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  • 特許-胃瘻管の再挿入装置 図1
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  • 特許-胃瘻管の再挿入装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】胃瘻管の再挿入装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20220224BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20220224BHJP
   A61M 25/02 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
A61J15/00 A
A61B17/34
A61M25/02 504
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019535184
(86)(22)【出願日】2017-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017045548
(87)【国際公開番号】W WO2018048538
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】62/384,885
(32)【優先日】2016-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519083921
【氏名又は名称】ナポレズ アドルフォ
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ナポレズ アドルフォ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-152337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0133128(US,A1)
【文献】国際公開第99/036120(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02962720(EP,A1)
【文献】特表2014-526930(JP,A)
【文献】特表2014-519907(JP,A)
【文献】特表2012-508616(JP,A)
【文献】特開平09-051953(JP,A)
【文献】特表2007-537795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
A61B 17/34
A61M 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物身体の生体組織の胃瘻管路の段階的拡張のための胃瘻管再挿入装置であって、前記胃瘻管再挿入装置が、
前記身体内への前記拡張器の完全な挿入を防ぐフランジと、外周を有する外側表面と、前記拡張器の閉鎖遠位端の尖っていない丸い端部と、を有する第1の拡張器;
前記身体内への前記拡張器の完全な挿入を防ぐフランジと、前記第1の拡張器の前記外周より大きい外周を有する外側表面と、前記拡張器の閉鎖遠位端の尖っていない丸い端部と、を有する第2の拡張器;及び
中空内部と、前記身体内への前記拡張器の完全な挿入を防ぐフランジと、前記第2の拡張器の前記外周より大きい外周を有する外側表面と、分離を可能にする前記拡張器の2つの面上の鋸歯状端部と、胃瘻管が尖っていない丸い端部を通過するのを可能にする十分な開口部を備えた前記拡張器の開口遠位端の前記尖っていない丸い端部と、を有する第3の拡張器;を含む、前記胃瘻管再挿入装置
【請求項2】
前記第1の拡張器が直径3mmであり、前記第2の拡張器が直径5mmであり、前記第3の拡張器が直径8mmである、請求項1に記載の胃瘻管再挿入装置
【請求項3】
前記フランジが長さ3cm、厚さ2mmである、請求項1に記載の胃瘻管再挿入装置
【請求項4】
前記各拡張器が約3cmと5cmの間の長さである、請求項1に記載の胃瘻管再挿入装置
【請求項5】
前記各拡張器が長さ5cmである、請求項1に記載の胃瘻管再挿入装置
【請求項6】
前記各拡張器の壁が厚さ約1mmである、請求項1に記載の胃瘻管再挿入装置
【請求項7】
前記拡張器が可撓性シリコーン製品である、請求項1に記載の胃瘻管再挿入装置
【請求項8】
身体内への拡張器の完全な挿入を防ぐフランジと、外周を有する外側表面と、前記拡張器の閉鎖遠位端の尖っていない丸い端部と、を有する第1の拡張器;
前記身体内への前記拡張器の完全な挿入を防ぐフランジと、前記第1の拡張器の前記外周より大きい外周を有する外側表面と、前記拡張器の閉鎖遠位端の尖っていない丸い端部と、を有する第2の拡張器;及び
中空内部と、前記身体内への前記拡張器の完全な挿入を防ぐフランジと、前記第2の拡張器の前記外周より大きい外周を有する外側表面と、分離を可能にする前記拡張器の少なくとも2つの面上の鋸歯状端部と、胃瘻管が尖っていない丸い端部を通過するのを可能にする十分な開口部を備えた前記拡張器の開口遠位端の前記尖っていない丸い端部と、を有する第3の拡張器;を含む、胃瘻管再挿入キット。
【請求項9】
胃瘻管を更に含む、請求項に記載の胃瘻管再挿入キット。
【請求項10】
パッケージと、前記第1の拡張器と、前記第2の拡張器と、前記第3の拡張器と、を更
に含み、前記各拡張器が前記パッケージ内に取り外し可能に封入されている、請求項に記載の胃瘻管再挿入キット。
【請求項11】
前記パッケージ内に取り外し可能に封入されている胃瘻管を更に含む、請求項10に記載の胃瘻管再挿入キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概ね、胃瘻管再挿入装置に関する。更に具体的には、本発明は、患者の身体から管が除去されるまたは引き出された場合、新規の胃瘻管を再挿入するための、胃瘻管部位の段階的拡張のための方法及び装置に関する。更に、本発明は、患者の身体に新規の胃瘻管を再挿入するための、胃瘻管再挿入キットに関する。
【背景技術】
【0002】
胃瘻管は、口から栄養を摂取できない、飲み込むことができない、または栄養補助剤を必要とする患者に栄養を提供するために使用する医療装置である。胃瘻管の設置は、急性疾患の治療のための一時的設置でも、または慢性障害患者のための生涯にわたる設置でもよい。胃瘻管は、経口摂取ができないとき、栄養、流体及び薬物を直接胃の中に入れるのを可能にするために、すべての年齢層及び疾患状態の患者内に設置される。
【0003】
胃瘻管の最初の設置中、管路または開口は胃に形成されて、管は管路または開口を通って入れられる。この外科的開口または前記開口を作成する手順は、一般に胃瘻造設と呼ばれる。栄養分を胃に提供するために、栄養溶液は胃の中に直接胃瘻管を通って注入されることができ、それは経腸栄養として公知である。経腸栄養を目的とする様々な異なる胃瘻管が、長年にわたって開発されてきた。患者の皮膚に位置する管の部分に関して、従来型の外形または非薄型構成を有するものと同様に薄型の胃瘻管がある。
【0004】
医療行為で使用する様々な胃瘻造設装置がある。胃瘻管は、通常ポリウレタンまたはシリコーンから作製される。胃瘻管の直径は、フレンチ単位で測定する(各フレンチ単位は0.33ミリメートルに等しい)。平均胃瘻管は、直径20フレンチ単位である。胃瘻管は、経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEGと称される)と呼ばれている手順で多用される。従来のPEG手順にて、PEG管は、内視鏡の誘導または放射線の誘導を使用して入れられる。
【0005】
代表的なPEG手順の間、患者の食道が妨げられていないことを観察し、胃を検査しかつ膨張させて胃瘻管用に選択された領域が拡張され得るのを確実にするために、内視鏡を使用してPEG管は配置される。位置が適切な場合、領域は胃瘻管の挿入のために選択される。針が、胃瘻管路のために選択した領域に挿入される。針路を形成するために、針が患者の皮膚を通過し、腹壁を通過し、選択した領域の胃管腔内に入るのを、内視鏡医は観察する。ガイドワイヤが、胃の胃管腔内の針に通される。内視鏡医は、ガイドワイヤをしっかり握るために、内視鏡スネアを使用する。内視鏡の操作チャネルを通過するスネアは、ガイドワイヤをしっかりつかむ。それから内視鏡及びスネアの両方は、内視鏡及びスネアと共にガイドワイヤを引っ張り、患者の口を通って一緒に引き出される。患者の口から外へ伸びるガイドワイヤの端はその後、保持要素または装置に取り付けられ、ガイドワイヤの他の端は身体の腹部の患者の皮膚の外側に残る。ガイドワイヤが患者の皮膚の外側に残る端から引き出されると、保持要素または装置は、内視鏡なしで、患者の口の中へ引き戻されて、患者の胃の中に引き入れられる。保持要素または装置は、胃瘻管から選択した領域で腹壁に対してぴったりと引っ張られる。針路の適切な拡張の後、胃が保持要素によって腹壁に対してぴったりと保たれると共に、胃瘻管は管路内に及びそれを通過して挿入される。胃瘻管の遠位端が挿入されて、適切に配置された後、胃の内部で拡張され得る遠位端上に、胃瘻管は保持具を有する。
【0006】
別の代表的なPEG手順は、内視鏡を患者の口の中に入れることと、食道に沿ってそれを胃の中に前進させることと、を含む。小さな切開が腹壁になされている、胃瘻管の正しい挿入部位を決定するために、内視鏡は、胃の裏層を見ることを可能にする。前記手順は、ガイドワイヤを挿入することと、ガイドワイヤを用いて、患者の口、食道、胃を通過して前進し、腹壁を通して胃瘻管を外に出すことと、を更に含む。胃瘻管は通常、所定位置に管を固定して、予想外の後退及び/または除去を最小限に抑えるために、外部及び内部の両方の保持手段を含む。
【0007】
異なるサイズの、及び異なる内部保持手段を有する複数の種類の胃瘻管がある。例えば、内部のキノコ様の柔らかくかつ可撓性のあるバンパーを備える胃瘻管と、外牽引による除去を防ぐ半剛性の内部バンパーを備える胃瘻管と、挿入後、胃の内部に置かれる管の端のバルーンが膨らむバルーン保持型胃瘻管と、が挙げられる。
【0008】
可撓性または半剛性の内部バンパーを備える胃瘻管の挿入は通常、バンパーと係合しない管の端が最初に患者の口を通過して入り、ガイドワイヤに沿って前進して、保持バンパーが胃の内部壁に接触するまで、腹壁になされた切開から出るように実行される。それから管は、取り付けた外部ボルスタを使用して皮膚のレベルに更に固定される。
【0009】
代表的な胃瘻管は、Russoらへの米国特許第4,668,225号、Sacksらへの米国特許第4,758,219号、Hirschらへの米国特許第5,080,650号及びRossらへの米国特許第5,807,314号に開示されており、これらの開示は参照により組み込まれる。
【0010】
胃瘻管は、定期的に、一般的に数か月ごとに交換される必要がある。胃瘻管の除去は、管設計に応じて、異なる方法で実行される。患者がほぼ2か月間胃瘻管をつけているとき、永続的な通路または管路が腹部を通って組織に展開して胃の中に入り、それは胃瘻管の経皮的再挿入を可能にすることは、一般に知られている。例えばキノコ様保持型管は、外牽引によって取り外されることができる。引っ張られると、内部可撓性バンパーは、折り畳まれて、管路を通って滑り出る。
【0011】
剛性の内部バンパーを有する胃瘻管の除去の別の例は、食道及び口を経てバンパーの内視鏡的回収によって内部バンパーを除去することである。しかし、胃瘻管除去のこの方法は、それが内視鏡の再度の実施を含み、患者は外科的除去を受ける必要があるので、より複雑でかつ費用がかかる。
【0012】
胃瘻管除去の他の周知の方法は、「切断押出」方法(Kejariwal et al.,2009,Nutr Clin Pract, 24:281に記載)を含む。この方法は、剛性の内部バンパーを備える胃瘻管を使用して、皮膚レベルで胃瘻管を切断することと、内部バンパー及び管の残りが自然に排出されるのを可能にすることと、を含む。しかし、この方法は、それによって腸閉塞及び/または穿孔が生じる場合があるという点で、いくつかの欠点がある。
【0013】
バルーン保持型管は、管路が腹壁に既に設置されているとき、通常使用される。このような管は、収縮した形状で胃瘻管路を通って挿入されて、胃内部で適所に管を固定するために膨張できる。操作は単純だが、このような胃瘻管は耐久性が低く、脱落しやすい。
【0014】
胃瘻管は、患者の身体からしばしば脱落する、または移動する。脱落または移動がすぐに発見される場合、新規の胃瘻管の単純な経皮的再挿入は可能であり、それによって、新規の胃瘻管は単に患者の腹部の既存の胃瘻管路に再挿入されて、バルーン保持手段は再膨張する。再挿入処置は、医師または外科医を必要とすることなく、適度に熟練した医療関係者(例えば介護施設職員または救急治療室の医師)によって実行できる。
【0015】
残念ながら、胃瘻管の脱落は、通常すぐには発見されない。脱落後の約2~3時間後に、患者の腹部の胃瘻管路は閉鎖しはじめて、単純な経皮的挿入は不可能になる。一旦管路が閉じると、外科的に胃瘻管を再挿入するために、外科医または胃腸科医の関与が必要になる。多くの場合、胃瘻管の再挿入を実施するために、病院または医療施設への入院が必要である。
【0016】
追加の手術を必要とせずに、代わりの胃瘻管を腹部管内に再挿入するための改善した手段の必要性が残っている。
【0017】
そのうえ求められているのは、代わりの胃瘻管を再挿入するのを簡単にするために、胃瘻管部位内の崩壊した軟組織を拡張する装置である。
【0018】
更に求められているのは、胃瘻管路を広げるための更なる手術を不要とする、胃瘻管の予想外の脱落に起因する、閉鎖した管路の段階的または順次的拡張のための方法である。
【0019】
適度に熟練した医療提供者(例えば介護施設職員または救急治療室の医師)が代わりの胃瘻管を再挿入するために迅速かつ容易に胃瘻管路の崩壊した軟組織を拡張できる、胃瘻管の再挿入のための改善した手段の更なる必要性がある。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、胃瘻管の再挿入手段に関する。本発明は、一旦管が患者から取り外される、または脱落すると、胃瘻管用の管路または通路の軟組織の拡張のための手段を提供する。
【0021】
一態様にて、本発明は、胃瘻管路の段階的または順次的な拡張を可能にする複数の拡張器を含む。
【0022】
別の態様にて、本発明は、拡張器の中空内部への胃瘻管の挿入の際、管路から分離及び取り外しができる少なくとも1つの拡張器を含む。
【0023】
別の態様には、本発明は、一旦胃瘻管が腹壁、胃管腔の管路に及び胃の内部に再挿入されると、切断されて管路から取り外されることができる、少なくとも1つの拡張器を含む。
【0024】
更に別の非限定的な態様で、胃瘻管路の崩壊した軟組織をゆっくり開くために、再挿入装置は、直径3mmで尖っていない丸い端部を有する1つの拡張器を含む。再挿入装置は、胃瘻管路を更に拡張するまたは開くために、直径5mmで尖っていない丸い端部を有する第2の拡張器を更に含む。再挿入装置は、胃瘻管路を更に拡張するまたは開くために、ならびに第3の拡張器の中空内部への挿入及び拡張器の遠位端の開口部を通って出るための、直径8mmで尖っていない丸い端部を有する、第3の拡張器を更に含む。第3の拡張器は、胃瘻管を取り外すことなく、胃瘻管路から拡張器面の除去のための鋸歯状面を更に含む。
【0025】
これら及び他の態様、目的、特徴及び利点は、以下の図示した例示の実施形態の具体的な説明を考慮することで、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1A図1B図1Cは、胃瘻再挿入装置の3つの異なるサイズに設定された拡張器の一実施形態の図である。
図2】鋸歯状の壁を有する胃瘻管再挿入装置の拡張器の側面図である。
図3】拡張器の中空内部及びフランジを表す胃瘻管再挿入装置の拡張器の上面図である。
図4】腹壁を通過して、胃の胃管腔内に配置される胃瘻管の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面の要素
10a 直径3mmの拡張器
10b 直径5mmの拡張器
10c 直径8mmの拡張器
11a 直径3mmの拡張器の中空内部
11b 直径5mmの拡張器の中空内部
11c 直径8mmの拡張器の中空内部
12a 直径3mmの拡張器の外周部
12b 直径5mmの拡張器の外周部
12c 直径8mmの拡張器の外周部
14a 直径3mmの拡張器の外側壁
14b 直径5mmの拡張器の外側壁
14c 直径8mmの拡張器の外側壁
15a 直径3mmの拡張器のフランジ
15b 直径5mmの拡張器のフランジ
15c 直径8mmの拡張器のフランジ
17a 直径3mmの拡張器の尖っていない丸い端部
17b 直径5mmの拡張器の尖っていない丸い端部
17c 直径8mmの拡張器の尖っていない丸い端部
20 直径8mmの拡張器の尖っていない丸い端部の開口部
30 胃瘻管
33 直径8mmの拡張器の鋸歯状面
35 胃瘻管挿入部位
【0028】
概略
本発明は、以下の詳細な説明、実施例、図面及び請求項、ならびに上述した及び以下の説明を参照することでより容易に理解されることができる。しかし、本装置、本方法及び/または本キットを開示かつ説明する前に、本発明は、特に指示がない限り、記載された特定の装置、方法及び/またはキットに限定されるものでなく、したがって当然のことながら変化できることを理解すべきである。本明細書で使用する技術用語は、特定の態様を記載する目的でのみ使用され、制限することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0029】
本発明の以下の説明は、その最善の、現在周知の実施形態での本発明実現の教示として提供される。このために、関連技術分野の当業者は、多くの変更が本明細書に記載の種々の本発明の態様になされ得ること、更に本発明の有益な結果を得ることを理解かつ評価するであろう。本発明の所望の利点のいくつかが、他の特徴を利用することなく、本発明の特徴のいくつかを選択することによって得ることができることも明らかである。したがって、当業者は、本発明に対する多くの変更及び修正が可能であり、特定の状況ではそれが望ましいこともあり、それが本発明の一部であることを理解するであろう。したがって、以下の説明は、本発明の原理の例示として提供され、それを制限するものではない。
【0030】
本明細書で使用する場合、単数形の「a」「an」及び「the」は、文脈で明らかにそうではないことを記載する場合を除いて、複数の対象を含む。範囲は、「約」1つの特定の値から及び/または「約」別の特定の値までとして本明細書で表されることができる。このような範囲が表されているとき、別の態様は、1つの特定の値から及び/または他の特定の値までを含む。同様に、値が先行する「約」を用いることにより近似値として表されているとき、特定の値が別の態様を形成するものと理解される。範囲のそれぞれの端点が、他の端点に関して及び他の端点と独立して両方とも重要であると更に理解されるであろう。
【0031】
簡潔に言うと、胃瘻管再挿入装置を本明細書に開示する。一態様で、本明細書に開示する胃瘻管再挿入装置は、段階的かつ順次的方法で胃瘻管路から及びその内部の崩壊した軟組織を開くための複数の拡張器を含む。本発明は、生体組織の胃瘻管路を拡張する拡張装置を提供する。このような装置は、管路の部分的な閉鎖の後でさえ、人体の管路内に胃瘻管を再挿入するのに有用である。拡張装置は他の目的のために使用できるが、それは胃瘻管の再挿入に関して論じられる。本発明は、それを必要とする患者に胃瘻管を再挿入するための工程も提供する。
【0032】
胃瘻管の置換のために記載されている本方法は、手術または入院を必要とせずに、適度に熟練した医療関係者によって(例えば、救急治療室の医師によって)実行されることができ、それは患者及び/または患者の保険業者の経費を節減する。
【0033】
図1A図1B及び図1Cを参照すると、拡張器10a、10b、10cは増分サイズである。第1の拡張器10aは、所定の外周3mmを有する外側表面12aと長さ5cmとを備える中空11aである。第1の拡張器10aの外側壁14aは厚さ1mmであり、直径3cm及び厚さ2mmの上部でフランジ15aを有する。フランジ15aの機能は、第1の拡張器10aの胃の中への完全な偶発的挿入を防ぐことである。第1の拡張器10aは、拡張器10aの遠位端で尖っていない丸い端部17aを有する。尖っていない丸い端部17aの機能は、胃瘻管挿入部位35の崩壊した軟組織と胃瘻管路を穏やかにゆっくり離すことである。
【0034】
第2の拡張器10bは、所定の外周5mmを有する外側表面12bと長さ5cmとを備える中空11bである。第2の拡張器10bの外側壁14bは厚さ1mmであり、直径3cm及び厚さ2mmの上部でフランジ15bを有する。フランジ15bの機能は、胃の中へ第2の拡張器10bを完全に挿入するのを防ぐことである。第2の拡張器10bは、第2の拡張器10bの遠位端で尖っていない丸い端部17bを有する。第2の拡張器10bの尖っていない丸い端部17bの機能は、胃瘻管挿入部位35の崩壊した軟組織と胃瘻管路を更に穏やかにゆっくり引き離すことである。
【0035】
第3の拡張器10cは、所定の外周8mmを有する外側表面12cと長さ5cmとを備える中空11cである。第3の拡張器10cの外側壁14cは厚さ1mmであり、直径3cm及び厚さ2mmの上部でフランジ15cを有する。フランジ15cの機能は、第3の拡張器10cの胃の中への完全な偶発的挿入を防ぐことである。第3の拡張器10cは、代わりの胃瘻管30の挿入を可能にするために、端部の底に開口部20を含む、尖っていない丸い端部17cを有する。第3の拡張器10cは、代わりの胃瘻管30が第3の拡張器10cを通過して配置された後、分離及び除去を可能にするために両面が鋸歯状33である。
【0036】
拡大装置の一実施形態の図を示す。一態様で、拡張装置は、3つの異なるサイズに設定された拡張器10a、10b、10cを含む。当業者であれば理解するように、拡張器10a、10b、10cは、胃瘻管部位35の崩壊した軟組織と胃瘻管路の拡張である、課せられた任務に適切な限り、任意のサイズであり得る。
【0037】
一態様では、第1及び第2の拡張器10a、10bは、フランジ15a、15bの上面の開口端と底の尖っていない丸い端部17a、17bの閉鎖端とによって画定される。フランジ15a、15bは、拡張器10a、10bが完全に胃の中に挿入されるのを防ぐために、拡張器10a、10bの上面に配置される。第3の拡張器10cが両端で開口され得ることも想到されており、この態様で、拡張器10cの開口端は、拡張器10cの上面及び底面のそれぞれで画定される。
【0038】
各拡張器10a、10b、10cは、固く、そのうえ可撓性の材料(例えばシリコーン)から作製される。各拡張器10a、10b、10cは、異なっているサイズのそれぞれの外周を有するそれぞれの外側表面12a、12b、12cを画定する。各拡張器10a、10b、10cは、先細の尖っていない丸い先端部17a、17b、17cを画定する。
【0039】
一組の拡張器が一連の拡張器として使用できるように、複数の拡張器10a、10b、10cは種々の寸法の外周を有する。小さい外周から大きい外周に連続して複数の拡張器10a、10b、10cを使用することによって、胃瘻管路は徐々に拡張される。胃瘻管の再挿入に適している拡張器において、最大の拡張器は、ほぼ胃瘻管の外周と同じ大きさ、好ましくは胃瘻管より約1~2mm大きい外周を有しなければならない。各拡張器は、好ましくは長さ約3~7cmであり、最も好ましくは長さ5cmである。
【0040】
代わりの胃瘻管30を再挿入するための管路または通路を拡張させる方法は、以下のとおりである。最初に、各拡張器10a、10b、10cの外側表面は、水溶性潤滑油(例えばK-Yゲル)によって潤滑される。胃瘻管部位35の領域は、代わりの胃瘻管30の挿入の前に、適切な洗浄製品で洗浄されて、乾燥されなければならない。最小の外周を有する潤滑された拡張器10aは、胃瘻管部位35に穏やかに挿入されて、拡張器10aのフランジ15aが腹部の皮膚に達するまで、管路の軟組織を通ってゆっくりかつ穏やかに前進する。それから拡張器10aはゆっくりかつ穏やかに取り外されて、より大きな外周を有する第2の拡張器10bは部分的に拡張した胃瘻管部位35にすぐに挿入されて、拡張器10bのフランジ15bが腹部の皮膚に達するまで、管路の同じ軟組織を通って穏やかかつゆっくり前進する。拡張器10bは穏やかに取り外されて、第2の拡張器10bより大きな外周を有する第3かつ最後の拡張器10cは、部分的に拡張した管路にすぐに挿入されて、拡張器10cのフランジ15cが腹部の皮膚に達するまで、管路の同じ軟組織を通ってゆっくりかつ穏やかに前進する。代わりの胃瘻管30は、潤滑油(例えばK-Yゲル)によって潤滑されて、第3の拡張器10cの中空内部11cに挿入されて、拡張器10cの底部の開口端17cを通過する。代わりの胃瘻管30が拡張器10cを十分に通過して配置されると、拡張器10cのフランジ15cは腹部の皮膚から持ち上げられて、拡張器10cは鋸歯状面33に沿って分離されて、胃瘻管路から除去される。胃瘻管30は管路中に及び胃の内部に残り、そこで胃瘻管30の端部のバルーンが膨らんで、胃内部の配置が確認される。
【0041】
胃瘻管30の設置は、胃瘻管30の設置を視覚化するために、X線撮影を介して確認されることができる。胃瘻管30の設置を確認する別の手段は、胃瘻管30を介して胃の内容物を吸引することと、吸引物のpHを測定することと、による。
【0042】
図2を参照すると、第3の拡張器10cの鋸歯状の壁は、患者の身体の外側の固定位置に示される。第2の拡張器10bより大きな外周を有する第3かつ最後の拡張器10cが部分的に拡張した管路内に挿入されて、拡張器10cのフランジ15cが腹部の皮膚に達するまで、管路の同じ軟組織を通過してゆっくりかつ穏やかに前進した後、それから代わりの胃瘻管30は、中空拡張器10cの上面の開口部を通って前進し、中空拡張器を通過して、拡張器10cの底の開口部から出て、胃の内部に入り、それから第3の中空拡張器10cのフランジ15cは、腹部の皮膚から持ち上げられて、鋸歯状面33に沿って分離されるように穏やかに引き離されて、胃瘻管路から取り外される。
【0043】
その鋸歯状面33を備える第3の中空拡張器10cの上面図を表す、図3を参照すると、胃瘻管30が拡張器10cの上面の開口端内に挿入されて、拡張器10cの中空内部11cを通って前進し、底の開口部20を通って出るまで、第3の中空拡張器10cの取り外しは生じない。
【0044】
本発明の別の態様で、胃瘻管30のバルーン保持装置は、胃瘻管30が中空拡張器10cの中に戻って引っ込むのを防ぐために、中空拡張器10cの取り外しの前に膨らむことができる。胃瘻管30のバルーン保持手段の膨張の後、中空拡張器10cのフランジ15cは、腹部の皮膚から持ち上げられて、鋸歯状面33に沿って分離するように穏やかに引き離されて、胃瘻管路から取り外される。胃瘻管30は管路中及び胃の内部に残り、胃内部の胃瘻管の設置は放射線または他の検証実行手段によって確認される。
【0045】
本明細書に開示した拡張装置は、当業者に周知の多くの用途を有する。例えば、開示した拡張装置は、崩壊した軟組織部位を有する任意の生体組織で使用できる。
【0046】
本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明に様々な修正及び変更を実施できることは当業者に明白であろう。本明細書に開示される本発明の仕様及び実施を考慮すれば、本発明の他の態様は当業者にとって明らかであろう。本明細事項及び実施例は単に代表的なものとして解釈されるものであり、本発明の実際の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4