(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】チェーンシャトリングに有用な封鎖されたマルチまたはデュアルヘッド組成物、およびそれを調製するプロセス
(51)【国際特許分類】
C08F 2/38 20060101AFI20220224BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20220224BHJP
C08F 4/54 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
C08F2/38
C08F10/00 510
C08F4/54
(21)【出願番号】P 2019516531
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 US2017054443
(87)【国際公開番号】W WO2018064546
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-17
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】リクシン・サン
(72)【発明者】
【氏名】ヂゥ・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】エドモンド・エム・カーナハン
(72)【発明者】
【氏名】キム・エル・ウォルトン
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/002000(WO,A1)
【文献】特表2013-500384(JP,A)
【文献】特開2003-286321(JP,A)
【文献】BARRETT, Anthony G. M. et al.,Bidirectional Asymmetric Allylboration. A Convenient Asymmetric Synthesis of C2-Symmetric 3-Methylenepentane-1,5-diols and Rapid Access to C2-Symmetric Spiroketals,Journal of Organic Chemistry,2000年,V65,N2,P375-380,ISSN: 1520-6904
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
各MAは、Al、B、またはGaであり、
各MBは、
Znであり、
mは、0から1までの数であり、
nは、1から100までの数であり、
YYは、連結基の誘導体であり、前記連結基は、少なくとも2つのビニル基を含むC
4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、および
各J2およびJ3は、
以下の構造式からなる群から選択される歪みオレフィンの誘導体である。)を有する組成物。
【化3】
【化4】
(式中、
J1は、水素またはC
1-20
アルキル基であり、かつ
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、水素、置換もしくは非置換のC
1-20
アルキル基、または置換もしくは非置換のC
6-20
アリール基であり、
XX2、XX3、XX4、およびXX5は、同一であっても、異なっていてもよく、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
XX2、XX3、XX4、およびXX5のうちの2つは、任意選択で環式構造を形成し得る。)
【請求項2】
以下の構造式:
【化2】
(式中、J1は、水素またはC
1-20アルキル基である。)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
以下の構造式:
【化5】
(式中、
J1は、水素またはC
1-20アルキル基であり、
ZZは、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含む直鎖状または分岐鎖状のC
4-100ヒドロカルビル基であり、ZZは、脂肪族または芳香族であってもよい。)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
YYが、アルファ,オメガ-ジエンの誘導体である、
請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
式(I):
【化8】
(式中、
各MAは、Al、B、またはGaであり、
各MB、は
Znであり、
mは、0から1までの数であり、
nは、1から100までの整数であり、
YYは、連結基の誘導体であり、前記連結基は、少なくとも2つのビニル基を含むC
4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、および
各J2およびJ3は、
以下の構造式からなる群から選択される歪みオレフィンの誘導体である。)を有する組成物を調製するためのプロセスであって、
【化3】
【化4】
(式中、
J1は、水素またはC
1-20
アルキル基であり、かつ
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、水素、置換もしくは非置換のC
1-20
アルキル基、または置換もしくは非置換のC
6-20
アリール基であり、
XX2、XX3、XX4、およびXX5は、同一であっても、異なっていてもよく、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
XX2、XX3、XX4、およびXX5のうちの2つは、任意選択で環式構造を形成し得る。)
(a)連結基、有機金属化合物、共触媒、溶媒、第1の触媒前駆体、および
前記歪みオレフィンを組み合わせることと、(b)式(I)を有する前記組成物を含む最終溶液を得ることとを含み、前記連結基が、少なくとも2つのビニル基を含むC
4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含む、プロセス。
【請求項6】
前記連結基が、1,2,4-トリビニルシクロヘキサンであり、前記歪みオレフィンが、以下の構造式:
【化9】
(式中、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、水素、置換もしくは非置換のC
1-20アルキル基、または置換もしくは非置換のC
6-20アリール基であり、
XX2、XX3、XX4、およびXX5は、同一であっても、異なっていてもよく、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
XX2、XX3、XX4、およびXX5のうちの2つは、任意選択で環式構造を形成し得る。)からなる群から選択される、
請求項5に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、チェーンシャトリングに有用な封鎖されたマルチヘッドまたはデュアルヘッド組成物、およびそれを調製するプロセスに関する。一態様において、封鎖された組成物は、オレフィン重合において使用され得る。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンの性質および用途は、それらの調製に使用される触媒の特定の特徴に、様々な程度で依存する。特定の触媒組成、活性化条件、立体的および電子的特徴等はすべて、得られるポリマー生成物の特性の要因となる。実際、コモノマーの組み込み、分子量、多分散性、長鎖分岐等の多数のポリマー特性、および密度、弾性率、溶融特性、引張特性、および光学特性等の関連する物理特性はすべて、触媒設計の影響を受ける。
【0003】
近年、ポリマーの設計における進歩が、チェーンシャトリングに有用な組成物の使用とともに見られている。そのような組成物は、単一のポリマー分子の一部が少なくとも2つの異なる触媒によって合成されるように、異なる触媒部位間で成長するポリマー鎖を交換することができる可逆的連鎖移動能を有する。ポリマー鎖の部分が、異なるプロセス条件下で、2つ以上のゾーンまたは反応器中で作製することができるように、これらの組成物はまた、成長するポリマー鎖の寿命を延ばすことができる。現在、チェーンシャトリングに有用な最もよく知られている組成物は、一方の末端が金属亜鉛で終端されたポリマー鎖を生成するジエチル亜鉛のように、典型的には各ポリマー鎖について金属への単一結合点のみを含む単純金属アルキルである。2つの金属に結合したアルカン部分を有するマルチヘッドまたはデュアルヘッドチェーンシャトリング剤(CSA)等の、チェーンシャトリングに有用なより洗練された組成物も知られている。確かに、マルチヘッドまたはデュアルヘッドCSAは、テレケリック官能性ポリマー等の新しいポリオレフィンの生成を可能にし得るため、非常に興味深いものである。しかしながら、反応器内で高純度のテレケリックポリマー鎖を生成するためのマルチヘッドまたはデュアルヘッドCSAの使用には大きな課題がある。
【発明の概要】
【0004】
ある特定の実施形態において、本開示は、式(I)
【0005】
【0006】
を有する組成物もしくはその集合体、ルイス塩基含有誘導体、またはそれらの任意の組み合わせに関連し、式中、
各MAは、Al、B、またはGaであり;
各MBは、ZnまたはMgであり;
mは、0から1までの数であり;
nは、1から100までの数であり;
YYは、連結基の誘導体であり、連結基は、少なくとも2つのビニル基を含むC4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み;
各J2およびJ3は、歪みオレフィンの誘導体である。
【0007】
ある特定の実施形態において、本開示は、式(I)を有する組成物を調製するためのプロセスであって、(a)連結基、有機金属化合物、共触媒、溶媒、第1の触媒前駆体、および歪みオレフィンを組み合わせることと、(b)式(I)を有する組成物を含む最終溶液を得ることとを含み、連結基は、少なくとも2つのビニル基を含むC4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含むプロセスに関する。
【0008】
ある特定の実施形態において、本開示は、ポリマー組成物を調製するための重合プロセスであって、少なくとも1つのオレフィンモノマーを触媒組成物と接触させることを含み、触媒組成物は、第2の触媒前駆体、共触媒、および式(I)を含むプロセスに関する。
【0009】
ある特定の実施形態において、本開示は、ポリマー組成物を調製するための重合プロセスであって、少なくとも1つのオレフィンモノマーを触媒組成物と接触させることを含み、触媒組成物は、第2の触媒前駆体、共触媒、および式(I)を有する組成物の反応生成物を含み、第2の触媒前駆体は、式(I)を有する組成物を調製するために使用される第1の触媒前駆体と同じ化合物であってもよいプロセスに関する。
【0010】
ある特定の実施形態において、本開示は、少なくとも1つの触媒前駆体、少なくとも1つの共触媒、および式(I)を有する組成物の反応生成物を含む触媒組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】参考例の組成物の
1H NMRスペクトルを示す図である。
【
図2】参考例の組成物の
13C NMRスペクトルを示す図である。
【
図3A】参考例の組成物のGCMSを示す図である。
【
図3B】参考例の組成物のGCMSを示す図である。
【
図4】参考例の組成物の存在下で重合した重水素標識ポリエチレンの
13C NMRスペクトルを示す図である。
【
図5】実施例1の組成物の
1H NMRスペクトルを示す図である。
【
図6】は実施例1の組成物のGCMSを示す図である。
【
図7】は実施例1の組成物のGCMSを示す図である。
【
図8】実施例1の組成物の存在下で重合した重水素標識ポリエチレンの
13C NMRスペクトルを示す図である。
【
図9】実施例1の組成物の存在下で重合したポリエチレンのGPC曲線を示す図である。
【
図10】実施例2の組成物の
1H NMRスペクトルを示す図である。
【
図11】実施例2の組成物のGCMSを示す図である。
【
図12】実施例3の組成物のGCMSを示す図である。
【
図13】実施例4の組成物の
1H NMRスペクトルを示す図である。
【
図14】実施例4の組成物のGCMSを示す図である。
【
図15】実施例4の組成物の存在下で重合した重水素標識ポリエチレンの
13C NMRスペクトルを示す図である。
【
図16】実施例4の組成物の存在下で重合したポリエチレンのGPC曲線を示す図である。
【
図17】シリカ処理前の実施例5の組成物のGCMSを示す図である。
【
図18】シリカ処理後の実施例5の組成物のGCMSを示す図である。
【
図19】実施例6に関して生成されたポリマーの
13C NMRスペクトルを示す図である。
【
図20】実施例6に関して生成されたポリマーのTGIC曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、封鎖されたマルチヘッドまたはデュアルヘッド組成物(すなわち、式(I)を有する組成物)、およびそれを調製するプロセスに関する。ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物は、マルチヘッドまたはデュアルヘッドチェーンシャトリング剤であってもよい。さらなる実施形態において、式(I)を有する組成物は、マルチヘッドまたはデュアルヘッド連鎖移動剤であってもよい。ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物は、テレケリック官能性ポリマーを生成することが可能であってもよい。
【0013】
定義
元素周期表への全ての言及は、CRC Press,Inc.,1990によって出版および著作権保護された元素周期表を指す。また、族(複数可)へのいかなる言及も、族の番号付けのためのIUPACシステムを使用する、この元素周期表に反映される族(複数可)に対するものとする。相反して述べられていないか、文脈から暗黙的であるか、または当該技術分野で習慣的でない限り、全ての部品およびパーセントは重量に基づき、全ての試験プロセスは、本開示の出願日の時点で最新のものである。米国特許慣行のため、参照されるいかなる特許、特許出願、または刊行物の内容の全体も、特に合成技術、製品設計および加工設計、ポリマー、触媒、定義(本開示に具体的に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度まで)の開示、および当該技術分野における一般的知識に関して、参照により組み込まれる(またはその米国版に相当するものの全体が、参照によりそのように組み込まれる)。
【0014】
本開示における数の範囲は、式(I)を有する組成物に関する場合、概数であり、したがって別段に指定されない限り、範囲外の値を含み得る。数値範囲には、分数や小数を含む、下限値および上限値(これらを含む)からのすべての値が含まれる。
【0015】
本明細書中の化合物の名称がその構造的表示と一致しない場合には、構造的表示が優先するものとする。
【0016】
式(I)を有する組成物を参照して、当業者により理解されるように、mが1という数字である場合、J3およびMAは、式(I)を有する組成物から除外される(MBは含まれる)。同様に、mが0という数字である場合、MBは、式(I)を有する組成物から除外される(J3およびMAは含まれる)。
【0017】
ある特定の実施形態において、J1、J2、およびJ3のそれぞれは、ヒドロカルビル基であってもよい。ヒドロカルビル基の例には、C1-20アルキル基(分岐または非分岐)、アリール基、およびアリールアルキル基が含まれる。ヒドロカルビル基の具体例には、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-オクチル、イソオクチル、またはそれらの異性体が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、ヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含有する少なくとも1つの置換基を有する置換ヒドロカルビル基であってもよい。本明細書で使用されるヘテロ原子は、水素および炭素を除く全ての原子を含む。
【0018】
「チェーンシャトリング剤」および「連鎖移動剤」という用語は、当業者に知られているものを指す。具体的には、用語「シャトリング剤」または「チェーンシャトリング剤」は、重合条件下で様々な活性触媒部位間でポリメリル移動を引き起こすことができる化合物または化合物の混合物を指す。すなわち、ポリマー断片の移動は、容易かつ可逆的な様式で活性触媒部位へのおよびそこからの両方で起こる。シャトリング剤またはチェーンシャトリング剤とは対照的に、いくつかの主族アルキル化合物等の単に「連鎖移動剤」として作用する物質は、例えば、連鎖移動剤上のアルキル基を、触媒上の成長ポリマーと交換し得、これは一般にポリマー鎖の成長の停止をもたらす。この場合、主鎖中心は、チェーンシャトリング剤が行うような様式で触媒部位との可逆的移動に関与するのではなく、死んだポリマー鎖の貯蔵部として作用し得る。望ましくは、チェーンシャトリング剤とポリアリール鎖との間に形成された中間体は、この中間体と他の任意の成長ポリメリル鎖との間の交換に対して十分に安定ではなく、したがって連鎖停止は比較的稀である。
【0019】
米国特許第8,501,885B2号に開示されているものおよび当技術分野で公知のもの等の「マルチヘッドまたはデュアルヘッドチェーンシャトリング剤」は、遷移金属触媒重合中に連鎖移動に関与する金属-アルキル結合を有する種を含む。これらのチェーンシャトリング剤はオリゴマーであり得るか、種の混合物からなり得るか、またはその両方であり得るため、それらが溶液中で使用される際、CSA溶液は典型的には異なる種の複雑な混合物を含むことから、これらの物質を正確に説明することは難しい。したがって、本明細書に開示されている有用なCSAは、典型的には、平均組成、マルチヘッド部位原子価の平均数、シングルヘッド部位原子価の平均数、およびこれらの数の比を使用して説明される。
【0020】
用語「デュアルヘッド」または「マルチヘッド」は、多価連結基によって結合された2つ以上のチェーンシャトリング部分を含む化合物または分子を指す。単なる例示として、デュアルヘッドCSAの一例は、一般式R1-[Zn-R2-]NZn-R1またはR1-[AlR1-R2-]NAlR1
2の化合物として提供され、式中、R1は、一価のヒドロカルビル基であり、R2は、二価ヒドロカルバジイル基である。実際には、適切なチェーンシャトリング部分は、典型的には、元素周期表の2~14族から選択され、配位重合触媒によって調製された成長ポリマー鎖を可逆的に結合することができる1以上の利用可能な原子価を有する金属から誘導される。チェーンシャトリング部分が成長ポリマー鎖に結合するのと同時に、1つまたは複数のチェーンシャトリング部分の喪失後に残っている多価連結基の残りが、1以上の活性触媒部位に取り込まれるかまたは別様に結合し、それによって、元々多価連結基であったものの一方の末端にポリマー挿入が可能な活性配位重合部位を含む触媒組成物が形成される。連結基に結合した新しいポリマー鎖をチェーンシャトリング部分に戻すことにより、連結基を含み両端で主族金属CSAに結合したポリマー鎖の一部分が効果的に成長する。
【0021】
本明細書で使用される「誘導体」という用語は、金属アルキル結合への前記化学基の挿入反応後の化学基の反応生成物を指す。例えば、R1-[Zn-R2-]NZn-R1における「R2」は、EtZn[(CH2C(Et)H(CH2)6C(Et)HCH2)Zn]NEtを形成する連結基CH2=CH(CH2)6CH=CH2およびZn(Et)2の誘導体反応生成物を定義することができる。この例では、R2は、連結基CH2=CH(CH2)6CH=CH2のZn-Et結合への挿入の誘導体である、-CH2C(Et)H(CH2)6C(Et)HCH2-である。
【0022】
「連結基」という用語は、その誘導体が、各金属の金属アルキル結合に挿入することによって分子内で複数の金属種を一緒に連結する化学種である。上記の例では、CH2=CH(CH2)6CH=CHは、N+1亜鉛種を結合して種EtZn[(CH2C(Et)H(CH2)6C(Et)HCH2)Zn]NEtを形成する「連結基」である。
【0023】
本明細書で使用される「誘導体」および「連結基」という用語のさらなる非限定的な例として、R-[Zn-Y-]nZn-R中の「Y」は、以下に示す例示的で非限定的な構造を形成する連結基1,2,4-トリビニルシクロヘキサン(TVCH)の誘導体(すなわち、反応生成物)を定義することができる。この例では、Yは、亜鉛原子に挟まれた構造であり、前記構造は、連結基TVCHのZn-R結合への挿入の誘導体である。
【0024】
【0025】
本明細書で使用される「前駆体」または「触媒前駆体」という用語は、活性化共触媒と組み合わされると、不飽和モノマーの重合が可能である遷移金属種を指す。例えば、Cp2Zr(CH3)2は、触媒前駆体であり、活性化共触媒と組み合わせると、不飽和モノマーの重合が可能である活性触媒種「Cp2Zr(CH3)+」となる。
【0026】
「封鎖基」は、この誘導体からのさらなる連鎖移動またはチェーンシャトリング反応の速度が非常に遅くなるように、第一金属アルキル結合に本質的に不可逆的に挿入する種である。
【0027】
式(I)または式(I)の定義内に含まれる任意の構造式を有する組成物に関して、本明細書で使用される記号「*」は、置換基の炭素と式(I)を有する組成物の金属(MAまたはMB)との間の結合点として働く炭素-金属結合を指す。
【0028】
「触媒前駆体」には、当技術分野において公知のもの、ならびにWO2005/090426、WO2005/090427、WO2007/035485、WO2009/012215、WO2014/105411、米国特許公開第2006/0199930号、第2007/0167578号、第2008/0311812号、および米国特許第7,355,089B2号、第8,058,373B2号、および第8,785,554B2号に開示されているものが含まれ、これらは全て参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。「遷移金属触媒」、「遷移金属触媒前駆体」、「触媒」、「触媒前駆体」、「重合触媒または触媒前駆体」、「プロ触媒」、「金属錯体」、「錯体」、「金属-配位子錯体」等の用語、および同様の用語は、本開示において交換可能である。
【0029】
「有機金属化合物」とは、金属-炭素結合R-Mを含む任意の化合物を指し、本開示に関連するものとして当技術分野で公知のものを含む。
【0030】
「共触媒」は、触媒前駆体を活性化して活性触媒組成物を形成することができる、当技術分野において公知のもの、例えばWO2005/090427および米国特許第8,501,885B2号に開示されているものを指す。「活性剤」等の用語は、「共触媒」と交換可能に使用される。
【0031】
「触媒系」、「活性触媒」、「活性化触媒」、「活性触媒組成物」、「オレフィン重合触媒」という用語および同様の用語は交換可能であり、触媒前駆体/共触媒対を指す。そのような用語はまた、2種以上の触媒前駆体および/または2種以上の活性剤および任意選択で共活性剤を含み得る。同様に、これらの用語はまた、2種以上の活性化触媒、および1つ以上の活性剤または他の電荷平衡部分、および任意選択で共活性剤を含み得る。
【0032】
「溶媒」は、当技術分野において公知のもの、および当業者により本開示に適切であることが知られているものを指す。適切な溶媒には、トルエン等の芳香族炭化水素、ならびにIsopar(商標)およびヘプタン等の脂肪族炭化水素が含まれる。
【0033】
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製される化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、通常、1つ類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられるホモポリマーという用語、および後に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。ポリマーはまた、すべての形態のインターポリマー、例えば、ランダム、ブロック、均一、不均一等を包含する。
【0034】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。これらの総称には、古典的なコポリマー、すなわち、2種の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマー、および、2種を超える異なるタイプのモノマーから調製されるポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマー等の両方が含まれる。
【0035】
「ブロックコポリマー(block copolymer)」または「セグメント化コポリマー(segmented copolymer)」という用語は、直鎖状に結合した2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわちペンダント型またはグラフト化形態ではなく、重合した官能基に関して(共有結合で)端から端まで結合した化学的に区別される単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性の種類もしくは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、部位規則性もしくは部位不規則性、長鎖分岐もしくは超分岐を含む分岐の量、均質性、および/または任意の他の化学的もしくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒と組み合わせたシャトリング剤(複数可)の使用の効果に基づいて、ポリマー多分散性(PDIまたはMw/Mn)およびブロック長分布の両方の独特の分布を特徴とする。
【0036】
式(I)を有する封鎖されたマルチまたはデュアルヘッド組成物
以下のすべてのスキームおよび議論は例示のためだけのものであり、決して限定することを意味するものではない。本明細書に記載されるように、マルチヘッドまたはデュアルヘッド組成物(例えば、マルチヘッドまたはデュアルヘッドCSA)は、テレケリック官能性ポリマーの生成を可能にし得るため、非常に興味深い。具体的には、例示的で非限定的なスキーム1の一般的なデュアルヘッド型組成物に関して、2個の亜鉛原子の間に挟まれたコアYY基は、末端ポリメリル-金属結合を介して鎖の両端が亜鉛原子に結合したポリマー鎖に成長し得る。続いて、末端ポリメリル-金属結合を官能化化学により所望の官能基に変換し、それにより所望の二官能性ポリマー鎖を得ることができる。例示的で非限定的なスキーム1の組成物は、モノマー(n=1)またはオリゴマー(n>1)の形態であってもよい。この場合、亜鉛は、例示的で非限定的な金属である。この場合、YYは、連結基の誘導体であってもよく、連結基は、少なくとも2つのビニル基を含むC4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含む。
【0037】
【0038】
しかしながら、反応器内で高純度テレケリックポリマーを生成するためには重要な課題が存在する。例えば、例示的で非限定的なスキーム1に見られるように、オリゴマーのデュアルヘッド組成物の末端の亜鉛原子は、ペンダント/末端R’基を有する。この場合、ペンダントR’基はアルキル基であってもよく、これは、組成物の中央にあるコアYY基部分よりも連鎖移動反応に関してより反応性となり得る。したがって、重合中、末端R’基は、官能化後に望ましくない単官能性ポリマー鎖となるポリマー鎖に成長する。所望の二官能性ポリマー鎖と比較して望ましくない単官能性ポリマー鎖の量を低減するための1つの手法は、オリゴマーの(n)値を増加させることであるが、そのようなアプローチは、特に溶液プロセスに関して、反応器操作性の問題(例えば高粘度)を引き起こす、より高い反応器内分子量鎖をもたらす。したがって、コアYY基から許容され得る純度を有する二官能性ポリマーを生成するために、末端R’基が望ましくない一官能性ポリマーに成長するのを防止する手法が、最新技術において極めて必要とされている。
【0039】
ある特定の実施形態において、本開示は、例えば、例示的で非限定的なスキーム1の末端R’基を、重合触媒との非常に低い連鎖移動速度またはチェーンシャトリングを有し、したがってポリマー鎖に成長しない(すなわち、望ましくない単官能性ポリマー鎖が生成されることがない)封鎖基で置換することに関する。結果として、所望の二官能性ポリマー鎖のみが、コアYY基からオレフィン重合および官能化を介して成長し、それによって純粋なテレケリックポリマーの生成が可能になる。
【0040】
したがって、ある特定の実施形態において、本開示は、それぞれ歪みオレフィンの誘導体であるJ2およびJ3に関して、式(I)を有する組成物に見られるように、末端封鎖基を有するマルチヘッドまたはデュアルヘッド組成物に関する。
【0041】
さらに、本開示のある特定の実施形態は、式(I)を有する組成物を調製するためのプロセスであって、(a)連結基、有機金属化合物、共触媒、溶媒、触媒前駆体、および歪みオレフィンを組み合わせることと、(b)式(I)を有する組成物を含む最終溶液を得ることとを含み、連結基は、少なくとも2つのビニル基を含むC4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含むプロセスに関する。この場合、このプロセスによって調製された式(I)を有する組成物の末端封鎖基は、それぞれ歪みオレフィンの誘導体であるJ2およびJ3である。
【0042】
さらなる実施形態において、式(I)を有する組成物を調製するプロセスは、(a)連結基、有機金属化合物、共触媒、溶媒、および触媒前駆体を組み合わせて第1の溶液を形成することと、(b)第1の溶液を歪みオレフィンと組み合わせて、式(I)を有する組成物を含む最終溶液を形成することとを含み、連結基は、少なくとも2つのビニル基を含むC4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含む。これに関して、追加の有機金属化合物および共触媒が任意選択で(b)の間に添加されてもよい。
【0043】
ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物を調製するためのプロセスは、単離、精製、または分離の要件を全く伴わないワンポットプロセスである。さらなる実施形態において、式(I)を有する組成物を調製するためのプロセスはワンポットプロセスであり、触媒前駆体は(共触媒と組み合わせて)最終溶液中に活性触媒として残り、さらに次のオレフィン重合のための活性触媒として機能することができ、また次のオレフィン重合の前に除去する必要がない。ある特定の実施形態において、触媒前駆体は、その後のオレフィン重合に有害な影響を及ぼさず、優れた高級アルファ-オレフィン組み込み(すなわち優れたコモノマー組み込み)触媒である。
【0044】
ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物は、最終溶液中で活性を維持し、オレフィン重合中にチェーンシャトリング剤または連鎖移動剤としてさらに機能することができる。したがって、ある特定の実施形態において、本開示のプロセスはワンポットプロセスであり、プロセスの最終溶液(活性触媒および式(I)を有する組成物を含む)は、任意の単離、精製、または分離の必要性なしに、および除去可能な担持触媒を有する必要性なしに、オレフィン重合反応に直接使用することができる。
【0045】
したがって、ある特定の実施形態において、本開示は、ポリマー組成物を形成するための少なくとも1つの付加重合性モノマー(すなわちオレフィンモノマー)の重合のための重合プロセスであって、重合条件下で少なくとも1つの付加重合性モノマー(すなわちオレフィンモノマー)を触媒組成物と接触させることを含み、触媒組成物は、少なくとも1つの触媒前駆体、少なくとも1つの共触媒、および式(I)を有する組成物の接触生成物(すなわち反応生成物)を含むプロセスに関する。さらなる実施形態において、本開示は、ポリマー組成物を形成するための少なくとも1つの付加重合性モノマー(すなわちオレフィンモノマー)の重合のための重合プロセスであって、重合条件下で少なくとも1つの付加重合性モノマー(すなわちオレフィンモノマー)を触媒組成物と接触させることを含み、触媒組成物は、少なくとも1つの触媒前駆体、少なくとも1つの共触媒、および式(I)を有する組成物の接触生成物(すなわち反応生成物)を含み、重合プロセスの触媒前駆体はまた、式(I)を有する組成物を調製するために使用される触媒前駆体であるプロセスに関する。換言すれば、式(I)を有する組成物を形成するために使用される触媒前駆体は、オレフィン重合反応に使用される触媒前駆体と同じ化合物である。
【0046】
最終溶液中に残っている触媒を重合に直接使用することができるが、ある特定の実施形態において、最終溶液中の触媒は、当業者に知られた手段によって、例えば最終溶液をシリカ、アルミナ、または式(I)を有する組成物と反応することなく、または少量の割合を超える組成物を除去することなく活性触媒を除去する他の床媒体のプラグに通すことによって、任意選択で重合の前に最終溶液から除去されてもよい。好ましくは、除去プロセスは、脱水非晶質シリカを使用する。
【0047】
歪みオレフィン封鎖基
式(I)を有する組成物の末端封鎖基は、立体障害のある金属-炭素結合を形成するアルケンを含む「歪みオレフィン」から選択され得る。これらの立体障害部位上の連鎖移動は、金属とコアYY基(すなわち連結基の誘導体)との間のより障害の少ない結合と競合して速度論的に好ましくない。したがって、封鎖基が連鎖移動反応を生じさせ、ポリマー成長が式(I)を有する組成物のより立体障害の少ないコアYY基上で選択的に生じるため、望ましくない単官能性ポリマー鎖が成長するのが防止される。
【0048】
したがって、ある特定の実施形態において、本開示は、スキーム2に見られるように、マルチヘッドまたはデュアルヘッド組成物の末端を封鎖するための歪みオレフィンの添加に関し、これは例示的かつ非限定的である。
【0049】
【0050】
例示的で非限定的なスキーム2のための触媒プロセスは、スキーム3でさらに詳述され、これもまた例示的かつ非限定的である。
【0051】
【0052】
ある特定の実施形態において、封鎖基は、以下の構造式を含むがこれらに限定されない「歪みオレフィン」から選択され、
【0053】
【0054】
式中:
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、水素、置換もしくは非置換のC1-20アルキル基、または置換もしくは非置換のC6-20アリール基であり、
XX2、XX3、XX4、およびXX5は、同一であっても、異なっていてもよく、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでもよく、
XX2、XX3、XX4およびXX5のうちの2つは、任意選択で環または環構造を形成し得る。
【0055】
さらなる実施形態において、封鎖基は、以下の構造式を含むがこれらに限定されない歪みオレフィンから選択される。
【0056】
【0057】
したがって、ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物は、以下の構造式に従う歪みオレフィンの誘導体であるJ2およびJ3に関して、式(I)に見られるような封鎖基を含む。
【0058】
【0059】
式中:
J1は、水素またはC1-20アルキル基であり;
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、水素、置換もしくは非置換のC1-20アルキル基、または置換もしくは非置換のC6-20アリール基であり、
XX2、XX3、XX4、およびXX5は、同一であっても、異なっていてもよく、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでもよく、
XX2、XX3、XX4、およびXX5のうちの2つは、任意選択で環または構造を形成し得る。
【0060】
さらなる実施形態において、式(I)を有する組成物は、以下の構造式に従う歪みオレフィンの誘導体であるJ2およびJ3に関して、式(I)に見られるような封鎖基を含む。
【0061】
【0062】
式中、J1は、水素またはC1-20アルキル基である。
【0063】
ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物の封鎖基の構造式のJ1は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-オクチル、またはイソオクチルであってもよい。
【0064】
コア構造
式(I)を有する組成物に関して、コアYY基(すなわち連結基の誘導体)は、オレフィン重合中、両端が金属原子に結合したポリマー鎖に成長してテレケリックポリマーの生成を可能にする。ある特定の実施形態において、YYは、少なくとも2つのビニル基を含むC4-100連結基の誘導体であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含む。YYがC4連結基の誘導体である場合、2つのビニル基は互いに直接結合する。
【0065】
本開示のある特定の実施形態において、YYは1,2,4-トリビニルシクロヘキサン(TVCH)連結基の誘導体である。具体的には、ある特定の実施形態において、TVCHを用いて形成される式(I)を有する組成物は、以下のスキーム4(封鎖基の挿入を含まない)に示される例示的で非限定的なメカニズムによって形成される。例示的で非限定的なスキーム4を参照すると、TVCH環の頂部のビニル二重結合および底部のビニル基の1つは、触媒前駆体と配位し、金属-炭素結合に挿入して(1)を形成する。残りの隣接するビニルが挿入して(2)の5員環を形成し、次いでこれが金属に移動してデュアルヘッド金属種(3)を形成する。回収された金属触媒前駆体は触媒サイクルに戻り、別のTVCH分子と反応する。デュアルヘッド金属種(3)は、残りの末端ZnR2を用いて(2)とのさらなる連鎖移動を生じ、「ポリマー」デュアルヘッド金属種をもたらす。この触媒プロセスは、TVCHが使い果たされるまで継続する。デュアルヘッド亜鉛鎖の長さは、主に金属/TVCH比によって決まる。比が1に近いほど、nの値は大きくなる。
【0066】
【0067】
したがって、ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物は、TVCH連結基の誘導体であるYYコア基を有する以下の構造式:
【0068】
【0069】
もしくはそれらの集合体、それらのルイス塩基含有誘導体、またはそれらの任意の組合せを有し、式中、J1は、水素またはC1-20アルキル基である。さらなる実施形態において、TVCHの誘導体のJ1は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-オクチル、またはイソオクチルであってもよい。
【0070】
ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物のYYは、以下の構造式を有する。
【0071】
【0072】
式中:
J1は、水素またはC1-20アルキル基であり;
ZZは、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含む直鎖状または分岐鎖状のC4-100ヒドロカルビル基であり、ZZは、脂肪族または芳香族であってもよい。
【0073】
直前の構造式のさらなる態様では、J1はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-オクチル、またはイソオクチルであってもよい。
【0074】
直前の構造式のさらなる実施形態において、YYは、アルファ,オメガジエン(α、ω-ジエン)等のジエンの誘導体である。ある特定の実施形態において、本開示に適したジエンは、触媒前駆体と配位し、金属-炭素結合に挿入して金属とδ結合を形成し、次いで直ちに本開示の(有機金属化合物の)MAまたはMB金属に移動できなければならない。本開示のある特定の実施形態において、オレフィン挿入速度が(有機金属化合物の)MAまたはMB金属への連鎖移動速度よりもはるかに遅く、2つのMAまたはMB金属の間に挟まれたただ1つのジエン分子をもたらすため、第2のジエンの連続挿入は速度論的に好ましくない。
【0075】
本明細書で使用される場合、「α、ω-ジエン」という用語は、少なくとも2つの末端オレフィン部分(-CH=CH2)を含む任意の化合物を指すために「α、ω-ジエン含有」分子または種と交換可能に用いられ、厳密に炭化水素種に限定することを意図しない。適切なα、ω-ジエン含有種の例には、ヒドロカルビルα、ω-ジエン、官能化ヒドロカルビルα、ω-ジエン、例えばヘテロ原子官能化ジエン化合物、および他のα、ω-ジエン含有化合物、例えば1,3-ジ(ω-アルケニル)-テトラメチルジシロキサンおよびジ(ω-アルケニル)エーテルが含まれる。
【0076】
本明細書で言及される適切なヒドロカルビルα、ω-ジエンは、式CH2=CH(CH2)nCH=CH2を有するα、ω-ジエン(式中、nは、0~20の整数であり、好ましくは、nは、1~20の整数である)を含み、それらの環式および二環式類似体を含む。これらのヒドロカルビルα、ω-ジエンの例は、これらに限定されないが、1,3-ブタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン、1,13-テトラデカジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン等を含み、典型的には5~40個の炭素原子を含む。
【0077】
本明細書で言及される官能化ヒドロカルビルα、ω-ジエンは、少なくとも1個のO、S、NもしくはSi原子、または原子の組み合わせによってヘテロ原子置換されているα、ω-ジエンを含む。官能化ヒドロカルビルα、ω-ジエンの具体例は、これらに限定されないが、式O[(CH2)nCH=CH2]2,S[(CH2)nCH=CH2]2、RAN[(CH2)nCH=CH2]2、(RB)2Si[(CH2)nCH=CH2]2、(RB)3SiOSiRB[(CH2)nCH=CH2]2および[Si(RB)2(CH2)nCH=CH2]2Oを有する化合物を含み、式中、nは、出現する毎に、独立して、0~20(これらの数字を含む)、好ましくは1~20(これらの数字を含む)の整数であり;RAは、Hまたは1~12個(これらの数字を含む)の炭素原子を有するヒドロカルビルであり;RBは、出現する毎に、独立して、1~12個(これらの数字を含む)の炭素原子を有するヒドロカルビルである。
【0078】
官能化ヒドロカルビルα、ω-ジエンの例には、これらに限定されないが、典型的には4~40個の炭素原子を含有する、ジビニルエーテル、ジ(2-プロペニル)エーテル、ジ(3-ブテニル)エーテル、ジ(4-ペンテニル)エーテル、ジ(5-ヘキセニル)エーテル、ジビニルアミン、ジ(2-プロペニル)アミン、ジ(3-ブテニル)アミン、ジ(4-ペンテニル)アミン、ジ(5-ヘキセニル)アミン、ジビニルメチルアミン、ジ(2-プロペニル)メチルアミン、ジ(3-ブテニル)メチルアミン、ジ(4-ペンテニル)メチルアミン、ジ(5-ヘキセニル)メチルアミン、ジビニルチオエーテル、ジ(2-プロペニル)チオエーテル)、ジ(3-ブテニル)チオエーテル、ジ(4-ペンテニル)チオエーテル、ジ(5-ヘキセニル)チオエーテル、ジビニルジメチルシラン、ジ(2-プロペニル)ジメチルシラン、ジ(3-ブテニル)ジメチルシラン、ジ(4-ペンテニル)ジメチルシラン、ジ(5-ヘキセニル)ジメチルシラン等が含まれる。
【0079】
適切な官能化ヒドロカルビルα、ω-ジエンのさらなる例には、これらに限定されないが、ジシロキサン化合物、例えばジビニルテトラメチルジシロキサンの1,1-および1,3-異性体(本明細書ではジ(エタン-1,2-ジイル)テトラメチルジシロキサンとも呼ばれる)、ジ(2-プロペニル)テトラメチルジシロキサン、ジ(3-ブテニル)テトラメチルジシロキサン、ジ(4-ペンテニル)テトラメチルジシロキサン、ジ(5-ヘキセニル)テトラメチルジシロキサン、ジ(6-ヘプテニル)テトラメチルジシロキサン、ジ(7-オクテニル)テトラメチルジシロキサン、ジ(8-ノネニル)テトラメチルジシロキサン、ジ(9-デセニル)-テトラメチルジシロキサン、ジビニルテトラエチルジシロキサン、ジ(2-プロペニル)テトラエチルジシロキサン、ジ(3-ブテニル)テトラエチルジシロキサン、ジ(4-ペンテニル)テトラエチルジシロキサン、ジ(5-ヘキセニル)-テトラエチルジシロキサン、ジ(6-ヘプテニル)テトラエチルジシロキサン、ジ(7-オクテニル)テトラエチルジシロキサン、ジ(8-ノネニル)テトラエチルジシロキサン、ジ(9-デセニル)テトラエチルジシロキサン等が含まれる。
【0080】
ジエン化合物の具体例には、共役ジエン化合物、例えば1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1-フェニル-1,3-ブタジエン、1-フェニル-2,4-ペンタジエン、イソプレン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-プロピル-1,3-ブタジエン、2-ブチル-1,3-ブタジエン、2-ペンチル-1,3-ブタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、2-ヘプチル-1,3-ブタジエン、2-オクチル-1,3-ブタジエン、および2-フェニル-1,3-ブタジエン;
鎖状非共役ジエン化合物、例えば1,4-ペンタジエン、3-メチル-1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、3-メチル-1,5-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、3-メチル-1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、4-メチル-1,6-ヘプタジエン、1,6-オクタジエン、4-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、4-メチル-1,7-オクタジエン、1,7-ノナジエン、4-メチル-1,7-ノナジエン、1,8-ノナジエン、4-メチル-1,8-ノナジエン、1,8-デカジエン、5-メチル-1,8-デカジエン、1,9-デカジエン、5-メチル-1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、および1,11-ドデカジエン;
トリエン化合物、例えば1,4,7-オクタトリエン、3-メチル-1,4,7-オクタトリエン、1,5,9-デカトリエン、および4-メチル-1,5,9-デカトリエン;
環状オレフィン化合物、例えば5-メチレン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-エチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-メチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-エチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-メチル-6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(5-エチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、1,1’-ビ(3-シクロペンテン)、ジ(3-シクロペンテニル)メタン、1,3-ジ(3-シクロペンテニル)プロパン、1,4-ジ(3-シクロペンテニル)ブタン、1,5-ジ(3-シクロペンテニル)ペンタン、3-メチル-1,1’-ビ(3-シクロペンテン)、4-(3-シクロペンテニルメチル)-1-エチル-1-シクロペンテン、4-(3-(3-シクロペンテニル)プロピル)-1-メチル-1-シクロペンテン、4-(4-(3-シクロペンテニル)ブチル)-1-メチル-1-シクロペンテン、1,1’-ビ(3-シクロヘキセン)、ジ(3-シクロヘキセニル)メタン、1,3-ジ(3-シクロヘキセニル)プロパン、1,4-ジ(3-シクロヘキセニル)ブタン、1,5-ジ(3-シクロヘキセニル)ペンタン;
環状ジエン化合物、例えば6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン;
ハロゲン含有ジエン化合物、例えば3-クロロ-1,4-ペンタジエン、3-ブロモ-3-メチル-1,4-ペンタジエン、3-クロロ-1,4-ヘキサジエン、3-クロロ-3-メチル-1,4-ヘキサジエン、3-ブロモ-4-メチル-1,4-ヘキサジエン、3-クロロ-5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3-ブロモ-4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、3-ブロモ-1,5-ヘキサジエン、3-クロロ-3-メチル-1,5-ヘキサジエン、3-ブロモ-1,5-ヘプタジエン、3-クロロ-3-メチル-1,5-ヘプタジエン、4-ブロモ-1,6-ヘプタジエン、3-クロロ-4-メチル-1,6-ヘプタジエン、4-ブロモ-1,6-オクタジエン、3-クロロ-4-メチル-1,6-オクタジエン、4-ブロモ-7-メチル-1,6-オクタジエン、4-クロロ-1,7-オクタジエン、3-クロロ-4-メチル-1,7-オクタジエン、4-ブロモ-1,7-ノナジエン、4-ブロモ-4-メチル-1,7-ノナジエン、4-ブロモ-1,8-ノナジエン、3-クロロ-4-メチル1,8-ノナジエン、5-ブロモ-1,8-デカジエン、3-クロロ-5-メチル-1,8-デカジエン、5-ブロモ-1,9-デカジエン、3-クロロ-5-メチル-1,9-デカジエン、5-ブロモ-1,10-ウンデカジエン、および5-ブロモ-1,1’-ドデカジエン;
シラン含有ジエン、例えばビスビニルオキシシラン、ジメチルビスビニルオキシシラン、ビスアリルオキシシラン、ジメチルビスアリルオキシシラン、ジ(3-ブテニル)ジメチルシラン、ビス(3-ブテニルオキシ)シラン、ジメチルビス(3-ブテニルオキシ)シラン、ジ(4-ペンテニル)ジメチルシラン、ビス(4-ペンテニルオキシ)シラン、ビス(4-ペンテニルオキシ)ジメチルシラン、ジ(5-ヘキセニル)ジメチルシラン、ビス(5-ヘキセニルオキシ)シラン、およびビス(5-ヘキセニルオキシ)ジメチルシラン;
エステル含有ジエン化合物、例えば3-ブテニル-4-ペンテノエート、4-ペンテニル-4-ペンテノエート、4-メトキシカルボニル-1,7-オクタジエン、および4-メトキシカルボニル-1,9-デカジエン;
エーテル含有ジエン化合物、例えばジビニルエーテル、ジアリルエーテル、ジ(4-ブテニルオキシ)エーテル、およびジ(5-ヘキセニルオキシ)エーテル;
シロキシ含有ジエン化合物、例えば4-トリメチルシロキシメチル-1,7-オクタジエン、および4-トリメチルシロキシメチル-1,9-デカジエンが含まれる。
【0081】
これらのジエン化合物は一般に入手可能であるか、または既知のプロセスで生成することができる。
【0082】
有機金属化合物
本開示のプロセスのある特定の実施の形態では、有機金属化合物は、金属アルキルである。本開示のプロセスのある特定の実施形態において、有機金属化合物は、二価金属(例えばZnもしくはMg)、三価金属(例えばAl、BもしくはGa)、または二価金属および三価金属の混合物を含有する金属アルキルである。本開示のプロセスのある特定の実施形態において、有機金属化合物は、二価金属アルキル、例えばジアルキル亜鉛である。本開示のプロセスのある特定の実施形態において、有機金属化合物は、三価金属アルキル、例えばトリアルキルアルミニウムである。本開示のプロセスのある特定の実施形態において、有機金属化合物は、二価金属アルキル(例えばジアルキル亜鉛)および三価金属アルキル(例えばトリアルキルアルミニウム)の混合物である。
【0083】
本開示の有機金属化合物に適した例示的な二価金属には、これらに限定されないが、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジヘキシル亜鉛、ジイソヘキシル亜鉛、ジオクチル亜鉛、およびジイソオクチル亜鉛が含まれる。本開示の有機金属化合物に適した例示的二価金属には、これらに限定されないが、有機マグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジイソブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジイソヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、およびジイソオクチルマグネシウムがさらに含まれる。
【0084】
本開示の有機金属化合物に適した例示的な三価金属には、これらに限定されないが、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリイソヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリイソオクチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、三分岐アルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム、ジアルキルおよびアルミニウム水素化物が含まれる。さらなる三価金属には、これらに限定されないが、有機ガリウム化合物、例えばトリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリプロピルガリウム、トリブチルガリウム、トリイソブチルガリウム、トリヘキシルガリウム、トリイソヘキシルガリウム、トリオクチルガリウム、およびトリイソオクチルガリウムが含まれる。
【0085】
ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物に関する本明細書中で考察される構造式のいずれかおよびすべてのJ1、J2、およびJ3は、本開示のプロセスの有機金属化合物のアルキル基に対応し得る。
【0086】
本開示のプロセスのある特定の実施の形態では、有機金属化合物は、式(I)の「m」に関連して、99:1~1:99(例えば、95:5~50:50、90:10~80:20、90:10~70:30等)の三価金属/二価金属比で三価金属および二価金属の混合物を含む金属アルキルである。本開示のプロセスのある特定の実施形態において、有機金属化合物は、99:1~1:99(例えば、95:5~50:50、90:10~80:20、90:10~70:30等)のアルミニウム/亜鉛比でアルミニウムおよび亜鉛金属の混合物を含む金属アルキルである。
【0087】
本開示のある特定の実施形態において、プロセスは、三価金属のために容易に形成され得る不溶性ゲルの形成を制御すると考えられる。本開示のプロセスのある特定の実施形態において、三価金属を有する不溶性ゲルの形成は、連結基に対する金属の比を制御することによって防止され、連結基(すなわち、その誘導体がYY基となる)は、少なくとも2つのビニル基を含むC4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含む。金属/連結基の比が高いほど、オリゴマーのサイズが小さくなり、したがって不溶性ゲルが形成される機会が少なくなる。さらなる実施形態において、式(I)を有する組成物の構造およびサイズは、有機金属化合物および金属/連結基の比を選択することによって所望により調整され得る。実際、式(I)を有する組成物の長さ(n)は、金属/連結基の比によって制御することができ、金属/連結基=(n+1)/nである。したがって、例えば、n=1の場合、金属/連結基の比は2であり、n=2の場合、金属/連結基の比は1.5であり、n=3の場合、金属/連結基の比は1.33333である。非常に大きい「n」値では、金属/連結基の比は1に近づく。
【0088】
ある特定の実施形態において、金属/連結基の比は、2:1から1:1である(式(I)を有する組成物の長さ(n)は、1から無限大の数である)。さらなる実施形態において、金属/連結基の比は、3:2~11:10である(式(I)を有する組成物の長さ(n)は、2~10の数である)。
【0089】
触媒または触媒前駆体
本明細書における使用に適切な触媒前駆体には、所望の組成または種類のポリマーを調製するために適合された、チェーンシャトリング剤との可逆的連鎖移動が可能な任意の化合物または化合物の組み合わせが含まれる。不均一系触媒および均一系触媒の両方を使用することができる。不均一系触媒の例には、周知のチーグラー-ナッタ組成物、特に2族金属ハロゲン化物上に担持された4族金属ハロゲン化物または混合ハロゲン化物およびアルコキシド、ならびに周知のクロムまたはバナジウム系触媒が含まれる。好ましくは、本明細書における使用のための触媒は、比較的純粋な有機金属化合物または金属錯体、特に3~10族または元素周期表のランタニド系列から選択される金属をベースとする化合物または錯体を含む均一系触媒である。
【0090】
本明細書における使用のための金属錯体は、1つ以上の非局在化π結合配位子または多価ルイス塩基配位子を含有する元素周期表の3~15族から選択することができる。その例には、メタロセン、ハーフメタロセン、拘束幾何、および多価ピリジルアミン、または他のポリキレート化塩基錯体が含まれる。錯体は、一般に、式:MKkXxZzまたはその二量体によって表され、式中、
Mは、元素周期表の3~15族、好ましくは3~10族、より好ましくは4~10族、最も好ましくは4族から選択される金属であり;
Kは、出現する毎に、独立して、非局在化π電子または1つ以上の電子対を含む基であり、それを通してKはMに結合し、前記K基は、水素原子を含まない50個までの原子を含み、任意選択で2つ以上のK基が互いに結合して架橋構造を形成してもよく、さらに任意選択で、1つ以上のK基がZ、XまたはZおよびXの両方に結合してもよい。
Xは、出現する毎に、独立して、40個までの非水素原子を有する一価のアニオン性部分であり、任意選択で1つ以上のX基が互いに結合し、それにより二価または多価アニオン基を形成してもよく、さらに任意選択で、1つ以X基および1つ以上のZ基が互いに結合し、それによりMに共有結合し、かつそれに配位している部分を形成してもよく;または2つのX基が一緒になって40個までの非水素原子の二価アニオン性配位子基を形成するか、もしくは一緒に非局在化π電子によってMに結合した4~30個の非水素原子を有する共役ジエンであり、Mは+2形式酸化状態にあり、
Zは、出現する毎に、独立して、ZがMに配位する少なくとも1つの非共有電子対を含む50個までの非水素原子の中性ルイス塩基ドナー配位子であり;
kは、0~3の整数であり;xは、1~4の整数であり;zは、0~3の数であり;
合計k+xは、Mの形式酸化状態に等しい。
【0091】
適切な金属錯体には、環式または非環式の非局在化π結合アニオン配位子基であってもよい、1~3個のπ結合アニオンまたは中性配位子基を含有するものが含まれる。そのようなπ結合基の例は、共役または非共役、環式または非環式ジエンおよびジエニル基、アリル基、ボラタベンゼン基、ホスホール、ならびにアレーン基である。「π結合」という用語は、部分的に非局在化したπ結合からの電子を共有することによって配位子基が遷移金属に結合していることを意味する。
【0092】
非局在化π結合基中の各原子は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル置換ヘテロ原子からなる群から選択される基で置換されていてもよく、ヘテロ原子は、元素周期表の14~16族から選択され、そのようなヒドロカルビル置換へテロ原子基は、さらに15族または16族ヘテロ原子含有部分で置換されている。さらに、2つ以上のそのような基が一緒になって、部分的にまたは完全に水素化された縮合環系を含む縮合環系を形成してもよく、またはそれらは金属とともに金属環を形成してもよい。「ヒドロカルビル」という用語に含まれるのは、C1-20直鎖、分岐鎖および環状アルキル基、C6-20芳香族基、C7-20アルキル置換芳香族基、およびC7-20アリール置換アルキル基である。適切なヒドロカルビル置換ヘテロ原子基には、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リンまたは酸素の一、二および三置換基が含まれ、ヒドロカルビル基のそれぞれが1~20個の炭素原子を含有する。その例には、N,N-ジメチルアミノ、ピロリジニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジ(t-ブチル)シリル、トリフェニルゲルミル、およびトリメチルゲルミル基が含まれる。15族または16族ヘテロ原子含有部分の例には、アミノ、ホスフィノ、アルコキシ、もしくはアルキルチオ部分またはそれらの二価誘導体、例えば遷移金属またはランタニド金属に結合し、またヒドロカルビル基、π結合基、またはヒドロカルビル置換ヘテロ原子に結合したアミド、ホスフィド、アルキレンオキシまたはアルキレンチオ基が含まれる。
【0093】
適切なアニオン性、非局在化π-結合基の例には、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、ペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、ジヒドロアントラセニル、ヘキサヒドロアントラセニル、デカヒドロアントラセニル基、ホスホール、およびボラタベンジル基、ならびにそれらの不活性置換誘導体、特にそれらのC1-10ヒドロカルビル置換またはトリス(C1-10ヒドロカルビル)シリル置換誘導体が含まれる。好ましいアニオン性非局在化π-結合基は、シクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシリルシクロペンタジエニル、インデニル、2,3-ジメチルインデニル、フルオレニル、2-メチルインデニル、2-メチル-4-フェニルインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、1-インダセニル、3-ピロリジノインデン-1-イル、3,4-(シクロペンタ(1)フェナントレン-1-イル、およびテトラヒドロインデニルである。
【0094】
ボラタベンゼニル配位子は、ベンゼンのホウ素含有類似体であるアニオン配位子である。それらは、G. Herberich, et al., in Organometallics,14,1,471-480(1995)に記載されていることで当該技術分野において以前から知られている。好ましいボラタベンゼニル配位子は、次式に対応する。
【0095】
【0096】
式中、R1は、好ましくは水素、ヒドロカルビル、シリル、ハロまたはゲルミルからなる群から選択される不活性置換基であり、前記R1は、水素を含まない20個までの原子を有し、任意選択で、隣接する2つのR1基が互いに結合してもよい。そのような非局在化π結合基の二価誘導体を含む錯体において、その1個の原子は、共有結合または共有結合した二価基によって錯体の別の原子に結合し、それによって架橋系を形成する。
【0097】
ホスホールは、シクロペンタジエニル基のリン含有類似体であるアニオン性配位子である。それらは、WO98/50392および他の箇所に記載され、当技術分野において以前から知られている。好ましいホスホール配位子は、次式に対応する。
【0098】
【0099】
式中、R1は、以前に定義された通りである。
本明細書における使用に適切な遷移金属錯体は、式:MKkXxZzまたはその二量体に対応し、式中、
Mは、4族金属である。
Kは、それを介してKがMに結合する非局在化π電子を含む基であり、前記K基は、水素原子を含まない50個までの原子を含み、任意選択で2つのK基は互いに結合して架橋構造を形成してもよく、さらに任意選択で1つのKがXまたはZに結合してもよい。
Xは、出現する毎に、40個までの非水素原子を有する一価のアニオン性部分であり、任意選択で1つ以上のXおよび1つ以上のK基が互いに結合して金属環を形成し、さらに任意選択で1つ以上のXおよび1つ以上のZ基が互いに結合して、それにより、Mに共有結合し、かつそれに配位している部分を形成する。
Zは、出現する毎に、独立して、それを介してZがMに配位する少なくとも1つの非共有電子対を含む50個までの非水素原子の中性ルイス塩基ドナー配位子である。
kは、0~3の整数であり;xは、1~4の整数であり;zは、0~3の数であり;合計k+xは、Mの形式酸化状態に等しい。
【0100】
適切な錯体は、1つまたは2つのK基を含むものを含む。後者の錯体は、2つのK基を連結する架橋基を含むものを含む。適切な架橋基は、式(ER’2)eに対応するものであり、式中、Eは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、または炭素であり、R’は、出現する毎に、独立して水素またはシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシおよびそれらの組み合わせから選択される基であり、前記R’は、30個までの炭素原子またはケイ素原子を有し、eは、1~8である。例示として、R’は、出現する毎に、独立して、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、tert-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシまたはフェノキシである。
【0101】
2つのK基を含む錯体の例は、次式に相当する化合物である。
【0102】
【0103】
式中:
Mは、+2または+4の形式酸化状態にあるチタン、ジルコニウムまたはハフニウム、好ましくはジルコニウムまたはハフニウムであり;R3は、出現する毎に、独立して、水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記R3は、20個の非水素原子を有し、または隣接R3基が一緒になって二価誘導体(すなわち、ヒドロカルバジイル、シラジイルまたはゲルマジイル基)を形成し、それにより縮合環系を形成し、
X”は、出現する毎に、独立して、40個までの非水素原子のアニオン性配位子基であり、または、2つのX”基が一緒になって最大40個の非水素原子の二価アニオン性配位子基を形成し、もしくは一緒になって、非局在化π電子によりMに結合した4~30個の非水素原子を有する共役ジエンであり、Mは、+2の形式酸化状態にあり、
R’、Eおよびeは、以前に定義された通りである。
【0104】
2つのπ結合基を含む例示的な架橋配位子は、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)シラン、ジメチルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン、ジメチルビス(2-エチルシクロペンタジエン-1-イル)シラン、ジメチルビス(2-t-ブチルシクロペンタジエン-1-イル)シラン、2,2-ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)プロパン、ジメチルビス(インデン-1-イル)シラン、ジメチルビス(テトラヒドロインデン-1-イル)シラン、ジメチルビス(フルオレン-1-イル)シラン、ジメチルビス(テトラヒドロフルオレン-1-イル)シラン、ジメチルビス(2-メチル-4-フェニルインデン-1-イル)-シラン、ジメチルビス(2-メチルインデン-1-イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(フルオレン-1-イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレン-1-)イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(テトラヒドロフルオレン-1-イル)シラン、(1,1,2,2-テトラメチル)-1,2-ビス(シクロペンタジエニル)ジシラン、1,2-ビス(シクロペンタジエニル)エタン、およびジメチル(シクロペンタジエニル)-1-(フルオレン-1-イル)メタンである。
【0105】
適切なX”基は、ヒドリド、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロヒドロカルビル、ハロシリル、シリルヒドロカルビルおよびアミノヒドロカルビル基から選択されるか、または2つのX”基が一緒になって共役ジエンの二価誘導体もしくは中性π結合共役ジエンを形成する。例示的なX”基は、C1~20ヒドロカルビル基である。
【0106】
本開示における使用に適した前述の式の金属錯体の例には、以下が含まれる。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルベンジル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルフェニル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、
ビス(シクロペンタジエニル)チタン-アリル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルメトキシド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジメチル、
ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
インデニルフルオレニルジルコニウムジメチル、
ビス(インデニル)ジルコニウムメチル(2-(ジメチルアミノ)ベンジル)、
ビス(インデニル)ジルコニウムメチルトリメチルシリル、
ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムメチルトリメチルシリル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルベンジル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルメトキシド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、
ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタン(III)アリル
ジメチルシリルビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリルビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタン(III)2-(ジメチルアミノ)ベンジル、
(ジメチルシリルビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)チタン(III)2-(ジメチルアミノ)ベンジル、
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2-メチルインデニル)ジルコニウム-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウム(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
ジメチルシリルビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデン-1-イル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリルビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデン-1-イル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウム(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロフルオレニル)ジルコニウムビス(トリメチルシリル)、
エチレンビス(インブニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、
(イソプロピリデン)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジベンジル、および
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジメチル。
【0107】
本開示において利用されるさらなるクラスの金属錯体は、上記式:MKZzXxまたはその二量体に対応し、式中、M、K、X、xおよびzは、以前に定義された通りであり、Zは、Kと一緒になってMを有する金属環を形成する、50個までの非水素原子の置換基である。
【0108】
適切なZ置換基は、Kに直接結合した酸素、硫黄、ホウ素または元素周期表の14族のメンバーである少なくとも1個の原子を含む30個までの非水素原子、およびMに共有結合した窒素、リン、酸素または硫黄からなる群から選択される異なる原子を含む基を含む。
【0109】
より具体的には、本発明に従って使用されるこのクラスの4族金属錯体は、次式に対応する「拘束幾何触媒」を含む。
【0110】
【0111】
式中、Mは、チタンまたはジルコニウム、好ましくは+2、+3、または+4の形式酸化状態のチタンであり;
K1は、1~5個のR2基で任意選択で置換された非局在化π結合配位子基であり、
R2は、出現する毎に、独立して、水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記R2は、20個までの非水素原子を有し、または、隣接R2基が一緒になって二価誘導体(すなわち、ヒドロカルバジイル、シラジイルまたはゲルマジイル基)を形成し、それにより縮合環系を形成し、
各Xは、ハロ、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシまたはシリル基であり、前記基は、20個までの非水素原子を有し、または、2個のX基が一緒になって中性C5~30共役ジエンもしくはその二価誘導体を形成し;
xは、1または2であり;
Yは、-O-、-S-、-NR’-、-PR’-であり;
X’は、SiR’2、CR’2、SiR’2SiR’2、CR’2CR’2、CR’=CR’、CR’2SiR’2、またはGeR’2であり、
R’は、出現する毎に、独立して、水素またはシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシおよびそれらの組み合わせから選択される基であり、前記R’は、30個までの炭素またはケイ素原子を有する。
【0112】
前述の拘束幾何金属錯体の具体例には、次式に対応する化合物が含まれる。
【0113】
【0114】
式中、
Arは、水素を含まない6~30個の原子のアリール基であり;
R4は、出現する毎に、独立して、水素、Ar、または、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、トリヒドロカルビルシロキシ、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルバジイルアミノ、ヒドロカルビルイミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルバジイルホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル置換ヒドロカルビル、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンホスフィノ置換ヒドロカルビル、もしくはヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルから選択されるAr以外の基であり、前記R基は、水素原子を含まない40個までの原子を有し、任意選択で2つの隣接R4基が互いに結合して多環式縮合環基を形成してもよく;
Mは、チタンであり;
X’は、SiR6
2、CR6
2、SiR6
2SiR6
2、CR6
2CR6
2、CR6=CR6、CR6
2SiR6
2、BR6、BR6L”、またはGeR6
2であり;
Yは、-O-、-S-、-NR5-、-PR5-、-NR5
2、または-PR5
2であり;
R5は、出現する毎に、独立して、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、またはトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであり、前記R5は、水素以外の20個までの原子を有し、任意選択で2つのR5基またはR5とYまたはZとが一緒になって環系を形成し;
R6は、出現する毎に、独立して、水素、またはヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、-NR5
2およびそれらの組み合わせから選択されるメンバーであり、前記R6は、20個までの非水素原子を有し、任意選択で2つのR6基またはR6とZとが一緒になって環系を形成し;
Zは、任意選択でR5、R6、またはXに結合した中性ジエンまたは単座もしくは多座ルイス塩基であり;
Xは、水素、水素を含まない60個までの原子を有する一価アニオン性配位子基であり、または2つのX基が互いに結合して二価配位子基を形成し;
xは、1または2であり;
zは、0、1または2である。
【0115】
上記金属錯体の適切な例は、シクロペンタジエニルまたはインデニル基の3位および4位の両方がAr基で置換されている。上記金属錯体の例には、以下が含まれる。
(3-フェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3-フェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3-フェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,3-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(3-(ピロール-1-イル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド。
(3-(ピロール-1-イル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3-(ピロール-1-イル)シクロペンタジエン-1-イル))ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
(3-(1-メチルピロール-3-イル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3-(1-メチルピロール-3-イル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3-(1-メチルピロール-3-イル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
(3,4-ジフェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3,4-ジフェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3,4-ジフェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,3-ペンタジエン;
(3-(3-N,N-ジメチルアミノ)フェニル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド。
(3-(3-N,N-ジメチルアミノ)フェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3-(3-N,N-ジメチルアミノ)フェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
(3-(4-メトキシフェニル)-4-メチルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド;
(3-(4-メトキシフェニル)-4-フェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3-4-メトキシフェニル)-4-フェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
(3-フェニル-4-メトキシシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド。
(3-フェニル-4-メトキシシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3-フェニル-4-メトキシシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
(3-フェニル-4-(N,N-ジメチルアミノ)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド;
(3-フェニル-4-(N,N-ジメチルアミノ)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3-フェニル-4-(N,N-ジメチルアミノ)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
2-メチル-(3,4-ジ(4-メチルフェニル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
2-メチル-(3,4-ジ(4-メチルフェニル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
2-メチル-(3,4-ジ(4-メチルフェニル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
((2,3-ジフェニル)-4-(N,N-ジメチルアミノ)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
((2,3-ジフェニル)-4-(N,N-ジメチルアミノ)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
((2,3-ジフェニル)-4-(N,N-ジメチルアミノ)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
(2,3,4-トリフェニル-5-メチルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド
(2,3,4-トリフェニル-5-メチルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(2,3,4-トリフェニル-5-メチルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
(3-フェニル-4-メトキシシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3-フェニル-4-メトキシシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3-フェニル-4-メトキシシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
(2,3-ジフェニル-4-(n-ブチル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(2,3-ジフェニル-4-(n-ブチル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(2,3-ジフェニル-4-(n-ブチル)シクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン;
(2,3,4,5-テトラフェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(2,3,4,5-テトラフェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランチタンジメチル、および(2,3,4,5-テトラフェニルシクロペンタジエン-1-イル)ジメチル(t-ブチルアミド)シランジチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン。
【0116】
本明細書における適切な金属錯体のさらなる例は、次式に対応する多環式錯体である。
【0117】
【0118】
式中、Mは、+2、+3または+4形式酸化状態のチタンであり;
R7は、出現する毎に、独立して、水素化物、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルビレンアミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビレン-ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、シリル置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシロキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレン-ホスフィノ置換ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルであり、前記R7基は、水素を含まない40個までの原子を有し、任意選択で2つ以上の前述の基が一緒になって二価誘導体を形成してもよく;
R8は、金属錯体の残りの部分と縮合系を形成する二価ヒドロカルビレンまたは置換ヒドロカルビレン基であり、前記R8は、水素を含まない1~30個の原子を含み;
Xaは、二価部分、または1つのσ結合およびMと配位共有結合を形成することができる中性の2つの電子対とを含む部分であり、前記Xaは、ホウ素、または元素周期表の14族のメンバーを含み、またさらに窒素、リン、硫黄または酸素を含み;
Xは、環式、非局在化、π結合配位子基である配位子のクラスを除く60個までの原子を有する一価のアニオン性配位子基であり、任意選択で2つのX基が一緒になって二価配位子基を形成し;
Zは、出現する毎に、独立して、20個までの原子を有する中性連結化合物であり;
xは、0、1または2であり;
zは、ゼロまたは1である。
【0119】
そのような錯体の適切な例は、次式に対応する3-フェニル置換s-インデセニル錯体:
【0120】
【0121】
次式に対応する2,3-ジメチル置換s-インデセニル錯体:
【0122】
【0123】
または次式に対応する2-メチル置換s-インデセニル錯体:
【0124】
【0125】
である。
【0126】
本発明による触媒として有用に使用される金属錯体のさらなる例には、次式のものが含まれる:
【0127】
【0128】
具体的な金属錯体には、以下が含まれる:
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(III)2-(N,N-ジメチルアミノ)ベンジル、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジクロリド、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジメチル、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジベンジル、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(III)2-(N,N-ジメチルアミノ)ベンジル、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジクロリド、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジメチル、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-1-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジベンジル、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(III)2-(N,N-ジメチルアミノ)ベンジル、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジクロリド、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジメチル、
(8-メチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジベンジル、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(III)2-(N,N-ジメチルアミノ)ベンジル、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジクロリド、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジメチル、
(8-ジフルオロメチレン-1,8-ジヒドロジベンゾ[e、h]アズレン-2-イル)-N-(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジベンジル、およびそれらの混合物、特に位置異性体の混合物。
【0129】
本発明による使用のための金属錯体のさらなる例示的な例は、次式に対応する:
【0130】
【0131】
式中、Mは、+2、+3または+4形式酸化状態のチタンであり;
Tは、-NR9-または-O-であり;
R9は、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ジヒドロカルビルボリル、もしくはハロヒドロカルビル、または水素を含まない10個までの原子であり;
R10は、出現する毎に、独立して、水素、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルビレンアミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、シリル置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシロキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンホスフィノ置換ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルであり、前記R10基は、水素原子を含まない40個までの原子を有し、任意選択で2つ以上の前記隣接R10基が一緒になって二価誘導体を形成し、それにより飽和または不飽和縮合環を形成してもよく;
Xaは、非局在化π電子を欠く二価部分、または1つのσ結合およびMと配位共有結合を形成することができる中性の2つの電子対とを含むそのような部分であり、前記Xaは、ホウ素、また元素の周期表の14族のメンバーを含み、またさらに窒素、リン、硫黄または酸素を含み;
Xは、非局在化π電子を介してMに結合した環状配位子基である配位子のクラスを除く60個までの原子を有する一価のアニオン性配位子基であるか、または2つのX基が一緒になって二価のアニオン性配位子基であり;
Zは、出現する毎に、独立して、20個までの原子を有する中性連結化合物であり;
xは、0、1、2、または3であり;
zは、0または1である。
【0132】
例示として、Tは、=N(CH3)であり、Xは、ハロまたはヒドロカルビルであり、xは、2であり、Xaは、ジメチルシランであり、zは、0であり、R10は、出現する毎に、水素、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ジヒドロカルビルアミノ、ヒドロカルビレンアミノ、ジヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル基、または水素を含まない20個までの原子のヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル基であり、任意選択で2つのR10基が互いに結合してもよい。
【0133】
本発明の実践において使用され得る前述の式の例示的な金属錯体は、さらに以下の化合物を含む。
(t-ブチルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’、3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(t-ブチルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’、3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(t-ブチルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’、3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(III)2-(N,N-ジメチルアミノ)ベンジル、
(t-ブチルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’、3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジクロリド、
(t-ブチルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’、3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジメチル、
(t-ブチルアミド)ジメチル-[6J]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジベンジル、
(t-ブチルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ビス(トリメチルシリル)、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(III)2-(N,N-)ジメチルアミノ)ベンジル、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジクロリド、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジメチル、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジベンジル、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ビス(トリメチルシリル)、
(t-ブチルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(t-ブチルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(t-ブチルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(III)2-(N,N-ジメチルアミノ)ベンジル、
(t-ブチルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)二塩化物、
(t-ブチルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジメチル、
(t-ブチルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジベンジル、
(t-ブチルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ビス(トリメチルシリル)、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(III)2-(N,N-ジメチルアミノ)ベンジル、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジクロリド、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジメチル、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ジベンジル;および
(シクロヘキシルアミド)ジ(p-メチルフェニル)-[6,7]ベンゾ-[4,5:2’,3’](1-メチルイソインドール)-(3H)-インデン-2-イル)シランチタン(IV)ビス(トリメチルシリル)。
【0134】
本開示の実践において使用され得る例示的な4族金属錯体は、さらに以下を含む。
(tert-ブチルアミド)(1,1-ジメチル-2,3,4,9,10-η-1,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロナフタレニル)ジメチルシランチタンジメチル
(tert-ブチルアミド)(1,1,2,3-テトラメチル-2,3,4,9,10-η-1,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロナフタレニル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタンジベンジル、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイルチタンジメチル、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-インデニル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)2-(ジメチルアミノ)ベンジル;
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)アリル、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)2,4-ジメチルペンタジエニル、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)2,4-ヘキサジエン、
(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)イソプレン、
(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2,3-ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2,3-ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)イソプレン、
(tert-ブチルアミド)(2,3-ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)ジメチル、
(tert-ブチルアミド)(2,3-ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)ジベンジル、
(tert-ブチルアミド)(2,3-ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2,3-ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2,3-ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)ジメチル、
(tert-ブチルアミド)(2-メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)ジベンジル、
(tert-ブチルアミド)(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,3-ペンタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジメチルシランチタン(II)2,4-ヘキサジエン、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチル-シランチタン(IV)1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(IV)2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(IV)イソプレン、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチル-シランチタン(II)1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)2,4-ヘキサジエン、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチル-シランチタン(II)3-メチル-1,3-ペンタジエン、
(tert-ブチルアミド)(2,4-ジメチルペンタジエン-3-イル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert-ブチルアミド)(6,6-ジメチルシクロヘキサジエニル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert-ブチルアミド)(1,1-ジメチル-2,3,4,9,10-η-1,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロナフタレン-4-イル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert-ブチルアミド)(1,1,2,3-テトラメチル-2,3,4,9,10-η-1,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロナフタレン-4-イル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニルメチルフェニルシランチタン(IV)ジメチル)、
(tert-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニルメチルフェニルシランチタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン)、
1-(tert-ブチルアミド)-2-(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)エタンジイルチタン(IV)ジメチル、および
1-(tert-ブチルアミド)-2-(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)エタンジイル-チタン(II)1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン。
【0135】
他の非局在化π-結合錯体、特に他の4族金属を含むものは、当然ながら当業者に明らかであり、中でも、WO03/78480、WO03/78483、WO02/92610、WO02/02577、US2003/0004286、および米国特許第6,515,155号、第6,555,634号、第6,150,297号、第6,034,002号、第6,268,444号、第6,015,868号、第5,866,704号および第5,470,993号において開示されている。
【0136】
触媒として有用に使用される金属錯体のさらなる例は、多価ルイス塩基の錯体、例えば次式に対応する化合物であり、
【0137】
【0138】
式中、Tbは、架橋基であり、好ましくは水素以外の2個以上の原子を含み、
XbおよびYbは、それぞれ独立して、窒素、硫黄、酸素およびリンからなる群から選択され、より好ましくは、XbおよびYbの両方が窒素であり、
RbおよびRb’は、出現する毎に、独立して、水素または1個以上のヘテロ原子を任意選択で含むC1-50ヒドロカルビル基もしくはそれらの不活性に置換された誘導体である。適切なRbおよびRb’基の限定されない例には、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、(ポリ)アルキルアリールおよびシクロアルキル基、ならびにそれらの窒素、リン、酸素およびハロゲン置換誘導体が含まれる。適切なRbおよびRb’基の具体例には、メチル、エチル、イソプロピル、オクチル、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジ(イソプロピル)フェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、ペンタフルオロフェニル、3,5-トリフルオロメチルフェニル、およびベンジルが含まれ;
gおよびg’は、それぞれ独立して、0または1であり;
Mbは、元素周期表の3~15族、またはランタニド系列から選択される金属元素である。好ましくは、Mbは、3~13族金属であり、より好ましくは、Mbは、4~10族金属である。
Lbは、水素を含まない1~50個の原子を含む一価、二価、または三価のアニオン性配位子である。適切なLb基の例には、ハライド;水素化物;ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ジ(ヒドロカルビル)アミド、ヒドロカルビレンアミド、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド、ヒドロカルビルスルフィド;ヒドロカルビルオキシ、トリ(ヒドロカルビルシリル)アルキル;およびカルボキシレートが含まれる。より好ましいLb基は、C1~20アルキル、C7-20アラルキル、およびクロリドであり;
hおよびh’は、それぞれ独立して、1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の整数であり、jは、1または2であり、hxjの値は、電荷平衡を提供するように選択され;
Zbは、Mbに配位した中性配位子基であり、水素を含まない原子を50個まで含有する。好ましいZb基には、脂肪族および芳香族アミン、ホスフィン、ならびにエーテル、アルケン、アルカジエン、およびそれらの不活性置換誘導体が含まれる。適切な不活性置換基には、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ジ(ヒドロカルビル)アミン、トリ(ヒドロカルビル)シリル、およびニトリル基が含まれる。好ましいZb基には、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフラン、ピリジン、および1,4-ジフェニルブタジエンが含まれ;
fは、0~3の整数であり;
Tb、RbおよびRb’のうちの2つまたは3つが互いに結合して、単一または複数の環構造を形成してもよく;
hは、1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の整数である。
【0139】
【0140】
は、任意の形態の電子的相互作用、特に多重結合を含む配位結合または共有結合を示し、矢印は配位結合を示し、点線は任意選択の二重結合を示す。
【0141】
一実施形態において、Rbは、Xbに対して比較的低い立体障害を有することが好ましい。この実施形態において、最も好ましいRb基は、直鎖アルキル基、直鎖アルケニル基、最も近い分岐点がXbから除去された少なくとも3個の原子である分岐鎖アルキル基、およびそれらのハロ、ジヒドロカルビルアミノ、アルコキシまたはトリヒドロカルビルシリル置換誘導体である。この実施形態において極めて好ましいRb基は、C1~8直鎖アルキル基である。
【0142】
同時に、この実施形態において、Rb’は、好ましくは、Ybに対して比較的高い立体障害を有する。この実施形態に適したRb’基の限定されない例には、1つ以上の二級または三級炭素中心を含むアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、脂肪族または芳香族複素環式基、有機または無機オリゴマー、ポリマーまたは環状基、およびハロ、ジヒドロカルビルアミノ、アルコキシまたはそれらのトリヒドロカルビルシリル置換誘導体が含まれる。この実施形態における好ましいRb’基は、水素を含まない3~40個、より好ましくは3~30個、最も好ましくは4~20個の原子を含み、分岐または環状である。好ましいTb基の例は、以下の式に対応する構造である。
【0143】
【0144】
式中
各Rdは、C1~10ヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、t-ブチル、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、ベンジル、またはトリルである。各Reは、C1~10ヒドロカルビル、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、t-ブチル、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、ベンジル、またはトリルである。さらに、2つ以上のRdもしくはRe基、またはRd基およびRe基の混合物が一緒になってヒドロカルビル基の多価誘導体、例えば1,4-ブチレン、1,5-ペンチレン、または多環式基、縮合環、多価ヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビル基、例えばナフタレン-1,8-ジイルを形成してもよい。
【0145】
上記多価ルイス塩基錯体の適切な例には、以下が含まれる。
【0146】
【0147】
式中、Rdは、出現する毎に、独立して、水素、および任意選択で1個以上のヘテロ原子を含むC1~50ヒドロカルビル基、もしくその不活性置換誘導体からなる群から選択され、または、さらに任意選択で、2つの隣接するRd’基が一緒になって二価架橋基を形成してもよく;
d’は、4であり;
Mb’は、4族金属、好ましくはチタンもしくはハフニウム、または10族金属、好ましくはNiもしくはPdであり;
Lb’は、水素を含まない50個までの原子の一価配位子、好ましくはハライドもしくはヒドロカルビルであるか、または2つのLb’基が一緒になって二価もしくは中性配位子基、好ましくはC2-50ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイルもしくはジエン基である。
【0148】
本発明における使用のための多価ルイス塩基錯体は、特に、4族金属誘導体、特に次式に対応するヒドロカルビルアミン置換ヘテロアリール化合物のハフニウム誘導体を含む。
【0149】
【0150】
式中:
R11は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、および水素を含まない1~30個の原子を含むそれらの不活性置換誘導体またはそれらの二価誘導体から選択され;
T1は、水素以外の1~41個の原子、好ましくは水素以外の1~20個の原子の二価架橋基、最も好ましくはモノ-またはジ-C1~20ヒドロカルビル置換メチレンまたはシラン基であり;
R12は、ルイス塩基官能基を含むC5-20ヘテロアリール基、特にピリジン-2-イル-もしくは置換ピリジン-2-イル基、またはそれらの二価誘導体であり;
M1は、4族金属、好ましくはハフニウムであり;
X1は、アニオン性、中性またはジアニオン性の配位子基であり;
x’は、そのようなX1基の数を示す0~5の数であり;結合、任意選択の結合および電子供与性相互作用は、それぞれ線、点線および矢印で表される。
【0151】
適切な錯体は、配位子形成がアミン基からの、および任意選択で1つ以上の追加の基、特にR12からの水素脱離から生じるものである。さらに、ルイス塩基官能基、好ましくは電子対からの電子供与は、金属中心にさらなる安定性を提供する。適切な金属錯体は次式に対応する。
【0152】
【0153】
式中、M1、X1、x’、R11およびT1は、以前に定義された通りであり、
R13、R14、R15およびR16は、水素、ハロ、または水素を含まない20個までの原子のアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはシリル基であり、または隣接するR13、R14、R15またはR16基が互いに結合して縮合環誘導体を形成してもよく、結合、任意選択の結合および電子対供与性相互作用は、それぞれ線、点線および矢印で表される。前述の金属錯体の適切な例は、次式に対応する。
【0154】
【0155】
式中
M1、X1、およびx’は、以前に定義された通りであり、
R13、R14、R15およびR16は、以前に定義された通りであり、好ましくは、R13、R14、およびR15は、水素、またはC1~4アルキルであり、R16は、C6~20アリール、最も好ましくはナフタレニルであり;
Raは、出現する毎に、独立して、C1-4アルキルであり、aは、1~5であり、最も好ましくは、窒素への2つのオルト位置のRaは、イソプロピルまたはt-ブチルであり;
R17およびR18は、出現する毎に、独立して、水素、ハロゲン、またはC1-20アルキルもしくはアリール基であり、最も好ましくは、R17およびR18の一方が水素であり、他方がC6~20アリール基、特に2-イソプロピル、フェニルまたは縮合多環式アリール基、最も好ましくはアントラセニル基であり、結合、任意選択の結合および電子対供与性相互作用は、それぞれ線、点線および矢印で表される。
【0156】
本明細書における触媒としての使用のための例示的な金属錯体は、次式に対応する。
【0157】
【0158】
式中、X1は、出現する毎に、ハライド、N,N-ジメチルアミド、またはC1~4アルキルであり、好ましくは出現する毎に、X1はメチルであり;
Rfは、出現する毎に、独立して、水素、ハロゲン、C1~20アルキル、もしくはC6~20アリールであるか、または2つの隣接するRf基が一緒になって環を形成し、fは1~5であり;
Rcは、出現する毎に、独立して、水素、ハロゲン、C1-20アルキル、もしくはC6-20アリールであるか、または2つの隣接するRc基が一緒になって環を形成し、cは1~5である。
【0159】
本発明による触媒としての使用のための金属錯体の適切な例は、次式の錯体である。
【0160】
【0161】
式中、Rxは、C1~4アルキルまたはシクロアルキル、好ましくはメチル、イソプロピル、t-ブチルまたはシクロヘキシルであり;
X1は、出現する毎に、ハライド、N,N-ジメチルアミド、またはC1~4アルキル、好ましくはメチルである。
【0162】
本発明による触媒として有用に使用される金属錯体の例には、以下が含まれる。
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(o-トリル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(o-トリル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N-)ジメチルアミド);
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(o-トリル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド。
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N-)ジメチルアミド);
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド。
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン-5-イル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン-5-イル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N-ジメチルアミド);および
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン-5-イル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド。
【0163】
本開示において使用される金属錯体を調製するために使用される反応条件下で、ピリジン-2-イル基の6位で置換されたα-ナフタレン基の2位の水素は、脱離に供され、それにより金属錯体を独自に形成し、得られたアミド基とα-ナフタレニル基の2位との両方に金属が共有結合し、さらに窒素原子の電子対を介してピリジニル窒素原子に配位することにより安定化される。
【0164】
本明細書における使用のための多価ルイス塩基のさらなる適切な金属錯体には、次式に対応する化合物が含まれる。
【0165】
【0166】
式中、
R20は、水素を含まない5~20個の原子を含む芳香族もしくは不活性置換芳香族基、またはそれらの多価誘導体であり;
T3は、水素を含まない1~20個の原子を有するヒドロカルビレンもしくはヒドロカルビルシラン基、またはそれらの不活性置換誘導体であり;
M3は、4族金属、好ましくはジルコニウムまたはハフニウムであり;
Gは、アニオン性、中性またはジアニオン性配位基;好ましくは、水素を含まない20個までの原子を有するハライド、ヒドロカルビル、シラン、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、またはジヒドロカルビルアミド基であり;
gは、そのようなG基の数を示す1~5の数であり;結合および電子供与性相互作用は、それぞれ線および矢印で表される。
【0167】
例示として、そのような錯体は次式に対応する。
【0168】
【0169】
式中、
T3は、水素を含まない2~20個の原子の二価架橋基、好ましくは置換または非置換のC3~6アルキレン基であり;
Ar2は、各出現する毎に、独立して、水素を含まない6~20個の原子のアリーレンまたはアルキルもしくはアリール置換アリーレン基であり;
M3は、第4族金属、好ましくはハフニウムまたはジルコニウムであり;
Gは、出現する毎に、独立して、アニオン性、中性またはジアニオン性配位基であり;
gは、そのようなX基の数を示す1~5の数であり;電子供与性相互作用は矢印で表される。
【0170】
上記式の金属錯体の適切な例には、以下の化合物が含まれる。
【0171】
【0172】
式中、M3は、HfまたはZrであり;
Ar4は、C6-20アリールまたはその不活性置換誘導体、特に3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、またはアントラセン-5-イルであり、
T4は、出現する毎に、独立して、C3-6アルキレン基、C3-6シクロアルキレン基、またはそれらの不活性置換誘導体を含み;
R21は、出現する毎に、独立して、水素、ハロ、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、または水素を含まない50個までの原子のトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであり;
Gは、出現する毎に、独立して、ハロ、または水素を含まない20個までの原子のヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、または2つのG基が一緒になって上記ヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基の二価誘導体である。
【0173】
適切な化合物は、次式の化合物である。
【0174】
【0175】
式中、Ar4は、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、またはアントラセン-5-イルであり、
R21は、水素、ハロ、またはC1~4アルキル、特にメチルであり、
T4は、プロパン-1,3-ジイルまたはブタン-1,4-ジイルであり、
Gは、クロロ、メチルまたはベンジルである。
【0176】
前述の式の例示的な金属錯体は、以下の通りである。
【0177】
【0178】
本開示による使用に適した金属錯体は、次式に対応する化合物をさらに含む。
【0179】
【0180】
式中:
Mは、ジルコニウムまたはハフニウムであり;
R20は、出現する毎に、独立して、水素を含まない5~20個の原子を含む二価の芳香族または不活性置換芳香族基であり;
T3は、水素を含まない3~20個の原子を有する二価の炭化水素もしくはシラン基、またはそれらの不活性置換誘導体であり;
RDは、出現する毎に、独立して、水素を含まない1~20個の原子の一価配位子基であるか、または2つのRD基が一緒になって、水素を含まない1~20個の原子の二価配位子基である。
【0181】
そのような錯体は、次式に対応し得る。
【0182】
【0183】
式中、
Ar2は、出現する毎に、独立して、水素を含まない6~20個の原子のアリーレンまたはアルキル、アリール、アルコキシもしくはアミノ置換アリーレン基、あるいは任意の置換基の任意の原子であり;
T3は、水素を含まない3~20個の原子の二価炭化水素架橋基、好ましくは酸素原子を隔てる少なくとも3個の炭素原子を有する二価置換または非置換C3-6脂肪族、脂環式またはビス(アルキレン)置換脂環式基であり;
RDは、出現する毎に、独立して、水素を含まない1~20個の原子の一価配位子基であるか、または2つのRD基が一緒になって、水素を含まない1~40個の原子の二価配位子基である。
【0184】
本明細書における使用に適した金属錯体のさらなる例には、次式の化合物が含まれる。
【0185】
【0186】
式中、
Ar4は、出現する毎に、独立して、C6-20アリールまたはその不活性置換誘導体、特に3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、ナフチルアントラセン-5-イル、1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イルであり;
T4は、出現する毎に、独立して、プロピレン-1,3-ジイル基、ビス(アルキレン)シクロヘキサン-1,2-ジイル基、または、それぞれ20個までの炭素を有する1~5つのアルキル、アリールもしくはアラルキル置換基で置換されたそれらの不活性置換誘導体であり;
R21は、出現する毎に、独立して、水素、ハロ、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたは水素を含まない50個までの原子のアミノであり;
RDは、出現する毎に、独立して、ハロ、または水素を含まない20個までの原子のヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのRD基が一緒になって水素を含まない40個までの原子の二価ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイルまたはトリヒドロカルビルシリル基である。
【0187】
例示的な金属錯体は、次式の化合物である。
【0188】
【0189】
式中、Ar4は、出現する毎に、独立して、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、またはアントラセン-5-イルであり、
R21は、出現する毎に、独立して、水素、ハロ、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたは水素を含まない50個までの原子のアミノであり;
T4は、プロパン-1,3-ジイルまたはビス(メチレン)シクロヘキサン-1,2-ジイルであり;
RDは、出現する毎に、独立して、ハロ、または水素を含まない20個までの原子のヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのRD基が一緒になって、水素を含まない40個までの原子のヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイルまたはヒドロカルビルシランジイル基である。
【0190】
本開示による適切な金属錯体は、次式に対応する。
【0191】
【0192】
式中、RDは、出現する毎に、独立して、クロロ、メチルまたはベンジルである。
【0193】
適切な金属錯体の具体例は、以下の化合物である。
A)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
B)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
C)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
D)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレントランス-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレントランス-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレントランス-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチルトランス-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレントランス-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、および
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチルトランス-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジベンジル。
【0194】
前述の金属錯体は、遷移金属源および中性多官能配位子源を含む標準的な金属化および配位子交換手順によって都合よく調製され得る。使用される技術は、USP6,827,976およびUS2004/0010103、ならびに他の場所で開示されているものと同じ、または類似している。
【0195】
金属錯体は、共触媒と組み合わせることによって活性化されて活性触媒組成物を形成する。活性化は、反応混合物の他の成分の存在下もしくは非存在下で反応器に触媒組成物を添加する前に、または反応器に金属錯体および活性化共触媒を別々に添加することによりin situで生じ得る。
【0196】
前述の多価ルイス塩基錯体は、4族金属源および中性多官能配位子源を含む標準的な金属化および配位子交換手順によって都合よく調製される。さらに、錯体はまた、対応する4族金属テトラアミドおよびヒドロカルビル化剤、例えばトリメチルアルミニウムから出発するアミド除去およびヒドロカルビル化プロセスによって調製されてもよい。他の技術も同様に使用され得る。これらの錯体は、中でも、米国特許第6,320,005号、第6,103,657号、WO02/38628、WO03/40195、およびUS04/0220050の開示から知られている。
【0197】
高いコモノマー組み込み特性を有する触媒はまた、重合中にβ-ヒドリドの除去および成長ポリマーの連鎖停止、またはその他のプロセスを介して偶然に生じる、in situで調製された長鎖オレフィンを再び組み込むことが知られる。そのような長鎖オレフィンの濃度は、高い転化率、特に95%以上のエチレン転化率、より好ましくは97%以上のエチレン転化率での連続溶液重合条件の使用により特に高められる。そのような条件下では、少量だが検出可能な量のオレフィン末端ポリマーが成長ポリマー鎖に再び組み込まれ、長鎖分岐、すなわち他の意図的に添加されたコモノマーから生じるものよりも長い炭素長の分岐が形成される。さらに、そのような鎖は、反応混合物中に存在する他のコモノマーの存在を反映している。すなわち、鎖は、反応混合物のコモノマー組成に応じて、短鎖または長鎖分岐も含むことができる。オレフィンポリマーの長鎖分岐は、USP5,272,236、5,278,272、および5,665,800においてさらに説明されている。
【0198】
代替として、超分岐を含む分岐が、得られるポリマーに「チェーンウォーキング」をもたらすことが知られている特定の触媒を使用することによって、本マルチブロックコポリマーの特定のセグメントに誘導され得る。例えば、Kaminski, et al.,J.Mol.Catal.A: Chemical,102(1995)59-65;Zambelli, et al., Macromolecules,1988,21,617-622;またはDias, et al.,J.Mol.Catal.A: Chemical,185(2002)57-64に開示されている、ある特定の均一架橋ビスインデニル-または部分水素化ビスインデニル-ジルコニウム触媒を使用して、エチレンを含む単一のモノマーから分岐コポリマーを調製することができる。高級遷移金属触媒、特にニッケルおよびパラジウム触媒もまた、Brookhart, et al.,J.Am.Chem.Soc.,1995,117,64145-6415に開示されているように、超分岐ポリマー(その分岐もまた分岐している)をもたらすことが知られている。
【0199】
使用に適したさらなる錯体には、次式に対応する4~10族誘導体が含まれる。
【0200】
【0201】
式中
M2は、元素周期表の4~10族の金属、好ましくは4族金属、Ni(II)またはPd(II)、最も好ましくはジルコニウムであり;
T2は、窒素、酸素またはリン含有基であり;
X2は、ハロ、ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルオキシであり;
tは、1または2であり;
x”は、電荷平衡を提供するように選択される数であり;
T2およびNは、架橋配位子によって連結されている。
【0202】
そのような触媒は、開示されているものの中でも、以前にJ.Am.Chem.Soc.,118,267-268(1996)、J.Am.Chem.Soc.,117,6414-6415(1995)、およびOrganometallics,16,1514-1516,(1997)に開示されている。
【0203】
触媒としての使用のための前述の金属錯体の適切な例は、次式に対応する4族金属、特にジルコニウムの芳香族ジイミンまたは芳香族ジオキシイミン錯体である。
【0204】
【0205】
式中;
M2、X2およびT2は、以前に定義された通りであり;
Rdは、出現する毎に、独立して、水素、ハロゲン、またはReであり;
Reは、出現する毎に、独立して、C1~20ヒドロカルビルまたはそのヘテロ原子、特にそのF、N、SまたはP置換誘導体、より好ましくはC1~20ヒドロカルビルまたはそのFまたはN置換誘導体、最も好ましくはアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ピロリル、ピペリデニル、ペルフルオロフェニル、シクロアルキル、(ポリ)アルキルアリール、またはアラルキルである。
【0206】
触媒として使用するための前述の金属錯体の適切な例は、次式に対応するジルコニウムの芳香族ジオキシイミン錯体である。
【0207】
【0208】
式中;
X2は、以前に定義された通りであり、好ましくはC1~10ヒドロカルビル、最も好ましくはメチルまたはベンジルであり;
Re’は、メチル、イソプロピル、t-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、2,4-ジメチルシクロヘキシル、2-ピロリル、N-メチル-2-ピロリル、2-ピペリデニル、N-メチル-2-ピペリデニル、ベンジル、o-トリル、2,6-ジメチルフェニル、ペルフルオロフェニル、2,6-ジ(イソプロピル)フェニル、または2,4,6-トリメチルフェニルである。
【0209】
触媒としての使用のための前述の錯体はまた、EP-A-890581に開示されているある特定のホスフィンイミン錯体を含む。これらの複合体は、式:[(Rf)3-P=N]fM(K2)(Rf)3-fに対応し、式中、Rfは、一価配位子であるか、または2つのRf基が一緒になって二価配位子であり、好ましくは、Rfは、水素またはC1~4アルキルであり;
Mは、4族金属であり、
K2は、それを介してK2がMに結合する非局在化π電子を含む基であり、前記K2基は、水素原子を含まない50個までの原子を含み、fは、1または2である。
【0210】
式(I)を有する組成物を調製するためのプロセスの上記の考察を参照すると、触媒前駆体(共触媒と組み合わせて)は、最終溶液中で活性を維持し得、その後の重合において活性触媒としてさらに機能し得る。したがって、本開示のプロセスの最終溶液(触媒および式(I)を有する組成物を含む最終溶液)は、任意の単離、精製、または分離の必要性なしに、および除去可能な担持触媒を有する必要性なしに、オレフィン重合に直接使用することができる。
【0211】
本開示のための例示的で非限定的な触媒前駆体には、有機金属化合物との良好な連鎖移動能を有する任意の触媒が含まれる。例示的で非限定的な触媒前駆体は、その後の重合に悪影響を及ぼすべきではなく、したがって、オレフィン重合の前に最終溶液から除去する必要はない。例示的な非限定的触媒前駆体は、良好なコモノマー組み込み触媒であり得、式(I)を有する組成物を作製するために使用され得、また、後述されるように、重合反応器内で所望のポリマーを作製するための活性触媒として活性を維持し続けることができる。
【0212】
本開示に従って使用され得る例示的な触媒前駆体には、以下に列挙されるように、触媒(A1)~(A7)が含まれるが、これらに限定されない。
【0213】
触媒(A1):WO03/40195およびWO04/24740の教示ならびに当技術分野で公知のプロセスに従って調製される、[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル]。
【0214】
【0215】
触媒(A2):当技術分野で公知のプロセスに従って調製される、(E)-((2,6-ジイソプロピルフェニル)(2-メチル-3-(オクチルイミノ)ブタン-2-イル)アミノ)トリメチルハフニウム。
【0216】
【0217】
触媒(A3):当技術分野で公知のプロセスに従って調製される、[[2’,2’’’-[1,2-シクロヘキサンジイルビス(メチレンオキシ-κO)]ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)-5-メチル[1,1’-]ビフェニル]-2-オラト-[κO]](2-)]ジメチルハフニウム。
【0218】
【0219】
触媒(A4):当技術分野で公知のプロセスに従って調製される、[[2’,2’’’-[1,4-ブタンジイルビス(オキシ-κO)]ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)-3’-フルオロ-5-メチル[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-[κO]](2-)]-ジメチルハフニウム。
【0220】
【0221】
触媒(A5):当技術分野で公知のプロセスに従って調製される、シクロペンタジエニルビス((トリメチルシリル)メチル)スカンジウムテトラヒドロフラン錯体。
【0222】
【0223】
触媒(A6):当技術分野で公知のプロセスに従って調製される、(メシチル(ピリジン-2-イルメチル)アミノ)トリベンジルハフニウム。
【0224】
【0225】
触媒(A7):WO2010/022228の開示および当技術分野で公知のプロセスに従って調製される、(N-((6E)-6-(ブチルイミノ-kN)-1-シクロヘキセン-1-イル)-2,6-ビス(1-メチルエチル)ベンゼンアミナト-kN)トリメチルハフニウム。
【0226】
【0227】
共触媒
本開示の触媒前駆体はそれぞれ、共触媒、好ましくはカチオン形成共触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせと組み合わせることによって活性化して活性触媒組成物を形成することができる。したがって、本開示はまた、少なくとも1つの触媒前駆体、および本明細書に開示されている式(I)を有する組成物と併せた、触媒組成物および様々なプロセスにおける少なくとも1つの共触媒の使用を提供する。
【0228】
触媒前駆体は、望ましくはカチオン形成共触媒と組み合わせることによって触媒的に活性化される。適切なカチオン形成共触媒には、金属オレフィン重合錯体について当技術分野において以前から知られているものが含まれる。その例には、中性ルイス酸、例えばC1-30ヒドロカルビル置換13族化合物、特にトリ(ヒドロカルビル)アルミニウム-またはトリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物、および各ヒドロカルビルまたはハロゲン化ヒドロカルビル基中に1~10個の炭素を有するそのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体、より特にはペルフルオロ化トリ(アリール)ホウ素化合物、最も特にはトリス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラン;非ポリマー性、適合性、非配位性、イオン形成性化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)、特に適合性、非配位性アニオンのアンモニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩、カルボニウム塩、シリリウム塩もしくはスルホニウム塩の使用、または適合性、非配位性アニオンのフェロセニウム塩、鉛塩もしくは銀塩;ならびに前述のカチオン形成共触媒および技術の組み合わせが含まれる。前述の活性化共触媒および活性化技術は、オレフィン重合のための異なる金属錯体に関して以下の参考文献中に以前に教示されている:EP-A-277,003;米国特許第5,153,157号;第5,064,802号;第5,321,106号;第5,721,185号;第5,350,723号;第5,425,872号;第5,625,087号;第5,883,204号;第5,919,983号;第5,783,512号;WO99/15534、およびWO99/42467。
【0229】
中性ルイス酸の組合せ、特に各アルキル基中に1~4個の炭素を有するトリアルキルアルミニウム化合物および各ヒドロカルビル基中に1~20個の炭素を有するハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの組合せ、そのような中性ルイス酸混合物とポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとのさらなる組み合わせ、ならびに単一の中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせを、活性化共触媒として使用することができる。金属錯体:トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン:アルモキサンの例示的なモル比は、1:1:1~1:5:20、例えば1:1:1.5~1:5:10である。
【0230】
本開示の一実施形態において共触媒として有用な適切なイオン形成化合物は、プロトンを供与することができるブレンステッド酸であるカチオン、および適合性の非配位アニオンA-を含む。本明細書で使用される場合、用語「非配位性」は、4族金属含有前駆体錯体およびそれから誘導される触媒誘導体に配位しないか、またはそのような錯体に弱く配位するだけで、それにより中性ルイス塩基によって排除されるのに十分に不安定なままであるアニオンまたは物質を指す。非配位アニオンは、具体的には、カチオン性金属錯体中で電荷平衡アニオンとして機能する場合にアニオン性置換基またはその断片を前記カチオンに移動させず、それによって中性錯体を形成しないアニオンを指す。「適合性アニオン」は、最初に形成された錯体が分解した場合に中性に劣化せず、所望のその後の重合または錯体の他の用途を妨げないアニオンである。
【0231】
適切なアニオンは、2つの成分が組み合わされる場合に形成され得る活性触媒種(金属カチオン)の電荷を平衡化することができる電荷保有金属または半金属コアを含む単一配位錯体を含むものである。また、前記アニオンは、オレフィン性、ジオレフィン性およびアセチレン性不飽和化合物または他の中性ルイス塩基、例えばエーテルまたはニトリルによって置換されるのに十分に不安定であるべきである。適切な金属には、アルミニウム、金および白金が含まれるが、これらに限定されない。適切な半金属には、ホウ素、リン、およびケイ素が含まれるが、これらに限定されない。単一の金属原子または半金属原子を含む配位錯体を含むアニオンを含む化合物は、当然ながら周知であり、多くの、特にアニオン部分に単一のホウ素原子を含むそのような化合物が市販されている。
【0232】
一態様では、適切な共触媒は、以下の一般式によって表すことができる。
(L*-H)g
+(A)g-、式中:
L*は、中性ルイス塩基であり;
(L*-H)+は、L*の共役ブレンステッド酸であり;
Ag-は、g-の電荷を有する非配位性の適合性アニオンであり、gは、1~3の整数である。
【0233】
より具体的には、Ag-は、式:[M’Q4]-に対応し;式中:
M’は、+3形式酸化状態のホウ素またはアルミニウムであり;
Qは、出現する毎に、独立して、水素化物、ジアルキル-アミド、ハライド、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシド、ハロ置換ヒドロカルビル、ハロ置換ヒドロカルビルオキシ、およびハロ置換シリルヒドロカルビルラジカル(ペルハロゲン化ヒドロカルビル-ペルハロゲン化ヒドロカルビルオキシ-およびペルハロゲン化シリルヒドロカルビルラジカル基を含む)から選択され、各Qは20個までの炭素を有するが、ただし、1回以下の出現において、Qハライドである。適切なヒドロカルビルオキシドQ基の例は、米国特許第5,296,433号に開示されている。
【0234】
例示的な実施形態において、dは1、すなわち対イオンは単一の負電荷を有し、A-である。本開示の触媒の調製において特に有用であるホウ素を含む活性化共触媒は、以下の一般式によって表すことができる。
(L*-H)+(BQ4)-;式中:
L*は、以前に定義された通りであり;
Bは、形式酸化状態3のホウ素であり;
Qは、20個までの非水素原子のヒドロカルビル-、ヒドロカルビルオキシ-、フッ素化ヒドロカルビル-、フッ素化ヒドロカルビルオキシ-またはフッ素化シリルヒドロカルビル基であるが、ただし、1回以下の出現においてQヒドロカルビルである。
【0235】
特に有用なルイス塩基塩はアンモニウム塩、より好ましくは1つ以上のC12-40アルキル基を含むトリアルキル-アンモニウム塩である。この態様では、例えば、Qは、出現する毎に、フッ素化アリール基、特にペンタフルオロフェニル基であってもよい。
【0236】
本開示の改善された触媒の調製において活性化共触媒として使用され得るホウ素化合物の例には、限定されないが、以下のような三置換アンモニウム塩が含まれる。
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(sec-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムn-ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(4-(t-ブチルジメチルシリル)-2,3,5,6テトラフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(4-(トリイソプロピルシリル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチル-2,4,6-トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
ジメチルオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
以下のようないくつかのジアルキルアンモニウム塩:
ジ-(i-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタドデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
ジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
以下のような種々の三置換ホスホニウム塩:
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
トリ(2,6-ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
以下のような二置換オキソニウム塩:
ジフェニルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジ(o-トリル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
ジ(オクタデシル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;ならびに
以下のような二置換スルホニウム塩:
ジ(o-トリル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
メチルコタデシルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
【0237】
本開示のこの態様に加えて、有用な(L*-H)+カチオンの例には、これらに限定されないが、メチルジオクタデシルアンモニウムカチオン、ジメチルオクタデシルアンモニウムカチオン、および1つまたは2つのC14-18アルキル基を含むトリアルキルアミンの混合物から誘導されるアンモニウムカチオンが含まれる。
【0238】
別の適切なイオン形成性活性化共触媒は、カチオン性酸化剤の塩と、次式で表される非配位性の適合性アニオンとを含む。
(Oxh+)g(Ag-)h、式中
Oxh+は、電荷h+を有するカチオン性酸化剤であり;
hは、1~3の整数であり;
Ag-およびgは、以前に定義された通りである。
【0239】
カチオン性酸化剤の例には、フェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、Ag+、またはPb+2が含まれる。Ag-の特に有用な例は、ブレンステッド酸含有活性化共触媒に関して以前に定義されたアニオン、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0240】
別の適切なイオン形成性活性化共触媒は、カルベニウムイオンと以下の式で表される非配位性の適合性アニオンとの塩である化合物であってもよい。
¥[C]+A-
式中:
[C]+は、C1-20カルベニウムイオンであり;
-1の電荷を有する非配位性の適合性アニオンである。例えば、良好に機能する1つのカルベニウムイオンは、トリチルカチオン、すなわちトリフェニルメチリウムである。
【0241】
さらなる適切なイオン形成性活性化共触媒は、シリリウムイオンと次式で表される非配位性の適合性アニオンとの塩である化合物を含む。
(Q1
3Si)+A-
【0242】
式中:
Q1は、C1-10ヒドロカルビルであり、A-は、以前に定義された通りである。
【0243】
適切なシリリウム塩活性化共触媒には、トリメチルシリリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリエチルシリリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、およびそれらのエーテル置換付加物が含まれる。シリリウム塩は、以前にJ.Chem. Soc.Chem.Comm.1993,383-384、ならびにLambert,J.B., et al., Organometallics 1994,13,2430-2443に全般的に開示されている。付加重合触媒用の活性化共触媒としての上記シリリウム塩の使用は、米国特許第5,625,087号にも記載されている。
【0244】
アルコール、メルカプタン、シラノール、およびオキシムとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレートとのある特定の錯体もまた有効な触媒活性剤であり、本開示に従って使用され得る。そのような共触媒は、米国特許第5,296,433号に開示されている。
【0245】
本明細書における使用に適した活性化共触媒はまた、ポリマーまたはオリゴマーアルモキサン(アルミノキサンとも呼ばれる)、特にメチルアルモキサン(MAO)、トリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサン(MMAO)、またはイソブチルアルモキサン;各ヒドロカルビルまたはハロゲン化ヒドロカルビル基中に1~10個の炭素を有するルイス酸変性アルモキサン、特にペルハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)アルミニウム-またはペルハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素変性アルモキサン、最も特にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン変性アルモキサンを含む。そのような共触媒は、以前に米国特許第6,214,760号、第6,160,146号、第6,140,521号、および第6,696,379号において開示されている。
【0246】
米国特許第6,395,671号にさらに開示されている、一般に膨張アニオンと呼ばれる非配位アニオンを含む共触媒のクラスは、オレフィン重合のために本開示の金属錯体を活性化するために適切に使用され得る。一般に、これらの共触媒(イミダゾリド、置換イミダゾリド、イミダゾリニド、置換イミダゾリニド、ベンズイミダゾリド、または置換ベンズイミダゾリドアニオンを有するものによって例示される)は、以下のように表すことができる。
【0247】
【0248】
式中:
A*+は、カチオン、特にプロトン含有カチオンであり、1つまたは2つのC10-40アルキル基を含むトリヒドロカルビルアンモニウムカチオン、特にメチルジ(C14-20アルキル)アンモニウムカチオンであってもよく、
Q3は、出現する毎に、独立して、水素、または水素を含まない30個までの原子のハロ、ヒドロカルビル、ハロカルビル、ハロヒドロカルビル、シリルヒドロカルビル、またはシリル(例えば、モノ-、ジ-およびトリ(ヒドロカルビル)シリルを含む)基、例えば、C1-20アルキルであり、
Q2は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランまたはトリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)である。
【0249】
これらの触媒活性化剤の例には、以下のトリヒドロカルビルアンモニウム塩、特に、メチルジ(Ci4-20アルキル)アンモニウム塩が含まれる。
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ヘプタデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ウンデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ヘプタデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-5,6-ジメチルベンズイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-5,6-ビス(ウンデシル)ベンズイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ヘプタデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ウンデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ヘプタデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-5,6-ジメチルベンズイミダゾリド、および
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-5,6-ビス(ウンデシル)ベンズイミダゾリド。
【0250】
他の活性剤には、トリス(2,2’、2’’-ノナフルオロビフェニル)フルオロアルミネート等のPCT公開WO98/07515に記載されているものが含まれる。活性化剤の組み合わせ、例えば、アルモキサンおよびイオン化活性化剤の組み合わせもまた本開示によって企図されており、例えばEP-A-0 573120、PCT公開WO94/07928およびWO95/14044、ならびに米国特許第5,153,157号および第5,453,410号を参照されたい。例えば、一般的に、WO98/09996は、過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩およびヨウ素酸塩(それらの水和物を含む)を用いて触媒化合物を活性化することを説明している。WO99/18135は、有機ホウ素アルミニウム活性剤の使用を説明している。WO03/10171は、ブレンステッド酸とルイス酸との付加物である触媒活性剤を開示している。触媒化合物を活性化するための他の活性剤またはプロセスは、例えば、米国特許第5,849,852号、第5,859,653号、および第5,869,723号、EP-A-615981、ならびにPCT公開WO98/32775に記載されている。本開示によれば、前述の触媒活性化剤の全てならびに遷移金属錯体触媒用の他の任意の既知の活性化剤を単独で、または組み合わせて使用することができる。しかしながら、一態様では、共触媒はアルモキサンを含まなくてもよい。別の態様では、例えば、共触媒は、本明細書に開示されるような具体的に命名されたいかなる活性剤または活性剤のクラスも含まなくてもよい。
【0251】
さらなる態様では、使用される触媒/共触媒のモル比は、一般に1:10,000~100:1、例えば1:5000~10:1、または1:1000~1:1の範囲である。アルモキサンは、活性化共触媒として単独で使用される場合、大量に、一般にモル基準で金属錯体の量の少なくとも100倍の量で使用することができる。
【0252】
活性化共触媒として使用される場合、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランは、一般に0.5:1~10:1、例えば1:1~6:1および1:1~5:1の金属錯体に対するモル比で使用され得る。残りの活性化共触媒は、一般に金属錯体とほぼ等モル量で使用される。
【0253】
本開示の例示的実施形態において、共触媒は、[(C16-18H33-37)2CH3NH]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩である。
【0254】
重合プロセス
本開示の組成物および本明細書に記載の組成物を使用する触媒系は、広範囲の温度および圧力にわたる任意の予備重合および/または重合プロセスにおける使用に適している。本明細書に記載のそのような温度および圧力、ならびに他の重合プロセス情報は、「重合条件」と呼ぶことができる。温度は、-60℃~約280℃、好ましくは50℃~約200℃の範囲であってもよい。別の実施形態において、重合温度は、0℃超、50℃超、80℃超、100℃超、150℃超または200℃超である。一実施形態において、使用される圧力は、1気圧から約500気圧以上の範囲であってもよい。重合プロセスは、溶液、気相、スラリー相および高圧プロセスまたはそれらの組み合わせを含む。
【0255】
一実施形態において、本開示のプロセスは、2~30個の炭素原子、好ましくは2~12個の炭素原子、より好ましくは2~8個の炭素原子を有する1つ以上のオレフィンモノマーの溶液、高圧、スラリーまたは気相重合プロセスに関する。本開示は、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1,4-メチル-ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1およびデセン-1の2種以上のオレフィンモノマーの重合に特によく適している。本開示のプロセスにおいて有用な他のモノマーには、エチレン性不飽和モノマー、4~18個の炭素原子を有するジオレフィン、共役または非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマーおよび環状オレフィンが含まれる。本開示において有用な限定されないモノマーには、ノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンおよびシクロペンテンが含まれる。本開示のプロセスの別の実施形態において、エチレンのコポリマーが生成され、エチレンとともに、4~15個の炭素原子、好ましくは4~12個の炭素原子、最も好ましくは4~8個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルファ-オレフィンを有するコモノマーが、溶液プロセスで重合される。本開示のプロセスの別の実施形態において、エチレンまたはプロピレンは、少なくとも2つの異なるコモノマー(任意選択でそのうちの1つはジエンであってもよい)と重合され、ターポリマーを形成する。
【0256】
本開示のプロセスの実施形態において、触媒系は、液相(溶液、スラリー、懸濁液、バルク相またはそれらの組み合わせ)、高圧液体、もしくは超臨界流体、または気相プロセスにおいて使用することができる。これらのプロセスはそれぞれ、単一、並列または直列反応器内で使用され得る。液体プロセスは、エチレンおよび/またはα-オレフィンおよび少なくとも1つの隣接二置換オレフィンモノマーを本明細書に記載の触媒系と適切な希釈剤または溶媒中で接触させ、モノマーを十分な時間反応させて本発明の実施形態のコポリマーを生成することを含む。重合に使用されるモノマーの1つ以上は、一般に液体モノマー中での均一重合において、溶媒および/または希釈剤として利用することができる。脂肪族および芳香族の両方(ヘキサンおよびトルエンを含む)のヒドロカルビル溶媒も適している。バルクおよびスラリープロセスは、典型的には触媒を液体モノマーのスラリーと接触させることによって達成することができ、触媒系は担持されている。気相プロセスは、担持触媒を用いてもよく、配位重合によるエチレンホモポリマーまたはコポリマーの生成に適していることが知られている任意の様式で行われてもよい。例示的な例は、US4,543,399;4,588,790;5,028,670;5,382,638;5,352,749;5,436,304;5,453,471;5,463,999;およびWO95/07942において見出すことができる。それぞれ、米国特許実務の目的のために参照により組み込まれる。
【0257】
一般に、重合反応温度は、-50℃~250℃で変動し得る。反応温度条件は、-20℃~220℃、または200℃未満であってもよい。圧力は、1mmHg~2500bar、または0.1bar~1600bar、または1.0~500barで変動し得る。より低い分子量のコポリマー、例えばMn<10,000が求められる場合、0℃を超える温度および500バール未満の圧力で反応プロセスを実行することが適切となり得る。
【0258】
本開示の一態様では、オレフィン重合触媒および式(I)を有する組成物の存在下で1つ以上のオレフィンモノマーを重合反応器またはゾーンで重合させ、それにより式(I)を有する組成物の残部と結合した少なくともいくらかの量のポリマーの形成をもたらすことを含むプロセス、および得られるポリマーが提供される。例示的で非限定的な重合プロセスには、当技術分野で公知のもの、米国特許第8,501,885号B2に開示されているもの、およびランダムコポリマーを生成するための当技術分野で公知のものが含まれる。例示的で非限定的な重合プロセスは、単一の反応器または2つの反応器で行われるものを含む。
【0259】
さらに別の態様において、オレフィン重合触媒および式(I)を有する組成物の存在下で1つ以上のオレフィンモノマーを重合反応器またはゾーン内で重合させ、それにより反応器またはゾーン内で式(I)を有する組成物の残部と結合した少なくともいくらかの量の初期ポリマーの形成をもたらすことと;第1の反応器またはゾーンから、第1の重合反応器またはゾーンのものと区別され得る重合条件下で運転される第2の重合反応器またはゾーンに反応生成物を排出することと;式(I)を有する組成物の残りの少なくとも1つの残りのシャトリング部位を用いて、式(I)を有する組成物の残部と結合した初期ポリマーの少なくとも一部を第2の重合反応器またはゾーンの活性触媒部位に移動させることと;式(I)を有する組成物の残部を用いて初期ポリマーの一部または全部に結合した第2のポリマーセグメントを形成するように、第2の重合反応器またはゾーンで重合を行うことであって、第2のポリマーセグメントは、初期ポリマーセグメントから識別され得るポリマー特性を有する、重合を行うこととを含むプロセス、および得られるポリマーが提供される。
【0260】
重合中、反応混合物は、任意の適切な重合条件に従って活性化触媒組成物と接触させられる。このプロセスは一般に高温および高圧の使用により特徴付けることができる。所望に応じて、水素を既知の技術に従って分子量制御のための連鎖移動剤として使用することができる。他の同様の重合のように、使用されるモノマーおよび溶媒は、触媒失活または早期連鎖停止が生じないように十分に高い純度であることが一般に望ましい。減圧下での脱揮、モレキュラーシーブもしくは高表面積アルミナとの接触、または前述のプロセスの組み合わせ等のモノマー精製のための任意の適切な技術が使用され得る。
【0261】
本発明のプロセス、特にスラリー重合または気相重合において、担体が使用されてもよい。適切な担体には、固体、粒状、高表面積、金属酸化物、半金属酸化物、またはそれらの混合物(本明細書では同義的に無機酸化物と呼ばれる)が含まれる。例としては、これらに限定されないが、タルク、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、Sn2O3、アルミノシリケート、ボロシリケート、粘土、およびそれらの任意の組み合わせまたは混合物が含まれる。適切な担体は、好ましくは、10~1000m2/g、好ましくは100~600m2/gのB.E.T.法を用いた窒素ポロシメトリーによって決定される表面積を有する。平均粒径は、典型的には、0.1~500μm、好ましくは1~200μm、さらに好ましくは10~100μmである。
【0262】
本開示の一態様では、触媒組成物および任意選択の担体を噴霧乾燥するか、または別様に固体の粒状形態で回収して、容易な輸送および取扱いが可能な組成物を提供することができる。液体含有スラリーを噴霧乾燥するための適切なプロセスは、当技術分野において周知であり、本明細書において有用に使用される。本明細書において使用される噴霧乾燥触媒組成物のための好ましい技術は、米国特許第5,648,310号および第5,672,669号に記載されている。
【0263】
重合は、望ましくは、連続的な重合、例えば連続溶液重合として行われ、触媒成分、モノマー、ならびに任意選択の溶媒、アジュバント、捕捉剤、および重合助剤が1つ以上の反応器またはゾーンに連続的に供給され、そこからポリマー生成物が連続的に除去される。この文脈において使用される場合、「連続的」および「連続的に」という用語の範囲には、反応物質の間欠的な添加、および小さな規則的または不規則な間隔での生成物の除去があり、経時的に全体的なプロセスが実質的に連続的であるそのようなプロセスが含まれる。式(I)を有する組成物(使用される場合)は、第1の反応器もしくはゾーン内、第1の反応器の出口もしくはその若干前、第1の反応器もしくはゾーンと任意の後続の反応器もしくはゾーンとの間、またはさらには第2の反応器もしくはゾーンのみを含む、重合中の任意の時点で添加され得る。反応器内または直列に接続された2つ以上の反応器もしくはゾーン間でモノマー、温度、圧力または他の重合条件に違いがある場合、コモノマー含有量、結晶化度、密度、立体規則性、位置規則性、または他の化学的もしくは物理的差異等の異なる組成のポリマーセグメントが、本開示のポリマー中に形成され得る。そのような場合、各セグメントまたはブロックのサイズは、ポリマー反応条件によって決定され、典型的にはポリマーサイズの最も可能性の高い分布である。
【0264】
複数の反応器が使用される場合、それぞれが高圧、溶液、スラリーまたは気相重合条件下で独立して運転され得る。複数ゾーン重合では、全てのゾーンが、溶液、スラリー、または気相等の同じ種類の重合下であるが異なるプロセス条件で運転される。溶液重合プロセスの場合、使用される重合条件下でポリマーが可溶性である液体希釈剤中で、触媒成分の均質な分散液を使用することが望ましい。通常金属錯体または共触媒のいずれかがごくわずかに可溶であるそのような均一系触媒分散液を生成するために極めて微細なシリカまたは同様の分散剤を用いた1つのそのようなプロセスが、米国特許第5,783,512において開示されている。高圧プロセスは、通常、100℃~400℃の温度および500バール(50MPa)を超える圧力で行われる。スラリープロセスは、典型的には、不活性炭化水素希釈剤を使用し、0℃から、得られるポリマーが不活性重合媒体中に実質的に可溶となる温度直下までの温度を使用する。例えば、スラリー重合における典型的な温度は、調製されるポリマーに応じて、30℃から、一般には60℃から、115℃まで(100℃までを含む)である。圧力は、通常、大気圧(100kPa)~500psi(3.4MPa)の範囲である。
【0265】
前述のプロセスの全てにおいて、一般的に連続的または実質的に連続的な重合条件が用いられる。そのような重合条件、特に連続溶液重合プロセスの使用は、高い収率および効率での本ブロックコポリマーの経済的な生成をもたらす高い反応器温度の使用を可能にする。
【0266】
触媒は、必要な金属錯体または複数の錯体を、重合が行われる溶媒に、または最終反応混合物と適合する希釈剤中に添加することによって、均一な組成物として調製されてもよい。所望の共触媒または活性化剤、および任意選択で式(I)を有する組成物は、触媒と、重合されるモノマーおよび任意のさらなる反応希釈剤とを組み合わせる前、組み合わせと同時に、または組み合わせた後のいずれかで、触媒組成物と組み合わされてもよい。望ましくは、存在する場合、式(I)を有する組成物は、同時に添加される。
【0267】
常に、個々の成分ならびにいかなる活性触媒組成物も、酸素、水分、および他の触媒毒から保護される。したがって、触媒成分、式(I)を有する組成物、および活性化触媒は、酸素および水分のない雰囲気中、一般には窒素等の乾燥した不活性ガス下で調製および貯蔵される。
【0268】
本開示の範囲を何ら限定することなく、そのような重合プロセスを実行するための1つの手段は以下の通りである。溶液重合条件下で操作される1つ以上のよく撹拌されたタンクまたはループ反応器において、重合すべきモノマーは、反応器の一部で任意の溶媒または希釈剤とともに連続的に導入される。反応器は、任意の溶媒または希釈剤および溶解したポリマーとともに、実質的にモノマーからなる比較的均質な液相を含む。好ましい溶媒としては、C4-10炭化水素またはそれらの混合物、特に、ヘキサン等のアルカンまたはアルカンの混合物、および重合に用いられる1つ以上のモノマーが挙げられる。適切なループ反応器の例、およびそれとともに使用するための、直列で動作する多重ループ反応器の使用を含む種々の適切な動作条件は、米国特許第5,977,251号、第6,319,989号および第6,683,149号において見出される。
【0269】
共触媒および式(I)を有する組成物と併用される触媒は、反応器液相またはそのリサイクルされた任意の部分の最低1ヶ所に、連続的または断続的に導入される。反応器の温度および圧力は、溶媒/モノマー比または触媒添加速度を調節することにより、および冷却もしくは加熱コイル、ジャケット、またはその両方を使用することにより制御され得る。重合速度は、触媒添加速度によって制御され得る。ポリマー生成物中の特定のモノマーの含量は、反応器中のモノマーの比率によって影響され、この比率は、これらの成分の反応器へのそれぞれの供給速度を操作することにより制御される。ポリマー生成物の分子量は、任意選択で、当技術分野において公知であるように、温度、モノマー濃度等の他の重合変数を制御することにより、または前述の式(I)を有する組成物、もしくは水素等の連鎖停止剤により制御される。
【0270】
本開示の一態様において、第1の反応器で調製された反応混合物がポリマー成長を実質的に停止させることなく第2の反応器に排出されるように、任意選択で導管または他の移送手段によって第1の反応器の排出口に、第2の反応器が接続される。第1および第2の反応器の間で、少なくとも1つのプロセス条件の差が確立されてもよい。一般に、2つ以上のモノマーのコポリマーの形成における使用では、差は、1つ以上のコモノマーの存在もしくは不在、またはコモノマー濃度の差である。一連の第2の反応器と同様に配置された追加の反応器も設けられてよい。カップリングされた反応生成物が望ましい場合には、反応器流出物を水、水蒸気もしくはアルコール等の触媒停止剤またはカップリング剤と接触させることによって、さらなる重合が停止される。
【0271】
得られたポリマー生成物は、残留モノマーまたは希釈剤等の反応混合物の揮発性成分を減圧下でフラッシュオフし、必要に応じて、脱揮押出機等の装置でさらなる脱揮を行うことによって回収される。連続プロセスにおいて、反応器内の触媒およびポリマーの平均滞留時間は一般に、5分間~8時間、例えば10分間~6時間である。
【0272】
代替として、本開示のさらなる態様において、前述の重合は、プラグフロー反応器内で、任意選択でモノマー、触媒、式(I)を有する組成物、温度、または異なるゾーンもしくはその領域間で確立される他の勾配を用いて行われてもよく、さらに任意選択で触媒および/または式(I)を有する組成物を別々に添加し、断熱または非断熱重合条件下で操作することにより達成されてもよい。
【0273】
さらなる態様では、触媒組成物はまた、以前に開示されたように、必要な成分を不活性無機または有機粒子状固体上に吸着させることによって不均一系触媒として調製および使用することもできる。例えば、不均一触媒は、不活性無機化合物および活性水素含有活性剤の反応生成物、特にトリ(C1-4アルキル)アルミニウム化合物およびヒドロキシアリールトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、例えば(4-ヒドロキシ-3,5-ジターシャリー-ブチルフェニル)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのアンモニウム塩の反応生成物と金属錯体を共沈させることによって調製され得る。不均一形態または担持形態で調製される場合、触媒組成物はスラリーまたは気相重合において使用され得る。実用上の制限として、スラリー重合は、ポリマー生成物が実質的に不溶である液体希釈剤中で行われる。一般に、スラリー重合用の希釈剤は、5個未満の炭素原子を有する1つ以上の炭化水素である。必要に応じて、エタン、プロパン、またはブタン等の飽和炭化水素を全体的または部分的に希釈剤として使用することができる。溶液重合の場合と同様に、α-オレフィンコモノマーまたは異なるα-オレフィンモノマーの組み合わせを全体的または部分的に希釈剤として使用することができる。最も好ましくは、希釈剤の少なくとも大部分が、重合される1つ以上のα-オレフィンモノマーを含む。
【0274】
この態様では、気相重合プロセスで使用するためには、担体材料および得られる触媒は、典型的には20~200μm、一般に30μm~150μm、典型的には50μm~100μmの中央粒径を有し得る。スラリー重合法で使用するためには、担体は、1μmから200μm、一般に5μmから100μm、典型的には10μmから80μmの中央粒径を有し得る。
【0275】
本明細書における使用に適した気相重合プロセスは、ポリプロピレン、エチレン/α-オレフィンコポリマー、および他のオレフィンポリマーの製造のために商業的に大規模に使用されている既知のプロセスと実質的に同様である。使用される気相プロセスは、例えば、重合反応ゾーンとして機械的攪拌床またはガス流動床を使用する種類のものであってもよい。重合反応が、多孔板または流動グリッドの上方に支持または懸濁されたポリマー粒子の流動床を含む垂直円筒重合反応器内で流動化ガスの流れによって行われるプロセスが好ましい。本開示のプロセスにおける使用に適合可能な適切な気相プロセスは、例えば、米国特許第4,588,790号;第4,543,399号;第5,352,749号;第5,436,304号;第5,405,922号;第5,462,999号;第5,461,123号;第5,453,471号;第5,032,562号;第5,028,670号;第5,473,028号;第5,106,804号;第5,556,238号;第5,541,270号;第5,608,019号;および第5,616,661号において開示されている。
【0276】
ポリマーの官能化誘導体の使用もまた本開示内に含まれる。その例には、金属が使用される触媒または式(I)を有する組成物の残部である金属化化ポリマー、およびそれらのさらなる誘導体が含まれる。反応器を出るポリマー生成物のかなりの部分が金属で終結しているため、さらなる官能化は比較的容易である。金属化ポリマー種は、アミン-、ヒドロキシ-、エポキシ-、シラン、ビニルおよび他の官能化末端ポリマー生成物を形成するための他のアルキル-アルミニウム、アルキル-ガリウム、アルキル-亜鉛、またはアルキル-1族化合物に適した化学反応等の周知の化学反応において利用され得る。本明細書における使用に適合可能な適切な反応技術の例は、Negishi、「Organometallics in Organic Synthesis」,Vol.1および2,(1980)、ならびに有機金属および有機合成における他の標準的な教科書において説明されている。
【0277】
オレフィンモノマー
重合プロセスにおいて本開示のポリマー生成物を調製する際に使用するための適切なモノマーには、任意の付加重合性モノマー、一般に任意のオレフィンまたはジオレフィンモノマーが含まれる。適切なモノマーは、直鎖、分岐鎖、非環式、環式、置換、または非置換であってもよい。一態様では、オレフィンは、例えば、エチレンおよび少なくとも1つの異なる共重合性コモノマー、プロピレンおよび4~20個の炭素を有する少なくとも1つの異なる共重合性コモノマー、または4-メチル-1-ペンテンおよび4~20個の炭素を有する少なくとも1つの異なる共重合性コモノマーを含む、任意のα-オレフィンであってもよい。適切なモノマーの例には、これらに限定されないが、2~30個の炭素原子、2~20個の炭素原子、または2~12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖α-オレフィンが含まれる。適切なモノマーの具体例には、これらに限定されないが、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキサン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、および1-エイコセンが含まれる。本明細書において開示されるコポリマーを調製する際に使用される適切なモノマーはまた、3~30個、3~20個の炭素原子、または3~12個の炭素原子を有するシクロオレフィンを含む。使用され得るシクロオレフィンの例には、これらに限定されないが、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、および2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a、5,8,8a-オクタヒドロナフタレンが含まれる。本明細書において開示されるコポリマーを調製するための適切なモノマーにはまた、3~30個、3~20個の炭素原子、または3~12個の炭素原子を有するジオレフィンおよびポリオレフィンが含まれる。使用され得るジ-およびポリ-オレフィンの例には、これらに限定されないが、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、および5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエンが含まれる。さらなる態様では、芳香族ビニル化合物はまた、本明細書に開示されるコポリマーを調製するための適切なモノマーを構成し、その例には、これらに限定されないが、モノ-またはポリ-アルキルスチレン(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレンおよびp-エチルスチレンを含む)、ならびに官能基含有誘導体、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、メチルビニルベンゾエート、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o-クロロスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼン、3-フェニルプロペン、4-フェニルプロペンおよびα-メチルスチレン、塩化ビニル、1,2-ジフルオロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、および3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンが含まれるが、ただし、モノマーは、使用される条件下で重合可能である。
【0278】
さらに、一態様では、本明細書に開示されている式(I)または(II)を有する組成物と組み合わせて使用するための適切なモノマーまたはモノマーの混合物は、エチレン;プロピレン;エチレンと、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンおよびスチレンから選択される1つ以上のモノマーとの混合物;ならびにエチレン、プロピレンおよび共役または非共役ジエンの混合物を含む。この態様では、コポリマーまたはインターポリマーは、二量体、直鎖、分岐または多分岐ポリマー構造で結合した、異なる化学的または物理的性質を含む2つ以上の分子内領域、特に分化コモノマー組み込み領域を含み得る。そのようなポリマーは、式(I)または(II)を有する組成物を含む重合中の重合条件を変更することによって、例えば、異なるコモノマー比を有する2つの反応器、異なるコモノマー組み込み能力を有する複数の触媒、またはそのようなプロセス条件の組み合わせ、および任意選択で多官能性カップリング剤を使用することによって調製され得る。
【0279】
ポリマー生成物
本明細書において開示されるように、ポリマー生成物は、重合後に、典型的には反応性金属アルキル基を消費し、遷移基または主族金属への結合からポリマー生成物を解放する化学処理に供されるポリマー生成物を指す。このプロセスは、水で加水分解して飽和ポリマー末端基を生成することを含む。代替として、金属アルキル基を消費するとともにポリマー鎖上に反応性官能末端基を生成するために、種々の有機または無機試薬の添加が追加されてもよい。
【0280】
本開示のプロセスによって生成されたポリマーは、多種多様な製品および最終用途に使用することができる。生成されるポリマーは、エチレンおよびプロピレンのホモポリマーおよびコポリマーであってもよく、また線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリプロピレンコポリマーを含む。生成されるプロピレン系ポリマーには、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、およびランダム、ブロックまたは耐衝撃性コポリマーが含まれる。
【0281】
本明細書において開示されている重合プロセスを利用して、本分子量分布を有する1つ以上のオレフィンモノマーのブロックコポリマーを含む新規ポリマー組成物が容易に調製される。例示的なポリマーは、エチレン、プロピレン、および4-メチル-1-ペンテンから選択される少なくとも1つのモノマーを重合形態で含む。例示として、ポリマーは、エチレン、プロピレン、または4-メチル-1-ペンテンおよび少なくとも1つの異なるC2-20α-オレフィンコモノマー、および任意に1つ以上の追加の共重合性コモノマーを重合形態で含むインターポリマーである。適切なコモノマーは、ジオレフィン、環状オレフィン、および環状ジオレフィン、ハロゲン化ビニル化合物、ビニリデン芳香族化合物、ならびにそれらの組み合わせから選択される。例示的なポリマーは、エチレンとプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンまたは1-オクテンとのインターポリマーである。例示として、本明細書において開示されているポリマー組成物は、ポリマーの総重量を基準として、1~99パーセントのエチレン含有量、0~10パーセントのジエン含有量、ならびに99~1パーセントのスチレンおよび/またはC3-8α-オレフィン含有量を有する。本開示のポリマーは、10,000~2,500,000の重量平均分子量(Mw)を有し得る。典型的には、本開示のポリマーは、500~250,000(例えば、2,000~150,000、3,000~100,000、1,000~25,000、5,000~25,000等)の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0282】
本開示に従って調製されたポリマーは、0.01~2000g/10分、典型的には0.01~1000g/10分、より典型的には0.01~500g/10分、特に0.01~100g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。望ましくは、開示されたポリマーは、1,000g/モル~5,000,000g/モル、典型的には1000g/モル~1,000,000、より典型的には1000g/モル~500,000g/モル、特に1,000g/モル~300,000g/モルの分子量Mwを有し得る。
【0283】
本開示のポリマーの密度は、0.80~0.99g/cm3、典型的にはエチレン含有ポリマーについては0.85g/cm3~0.97g/cm3(例えば、0.853~0.970g/cm3)であってもよい。
【0284】
本開示によるポリマーは、とりわけ、それらの狭い分子量分布によって、逐次モノマー添加、流動触媒、またはアニオンもしくはカチオンリビング重合技術により調製された従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンド、およびブロックコポリマーと区別され得る。この態様において、例えば、本開示に従って調製されたポリマー組成物は、1.5~10.0(例えば、2.0~8.0、2.0~6.0、2.0~5.0、2.0~4.0等)の多分散指数(PDI)によって特徴付けることができる。例えば、ポリマー組成物の多分散指数(PDI)は、1.5~2.8、1.5~2.5、または1.5~2.3であってもよい。
【0285】
存在する場合、各ポリマー内の別々の領域またはブロックは反応器条件の均一性に応じて比較的均一であり、また互いに化学的に異なる。すなわち、ポリマー内のセグメントのコモノマー分布、立体規則性、または他の特性は、同じブロックまたはセグメント内で比較的均一である。しかしながら、平均ブロック長は狭い分布であり得るものの、必ずしもそうではない。平均ブロック長もまた、最も可能性の高い分布となり得る。
【0286】
例示として、これらのインターポリマーは、少なくともいくつかの残りのブロックまたはセグメントからより高い立体規則性または結晶性を有するポリマーの末端ブロックまたはセグメントによって特徴付けることができる。例示として、ポリマーは、比較的非晶質またはさらにはエラストマー性である中央ポリマーブロックまたはセグメントを含むトリブロックコポリマーであり得る。
【0287】
本開示のさらなる態様において、(1)有機または無機ポリマー、好ましくはエチレンもしくはプロピレンのホモポリマー、および/またはエチレンもしくはプロピレンと1つ以上の共重合性コモノマーとのコポリマー、ならびに(2)本開示による、または本明細書において開示されたプロセスに従って調製されたポリマーまたはポリマーの組み合わせを含むポリマー組成物が提供される。
【0288】
本発明のポリマー生成物は、異なる化学組成の領域またはセグメント(ブロック)を含む2種以上のポリマーの組み合わせを含む。さらに、ポリマー組み合わせの構成成分の少なくとも1つは、式(I)を有する組成物の残余である連結基を含むことができ、それによりポリマーは特定の物理的性質を持つようになる。
【0289】
得られる組成物の特性を損なわない量で、様々な添加剤を本発明の組成物に有用に組み込むことができる。これらの添加剤には、例えば、補強剤、導電性および非導電性材料を含む充填剤、耐火性添加剤、酸化防止剤、熱および光安定剤、着色剤、増量剤、架橋剤、発泡剤、可塑剤、難燃剤、滴下防止剤、潤滑剤、滑り添加剤、ブロッキング防止助剤、劣化防止剤、柔軟剤、ワックス、顔料等(それらの組み合わせを含む)が含まれる。
【0290】
得られるポリマーは、例えば米国特許第7,947,793号、第7,897,698号、および第8,293,859号において議論されているように、平均ブロック指数によって特徴付けることができるブロックインターポリマーであってもよい。得られるポリマーは、例えば、米国特許第8,563,658号、第8,476,366号、第8,686,087号、および第8,716,400号において議論されているように、ブロック複合材指数によって特徴付けることができるブロック複合材であってもよい。得られるポリマーは、例えば、米国特許第8,785,554号、第8,822,598号、および第8,822,599号において議論されているように、結晶性ブロック複合材指数によって特徴付けることができる結晶性ブロック複合材であってもよい。得られるポリマーは、例えばWO2016/028970において議論されているように、微細構造指数によって特徴付けることができる特定のブロック複合材であってもよい。得られたポリマーは、例えばWO2016/028970において議論されているように、修正ブロック複合材指数によって特徴付けることができる特定のブロック複合材であってもよい。
【0291】
ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物を調製するためのプロセスは、テレケリックオレフィンプレポリマーを開発するために官能化化学と組み合わされてもよい。ある特定の実施形態において、式(I)を有する組成物は、両端が式(I)を有する組成物に結合したテレケリックポリマー鎖を生成および成長させることができ、次いで、末端ポリアリール-金属結合の所望のジ-末端官能基へのその後の転化が生じて、テレケリックポリマーを形成し得る。
【0292】
本開示の式(I)を有する組成物を調製するためのプロセスと官能化化学との組み合わせの用途は、決してテレケリックオレフィンプレポリマーおよび上記の例の開発に限定されない。ある特定の実施形態において、本開示の式(I)を有する組成物を調製するためのプロセスは、官能基化ポリオレフィンを生成するために、例えば、配位連鎖移動重合と組み合わされてもよい。
【0293】
本開示のポリマーは、任意の他のポリマーとブレンドおよび/または共押出しされてもよい。他のポリマーの限定されない例には、線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高圧低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー等が含まれる。
【0294】
本開示のプロセスによって生成されるポリマーおよびそれらのブレンドは、フィルム、シート、ならびに繊維押出しおよび共押出しだけでなく、ブロー成形、射出成形、回転成形等の成形操作において有用である。フィルムは、共押出しによって、またはシュリンクフィルム、密着フィルム、ストレッチフィルム、シーリングフィルムまたは配向フィルムとして有用なラミネーションによって形成されたインフレートまたはキャストフィルムを含む。
【実施例】
【0295】
プロセス論
1H NMR:1H NMRスペクトルは、室温でBruker AV-400分光計で記録される。ベンゼン-d6における1H NMR化学シフトは、TMS(0.00ppm)に対して7.16ppm(C6D5H)を基準としている。
【0296】
13C NMR:ポリマーの13C NMRスペクトルは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker400MHz分光計を用いて収集される。ポリマー試料は、0.025Mクロムトリスアセチルアセトネート(緩和剤)を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物約2.6gを、10mmNMRチューブ内のポリマー0.2gに添加することによって調製される。チューブおよびその内容物を150℃に加熱することにより試料を溶解し、均一化する。データは、データファイル当たり320回のスキャン、7.3秒のパルス繰り返し遅延を使用して、120℃の試料温度で取得される。
【0297】
GCMS:電子衝撃イオン化(EI)を用いたタンデムガスクロマトグラフィー/低分解能質量分析は、Agilent Technologies5975不活性XL質量選択検出器およびAgilent Technologies Capillaryカラム(HP1MS、15mX0.25mm、0.25ミクロン)を備えたAgilent Technologies6890Nシリーズガスクロマトグラフで、以下について70eVで行われる。
プログラムされたプロセス:
炉平衡時間0.5分
50℃で0分
その後25℃/分で200℃まで5分間
実行時間11分
【0298】
DSC標準法:示差走査熱量測定の結果は、RCS冷却アクセサリーおよびオートサンプラーを備えたTAIモデルQ1000DSCを使用して決定される。50ml/分の窒素パージガスフローを使用する。試料をプレスして薄いフィルムにし、175℃でプレス機内で融解した後、室温(25℃)まで空冷する。直径5~6mmのディスク形態の約10mgの材料を正確に秤量し、次いでアルミ箔パン(約50mg)に入れ、次いでこれをクリンプして閉じる。試料の熱挙動を以下の温度プロファイルで調査する。以前の熱履歴を取り除くために、試料を180℃まで急速に加熱し、等温で3分間保持する。その後、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で3分間保持する。その後、試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する。冷却および第2の加熱曲線を記録する。
【0299】
DSC融解ピークを、-30℃と融解終了との間に引かれた線形基準線に対する熱流量(W/g)の最大値として測定する。融解熱を、線形基準線を使用して-30℃と融解終了との間の融解曲線下の面積として測定する。
【0300】
分子量の決定:分子量は、Rudin, A.,「Modern Methods of Polymer Characterization」, John Wiley & Sons, New York(1991) pp.103-112に記載されているように、低角度レーザー光散乱検出器と組み合わせたデコンボリューションゲル浸透クロマトグラフィー(GPC-LALLS)を含む光学分析技術によって決定される。
【0301】
GPC法:ゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL-210またはPolymer Laboratories Model PL-220機器のいずれかからなる。カラムおよびカルーセルコンパートメントを140℃で操作する。3つのPolymer Laboratories 10-micron Mixed-Bカラムを使用する。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。試料を、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中、0.1グラムのポリマーの濃度に調製する。試料を、160℃で2時間軽く撹拌することにより、調製する。使用した注入体積は、100マイクロリットルであり、流量は、1.0ml/分である。
【0302】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量間に少なくとも10の分離を有する6つの「カクテル」混合物中に配置された、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21の狭い分子量分布ポリスチレン標準を用いて行われる。標準物質をPolymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入する。1,000,000以上の分子量に対して50ミリリットルの溶媒中0.025グラム、および1,000,000未満の分子量に対して50ミリリットルの溶媒中0.05グラムでポリスチレン標準物質を調製する。ポリスチレン標準物質を80℃で30分間穏やかに撹拌しながら溶解する。狭い標準物質混合物を最初に、および最高分子量成分を減少させる順序で実行して、分解を最小限に抑える。以下の方程式を用いて、ポリスチレン標準ピーク分子量をポリエチレン分子量に変換する(Williams and Ward、J.Polym.ScL、Polym.Let.,6,621(1968)):
Mpoiyethyiene=0.43l(Mpoiystyrene).ポリエチレン等価分子量計算をViscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して行う。
【0303】
密度:密度測定は、ASTM D792に従って行われる。
【0304】
ムーニー粘度:ムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、1分間の予熱時間および4分間のロータ動作時間で、ASTM1646に従って測定される。この器具は、Alpha Technologies Mooney Viscometer2000である。
【0305】
溶融粘度:溶融粘度は、Brookfieldデジタル粘度計(モデルDV-III、バージョン3)および使い捨てアルミニウム試料チャンバを用いて、ASTM D3236(177℃、350°F)に従って測定される。スピンドルは、SC-31熱溶融型スピンドルであり、10~100,000センチポアズの範囲内の粘度を測定するのに適している。試料をチャンバに注入し、次にこれをBrookfield Thermoselに挿入し、所定の位置に固定する。試料チャンバは、Brookfield Thermoselの底部に適合するノッチを底部に有しており、スピンドルが挿入され、回転しているときに、チャンバが回転させられないことを確実にする。試料(約8~10グラムの樹脂)を、溶融した試料が試料チャンバ上部の約1インチ下になるまで必要な温度に加熱する。粘度計装置を下降させ、スピンドルを試料室に浸す。粘度計上のブラケットがThermosel上に整列するまで、下降を続ける。粘度計の電源を入れ、粘度計のrpm出力に基づいて、全トルク容量の40~60パーセントの範囲内のトルク読み取り値をもたらす剪断速度で作動するように設定する。約15分の間、毎分読み取り値を取得するか、または値が安定するまで読み取り値を取得し、その時点で最終読み取り値を記録する。
【0306】
ポリマー中のZn含有量:亜鉛含有量は、ヘリウム雰囲気下でPANalytical2400波長分散型X線分光計を使用してXRF分析によって測定される。24mmのチャンネルマスクが使用される。ピークおよびバックグラウンドのカウント時間は30秒である。経時的なドリフトを補正するために、AUSMON-Heモニターが使用される。ポリマー試料を、Leco PR-32マウンティングプレスを使用して150℃の一定温度および約4000psiの圧力でプラークにホットプレスする。10グラムのポリマーを使用して直径31mmのプラークを成形する。
【0307】
P重量%:プロピレン含有量は、上記の13C NMRによって測定される。
【0308】
材料
本開示の例において、以下の材料が主に使用される。
【0309】
無水トルエンは、Sigma-Aldrichから入手され、275℃の炉中で約5時間活性化させたアルミナ上でさらに脱水される。1,2,4-トリビニルシクロヘキサン(「TVCH」)は、Sigma-Aldrichから入手され、使用前に活性アルミナ上で脱水される。ジエチル亜鉛(「DEZ」または「ZnEt2」)およびトリエチルアルミニウム(「TEA」または「AlEt3」)は、Sigma-Aldrichから入手される。[(C16-18H33-37)2CH3NH]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(「共触媒A」)は、Boulder Scientific Co.から入手される。Isopar(商標)Eは、Exxonから入手される。MMAO-3Aは、Akzoから入手される。5-エチリデン-2-ノルボルネン(「ENB」、エンドとエキソの混合物)は、Sigma-Aldrichから入手され、使用前にDD6で脱水される。1,9-デカジエンは、Sigma-Aldrichから入手される。シリカES757-875は、INEOS Silicasから入手され、高温(約700~800℃)で脱水される。ノルボルネン(「NBN」)は、Sigma-Aldrichから入手される。
【0310】
(E)-((2,6-ジイソプロピルフェニル)(2-メチル-3-(オクチルイミノ)ブタン-2-イル)アミノ)トリメチルハフニウム(「触媒(A2)」)は、Boulder Scientific Co.から入手され、当技術分野において公知のプロセスに従って調製される。触媒(A2)の構造を以下に示す。
【0311】
【0312】
以下の実施例は、本開示のさらなる例示として提供され、限定として解釈されるべきではない。「一晩」という用語は、使用される場合、約16~18時間の時間を指し、また「室温」という用語は、20~25℃の温度を指す。本明細書における化合物の名称がその構造的表現と一致しない場合には、構造的表現が優先するものとする。全ての金属錯体の合成および全てのスクリーニング実験の準備は、ドライボックス(グローブボックス)技術を用いて乾燥窒素雰囲気中で行われ、これは完全に窒素雰囲気下でドライボックス内で反応を進めることを含む。使用される溶媒はすべてHPLCグレードであり、使用前に脱水されている。
【0313】
参考例
窒素雰囲気下のドライボックス内で、TVCH(0.327ml、1.68mmol)、DEZ(0.2ml、1.94mmol)および共触媒A(1mlのメチルシクロヘキサン中0.06mmol)を、攪拌棒を備えた2ozガラスバイアル内のトルエン7mlに添加する。
図1の「反応前」スペクトルに見られるように、C6D6中の
1H NMRのために試料を採取する。触媒(A2)(2mlのトルエン中に19mg、0.032mmol)を添加して反応を開始させ、参考例の組成物を含有する第1の溶液を形成させる。第1の溶液を室温で一晩撹拌し、これは0.22Mの[Zn]を有する。
【0314】
図1に見られるように、「一晩の反応後」の
1H NMR分析のために、第1の溶液の試料をベンゼン-d6で希釈する。
図1に見られるように、ごく微量のビニル不飽和が「一晩の反応後」のスペクトルに残っており、これは、TVCHのビニル基が一晩の反応後に消費されることを示している。同時に、ZnEtピークも減少するが、
1H NMRスペクトルに見られるように少量が残る。したがって、
1H NMR分析は、遷移金属触媒前駆体へのTVCHの配位および挿入とそれに続く亜鉛への連鎖移動の証拠を提供する。
【0315】
また、第1の溶液のさらなる試料を、GCMSを介して分析する。より具体的には、
図3Aおよび3Bに見られるように、第1の溶液のアリコートを、水および酸化重水素によって別個にクエンチする。
図3Aおよび3Bに見られるように、水クエンチ試料は、約222のm/zで主要ピークを示す一方で、D2Oクエンチ試料は、約224のm/zで主要ピークを示し、これらのピークは、以下の例示的で非限定的なスキーム5に示される予想される加水分解生成物と一致する。多数のピークは構造中の多数のキラル中心の結果であると考えられる。
【0316】
【0317】
さらに、GCMS分析は、本開示の驚くべき予想外の性質を示している。TVCHは3つのビニル基を持っているため、TVCHは3ヘッド有機金属種を形成し得し、そのような3ヘッド有機金属種は、以下の例示的で非限定的なスキーム6に示されるように、約252の分子量を有する加水分解生成物を生成するという仮説が立てられた。驚くべきことに、GCMSは、約252のm/zでピークを検出しない。代わりに、それは意外にも約222のm/zでピークの群を示し、これは2つの隣接するビニル基の分子内挿入により形成された二重環構造と一致する。したがって、例示的な機構は、例示的で非限定的なスキーム4に示されるように、遷移金属上の第1のビニル基の挿入と、それに続く6/6環構造を形成する隣接するビニルの2,1-様式での、または6/5環構造を形成する1,2-様式での逐次挿入である。約192のm/zでの小さなピークは、ただ1つのビニル基が挿入された半反応TVCHであると思われる。
【0318】
【0319】
D2Oクエンチ試料は、有機金属種のデュアルヘッド性を裏付けている。予想されたように、GCMS上の222のピークは、D2Oクエンチ試料で約224にシフトし、アルカン部分が加水分解前に2個の亜鉛原子に結合していることを示している。
【0320】
構造をさらに調べるために、第1の溶液のさらなる試料を酸化重水素で加水分解し、
図2に見られるように、単離した加水分解生成物に対して
13C NMR分析を行う。
図2に見られるように、
13C NMR分析は、単離された加水分解生成物が例示的で非限定的なスキーム5に示される構造と一致することを示す。具体的には、
図2に見られるように、重水素標識炭素はわずかに高磁場シフトし、3つのピークに分割され、したがって、非標識炭素と容易に区別される。例示的な非限定的スキーム7に示されるように、6/6環構造は、1つの標識一級炭素および1つの標識二級炭素を有し(CH2D:CHD=1)、また6/5環構造は、異なる化学シフトを有する2つの標識一級炭素を有する(CH2D(1):CH2D(2)=1)。生成物がこの2つの混合である場合、CH2D(1):[CH2D(2)+CHD]=1となる。
図2における
13C NMRスペクトルによって示されるように、CHD(二級炭素上のD)は検出されず、同様の強度を有する2つのCH2Dピークがある。結果は、生成物が6/5環構造を有することを示している。おそらくはD2O試薬中の残留水のために、D標識は完全ではないことに留意されたい。
【0321】
【0322】
参考例の組成物によるエチレン重合:参考例のデュアルヘッド組成物を検証するために、重合装置内で組成物を用いてエチレン重合を行う。
【0323】
ドライボックス内で、攪拌棒を備えた40mlのガラスバイアルに、ISOPAR(商標)E(10ml)、MMAO-3A(0.03mmol)および共触媒A(0.0013mmol)を加える。バイアルをセプタムで裏打ちされた蓋で蓋をし、針を介してエチレンラインに接続する。別の針を蓋に挿入して、エチレンがバイアルをゆっくり2分間パージするようにする。バイアルを100℃の加熱ブロックに設置する。参考例の第1の溶液(2ml、0.4mmol)および触媒(A2)(0.001mmol)を注入し、パージ針を外して全圧を12psigに維持する。反応を30分間維持する。重合後、0.5mlの重水素化イソプロピルアルコール(iPrOD)を添加して反応をクエンチする。混合物をドライボックスから取り出し、大量のMeOHに注ぎ込む。沈殿したポリマーを濾過し、室温で一晩、次いで70℃で3時間真空乾燥する。0.5gの白色ポリエチレンが得られる。そのような手順は、下記の例示的で非限定的なスキーム8において簡単に例示されている。
【0324】
【0325】
図4に見られるように、ポリマーの
13C NMR分析は、組成物断片からのエチル基、ならびに標識鎖および不完全なクエンチに起因するいくつかの非標識鎖末端を示す。この結果は、ポリマー鎖の組成物への効果的な転移およびデュアルヘッドの形での鎖の成長を裏付けるものである。
【0326】
実施例1
TVCH(0.19ml、0.97mmol)、DEZ(0.2ml、1.94mmol)および共触媒A(0.0644M溶液0.48ml、0.03mmol)を、窒素雰囲気下で20mlガラスバイアル内のトルエン(7ml)に添加する。
図5の「反応前」スペクトルに見られるように、C6D6中の
1H NMRのために試料を採取する。触媒(A2)(2mlのトルエンに溶解した10mg、0.02mmol)を添加し、混合物を室温で撹拌して第1の溶液を形成させる。2時間後、
図5の「2h」スペクトルに見られるように、
1H NMRにおけるビニルピークの消失により示されるように反応は完了する。ZnEtピークは減少しているが、まだ存在している。ENB(0.234g、1.94mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌して、実施例1の組成物を含有する最終溶液を形成させる。
図5の「一晩」のスペクトルに見られるように、
1H NMRは全ての残りのZnEtおよび全てのENBが消費されたことを示す。最終溶液は0.22Mの[Zn]を有する。したがって、
1H NMR分析は、合成反応が意図した通りに進行したことを示す。残りのすべてのZnEtは、ENBに置き換えられる。実施例1の組成物を調製するためのプロセスは、以下の例示的で非限定的なスキーム9において例示される。
【0327】
【0328】
実施例1のデュアルヘッド組成物の意図された構造は、GCMS分析によって確認される。
図6に見られるように、第1の溶液の加水分解試料のGCMSは、m/z=222での予想された封鎖されていないTVCH系組成物の形成および約半分の転化TVCHの存在を裏付けている。
図7に見られるように、最終溶液の加水分解試料のGCMSは、m/z=150での予想された封鎖基およびm/z=222でのコアYY構造(すなわちTVCH連結基の誘導体)の形成を裏付けている。おそらくは不完全な加水分解のために酸化封鎖基に属する、164~166のm/zの多数の小さなピークがある。したがって、GCMSの結果は、所望の封鎖構造が得られたことを示している。
【0329】
実施例1の組成物によるエチレン重合:実施例1のデュアルヘッド組成物を検証するために、例示的で非限定的なスキーム10に示される反応を介して、グローブボックス内の重合装置内で組成物を用いてエチレン重合を行う。ドライボックス内で、攪拌棒を備えた40mlのガラスバイアルに、ISOPAR(商標)E(10ml)および共触媒A(0.0039mmol)を加える。バイアルをセプタムで裏打ちされた蓋で蓋をし、針を介してエチレンラインに接続する。別の針を蓋に挿入して、エチレンがバイアルをゆっくり2分間パージするようにする。バイアルを100℃の加熱ブロックに設置する。実施例1の最終溶液(2ml、0.44mmol)および触媒(A2)(0.003mmol)を注入し、パージ針を外して全圧を10psigに維持する。反応を30分間維持する。重合後、0.5mlの重水素化メタノール(MeOD)を添加して反応をクエンチする。混合物をドライボックスから取り出し、大量のMeOHに注ぎ込む。沈殿したポリマーを濾過し、室温で一晩、次いで70℃で3時間真空乾燥する。0.42gの白色ポリエチレンが得られる。エチレン重合のためのプロセスは、以下の例示的で非限定的なスキーム10において示される。
【0330】
【0331】
エチレン重合の主な目的は、ポリマー鎖がコアYY構造(すなわち、TVCH連結基の誘導体)から選択的に成長し、封鎖基から成長しないことを確認することである。ポリマー中にENB末端基が見られないため、これは
13C NMR分析(
図8)により証明される。ENB基は、約14.0および14.5ppmに2つの異なるメチルピーク、ならびに110~112ppmおよび146~148ppmに4つの二重結合ピークを有するであろう。これらのピークはいずれも検出されない。
図8は、メチル領域のピークを示す。13.7~14.3ppmの4つの鋭いピークは、鎖末端メチル基である。左側の小さい方のピーク(14.25ppm)は、非標識CH
3基であり、右側の3つのピーク(13.7~14.2ppm)は、D標識CH
2D基である。明らかに、重水素化メタノールクエンチは完全な標識をもたらさなかった。12~13ppmのより広いピークは、コアYY構造(すなわち、TVCH連結基の誘導体)上のエチル分岐からのCH
3に属する。ピークの積分は、ほぼ等量のEt分岐および鎖末端メチル基の存在、すなわちEt:(CH3+CH2D)≒1を裏付けている。この結果は、ポリマーが、デュアルヘッド組成物のコアYY構造(すなわち、TVCH連結基の誘導体)から定量的に成長することを裏付けている。16ppmおよび19ppmにメチルピークが存在しないことは、検出されたEt分岐がポリマーを成長させない死んだ組成物断片に由来していた可能性を排除する。
【0332】
さらに、ポリマーの分子量は、
図9に見られるようにGPCによって測定される。Mn値は、ポリマー収量およびデュアルヘッド組成物の投与量に基づく1900の理論上のMn値に合理的に近く、これは、デュアルヘッド組成物が連鎖移動反応に完全に利用されることを示唆している。非常に狭い分子量分布はまた、1つ類のみのポリマー鎖が生成されることを支持している。ポリマーが封鎖基からも成長した場合、分子量分布はより広くなるだろう。したがって、狭い分子量分布は、コアYY構造(すなわち、TVCH連結基の誘導体)から成長した1つ類のみのポリマー鎖の存在をさらに裏付けている。
【0333】
さらに、最終溶液は、単離、精製、または分離を必要とせずに後続の重合に直接使用されるため、本開示のプロセスのワンポット性が裏付けられる。
【0334】
実施例2
窒素雰囲気下のグローブボックス内で、TVCH(0.47ml、2.53mmol)、DEZ(0.1ml、0.97mmol)、TEA(1.94ml、1.94mmol)および共触媒A(メチルシクロヘキサン中0.0644M溶液0.362ml、0.023mmol)を、トルエン6ml中に混合する。
図10における「触媒添加前」のスペクトルに見られるように、C6D6中の
1H NMRのために試料を採取する。触媒(A2)(10mg、0.02mmol)を1mlのトルエンに溶解し、混合物に添加して反応を開始させ、第1の溶液を形成させる。
図10の「触媒添加から1時間後」において示されるように、1時間後、ビニルピーク(4.9~5.8ppm)の消失によって証明されるように、1,2,4-トリビニルシクロヘキサンは全て反応するが、いくらかの金属-Et(約0.3ppm)が残っている。第1の溶液は褐色がかった透明であり、ゲル形成の兆候は見られない。ENB(0.327g、2.72mmol)を添加して、実施例2の組成物を含有する最終溶液を形成させる。さらに1.5時間後、
1H NMRのために試料を採取するが、
図10の「ENB添加から1.5時間後」のスペクトルに見られるように、金属-Etが完全に消費され、ENBからの三置換二重結合に起因する5.4ppmの小さな新しいピークが示される。実施例2の組成物を調製するプロセスは、以下の例示的で非限定的なスキーム11において例示される。したがって、
1H NMR分析は、合成反応が意図した通りに進行したことを示す。
【0335】
【0336】
さらに、最終溶液のアリコートを水でクエンチし、GCMSで分析すると(
図11)、予想される加水分解ノルボルニル封鎖基およびコアYY構造(すなわち、TVCH連結基の誘導体)と一致する、m/z=150の主要なピーク群および222の明瞭な単一ピークが示される。
【0337】
実施例3
窒素雰囲気下で保護されたグローブボックス内で、1,9-デカジエン(4.66ml、25.3mmol)、DEZ(3.0ml、29.1mmol)および共触媒A(1.81ml、0.12mmol)を、磁器撹拌器を備えた200mlフラスコ内のトルエン80ml中に混合し、触媒(A2)(10mlのトルエン中に47mg、0.097mmol)を添加して反応を開始させ、第1の溶液を形成させる。2時間後、ノルボルネン(1.46g、15.5mmol)を第1の溶液に添加し、室温で一晩撹拌して、実施例3の組成物を含む最終溶液を形成させる。実施例3の組成物を調製するためのプロセス(最後に加水分解工程を含む)は、以下の例示的で非限定的なスキーム12において例示される。
【0338】
【0339】
最終溶液の試料を、水/HClで加水分解する。
図12に見られるように、GCMSは、コアYY構造(すなわち、デカジエン連結基の誘導体)に対応するm/z=198の主ピークに加えて、予想される封鎖基に対応するm/z=124の小さなピークを示す。したがって、GCMS分析は、意図した封鎖組成物の形成を裏付けている。
【0340】
実施例4
窒素雰囲気下のグローブボックス内で、1,9-デカジエン(0.47ml、2.53mmol)、DEZ(0.1ml、0.97mmol)、TEA(1.94ml、1.94mmol)および共触媒A(メチルシクロヘキサン中の0.0644M溶液0.362ml、0.023mmol)を、トルエン6ml中に混合する。
図13の「触媒添加前」のスペクトルに見られるように、C6D6中の
1H NMRのために試料を採取する。触媒(A2)(10mg、0.02mmol)を1mlのトルエンに溶解し、混合物に添加して反応を開始させ、第1の溶液を形成させる。
図13の「触媒添加から1時間後」の
1H NMRスペクトルにおいて示されるように、1時間後、ビニルピークの消失(4.9~5.8ppm)によって証明されるように、デカジエンは全て反応するが、いくらかのM-Etが残っている(約0.3ppm)。第1の溶液は褐色がかった透明であり、ゲル形成の兆候は見られない。ENB(0.327g、2.72mmol)を添加して、実施例4の組成物を含有する最終溶液を形成させる。さらに1.5時間後、
1H NMRのために試料を採取するが、
図13の「ENB添加から1.5時間後」のスペクトルに見られるように、M-Etが完全に消費され、ENBからの三置換二重結合に起因する5.4ppmの小さな新しいピークが示される。実施例4の組成物を調製するためのプロセスは、以下の例示的で非限定的なスキーム13において例示される。
【0341】
【0342】
最終溶液のアリコートを水でクエンチし、
図14に見られるようにGCMSにより分析する。
図14に見られるように、GCMSは、予想される加水分解ノルボルニル封鎖基およびコアYY構造(すなわち、デカジエン連結基の誘導体)と一致する、m/z=150の主要なピーク群および198の明瞭な単一ピークを示す。
【0343】
実施例4の組成物によるエチレン重合:実施例4の組成物を検証するために、例示的で非限定的なスキーム14に示される反応を介して、グローブボックス内の重合装置内で組成物を用いてエチレン重合を行う。ドライボックス内で、攪拌棒を備えた40mlのガラスバイアルに、ISOPAR(商標)E(10ml)および共触媒A(0.0026mmol)を加える。バイアルをセプタムで裏打ちされた蓋で蓋をし、針を介してエチレンラインに接続する。別の針を蓋に挿入して、エチレンがバイアルをゆっくり2分間パージするようにする。バイアルを100℃の加熱ブロックに設置する。実施例4の最終溶液(1ml、0.3mmol)および触媒(A2)(0.002mmol)を注入し、パージ針を外して全圧を10psigに維持する。反応を30分間維持する。重合後、0.5mlの重水素化メタノール(MeOD)を添加して反応をクエンチする。混合物をドライボックスから取り出し、大量のMeOHに注ぎ込む。沈殿したポリマーを濾過し、室温で一晩、次いで70℃で3時間真空乾燥する。0.68gの白色ポリエチレンが得られる。そのような手順は、以下の例示的で非限定的なスキーム14において示される。
【0344】
【0345】
エチレン重合の主な目的は、ポリマー鎖がコアYY構造(すなわち、デカジエン連結基の誘導体)から選択的に成長し、封鎖基から成長しないことを確認することである。これは、
13C NMR分析(
図15)により証明される。
図15に見られるように、ポリマーの
13C NMR分析は、組成物コアYY構造からのエチル基、ならびに標識鎖および不完全なクエンチに起因する非標識鎖末端を示す。封鎖ENB基は検出されず、ポリマーが封鎖基から成長しなかったことを示している。この結果は、組成物のコアYY構造へのポリマー鎖の効果的かつ選択的な転移が、デュアルヘッドの形での鎖の成長をもたらすことを裏付けるものである。
【0346】
GPC曲線および分子量を
図16に示す。狭い分子量分布は、1つ類のみのポリマー鎖の存在をさらに裏付けている。ポリマー鎖がコアYY構造および封鎖基の両方から成長したならば、より広いMWDが得られただろう。
【0347】
さらに、最終溶液は、単離、精製、または分離を必要とせずに後続の重合に直接使用されるため、本開示のプロセスのワンポット性が裏付けられる。
【0348】
実施例5
「組成物1」(式(I)を有する例示的で非限定的な組成物)を、以下のように合成する。窒素雰囲気下のグローブボックス内で、TVCH(404ml、2.08mmol)、DEZ(tル円柱20wt%、1.7リットル、2.5mmol)、および共触媒A(メチルシクロヘキサン中0.0699M、231ml、16.2mmol)を、機械的攪拌機および冷却ジャケットを備えた6リットルの三口フラスコ内の2000mlのトルエンに添加する。触媒(A2)(216mlのトルエン中4.1g、6.9mmol)を20分かけて添加し、温度を50℃未満に維持する。1H NMRおよびGCMSのために試料を定期的に採取し、反応の進行を監視する。6時間後、ENB(112ml、0.833mol)を添加し、反応物を一晩撹拌する。追加のトルエンを添加して、全体積を5000mlにする。最終溶液は0.5Mの亜鉛濃度を有する。
【0349】
上記で調製した組成物1の最終溶液は淡褐色を有し、これは触媒前駆体、触媒(A2)の存在を示す。
図17に見られるように、少量のドデカンを組成物1の最終溶液20mlに添加し、そして加水分解後に参考としてGCMSクロマトグラムをとる。
【0350】
続いて、組成物1の最終溶液をシリカES757-875のプラグに通し、溶液は濾過後に無色となり、それによって触媒が除去されたことを示す。
図18に見られるように、濾過した最終溶液のGCMSクロマトグラムを加水分解後にとる。シリカ処理前後のGCMSクロマトグラムを比較することによって(すなわち、
図17および18を比較することによって)、ドデカンピークに対して組成物1の同量の封鎖およびコアYY構造が見られ、それによってシリカ処理による組成物1の損失がないことを示す。
【0351】
組成物1によるバッチ反応器重合:シリカ処理前後の組成物1の最終溶液をエチレン-プロピレン重合で試験し、活性触媒の除去を確認する。結果を以下の表1に示す。MMAO-3Aを、7.5マイクロモル、100℃、10分、および150psigで捕捉剤として添加する。
【0352】
【0353】
表1に見られるように、稼動1(対照稼動)は、触媒(A2)を用いて行われるが、組成物1は用いない。稼動2は、シリカ処理および追加の触媒(A2)なしで組成物1でなされ、対照稼動よりも低い分子量を有する29グラムのポリマーが生成される。稼動3は、追加の触媒(A2)を用いずにシリカ処理された組成物1によってなされ、ポリマーは生成されず、それによって組成物1の最終溶液から活性触媒がうまく除去されたことを裏付けている。稼動4は、追加の触媒(A2)を用いてシリカ処理された組成物1によってなされ、未処理組成物1によって作製されたポリマーに対して低分子量の15グラムのポリマーが回収され、それによってシリカ処理組成物1がチェーンシャトリング剤について予想される挙動と一致することを裏付けている。
【0354】
実施例6
「組成物1」を、実施例5において上述されたように合成する。
【0355】
「組成物2」(式(I)を有する別の例示的で非限定的な組成物)を、以下のように合成する。共触媒A(「共触媒-1」)に加えてMMAO-3A(「共触媒-2」)が添加されること以外は組成物1の合成と同じ手順を使用する。したがって、窒素雰囲気下のグローブボックス内で、TVCH(404ml、2.08mmol)、MMAO-3A(ヘプタン中1.68M、248ml、0.416mol)、DEZ(トルエン中20重量%、1.7リットル、2.5mmol)および共触媒A(メチルシクロヘキサン中0.0699M、231ml、16.2mmol)を、機械的攪拌機および冷却ジャケットを備えた6リットルの三ツ口フラスコ内の2000mlのトルエンに添加する。触媒(A2)(336mlのトルエン中8g、13.4mmol)を20分かけて添加し、温度を50℃未満に維持する。1H NMRおよびGCMSのために試料を定期的に採取し、反応の進行を監視する。6時間後、ENB(168ml、1.24mol)を添加し、反応物を一晩撹拌する。追加のトルエンを添加して、全体積を5000mlにする。最終溶液は0.5Mの亜鉛濃度を有する。
【0356】
内部攪拌機を備えたコンピューター制御オートクレーブ反応器内で、連続溶液重合を行う。精製混合アルカン溶媒(ExxonMobilから入手可能なIsopar(商標)E)、エチレン、プロピレン、および分子量調節剤(水素または連鎖移動剤)を、温度制御用のジャケットを備えた3.8Lの反応器に供給する。反応器への溶媒供給量は、質量流量コントローラーによって測定される。可変速度ダイヤフラムポンプが、反応器への溶媒流速および圧力を制御する。ポンプの吐出口では、触媒、共触媒およびCSA注入ラインにフラッシュフローを提供するために側流が取られる。これらの流れはMicro-Motion質量流量計によって測定され、制御弁によって制御される。残りの溶媒は、エチレン、プロピレンおよび水素と混合され、反応器に供給される。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に熱交換器を使用することによって制御される。この流れは反応器の底部に入る。触媒成分溶液は、ポンプおよび質量流量計を使用して計量され、触媒フラッシュ溶媒と組み合わされて、反応器の底部に導入される。反応器は、激しく攪拌しながら、500psigで液体で一杯である。生成物は、反応器の頂部にある出口ラインを通して除去される。反応器からの全ての出口ラインは、蒸気トレースされ、断熱されている。重合は、少量の水を任意の安定剤または他の添加剤とともに出口ラインに添加し、その混合物をスタティックミキサーに通過させることによって停止される。次いで、生成物流は、脱揮の前に熱交換器を通過することによって加熱される。ポリマー生成物は、脱揮押出機および水冷ペレタイザーを用いた押出によって回収される。プロセス条件および結果を、表2および3に列挙する。選択されたポリマー特性を、表4に示す。選択した生成物の
13C NMRスペクトルを、
図19に示す。選択された製品のTGIC曲線を、
図20に示す。
【0357】
【0358】
【0359】
【0360】
表3に見られるように、結果は、実施例6の組成物1および2が所望の分子量を有するポリマーを生成するのに効果的な連鎖移動剤であることを示した。13C NMR分析により、ポリマー中のコアYY基(すなわち、連結基の誘導体)の存在が確認された。コア構造からのエチル基に対する鎖末端メチル基の比は約1であり、これは各ポリマー鎖に1つの「コア」構造断片があることを示唆している。
【0361】
さらに、最終溶液は、単離、精製、または分離を必要とせずに後続の重合に直接使用されるため、本開示のプロセスのワンポット性が検証される。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
式(I):
【化1】
(式中、
各MAは、Al、B、またはGaであり、
各MBは、ZnまたはMgであり、
mは、0から1までの数であり、
nは、1から100までの数であり、
YYは、連結基の誘導体であり、前記連結基は、少なくとも2つのビニル基を含むC
4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、および
各J2およびJ3は、歪みオレフィンの誘導体である。)を有する組成物。
項2.
以下の構造式:
【化2】
(式中、J1は、水素またはC
1-20アルキル基である。)を有する、項1に記載の組成物。
項3.
各J2およびJ3が、以下の構造式:
【化3】
(式中、
J1は、水素またはC
1-20アルキル基であり、かつ
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、水素、置換もしくは非置換のC
1-20アルキル基、または置換もしくは非置換のC
6-20アリール基であり、
XX2、XX3、XX4、およびXX5は、同一であっても、異なっていてもよく、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
XX2、XX3、XX4、およびXX5のうちの2つは、任意選択で環式構造を形成し得る。)からなる群から選択される、項1または2に記載の組成物。
項4.
各J2およびJ3が、以下の構造式:
【化4】
(式中、J1は、水素またはC
1-20アルキル基である。)からなる群から選択される、項1~3のいずれかに記載の組成物。
項5.
以下の構造式:
【化5】
(式中、
J1は、水素またはC
1-20アルキル基であり、
ZZは、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含む直鎖状または分岐鎖状のC
4-100ヒドロカルビル基であり、ZZは、脂肪族または芳香族であってもよい。)を有する、項1に記載の組成物。
項6.
YYが、アルファ,オメガ-ジエンの誘導体である、項5に記載の組成物。
項7.
各J2およびJ3が、以下の構造式:
【化6】
(式中、
J1は、水素またはC
1-20アルキル基であり、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、水素、置換もしくは非置換のC
1-20アルキル基、または置換もしくは非置換のC
6-20アリール基であり、
XX2、XX3、XX4、およびXX5は、同一であっても、異なっていてもよく、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
XX2、XX3、XX4、およびXX5のうちの2つは、任意選択で環式構造を形成し得る。)からなる群から選択される、項5または6に記載の組成物。
項8.
各J2およびJ3が、以下の構造式:
【化7】
(式中、J1は、水素またはC
1-20アルキル基である。)からなる群から選択される、項5~7のいずれかに記載の組成物。
項9.
式(I):
【化8】
(式中、
各MAは、Al、B、またはGaであり、
各MB、はZnまたはMgであり、
mは、0から1までの数であり、
nは、1から100までの整数であり、
YYは、連結基の誘導体であり、前記連結基は、少なくとも2つのビニル基を含むC
4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、および
各J2およびJ3は、歪みオレフィンの誘導体である。)を有する組成物を調製するためのプロセスであって、
(a)連結基、有機金属化合物、共触媒、溶媒、第1の触媒前駆体、および歪みオレフィンを組み合わせることと、(b)式(I)を有する前記組成物を含む最終溶液を得ることとを含み、前記連結基が、少なくとも2つのビニル基を含むC
4-100炭化水素であり、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含む、プロセス。
項10.
前記連結基が、1,2,4-トリビニルシクロヘキサンであり、前記歪みオレフィンが、以下の構造式:
【化9】
(式中、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、水素、置換もしくは非置換のC
1-20アルキル基、または置換もしくは非置換のC
6-20アリール基であり、
XX2、XX3、XX4、およびXX5は、同一であっても、異なっていてもよく、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
XX2、XX3、XX4、およびXX5のうちの2つは、任意選択で環式構造を形成し得る。)からなる群から選択される、項9に記載のプロセス。
項11.
前記歪みオレフィンが、以下の構造式:
【化10】
からなる群から選択される、項9または10に記載のプロセス。
項12.
前記連結基が、アルファ,オメガ-ジエンであり、前記歪みオレフィンが、
【化11】
(式中:
各XX2、XX3、XX4およびXX5は、水素、置換もしくは非置換のC
1-20アルキル基、または置換もしくは非置換のC
6-20アリール基であり、
XX2、XX3、XX4、およびXX5は、同一であっても、異なっていてもよく、
各XX2、XX3、XX4、およびXX5は、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
XX2、XX3、XX4、およびXX5のうちの2つは、任意選択で環式構造を形成し得る。)からなる群から選択される、項9に記載のプロセス。
項13.
前記歪オレフィンが、
【化12】
からなる群から選択される、項12に記載のプロセス。
項14.
前記有機金属化合物が、三価金属、二価金属、または三価金属および二価金属の混合物を含む、項9~13のいずれかに記載のプロセス。
項15.
ポリマー組成物を調製するための重合プロセスであって、
少なくとも1つのオレフィンモノマーを触媒組成物と接触させることを含み、
前記触媒組成物が、第2の触媒前駆体、共触媒、および項1~8のいずれかに記載の組成物の反応生成物を含む、重合プロセス。
項16.
ポリマー組成物を調製するための重合プロセスであって、
少なくとも1つのオレフィンモノマーを触媒組成物と接触させることを含み、
前記触媒組成物が、第2の触媒前駆体、共触媒、および項9~14のいずれかに記載のプロセスに従って調製された組成物の反応生成物を含む、重合プロセス。
項17.
ポリマー組成物を調製するための重合プロセスであって、
少なくとも1つのオレフィンモノマーを触媒組成物と接触させることを含み、
前記触媒組成物が、第2の触媒前駆体、共触媒、および項9~14のいずれかに記載のプロセスによって調製された組成物の反応生成物を含み、
前記第2の触媒前駆体が、前記第1の触媒前駆体と同じ化合物である、重合プロセス。
項18.
項15~17のいずれかに記載のプロセスによって得られるポリマー組成物。
項19.
少なくとも1つの触媒前駆体、少なくとも1つの共触媒、および項1~8のいずれかに記載の組成物の反応生成物を含む触媒組成物。
項20.
テレケリック官能性ポリマーを調製するためのプロセスであって、項1~8のいずれかに記載の組成物の炭素-金属結合で官能基変換反応を行うことを含む、プロセス。