(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】世界時を表示する携行型時計のための表盤
(51)【国際特許分類】
G04B 19/22 20060101AFI20220224BHJP
G04B 19/00 20060101ALI20220224BHJP
G04B 19/06 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
G04B19/22 Z
G04B19/00 D
G04B19/06 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020029067
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2020-02-25
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・キスリング
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ヴェンチュラ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-099952(JP,A)
【文献】実開昭55-001754(JP,U)
【文献】特開2007-086027(JP,A)
【文献】特開2000-329864(JP,A)
【文献】特開平06-207989(JP,A)
【文献】西独国実用新案公開第01795193(DE,U)
【文献】実開平07-002992(JP,U)
【文献】実開昭62-186091(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/22
G04B 19/00,19/06
G04C 3/00
G04G 21/00
G01D 11/28
G12B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明な材料で作られた平坦なリング(2)と、不透明な材料で作られた中央ディスク(7)と、及び光透過性材料で作られた光透過性部分(10)とを備える計時器用の表盤(1)であって、
前記リング(2)には、外径(D1)と内径(D2)があり、上面と下面があり、
前記中央ディスク(7)の直径(D3)は、前記リング(2)の前記内径(D2)よりも小さく、
前記中央ディスク(7)は、前記リング(2)に対して同心的に配置され前記リング(2)と実質的に同一平面内に配置され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状領域(9)が形成され、
前記中央ディスク(7)の上面と下面はそれぞれ、前記リング(2)の上面と下面と同様の向きに向いており、
前記光透過性部分(10)は、前記環状領域(9)を覆い、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)に固定され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状の開口を形成しつつ、前記リング(2)と前記中央ディスク(7)を互いに接合し、
前記光透過性部分(10)は、前記中央ディスク(7)の前記上面又は前記下面の少なくとも一部の表面部分(15)を覆
い、
前記表盤(1)には、前記リング(2)の上面に、世界の時間帯を表す複数の地球上の場所の名称が付されており、
前記表盤(1)の下に、24時間ディスク(32)を備え、前記24時間ディスクに分布する複数の記号を用いて世界時を表示し、
前記記号は、前記中央ディスク(7)と前記表盤の前記リング(2)の間の環状領域(9)と整列される
ことを特徴とする表盤。
【請求項2】
不透明な材料で作られた平坦なリング(2)と、不透明な材料で作られた中央ディスク(7)と、及び光透過性材料で作られた光透過性部分(10)とを備える計時器用の表盤(1)であって、
前記リング(2)には、外径(D1)と内径(D2)があり、上面と下面があり、
前記中央ディスク(7)の直径(D3)は、前記リング(2)の前記内径(D2)よりも小さく、
前記中央ディスク(7)は、前記リング(2)に対して同心的に配置され前記リング(2)と実質的に同一平面内に配置され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状領域(9)が形成され、
前記中央ディスク(7)の上面と下面はそれぞれ、前記リング(2)の上面と下面と同様の向きに向いており、
前記光透過性部分(10)は、前記環状領域(9)を覆い、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)に固定され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状の開口を形成しつつ、前記リング(2)と前記中央ディスク(7)を互いに接合し、
前記光透過性部分(10)は、前記中央ディスク(7)の前記上面又は前記下面の少なくとも一部の表面部分(15)を覆い、
前記光透過性部分(10)を前記表面部分(15)に接着結合させることによって前記光透過性部分(10)が前記中央ディスク(7)に固定され
、
前記表盤(1)には、前記リング(2)の上面に、世界の時間帯を表す複数の地球上の場所の名称が付されており、
前記表盤(1)の下に、24時間ディスク(32)を備え、前記24時間ディスクに分布する複数の記号を用いて世界時を表示し、
前記記号は、前記中央ディスク(7)と前記表盤の前記リング(2)の間の環状領域(9)と整列される
ことを特徴とする表盤。
【請求項3】
不透明な材料で作られた平坦なリング(2)と、不透明な材料で作られた中央ディスク(7)と、及び光透過性材料で作られた光透過性部分(10)とを備える計時器用の表盤(1)であって、
前記リング(2)には、外径(D1)と内径(D2)があり、上面と下面があり、
前記中央ディスク(7)の直径(D3)は、前記リング(2)の前記内径(D2)よりも小さく、
前記中央ディスク(7)は、前記リング(2)に対して同心的に配置され前記リング(2)と実質的に同一平面内に配置され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状領域(9)が形成され、
前記中央ディスク(7)の上面と下面はそれぞれ、前記リング(2)の上面と下面と同様の向きに向いており、
前記光透過性部分(10)は、前記環状領域(9)を覆い、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)に固定され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状の開口を形成しつつ、前記リング(2)と前記中央ディスク(7)を互いに接合し、
前記光透過性部分(10)は、前記中央ディスク(7)の前記上面又は前記下面の少なくとも一部の表面部分(15)を覆
い、
前記光透過性部分(10)は、少なくとも、前記光透過性部分(10)の外側縁部の上に配置されるねじ頭部を備える複数の取り付けねじ(29)によって前記リング(2)に固定される
ことを特徴とする表盤。
【請求項4】
不透明な材料で作られた平坦なリング(2)と、不透明な材料で作られた中央ディスク(7)と、及び光透過性材料で作られた光透過性部分(10)とを備える計時器用の表盤(1)であって、
前記リング(2)には、外径(D1)と内径(D2)があり、上面と下面があり、
前記中央ディスク(7)の直径(D3)は、前記リング(2)の前記内径(D2)よりも小さく、
前記中央ディスク(7)は、前記リング(2)に対して同心的に配置され前記リング(2)と実質的に同一平面内に配置され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状領域(9)が形成され、
前記中央ディスク(7)の上面と下面はそれぞれ、前記リング(2)の上面と下面と同様の向きに向いており、
前記光透過性部分(10)は、前記環状領域(9)を覆い、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)に固定され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状の開口を形成しつつ、前記リング(2)と前記中央ディスク(7)を互いに接合し、
前記光透過性部分(10)は、前記中央ディスク(7)の前記上面又は前記下面の少なくとも一部の表面部分(15)を覆
い、
前記光透過性部分(10)は、第1の接着剤によって前記中央ディスク(7)に固定され、
前記光透過性部分(10)は、少なくとも第2の接着剤によって前記リング(2)に固定され、
前記第2の接着剤の接着性は、第1の接着剤より弱い
ことを特徴とする表盤。
【請求項5】
不透明な材料で作られた平坦なリング(2)と、不透明な材料で作られた中央ディスク(7)と、及び光透過性材料で作られた光透過性部分(10)とを備える計時器用の表盤(1)であって、
前記リング(2)には、外径(D1)と内径(D2)があり、上面と下面があり、
前記中央ディスク(7)の直径(D3)は、前記リング(2)の前記内径(D2)よりも小さく、
前記中央ディスク(7)は、前記リング(2)に対して同心的に配置され前記リング(2)と実質的に同一平面内に配置され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状領域(9)が形成され、
前記中央ディスク(7)の上面と下面はそれぞれ、前記リング(2)の上面と下面と同様の向きに向いており、
前記光透過性部分(10)は、前記環状領域(9)を覆い、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)に固定され、これによって、前記中央ディスク(7)と前記リング(2)の間に環状の開口を形成しつつ、前記リング(2)と前記中央ディスク(7)を互いに接合し、
前記光透過性部分(10)は、前記中央ディスク(7)の前記上面又は前記下面の少なくとも一部の表面部分(15)を覆
い、
前記光透過性部分(10)は、第1の接着剤によって前記中央ディスク(7)に固定され、
前記光透過性部分(10)は、接着剤を塗布せずに、ねじによって前記リングに固定される
ことを特徴とする表盤。
【請求項6】
前記光透過性部分(10)によって覆われる前記中央ディスク(7)の前記表面部分(15)は、前記中央ディスク(7)の前記上面又は前記下面の周部にある環状部分(15)である
ことを特徴とする請求項
1~5のいずれか一項に記載の表盤。
【請求項7】
前記光透過性部分(10)は、平坦な環状形状を有し、
前記光透過性部分(10)には、前記中央ディスク(7)に対して同心的に中央開口(11)が形成されており、
前記中央開口(11)は、前記光透過性部分(10)が前記中央ディスク(7)の前記上面又は前記下面の周部にて前記環状部分(15)を覆うような寸法構成を有する
ことを特徴とする請求項
6に記載の表盤。
【請求項8】
前記中央ディスク(7)には、前記環状部分(15)によって囲まれたレリーフ部分(17)があり、
前記レリーフ部分(17)は、前記レリーフ部分(17)のまわりに前記中央開口(11)が配置されるような寸法構成を有する
ことを特徴とする請求項
7に記載の表盤。
【請求項9】
前記中央開口(11)と前記レリーフ部(17)にはそれぞれ、半径方向の突起(18)と半径方向のノッチ(19)又はその逆が形成されており、
前記突起(18)は、前記ノッチ(19)に係合するように構成しており、これによって、前記中央ディスク(7)に対する前記光透過性部分(10)の1つの角位置においてのみ前記中央ディスク(7)に対する前記光透過性部分(10)の組み付けを可能にする
ことを特徴とする請求項
8に記載の表盤。
【請求項10】
前記光透過性部分(10)は、前記リング(2)の上面又は下面の少なくとも一部の表面部分(16)を覆い、
前記光透過性部分(10)は、前記リング(2)の前記表面部分(16)に対する前記光透過性部分(10)の接着結合及び/又はねじ込みによって前記リング(2)に固定される
ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか一項に記載の表盤。
【請求項11】
前記光透過性部分(10)で覆われた前記リング(2)の前記表面部分(16)は、前記リング(2)の前記表面の内側周部にある環状部分(16)である
ことを特徴とする請求項
10に記載の表盤。
【請求項12】
前記環状部分(16)は、前記リング(2)の前記表面の残りに対して刻みを入れられた位置にある
ことを特徴とする請求項
11に記載の表盤。
【請求項13】
前記光透過性部分(10)の外側縁部には、前記リング(2)に対する前記光透過性部分(10)の角度的な位置合わせを可能にする幾何学的要素(25、26)があり、
前記環状部分(16)には、前記光透過性部分(10)の前記外側縁部にある前記幾何学的要素(25、26)に対応する整列用要素(25’、26’)がある
ことを特徴とする請求項
12に記載の表盤。
【請求項14】
前記リング(2)には、その上面に、世界の時間帯を表す地球上の場所の名称が複数付されている
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の表盤。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の表盤(1)を備える
ことを特徴とする計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時技術に関し、より詳細には、世界時表示を行う計時器において用いることができる表盤に関する。
【背景技術】
【0002】
世界時を表示する携行型時計(例、腕時計、懐中時計)は、世界における異なる時間帯における現在時刻を同時に表示することができる。このような携行型時計は、通常、固定された表盤と、時針と分針と、24時間ディスクと、及び前記表盤と前記24時間ディスクと同心的であり異なる時間帯を表す都市又は地球上の場所の名前が付されたディスクとを備え、前記時針と分針はそれぞれ、12時間で1回転、そして、1時間で1回転のレートで前記表盤の上で時計回りに駆動される。前記24時間ディスクは、歯車によって時針に接続しており、反時計方向に24時間当たり1回転のレートで回転し、特定の場所における時刻がその場所に対向している24時間ディスクの区画に示される。たいていの場合、都市の名前が付された表盤とディスクは互いに独立した部品となっており、この表盤は、一般的には、中央に位置しておりムーブメントと一体化されており、24時間ディスクと都市ディスクは、同一平面内にて中央の表盤を連続して包囲する。このような設計には、特に、表盤の構成に、ムーブメントの上部を適応させることが必要となるという特定の課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上述の課題を克服した表盤を提供することである。
【0004】
この目的は、請求の範囲に記載の表盤によって達成される。本発明は、さらに、本発明に係る表盤を備えた携行型時計のような計時器に関する。本発明に係る表盤は、環状プレートの形態のリングと、リングに対して同心的で実質的に同一平面内であるように取り付けられる中央ディスクと、及び光透過性部分とを備え、前記中央ディスクの直径は、前記リングの内径よりも小さく、これによって、これらの2つの要素の間に環状領域を形成し、前記光透過性部分は前記環状領域を覆う。また、前記光透過性部分は、ディスクとリングに固定され、これらの要素を互いに固定する。この表盤は、世界時を表示する計時器において用いることができ、この表盤によって、その表盤の下のムーブメントに単純な方法で24時間ディスクを取り付け、前記光透過性部分を通して24時間ディスク上のマーキングを見ることができる。
【0005】
添付の図面を参照しながら例として与えられる好ましい実施形態(これに限定されない)についての以下の説明を読むことによって、本発明の特定の特徴及び利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の有利な実施形態に係る携行型時計の表盤の正面図を示している。
【
図3】
図1及び2に示している表盤の構成要素の分解図である。
【
図4】
図1に示している表盤を備えた携行型時計である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1及び2に示している表盤1は、単一の一体化された部品を形成するように互いに固定される3つの部分によって構成している。この表盤は、腕時計に用いることができる。表盤1は、金属製であることが好ましく外径D1及び内径D2を有する環状プレートの形態である平坦なリング2を備える。図面に示した実施形態において、リング2は、足4を取り付けることによってリング2の上面に取り付けられた12個のインデックス3を備える(
図2参照)。ここでは、「上面」とは、携行型時計の風防に対向するように配置されるように意図された表面を意味しており、「下面」とは、その反対の面を意味している。インデックス3の位置は、1から12までの時間の位置を表す。また、リング2には24の都市名が付されており、これらの都市名はリング2の縁部のまわりに均等に分布しており、世界の24の時間帯に対応している。これらの都市名は、リング2の上面に、そして、リング2の平面に対して傾斜している面を有する付加的リング5の表面に刻印される。この付加的リング5は、取り付け足6によってリング2の前記上面に固定される。
【0008】
また、
図1に示している具体的なケースでは、リング2には、日付を示すために6時の方向に開口12がある。リング2は、不透明な材料、例えば、CuZn33のような金属合金、によって形成されている。リング2に対して同心的に、そして、リング2と実質的に同じ平面内にて、金属製であることが好ましい中央ディスク7が取り付けられており、この中央ディスク7は、同様に不透明な材料、例えば、チタン、によって作られており、中央ディスク7には、携行型時計の時針と分針を担持する回転アーバーを通すための中央穴8が形成されている。中央ディスク7の直径D3は、リング2の内径D2よりも小さく、このことによって、ディスク7とリング2の間に環状領域9が見える。この環状領域9は、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)やサファイアのような光透過性の材料によって作られた部品10によって覆われている。
【0009】
図示している特定の場合では、光透過性部分10も平坦なリングの形態であり、中央ディスク7に対して同心的に形成された中央開口11がある(
図3)。開口11は、光透過性部分10がディスク7の下面の周部に位置する環状部分15を覆うような寸法を有する。開口11に対する半径方向の反対側では、リング2の下面の内側周部にある環状部16を光透過性部分10が覆う。光透過性部分10は、リング2とディスク7を互いに固定するように前記表面部分15及び16に接着結合される。したがって、
図1の上から見た図に示しているように、表盤1には、不透明なリング2と、不透明な中央ディスク7と、及びディスク7とリング2の間の環状の開口がある。
【0010】
図2の分解図は、この実施形態のいくつかの特定の特徴を示している。その下面上にある中央ディスク7に、光透過性部分10で覆われる部分15に対して隆起しているようにレリーフ状に延在している環状部分17があることがわかる。このレリーフ部17の直径は、開口11の直径に対応しており、これによって、光透過性部分10をレリーフ部17のまわりに配置することができる。また、レリーフ部17には半径方向の突起18があり、この半径方向の突起18は、光透過性部分10の内側縁部20に形成された半径方向のノッチ19に入って係合して、これによって、ディスク7に対する光透過性部分10の1つの特定の角位置においてのみディスク7に対する光透過性部分10の組み付けが可能であるように構成している。
【0011】
また、光透過性部分10の外側縁部には、この光透過性部分10のまわりにて均等な角距離で形成された3つのまっすぐな部分25があり、この外側縁部の残りには、円弧状である3つの曲がった部分26がある。光透過性部分10によって覆われるリング2の環状部分16は、リング2の裏面に対してインデントされている。また、この環状部分16には、光透過性部分10のまっすぐな部分と曲がった部分25、26に対応する相補的なまっすぐな部分25’と曲がった部分26’が設けられており、これによって、まっすぐな部分25、25’と曲がった部分26、26’を整列させることによって透明部分10をインデントされた部分16内に配置することができる。この実施形態では、リング2の下面には、さらに、部分16の周部に配置された空欠領域27があり、この空欠領域27には、この空欠領域27の底部にねじ穴28が形成されている。このねじ穴28は、取り付けねじ29を受けるように構成しており、この取り付けねじ29は、リング2に対して光透過性部分10を取り付けるように、又はリング2に対する光透過性部分10の取り付けに貢献するように設計されている。取り付けは取り付けねじ29の頭部によって実現され、この頭部は、ねじ29が締め付けられるときに部品10の縁部の上に配置される空欠領域27に嵌まって部品10をリング2に取り付ける。
【0012】
図示した表盤1の組み立ては、好ましくは、以下の2つのステップで行う。まず、光透過性部分10は、少なくとも1つの接触面に接着剤を塗布した後に、突起18とノッチ19を整列させ、部品10をレリーフ部分17の周部に表面部分15と接触するように配置することによって、中央ディスク7に組み付けられる。チタン製のディスク7とPMMA製の光透過性部分10に使用できる接着剤としては、APM Technica Epsilon 2103接着剤がある。そして、部品10とディスク7によって形成されたアセンブリーは、光透過性部分10及びリング2の部分16の接触面の少なくとも一部に別の接着剤を塗布することによって、リング2のインデントされた表面部分16に固定される。次に、取り付けねじ29は、好ましくは、ねじ頭部が収容される空欠領域27にある面に接着剤を塗布した後に、ねじ穴28に締め付けられる。
【0013】
光透過性部分10とリング2の間で用いられる接着剤は、部品10と中央ディスク7の間で用いられる接着剤と同じタイプであることができる。代わりに、部分10とディスク7の間の接着剤と比べてより弱い接着剤を光透過性部分10とリング2の間で用いることができる。「より弱い」接着剤とは、アセンブリーが所定の衝撃を受けたときの接着性がより弱いような接着剤を意味する。
【0014】
別の実施形態において、光透過性部分10は、リング2に接合されず、単に取り付けねじ29によってリング3に取り付けられる。
【0015】
別の実施形態において、取り付けねじ29を用いず、光透過性部分10はディスク7とリング2に接合される。この後者の実施形態において、光透過性部分10とリング2の間で用いられる接着剤は、部分10とディスク7の間で用いられる接着剤と同等に強くすることができ、また、弱くすることができる。
【0016】
光透過性部分10とディスク7の間の接着剤に比べて光透過性部分10とリング2の間により弱い接着剤を用いるような実施形態、又は光透過性部分10がリング2に単に取り付けねじ29だけで取り付けられるような実施形態には、光透過性部分10の変形性がリング2と比べて大きいことに起因して、表盤の耐衝撃性を向上させるという利点がある。表盤のドーム状の変形(「傘効果」)は、特に、針を緩くしてしまうことがあり、衝撃を受けたときにこのような変形を抑えることができる。
【0017】
図4に、前述の表盤を備える携行型時計を示している。この携行型時計には、時刻を示すように表盤の上を動く時針と分針30、31があり、これらは、計時器のムーブメント(図示せず)によって伝統的な形態で回転駆動され、また、環状の24時間ディスク32があり、これは表盤1の下で動くムーブメントによって、同様に回転駆動される。24時間ディスク32には、その表面上に規則的に分布する24個のマーキングが設けられている。これらのマーキングは、中央ディスク7とリング2の間の環状領域と整列しており、その結果、これらのマーキングを光透過性部分10によって形成された開口を通して見ることができる。24時間ディスク32は、概して時針と分針と同時に既知の機構によって駆動され修正される。また、この携行型時計は、開口12と整列する環状の日付ディスクを備える。これも既知の方法で駆動される。また、中央ディスク7に、例えば、エッチングによって、装飾を設けることができる。典型的には、チタンなどで作られた中央ディスク7を、超短パルスレーザー、典型的にはフェムト秒レーザー、によって装飾することができ、これによって、特定の波長の可視光を選択的に反射して色付けを可能にするようなナノ構造をディスクの表面上に彫ることができる。
【0018】
当業者であれば、上述した表盤の特定の特徴の代替形態が本発明の範囲内であることを理解することができるであろう。光透過性部分10は、穴が開いたリングの代わりに中実ディスクの形態であることができる。光透過性部分10をディスク7及び/又はリング2に固定するために、接着剤や取り付けねじの代わり又はこれに加えて、他の取り付け手段を用いることができる。ディスク7及び/又はリング2の下面の代わりに上面に光透過性部分10を固定することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 表盤
2 リング
7 中央ディスク
9 環状領域
10 光透過性部分
11 中央開口
17 レリーフ部分
18 突起
19 ノッチ
29 取り付けねじ
32 24時間ディスク