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特許7029511止着テープおよび止着テープを備えた使い捨ておむつ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】止着テープおよび止着テープを備えた使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20220224BHJP
   A61F 13/62 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
A61F13/56 213
A61F13/56 210
A61F13/62 100
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020181747
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福元 淳生
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-014699(JP,A)
【文献】特開2009-055996(JP,A)
【文献】特開2020-103539(JP,A)
【文献】特開2011-147711(JP,A)
【文献】特開2012-040245(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3714851(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨ておむつに設けられる、つまみ部を有する止着テープであって、
第1主面とその反対側の第2主面とを有するテープ基材と、
前記テープ基材の第1主面に取り付けられた面ファスナーのフック部材と、
前記テープ基材の第2主面に取り付けられた面ファスナーのループ部材とを有し、
前記フック部材と前記ループ部材が、前記つまみ部に配置されており、前記テープ基材の前記第1および第2主面の平面視で、前記フック部材と前記ループ部材のうち、一方が他方の間に互いに重ならないように設けられていることを特徴とする止着テープ。
【請求項2】
請求項1に記載の止着テープがおむつ本体の幅方向の両側に取り付けられた使い捨ておむつであって、
前記おむつ本体の前側部の外面側に面ファスナーのループ部材が設けられ、
前記止着テープは、前記テープ基材の第1主面が使い捨ておむつの肌面側を向くように、前記おむつ本体に取り付けられていることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1に記載の止着テープがおむつ本体の幅方向の両側に取り付けられた使い捨ておむつであって、
前記おむつ本体の前側部の外面側に面ファスナーのフック部材が設けられ、
前記止着テープは、前記テープ基材の第2主面が使い捨ておむつの肌面側を向くように、前記おむつ本体に取り付けられていることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記フック部材は複数設けられ、前記テープ基材の第1および第2主面の平面視で、前記ループ部材は前記複数のフック部材の間に設けられている請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記ループ部材は複数設けられ、前記テープ基材の第1および第2主面の平面視で、前記フック部材は前記複数のループ部材の間に設けられている請求項3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記テープ基材において、前記フック部材と前記ループ部材は、おむつの幅方向に並んで設けられている請求項2~5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
使い捨ておむつの使用前、前記止着テープは、前記フック部材と前記ループ部材の間で折り返されている請求項1~6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記止着テープは、テープ本体部と、テープ本体部からおむつの幅方向に延出し、おむつの前後方向に複数並んで配置されたつまみ部とを有し、
前記フック部材と前記ループ部材は前記複数のつまみ部にそれぞれ設けられている請求項1~7のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記おむつ本体には、おむつの幅方向の一方側または他方側に、前記止着テープがおむつの前後方向に並んで複数設けられている請求項1~7のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止着テープと、この止着テープを備えた使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、止着テープを備えた、いわゆるテープタイプの使い捨ておむつが広く知られており、様々な構成の止着テープや当該止着テープを備えた使い捨ておむつが知られている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-28111号公報
【文献】特開2008-67831号公報
【文献】特開2012-40245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープタイプの使い捨ておむつは通常、後側部の幅方向の両側に止着テープが設けられ、着用の際には、この止着テープを使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに止着して使用する。この際、止着テープを適切に止着することにより、使い捨ておむつを着用者の腰周りにフィット性良く装着することが望まれる。また、使い捨ておむつを装着した際に、止着テープに対して着用者が違和感を覚えにくいことが望まれる。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使い捨ておむつに設けられる止着テープであって、着用者が違和感を覚えにくく、使い捨ておむつに適用したときに、着用者の腰周りにフィット性良く装着することができる使い捨ておむつとすることができる止着テープと、当該止着テープを備えた使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明の止着テープとは、使い捨ておむつに設けられる止着テープであって、第1主面とその反対側の第2主面とを有するテープ基材と、テープ基材の第1主面に取り付けられた面ファスナーのフック部材と、テープ基材の第2主面に取り付けられた面ファスナーのループ部材とを有し、フック部材とループ部材が、テープ基材の第1および第2主面の平面視で、互いに重ならないように設けられているところに特徴を有する。
【0006】
本発明の止着テープは、テープ基材の第1主面に設けられたフック部材と第2主面に設けられたループ部材の両方が、使い捨ておむつの装着の際に、止着に寄与することができる。そのため、このような止着テープを備えた使い捨ておむつは、着用者の腰周りにフィット性良く装着することが可能となる。例えば、胴周り寸法の小さい着用者が使い捨ておむつを着用する際に、左右の止着テープが一部重なり合っても、止着テープに設けられたフック部材とループ部材とを互いに係合させることにより、止着テープを適切に止着させることができる。あるいは、止着テープがつまみ部を2つ有するように形成されるような場合は、2つのつまみ部を互いにクロスさせるように重ね合わせて止着する、いわゆるクロス留めをする際に、止着テープに設けられたフック部材とループ部材とを互いに係合させることにより、安定してクロス留めすることができる。そのため、使い捨ておむつを着用者の腰周りにフィット性良く装着することができる。止着テープはまた、フック部材とループ部材が、テープ基材の第1および第2主面の平面視で互いに重ならないように設けられているため、止着テープの厚みが過度に厚く形成されない。そのため、止着テープが嵩張らず、使い捨ておむつを装着した際に、着用者が止着テープに対して違和感を覚えにくくなる。
【0007】
本発明は、上記の止着テープを備えた使い捨ておむつも提供する。本発明の使い捨ておむつは、上記の止着テープがおむつ本体の幅方向の両側に取り付けられたものであって、おむつ本体の前側部の外面側に面ファスナーのループ部材が設けられ、止着テープは、テープ基材の第1主面が使い捨ておむつの肌面側を向くように、おむつ本体に取り付けられていることが好ましい。この場合、止着テープにはフック部材が複数設けられ、テープ基材の第1および第2主面の平面視で、ループ部材が複数のフック部材の間に設けられていることが好ましい。このようにループ部材が設けられることにより、止着テープをターゲットテープに止着した際に、ループ部材の位置が安定し、ずれにくくなる。そのため、このループ部材にフック部材を係合させることにより、左右の止着テープどうしを安定して重ね合わせたり、止着テープを安定してクロス留めすることができる。
【0008】
本発明の使い捨ておむつは、おむつ本体の前側部の外面側に面ファスナーのフック部材が設けられ、止着テープは、テープ基材の第2主面が使い捨ておむつの肌面側を向くように、おむつ本体に取り付けられているものであってもよい。この場合、止着テープにはループ部材が複数設けられ、テープ基材の第1および第2主面の平面視で、フック部材が複数のループ部材の間に設けられていることが好ましい。
【0009】
テープ基材において、フック部材とループ部材はおむつの幅方向に並んで設けられていることが好ましい。このようにフック部材とループ部材が設けられることにより、止着テープを使い捨ておむつの前側部のターゲットテープに止着した際、止着テープが着用者の腰周りに沿って折れ曲がりやすくなる。そのため、止着テープの存在によって着用者が違和感を覚えにくくなる。
【0010】
使い捨ておむつの使用前、止着テープは、フック部材とループ部材の間で折り返されていてもよい。このように止着テープを折り返すことにより、止着テープをコンパクトに折り畳んで、使用前の使い捨ておむつの取り扱い性を高めることができる。
【0011】
止着テープは、テープ本体部と、テープ本体部からおむつの幅方向に延出し、おむつの前後方向に複数並んで配置されたつまみ部とを有し、フック部材とループ部材は複数のつまみ部にそれぞれ設けられていることが好ましい。このような止着テープを備えた使い捨ておむつは、前後方向に複数並んで配置されたつまみ部どうしを互いにクロスさせるように重ね合わせて止着する、いわゆるクロス留めを行うのに適したものとなる。
【0012】
おむつ本体には、おむつの幅方向の一方側または他方側に、止着テープがおむつの前後方向に並んで複数設けられていることも好ましい。このように使い捨ておむつに止着テープが設けられていても、前後方向に複数並んで配置された止着テープのつまみ部どうしを互いにクロスさせるように重ね合わせることにより、クロス留めを好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の止着テープは、テープ基材の第1主面に設けられたフック部材と第2主面に設けられたループ部材の両方が、使い捨ておむつの装着の際に、止着に寄与することができる。そのため、このような止着テープを備えた使い捨ておむつは、着用者の腰周りにフィット性良く装着することが可能となる。また、フック部材とループ部材が、テープ基材の第1および第2主面の平面視で互いに重ならないように設けられているため、止着テープの厚みが過度に厚く形成されない。そのため、止着テープが嵩張らず、使い捨ておむつを装着した際に、着用者が止着テープに対して違和感を覚えにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の止着テープの一例を表し、図1(a)は止着テープを第1主面側から見た平面図を表し、図1(b)は止着テープを第2主面側から見た平面図を表す。
図2】本発明の止着テープの他の一例を表し、図2(a)は止着テープを第1主面側から見た平面図を表し、図2(b)は止着テープを第2主面側から見た平面図を表す。
図3図1および図2に示した止着テープのIII-III断面図を表す。
図4図2に示した止着テープを備えた本発明の使い捨ておむつの一例を表し、使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表す。
図5図4に示した使い捨ておむつのV-V断面図を表す。
図6図4に示した使い捨ておむつの着用状態の斜視図の一例を表す。
図7】本発明の使い捨ておむつの他の一例を表し、使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表す。
図8図7に示した使い捨ておむつに備えられた止着テープの平面図を表し、図8(a)は止着テープを第1主面側から見た平面図を表し、図8(b)は止着テープを第2主面側から見た平面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、止着テープと、この止着テープを備えたテープタイプの使い捨ておむつに関するものである。本発明の止着テープは使い捨ておむつに設けられるものであり、テープ基材の一方側の主面に面ファスナーのフック部材が取り付けられ、他方側の主面に面ファスナーのループ部材が取り付けられ、テープ基材の主面を平面視したときに、フック部材とループ部材が互いに重ならないように設けられたものである。このように止着テープが構成されることにより、止着テープは、テープ基材の一方側の主面に設けられたフック部材と他方側の主面に設けられたループ部材の両方が、使い捨ておむつの装着の際に、止着に寄与することができる。そのため、このような止着テープを備えた使い捨ておむつは、様々な体型の着用者に対してフィット性良く装着することが可能となる。また、フック部材とループ部材がテープ基材の主面の平面視で互いに重ならないように設けられているため、止着テープが嵩張らず、使い捨ておむつを装着した際に、着用者が止着テープに対して違和感を覚えにくくなる。以下、本発明の止着テープについて、図面を参照して詳しく説明する。なお本発明の止着テープは、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0016】
図1図3には、本発明の止着テープの構成例を示した。図1は止着テープの平面図の一例を表し、図2は止着テープの平面図の他の一例を表し、図3図1および図2に示した止着テープのIII-III断面図を表す。図1図3では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、前後方向yは幅方向xに対して直交しており、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。なお、幅方向xと前後方向yは、止着テープを使い捨ておむつに取り付けたときのおむつの幅方向と前後方向に対応する。
【0017】
止着テープ1は、使い捨ておむつに設けられるものであり、テープ基材2に面ファスナーのフック部材3とループ部材4が設けられて構成される。テープ基材2は第1主面2Aとその反対側の第2主面2Bを有し、第1主面2Aに面ファスナーのフック部材3が取り付けられ、第2主面2Bに面ファスナーのループ部材4が取り付けられる。図1および図2では、図1(a)と図2(a)に、止着テープ1をテープ基材2の第1主面2A側から見た平面図が示されており、図1(b)と図2(b)に、止着テープ1をテープ基材2の第2主面2B側から見た平面図が示されている。止着テープ1は、幅方向xの一方端が使い捨ておむつに固定され、すなわち着脱不能に取り付けられ、幅方向xの他方端が自由端として存在する。
【0018】
面ファスナーは、「マジックテープ」(登録商標)、「ベルクロ」(登録商標)、「クイックロン」(登録商標)等の商品名で知られており、フック・アンド・ループファスナーとも称される。面ファスナーは通常、フック部材とループ部材が対になって用いられ、フック部材がループ部材に対して着脱可能に止着される。
【0019】
フック部材3は、基盤から複数の係合素子が突出して構成される。詳細には、フック部材3は、基盤と、基盤から突出する複数の係合素子とを有し、基盤は、係合素子が設けられる面と反対側の面がテープ基材2の第1主面2Aに接着・固定されている。係合素子の形状は特に限定されず、鉤形、錨形、きのこ形、柱形等が挙げられる。
【0020】
ループ部材4は、基盤上に、フック部材3の係合素子と係合可能なループ部が設けられて構成され、基盤は、ループ部が設けられる面と反対側の面がテープ基材2の第2主面2Bに接着・固定されている。ループ部は一部が基盤に固定され他部が基盤と非固定とされ、これによりフック部材3の係合素子がループ部の基盤との非固定部分に係合することができる。各ループ部は、閉じた環を形成してもよく、環の一部が開いて形成され、隣接するループ部と接続して設けられていてもよい。また、基盤上に糸条による編組織が形成され、この編組織によってループ部が形成されるようにしてもよい。
【0021】
テープ基材2としては、不織布、織布、編布、樹脂フィルム、あるいはこれらの積層体等を用いることができる。なお、テープ基材2の剛性を確保し、止着テープの取り扱い性を高める点から、テープ基材2は、織布、編布または不織布から構成されていることが好ましく、不織布から構成されていることがより好ましい。また、テープ基材2が不織布から構成されていれば、テープ基材2を折り返すことが容易になり、例えば止着テープの使用前、止着テープを安定して折り畳むことができる。
【0022】
テープ基材2に不織布を用いる場合、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることができるが、テープ基材2としては、スパンボンド不織布またはSMS不織布を用いることが好ましく、スパンボンド不織布を用いることがより好ましい。このような不織布を用いれば、テープ基材2の強度を高めやすくなる。テープ基材2に用いられる不織布はエンボス加工されていてもよく、これによりテープ基材2の剛性が高まり、止着テープの取り扱い性が向上する。
【0023】
テープ基材2の単位面積あたりの質量は、50g/m以上が好ましく、55g/m以上がより好ましく、また120g/m以下が好ましく、100g/m以下がより好ましい。テープ基材2の単位面積あたりの質量が50g/m以上であれば、テープ基材2が十分な剛性を有し、テープ基材2の単位面積あたりの質量が120g/m以下であれば、テープ基材2が厚くなりすぎず、取り扱い性が向上する。
【0024】
止着テープ1は、テープ本体部5と、テープ本体部5から幅方向xに延出するつまみ部6とを有する。テープ本体部5はテープ基材2の幅方向xの内方側に形成され、つまみ部6はテープ基材2の幅方向xの外方側に形成される。止着テープ1は、テープ本体部5の少なくとも一部が使い捨ておむつに固定され、つまみ部6にフック部材3とループ部材4が設けられる。
【0025】
つまみ部6は、1つのテープ本体部5に対して1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。後者の場合、つまみ部6は前後方向yに複数並んで配置され、各つまみ部6にフック部材3とループ部材4が設けられることが好ましい。図1では、1つのテープ本体部5に対してつまみ部6が1つ設けられており、図2では、1つのテープ本体部5に対してつまみ部6が2つ設けられている。つまみ部6が複数設けられる場合、複数のつまみ部6の幅方向xの長さは互いに同じであっても異なっていてもよいが、互いに同じであることが好ましい。
【0026】
止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aにフック部材3が取り付けられ、テープ基材2の第2主面2Bにループ部材4が取り付けられ、フック部材3とループ部材4が、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、互いに重ならないように設けられる。このように止着テープ1が構成されることにより、止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aに設けられたフック部材3と第2主面2Bに設けられたループ部材4の両方が、使い捨ておむつの装着の際に、止着に寄与することができる。そのため、このような止着テープを備えた使い捨ておむつは、着用者の腰周りにフィット性良く装着することが可能となる。また、使い捨ておむつを装着した際、着用者が止着テープに対して違和感を覚えにくくなる。これについて、以下に詳しく説明する。
【0027】
テープタイプの使い捨ておむつは、おむつ本体の前側部の外面側にターゲットテープが設けられ、このターゲットテープに、おむつ本体の幅方向の両側に設けられた止着テープを止着させることにより、パンツ形状に形成され、着用者の腰周りに装着することができる。この際、使い捨ておむつのサイズが着用者の腰周り寸法に適合する場合は、止着テープをターゲットテープに適切に止着することができるが、着用者の腰周り寸法が小さい場合は、止着テープをターゲットテープに適切に止着できず、左右の止着テープが一部重なり合うことが起こり得る。しかし、そのような場合でも、上記の止着テープ1を備えた使い捨ておむつであれば、左右の止着テープどうしを重ね合わせることで、フック部材3とループ部材4とを互いに係合させて止着テープを適切に止着させ、使い捨ておむつを着用者の腰周りにフィット性良く装着することができる。そのため、このような止着テープを有する使い捨ておむつは、着用者の胴周り寸法に対する適合範囲を広げることができる。
【0028】
止着テープ1が、例えば図2に示すように、つまみ部6を2つ有するように構成されるような場合は、2つのつまみ部6を互いにクロスさせるように重ね合わせてターゲットテープに止着する、いわゆるクロス留めに適した止着テープとなる。この際、上記のように止着テープ1の第1主面2Aにフック部材3が設けられ第2主面2Bにループ部材4が設けられていれば、つまみ部6どうしを重ね合わせた際に、止着テープ1に設けられたフック部材3とループ部材4とを互いに係合させて、安定してクロス留めすることができる。そのため、使い捨ておむつを着用者の腰周りによりフィット性良く装着することが可能となる。
【0029】
止着テープ1はまた、フック部材3とループ部材4がテープ基材2の第1および第2主面の平面視で互いに重ならないように設けられているため、止着テープの厚みが過度に厚く形成されない。そのため、止着テープが嵩張らず、使い捨ておむつを装着した際に、着用者が止着テープに対して違和感を覚えにくくなる。例えば上記に説明したように、左右の止着テープどうしを重ね合わせたり、クロス留めをした際にも、止着テープの嵩張りを抑えることができる。
【0030】
なお、テープ基材2の第1主面2Aには面ファスナーのループ部材は取り付けられないことが好ましく、テープ基材2の第2主面2Bには面ファスナーのフック部材は取り付けられないことが好ましい。また止着テープ1において、フック部材3とループ部材4は、製造における精度管理上不可避的に生じるなどの理由による重なりは許容され、例えば、フック部材3とループ部材4の重なりが1.0mm未満(好ましくは0.5mm未満)の場合は、フック部材3とループ部材4は互いに重ならないように設けられると見なす。なお、フック部材3とループ部材4は、製造の精度管理上の誤差を勘案しても、全体にわたって完全に重ならないように設けられることが好ましい。
【0031】
止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられてもよく、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられてもよい。前者の場合、使い捨ておむつの前側部の外面側には、ターゲットテープとして面ファスナーのループ部材が設けられることが好ましい。後者の場合、使い捨ておむつの前側部の外面側には、ターゲットテープとして面ファスナーのフック部材が設けられることが好ましい。なお、ターゲットテープとしては面ファスナーのループ部材が設けられることが好ましく、これにより、衣服の下に使い捨ておむつを着用した際に、ターゲットテープが衣類に係合して衣類を巻き込むことが起こりにくくなる。
【0032】
テープ基材2の第1主面2Aに取り付けられるフック部材3の数は、1つであっても、2つ以上であってもよい。テープ基材2の第2主面2Bに取り付けられるループ部材4の数は、1つであっても、2つ以上であってもよい。なお、フック部材3またはループ部材4が設けられる数が過剰になると、フック部材3またはループ部材4の1つ当たりの大きさが小さくなり、十分な係合力が得られなくなるおそれがある。従って、テープ基材2の第1主面2Aに取り付けられるフック部材3の数は、4つ以下が好ましく、3つ以下がより好ましく、2つ以下がさらに好ましい。また、テープ基材2の第2主面2Bに取り付けられるループ部材4の数は、4つ以下が好ましく、3つ以下がより好ましく、2つ以下がさらに好ましい。
【0033】
止着テープ1が、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる場合、フック部材3はテープ基材2の第1主面2Aに複数設けられることが好ましい。これにより、使い捨ておむつの着用の際、止着テープを安定して使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに止着することができる。この場合、テープ基材2の第2主面2Bに設けられるループ部材4は、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、複数のフック部材3の間に設けられることが好ましい。このようにループ部材4が設けられることにより、止着テープをターゲットテープに止着した際に、ループ部材4の位置が安定し、ずれにくくなる。そのため、このループ部材4にフック部材3を係合させることにより、左右の止着テープどうしを安定して重ね合わせたり、止着テープを安定してクロス留めすることができる。
【0034】
止着テープ1が、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる場合は、ループ部材4はテープ基材2の第2主面2Bに複数設けられることが好ましい。また、テープ基材2の第1主面2Aに設けられるフック部材3は、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、複数のループ部材4の間に設けられることが好ましい。これにより、使い捨ておむつの着用の際、止着テープを安定して使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに止着することができるとともに、上記に説明したように、左右の止着テープどうしを安定して重ね合わせたり、止着テープを安定してクロス留めすることができる。
【0035】
フック部材3とループ部材4は、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で、0.5mm以上30mm以下互いに離隔して設けられることが好ましい。フック部材3とループ部材4が0.5mm以上互いに離隔して設けられることにより、フック部材3が設けられた箇所とループ部材4が設けられた箇所との間で止着テープが折れ曲がりやすくなり、止着テープを使い捨ておむつの前側部のターゲットテープに止着した際に、止着テープによって着用者がごわつき感を覚えにくくなる。フック部材3とループ部材4が30mm以下互いに離間して設けられることにより、止着テープを使い捨ておむつの前側部のターゲットテープに止着した際、ターゲットテープと非対向となるテープ基材2の主面(すなわち、使い捨ておむつの外面側に向いたテープ基材2の主面)に取り付けられたフック部材3またはループ部材4の位置が安定化する。そのため、左右の止着テープどうしを安定して重ね合わせたり、止着テープを安定してクロス留めしやすくなる。なお、フック部材3とループ部材4が互いに離隔して設けられる場合、止着テープ1は、第1および第2主面の平面視で、フック部材3が設けられた箇所とループ部材4が設けられた箇所との間の部分がテープ基材2のみから構成されることが好ましい。
【0036】
止着テープ1に設けられたフック部材3とループ部材4は、幅方向xに並んで設けられていることが好ましい。このようにフック部材3とループ部材4が設けられることにより、止着テープを使い捨ておむつの前側部のターゲットテープに止着した際、止着テープが着用者の腰周りに沿って折れ曲がりやすくなる。そのため、止着テープの存在によって着用者が違和感を覚えにくくなる。また、このようにフック部材3とループ部材4が設けられることにより、使い捨ておむつの使用前、止着テープ1をフック部材3とループ部材4の間で折り返しやすくなる。例えば、止着テープ1の製造ラインにおいて、止着テープ1の先端部を第1主面2A側または第2主面2B側から押すことによって、止着テープ1をフック部材3とループ部材4の間で折り返すことが容易になる。このように止着テープを折り返すことにより、止着テープをコンパクトに折り畳んで、使用前の使い捨ておむつの取り扱い性を高めることができる。
【0037】
止着テープ1は、使い捨ておむつの肌面側に向くテープ基材2の主面に取り付けられたフック部材3またはループ部材4が、その反対側の主面に取り付けられたフック部材3またはループ部材4よりも先端側(すなわち幅方向xの外方側)に位置することが好ましい。使い捨ておむつの肌面側に向くテープ基材2の主面に、フック部材3またはループ部材4が複数設けられる場合は、複数設けられたフック部材3またはループ部材4の少なくとも1つが、その反対側の主面に取り付けられたフック部材3またはループ部材4よりも先端側に位置することが好ましい。このようにフック部材3とループ部材4を設けることにより、止着テープを安定して使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに止着することができるとともに、左右の止着テープどうしを重ね合わせたり、止着テープをクロス留めすることを安定して行うことができる。
【0038】
止着テープ1がフック部材3とループ部材4の間で折り返される場合、止着テープ1はフック部材3を内側にして(すなわちテープ基材2の第1主面2Aを内側にして)折り返されることが好ましい。テープ基材2が不織布、織布または編布から構成され、止着テープ1がこのように折り返されていれば、止着テープ1を折り返した状態でフック部材3をテープ基材2に仮留めすることができる。そのため、止着テープを折り返した状態を安定して保持することができる。なお、止着テープの仮留めとは、止着テープの使用前に、止着テープのフック部材3がターゲットテープ以外に脱着可能に止着されることを意味する。
【0039】
フック部材3とループ部材4は、つまみ部6において、テープ基材2を前後方向yに横切るように設けられることが好ましい。すなわち、フック部材3とループ部材4は、前後方向yに対して、各つまみ部6の一方側の縁から他方側の縁まで延在して設けられることが好ましい。これにより、フック部材3とループ部材4が前後方向yに対してより広い範囲で設けられ、止着テープを安定して使い捨ておむつの前側部のターゲットテープに止着しやすくなるとともに、左右の止着テープどうしを安定して重ね合わせたり、止着テープを安定してクロス留めしやすくなる。
【0040】
止着テープ1において、ターゲットテープと対向するテープ基材2の主面(すなわち、使い捨ておむつの肌面側に向いたテープ基材2の主面)に取り付けられるフック部材3またはループ部材4は、幅方向xの端縁が前後方向yに略平行に延びるように形成されていることが好ましい。このようにフック部材3またはループ部材4が設けられていれば、止着テープを使い捨ておむつの前側部のターゲットテープに止着した際、フック部材3またはループ部材4に対して幅方向xに剥がれる力が作用しても、フック部材3またはループ部材4がその力に対して広い範囲で対抗して、止着テープが不用意にターゲットテープから剥がれにくくなる。止着テープ1はまた、ターゲットテープと非対向となるテープ基材2の主面に設けられるフック部材3またはループ部材4についても、幅方向xの端縁が前後方向yに略平行に延びるように形成されていることが好ましい。これにより、第1主面2Aに設けられたフック部材3と第2主面2Bに設けられたループ部材4の間で、止着テープ1を幅方向xに折り返して、コンパクトに折り畳むことが容易になる。
【0041】
止着テープ1は、ターゲットテープと対向するテープ基材2の主面に取り付けられるフック部材3またはループ部材4が、その反対側の主面(すなわち、ターゲットテープと非対向のテープ基材2の主面)に取り付けられるフック部材3またはループ部材4を、幅方向xに対し両側から挟むように設けられることが好ましい。具体的には、止着テープ1が、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる場合は、テープ基材2の第1主面2Aにフック部材3が幅方向xに並んで複数設けられ、テープ基材2の第2主面2Bに設けられるループ部材4は、これら幅方向xに複数並んだフック部材3の間に設けられることが好ましい。止着テープ1が、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつの肌面側を向くように取り付けられる場合は、テープ基材2の第2主面2Bにループ部材4が幅方向xに並んで複数設けられ、テープ基材2の第1主面2Aに設けられるフック部材3は、これら幅方向xに複数並んだループ部材4の間に設けられることが好ましい。従って、図1および図2に示した止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aが肌面側を向くように使い捨ておむつに取り付けられることが好ましい。これにより、止着テープを安定して使い捨ておむつの前側部に設けられたターゲットテープに止着することができるとともに、止着テープをターゲットテープに止着した際に、ターゲットテープと非対向のテープ基材2の主面に設けられたフック部材3またはループ部材4の位置が安定し、左右の止着テープどうしを重ね合わせたり、止着テープをクロス留めすることを安定して行うことができる。
【0042】
本発明の止着テープは、使い捨ておむつに取り付けて好適に用いることができる。従って、本発明は、上記に説明した止着テープを備えた使い捨ておむつも提供する。以下、本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照して説明する。なお本発明の使い捨ておむつは、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0043】
図4および図5には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。図4は使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図5図4に示した使い捨ておむつのV-V断面図を表す。図4および図5には、図2に示した止着テープを備えた使い捨ておむつが示されている。なお図4では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。
【0044】
使い捨ておむつ11(11A)は、おむつ本体12と、おむつ本体12の幅方向xの両側に取り付けられた止着テープ1とを有する。おむつ本体12は、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有し、止着テープ1はおむつ本体12の後側部の両側に取り付けられている。図4では、おむつ本体12の右側に取り付けられた止着テープ1は展開状態となっており、おむつ本体12の左側に取り付けられた止着テープ1は折り畳まれた状態となっている。使い捨ておむつ11は、着用の際、前側部を着用者の腹部に、股部を着用者の股間部に、後側部を着用者の背部に当て、止着テープ1を展開した状態でおむつ本体12の前側部に設けられたターゲットテープ20に止着することで、パンツ形状に形成して使用する。
【0045】
使い捨ておむつ11において、前後方向yとは、使い捨ておむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当し、幅方向xとは、使い捨ておむつと同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、使い捨ておむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、使い捨ておむつの肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつの外面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
【0046】
おむつ本体12は、トップシート13と、バックシート14と、これらの間に配された吸収体15とを有する。トップシート13は、使い捨ておむつを着用した際に着用者側に位置するシートであり、バックシート14は、使い捨ておむつを着用した際に着用者とは反対側、すなわち外面側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート13を透過して吸収体15に収容される。バックシート14は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0047】
トップシート13は液透過性であることが好ましく、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート13として、織布、編布、有孔樹脂フィルム等を用いてもよい。
【0048】
バックシート14は液不透過性であることが好ましく、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、樹脂フィルム等を用いることができる。またバックシート14として、不織布とフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0049】
吸収体15は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体15としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは当該成形体を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱溶着性繊維が含まれてもよい。これらの熱溶着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0050】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0051】
吸収体15は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0052】
吸収体15の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体(あるいは吸収体を構成する成形体)の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収体が着用者の大腿部に挟まれて幅方向に圧迫されても歪みにくくする点から、吸収体、あるいは吸収体を構成する成形体は、砂時計形に形成されていることが好ましい。
【0053】
おむつ本体12には、トップシート13の幅方向xの両側に、トップシート13よりも幅方向xの外方に延在するサイドシート16が接合していることが好ましい。サイドシート16は液不透過性であることが好ましく、バックシート14に使用可能なシート材料から構成することができる。
【0054】
使い捨ておむつ11は、サイドシート16により、トップシート13の幅方向xの両側に、立ち上がりフラップ17が形成されることが好ましい。この場合、サイドシート16には、図5に示すように、トップシート13との接合部19よりも幅方向xの内方部分に前後方向yに延びる起立用弾性部材18が設けられることが好ましく、起立用弾性部材18の収縮力によってサイドシート16の内方部分が立ち上げられて、立ち上がりフラップ17を形成することができる。立ち上がりフラップ17を設けることにより、尿等の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ17は前後方向yの端部の内面がトップシート13上に接合されてもよく、これにより、おむつを着用の際に立ち上がりフラップ17が着用者の肌に向かって立ち上がりやすくなる。
【0055】
上記説明した各シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、10g/m以上が好ましく、12g/m以上がより好ましく、また40g/m以下が好ましく、30g/m以下がより好ましい。
【0056】
おむつ本体12には、幅方向xの両側にそれぞれ、前後方向yに延びる脚部弾性部材21が設けられることが好ましい(図4を参照)。脚部弾性部材21を設けることにより、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
【0057】
おむつ本体12には、前後方向yの端部に、幅方向xに延びるウェスト用弾性部材22を設けてもよい。ウェスト用弾性部材22の収縮力により、着用者の胴周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
【0058】
上記に説明した各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0059】
ターゲットテープ20は、おむつ本体12の前側部の外面側に設けられ、止着テープ1と着脱可能に形成される。ターゲットテープ20としては、面ファスナーのフック部材またはループ部材を用いることができ、これらの説明は上記の止着テープのフック部材とループ部材の説明が参照される。
【0060】
図4に示した使い捨ておむつ11Aでは、止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつ11Aの肌面側を向くように、おむつ本体12に取り付けられている。従って、止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aに取り付けられたフック部材3がターゲットテープ20と着脱可能となっており、ターゲットテープ20として面ファスナーのループ部材が設けられている。
【0061】
止着テープ1は、テープ本体部5がおむつ本体12に取り付けられる。使い捨ておむつ11Aでは、テープ本体部5の幅方向xの内方部分がおむつ本体12に取り付けられ、当該内方部分から幅方向xの外方にテープ本体部5がさらに延出している。テープ本体部5の幅方向xの内方部分はサイドシート16とバックシート14の間に固定されることが好ましく、これにより止着テープ1をおむつ本体12に安定して取り付けることができる。
【0062】
止着テープ1は、テープ本体部5からさらに幅方向xの外方につまみ部6が延出して形成され、つまみ部6の肌面側にフック部材3が設けられ、外面側にループ部材4が設けられている。使い捨ておむつ11Aでは、1つの止着テープ1において、つまみ部6が前後方向yに並んで複数(具体的には2つ)配置されており、複数のつまみ部6のそれぞれにフック部材3とループ部材4が設けられている。
【0063】
使い捨ておむつ11Aは上記のように構成された止着テープ1が設けられることにより、着用者の胴周り寸法に対する適合範囲を広げることができる。使い捨ておむつ11Aは、例えば通常の体型の着用者であれば、止着テープ1を使い捨ておむつ11Aの前側部に設けられたターゲットテープ20に止着することができるところ、胴周り寸法が小さい着用者に対しては、左右の止着テープ1の一部が重なり合うことが起こりうる。しかし、そのような場合でも、重なり合った下側の止着テープ1の外面側のループ部材4に上側の止着テープ1の肌面側のフック部材3を係合させることで、止着テープ1を使い捨ておむつ11Aの前側部に適切に止着することができる。
【0064】
使い捨ておむつ11Aはまた、前後方向yに並んで配置された2つのつまみ部6を互いにクロスさせるように重ね合わせて止着する、いわゆるクロス留めを行う場合にも、止着テープ1を好適に止着することが可能となる(図6を参照)。この場合は、前後方向yに並んで配置された一方のつまみ部6を他方のつまみ部6に重ね合わせた際に、一方のつまみ部6の外面側のループ部材4に他方のつまみ部6の肌面側のフック部材3を係合させることで、安定してクロス留めを行うことができる。そのため、使い捨ておむつ11Aを着用者の腰周りにフィット性良く装着することが可能となる。
【0065】
そして使い捨ておむつ11Aは、上記のように止着テープ1のつまみ部6どうしを重ね合わせても、フック部材3とループ部材4がテープ基材2の第1および第2主面の平面視で互いに重ならないように設けられているため、止着テープ1が嵩張らず、使い捨ておむつ11Aを装着した際に、着用者が止着テープ1に対して違和感を覚えにくくなる。
【0066】
使い捨ておむつ11Aでは、図4の左側に取り付けられた止着テープ1が、つまみ部6に形成された折り目F1で幅方向xに折り返されており、これにより使い捨ておむつ11Aの使用前、止着テープ1をコンパクトに折り畳むことができる。折り目F1は幅方向xに並んで配置されたフック部材3とループ部材4の間に形成されており、これにより止着テープ1を幅方向xに折り返すことが容易になる。また、止着テープ1は第1主面2Aを内側にして折り返されており、これにより、止着テープ1を折り目F1で折り返した際、フック部材3をテープ基材2に仮留めすることができる。そのため、使い捨ておむつ11Aの使用前、止着テープ1を折り返した状態を安定して保持することができる。折り目F1は、フック部材3およびループ部材4から0.5mm以上離れた位置に形成されることが好ましく、これにより、フック部材3またはループ部材4に邪魔されずに止着テープ1を折り目F1で折り返しやすくなる。一方、折り目F1はフック部材3またはループ部材4から5mm以下離れた位置に形成されることが好ましく、3mm以下がより好ましい。これにより、止着テープ1を折り目F1で折り返す際、止着テープ1をフック部材3またはループ部材4の縁に沿って折り返しやすくなる。
【0067】
使い捨ておむつ11Aは、止着テープ1が、おむつ本体12の幅方向xの側縁に沿った折り目F2でさらに折り返されていてもよい。これにより、使い捨ておむつ11Aの使用前、止着テープ1をさらにコンパクトに折り畳むことができる。折り目F2は、おむつ本体12の幅方向xの側縁から3mm以下離れた位置に形成されることが好ましく、2mm以下がより好ましい。折り目F2は、折り目F1で折り返されたつまみ部6と重ならないように形成されることが好ましい。
【0068】
なお図面には示されていないが、止着テープ1は、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつ11Aの肌面側を向くように、おむつ本体12に取り付けられていてもよい。この場合、止着テープ1は、使い捨ておむつ11Aの着用の際、テープ基材2の第2主面2Bに取り付けられたループ部材4がターゲットテープ20に止着されることとなり、ターゲットテープ20には面ファスナーのフック部材が設けられることとなる。
【0069】
図7および図8には、本発明の使い捨ておむつの他の一例を示した。図7は使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図8図7に示した使い捨ておむつに備えられた止着テープの平面図を表す。図8では、図8(a)に、止着テープをテープ基材の第1主面側から見た平面図が示されており、図8(b)に、止着テープをテープ基材の第2主面側から見た平面図が示されている。図7および図8において、図2図5に示した止着テープおよび使い捨ておむつと同じ構成部材は同一の参照符号を用いて示されている。また、下記の図7および図8の使い捨ておむつと止着テープの説明において、上記と重複する部分の説明は省略する。
【0070】
図7に示した使い捨ておむつ11(11B)は、図4に示した使い捨ておむつ11Aと止着テープ1の設置態様が異なり、おむつ本体12の幅方向xの両側に、止着テープ1が前後方向yに並んで複数(具体的には2つ)設けられている。なお、使い捨ておむつ11Bに設けられる止着テープ1は、つまみ部6が1つのみ設けられることが好ましい。使い捨ておむつ11Bはこのように止着テープ1が設けられることにより、前後方向yに並んで配置された2つのつまみ部6を互いにクロスさせるように重ね合わせて止着する、いわゆるクロス留めを行うのに適したものとなる。すなわち、前後方向yに並んで配置された一方のつまみ部6を他方のつまみ部6に重ね合わせた際に、一方のつまみ部6の外面側のループ部材4に他方のつまみ部6の肌面側のフック部材3を係合させることで、安定してクロス留めを行うことができる。そのため、使い捨ておむつ11Bを着用者の腰周りにフィット性良く装着することが可能となる。
【0071】
使い捨ておむつ11Bでは、止着テープ1のテープ本体部5の全体がおむつ本体12に取り付けられており、つまみ部6がおむつ本体12から幅方向xの外方に延在するように設けられている。このように止着テープ1がおむつ本体12に取り付けられていてもよい。なお、図7および図8に示した止着テープ1は、テープ本体部5の一部のみがおむつ本体12に取り付けられる態様を排除するものではない。
【0072】
使い捨ておむつ11Bでは、止着テープ1は、テープ基材2の第1主面2Aが使い捨ておむつ11Bの肌面側を向くように、おむつ本体12に取り付けられている。従って、使い捨ておむつ11Bでは、ターゲットテープ20として面ファスナーのループ部材が設けられている。なお、止着テープ1は、テープ基材2の第2主面2Bが使い捨ておむつ11Bの肌面側を向くように、おむつ本体12に取り付けられていてもよく、この場合、ターゲットテープ20には面ファスナーのフック部材が設けられることとなる。
【0073】
使い捨ておむつ11Bでは、図7の左側に取り付けられた止着テープ1が、つまみ部6に形成された折り目F1で幅方向xに折り返されており、折り返されたつまみ部6に設けられたフック部材3がおむつ本体12の肌面側に仮留めされている。このように、使い捨ておむつ11Bの使用前、止着テープ1のフック部材3はおむつ本体12に仮留めされていてもよく、これにより止着テープ1を折り返した状態を安定して保持することができる。
【符号の説明】
【0074】
1: 止着テープ
2: テープ基材
3: フック部材
4: ループ部材
5: テープ本体部
6: つまみ部
11: 使い捨ておむつ
12: おむつ本体
13: トップシート
14: バックシート
15: 吸収体
16: サイドシート
20: ターゲットテープ
【要約】
【課題】使い捨ておむつに設けられる止着テープであって、着用者が違和感を覚えにくく、使い捨ておむつに適用したときに、着用者の腰周りにフィット性良く装着することができる使い捨ておむつとすることができる止着テープと、当該止着テープを備えた使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】使い捨ておむつに設けられる止着テープ1であって、第1主面2Aとその反対側の第2主面2Bとを有するテープ基材2と、テープ基材2の第1主面2Aに取り付けられた面ファスナーのフック部材3と、テープ基材2の第2主面2Bに取り付けられた面ファスナーのループ部材4とを有し、フック部材3とループ部材4が、テープ基材2の第1および第2主面の平面視で互いに重ならないように設けられている止着テープ1と、当該止着テープ1がおむつ本体の幅方向の両側に取り付けられた使い捨ておむつ。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8