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  • 特許-無指向性ホイール 図1
  • 特許-無指向性ホイール 図2
  • 特許-無指向性ホイール 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】無指向性ホイール
(51)【国際特許分類】
   B60B 19/00 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
B60B19/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020114312
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2021178620
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】202010412071.8
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】318009919
【氏名又は名称】鴻富錦精密電子(天津)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】特許業務法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 寶欽
(72)【発明者】
【氏名】林 格正
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-128327(JP,A)
【文献】特開2002-029202(JP,A)
【文献】実開昭62-074002(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ及び複数の従動ホイールを含む無指向性ホイールであって、
前記ハブには、複数の装着凹部が設けられており、前記装着凹部には、従動シャフトが設けられており、前記従動ホイールは、従動ローラー及び被覆層を含み、前記従動ローラーの両端には、従動孔がそれぞれ設けられ、前記従動孔は、前記従動シャフトに装着され、前記被覆層は、前記従動ローラーの外面を取り囲むように設けられ、
前記従動ローラーは、筒体及び2つの固定部を含み、前記被覆層は、前記筒体の周面を包むように設けられ、2つの前記固定部は、それぞれ前記筒体の両側に位置して、前記被覆層を前記筒体に装着し、
前記固定部の対向する両端には、前記従動孔がそれぞれ設けられており、
前記固定部には、取り付け凹所がさらに設けられ、前記取り付け凹所は、前記従動ローラーの径方向に沿って前記従動ローラーの外側へ傾斜して形成されて、前記従動孔を前記従動シャフトに装着することを容易にすることを特徴とする無指向性ホイール。
【請求項2】
前記ハブは、主体部、第1支持部及び第2支持部を含み、前記第1支持部及び前記第2支持部は、前記主体部の軸方向に沿って前記主体部の外周に設けられ、
相隣する2つの前記第1支持部の間、及び相隣する2つの前記第2支持部の間には、複数の前記装着凹部がそれぞれ設けられ、前記複数の装着凹部は、それぞれ前記主体部の円周方向に沿って均一に設けられ、
前記第1支持部の間の前記装着凹部は、前記第2支持部の間の前記装着凹部と相互に交わるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の無指向性ホイール。
【請求項3】
前記第1支持部及び前記第2支持部には、それぞれ4つの前記装着凹部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の無指向性ホイール。
【請求項4】
前記主体部、前記第1支持部及び前記第2支持部は、一体的に成形されることを特徴とする請求項2に記載の無指向性ホイール。
【請求項5】
前記従動ローラーは、前記主体部の軸方向に対して垂直な方向に沿って、前記従動シャフトに回転可能に設けられることを特徴とする請求項2に記載の無指向性ホイール。
【請求項6】
前記従動シャフトは、前記装着凹部内で前記主体部の軸方向に対して垂直に設けられ、且つ互いに対向する回転軸及び装着軸を含み、
前記回転軸と前記装着軸は、それぞれ前記従動ローラーの一方側の前記従動孔を装着することに用いられ、
前記従動ローラーの両側は、前記回転軸及び前記装着軸を介して、前記装着凹部内にそれぞれ装着されることを特徴とする請求項5に記載の無指向性ホイール。
【請求項7】
前記装着軸の端面には、取り付け面が設けられており、前記従動ローラーの取り付けを容易にするために、前記取り付け面は、前記装着凹部の外側に傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の無指向性ホイール。
【請求項8】
前記筒体及び2つの前記固定部は、一体成型されることを特徴とする請求項に記載の無指向性ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全方向に移動可能なホイールに関し、特に無指向性ホイールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無指向性ホイールは、全方向に移動できるホイールであり、全方向移動プラットフォームの構築に使用でき、通常のホイールと比較して、動きの柔軟性と精度が高い。従来技術では、無指向性ホイールの部品が多く、構造が複雑で、組立時間が長く、組立過程が煩雑であり、操作が不便であり、且つコストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の状況に鑑みて、上記の問題を解決するために全方向に移動可能な無指向性ホイールを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明の実施形態に係る無指向性ホイールは、ハブ及び複数の従動ホイールを含み、前記ハブには、複数の装着凹部が設けられており、前記装着凹部には、従動シャフトが設けられており、前記従動ホイールは、従動ローラー及び被覆層を含み、前記従動ローラーの両端には、従動孔がそれぞれ設けられ、前記従動孔は、前記従動シャフトに装着され、前記被覆層は、前記従動ローラーの外面を取り囲むように設けられる。
【0005】
さらに、前記ハブは、主体部、第1支持部及び第2支持部を含み、前記第1支持部及び前記第2支持部は、前記主体部の軸方向に沿って前記主体部の外周に設けられ、相隣する2つの前記第1支持部の間、及び相隣する2つの前記第2支持部の間には、複数の前記装着凹部がそれぞれ設けられ、前記複数の装着凹部は、それぞれ前記主体部の円周方向に沿って均一に設けられ、前記第1支持部の間の前記装着凹部は、前記第2支持部の間の前記装着凹部と相互に交わるように配置される。
【0006】
さらに、前記第1支持部及び前記第2支持部には、それぞれ4つの前記装着凹部が設けられている。
【0007】
さらに、前記主体部、前記第1支持部及び前記第2支持部は、一体的に成形される。
【0008】
さらに、前記従動ローラーは、前記主体部の軸方向に対して垂直な方向に沿って、前記従動シャフトに回転可能に設けられる。
【0009】
さらに、前記従動シャフトは、前記装着凹部内で前記主体部の軸方向に対して垂直に設けられ、且つ互いに対向する回転軸及び装着軸を含み、前記回転軸と前記装着軸は、それぞれ前記従動ローラーの一方側の前記従動孔を装着することに用いられ、前記従動ローラーの両側は、前記回転軸及び前記装着軸を介して、前記装着凹部内にそれぞれ装着される。
【0010】
さらに、前記装着軸の端面には、取り付け面が設けられており、前記従動ローラーの取り付けを容易にするために、前記取り付け面は、前記装着凹部の外側に傾斜している。
【0011】
さらに、前記従動ローラーは、筒体及び2つの固定部を含み、前記被覆層は、前記筒体の周面を包むように設けられ、2つの前記固定部は、それぞれ前記筒体の両側に位置して、前記被覆層を前記筒体に装着し、前記固定部の対向する両端には、前記従動孔がそれぞれ設けられる。
【0012】
さらに、前記固定部には、取り付け凹所がさらに設けられ、前記取り付け凹所は、前記従動ローラーの径方向に沿って前記従動ローラーの外側へ傾斜して形成されて、前記従動孔を前記従動シャフトに装着することを容易にする。
【0013】
さらに、前記筒体及び2つの前記固定部は、一体成型される。
【発明の効果】
【0014】
上記の無指向性ホイールは、ハブに従動シャフトを持つ装着凹部を直接設けて、被覆層で従動ローラーの外側を包んで、従動ホイールを構成し、且つ前記従動ローラーの両端に設けられた従動孔を介して、それを従動シャフトに取り付ける。そのため、本発明の無指向性ホイールは、部品がシンプルで、組み立てが容易で、操作も簡単で、多くの部品を必要とせず、コストが低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の1つの実施形態における無指向性ホイールの概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す無指向性ホイールの部分分解斜視図である。
図3図3は、図1に示される無指向性ホイールのハブの拡大概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態における技術的な態様を明確かつ完全に説明するが、説明した実施形態は、全ての実施形態ではなく、本発明の一部の実施形態にすぎないことは明らかである。本発明の実施例に基づいて、当業者は、創造的な労働がなされていない前提で取得される他の全ての実施形態も、本発明の保護範囲に属する。
【0017】
説明が必要なのは、1つの部品がもう1つの部品に「接続」されると見なされる場合、それは直接に他の部品に接続されてもよく、又は両者の間に介在する部品が存在してもよいことである。また、ある部品が他の部品に「配置される」と見なされる場合、それは他の部品に直接配置されてもよく、又は他の部品を介して対象部品に配置されてもよい。
【0018】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学用語は、本発明の技術分野の当業者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明する目的だけであり、本発明を限定することを意味するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する列項目の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0019】
本願の実施形態に係る無指向性ホイールは、ハブ及び複数の従動ホイールを含み、ハブには、複数の装着凹部が設けられており、装着凹部には、従動シャフトが配置されている。従動ホイールは、従動ローラー及び被覆層を含み、従動ローラーの両端には、従動孔がそれぞれ設けられており、従動孔は、従動シャフトを取り囲むように設けられ、被覆層は、従動ローラーの外面を覆いかぶさる。
【0020】
上記の無指向性ホイールは、ハブに従動シャフトを持つ装着凹部を直接設けて、被覆層で従動ローラーの外側を覆いかぶせることによって、従動ホイールを構成し、且つ従動ローラーの両端に設けられた従動孔によって、それを従動シャフトに取り付ける。そのため、本発明の無指向性ホイールは、部品がシンプルで、組み立てが容易で、操作も簡単で、多くの部品を必要とせず、コストが低くなる。
【0021】
装着凹部以下、添付図面を参照して、本願の実施形態をさらに説明する。
【0022】
図1及び図2を併せて参照して、本発明の一実施形態は、無指向性ホイール100を提供する。無指向性ホイール100は、ハブ10及び複数の従動ホイール20を含む。複数の従動ホイール20がそれぞれハブ10に回転可能に取り付けられる。
【0023】
図3に示すように、ハブ10は、主体部11と、第1支持部12と、第2支持部13と、を備えている。主体部11は、ほぼ円柱状である。第1支持部12及び第2支持部13は、主体部11の軸方向に沿って主体部11の外周に設けられている。相隣する2つの第1支持部12の間、及び相隣する2つの第2支持部13の間には、複数の装着凹部14がそれぞれ設けられ、複数の装着凹部14は、それぞれ主体部の円周方向に沿って均一に設けられる。また、第1支持部12の間の装着凹部14は、第2支持部13の間の装着凹部14と相互に交わるように配置される。
【0024】
幾つかの実施形態では、第1支持部12及び第2支持部13には、4つの装着凹部溝14がそれぞれ設けられている。
【0025】
主体部11、第1支持部12及び第2支持部13は、一体成形されている。
【0026】
装着凹部14には、従動ホイール20を取り付けるための従動シャフト15が設けられている。従動ホイール20は、主体部11の軸方向に対して垂直な方向に沿って従動シャフト15に回転可能に装着される。
【0027】
従動シャフト15は、装着凹部14内で主体部11の軸方向に対して垂直に設けられ、且つ互いに対向する回転軸151、装着軸152を含む。従動ホイール20の両側は、それぞれ回転軸151及び装着軸152を介して、装着凹部14内に装着される。
【0028】
回転軸151は、ほぼ円柱状である。
【0029】
装着軸152の端面には、ガイド面1521が設けられている。従動ホイール20の取り付けを容易にするために、ガイド面1521は、装着凹部14の外側に傾斜している。
【0030】
従動ホイール20は、従動ローラー21及び被覆層22を含む。従動ローラー21の両端には、従動孔210がそれぞれ設けられている。従動孔210が回転軸151及び装着軸152にそれぞれ設けられることにより、従動ローラー21は従動シャフト15に取り付けられる。言い換えれば、回転軸151と装着軸152は、それぞれ従動ローラー21の一方側の従動孔210を装着することに用いられる。被覆層22は、従動ローラー21の外側に覆われている。
【0031】
従動ローラー21は、筒体211及び2つの固定部212を含む。筒体211は、ほぼドラム型である。被覆層22は、筒体211の周面を包むように設けられる。2つの固定部212は、それぞれ筒体211の両側に位置して、被覆層22が筒体211を取り囲むように装着された後に、被覆層22を筒体211に固定させる。固定部212の対向する両端には、従動孔210がそれぞれ設けられる。
【0032】
筒体211及び2つの固定部212は、一体成形されている。
【0033】
固定部212には、取り付け凹所213がさらに設けられている。取り付け凹所213は、従動ローラー21の径方向に沿って従動ローラー21の外側に傾斜して設けられる。しかも、取り付け凹所213の一方側が従動ローラー21の外周まで延伸し、取り付け凹所213の他方側が従動孔210の近傍まで延伸することによって、従動孔210を回転軸151に装着する。
【0034】
幾つかの実施形態では、従動ローラー21の材質は、金属、合金、硬質プラスチックなどから選択できる。従動ローラー21は、射出成形により製造される。
【0035】
被覆層22の表面には、滑り止め部221が設けられている。滑り止め部221は、被覆層22の周方向に沿って設けられている。滑り止め部221は、従動ホイール20が使用過程においてスリップ現象が起こることを防止するために用いられる。
【0036】
幾つかの実施形態では、被覆層22の材質はゴムであるが、これに限定されない。
【0037】
装着する場合、まず、被覆層22を従動ローラー21の筒体211に取り囲むように装着して、従動ホイール20を形成する。次に、取り付け凹所213が設けられた固定部212を、取り付け凹所213によって回転軸151に押圧して、回転軸151を固定部212の従動孔210内に挿入させた後、他方側の固定部212を装着軸152に向かって押圧する。すると、装着軸152は、ガイド面1521によって導かれて、反対側の固定部212の従動孔210内に挿入される。このようにして、1つの従動ホイール20の装着を完成して、あらゆる従動ホイール20を順次に装着凹部14内に装着すればよい。
【0038】
幾つかの実施形態では、第1支持部12と第2支持部13との間の複数の装着凹部14の間には、凹状部16が設けられる。この凹状部16は、従動ホイール20が装着凹部14に取り付けられる際に、装着凹部14の変形の難しさを低減するために用いられ、これによって、従動ホイール20の取り付けが容易になる。
【0039】
幾つかの実施形態では、従動シャフト15は、従動ローラー21に設けられてもよい。これに対応して、従動孔210は、装着凹部14内に設けられる。
【0040】
上述した無指向性ホイール100は、一体成形されたハブ10によって、ハブ10の組立を簡略化し、その上に従動シャフト15を有する装着凹部14を直接設置し、簡素化された被覆層22を従動ローラー21の外周を包むように装着することによって、従動ホイール20を形成し、且つ従動ローラー21の両端に設けられた従動孔210を介して、従動ローラー21を従動シャフト15に装着する。これにより、無指向性ホイール100の組立を完成する。上記の記載から分かるように、本発明の無指向性ホイール100の構造が簡単であり、組み立てが容易で、操作も簡単で、多くの部品を必要とせず、コストが低くなる。
【0041】
以上、好適な具体例を挙げて本発明を説明してきたが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者はその要旨を逸脱しない範囲において、種々な変更又は取替えが可能であることは言うまでもない。この変更又は取替えに基づく様々な変形例も本発明の保護範囲に含まれることは明らかである。
【符号の説明】
【0042】
10 ハブ
11 主体部
12 第1支持部
13 第2支持部
14 装着凹部
15 従動シャフト
16 凹状部
100 無指向性ホイール
151 回転軸
152 装着軸
1521 ガイド面
20 従動ホイール
21 従動ローラー
210 従動孔
211 筒体
212 固定部
213 取り付け凹所
22 被覆層
221 滑り止め部


図1
図2
図3