(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】マスク及びマスクコンポーネント
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20220224BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220224BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H05B33/10
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2019568386
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2018103296
(87)【国際公開番号】W WO2019218536
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2019-12-11
(31)【優先権主張番号】201810454597.5
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516189213
【氏名又は名称】クンシャン ゴー-ビシオノクス オプト-エレクトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kunshan Go-Visionox Opto-Electronics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone, Kunshan, Jiangsu 215300, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー ジンク
(72)【発明者】
【氏名】カン メングア
(72)【発明者】
【氏名】ワン メングファン
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0179390(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107994054(CN,A)
【文献】特開2007-039777(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038861(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H05B 33/10
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着源に対向するように配置される蒸着面と蒸着源の反対側に配置されるガラス面を備えるマスク本体と、
前記マスク本体に配置され蒸着領域と遮蔽部を含む少なくとも1つのサブマスクと、を含み、
前記蒸着領域には、前記サブマスクの厚さ方向に前記サブマスクを貫通する第1の蒸着孔が設けられており、前記遮蔽部は、前記サブマスクの厚さ方向に前記サブマスクを貫通する貫通孔を備えない区切領域とディスプレイスクリーンの異形領域に対応するダミー領域とを含み、前記区切領域は、前記ダミー領域と前記蒸着領域との間に位置し、前記ダミー領域に前記サブマスクの厚さ方向に前記サブマスクを貫通する第2の蒸着孔が設けられており、前記異形領域は、スロットがあけられた領域または孔があけられた領域であり、前記第2の蒸着孔は、前記サブマスクの厚さ方向に沿って設けられて互いに連通する第1のハーフエッチング孔と第2のハーフエッチング孔とを含み、前記第1のハーフエッチング孔は、前記ガラス面に設けられており、前記第2のハーフエッチング孔は、前記蒸着面に設けられていることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記第1のハーフエッチング孔は、前記ガラス面に隣接する前記マスク本体の一端から前記ガラス面から離れる他端に向かって収縮し、前記第2のハーフエッチング孔は、前記蒸着面に隣接する前記マスク本体の一端から前記蒸着面から離れる他端に向かって収縮するとともに前記第1のハーフエッチング孔に連通することを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記ダミー領域には、前記サブマスクの厚さ方向に少なくとも1つの第1の溝が設けられており、前記第1の溝の深さは前記サブマスクの厚さより小さく、前記第1の溝は、前記蒸着面に設けられた第2の溝と、前記ガラス面に設けられた第3の溝とを含み、前記サブマスクの厚さ方向に沿って前記第2の溝の底壁と前記第3の溝の底壁との間に間隔があることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記区切領域には、前記サブマスクの厚さ方向に少なくとも1つの第4の溝が設けられており、前記第4の溝の深さは、前記サブマスクの厚さより小さく、前記サブマスクの厚さ方向に沿った前記第1のハーフエッチング孔の開口の投影は、第2のハーフエッチング孔の開口範囲に入ることを特徴とする請求項2に記載のマスク。
【請求項5】
前記第4の溝は、前記蒸着面に設けられた第5の溝と、前記ガラス面に設けられた第6の溝とを含み、前記サブマスクの厚さ方向に沿って前記第5の溝の底壁と前記第6の溝の底壁との間に間隔があることを特徴とする請求項4に記載のマスク。
【請求項6】
前記マスク本体は、平面視で互いに直交する第1の中心線と第2の中心線を有し、前記マスク本体には、2組の前記サブマスクが設けられており、各組の前記サブマスクは少なくとも1つの前記サブマスクを含み、それぞれ隣り合う2つの前記サブマスクの間に間隔があり、2組の前記サブマスクは、前記第1の中心線に対して軸対称であり、且つ、2組の前記サブマスクは、前記第2の中心線に対して軸対称であることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項7】
前記第2の中心線の同じ側に位置する前記サブマスクの前記遮蔽部は、すべて前記第2の中心線の反対側または前記第2の中心線に対向するように配置されており、
或いは、各組の前記サブマスクは、少なくとも1つのサブ組のサブマスクを含み、それぞれ前記サブ組のサブマスクは、2つの隣り合う前記サブマスクを含み、それぞれ前記サブ組のサブマスクの2つの隣り合う前記サブマスクの前記遮蔽部は対向して配置されていることを特徴とする請求項6に記載のマスク。
【請求項8】
前記マスク本体には、一列か行列で配置された複数のサブマスクが配置されており、
前記マスク本体は、前記複数のサブマスクを2組のサブマスクに分割する仮想分割線を有し、前記2組のサブマスクは、前記仮想分割線の一側に位置する第1組のサブマスクと、前記仮想分割線の他側に位置する第2組のサブマスクとを含み、前記第1組のサブマスクと前記第2組のサブマスクは、それぞれ少なくとも1つのサブマスクを含み、
前記第1組のサブマスクと前記第2組のサブマスクの各サブマスクは、前記仮想分割線に対向する側にそれぞれ前記遮蔽部が設けられており、あるいは、前記第1組のサブマスクと前記第2組のサブマスクの各サブマスクは、前記仮想分割線の反対側にそれぞれ前記遮蔽部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項9】
前記マスク本体には、一列か行列で配置された複数のサブマスクが配置されており、
同じ行にある偶数個の順に隣り合う前記サブマスクは、複数の順に隣り合うサブ組のサブマスクを形成し、それぞれ前記サブ組のサブマスクは、隣接して配置される2つのサブマスクを含み、
それぞれ前記サブ組のサブマスクの2つのサブマスクが互いに対向する側に前記遮蔽部が設けられるとともに互いに離れる側に前記遮蔽部が設けられなく、あるいは、それぞれ前記サブ組のサブマスクの2つのサブマスクの互いに対向する側に前記遮蔽部が設けられないとともに互いに離れる側には前記遮蔽部が設けられることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項10】
マスクフレームと、支持ストリップと、少なくとも1つの請求項1乃至9の何れか1つに記載のマスクとを含み、
前記支持ストリップは、前記マスクフレームに固定的に接続され、少なくとも1つの前記マスクは、前記支持ストリップに積層されて前記マスクフレームに固定的に接続されることを特徴とするマスクコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術に関し、特にマスク及びマスクコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)は、有機ELまたは有機発光半導体とも言われている。OLEDは、駆動電圧が低く、アクティブ発光であり、視野角が広く、効率が高く、応答速度が速く、フルカラー且つ広い面積でウォールマウントタイプ表示とフレキシブルな表示を実現しやすいなど様々な特徴を有するため、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)に代わりつつある。
【0003】
OLED製造技術において、真空蒸着用マスクは、極めて重要な構成要素であり、マスクは有機材料が基板に堆積される位置を制御できる。マスクは、主に、共通層を蒸着するためのコモンメタルマスク(Common Metal Mask、CMM)と、発光層を蒸着するためのファインメタルマスク(Fine Metal Mask、FMM)と、を含む。
【0004】
本発明者らは、異形ディスプレイスクリーン(すなわち、ディスプレイスクリーンの一側辺にスロットや穴があけられたスクリーン本体)を製作する際に、従来技術のマスクを用いると、引っ張るときにしわが生じやすいため、以降のディスプレイスクリーンの画素蒸着位置の精度が低下されることを見出した 。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本発明は、マスクを引っ張る際にしわが生じやすいという問題を解決でき、以降のディスプレイスクリーンの画素蒸着位置の精度を向上させたマスク及びマスクコンポーネントを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明はマスクを提供する。該マスクは、蒸着源に対向するように配置される蒸着面と蒸着源の反対側に配置されるガラス面を備えるマスク本体と、前記マスク本体に配置され蒸着領域と遮蔽部を含む少なくとも1つのサブマスクと、を含み、前記蒸着領域には、前記サブマスクの厚さ方向に前記サブマスクを貫通する第1の蒸着孔が設けられており、前記遮蔽部は、区切領域とディスプレイスクリーンの異形領域に対応するダミー領域とを含み、前記区切領域は、前記ダミー領域と前記蒸着領域との間に位置し、前記ダミー領域に前記サブマスクの厚さ方向に前記サブマスクを貫通する第2の蒸着孔が設けられており、および/または前記ダミー領域に少なくとも1つの第1の溝が設けられており、前記第1の溝の深さは前記サブマスクの厚さより小さい。
【0008】
一実施例において、前記第2の蒸着孔は、前記サブマスクの厚さ方向に沿って設けられて互いに連通する第1のハーフエッチング孔と第2のハーフエッチング孔とを含み、前記第1のハーフエッチング孔は、前記ガラス面に設けられており、前記ガラス面に隣接する前記マスク本体の一端から前記ガラス面から離れる他端に向かって収縮し、前記第2のハーフエッチング孔は、前記蒸着面に設けられており、前記蒸着面に隣接する前記マスク本体の一端から前記蒸着面から離れる他端に向かって収縮するとともに前記第1のハーフエッチング孔に連通する。
【0011】
一実施例において、前記第1の溝は、前記蒸着面に設けられた第2の溝と、前記ガラス面に設けられた第3の溝とを含み、前記サブマスクの厚さ方向に沿って前記第2の溝の底壁と前記第3の溝の底壁との間に間隔がある(互いに連通しない)。
【0013】
一実施例において、前記区切領域には、前記サブマスクの厚さ方向に少なくとも1つの第4の溝が設けられており、前記第4の溝の深さは、前記サブマスクの厚さより小さく、サブマスクの厚さ方向に沿った前記第1のハーフエッチング孔の開口の投影は、第2のハーフエッチング孔の開口範囲に入る。
【0015】
一実施例において、前記第4の溝は、前記蒸着面に設けられた第5の溝と、前記ガラス面に設けられた第6の溝とを含み、前記サブマスクの厚さ方向に沿って前記第5の溝の底壁と前記第6の溝の底壁との間に間隔がある。
【0018】
一実施例において、平面図において、前記マスク本体は、互いに直交する第1の中心線と第2の中心線を有し、前記マスク本体には、2組の前記サブマスクが設けられており、各組の前記サブマスクは少なくとも1つの前記サブマスクを含み、それぞれ隣り合う2つの前記サブマスクの間に間隔があり、2組の前記サブマスクは、前記第1の中心線に対して軸対称であり、且つ、2組の前記サブマスクは、前記第2の中心線に対して軸対称である。
【0019】
一実施例において、前記第2の中心線の同じ側に位置する前記サブマスクの前記遮蔽部は、すべて前記第2の中心線の反対側または前記第2の中心線に対向するように配置されており、或いは、各組の前記サブマスクは、少なくとも1つのサブ組のサブマスクを含み、それぞれ前記サブ組のサブマスクは、2つの隣り合う前記サブマスクを含み、それぞれ前記サブ組のサブマスクの2つの隣り合う前記サブマスクの前記遮蔽部は対向して配置されている。
【0020】
一実施例において、前記マスク本体には、一列か行列で配置された複数のサブマスクが配置されており、前記マスク本体は、前記複数のサブマスクを2組のサブマスクに分割する仮想分割線を有し、前記2組のサブマスクは、前記仮想分割線の一側に位置する第1組のサブマスクと、前記仮想分割線の他側に位置する第2組のサブマスクとを含み、前記第1組のサブマスクと前記第2組のサブマスクは、それぞれ少なくとも1つのサブマスクを含み、前記第1組のサブマスクと前記第2組のサブマスクの各サブマスクは、前記仮想分割線に対向する側にそれぞれ前記遮蔽部が設けられており、あるいは、前記第1組のサブマスクと前記第2組のサブマスクの各サブマスクは、前記仮想分割線の反対側にそれぞれ前記遮蔽部が設けられている。
【0022】
一実施例において、前記マスク本体には、一列か行列で配置された複数のサブマスクが配置されており、同じ行にある偶数個の順に隣り合う前記サブマスクは、複数の順に隣り合うサブ組のサブマスクを形成し、それぞれ前記サブ組のサブマスクは、隣接して配置される2つのサブマスクを含み、それぞれ前記サブ組のサブマスクの2つのサブマスクが互いに対向する側に前記遮蔽部が設けられるとともに互いに離れる側に前記遮蔽部が設けられなく、あるいは、それぞれ前記サブ組のサブマスクの2つのサブマスクの互いに対向する側に前記遮蔽部が設けられないとともに互いに離れる側には前記遮蔽部が設けられる。
【0024】
マスクコンポーネントであって、マスクフレームと、支持ストリップと、少なくとも1つの前記マスクとを含み、前記支持ストリップは、前記マスクフレームに固定的に接続され、少なくとも1つの前記マスクは、前記支持ストリップに積層されて前記マスクフレームに固定的に接続される。
【0026】
本発明が提供するマスク及びマスクコンポーネントによれば、遮蔽部は2つの部分に分割され、ダミー領域には、第2の蒸着孔および/または第1の溝が設けられているため、該マスクを利用して蒸着する際に、蒸着材料は、第1の蒸着孔と第2の蒸着孔から基板に蒸着されることができる。また、第2の蒸着孔および/または第1の溝を設けることにより、遮蔽部の重量を軽減し、遮蔽部と蒸着領域との重量の差を減少し、遮蔽部の応力集中を低減することかできるため、マスク本体は、引っ張る際に均一的な応力がかかり、引っ張る際にマスク本体のしわ現象をさらに減少できる。また、ダミー領域と蒸着領域との間に区切領域が配置されているため、後で製作されるディスプレイスクリーンに対する切断やパッケージング操作を容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施例が提供するマスクを模式的に示す構造図である。
【
図2】本発明の他の実施例が提供するマスクを模式的に示す構造図である。
【
図3】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクを模式的に示す構造図である。
【
図4】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクを模式的に示す構造図である。
【
図5】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクを模式的に示す構造図である。
【
図6】本発明の一実施例が提供するマスクの一部の構造を示す断面図である。
【
図7】本発明の他の実施例が提供するマスクの一部の構造を示す断面図である。
【
図8】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクの一部の構造を示す断面図である。
【
図9】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクの一部の構造を示す断面図である。
【
図10】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクの一部の構造を示す断面図である。
【
図11】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクの一部の構造を示す断面図である。
【
図12】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクの一部の構造を示す断面図である。
【
図13】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクの一部の構造を示す断面図である。
【
図14】本発明のもう一つの実施例が提供するマスクの一部の構造を示す断面図である。
【
図15】本発明の一実施例が提供するマスクコンポーネントを模式的に示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を容易に理解するために、図面を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。図面には、本発明の最適な実施例が示されている。しかし、本発明は様々な形で実現でき、本明細書で記述される実施例に限らない。その一方で、これらの実施例を挙げる目的は、本発明の開示をさらに徹底的かつ完全に理解することである。
【0029】
背景技術に説明したように、従来技術のマスクを用いると、引っ張る際にしわの問題が生じやすい。本発明者らは、このような問題の根本的な原因は、スロットがあけられたスクリーン本体を製作する際には、相応的な位置で開口をあける必要があり、すなわち、マスクに遮蔽部があることであることを見出した。遮蔽部と蒸着領域との構造は大きく異なっているため、例えば、蒸着領域には蒸着孔が設けられているが、遮蔽部には蒸着孔が設けられていないため、遮蔽部と蒸着領域との重量(単位面積当たりの重量)は大きく異なっており、応力が遮蔽部に集中しやすい。応力が遮蔽部に集中する場合、応力の不均一によってしわが発生する。
【0030】
ここで、
図1、
図2、及び
図6を参照すると、本発明の一実施例は、少なくとも1つのサブマスク101が配置されたマスク本体10を含むマスク100を提供し、サブマスク101は、蒸着領域12と遮蔽部14とを含み、蒸着領域12には、サブマスク101の厚さ方向にサブマスク101を貫通する第1の蒸着孔122が設けられ、蒸着領域12は、表示パネルまたはディスプレイスクリーンの蒸着に用いられ、すなわち、蒸着領域12のサイズは、蒸着する必要がある表示パネルまたはディスプレイスクリーンのサイズと同一であることが好ましい。
【0031】
他の実施例において、マスク100に他の遮蔽構造を追加してしわをさらに減少するために、蒸着領域12のサイズは、蒸着する必要がある表示パネルまたはディスプレイスクリーンのサイズより少し大きくてもよい。
【0032】
引き続き
図1、
図2、及び
図6を参照すると、遮蔽部14は、ダミー領域142と区切領域144とを含み、ダミー領域142の形状と位置は、異形ディスプレイスクリーンの異形領域(異形領域は、例えば、スロットがあけられた領域または孔があけられた領域である)に対応し、区切領域144は、ダミー領域142と蒸着領域12との間に位置し、ダミー領域142には、サブマスク101の厚さ方向にサブマスク101を貫通する第2の蒸着孔1422が設けられている。
【0033】
このように、遮蔽部14は2つの部分に分割され、ダミー領域142には、第2の蒸着孔1422が設けられるため、該マスク100により蒸着する際に、蒸着材料は、第1の蒸着孔122及び第2の蒸着孔1422を通って基板に蒸着されることができる。また、第2の蒸着孔1422を設けることにより、遮蔽部14の重量を軽減し、遮蔽部14と蒸着領域12との重量の差を減少し、遮蔽部14の応力集中を低減することができるため、マスク本体10は、引っ張る際に均一的な応力がかかり、引っ張る際にマスク本体10のしわ現象をさらに減少できる。それと同時に、ダミー領域142と蒸着領域12との間に区切領域144が配置されるため、後で製作されるディスプレイスクリーンに対する切断やパッケージング操作を容易にできる。
【0034】
本実施例において、マスク本体10の形状は限定されず、例えば、規則的な長方形又は円形であってもよく、他の実施例において、他の不規則な形状、例えば、マスク本体10の2本の対辺が直線であり、他の2本の対辺が円弧形である異形も選択してもよい。また、蒸着領域12の形状も限定されず、例えば、長方形であっても円形であってもよい。蒸着領域12が長方形である場合、凹部(例えば、
図1に遮蔽部14に囲まれた部分)は、蒸着領域12の一辺または複数辺に設けられる。遮蔽部14の形状も限定されず、例えば、円弧形の遮蔽部14であっても多角形の遮蔽部14であってもよい。
【0035】
具体的には、マスク本体10は、2組のサブマスク101を有し、各組のサブマスク101は、少なくとも1つのサブマスク101を含み、それぞれ隣り合う2つのサブマスク101の間に間隔がある。マスク本体10は、互いに直交する第1の中心線11と第2の中心線13を有し、好ましくは、2組のサブマスク101は、それぞれ第1の中心線11に対して軸対称であり、2組のサブマスク101は、第2の中心線13に対して軸対称である。なお、
図1~
図3において、第2の中心線13の左側に位置するのは一組(第1組)のサブマスク101であり、第2中心線13の右側に位置するのは他の組(第2組)のサブマスク101である。
図1および
図2において、各組のサブマスク101は、それぞれ一つのサブマスク101を含む。
図3において、各組のサブマスク101は、それぞれ横一行に配置された4つのサブマスク101を含む。もちろん、他の実施例において、各組のサブマスク101は、アレイ(例えば、2行2列以上)で配置されたサブマスク101をさらに含んでもよい。
【0036】
好ましくは、2組のサブマスク101は、第1の中心線11にも第2の中心線13にも対して軸対称に配置されると、第1の中心線11及び第2の中心線13の両側にそれぞれ位置する遮蔽部14の数は同一であるため、マスク本体10を引っ張る際に第1の中心線11と第2の中心線13の両側は均一的な応力がかかり、遮蔽部14の位置のしわをさらに減少し、引っ張り精度を向上させることができるため、後の画素の蒸着位置の精度も向上させ、その後のディスプレイスクリーンの開口領域(すなわち、異形領域)の表示効果も向上させることができる。
【0037】
一実施例において、引き続き
図1を参照すると、第1の方向(横方向または左右方向)は第1の中心線11と平行であり、第2の方向(縦方向または上下方向)は第2の中心線13と平行であり、マスク本体10には、横方向に一行のサブマスク101が配置されるように設定する場合、
図1にマスク本体10の左右辺の中心を結ぶ線を第1の中心線11とし、上下辺の中心を結ぶ線を第2の中心線13とすると、第2の中心線13の同じ側に位置するサブマスク101の遮蔽部14は、すべて第2の中心線13の反対側に配置されており、あるいは、第2の中心線13の同じ側に位置する各サブマスク101の遮蔽部14は、すべて各サブマスクシート101の第2の中心線13の反対側に配置されている。
【0038】
他の実施例において、引き続き
図2を参照すると、マスク本体10には、横方向に一行のサブマスク101が配置されており、
図2にマスク本体10の左右辺の中心を結ぶ線を第1の中心線11とし、上下辺の中心を結ぶ線を第2の中心線13とすると、第2の中心線13の同じ側に位置するサブマスク101の遮蔽部14は、すべて第2の中心線13に対向するように配置されており、あるいは、第2の中心線13の同じ側に位置する各サブマスク101の遮蔽部14は、すべて各サブマスクシート101の第2の中心線13に隣接する側に配置されている。
【0039】
他の実施例において、引き続き
図3を参照すると、マスク本体10には、横方向に一行のサブマスク101が配置されており、
図3にマスク本体10の左右辺の中心を結ぶ線を第1の中心線11とし、上下辺の中心を結ぶ線を第2の中心線13とすると、第2の中心線13の同じ側に位置する1組のサブマスク101は、少なくとも1つのサブ組のサブマスク101を含むように構成され、各サブ組のサブマスク101は、それぞれ隣り合う2つのサブマスク101を含み、各サブ組のサブマスク101の2つのサブマスク101の遮蔽部14は、好ましくは互いに対向して配置されてもよい。
【0040】
もう一つの実施例において、
図4を参照すると、マスク本体10には、複数行のサブマスク101がアレイで配置され、すなわち、複数のサブマスク101が複数(横)行複数(縦)列の配置に形成される。各行のサブマスク101の複数のサブマスク101は、左右方向に沿ってほぼ均等に順次配置されており、隣り合う2行のサブマスク101の間の間隔は、それぞれほぼ均等になっている。
図4にマスク本体10の左右辺の中心を結ぶ線を第1の中心線11とし、上下辺の中心を結ぶ線を第2の中心線13とすると、第2の中心線13の同じ側に位置するサブマスク101の遮蔽部14は、すべて第2の中心線13に面して配置されることが好ましい。他の実施例において、第2の中心線13の同じ側に位置するサブマスク101の遮蔽部14は、第2の中心線13の反対側に配置されてもよく、それによって引っ張りの垂れの量を減らし、引っ張りのしわをさらに改善することができる。他の実施例において、各行において、第2の中心線13の同じ側に位置するサブマスク101は、少なくとも1つのサブ組のサブマスク101を含むように構成され、各サブ組のサブマスク101は、隣り合う2つのサブマスク101をそれぞれ含み、各サブ組のサブマスク101の2つのサブマスク101の遮蔽部14は、互いに対向して配置されてもよい。
【0041】
図5を参照すると、他の実施例において、2組のサブマスク101に含まれたサブマスク101の総数が偶数である場合、2組のサブマスク101はそのうちの一本の中心線のみに対して対称的に配置されてもよく、
図5にマスク本体10の左右辺の中心を結ぶ線を第1の中心線11(
図5には図示せず)とし、上下辺の中心を結ぶ線を第2の中心線13(
図5には図示せず)とすると、2組のサブマスク101は、第1の中心線11のみに対して軸対称であり、第2の中心線13に対して非軸対称である。他の実施例において、2組のサブマスク101は、第2の中心線13のみに対して軸対称であり、第1の中心線11に対して非軸対称であってもよい。
【0042】
他の実施例において、サブマスク101の総数は奇数であってもよく、その場合、サブマスク101は、第1の中心線と第2の中心線のうちの一本の中心線のみに対して対称であり、他本の中心線に対して非対称である。
【0043】
他の実施例において、2組のサブマスク101は、第1の中心線11にも第2の中心線13にも対して非対称であるように配置されてもよい。
【0044】
本実施例において、区切領域144は、蒸着領域12の凹部の輪郭線とマッチングするダミー線であってもよく、この場合、ダミー領域142は遮蔽部14全体を占めることができる。
【0045】
他の実施例において、区切領域144は遮蔽部14の一部を占め、すなわち、区切領域144は単に蒸着領域12の輪郭線とマッチングするダミー線ではなく、むしろ実際に存在する区切領域であり、この場合、遮蔽部14を占めた区切領域144の割合は、特に限定されず、最終的に得られるディスプレイスクリーンにおいて区切領域144に対応する切断領域の範囲が、切断する際に必要な切断やパッケージングの許容量を満たすように確保されていればいい。ここで、区切領域144と蒸着領域12との間の境界線は、理論的には、異形領域を形成するようにディスプレイスクリーンに対して切断操作を行う際の切断境界線である。区切領域144は遮蔽部14の一部を占める場合、区切領域144に対応する基板の位置で蒸着材料は基板に蒸着されないため、蒸着が行われた後、マスク100の区切領域144に対応するディスプレイスクリーンの位置で切断やパッケージングを行えばよい(すなわち、ダミー領域142に対応するディスプレイスクリーンの部分を切り取ればよい)。相応的な区切領域144には蒸着材料が存在しないため、水や酸素の侵入を引き起こさず、後のパッケージング効果は良好である。
【0046】
引き続き
図6を参照すると、本実施例において、第1の蒸着孔122の形状は第2の蒸着孔1422の形状とほぼ同一であり、且つ、第1の蒸着孔122も第2の蒸着孔1422も複数ある場合、ダミー領域142における第2の蒸着孔1422の配列は、蒸着領域12における第1の蒸着孔122の配列と同一であることが好ましい。すなわち、区切領域144を除くと、ダミー領域142と蒸着領域12とは一体と見なすことができ、複数の第1の蒸着孔122と複数の第2の蒸着孔1422とは、互いに間隔を置いてその一体に設けられている。
【0047】
具体的には、上記の配列とは、第1の方向及び/または第2の方向に、ダミー領域142における第2の蒸着孔1422の配列は、蒸着領域12における第1の蒸着孔122の配列とほぼ同一である配列である。例えば、第1の蒸着孔122は蒸着領域12に行で設けられ、第2の蒸着孔1422は行で設けられた第1の蒸着孔122の延長であり、且つ、各行の隣り合う2つの第2の蒸着孔1422の間の間隔は、各行の隣り合う2つの第1の蒸着孔122の間の間隔と同一であり、それとともに、第1の蒸着孔122は蒸着領域12に列で設けられ、各列の隣り合う2つの第2の蒸着孔1422の間の間隔は、各列の隣り合う2つの第1の蒸着孔122の間の間隔と同一である。
【0048】
他の実施例において、第1の蒸着孔122と第2の蒸着孔1422の形状及び配列は異なっていてもよく、実際の必要に応じて設定されてもよく、本明細書で限定されない。例えば、各行の隣り合う2つの第2の蒸着孔1422の間の間隔は、各行の隣り合う2つの第1の蒸着孔122の間の間隔と異なるように配置され、あるいは、各列の隣り合う2つの第2の蒸着孔1422の間の間隔は、各列の隣り合う2つの第1の蒸着孔122の間の間隔と異なるように配置されてもよい。
【0049】
なお、1つのサブマスク101の第1の蒸着孔122の数も第2の蒸着孔1422の数も、1つであってもよい。
【0050】
一実施例において、第1の蒸着孔122は、蒸着領域12の厚さ方向に沿って配置されて互いに連通する第1のハーフエッチング孔1222と第2のハーフエッチング孔1224を含み、第2の蒸着孔1422も、ダミー領域142の厚さ方向に沿って配置されて互いに連通する第1のハーフエッチング孔1222と第2のハーフエッチング孔1224を含み、すなわち、蒸着孔は、それぞれガラス面16と蒸着面18から2回のハーフエッチングにより形成されるため、形成された蒸着孔の縁部が滑らかであることを保証し、後の有機材料の蒸着効果を改善することができる。本実施例において、サブマスク101の厚さ方向に沿って、第1のハーフエッチング孔1222の縦方向の断面形状は、第2のハーフエッチング孔1224と異なっているが、他の実施例において、第1のハーフエッチング孔1222の縦方向の断面形状は、第2のハーフエッチング孔1224と同一であってもよい。
【0051】
好ましくは、第1のハーフエッチング孔1222は、マスク本体10のガラス面16に設けられ、第2のハーフエッチング孔1224は、マスク本体10の蒸着面18に設けられ、ガラス面16は、マスク本体10の蒸着源の反対側の面であり、蒸着面18は、マスク本体10の蒸着源に隣接する面であり、第1のハーフエッチング孔1222は、ガラス面16に隣接する一端からガラス面16から離れる他端に向かって徐々に収縮し、第2のハーフエッチング孔1224は、蒸着面18に隣接する一端から蒸着面18から離れる他端に向かって徐々に収縮し、最後に、第1のハーフエッチング孔1222と第2のハーフエッチング孔1224は、マスク本体10の厚さ方向のほぼ中央位置で連通する。好ましくは、第2のハーフエッチング孔1224の開口(すなわち、蒸着面18に対する第2のハーフエッチング孔1224の開口)のサイズは、第1のハーフエッチング孔1222の開口(すなわち、ガラス面16に対する第1のハーフエッチング孔1222の開口)のサイズを覆い、それによって、第2のハーフエッチング孔1224から第1の蒸着孔122に入った蒸着材料は、第1のハーフエッチングに充満することができる。言い換えれば、サブマスク101の厚さ方向(ちなわち、マスク本体10の厚さ方向)に沿った第1のハーフエッチング孔1222の開口の投影は、完全に第2のハーフエッチング孔1224の開口範囲に入ることができる。
【0052】
本実施例において、第1のハーフエッチング孔1222と第2のハーフエッチング孔1224の断面形状(紙面に垂直な方向の断面形状)は、いずれも矩形であることが好ましいが、他の実施例において、第1のハーフエッチング孔1222と第2のハーフエッチング孔1224の断面形状は、円形または楕円形になるように選択してもよい。
【0053】
他の実施例において、
図7~
図9を参照すると、ダミー領域142には、サブマスク101の厚さ方向に少なくとも1つの第1の溝1421が設けられ、第1の溝1421の深さはサブマスク101の厚さより小さい。
【0054】
このように、遮蔽部14は2つの部分に分割され、ダミー領域142には、第1の溝1421を設けることにより、遮蔽部14の重量を軽減し、遮蔽部14と蒸着領域12との重量の差を減少し、遮蔽部14の応力集中を低減することができるため、マスク本体10は、引っ張る際に均一的な応力がかかり、マスク本体10を引っ張る際のしわ現象をさらに減少できる。また、ダミー領域142と蒸着領域12との間に区切領域144が配置されているため、後に製作されるディスプレイスクリーンに対して切断やパッケージング操作を容易にできる。
【0055】
より具体的には、第1の溝1421は、以下の3つの方法のうちの1つによりダミー領域142に設けられてもよい。
1.第1の溝1421は、ダミー領域142のガラス面16のみに設けられる(
図7参照)。
2.第1の溝1421は、ダミー領域142の蒸着面18のみに設けられる(
図8参照)。
3.第1の溝1421は、ダミー領域142の蒸着面18にもガラス面16にも設けられる(
図9参照)。
【0056】
一実施例において、第1の溝1421は、ダミー領域142の蒸着面に設けられ、すなわち、ダミー領域142の蒸着面のみに第1の溝1421が設けられる。他の実施例において、第1の溝1421は、ダミー領域142のガラス面のみに設けられてもよい(
図7参照)。
【0057】
具体的には、
図8を参照すると、ダミー領域142の蒸着面18に設けられた第1の溝1421は1つであり、1つの第1の溝1421は、全面ハーフエッチングによりダミー領域142の蒸着面に設けられる。本実施例において、第1の溝1421は、ダミー領域142の蒸着面の全域を覆うように設けられてもよいし、第1の溝1421は、ダミー領域142の蒸着面の大部分の領域を覆うように設けられてもよい。また、第1の溝1421の断面形状は、三角形、長方形または五角形などの多角形であってもよいし、円形または楕円形であってもよい。上述した第1の溝1421がダミー領域142の蒸着面の全域を覆っている場合、第1の溝1421の底壁のサイズは遮蔽部14のダミー領域142の蒸着面のサイズと全く同一であり、このとき、第1の溝1421の底壁は、遮蔽部14の蒸着面と見なされてもよい。
【0058】
他の実施例において、ダミー領域142の蒸着面18に設けられた第1の溝1421の数は、少なくとも2つであり、それぞれ隣り合う2つの第1の溝1421の間に間隔があり、該少なくとも2つの第1の溝1421は、ストリップハーフエッチングまたはドットハーフエッチングによりダミー領域142の蒸着面18に設けられてもよい。第1の溝1421がストリップハーフエッチングにより形成される場合、第1の溝1421の断面形状はストリップ状となり、第1の溝1421がドットハーフエッチングにより形成される場合、第1の溝1421の断面形状は円形または楕円形となる。他の実施例において、第1の溝1421がストリップハーフエッチングにより形成される場合、第1の溝1421の断面のストリップ状の長辺はマスク本体10の長辺の方向に沿って延びてマスク100の引っ張りしわをさらに減少する。
【0059】
図9を参照すると、もう一つの実施例において、第1の溝1421は、ダミー領域142の蒸着面18とダミー領域142のガラス面16との両面に設けられており、ちなわち、ダミー領域142の蒸着面18とダミー領域142のガラス面16との両面に、第1の溝1421が設けられている。ここで、ダミー領域142の蒸着面18とダミー領域142のガラス面16との両面に第1の溝1421が設けられた場合は、上述した実施例において、第1の溝1421が蒸着面18またはガラス面16一方のみに設けられた場合と比較すると、第1の溝1421が設けられた蒸着面またはガラス面の硬度は、第1の溝が設けられていないガラス面または蒸着面の硬度より低いため、この場合、ある程度でマスク本体10が破断するおそれがあるため、マスクを引っ張った後マスク100自体の硬度に対する影響をさらに低減し、しわをさらに減少することができる。
【0060】
好ましくは、第1の溝1421は、底壁を有する第2の溝と底壁を有する第3の溝とを含み、第2の溝は、ダミー領域142の蒸着面に設けられ、第3の溝は、ダミー領域142のガラス面に設けられ、第2の溝と第3の溝とは、ダミー領域142の厚さ方向に沿って互いに分離するように設けられ、つなわち、第2の溝の底壁と第3の溝の底壁との間には間隔があり、これにより、いずれかの第2の溝といずれかの第3の溝とは、ダミー領域142の厚さ方向に互いに連通せず、画素が第1の溝を通って基板に蒸着されるのを防止することができる。
【0061】
ダミー領域142の厚さ方向に沿った第2の溝と第3の溝の深さは同一でも異なっていてもよく、且つ、第2の溝と第3の溝の断面形状は同一でも異なっていてもよい。例えば、第2の溝の深さは第3の溝の深さより大きく、または第2の溝の深さは第3の溝の深さに等しく、または第2の溝の深さは第3の溝の深さより小さい。第2の溝の深さも第3の溝の深さもサブマスク101の厚さの半分であってもよく、あるいは、第2の溝の深さも第3の溝の深さもサブマスク101の厚さの半分より大きくてもよい。
【0062】
一実施例において、第2の溝の数も第3の溝の数も1つであってもよい。好ましくは、第2の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第1の投影(厚さ方向の投影)を形成し、第3の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第2の投影(厚さ方向の投影)を形成し、第1の投影は第2の投影と少なくとも部分的に重なり、ダミー領域142の厚さ方向に沿った第2の溝の深さと第3の溝の深さとの和は、ダミー領域142の厚さより小さい。
【0063】
好ましくは、第2の溝は、ダミー領域142の蒸着面18の大部分の領域または全域を覆い、第3の溝は、ダミー領域142のガラス面16の大部分の領域または全域を覆い、第1の投影は第2の投影と完全に重なっている。なお、他の実施例において、第1の投影は第2の投影と完全に重ならないようにしてもよく、例えば、部分的に重なるようにしてもよい。
【0064】
もう一つの実施例において、第2の溝の数も第3の溝の数も少なくとも2つであってもよい。具体的には、各第2の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第1の投影を形成し、各第3の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第2の投影を形成し、第1の投影は、第2の投影と少なくとも部分的に重なり、ダミー領域142の厚さ方向に沿った第2の溝の深さと第3の溝の深さとの和は、ダミー領域142の厚さより小さい。
【0065】
好ましくは、第1の投影は、第2の投影と完全に重なってもよい。なお、他の実施例において、第1の投影は、第2の投影と完全に重ならないようにしてもよく、部分的に重なるようにしてもよい。
【0066】
本実施例において、第2の溝の数は、第3の溝の数と同一でも異なっていてもよく、例えば、第2の溝の数は2つであり、第3の溝の数も2つであり、あるいは、第2の溝は2つであり、第3の溝の数は3つである。
【0067】
もう一つの実施例において、第2の溝の数も第3の溝の数も1つであってもよい。第2の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第1の投影を形成し、第3の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第2の投影を形成し、第1の投影と第2の投影とは、互いに重ならないように配置される。
【0068】
好ましくは、第1の投影と第2の投影はそれぞれ複数あり、且つ、第1の投影と第2の投影とは交互に配置され、すなわち、第1の投影と第2の投影とはサブマスク101が位置する面に互いにずれており、第1の投影と第2の投影それぞれは、好ましくは重ならず互いに分離し、この場合、隣り合う第2の溝の深さと第3の溝の深さとの和は、ダミー領域142の厚さより大きくなるように構成されてもよく、このように、ダミー領域142が厚さ方向に貫通することは発生せず、後の蒸着にも影響を及ぼさない。
【0069】
もう一つの実施例において、第2の溝の数も第3の溝の数も少なくとも2つであってもよく、第2の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第1の投影を形成し、第3の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第2の投影を形成し、第1の投影と第2の投影とは互いにずれており、第1の投影と第2の投影それぞれは、好ましくは重ならず互いに分離し、この場合、隣り合う第2の溝の深さと第3の溝の深さとの和は、ダミー領域142の厚さより大きくなるように構成されてもよく、このように、ダミー領域142が厚さ方向に貫通することは発生せず、後の蒸着にも影響を及ぼさない。
【0070】
他の実施例において、ダミー領域142には、第2の蒸着孔1422と第1の溝1421を同時に設けてもよい。具体的には、第2の蒸着孔1422と第1の溝1421とはダミー領域142に間隔を置いて分布しており、例えば、隣り合う2つの第2の蒸着孔1422の間にそれぞれ1つの第1の溝1421が設けられ、隣り合う2つの第1の溝1421の間にそれぞれ1つの第2の蒸着孔1422が設けられる。
【0071】
図10を参照すると、一実施例において、遮蔽部14と蒸着領域12との重量の差をさらに減少するために、遮蔽部14の区切領域144に厚さ方向に沿って少なくとも1つの第4の溝1442が設けられ、単なる1つの第4の溝1442の深さは、サブマスク101の厚さより小さい。第4の溝1442の存在により、区切領域144の厚さが減少され、遮蔽部14の重量がさらに軽減され、遮蔽部14と蒸着領域12との重量の差が減少され、遮蔽部14の応力集中がさらに低減されるため、マスク本体10は、引っ張る際に均一的な応力がかかり、引っ張る際にマスク本体10のしわ現象が減少される。
【0072】
具体的には、第4の溝1442は、以下の3つの方法のうちの1つにより区切領域144に設けられてもよい。
1.第4の溝1442は、区切領域144の蒸着面18のみに設けられる。
2.第4の溝1442は、区切領域144のガラス面16のみに設けられる。
3.第4の溝1442は、区切領域144の蒸着面18にもガラス面16にも設けられる。
【0073】
なお、区切領域144の蒸着面はマスク本体10の蒸着面18の一部であり、区切領域144のガラス面はマスク本体10のガラス面16の一部である。
【0074】
引き続き
図10及び
図11を参照すると、一実施例において、第4の溝1442は、区切領域144のガラス面16に設けられ、すなわち、区切領域144のガラス面16のみに第4の溝1442が設けられる。好ましくは、区切領域144の蒸着面に設けられた第4の溝1442の数は1つであり、1つの第4の溝1442は、全面ハーフエッチングにより区切領域144のガラス面に設けられる。他の実施例において、区切領域144のガラス面に設けられた第4の溝1442の数は、少なくとも2つであり、それぞれ隣り合う2つの第4の溝1442の間に間隔があり、該少なくとも2つの第4の溝1442は、ストリップハーフエッチングまたはドットハーフエッチングにより区切領域144のガラス面16に設けられる。
【0075】
図12及び
図13を参照すると、他の実施例において、第4の溝1442は、区切領域144の蒸着面18に設けられ、すなわち、区切領域144の蒸着面のみに第4の溝1442が設けられる。好ましくは、区切領域144の蒸着面18に設けられた第4の溝1442の数は1つであり、1つの第4の溝1442は、全面ハーフエッチングにより区切領域144の蒸着面18に設けられる。本実施例において、第4の溝1442は、区切領域144の蒸着面18の全域を覆うように設けられてもよいし、第4の溝1442は、区切領域144の蒸着面18の大部分の領域を覆うように設けられてもよい。また、第4の溝1442の断面形状は、三角形、長方形または五角形などの多角形であってもよいし、円形または楕円形であってもよい。上述した第4の溝1442が区切領域144の蒸着面18の全域を覆っている場合、第4の溝1442の底壁のサイズは区切領域144の蒸着面のサイズと全く同一であり、このとき、第4の溝1442の底壁は、区切領域144の蒸着面と見なされてもよい。
【0076】
他の実施例において、区切領域144の蒸着面18に設けられた第4の溝1442の数は、少なくとも2つであり、それぞれ隣り合う2つの第4の溝1442の間に間隔があり、該少なくとも2つの第4の溝1442は、ストリップハーフエッチングまたはドットハーフエッチングにより区切領域144の蒸着面18に設けられてもよい。第4の溝がストリップハーフエッチングにより形成される場合、第4の溝1442の断面形状はストリップ状となり、第4の溝1442がドットハーフエッチングにより形成される場合、第4の溝1442の断面形状は円形または楕円形となる。他の実施例において、第4の溝1442がストリップハーフエッチングにより形成される場合、第4の溝1442の断面のストリップ状の長辺は、マスク本体10の長辺の方向に沿って延びてマスク100の引っ張りしわをさらに減少する。
【0077】
図14を参照すると、もう一つの実施例において、第4の溝1442は、区切領域144の蒸着面18にもガラス面16にも設けられ、すなわち、区切領域144の蒸着面18にもガラス面16にも第4の溝1442が設けられる。ここで、区切領域144の蒸着面18にも区切領域144のガラス面16にも第4の溝1442が設けられた場合は、蒸着面18またはガラス面16一方のみに第4の溝1442が設けられた場合と比較すると、第4の溝1442が設けられた蒸着面またはガラス面の硬度は、第4の溝が設けられていないガラス面または蒸着面の硬度より低いため、この場合、ある程度でマスク本体10が破断するおそれがあるため、マスクを引っ張った後マスク100自体の硬度に対する影響が低下され、しわがさらに減少される。
【0078】
好ましくは、第4の溝1442は、底壁を有する第5の溝と底壁を有する第6の溝とを含み、第5の溝は、区切領域144の蒸着面18に設けられ、第6の溝は、区切領域144のガラス面16に設けられ、第5の溝と第6の溝とは、好ましくは、区切領域144の厚さ方向に沿って互いに分離するように配置され、つなわち、第5の溝の底壁と第6の溝の底壁との間には間隔があり、これにより、いずれかの第5の溝といずれかの第6の溝とは、区切領域144の厚さ方向に互いに連通せず、画素が区切領域144にて基板に蒸着されるのを防止することができる。
【0079】
区切領域144の厚さ方向に沿った第5の溝と第6の溝の深さは同一でも異なっていてもよく、且つ、第5の溝と第6の溝の断面形状は同一でも異なっていてもよい。例えば、第5の溝の深さは第6の溝の深さより大きく、または第5の溝の深さは第6の溝の深さに等しく、または第5の溝の深さは第6の溝の深さより小さい。第5の溝の深さも第6の溝の深さもサブマスク101の厚さの半分であってもよく、あるいは、第5の溝の深さも第6の溝の深さもサブマスク101の厚さの半分より大きくてもよい。
【0080】
一実施例において、第5の溝の数も第6の溝の数も1つであってもよい。具体的には、第5の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第1の投影を形成し、第6の溝は、サブマスク101が位置する面に向かって第2の投影を形成し、第1の投影は、第2の投影と少なくとも部分的に重なり、区切領域144の厚さ方向に沿った第5の溝の深さと第6の溝の深さとの和は、区切領域144の厚さより小さい。
【0081】
好ましくは、第5の溝は、区切領域144の蒸着面18の大部分の領域または全域を覆い、第6の溝は、区切領域144のガラス面16の大部分の領域または全域を覆い、第1の投影は第2の投影と完全に重なっている。なお、他の実施例において、第1の投影は第2の投影と完全に重ならないようにしてもよく、例えば、部分的に重なるようにしてもよい。
【0082】
もう一つの実施例において、第5の溝の数も第6の溝の数も少なくとも2つであってもよい。好ましくは、各第5の溝はそれぞれ、区切領域144が位置する面に向かって第3の投影(厚さ方向の投影)を形成し、 各第6の溝はそれぞれ、区切領域144が位置する面に向かって第4の投影(厚さ方向の投影)を形成し、第3の投影は第4の投影と少なくとも部分的に重なり、区切領域144の厚さ方向に沿った第5の溝の深さと第6の溝の深さとの和は、区切領域144の厚さより小さい。
【0083】
好ましくは、第3の投影は、第4の投影と完全に重なってもよい。なお、他の実施例において、第3の投影と第4の投影とが完全に重ならないようにしてもよく、部分的に重なるようにしてもよい。
【0084】
本実施例において、第5の溝の数は、第6の溝の数と同一でも異なっていてもよく、例えば、第5の溝の数は2つであり、第6の溝の数も2つであり、あるいは、第5の溝は2つであり、第6の溝の数は3つである。
【0085】
もう一つの実施例において、第5の溝の数も第6の溝の数も1つであってもよい。第5の溝は、区切領域144が位置する面に向かって第3の投影を形成し、第6の溝は、区切領域144が位置する面に向かって第4の投影を形成し、第3の投影は、第4の投影と互いに重ならないように配置される。
【0086】
好ましくは、第3の投影と第4の投影はそれぞれ複数あり、且つ、第3の投影と第4の投影とは交互に配置され、すなわち、第5の投影と第6の投影とは区切領域144が位置する面に互いにずれており、各第3の投影と第4の投影それぞれは、好ましくは重ならず互いに分離し、この場合、隣り合う第5の溝の深さと第6の溝の深さとの和は、区切領域144の厚さより大きくなるように構成されてもよく、このように、区切領域144が厚さ方向に貫通することは発生せず、後の蒸着にも影響を及ぼさない。
【0087】
もう一つの実施例において、第5の溝の数も第6の溝の数も少なくとも2つであってもよく、第5の溝は、区切領域144が位置する面に向かって第1の投影を形成し、第6の溝は、区切領域144が位置する面に向かって第2の投影を形成し、第1の投影と第2の投影とは互いにずれており、各第1の投影と各第2の投影は、好ましくは重ならず互いに分離し、この場合、隣り合う第2の溝の深さと第3の溝の深さとの和は、区切領域144の厚さより大きくなるように構成されてもよく、このように、区切領域144が厚さ方向に貫通することは発生せず、後の蒸着にも影響を及ぼさない。
【0088】
他の実施例において、区切領域144には、第3の蒸着孔がさらに設けられてもよく、あるいは、区切領域144には、第3の蒸着孔と第4の溝1442が同時に設けられてもよく、好ましくは、第3の蒸着孔と第4の溝1442とは、区切領域144に間隔を置いて分布しており、例えば、それぞれ隣り合う2つの第3の蒸着孔の間に第4の溝1442が設けられ、それぞれ隣り合う2つの第4の溝1442の間に第4の蒸着孔が設けられる。
【0089】
本発明の実施例が提供するマスクにおいて、遮蔽部14は2つの部分に分割され、ダミー領域142には、第2の蒸着孔1422または第1の溝1421が設けられているため、該マスク100により蒸着する際に、蒸着材料は、第1の蒸着孔122と第2の蒸着孔1422から基板に蒸着されることができる。また、第2の蒸着孔1422または第1の溝1421を設けることにより、遮蔽部14の重量を軽減し、遮蔽部14と蒸着領域12との重量の差を減少し、遮蔽部14の応力集中を低減することができるため、マスク本体10は、引っ張る際に均一的な応力がかかり、引っ張る際にマスク本体10のしわ現象を減少できる。それと同時に、ダミー領域142と蒸着領域12との間に区切領域144が配置されるため、後で製作されるディスプレイスクリーンに対する切断やパッケージング操作を容易にできる。
【0090】
図15を参照すると、本発明の一実施例は、マスクフレーム20と、支持ストリップ30と、少なくとも1つの前記マスク100と、を含むマスクコンポーネントをさらに提供し、マスク100は、少なくとも1つのサブマスク101が配置されたマスク本体10を含む。支持ストリップ30は、マスクフレーム20に固定的に接続され、少なくとも1つのマスク100は、支持ストリップ30に積層され、マスクフレーム20に固定的に接続される。
【0091】
マスクコンポーネントが作業する際に、マスク100の蒸着面は蒸着源に面し、マスク100のガラス面は基板に面し、支持ストリップ30はマスク100の蒸着面に配置されることにより、蒸着する際にマスク100の垂れを防止し、引っ張る際にマスク100のしわをさらに減少することができる。
【0092】
上述した実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせることができる。記述の簡潔化のために、上述した実施例における各技術的特徴のあらゆる組合せについて説明していないが、これらの技術的特徴の組合せは矛盾しない限り、本明細書に記述されている範囲内であると考えられるべきである。
【0093】
上述した実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示したものにすぎず、その記述が具体的かつ詳細であるが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本発明の趣旨から逸脱しないかぎり、若干の変形及び改良を行うことができ、これらもすべて本発明の保護範囲内にある。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずるべきである。