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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】積層体およびタッチパネル
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20220224BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20220224BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20220224BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20220224BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
B32B27/30 A
B32B27/36 102
B32B27/40
B32B7/12
G06F3/041 495
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019535007
(86)(22)【出願日】2018-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2018023118
(87)【国際公開番号】W WO2019031064
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2017155249
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000202350
【氏名又は名称】綜研化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】米川 雄也
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-95654(JP,A)
【文献】特開2013-18227(JP,A)
【文献】特表2017-507193(JP,A)
【文献】特開昭58-217347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/30
B32B 27/36
B32B 27/40
B32B 7/12
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層と第2の層とが、粘着剤層を介して積層してなる積層体であり、
前記第2の層が、85℃/85%RH環境下に72時間放置される前後における重量比(前記放置後の重量/前記放置前の重量)が1.0010~1.0050のポリカーボネート板であり、
前記粘着剤層が、重合性マクロモノマーおよび架橋性官能基含有モノマーを含むモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有するイソシアネート系架橋剤(B)とを含有する粘着剤組成物より形成される
ことを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、前記重合性マクロモノマーを1~35質量%、および前記架橋性官能基含有モノマーを0.5~20質量%含むモノマー成分の共重合体である請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の積層体を含むタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体およびタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンおよびタブレット型コンピュータの市場は拡大しており、これらには通常はタッチパネルが搭載されている。タッチパネルは各種材料の積層体であり、各種材料の積層に粘着剤が使用されている(特許文献1および2参照)。
【0003】
タッチパネルの支持体およびカバー部材(表面支持体)の材料として、ポリカーボネートが使用されることが多い。ポリカーボネートはその製造工程上の理由により水分を含んでおり、粘着シートをポリカーボネート板に貼付して耐久性試験(例えば耐ブリスター性および耐白化性の評価試験)に投入すると、この水分に由来する発泡が生じる。
【0004】
また、タッチパネルの自動車用途への展開も拡大してきているが、自動車用途では夏場に高温・高湿度になる等の理由により、一般用途以上の高耐久性が求められる。しかしなら、従来の粘着剤では、自動車用途を想定した高耐久条件(高温・高湿度条件)をクリアすることが出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-018227号公報
【文献】国際公開第2016/052276号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの検討によれば、粘着剤の適用対象としてポリカーボネート板を用いる場合において、ポリカーボネート板の水吸収能が低い場合には前述の耐久性はそれほど問題とならないが、ポリカーボネート板の水吸収能が高い場合には前述の耐久性が大きな問題となることが分かった。本発明の課題は、粘着剤層を介して、水吸収能の高いポリカーボネート板および他の層を有する積層体であって、高耐久条件下において耐ブリスター性および耐白化性に優れた積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する積層体が前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]~[3]に関する。
【0008】
[1]第1の層と第2の層とが、粘着剤層を介して積層してなる積層体であり、前記第2の層が、85℃/85%RH環境下に72時間放置される前後における重量比(前記放置後の重量/前記放置前の重量)が1.0010~1.0050のポリカーボネート板であり、前記粘着剤層が、重合性マクロモノマーおよび架橋性官能基含有モノマーを含むモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有するイソシアネート系架橋剤(B)とを含有する粘着剤組成物より形成されることを特徴とする積層体。
【0009】
[2]前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、前記重合性マクロモノマーを1~35質量%、および前記架橋性官能基含有モノマーを0.5~20質量%含むモノマー成分の共重合体である前記[1]に記載の積層体。
【0010】
[3]前記[1]または[2]に記載の積層体を含むタッチパネル。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粘着剤層を介して、水吸収能の高いポリカーボネート板および他の層を有する積層体であって、高耐久条件下において耐ブリスター性および耐白化性に優れた積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、抵抗膜方式のタッチパネルにおけるタッチパネルユニットの例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、静電容量方式のタッチパネルにおけるタッチパネルユニットの例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において、アクリルおよびメタクリルを総称して「(メタ)アクリル」とも記載する。
〔積層体〕
本発明の積層体は、第1の層と第2の層とが、粘着剤層を介して積層されている。例えば、本発明の積層体は、第1の層と、粘着剤層と、第2の層とを、積層方向にこの順で有する。
【0014】
前記第2の層は、85℃/85%RH環境下に72時間放置される前後における重量比(前記放置後の重量/前記放置前の重量)が1.0010~1.0050のポリカーボネート板である。前記粘着剤層は、重合性マクロモノマーおよび架橋性官能基含有モノマーを含むモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有するイソシアネート系架橋剤(B)とを含有する粘着剤組成物より形成される。
【0015】
<第1の層>
第1の層としては、例えば、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のプラスチック製フィルム;ガラス板;後述する透明導電膜;透明導電膜付きプラスチック製フィルム、透明導電膜付きガラス板が挙げられる。
【0016】
第1の層は、例えば、後述するタッチパネルユニットを構成する層である。
第1の層は、例えば、偏光板を含む光学フィルムである。偏光板としては、偏光子の片面または両面に適宜の透明保護フィルムが貼り合せられたものが一般に用いられる。透明保護フィルムとしては、例えば、セルロース系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、フェニルマレイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
【0017】
第1の層は、例えば、基材と、基材の一方の面に形成された粘着剤層とを有する粘着シートに由来する前記基材であってもよい。基材としては、前記プラスチック製フィルムが挙げられる。粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体(A)と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有するイソシアネート系架橋剤(B)とを含有する前記粘着剤組成物より形成されている。
第1の層の厚さは、通常は5~1000μm、好ましくは10~500μmである。
【0018】
<第2の層>
第2の層は、ポリカーボネート板(以下「PC板」ともいう)である。
前記PC板の、85℃/85%RH環境下に72時間放置される前後における重量比(前記放置後の重量/前記放置前の重量)は、1.0010~1.0050であり、好ましくは1.0015~1.0040であり、より好ましくは1.0018~1.0035である。前記重量比は、以下の様に定義、測定される値である。PC板を85℃dry環境下に72時間放置し、前記環境から取出し直後にその重量(重量1:湿熱環境下放置前の重量)を測定する。その後85℃/85%RH環境下にPC板を72時間放置し、前記環境から取出し直後にその重量(重量2:湿熱環境下放置後の重量)を測定する。この85℃/85%RH環境投入前後の重量1,2より、重量比(重量2/重量1)を算出する。
【0019】
従来の積層体では、前記PC板の水吸収能が低く前記重量比が1.0010未満であれば耐久性試験において問題ないが、前記PC板の水吸収能が高く前記重量比が1.0010以上であると耐久性試験においてブリスターや白化が発生することがある。本発明の積層体では、前記PC板の前記重量比が1.0010以上であっても、耐ブリスター性および耐白化性に優れている。これは、本発明の積層体を構成する粘着剤層が水分を吸収しやすく、またブリスター現象の発生を抑制するに足る高弾性を有するためである。
【0020】
前記PC板の密度は、通常は1.000~1.120g/cm3、好ましくは1.050~1.110g/cm3、より好ましくは1.080~1.100g/cm3である。従来の積層体では、前記PC板の密度が1.120g/cm3超であれば耐久性試験において問題ないが、密度が1.120g/cm3以下であると耐久性試験においてブリスターや白化が発生することがある。本発明の積層体では、前記PC板の密度が1.120g/cm3以下であっても、耐久性試験においてブリスターや白化等の発生が抑制されている。
【0021】
第2の層は、例えば、後述するタッチパネルユニットを構成する透明性部材としてのPC板である。また、第2の層は、例えば、光学フィルムが前記粘着剤層を介して貼付されるPC板である。
前記PC板の厚さは、通常は0.3~3mm、好ましくは0.5~2mmである。
【0022】
<粘着剤層>
粘着剤層は、以下に説明する(メタ)アクリル系共重合体(A)と、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有するイソシアネート系架橋剤(B)(以下、単に「イソシアネート系架橋剤(B)」ともいう)とを含有する粘着剤組成物より形成される。
【0023】
前記粘着剤組成物を用いることにより、高耐久条件下でも耐ブリスター性および耐白化性を有し、かつ第1および第2の層への良好な密着性を有する粘着剤層を形成することができる。
【0024】
《(メタ)アクリル系共重合体(A)》
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、重合性マクロモノマーおよび架橋性官能基含有モノマーを含むモノマー成分の共重合体であり、前記モノマー成分を共重合して得られる。モノマー成分は、通常は、重合性不飽和基含有モノマーである。
【0025】
〈重合性マクロモノマー〉
前記モノマー成分は、重合性マクロモノマーを含む。
重合性マクロモノマーは、重合性不飽和基を有している。重合性不飽和基としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合が挙げられる。一例を挙げれば、末端に(メタ)アクリロイル基を有する重合体である。
【0026】
重合性マクロモノマーは、モノマー成分の重合時に、例えば、前記重合性不飽和基において(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成する他のモノマーとラジカル重合反応して、(メタ)アクリル系共重合体(A)中に取り込まれる。(メタ)アクリル系共重合体(A)として見ると、重合性マクロモノマーに基づく側鎖が形成されることになる。この側鎖により、(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子同士が密集することが防がれる。
【0027】
重合性マクロモノマーは、例えば、重量平均分子量(Mw)が通常は500~10万、好ましくは1000~5万の重合体である。本明細書において重合性マクロモノマーの重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0028】
重合性マクロモノマーは、ガラス転移温度(Tg)が好ましくは50~180℃、より好ましくは80~150℃である。このため、(メタ)アクリル系共重合体(A)はTgの観点から硬く、得られる粘着剤層は耐ブリスター性に優れている。重合性マクロモノマーのTgは、Foxの式より求めた値を採用してもよく、市販品を使用する場合はカタログ記載値を採用してもよい。
【0029】
重合性マクロモノマーを構成する重合体鎖(主鎖)部分のモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレートおよびtert-ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、前記アルキル基の炭素数は1~20であることが好ましく、また、(メタ)アクリロニトリル;スチレンおよびα-メチルスチレン等のスチレン系モノマーも挙げられる。前記モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0030】
重合性マクロモノマーは、例えば、(メタ)アクリル系マクロモノマー、(メタ)アクリロニトリル系マクロモノマー、およびスチレン系マクロモノマーが好ましく、公知の種々の方法に従って製造することができ、例えば、特開2013-018227号公報の段落[0039]に記載された方法により製造することができる。
【0031】
重合性マクロモノマーとしては、市販品を用いてもよく、例えば、主鎖構成モノマーがメチルメタクリレートであるマクロモノマー(製品名:45%AA-6(AA-6S)、AA-6;東亞合成製)、主鎖がスチレン/アクリロニトリルの共重合体であるマクロモノマー(製品名:AN-6S;東亞合成製)、主鎖構成モノマーがブチルアクリレートであるマクロモノマー(製品名:AB-6;東亞合成製)が挙げられ、これらは末端がメタクリロイル基である。
【0032】
重合性マクロモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
全モノマー成分中の重合性マクロモノマー量は、通常は1~35質量%、好ましくは2~33質量%、より好ましくは5~30質量%である。また、重合性マクロモノマー由来の構造単位量が、モノマー由来の全構造単位中、本段落記載の前記範囲内であることが好ましい。重合性マクロモノマー量が前記範囲にあると、第1および第2の層と粘着剤層との界面での発泡拡大の抑制により耐ブリスター性に優れ、またこれらの層間での密着性に優れる。前記構造単位量は、例えば、モノマー仕込み量から算出することができ、他の例においても同様である。
【0033】
〈架橋性官能基含有モノマー〉
前記モノマー成分は、架橋性官能基含有モノマーを含む。
架橋性基は、イソシアネート系架橋剤(B)と架橋反応することができる官能基であって、例えば、水酸基および酸基が挙げられる。架橋性官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、酸基含有モノマーが挙げられ、これらの中でも水酸基含有モノマーが好ましい。
【0034】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0035】
酸基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、リン酸基、硫酸基が挙げられる。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5-カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられる。カルボキシル基以外の酸基含有モノマーとしては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸等の酸無水物基含有モノマー;側鎖にリン酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー等のリン酸基含有モノマー;側鎖に硫酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー等の硫酸基含有モノマーが挙げられる。
【0036】
なお、一実施態様において、粘着剤層が接する層の、酸基による腐食が問題となる場合、例えば、前記粘着剤組成物より形成された粘着剤層が、金属または金属酸化物からなる配線と直接接触する場合、酸基含有モノマーは実質的に使用しないことが好ましく、すなわち、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、前記酸基を実質的に有さないことが好ましい。酸基を実質的に有さないとは、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)の酸価が0.5mgKOH/g以下であることを意味する。
【0037】
架橋性官能基含有モノマーの中でも、水酸基含有モノマーが好ましい。水酸基含有モノマー由来の水酸基の少なくとも一部は、(メタ)アクリル系共重合体(A)中で架橋点となり、例えばイソシアネート系架橋剤(B)のイソシアネート基と反応することで、架橋構造を形成することができる。
【0038】
架橋性官能基含有モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
全モノマー成分中の架橋性官能基含有モノマー量は、通常は0.5~20質量%、好ましくは1.5~15質量%、より好ましくは2~13質量%である。また、架橋性官能基含有モノマー由来の構造単位量が、モノマー由来の全構造単位中、本段落記載の前記範囲内であることが好ましい。このような態様であると、(メタ)アクリル系共重合体(A)の架橋構造が適度に形成され、適度な柔軟性を有する粘着剤層が得られる。
【0039】
〈アルコキシアルキル(メタ)アクリレート〉
前記モノマー成分は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を含む共重合体を用いることにより、高湿環境下で粘着剤層中に吸収された水分を粘着剤層内で分散させて、耐ブリスター性および耐白化性を高めることができる。
【0040】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートにおけるアルコキシアルキル基の炭素数は、通常は2~18、好ましくは2~12、より好ましくは2~10である。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0041】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
全モノマー成分中のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート量は、通常は50~98質量%、好ましくは55~95質量%、より好ましくは60~90質量%である。また、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位量が、モノマー由来の全構造単位中、本段落記載の前記範囲内であることが好ましい。アルコキシアルキル(メタ)アクリレート量が前記下限値以上であると、アルコキシ基が親水性を有するため、粘着剤層に侵入した水分を分散させることで、耐ブリスター性および耐白化性が高くなり;また、前記上限値以下であると、第1および第2の層と粘着剤層との密着性に優れる。
【0042】
〈他のモノマー〉
前記モノマー成分は、さらに前記モノマー以外の他のモノマーを含んでもよい。前記モノマー以外の他のモノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、酢酸ビニルが挙げられる。
【0043】
アルキル(メタ)アクリレートでのアルキル基の炭素数は、1~20であることが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、iso-ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、iso-デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、iso-ステアリル(メタ)アクリレート、ジデカ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0045】
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0046】
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等の官能基化スチレンが挙げられる。
【0047】
アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素系複素環含有モノマーが挙げられる。
【0048】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0049】
シアノ基含有モノマーとしては、例えば、シアノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
他のモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0050】
全モノマー成分中の他のモノマー量は、35質量%以下であることが好ましい。また、他のモノマー由来の構造単位量が、モノマー由来の全構造単位中、35質量%以下であることが好ましい。
【0051】
〈(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成および製造方法〉
(メタ)アクリル系共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される重量平均分子量(Mw)は、通常は10万~80万、好ましくは15万~60万、より好ましくは20万~50万である。このような態様であると、高温耐久性に優れた粘着剤層を得ることができる。
【0052】
(メタ)アクリル系共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn;Mnは数平均分子量)は、通常は1.5~15、好ましくは2~13、より好ましくは5~12である。このような態様であると、高温耐久性に優れた粘着剤層を得ることができる。
【0053】
MwおよびMw/Mnは、例えば、実施例に記載の方法で測定することができる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)の、いわゆるFoxの式により求めたガラス転移温度(Tg)は、通常は-80~0℃、好ましくは-70~-10℃である。このような態様であると、常温(25℃)で優れた接着強度を有する粘着剤層を得ることができる。また、Tgが高くなりすぎると粘着剤層の第1、第2の層への馴染み性が悪くなり、発泡やウキ等の不具合が生じやすくなることがある。
【0054】
Foxの式における各モノマーから形成されたホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は、例えば、Polymer Handbook Fourth Edition(Wiley-Interscience 2003)に記載された値を採用することができる。
【0055】
粘着剤組成物中の(メタ)アクリル系共重合体(A)とイソシアネート系架橋剤(B)との合計含有量は、粘着剤組成物の固形分100質量%中、通常は70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。なお、固形分とは溶媒を除く成分である。
【0056】
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、公知の方法により製造することができるが、溶液重合により製造することが好ましい。具体的には反応容器内にモノマー成分および重合溶媒を仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、重合開始剤を添加し、反応温度50~90℃程度に加熱し、2~20時間反応させる。また、重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、モノマー成分、重合溶媒を適宜追加添加してもよい。
【0057】
重合開始剤としては、例えば、通常の有機系重合開始剤が挙げられ、具体的には、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらの中でも、アゾ化合物が好ましい。
【0058】
アゾ化合物としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2'-アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド〕、2,2'-アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2'-アゾビス(2-シアノプロパノール)、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が挙げられる。
【0059】
重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、通常は0.01~5質量部である。このような態様であると、(メタ)アクリル系共重合体(A)のMwを適切な範囲内に調整することができる。
【0060】
溶液重合においては、重合溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル;クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド、N-メチルピロリドン等のアミド;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシドが挙げられる。
重合溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0061】
《イソシアネート系架橋剤(B)》
イソシアネート系架橋剤(B)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)と架橋反応を起こすことができる成分である。イソシアネート系架橋剤(B)は、例えば、1分子中に2以上のイソシアネート(-N=C=O)基を有するイソシアネート化合物である。1分子中のイソシアネート基数は、好ましくは2~8、より好ましくは2~6である。
【0062】
イソシアネート系架橋剤(B)は、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有する。ここで「アルキレンオキシ基」とは、-R-O-で表される2価の基であり、Rは炭素数2以上のアルカンジイル基である。アルキレンオキシ基の炭素数の上限は、通常は10、好ましくは8である。
【0063】
なお、例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応物は、-CH2-O-は有するものの、炭素数2以上のアルキレンオキシ基(2価の基)は有さない。
【0064】
炭素数2以上のアルキレンオキシ基は、前記架橋剤(B)中に後述する式(3)のようにラクトンの開環構造の一部として含まれていてもよく、後述する式(4)のように含まれていてもよい。例えば、ラクトン変性基および/またはアルキレンオキサイド変性基を有するイソシアネート系架橋剤が好ましく、多価アルコールをラクトン変性および/またはアルキレンオキサイド変性してなる化合物に、2分子以上の多官能イソシアネート化合物が、ウレタン結合した構造を有する化合物が挙げられる。なお、ラクトン変性基とはラクトンの開環構造であり、アルキレンオキサイド変性基とはアルキレンオキサイドの開環構造である。
【0065】
イソシアネート系架橋剤(B)は、炭素数2以上のアルキレンオキシ基を有することから、架橋点間距離が長くなる。一般的に、耐久性を高めるために重合体成分を硬くすると粘着剤層の基材や被着体に対する馴染み性が低下する傾向にあるが、架橋点間距離の長い前記架橋剤(B)を用いることで粘着剤層に柔軟性が付与されて馴染み性が向上し、したがって硬さと柔軟性が両立出来た粘着剤層となる。すなわち本発明では、(メタ)アクリル系共重合体(A)を硬くすることで粘着剤層の耐久性を高くすることができ、かつ、架橋点間距離の長い前記架橋剤(B)を用いることで前記共重合体(A)の硬さに伴う第1および第2の層への馴染み性の低下を防ぐことができる。このため、水吸収能が高いポリカーボネート板を用いた場合にも、耐久性(耐ブリスター性)が良好な積層体が得られる。
【0066】
多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール等の3価以上のアルコールが挙げられる。多価アルコールにおける水酸基数は、好ましくは3~8である。
【0067】
ラクトンとしては、例えば、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等の炭素数3~11の環状エステルが挙げられ、アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の炭素数2~10のアルキレンオキサイドが挙げられる。
【0068】
多官能イソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネート、ならびに、これらのイソシアヌレート体またはビウレット体が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の炭素数4~30の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチルジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の炭素数7~30の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0069】
イソシアネート系架橋剤(B)としては、トリメチロールプロパンに由来する骨格((-O-CH2-)3-C-CH2CH3)を有する架橋剤が好ましく、式(1)または式(2)で表される架橋剤がより好ましい。
【0070】
【化1】
式(1)および(2)中、R1A、R1BおよびR1Cは、それぞれ独立に式(3)で表される基および/または式(4)で表される基を含む基であり、R2A、R2B、R2C、R3A、R3B、R3C、R3D、R3EおよびR3Fは、それぞれ独立に1,6-ヘキサンジイル基等の炭素数4~10のアルカンジイル基である。
【0071】
【化2】
式(3)中、R11は炭素数2~10、好ましくは4~8のアルカンジイル基であり、直鎖状であることがより好ましく、mは1~10の整数、好ましくは1~6の整数である。式(4)中、R21は炭素数2~10、好ましくは4~8のアルカンジイル基であり、nは1~10の整数、好ましくは1~6の整数である。
【0072】
式(3)で表される基および/または式(4)で表される基を含む基は、例えば、式(3)で表される基、式(4)で表される基、式(3)で表される基と式(4)で表される基とからなる基である。
【0073】
粘着剤層の弾性をより高められる観点から、イソシアネート系架橋剤(B)の分子量は500~10,000であることが好ましく、1,500~7,000であることがより好ましい。
【0074】
イソシアネート系架橋剤(B)としては、市販の架橋剤を使用することができる。例えば、E402-80B(旭化成製)、E405-70B(旭化成製)、MFA-75B(旭化成製)が挙げられる。
【0075】
イソシアネート系架橋剤(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
粘着剤組成物中のイソシアネート系架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、通常は0.01~5質量部、好ましくは0.05~3質量部、より好ましくは0.1~2.5質量部である。このような態様であると、架橋構造が充分かつ適度に形成され、したがって凝集力が高く、耐久性に優れた粘着剤層を得ることができる。
【0076】
《その他架橋剤》
前記粘着剤組成物は、イソシアネート系架橋剤(B)の他、金属キレート架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤等のその他架橋剤を含有してもよい。
【0077】
前記粘着剤組成物において、前記その他架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。このような態様であると、架橋構造が充分かつ適度に形成され、凝集力が高く、また粘着物性のバランスに優れ、耐久性に優れた粘着剤を得ることができる。
【0078】
金属キレート架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属に、アルコキシド、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物が挙げられる。具体的には、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネートが挙げられる。
【0079】
エポキシ系架橋剤としては、1分子中のエポキシ基数が2以上のエポキシ化合物が通常用いられる。例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、N,N,N' ,N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m-N,N-ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N-ジグリシジルアニリンが挙げられる。
【0080】
《可塑剤》
前記粘着剤組成物は、一実施態様として、可塑剤をさらに含有することが好ましい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、トリメリット酸エステル系化合物、セバシン酸エステル系化合物、クエン酸系エステル系化合物、リン酸エステル系化合物、ポリエステル系化合物、パルミチン酸系化合物、ステアリン酸系化合物が挙げられ、具体的には、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、トリメリット酸トリオクチル、リン酸トリクレシル、低分子ポリエステル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチルが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル系共重合体(A)への相溶性の観点から、パルミチン酸系化合物および/またはステアリン酸系化合物が好ましい。
【0081】
可塑剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
粘着剤組成物中の可塑剤の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、通常は0.01~3質量部、好ましくは0.05~1質量部である。このような態様であると、被着体(PC板)への馴染み性に優れる。
【0082】
《添加剤》
前記粘着剤組成物は、上記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、シランカップリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、粘着力調整剤(例:オルガノポリシロキサン化合物)、消泡剤、充填剤、安定剤、軟化剤、および濡れ性調整剤から選択される少なくとも1種を含有してもよい。
【0083】
《有機溶媒》
前記粘着剤組成物は、その取扱い性を向上させるため、有機溶媒を含有してもよい。
有機溶媒としては、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造方法の説明で記載した重合溶媒が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)および重合溶媒を含む溶液と、イソシアネート系架橋剤(B)とを混合して、粘着剤組成物を調製することができる。前記粘着剤組成物において、有機溶媒の含有量は、通常は0~90質量%であり、好ましくは10~80質量%である。
【0084】
《粘着剤層の形成》
前記粘着剤組成物を架橋することにより、具体的には(メタ)アクリル系共重合体(A)をイソシアネート系架橋剤(B)で架橋することにより、前記粘着剤層を得ることができる。
【0085】
粘着剤層の形成条件は、例えば以下のとおりである。粘着剤組成物を第1のセパレーター上に塗布し、通常は60~120℃、好ましくは70~110℃で、通常は1~5分間、好ましくは2~4分間乾燥し、塗膜を形成する。続いて、塗膜上に第2のセパレーターを貼り合わせる。続いて、得られた積層物を通常は1日以上、好ましくは3~10日間、通常は5~60℃、好ましくは15~40℃、通常は30~70%RH、好ましくは40~70%RHの環境下で養生(熟成)する。上記のような熟成条件で架橋を行うと、効率よく架橋体を形成することができる。
【0086】
セパレーターは、長尺状の基材に片面または両面が剥離処理されているのが好ましく、基材としては、例えば、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のプラスチック;不織布;紙が挙げられる。
【0087】
粘着剤層の厚さは、通常は3~1000μm、好ましくは5~500μmである。
粘着剤層のゲル分率は、好ましくは40~95質量%、より好ましくは50~90質量%、さらに好ましくは60~85質量%である。このような態様であると、凝集力および接着力の向上の観点から好ましい。
【0088】
ゲル分率は、以下のようにして測定することができる。粘着剤層から粘着剤約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mLを加えて4時間振盪した後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥して乾燥質量を測定する。次式により、粘着剤層のゲル分率を求める。
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着剤採取質量)×100(%)
【0089】
粘着剤層は、第1の層と第2の層とを貼り合わせるために配置され、例えば、後述する透明性部材同士を貼り合わせる(すなわち、第1、第2の層が透明性部材)、あるいは、後述する透明性部材と透明導電膜とを貼り合わせる(すなわち、第1の層が透明導電膜、第2の層が透明性部材)ために配置される。
【0090】
<積層体の製造>
本発明の積層体は、第1の層と第2の層とを、前記粘着剤組成物から得られる粘着剤層を介して貼り合わせることによって得ることができる。例えば、第1の層(または第2の層)の表面に粘着剤層の表面を貼り付けた後、粘着剤層のもう一方の表面(裏面)を、第2の層(または第1の層)の表面に貼り付けることにより、第1の層と第2の層とを粘着剤層によって貼り合わせることができる。
【0091】
また、第1の層としての基材と、基材の一方の面に形成された前記粘着剤組成物から得られる粘着剤層とを有する粘着シートを用いて、前記粘着剤層を第2の層としてのポリカーボネート板に貼り合わせることで、本発明の積層体を得てもよい。
【0092】
〔タッチパネル用途〕
タッチパネルは、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータの他、カーナビゲーション装置等の車載装置に搭載される。タッチパネルは、タッチパネルユニットを含む。
【0093】
タッチパネルユニットとしては、例えば、抵抗膜方式タッチパネルのユニット、静電容量方式タッチパネルのユニットが挙げられ、これらは各種材料の積層物であり、前記ユニットの一部または全部として本発明の積層体を用いることができる。
【0094】
タッチパネルユニットは、画面の最表面に配置されることから、使用される粘着剤には、高い透明性が求められ、さらに、高い耐熱性および耐湿熱性等の特性が必要とされる。
タッチパネルユニットは、例えば、表面支持体と、粘着剤層と、金属もしくは金属酸化物からなる透明導電膜を積層方向にこの順に有し、または、表面支持体と、粘着剤層と、電極支持体と、金属もしくは金属酸化物からなる透明導電膜とを積層方向にこの順に有する。金属および金属酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)、酸化スズが挙げられる。
【0095】
<抵抗膜方式のタッチパネル>
抵抗膜方式のタッチパネルユニット10-1は、図1に示すように、貼り合わせ剤30によって間隙34が形成されるように上部積層体11-1と下部積層体13-1とを貼り合わせることにより形成されており、間隙34内には有効に間隙幅を確保するためにスペーサー32が配置されている。
【0096】
上部積層体11-1、下部積層体13-1には、間隙34に面して、金属または金属酸化物からなる、透明導電膜27-1、27-2がそれぞれ配置されている。透明導電膜27-1、27-2は、通常は透明性部材からなる上部電極支持体25-1、下部電極支持体25-2の表面に形成されている。
【0097】
上部積層体11-1の最表面には表面支持体21-1が配置されており、表面支持体21-1は通常は透明性部材である。下部積層体13-1の最深部にはフラットパネルディスプレイ(FPD)の表面と対面するように深部の表面支持体21-2が配置されており、表面支持体21-2は通常は透明性部材である。表面支持体21-1と上部電極支持体25-1とを接着するように粘着剤層23-1が配置されている。深部の表面支持体21-2と下部電極支持体25-2とを接着するように粘着剤層23-2が配置されている。
【0098】
透明性部材としては、例えば、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の透明プラスチック製フィルム;ガラス板が挙げられる。これは、下記の静電容量方式についても同様である。
【0099】
表面支持体21-1と粘着剤層23-1と上部電極支持体25-1との積層体として、本発明の積層体を用いることができる。この場合、粘着剤層23-1が、前述した粘着剤組成物より形成されており、表面支持体21-1および上部電極支持体25-1の少なくとも一方が、前記重量比が1.0010~1.0050のポリカーボネート板である。
【0100】
また、深部の表面支持体21-2と粘着剤層23-2と下部電極支持体25-2との積層体として、本発明の積層体を用いることができる。この場合、粘着剤層23-2が、前述した粘着剤組成物より形成されており、深部の表面支持体21-2および下部電極支持体25-2の少なくとも一方が、前記重量比が1.0010~1.0050のポリカーボネート板である。
【0101】
透明導電膜27-1および27-2には回路が形成されており、表面支持体21-1の上から指などで圧力を加えることにより、圧力が加わった部分の間隙34が消滅して透明導電膜27-1および27-2が接触して通電し、加圧部分を検知することができる。
【0102】
<静電容量方式のタッチパネル>
静電容量方式のタッチパネルユニット10-2は、図2に示すように、一般的には、透明性部材からなる中央支持体60を挟んで上部積層体15-1と下部積層体15-2とが配置された構造を有していることが多い。
【0103】
上部積層体15-1では、中央支持体60に接触して透明導電膜57-1が配置されており、最表面には透明性部材からなる表面支持体51-1が配置されている。透明導電膜57-1と表面支持体51-1とを接着するように粘着剤層53-1が配置されており、粘着剤層53-1は、透明導電膜57-1と直接接触している。
【0104】
上部積層体15-1として、本発明の積層体を用いることができる。この場合、粘着剤層53-1が、前述した粘着剤組成物より形成されており、透明導電膜57-1が、第1の層であり、表面支持体51-1が、前記重量比が1.0010~1.0050のポリカーボネート板(第2の層)である。
【0105】
下部積層体15-2では、中央支持体60に接触して透明導電膜57-2が配置されており、最深部には透明性部材からなる表面支持体51-2が配置されている。透明導電膜57-2と最深部の表面支持体51-2とを接着するように粘着剤層53-2が配置されており、粘着剤層53-2は、透明導電膜57-2と直接接触している。
【0106】
上部積層体15-2として、本発明の積層体を用いることができる。この場合、粘着剤層53-2が、前述した粘着剤組成物より形成されており、透明導電膜57-2が、第1の層であり、最深部の表面支持体51-2が、前記重量比が1.0010~1.0050のポリカーボネート板(第2の層)である。
【0107】
静電容量方式のタッチパネルユニット10-2において、最深部の表面支持体51-2は、フラットパネルディスプレイと対面するように配置される。
透明導電膜57-1および57-2は、回路を形成している。静電容量方式のタッチパネルにおいては、タッチパネルユニット10-2の表面に指が接触することによる接触部分の静電容量の変化を読み取って、接触位置を検知することができる。
【実施例
【0108】
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
【0109】
実施例における各測定値は、以下の方法により求めた。
〔重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)〕
(メタ)アクリル系共重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記条件で、標準ポリスチレン換算によるMwおよびMw/Mnを求めた。
・測定装置:HLC-8120GPC(東ソー製)
・GPCカラム構成:以下の5連カラム(すべて東ソー製)
(1)TSK-GEL HXL-H (ガードカラム)
(2)TSK-GEL G7000HXL
(3)TSK-GEL GMHXL
(4)TSK-GEL GMHXL
(5)TSK-GEL G2500HXL
・サンプル濃度:1.0mg/cm3となるように、テトラヒドロフランで希釈
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・流量:1.0cm3/min
・カラム温度:40℃
【0110】
〔ガラス転移温度(Tg)〕
(メタ)アクリル系共重合体のTgは、Foxの式により求めた。
【0111】
[合成例1]
撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素道入管を備えた反応装置に、2-メトキシエチルアクリレート(MEA)80部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)10部、メチルメタクリレート系マクロモノマー(AA-6)10部、および溶媒としてメチルエチルケトン50部、酢酸エチル80部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を加え、窒素雰囲気下、75℃で4時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を酢酸エチルにて希釈しポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系共重合体(A-1)のMwは36万、Mw/Mnは11、Tgは-37℃であった。
【0112】
[合成例2~8]
モノマー成分の組成を表1に記載したとおりに変更したこと以外は合成例1と同様に行い、(メタ)アクリル系共重合体(A-2)~(A-8)を合成した。
【0113】
【表1】
【0114】
BA:n-ブチルアクリレート
MEA:2-メトキシエチルアクリレート
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
AA:アクリル酸
AA-6:メチルメタクリレート系マクロモノマー(東亞合成製)
【0115】
[実施例1]
(メタ)アクリル系共重合体(A-1)の固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤であるE405-70B:ヘキサメチレンジイソシアネート/ブチレンオキサイドおよびε-カプロラクトン変性トリメチロールプロパン-アダクト体(旭化成製、固形分70質量%)を固形分が0.9部となる量で前記ポリマー溶液に添加して、粘着剤組成物を得た。
【0116】
得られた粘着剤組成物を、剥離処理されたPETフィルム(セパレーター)上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し、90℃で3分間乾燥させ溶媒を除去して、厚さ50μmの塗膜を形成した。塗膜のPETフィルムと接している面とは反対側表面に、前記セパレーターより剥離力が軽いPETフィルム基材のセパレーターを貼り合わせた。次いで、23℃、65%RH環境下で7日間熟成を行い、厚さ50μmの粘着剤層を有する粘着シートを得た。
【0117】
[評価]
<ゲル分率>
ゲル分率は、以下のようにして測定した。上記粘着シートの粘着剤層から粘着剤約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mLを加えて4時間振盪した後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥して乾燥質量を測定した。次式により、粘着剤層のゲル分率を求めた。
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着剤採取質量)×100(%)
【0118】
<耐ブリスター性試験>
上記粘着シートから剥離力が軽い方のセパレーターを剥がして、露出した粘着剤層を厚さ100μmのPETフィルム(第1の層)に貼付した後、60mm×50mmの大きさに裁断し、さらにもう一方の剥離処理されたセパレーターを剥がして、露出した粘着剤層をポリカーボネート板PC1600(厚さ2.0mm、下記重量比:1.0021、密度:1.093~1.098g/cm3:タキロンシーアイ製)(第2の層)に貼着し、次いで50℃、5気圧に調整されたオートクレーブに20分間保持して試験板を作製した。試験板を85℃/85%RH条件下に72時間放置した後、表2に記載の基準で、耐ブリスター性を評価した。
なお、ポリカーボネート板の重量比および密度は以下のように測定した。
【0119】
[水吸収能(重量比)]
上述のポリカーボネート板を85℃dry環境下に72時間放置し、前記環境から取出し直後にその重量(重量1)を測定した。その後85℃/85%RH環境下にポリカーボネート板を72時間放置し、前記環境から取出し直後にその重量(重量2)を測定した。この85℃/85%RH環境投入前後の重量1,2より、重量比(重量2/重量1)を算出した。
【0120】
[密度]
ポリカーボネート板の体積と重量の関係より算出した。
【0121】
【表2】
【0122】
<耐白化性試験>
上記粘着シートから剥離力が軽い方のセパレーターを剥がして、露出した粘着剤層を厚さ100μmのPETフィルム(第1の層)に貼付した後、60mm×50mmの大きさに裁断し、さらにもう一方の剥離処理されたセパレーターを剥がして、露出した粘着剤層をポリカーボネート板(PC1600:タキロンシーアイ製)(第2の層)に貼着し、次いで50℃、5気圧に調整されたオートクレーブに20分間保持して試験板を作製した。試験板を85℃/85%RH条件下に72時間放置した後、以下の基準で、白化の有無を目視で確認した。
◎:白化の外観不良は全く観察されなかった。
○:白化の外観不良がごく僅かに観察されるが実使用上問題ない範囲である。
×:白化の外観不良が広範囲にわたって観察された。
【0123】
[実施例2~9、比較例1~4、参考例1、2]
粘着剤組成物の配合組成を表3に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、粘着剤組成物を調製し、さらに粘着シートを得た。架橋剤の量は、(メタ)アクリル系共重合体100部に対する量である。
なお、参考例1および参考例2では、ポリカーボネート板としてNF2000VU(厚さ1.5mm、前記重量比:1.0006、密度:1.124~1.132g/cm3:三菱ガス化学製)を使用した。
【0124】
【表3】
【0125】
E405-70B:ヘキサメチレンジイソシアネート/ブチレンオキサイドおよびε-カプロラクトン変性トリメチロールプロパン-アダクト体(旭化成製、固形分70質量%)
MFA-75B:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート/ε-カプロラクトン変性トリメチロールプロパン-アダクト体(旭化成製、固形分70質量%)
E402-80B:ヘキサメチレンジイソシアネート/ε-カプロラクトン変性トリメチロールプロパン-アダクト体(旭化成製、固形分90質量%)
D-90:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体
(綜研化学製、固形分90質量%)
L-45:トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応物(綜研化学製、固形分45質量%)
TD-75:キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応物(綜研化学製、固形分75質量%)
【0126】
参考例1および2では、前記重量比1.0006のPC板を用いており、耐ブリスター性および耐白化性は良好であった。しかしながら、参考例2と同様の組成で粘着剤層を形成し、前記重量比1.0021のPC板を用いた比較例1では、耐ブリスター性が悪かった。このように、水吸収能が低いPC板を用いた場合は耐久性の問題は顕著に表れないが、水吸収能が高いPC板を用いた場合は耐久性の問題が生じる。従来技術においてこの点は検討されてはおらず、新たな課題といえる。
【0127】
一方実施例では、前記重量比1.0021のPC板を用いた場合でも、耐ブリスター性および耐白化性は良好であった。このように、本発明では、水吸収能が高いPC板を用いた場合において、耐久性に優れた積層体を提供することができる。
【符号の説明】
【0128】
10-1・・・抵抗膜方式のタッチパネルユニット、
10-2・・・静電容量方式のタッチパネルユニット、
11-1・・・上部積層体、13-1・・・下部積層体、
15-1・・・上部積層体、15-2・・・下部積層体、
21-1・・・表面支持体、21-2・・・深部の表面支持体、
23-1、23-2・・・粘着剤層、
25-1・・・上部電極支持体、25-2・・・下部電極支持体、
27-1・・・透明導電膜、27-2・・・透明導電膜、
30・・・貼り合わせ剤、32・・・スペーサー、34・・・間隙、
51-1、51-2・・・表面支持体、
53-1、53-2・・・粘着剤層、
57-1、57-2・・・透明導電膜、
60・・・中央支持体、
図1
図2