクルに従って機能する閉ループ回路に含まれているガス状流体を検出および抽出する方法ならびにその方法を使用するデバイス
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/06 20060101AFI20220224BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20220224BHJP
   F01K 27/02 20060101ALI20220224BHJP
   F02G 5/00 20060101ALI20220224BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
F01K23/06 Z
F01K23/10 Q
F01K27/02 D
F02G5/00 A
F02G5/02 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018565801
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2017064718
(87)【国際公開番号】W WO2017220434
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-04-08
(31)【優先権主張番号】1655689
(32)【優先日】2016-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(73)【特許権者】
【識別番号】518120496
【氏名又は名称】エノジア
【氏名又は名称原語表記】ENOGIA
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】セラーノ、 ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】テルヴェル、 ジョスリン
(72)【発明者】
【氏名】ポシェ、 アントナン
(72)【発明者】
【氏名】ルル、 アルチュル
【審査官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508471(JP,A)
【文献】特開2013-096696(JP,A)
【文献】特開2013-068181(JP,A)
【文献】特開2010-265899(JP,A)
【文献】特表2005-533972(JP,A)
【文献】国際公開第2015/152796(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/027643(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0013935(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0294377(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010054963(DE,A1)
【文献】中国実用新案第202274686(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 13/00-13/02,23/00-23/18,
27/00-27/02
F02G 5/00- 5/04
F01D 17/00-17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランキンサイクル上で動作する閉ループ回路(10)に含まれているガス状流体を検出および抽出する方法であって、前記ループ回路が、作動流体のための循環および圧縮ポンプ(12)と、温熱源(24)に組み合わされた熱交換器(18)と、膨張機械(30)と、冷却交換器(40)と、作動流体タンク(46)と、これらの構成要素を連結する循環管(50,52,54,56,58,60)との複数の構成要素を連結して具備する、方法において、
前記ループ回路は、該ループ回路の最下点に配置された圧力センサ及び温度センサを含み、このループ回路が非稼働状態であるときの前記ループ回路の最下点における前記作動流体の温度(Treelle)および圧力(Preelle)を測定することと、
前記測定した圧力(Preelle)が、予め与えられた周囲温度(T)に対する閾値(Pliquide sature)を超えると直ぐに、前記ガス状流体を前記ループ回路から排出させるために前記ガス状流体を抽出する機器(62)を稼働させることと、
を有し、
抽出機器(62)は、ループ回路の最高点との連結部(66)から始まる空気管(64)を含み、空気管(64)は、ガス状流体を抽出するための排出管(70)を支持する空気ポンプ(68)につながっており、空気管(64)は、空気ポンプ(68)と連結部(66)との間に制御弁(72)を支持し、空気管(64)内の空気の循環の制御を可能にする
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ループ回路は、作動流体の循環が抽出機器(62)で起こらずかつ前記測定した温度が前記周囲温度に実質上一致するときに、非稼働状態であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抽出機器(62)は、空気ポンプ(68)を作動させることによって、および、前記排出管の中の前記ガス状流体の循環を制御する前記制御弁(72)の開度を制御することによって、稼働することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
空気と、前記ランキンサイクルの前記ループ回路に使用される前記作動流体の分解または劣化から生じる任意の他のガス状流体と、のどちらかを含むガス状流体が、抽出されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抽出されるガス状流体は、前記ループ回路から送り出されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ランキンサイクル上で動作する閉ループ回路(10)に含まれているガス状流体を検出および抽出するためのデバイスであって、前記ループ回路が、液体形態の作動流体のための圧縮/循環ポンプ(12)と、前記流体の蒸発のために温熱源(24)によって掃引される熱交換器(18)と、前記流体を蒸気形態に膨張させる手段(30)と、前記作動流体の凝縮のための冷熱源によって掃引される冷却交換器(40)と、作動流体タンク(46)と、作動流体循環管(50,52,54,56,58,60)と、を有する、デバイスにおいて、
非稼働状態の前記閉ループ回路中のガス状流体の存在を検出するための計算テーブルに組み合わされた少なくとも1つの圧力センサ(74)および少なくとも1つの温度センサ(76)と、
前記ガス状流体を前記ループ回路から抽出する機器(62)と、を有し、
抽出機器(62)は、ループ回路の最高点との連結部(66)から始まる空気管(64)を含み、空気管(64)は、ガス状流体を抽出するための排出管(70)を支持する空気ポンプ(68)につながっており、空気管(64)は、空気ポンプ(68)と連結部(66)との間に制御弁を支持し、空気管(64)内の空気の循環の制御を可能にし、
前記圧力センサ(74)及び前記温度センサ(76)は、前記ループ回路の最下点に配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
前記計算テーブルは、モリエ線図のすべてまたは一部を有することを特徴とする請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
排出管(70)は、ガス状流体を外部に排出するものであることを特徴とする請求項またはに記載のデバイス。
【請求項9】
前記ガス状流体は、空気と、前記ランキンサイクルの前記ループ回路に使用される前記作動流体の分解または劣化から生じる任意の他のガス状流体と、のどちらかを含むことを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランキンサイクル上で動作する閉ループ回路に含まれているガス状流体を検出および抽出する方法に関し、また、その方法を用いるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
広く知られているように、ランキンサイクルは、熱力学サイクルであって、外部の熱源からの熱は、作動流体を含む閉ループ回路に伝達される。
【0003】
このサイクルは、一般にステージに分けられて、そこでは、使用される低凝固点作動流体が等エントロピの様式で圧縮され、それに続くステージでは、この圧縮された流体が熱源に触れることで加熱されて気化する。この蒸気は、次いで他のステージにおいて、膨張機械で等エントロピの様式で膨張され、その後、最後のステージでは、この膨張した蒸気が、冷熱源に触れることで冷却されて凝縮する。
【0004】
これらの様々なステージを達成するために、ループ回路は、液体形態の作動流体を圧縮してそれをループ回路の中で循環させるためのポンプと、圧縮流体の少なくとも部分的な蒸発のために高温流体によって掃引される熱交換器(または蒸発器)と、タービン発電機を形成するように電気発生器をそれに連結することによってこの蒸気のエネルギーを電気エネルギーなどの他のエネルギーに変換するタービンなどの蒸気を膨張させるための膨張機械と、蒸気に含まれる熱がそれによって冷熱源(一般には、この蒸気を液体に変換するようにこの凝縮器を掃引する冷却流体または外部空気)に与えられる他の熱交換器(または凝縮器)と、を含む。
【0005】
また、特に文献FR-2,884,555号によって、よく知られているのは、蒸発器を流れる流体を加熱および蒸発させる温熱源として、内燃機関、特に、モータ車両用に使用されるもの、の排出ガスによって伝達される発熱エネルギーを使用することである。
【0006】
これにより、ランキンサイクルループを介してモータ車両のために使用され得るエネルギーに変換するために、排出で失うエネルギーの大部分を取り戻すことで、このエンジンのエネルギー効率を改善することが可能となる。
【0007】
よく知られているように、ガス形態の流体は、このループ回路に存在する場合があり、作動流体の性能を下げたり、このランキンサイクルの全般的な効率を著しく落としたりするという主要な欠点を伴う。
【0008】
ガス形態の流体は、空気、または、作動流体の分解または劣化から生じる任意の他のガス状流体であり得る作動流体とは異なる流体であると理解される。
【0009】
説明を簡単にするため、下の説明の残りの部分では、考慮されるガス状流体は、空気であるものとする。
【0010】
この空気は、作動流体でそれを充填する際のループ回路の不完全なパージから、または、ループ回路の動作中にそれが含有する空気を脱着し得る作動流体から、あるいは、特にループ回路が遮断されるときにとりわけループ回路の様々な要素間の接合点でループ回路に漏れ入る空気から、結果として生じることがある。
【0011】
とりわけ文献US-2014/0,099,184号によって、よく知られているのは、閉ループ回路の中の空気の存在を検出すること、次いで、この空気をそれが閉じ込められる膨張機械に送ることである。
【0012】
そのような動作は、空気を膨張機械に導くための閉ループ回路を複雑化させるという主要な欠点を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、空気がないランキンサイクル閉ループ回路を常に動作させるための簡単で費用の掛からない方法およびデバイスを提供することによって上記欠点を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
こうして本発明は、ランキンサイクル上で動作する閉ループ回路に含まれているガス状流体を検出および抽出する方法に関し、前記ループ回路が、作動流体のための循環および圧縮ポンプと、温熱源に組み合わされた熱交換器と、膨張機械と、冷却交換器と、作動流体タンクと、これらの構成要素を連結する循環管との複数の構成要素を連結して具備する方法において、
このループ回路が非稼働状態であるときのループ回路の1つの点における作動流体の温度および圧力を測定することと、
測定した圧力が、予め与えられた周囲温度に対する閾値を超えると直ぐに、ガス状流体をループ回路から排出させるためにガス状流体を抽出する機器を稼働させることと、を有することを特徴とする。
【0015】
ループ回路は、作動流体の循環が抽出機器で起こらずかつ測定した温度が周囲温度に実質上一致するときに、非稼働状態である場合がある。
【0016】
作動流体の温度および圧力は、ループの高さが低い点で測定される場合がある。
【0017】
ループの高い点に配置されるガス状流体抽出機器が稼働する場合がある。
【0018】
抽出機器は、ガス状流体抽出ポンプを作動させることによって、および、ポンプをループ回路に連結している管の中のガス状流体の循環を制御する弁の開度を制御することによって、稼働する場合がある。
【0019】
空気と、前記ランキンサイクルループに使用される作動流体の分解または劣化から生じる任意の他のガス状流体と、のどちらかを含むガス状流体が、抽出される場合がある。
【0020】
抽出されるガス状流体は、ループ回路から送り出される場合がある。
【0021】
また本発明は、ランキンサイクル上で動作する閉ループ回路に含まれているガス状流体を検出および抽出するためのデバイスに関し、前記ループ回路が、液体形態の作動流体のための圧縮/循環ポンプと、前記流体の蒸発のために温熱源によって掃引される熱交換器と、流体を蒸気形態に膨張させる手段と、作動流体の凝縮のための冷熱源によって掃引される冷却交換器と、作動流体タンクと、作動流体循環管と、を有する、デバイスにおいて、
非稼働状態の閉ループ回路中のガス状流体の存在を検出するための計算テーブルに組み合わされた少なくとも1つの圧力センサおよび少なくとも1つの温度センサと、
ガス状流体をループ回路から抽出する機器と、を有することを特徴とする。
【0022】
計算テーブルは、モリエ線図のすべてまたは一部を有する場合がある。
【0023】
ガス状流体抽出機器は、ループ回路に連結されるガス状流体抽出ポンプを有する場合がある。
【0024】
機器は、ガス状流体抽出ポンプにループ回路を連結するガス状流体管を有する場合がある。
【0025】
機器は、ガス状流体管の中のガス状流体循環の制御を可能にする制御弁を有する場合がある。
【0026】
機器は、ガス状流体を外側に排出するための管を有する場合がある。
【0027】
ガス状流体は、空気と、前記ランキンサイクルループ回路に使用される作動流体の分解または劣化から生じる任意の他のガス状流体と、のどちらかを含む場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の他の特徴および利点については、添付の図面を参照して非限定の例として与えられる以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。
図1】本発明に係る方法およびデバイスを用いてランキンサイクル上で動作する閉ループ回路を例示する図である。
図2】本発明に係る方法のために使用される圧力対特定エンタルピをプロットしているモリエ線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、ランキンサイクル閉ループ回路10を例示しているが、有利なことにはORC(有機ランキンサイクル)タイプであり、ブタン、エタノール、ハイドロフルオロカーボン、二酸化炭素などの有機流体または有機流体の混合物を使用している。
【0030】
閉ループ回路がアンモニアや水などの非有機的な流体で動作する場合があることが理解される。
【0031】
このループ回路は、以下の説明では循環ポンプと呼ぶ作動流体のための循環および圧縮ポンプ12を含み、該ポンプは、液体形態の作動流体のための入口14と、液体形態でもあるが高圧下で圧縮された作動流体のための出口16と、を備えている。このポンプは、有利なことには、電気モータ(図示せず)などの何らかの手段によって回転する。
【0032】
また、このループは、蒸発器と呼ぶ熱交換器18も含み、該熱交換器は、圧縮作動流体が、この液状流体用の入口20と、作動流体がそれを通って圧縮された蒸気形態で蒸発器から出て行く出口22と、の間を横断する。この蒸発器は、液体形態またはガス形態の温熱源24が横断する。
【0033】
この温熱源は、内燃機関28の排出ライン26中を循環する排出ガス、内燃機関の冷却剤、産業炉の冷却剤、または、火力発電所やバーナによって加熱される熱キャリア流体から、生じる場合がある。
【0034】
また、ループ回路は、高い圧力レベルに圧縮された蒸気の形態の作動流体を入口32を介して受け取る膨張機械30も含んでおり、この流体は、出口34を介して低い圧力レベルまで膨張した蒸気の形態でこの機械から出ていく。
【0035】
有利なことには、この膨張機械は、膨張タービンの形態であり、そのロータシャフトは、蒸気形態の作動流体によって、連結シャフト36(一点鎖線で示す)を回転駆動することによって回転する。このシャフトが、作動流体からの回収エネルギーを、例えば、電気発生器38などの任意の変換デバイスに伝達するのを可能にすることが好ましい。
【0036】
さらにループ回路は、冷却交換器40すなわち凝縮器を含み、該凝縮器は、膨張した低圧蒸気のための入口42と、この凝縮器を通過後の液体形態に変換された低圧作動流体のための出口44と、を備えている。凝縮器は、凝縮して液体に変わるように、膨張した蒸気を冷却するために、冷熱源、一般には冷水流によって通常周囲温度で掃引される。もちろん、別の冷却剤または冷気などの任意の他の冷熱冷却源は、蒸気の凝縮を確実にするために使用することができる。
【0037】
また、このループ回路は、凝縮器および循環ポンプ間に、作動流体を液体状態に維持するのを可能にする密閉タンク46と、好ましくは、タンクを出る作動流体をポンプ内へ供給する前にフィルタ濾過するカートリッジフィルタなどのフィルタ48とを含む。
【0038】
ループ回路の様々な要素は、流体循環管50,52,54,56,58,60によって相互に連結されており、該循環管は、ポンプから蒸発器(蒸発器管50)、蒸発器からタービン(タービン管52)、タービンから凝縮器(凝縮器管54)、凝縮器からタンク(タンク管56)、タンクからフィルタ(フィルタ管58)、および、フィルタからポンプ(ポンプ管60)、の連続した連結を可能にし、したがって、作動流体は、時計回りに循環する。
【0039】
図1に示すように、ループ回路は、ガス状流体抽出機器62をさらに含み、流体は、ここでは空気であり、ガス状流体抽出機器62は、ループ回路の最高点すなわち空気が蓄積されるループ回路中の点に配置される。
【0040】
この抽出機器は、ループ回路の最高点との連結部66で始まる空気管64を含み、そこは、図1に示すように、管52などの、ループ回路の最も高い管のうちの1つである。この空気管は、空気抽出手段、ここでは、空気抽出ポンプと呼ぶポンプ68につながっており、抽出した空気をループ回路の外側にまたはバッファタンク(図示せず)に送る排出管70を支持している。空気管は、空気ポンプと連結部との間に弁72、有利なことには制御弁を支持し、空気管内の空気の循環の制御を可能にしている。
【0041】
ループ回路は、有利なことには、圧力センサ74および温度センサ76を有し、該センサは、図1に示したようなループ回路を考慮して、ループ回路の最下点に、すなわち、高さが最も低い点の管のうちの1つに配置することが好ましい。これらのセンサは、タービンの出口と循環ポンプの入口との間のループ回路の低圧ゾーンに位置することが好ましい。
【0042】
一例として、これらのセンサは、管56上の凝縮器40の出口に配置されることが好ましい。こうして圧力センサ74は、低圧下にあるループ回路の部分に行き渡る圧力を検知することを可能にし、その一方、温度センサは、ループ回路を循環する流体の基本的に最低温度である凝縮器から出ていく作動流体の温度を検知することを可能にする。
【0043】
もちろん、例えば、計算機タイプの制御ユニット78が、設けられ、弁や空気ポンプなどのループ回路の様々なアクチュエータを駆動し、圧力センサ74や温度センサ76などの様々なセンサから測定値を受け取る。
【0044】
また、この計算機は、飽和液体曲線方程式Pliquide sature=f(T)を特に備える計算テーブルを有しており、測定した温度Treelleの関数として液体圧力Pliquide satureの理論値を知ることを可能にする。
【0045】
より詳細には、この曲線は、この流体の特定のエンタルピ(kj/kg単位)に対する作動流体の圧力(バール単位でP)を考慮に入れているモリエ線図(図2参照)から導かれる。
【0046】
有利なことには、この曲線は、モリエ線図の一部に対応することができる。実際上、温度に対する飽和液体圧力曲線を認識することで十分である。
【0047】
こうして空気抽出機器、センサ、および、計算機から作り出される組立体は、閉ループ回路で使用されるガス状流体のための検出および抽出デバイスを形成する。
【0048】
このループ回路に適用される方法は、非稼働序受胎のループ回路中のガス状流体、ここでは空気、の存在を検出することと、この空気をこのループ回路から抽出することと、によって実現される。
【0049】
空気の存在を検出するために、方法は、ループ回路が非稼働状態であって作動流体が冷たいとき、例えば、ループ回路を再スタートする前に、ループ回路中の圧力センサおよび温度センサを用いて、流体の熱力学的な圧力Preelleおよび温度Treelleの状態を測定することによって実現される。
【0050】
閉ループ回路は、作動流体の循環が抽出機器62で起こらないときや、作動流体が冷たい、すなわち、流体の温度Treelleが周囲温度Tであるかまたはそれに近い(±5℃の範囲内)とき、非稼働状態であると考えられる。
【0051】
いったんこれらの状態に達すれば、2つの値、PreelleおよびPliquide satureは、周囲温度Tの関数としてモリエ線図から比較される。
【0052】
こうして、一例として、25℃の周囲温度Tに関して:
・Preelle図2に示すように閾値Pliquide satureに等しいかまたはこの圧力に近い場合(±3%の範囲内)(点A)、空気はループ内に存在せず、他の動作は要求されず;
・Preelle図2に示すように閾値Pliquide satureを超える場合(点B)、ループは、その上部部分に蓄積された空気を含み、この低密度空気は、必然的に高さが最も高いボリューム(ここでは管52)の中に局在化され、修正アクションが要求される。
【0053】
修正アクションは、ループ回路の高い点に配置されている抽出機器62を使用可能にすることによって、ループ回路内に含まれている空気を抽出することで実現される。
【0054】
空気抽出ポンプ68が、次いで稼働し、弁72の開度は、ループ回路10に対する接続部66とポンプ68との間の空気の自由な循環を可能にするように、制御される。
【0055】
抽出空気は、次いで大気にまたは管70を介して貯蔵ボリュームに排出される。
【0056】
もちろん、空気抽出ポンプの稼働時間および弁の開く時間をパラメータ化することは、特に、差Preelle-Pliquide satureの進化の関数として、空気の完全な抽出を得るために、当業者の到達範囲内にある。
【0057】
この修正アクションの最後では、空気などのガスがない作動流体を含むループ回路が得られる。
【0058】
ループ回路は、次いで稼働可能にされる場合があり、その間、必要とされる性能のすべてを提供する。
図1
図2