(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】改良固結体の製造方法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
E02D3/12 102
(21)【出願番号】P 2020200229
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2020-12-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507080514
【氏名又は名称】橋本 昌尚
(74)【代理人】
【識別番号】100097434
【氏名又は名称】加藤 和久
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌尚
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-193052(JP,A)
【文献】特開平07-150545(JP,A)
【文献】特開平06-128945(JP,A)
【文献】特開2002-302937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤の掘削混合攪拌手段として、縦軸線回りに回転して上下動が行われる掘削軸と、該掘削軸の下端又は下端近傍に該掘削軸と共に回転するよう設けられた掘削翼と、該掘削翼の上方の所定位置において前記掘削軸に対し、回転が自由で横方に突出するように設けられた回転自由翼と、を備える地盤改良機を用い、
前記掘削軸を回転させて下動し、回転する前記掘削翼にて地盤を所定深さまで掘削しながら掘削された掘削土中に固化剤を供給して、該固化剤と掘削された掘削土とを混合攪拌する混合攪拌工程を経ることで、地盤中に改良固結体を形成する、改良固結体の製造方法において、
前記回転自由翼を、その先端が、平面視、前記掘削軸の回転によって前記掘削翼の先端が描く円である掘削径円の外側に突出しない長さのものとしておき、
前記地盤改良機とは別の装置に、該回転自由翼が前記混合攪拌工程において前記掘削軸回りに回転するのを止めるための回転止め部材を、上下動可能に設けておき、
前記混合攪拌工程において、該別の装置に設けられている前記回転止め部材を前記掘削土中に貫入して前記掘削軸の下動に対応するように下動させ、該回転止め部材の所定部位によって、該回転自由翼が前記掘削軸回りに回転するのを止めることを特徴とする、改良固結体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良固結体の製造方法に関し、詳しくは、土木、建築の基礎工事などにおいて、軟弱な地盤を円柱状等に掘削しながら、例えば、掘削軸の先端から、石灰系やセメント系のスラリー状の固化剤(以下、単に固化剤ともいう)を吐出して、この固化剤と、掘削された掘削土(ほぐされた土砂等)とを混合、攪拌し、その後、固結させることにより、軟弱な地盤を円柱状等に固結、成形して、高強度に改良する、改良固結体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の改良固結体の製造に使用される地盤改良機において、地盤を掘削し、掘削された掘削土中に固化剤を供給して、該固化剤とその掘削土とを混合攪拌する混合攪拌工程を担う機構又は構造(掘削混合攪拌手段)としては、従来、縦軸線回りに回転する掘削軸と、その下端部(先端部)近傍に設けられた掘削翼を有する最も単純な構造のものと、該掘削翼に加え、その上方に設けられる、掘削翼よりも横方への突出量が小さい、1又は上下に複数の攪拌翼を有する構造のものが基本となっていた。例えば、攪拌翼を有する構造のものでは、回転する掘削軸の先端を地盤中に押し込み、掘削翼で地盤を掘削すると共に、その上方の攪拌翼とで、掘削土と、吐出される固化剤とを混合、攪拌するというものである。ところが、このものでは、特に粘性の高い粘土層における地盤の改良工事においては、掘削土や、掘削土と固化剤との混合体(混合流動体)が、掘削軸の回りに、掘削翼及び攪拌翼と共に回転してしまう(一緒に回動してしまう)、所謂、共回りを起こしやすく、このために、固化剤と掘削土とが平均に混合されないといった課題があった。そして、このような課題は、攪拌翼を有しない構造のものにおいても同様に存在する。
【0003】
こうした中、回転する掘削軸と、その先端部(下端部)近傍に設けられた掘削翼の上方において(攪拌翼があるものでは攪拌翼より下において、また、上下に複数の攪拌翼があるものでは、その攪拌翼の上下間において)、掘削軸に対しその縦軸線回りに相対的な回転が自由に外嵌して、取付けられている支持体(環状体)を有すると共に、この支持体(環状体)に、掘削軸からの横方への突出量が、掘削翼の突出量も大きい(長い)共回り防止翼と称される突出翼が設けられてなる地盤改良装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような共回り防止翼は、掘削軸の縦軸線(回転軸)回りの、相対的な回転が自由であるため、本願では、「回転自由翼」とも称する。なお、本願において、「地盤を掘削する」というのは、地面を掘り、排土して凹状の穴を形成することを意味するのではなく、当該掘削対象の地盤の土砂を、「ほぐす」ことを意味する。すなわち、本願において、「地盤を掘削する」というのは、例えば、アースオーガのように、回転軸(縦軸)回りに設けられたスクリューを回転させることにより、先端のオーガヘッドで掘削した土砂をスクリューで連続的に上方に排出(排土)しながら削孔(地盤(地面)を空掘り)するなどにより、地面を掘り、凹状の穴を設けることを意味するのではなく、地盤の土砂を、ほぐすことを意味する。
【0004】
特許文献1に記載の地盤改良装置(地盤改良機の掘削混合攪拌手段)では、地盤面(地面)を掘削開始面として該掘削軸を回転させながらその先端(下端)を地盤中に押し込み、下動させ、掘削翼によって掘削を始め、この掘削が進行すると、回転自由翼(共回り防止翼)の先端部が、地表における掘削径円の周縁の外側(未掘削土)に当たり、その未掘削土中に強制的に押し込まれる(食込まされる)ことになる。回転自由翼(共回り防止翼)の先端部の、このような未掘削土中への強制的に押し込まれにより、回転自由翼は、掘削軸の軸線回りに回転しないようになる。このように回転が止められた回転自由翼の存在によって、上記したような掘削土(土塊)や混合流動体(単に、「掘削土」ともいう)が掘削軸回りに共回りをすることを阻止する作用を果たすから、特許文献1に記載の地盤改良装置によれば、下方への掘削過程での、掘削土と固化剤との混合攪拌性(混合による均質性)が高められる、というものである。すなわち、掘削軸の軸線回りに共回りしようとする掘削土等は、少なくとも、回転が止められる回転自由翼の高さ部位では共回りが阻止されるから、その回転自由翼の上下において分断されるため、その分、掘削土は、掘削軸回りに、より均質に混合攪拌されるというものである。なお、本願において、「掘削径円」とは、平面視、掘削軸の回転によって掘削翼の先端が描く円を意味するが、掘削径ともいわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記地盤改良機における地盤の掘削混合攪拌手段(地盤改良装置)においては、共回り防止翼である回転自由翼の掘削軸回りの回転を止める手段が、その回転自由翼の先端を掘削径円より外側の未掘削土中への強制的な押し込み(食い込み)に依存するものであるため、必然的に掘削抵抗の増大、及びそれに伴う掘削軸の下動パワーの増大(大動力化)をもたらす。しかも、回転自由翼(共回り防止翼)の掘削軸回りの回転防止を確実にするためには、回転自由翼の先端が、掘削径より外の未掘削土(掘削の対象外の地盤中)へ食込む(入り込む)平面視における突出長をできるだけ大きく(長く)確保する必要がある。
【0007】
一方で、この回転自由翼の先端の突出長(未掘削土への食い込み量)を長くするほど、その先端部が地盤中に混在する瓦礫、石、岩に衝突する頻度、ないし可能性が高くなる。そして、このような衝突があると、掘削の進行が遅れ、場合によっては、掘削の停止を余儀なくされ、所望とする地盤改良工事ができないという、重大な問題を招くことがある。こうした問題を発生させず、施工性を高めるためから、回転自由翼の先端の突出長は、どうしても短めの設定とされ易い。一方、回転自由翼の先端の突出長(未掘削土への食い込み量)が短ければ、掘削翼によってその回転方向に回転(共回り)しようとする掘削土(土塊)や混合流動体による回転パワーにより、回転自由翼が、平面視、停止できないことがある。すなわち、回転自由翼の先端が滑り、掘削軸回りに回転してしまうことがある。このような場合には、共回り防止作用が得られないから、均質な改良固結体が得られないことになる。このような回転自由翼の回転の発生の有無は、地盤中(地中)において生じる事象であるから、その検知は困難であるが、施工後の改良固結体の掘り起こしによるその均質性等の品質検査(掘起こし検査)によって知られる。このように、従来の共回り防止翼(回転自由翼)によって、共回りを確実に防止しようとすると、施工効率が悪くなる一方で、その突出長(未掘削土への食い込み長さ)を短くすれば、共回り防止翼の回転を招いてしまい、掘削土と固化剤との好ましい混合攪拌が得られず、結果、改良固結体の品質低下を招いてしまう。
【0008】
本発明は、如上の問題に鑑みてなされたもので、上記した地盤改良機における回転自由翼(共回り防止翼)に起因する掘削抵抗の増大や掘削の進行の妨げもなく、回転自由翼の停止を確保し、掘削土や混合流動体の共回りの阻止作用が得られるようにして、掘削土と固化剤との良好な混合攪拌が得られる、改良固結体の製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の本発明は、地盤の掘削混合攪拌手段として、縦軸線回りに回転して上下動が行われる掘削軸と、該掘削軸の下端又は下端近傍に該掘削軸と共に回転するよう設けられた掘削翼と、該掘削翼の上方の所定位置において前記掘削軸に対し、回転が自由で横方に突出するように設けられた回転自由翼と、を備える地盤改良機を用い、
前記掘削軸を回転させて下動し、回転する前記掘削翼にて地盤を所定深さまで掘削しながら掘削された掘削土中に固化剤を供給して、該固化剤と掘削された掘削土とを混合攪拌する混合攪拌工程を経ることで、地盤中に改良固結体を形成する、改良固結体の製造方法において、
前記回転自由翼を、その先端が、平面視、前記掘削軸の回転によって前記掘削翼の先端が描く円である掘削径円の外側に突出しない長さのものとしておき、
前記地盤改良機とは別の装置に、該回転自由翼が前記混合攪拌工程において前記掘削軸回りに回転するのを止めるための回転止め部材を、上下動可能に設けておき、
前記混合攪拌工程において、該別の装置に設けられている前記回転止め部材を前記掘削土中に貫入して前記掘削軸の下動に対応するように下動させ、該回転止め部材の所定部位によって、該回転自由翼が前記掘削軸回りに回転するのを止めることを特徴とする。
【0010】
前記本発明とは別の「参考発明1」としては、地盤の掘削混合攪拌手段として、縦軸線回りに回転して上下動が行われる掘削軸と、該掘削軸の下端又は下端近傍に該掘削軸と共に回転するよう設けられた掘削翼と、該掘削翼の上方の所定位置において前記掘削軸に対し、回転が自由で横方に突出するように設けられた回転自由翼と、を備える地盤改良機であって、
前記掘削軸を回転させて下動し、回転する前記掘削翼にて地盤を所定深さまで掘削しながら掘削された掘削土中に固化剤を供給して、該固化剤と掘削された掘削土とを混合攪拌する混合攪拌工程を経ることで、地盤中に改良固結体を形成する、改良固結体の製造方法に用いられる地盤改良機において、
前記回転自由翼は、その先端が、平面視、前記掘削軸の回転によって前記掘削翼の先端が描く円である掘削径円の外側に突出しない長さのものとされ、
該地盤改良機には、平面視、前記掘削径円の内側において、前記掘削軸回りに回転することなく、前記掘削軸と共に上下動して、自身の所定部位によって、前記回転自由翼が前記掘削軸回りに回転するのを止めるよう構成された回転止め部材を備えていることを特徴とする、ものがある。
【0011】
また、前記本発明とは別の「参考発明2」としては、前記回転止め部材の前記所定部位と前記回転自由翼とが、該回転自由翼が前記掘削軸回りに正逆いずれの回転もしない構造を有していることを特徴とする、前記参考発明1の地盤改良機がある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の改良固結体の製造方法においては、それに用いる地盤改良機における前記回転自由翼は、その先端が、平面視、前記掘削軸の回転によって前記掘削翼の先端が描く円である掘削径円の外側に突出しない長さのものとされているため、前記混合攪拌工程において、該回転自由翼の先端が、前記掘削径円の外側の、相対的に硬い地盤(未掘削土)中に強制的に押し込まれることがない。これにより、該回転自由翼の先端が、未掘削土中に強制的に押し込まれる従来の地盤改良機を用いた改良固結体の製造方法(施工)に比べ、掘削抵抗を低減することができるし、回転自由翼の先端が、未掘削土中における瓦礫、石等に衝突して、掘削の進行を遅延させることや、施工の中断を招くといった問題を発生させることもない。
【0013】
一方、前記回転自由翼は、平面視、前記掘削径円の外側に突出しない長さのものとされているものの、本発明では、前記混合攪拌工程において、前記別の装置に設けられている前記回転止め部材を掘削土中に貫入して前記掘削軸の下動(下降)に対応するように下動させ、該回転止め部材の所定部位によって、前記回転自由翼が前記掘削軸回りに回転するのを止める、こととしている。このため、前記混合攪拌工程において、掘削土や混合流動体(以下、「掘削土等」ともいう)が、前記掘削軸回りに回転するように動くとしても、該回転自由翼は回転しないから、該回転自由翼によって、従来の共回り防止翼と同様の作用、効果が得られる。すなわち、掘削土等が、前記掘削軸回りに回転するように動き、該回転自由翼を回転させようとしても、該回転自由翼は必ず1回転以内に該回転止め部材の所定部位に当たり、それ以上の回転をしない。このように本発明によれば、前記混合攪拌工程において、掘削土等が前記掘削軸回りに回転(共回り)するとしても、該回転自由翼の高さ位置、及びその近傍では、掘削土等の回転(共回り)を確実に止めることができるので、好ましい混合攪拌が得られる。
【0014】
請求項1に記載の本発明によれば、従来の回転自由翼のように、その先端部分の未掘削土中への強制的な押し込まれによる掘削抵抗(貫入抵抗)の増大がないし、その先端部分が礫、石、岩等への衝突に起因する施工の遅れや中断等の問題もなく、回転自由翼の回転防止が得られる。よって、掘削土と固化剤との混合攪拌性に優れた、良好な改良固結体が得られる地盤改良工事を、効率的に進めることができる。
【0015】
なお、請求項1に記載の発明における「該回転止め部材の所定部位」は、基本的には、該回転止め部材のうち、前記回転自由翼の高さに対応する部位を意味する。このため、回転自由翼が、掘削軸の上下方向において、1段だけ設けられている場合には、「該回転止め部材の所定部位」は、回転自由翼に当たってその回転を止める部位である、該回転止め部材の下端部又は下端寄り部位とするのがよい。ただし、回転止め部材は、回転自由翼の自由な回転を止めれさえすればよいので、例えば、前記掘削軸に対する該回転自由翼の取付部位(該回転自由翼の基部のクランプ部位)など、回転自由翼自体ではないが、それに連なる部分(回転自由翼と一緒に回転する部分)に前記所定部位を係合等して当て、その回転を止めるようにしてもよい。
【0016】
本発明において使用される地盤改良機における前記掘削軸には、前記掘削翼に加え、その上方であって、前記回転自由翼の上方又は該回転自由翼の下方の少なくともいずれかに、上記したような攪拌翼が1又は複数、取付けられ(固定され)ていてもよい。ただし、この攪拌翼を前記回転自由翼の上方に設ける場合には、前記掘削径円の外側に突出しない長さであるだけでなく、前記回転止め部材に干渉しないか、該回転止め部材を該攪拌翼に干渉しないようにする。また、本発明において前記回転自由翼は、これを上下に複数、設けてもよい。
【0017】
請求項1に記載の改良固結体の製造方法において、地盤改良機とは「別の装置」は、バックホウやパワーショベル等の建機、或いはクレーン付トラックのように、それらに備わっているアーム等の上下動により、前記回転止め部材を上下動できる機構を備える建機等の装置であればよい。このような建機等を用いる場合には、前記回転止め部材を上下方向に延びる縦軸又は棒材とし、バックホウやパワーショベル、或いはクレーン付トラックにおけるアームの先端に、この回転止め部材を垂れ下げ状(上下方向に延びるように)に取付けておき、前記掘削径円の内側において、当該地盤改良機の掘削翼等の部分に干渉せず、該回転止め部材の下端部又は下端寄り部位等によって、前記回転自由翼の掘削軸回りの自由な回転を止め得るよう、前記混合攪拌工程において、前記回転止め部材を前記掘削軸の上下動にあわせて、該アームの先端を上下動等の駆動、制御をするなどして、上下動すればよい。
【0018】
前記参考発明1の地盤改良機の発明においては、上記構成を有する。このため、この地盤改良機を使用して、地盤中に改良固結体を形成する場合においては、請求項1に記載の改良固結体の製造方法と同様の作用、効果が得られる上に、当該地盤改良機自体が、上記構成の回転止め部材を備えているため、請求項1に記載の発明の、改良固結体の製造方法のように、前記地盤改良機とは「別の装置」を要しないし、当該地盤改良機が備えている上記回転止め部材により、格別の制御を要することなく、前記回転自由翼の回転を止めることができる。よって、前記参考発明1の地盤改良機を用い、前記掘削軸を回転させて下動させ、回転する前記掘削翼にて地盤を所定深さまで掘削しながら掘削された掘削土中に固化剤を供給して、該固化剤と掘削された掘削土とを混合攪拌する混合攪拌工程を経ることで、請求項1に記載の発明に比べ、より簡易、効率的に地盤中に所望とする改良固結体を形成することができる。
【0019】
なお、前記回転止め部材は、前記掘削軸と共に上下動して、自身の所定部位(例えば、下端部又は下端寄り部位)によって、該回転自由翼に当てる等して、該回転自由翼が前記掘削軸回りに回転するのを止めるように構成されていればよいが、前記参考発明2の地盤改良機のように、前記回転止め部材の前記所定部位と前記回転自由翼とが、該回転自由翼が前記掘削軸回りに正逆いずれの回転もしない構造を有しているのがよい。ただし、このような組付けにかかわらず、該回転止め部材は、該回転自由翼が前記掘削軸回りに回転するのを止めることができればよいので、請求項1に記載の発明と同様、例えば、前記掘削軸に対する該回転自由翼の取付部位(該回転自由翼の基部のクランプ部位)など、回転自由翼自体ではないが、それに連なる部分(回転自由翼と一緒に回転する部分)に前記所定部位を係合させる等して、その回転を止めるようにしてもよい。なお、前記参考発明1又は2の地盤改良機においても、請求項1に記載の発明に用いる地盤改良機について上記したように、前記掘削軸には、前記掘削翼に加えて、攪拌翼が取付けられ(固定され)ていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】請求項1に記載の本発明の実施の形態例にて使用される地盤改良機の概略構成を示す斜視図。
【
図2】
図1の地盤改良機の概略構成を示す拡大正面図(立面図)。
【
図3】
図1の地盤改良機と、別の装置(バックホウ)が備える回転止め部材を使用して、地盤改良をしている状態を説明する、地盤改良機の一部を省略して示した模式的正面図。
【
図4】
図3において、地盤改良機の回転自由翼に、別の装置(バックホウ)が備える回転止め部材を係合させて回転自由翼の回転を止めている状態の、
図3のP1部の説明用拡大図。
【
図5】
図4において、掘削軸、掘削径円等を上から見た模式図(平面図)。
【
図6】
図4を矢印A方向から見た図であって、回転自由翼に回転止め部材の所定部位が係合して回転自由翼の回転を止めている状態を説明する部分図。
【
図7】
図6において、回転止め部材の所定部位が二股をなし、この二股内に回転自由翼の先端部が挟み込まれている状態を説明する部分図であって、Aは回転自由翼を正面から見た図、BはAの側面図。
【
図8】
図7の二股に代えて、回転止め部材の所定部位を枠にして、この枠内に回転自由翼の先端部が通されている状態を説明する部分側面図。
【
図9】
参考発明1の地盤改良機の実施の形態例の概略構成を示す斜視図。
【
図10】
図9の地盤改良機の概略構成を示す拡大正面図(立面図)。
【
図11】
図10のうち、掘削軸等の主要部のみを示した拡大図。
【
図12】
図11において、掘削軸、掘削径円等を上から見た模式図(平面図)。
【
図13】
図9の地盤改良機における、回転止め部材の所定部位の変形例を説明する、掘削軸等の主要部のみを示した拡大左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の改良固結体の製造方法を具体化した1例について、
図1-
図6を参照しながら説明する。本例方法で用いる地盤改良機100は、地盤改良機本体103の前方(
図1左側)に、地盤の掘削混合攪拌手段として、縦軸線回りに回転し、上下動が行われる掘削軸(円形パイプ)10と、この掘削軸10の下端又は下端近傍に掘削軸10と共に回転するよう設けられた(固定された)左右一対の掘削翼20と、この掘削翼20の上方の所定位置において掘削軸10に対する回転が自由で、掘削軸10の横方に突出するように設けられた、左右一対の回転自由翼30と、を備えている。回転自由翼30は、その先端35が、平面視(上から見て)、掘削軸10の回転によって掘削翼20の先端が描く円である掘削径円Keの外側に突出しない長さ(掘削翼20より短い長さ)のものとされている(
図5参照)。この回転自由翼30は、掘削軸10に設けられた上下2つの固定フランジ13、13にて、上下方向への移動が規制される状態で、本例では、2つの片翼(左右一対翼)の基端に設けられた一対のクランプ(取付部)33で、掘削軸10を挟むようにされ、ボルト締めされ、掘削軸10に対して回転自在となるように取り付けられている。
【0022】
掘削軸10は、地盤改良機本体103の前方において略鉛直に保持され、掘削軸10の上端において、モータ50の回転軸に連結され、縦軸線回りに回転制御されるよう設けられている。モータ50は、地盤改良機本体103の前方において略鉛直に保持された昇降ガイド(保持支柱)60に対し、昇降(上下動)可能に取り付けられたブラケット70に取付けられている。昇降ガイド(保持支柱)60は、油圧シリンダ70により角度調節ができ、掘削軸10はこの調節により鉛直に角度調節ができるよう構成されている。また、この掘削軸10は、モータ50による回転状態において、或いは回転停止状態において、地盤改良機本体103の昇降ガイド(保持支柱)60の下方(下端寄り部位)に取付けられた掘削軸ガイド80におけるガイド孔を上下に貫通する状態で取り付けられており、安定した上下動(上昇、下降)ができるようにされている。これにより、掘削軸10は、略鉛直に保持されて縦軸線回りに回転制御され、ブラケット70の上下動に従い、上下動(昇降)するよう構成されている。
【0023】
このブラケット70の上下動は、昇降ガイド(保持支柱)60等に設けられた、図示しない上下駆動手段(例えば、チェーン駆動)にて駆動制御する設定とされている。また、本例では、その上動、すなわち、掘削軸10の引き上げにおいては、モータ50のマウント(又はブラケット70)を、保持支柱60の上部に取付けられたシーブ90に卷回されたワイヤ93によって引き上げを補助するよう構成されている。具体的には、モータ50のマウント(又はブラケット70)に結合されたワイヤ93を、地盤改良機本体103の前部の上に設けられたウインチ95を駆動し、巻き上げるよう構成されている。
【0024】
なお、図示の地盤改良機100は、移動(走行)手段105を備え、地盤改良機本体103の上部に、運転操作台107を備えており、オペレータが掘削軸10の回転、上下動等の運転、操作を行う設定とされている。また、地盤改良機本体103の平面視、四隅には、支持脚109を備えており、施工時における地盤改良機100の安定が保持される設定とされている。掘削軸10の上端のブラケット70近傍には、例えば、掘削軸10の下端の吐出口15(
図4等参照)から、固化剤(水溶液)を吐出し、掘削土中に供給するためのフレキシブルチューブ112の一端が接続されており、他端が固化剤の圧送元(図示せず)に接続されている。
【0025】
このような地盤改良機100を用いる地盤改良工事(地盤中に改良固結体を形成する、改良固結体の製造)に際しては、この地盤改良機100とは別に、例えば、バックホウ150等の装置(建機)を用意し、そのアーム153の先端(バケット)155等に、
図3、
図4に示したように、取付部157を介して、上下に延びる回転止め部材(棒材)160を、垂れ下げ状(略鉛直)に取付けておく。そして、平面視、掘削(地盤改良)予定である地盤(地面)Gにおける掘削径円Keの内側であって、回転自由翼30が回転するとした場合において、回転自由翼30の先端35よりも内側の位置において、掘削軸10の上下動にあわせる(同期、同調させる)ようにして、そのアーム153の先端155を上下動させて、回転止め部材160を上下動させるよう設定されている。
【0026】
すなわち、
図3、
図4に示したように、地盤改良の所定位置に、掘削軸10を位置させ、回転させて下降し、回転する掘削翼20にて地盤Gをその地面から、施工において要求されている所定深さまで掘削しながら掘削された掘削土中に固化剤を供給して、該固化剤と掘削された掘削土とを混合攪拌する混合攪拌工程を経ることで、地盤中に改良固結体を形成するのであるが、その混合攪拌工程においては、別の装置である本例のバックホウ150のアーム153の先端155に設けられている回転止め部材160を、そのアーム153の先端155を上下動させて掘削土中に貫入して、掘削軸10の下降に対応するように下動させる。この回転止め部材160の下動においては、回転止め部材160の所定部位(本例では、その下端部又は下端寄り部位)によって、回転自由翼30が掘削軸10回りに回転するのを止めるよう、その所定部位が回転自由翼30の高さに保持されるように回転止め部材160を下動、制御する。これにより、回転自由翼30が、掘削軸10回りに回転(共回り)しようとする掘削土等による回転パワーにて回転しようとしても、回転止め部材160の所定部位(側部)に回転自由翼30が当たり、回転自由翼30は構造的にその回転が止められる。すなわち、本例では、回転自由翼30は左右一対の構造とされているため、掘削軸10を正逆いずれの回転をさせるとしても半回転以内に、回転止め部材160の所定部位(側部)に当たり、その回転が止められる。
【0027】
このように、本例では、前記構成の地盤改良機100を用い、掘削軸10を回転させて下降し、回転する掘削翼20にて地盤Gを所定深さまで掘削しながら掘削された掘削土中に固化剤を供給して、該固化剤と掘削された掘削土とを混合攪拌する混合攪拌工程を経るのであるが、混合攪拌工程においては、別の装置に設けた回転止め部材160を、掘削軸10の上下動と同じか、略同じ速さで上下動させ、掘削土中に貫入して、回転自由翼30の掘削軸10回りの自由な回転を止めることになる。このため、この混合攪拌工程において、掘削土や、掘削土と固化剤との混合体(混合流動体)が、掘削軸10回りに回転するように動くとしても、回転しない回転自由翼30によって、従来の共回り防止翼と同様の作用、効果が得られる。しかも、回転自由翼30は、回転止め部材160の所定部位にて確実に回転が止められるから、混合攪拌工程において高さが変化する回転自由翼30の高さ位置、及びその近傍で、掘削土等の回転(共回り)を確実に止めることができ、好ましい混合攪拌が得られる。結果、混合攪拌工程の終了後、掘削軸10、回転止め部材160を地盤中から引き上げた後には良好な改良固結体が得られる。
【0028】
そして、混合攪拌工程においては、従来の回転自由翼30のように、その先端(先端部分)35の未掘削土中への強制的な押し込まれによる掘削抵抗(貫入抵抗)の増大がないし、その先端部分の礫、石、岩等への衝突に起因する施工の遅れや中断等の問題もない。よって、掘削土と固化剤との混合攪拌性に優れた、良好な改良固結体が得られる地盤改良工事を、効率的に進めることができる。ここに改良固結体(単位)は、略掘削径円Keを外径として、地面下、混合攪拌が行われた所定の高さのものである。
【0029】
なお、回転止め部材160の所定部位(本例では、下端部又は下端寄り部位)は、工事に際し、回転自由翼30が地上(地面G上)に位置し、目視できる段階において、回転自由翼30が回転しないよう、回転自由翼30の高さに位置するようにしておき、掘削軸10の上下動にあわせて、同速で上下動させるようにするとよい。地下(地中)に位置する回転自由翼30は目視できないので、回転止め部材160の掘削土中への貫入においては、回転止め部材160の下端部が回転自由翼30の上部(上縁)に衝突する危険性があるのに対し、このようにしておけば、その危険性を排除できるためである。そして、このようにする場合、
図7に示したように、回転止め部材160の所定部位である下端部は、二股165にして、その二股165にて回転自由翼30を挟み込むようにして、回転自由翼30の回転を止めるようにしてもよい(
図7-B参照)。このようにしておけば、掘削軸10の正転、逆転(右回転、左回転)に関係なく、回転自由翼30の回転を、常時、止めることができる。
【0030】
また、上記例では、回転止め部材160の上下動を、回転止め部材160の上端部、又は上端部近傍を別の装置であるバックホウ150のアーム153の先端155に取り付け、掘削軸10の上下動にあわせて、そのアーム153の先端155を上下動させるものとしているが、別の装置(例えば、バックホウ)のアーム153の先端155に、上下に延びる棒状の回転止め部材160を、上下に自由にスライドできるガイドを設けておく一方、
図8に示したように、回転止め部材160の下端部に、
図7に示したような二股165に代えて、例えば、横向きに貫通する枠(例えば四角の枠又は穴)167を設けておき、上記したように、工事に際し目視できる段階において、この枠(穴)内に、回転自由翼30の先端35を通しておき、回転自由翼30(掘削軸10)の上下動にて、回転止め部材160を上下動するようにしておいてもよい。このようにしておけば、別の装置において、回転止め部材160を上下動の駆動制御をすることなく、掘削軸10の下降(上昇)に対応するように下動(上動)させることができるので便利である。
【0031】
上記例では、地盤改良機100に攪拌翼の無いものを例示したが、掘削軸10には、回転自由翼30の上方等において、例えば
図4中に2点鎖線で示したように、別途、攪拌翼40を設けておいてもよい。攪拌翼40が回転自由翼30の上方に設けられているようなものでは、攪拌翼40が回転止め部材160の上下動に干渉しない長さのものとするか、回転止め部材160を攪拌翼に干渉しない位置において上下動するよう制御すればよい。なお、地中深くまで地盤改良をするため、掘削軸が長いものであるような場合には、回転自由翼30は、上下に複数、設けておいてもよいし、攪拌翼も、回転止め部材による回転自由翼の回転停止に支障がない条件下で、上下に複数、設けておいてもよい。
【0032】
上記例では、地盤改良機100と別の装置を用い、回転止め部材160を、その別の装置(例えば、バックホウ)に設け、掘削軸10の上下動に同調ないし同期するよう上下動するものとした
。次に、
図9-
図12に基き、回転止め部材160を、地盤改良機自体に掘削軸10と平行に取付けておき、その掘削軸10と同時に上下動するように備えている
、本発明とは別の参考発明1(以下、「参考発明」ともいう)の地盤改良機200の実施の形態例について明する。ただし、この
参考発明1の地盤改良機200については、上記例における地盤改良機100に対し、回転止め部材160及びその取付のための構成を付加した点のみが異なるだけであるため、同一部位には、同一の符号を付し、その相違点についてのみ説明する。
【0033】
図9、10等に示したように、この
参考発明1の地盤改良機200においては、地盤改良機本体103の前方において略鉛直に保持された昇降ガイド(保持支柱)60に、昇降可能に取り付けられたブラケット70、又はブラケット70に取付けられているモータ50のマウントから横に張出すよう設けられているブラケット張出し部73の下面に、平面視、掘削径円Keの内側において、上下に延びる棒状の回転止め部材160の上端が固定、又は吊り下げられる等して取付られている。回転止め部材(棒体)160は、掘削軸10と適度の間隔を保持され、掘削軸10と平行に、ブラケット張出し部73の下面から下方に吊り下げ状に設けられている。このような回転止め部材(本例では、丸棒)160は、その下端部又は下端寄り部位(下端部近傍)が、回転自由翼30の下縁(高さ部位)に位置するよう、その上下長が設定されている。なお、本例では、回転止め部材160は、掘削軸10の上下動をガイドする掘削軸ガイド80から横に張出すよう設けられているガイド張出し部83に設けられたガイド孔を上下に貫通して上下にスライドする状態で取り付けられており、掘削軸10と共に、ブラケット70の上下動に従い、安定した上下動(上昇、下降)ができるようにされている。このような構成の本例
(参考発明の実施の形態例)の地盤改良機200においては、回転止め部材160が、平面視、掘削径円Keの内側において、掘削軸10回りに回転することなく、掘削軸10と共に上下動すると共に、回転止め部材160の所定部位は、何らの制御を要することなく、回転自由翼30に係合させることができる。よって、本例
(参考発明の実施の形態例)の地盤改良機200を用いて地盤改良する際には、その混合攪拌工程において、掘削土等の回転パワーによって回転自由翼30が掘削軸10回りに回転しようとしても、確実にその回転を止めることができる。
【0034】
すなわち、このような参考発明の地盤改良機200を用いる地盤改良工事(地盤中に改良固結体を形成する、改良固結体の製造)に際しては、掘削軸10を回転させて下降し、回転する掘削翼20にて地盤Gを所定深さまで掘削しながら掘削された掘削土中に固化剤を供給して、該固化剤と掘削された掘削土とを混合攪拌を行うだけで、上記した改良固結体の製造方法と同様の好ましい改良固結体を地盤中に形成することができる。すなわち、当該地盤改良機200自体が、上記構成の回転止め部材160を備えているため、上記したような地盤改良機100を用いる地盤改良工事におけるように、「別の装置(例えば、バックホウ150)」を要しないし、当該地盤改良機200が備えている上記回転止め部材160により、自動的に、回転自由翼30の回転を止めることができるから、このような地盤改良機200を用いて地盤改良工事を行う場合には、上記したような「別の装置」を用いて地盤改良工事を行う場合よりも、より簡易、効率的に地盤中に所望とする改良固結体を形成することができる。
【0035】
上記した
参考発明の地盤改良機200において、回転止め部材160は、単に、上下に延びる棒状体とし、その下端部又は下端寄り部位が、掘削軸10回りに回転しようとする回転自由翼30の回転を止めるものとしたが、回転止め部材160の下端部は、上記した改良固結体の製造方法において用いた、別の装置(バックホウ)に設けた回転止め部材160のように、その下端部に、
図7に示したのと同様、二股165を設けておき、その二股165にて回転自由翼30を挟み込むようにして、掘削軸10の正転、逆転(回転方向)に関係なく、常時、回転自由翼30の回転を止めるようにしておいてもよいし、
図8に示したのと同様、回転止め部材160の下端部又は下端寄り部位に、横向きに貫通する枠(例えば四角の枠又は穴)167を設けておき、この枠(穴)内に、回転自由翼30の先端35を通しておいてもよい。また、上記例では、同一高さで左右一対の回転自由翼30,30とし、その片翼を回転止め部材160で止めるようにしたが、
図13の変形例に示したように、
図9に示した掘削混合攪拌手段において、1つの回転止め部材160の下端部寄り部位を2つに分岐して、各分岐部169,169にて、回転自由翼(両翼)30,30の回転を止めるようにしてもよい。
【0036】
上記した参考発明の地盤改良機200は、攪拌翼の無いものを例示したが、この地盤改良機200においても、上記したのと同様に、掘削軸10には、回転自由翼30の上方等において、別途、攪拌翼を設けておいてもよいし、回転自由翼30は、上下に複数、設けておいてもよい。なお、このように設ける場合には、1又は複数の回転自由翼30が、回転止め部材160の所定部位で、その回転が止められるよう、回転自由翼30の長さや、回転止め部材160の掘削径円Keの内側における位置を設定する。
【0037】
本発明は上記した内容のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々、変更して具体化できる。請求項1に記載の発明である改良固結体の製造方法に使用する地盤改良機、上記した参考発明1の地盤改良機における、掘削混合攪拌手段をなす、掘削軸、掘削翼、及び回転自由翼の具体的な形状、構造は、改良対象をなす地盤の土質、要求される改良品質等に応じた適宜のものとすればよい。また、上記したように、攪拌翼の有無についても同様である。そして、回転自由翼、攪拌翼の数等も、改良対象をなす地盤の土質、要求される改良品質等に応じた適宜のものとすればよい。いずれも、回転止め部材にて、回転自由翼の回転を止められるよう、適宜の形状、構造に設定すればよい。すなわち、回転止め部材は、その所定部位にて、掘削軸回りに共回りしようとする掘削土等の回転パワーによって回転させられることになる回転自由翼の回転を止められる回転ストッパとして作用するように、適宜の構成にて設定すればよい。
【符号の説明】
【0038】
10 掘削軸
20 掘削翼
30 回転自由翼
35 回転自由翼の先端
100,200 地盤改良機
150 別の装置
160 回転止め部材
G 地盤
Ke 掘削径円
【要約】 (修正有)
【課題】掘削軸に設けられる共回り防止翼である回転自由翼に起因する掘削抵抗の増大や掘削の進行の妨げもなく、回転自由翼の停止を確保し、その回転自由翼で、掘削土や混合流動体の共回りの阻止作用が得られるようにして、掘削土と固化剤との良好な混合攪拌が得られる、改良固結体の製造方法並びに地盤改良機を提供する。
【解決手段】回転自由翼30を、その先端35が、平面視、掘削軸10の回転によって掘削翼20の先端が描く円である掘削径円の外側に突出しない長さのものとしておく。回転自由翼30が混合攪拌工程で、掘削軸10回りに回転するのを止めるための回転止め部材160を、混合攪拌工程で掘削土中に貫入して、掘削軸10の下降に対応するように下動させ、回転止め部材160の下端部又は下端寄り部位で、回転自由翼30が掘削軸10回りに回転するのを止める。回転自由翼30の共回り防止が、掘削抵抗の増大等の問題もなく得られる。
【選択図】
図4