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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】マルチフレキシブル圧延設備
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/28 20060101AFI20220224BHJP
   B21B 39/00 20060101ALI20220224BHJP
   B21B 45/06 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
B21B1/28
B21B39/00 A
B21B45/06 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020517193
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018072469
(87)【国際公開番号】W WO2019068388
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-03-24
(31)【優先権主張番号】102017217766.7
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018207026.1
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】デンカー・ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】シュピル・カースティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴルム・アルヌルフ
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-164008(JP,A)
【文献】実開昭53-086443(JP,U)
【文献】堺製造所酸洗・圧延連続化設備(2CP-4TM)の建設,日新製鋼技報,日本,1990年12月,第63号,134-144頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/28
B21B 39/00
B21B 45/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備であって、
設備が、金属ストリップの連続酸洗をするための酸洗領域(A)と、金属ストリップの圧延をするための冷間圧延領域(B)を備え、
酸洗領域(A)と冷間圧延領域(B)は、連結モードと切離モードの両方で運転可能であり、
酸洗領域(A)は、金属ストリップを巻き戻すための少なくとも1つの巻戻し装置(1)と、巻戻し装置(1)によって巻き戻された金属ストリップを酸洗すべき連続金属ストリップに結合するための1つの溶接装置(2)と、連続金属ストリップを酸洗するための少なくとも1つの酸洗装置(4)と、金属ストリップを巻き取るために設備された少なくとも1つの巻取り装置(7)と、酸洗領域(A)の終端部に配置された1つの分離装置(6)を備え、
冷間圧延領域(B)は、圧延すべき金属ストリップを巻き戻すための1つの巻戻し装置(10)と、圧延すべき金属ストリップを圧延するための少なくとも一対のワークロール(11a,11b)を有する圧延装置(11)と、生産方向で少なくとも一対のワークロール(11a,11b)の下流に配置された1つの分離装置(12)と、圧延された金属ストリップを巻き取るための少なくとも1つの巻取り装置(13)を備え、
設備が、複数のストリップガイド要素を備え、これらストリップガイド要素は、連結モードで、酸洗領域(A)と冷間圧延領域(B)が、金属ストリップの案内に関して連結されていることにより、酸洗領域(A)で酸洗された連続金属ストリップが圧延をするための冷間圧延領域(B)に供給可能であるように、配置及び設備され、
また、これらストリップガイド要素は、切離モードで、酸洗領域(A)と冷間圧延領域(B)が、金属ストリップの案内に関して切離され、酸洗領域(A)で酸洗された連続金属ストリップの少なくとも一部が、巻取りをするための酸洗領域(A)の巻取り装置(7)に供給可能であるように、配置及び設備されている、
ものにおいて、
酸洗領域(A)と冷間圧延領域(B)の間に移行領域(C)が配置され、この移行領域は、連結モードへの切替え時に酸洗された連続金属ストリップの先端片を移行領域(C)の領域に位置決めされた連結ストリップ片(21)の酸洗領域(A)の側の終端部と結合し、これにより連続金属ストリップを圧延装置(11)に導入するように設備された溶接装置(20)を備えること、及び、冷間圧延領域(B)の始端部で巻戻しユニット(10)の近傍に機能的に移行領域(C)に付設された、酸洗領域(A)内の分離装置(6)と協働して連結ストリップ片(21)を移行領域(C)内に位置決めするための分離装置(23)が配置されていること、及び、連結ストリップ片(21)が、移行領域(C)とほぼ同じ長さを備え、再利用のため、冷間圧延領域(B)の巻取り装置(13)に巻き取られた連結ストリップ片(21)が酸洗領域(A)に供給可能であり、連結モードの終了時に、酸洗領域(A)に供給された連結ストリップ片(21)が移行領域(C)内に位置決めされること、特徴とする金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備。
【請求項2】
冷間圧延領域(B)は、切離モードで、圧延すべき金属ストリップが冷間圧延領域(B)の巻戻し装置(10)から圧延をするための一対のワークロール(11a,11b)に供給可能であるように設備された複数のストリップガイド要素を備えること、を特徴とする請求項1に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備。
【請求項3】
酸洗領域(A)は、溶接装置(2)によって連続ストリップに結合された金属ストリップを少なくとも部分的に貯蔵するように設備された少なくとも1つのストリップ貯蔵部(3,5,9)を備えること、を特徴とする請求項1又は2に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備。
【請求項4】
移行領域(C)は、酸洗領域(A)で酸洗された連続金属ストリップを冷間圧延領域(B)に搬送するための搬送手段を備えること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備。
【請求項5】
ストリップガイド要素は、酸洗領域(A)に、切離モードで、酸洗領域(A)で酸洗された連続金属ストリップを、巻取をするための酸洗領域の巻取り装置(7)に導入するように設備されたストリップ転路器(8)を有すること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備。
【請求項6】
冷間圧延領域(B)の圧延装置(11)は、連続圧延モードとバッチ圧延モードの両方を可能にするように設備されていること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備。
【請求項7】
冷間圧延領域(B)の圧延装置(11)は、ワンウエイ圧延モードとリバース圧延モードの両方を可能にするように設備されていること、を特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備。
【請求項8】
冷間圧延領域(B)の圧延装置(11)は、リダクション圧延モードと調質圧延モードの両方を可能にするように設備されていること、を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の設備で金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための方法であって、この方法が、切離モードから連結モードへの切替え時に、
酸洗された連続金属ストリップが酸洗装置(4)から移行領域(C)の溶接機(20)に供給されるように、ストリップガイド要素を設定するステップと、
酸洗された連続金属ストリップの先端片を溶接機(20)によって移行領域(C)の領域に位置決めされた連結ストリップ片(21)の酸洗領域(A)の側の終端部と結合するステップと、
圧延装置(11)の少なくとも一対のワークロール(11a,11b)を経て連結ストリップ片(21)を案内するステップと、
連結ストリップ片(21)が少なくとも一対のワークロール(11a,11b)を経て案内された後に、切断装置(12)によって連続金属ストリップから連結ストリップ片(21)を切断するステップを有すること、及び、連結ストリップ片(21)が、移行領域(C)とほぼ同じ長さを備え、再利用のため、冷間圧延領域(B)の巻取り装置(13)に巻き取られた連結ストリップ片(21)が酸洗領域(A)に供給可能であり、連結モードの終了時に、酸洗領域(A)に供給された連結ストリップ片(21)が移行領域(C)内に位置決めされること、を特徴とする金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための方法。
【請求項10】
ストリップガイド要素を設定するステップの前に、連結ストリップ片(21)が移行領域(C)に位置決めされること、を特徴とする請求項9に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための方法。
【請求項11】
設備が、連結モードで、
酸洗領域(A)の酸洗装置(4)に連続金属ストリップを供給するステップと、
酸洗装置(4)によって連続金属ストリップを酸洗するステップと、
酸洗された連続金属ストリップを冷間圧延領域(B)に搬送するステップと、
酸洗された連続金属ストリップを少なくとも一対のワークロール(11a,11b)によって圧延するステップと、
酸洗及び圧延された連続金属ストリップを冷間圧延領域(B)の巻取り装置(13)によって少なくとも部分的に巻き取るステップと、
によって作動するように、連結モードで、ストリップガイド要素が設定されること、を特徴とする請求項9又は10に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための方法。
【請求項12】
設備が、切離モードで、
連続金属ストリップを酸洗領域(A)の酸洗装置(4)に供給するステップと、
酸洗装置(4)によって連続金属ストリップを酸洗するステップと、
酸洗された連続金属ストリップの少なくとも一部を酸洗領域(A)の巻取り装置(7)によって巻き取るステップと、
によって作動するように、切離モードで、ストリップガイド要素が設定されること、を特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ストリップの酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備とこの設備で実施される金属ストリップの酸洗及び/又は冷間圧延をするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連結された酸洗タンデムトレイン(例えば英語ではPickling Line and Tandem Cold Mill、即ちPLTCMとして知られている)で、連続的に溶接された金属ストリップは、まず酸洗され、次いでマルチスタンド型のタンデムトレインで冷間圧延され、次いで所望のコイルサイズで分離及び巻き取られる。
【0003】
欧州特許出願公開第3 006 122号明細書は、連続酸洗設備とリバース圧延設備の連結を開示する。第1の冷間圧延過程で、酸洗された金属ストリップから、100~300tのコイル重量を有する大コイルが生産され、この大コイルは、それぞれ後続のストリップから切離される。第1の冷間圧延過程に続くリバース圧延過程に続き、第1の冷間圧延過程で生産された大コイルから、小さいコイルが生産及び搬出される。この圧延作業中、その間に酸洗されたストリップは、酸洗装置に続く貯蔵部に貯蔵される。次の圧延された大コイルを生産するため、貯蔵部からのストリップは、次に、次の圧延パスの前に、圧延設備での先行する圧延作業から残っている残留端と結合される。
【0004】
後続のストリップから大コイルを分離することにより、ストリップは、欧州特許出願公開第3 006 122号明細書に記載の設備で連続的に圧延されるのではなく、次に再び結合されるように、まず切離される。更に、欧州特許出願公開第3 006 122号明細書では、酸洗された圧延されてないストリップの製造は企図されていない。最後に、欧州特許出願公開第3 006 122号明細書によれば、ストリップを大コイルに巻き取るコイラからのストリップ材料の排出は企図されていない。逆に、ストリップを圧延設備から排出するために、リバース圧延過程を実行しなければならない。
【0005】
欧州特許第2 516 076号明細書は、リバース圧延設備と連結された連続酸洗設備を開示する。寸法外れ長さを縮小するため、ストリップは、酸洗ステップの後、第1の圧延過程を受けさせられ、圧延されたストリップの長さは、完成コイルの目標としたストリップ長さよりも大きい。リバース圧延過程を介して、過剰なストリップは、適当な分離ステップによって次に圧延されるストリップが所望のコイルサイズにされる前に、まずストリップ貯蔵部へ返送される。
【0006】
欧州特許第2 516 076号明細書による設備の場合も、ストリップは、連続的に圧延されるのではなく、リバース圧延モードのために切離される。欧州特許第2 516 076号明細書によっても、酸洗後にストリップを排出することは企図されていない。
【0007】
特開昭55-64906号公報は、選択的に、予備酸洗された供給されるストリップを調質すること、又は、酸洗ラインと連結されて連続モードで酸洗及び調質されたストリップを生産すること、ができる1スタンド型の調質圧延機を開示する。この場合、酸洗ラインの生産方向は、調質スタンドの生産方向とは反対方向に経過する。この場合、非連続的なバッチモードで調質が行なわれる限り、ストリップの部分-その長さは、酸洗浴の長さに相当する-が、酸洗浴内に残っており、これにより過剰酸洗される。より大きいコイルの生産は、特開昭55-64906号公報によれば企図されていない。特開昭55-64906号公報は、圧延過程/調質過程のないリバーシング及び酸洗を開示しない。
【0008】
欧州特許第1 148 956号明細書は、金属ストリップの経済的な酸洗及び冷間圧延をするための設備を開示する。欧州特許第1 148 956号明細書による設備は、プッシュプル型酸洗ラインを有し、このプッシュプル型酸洗ラインにより、所定の長さのストリップが酸洗され、このストリップは、排出されるか、直接的に更に圧延される。選択的に、予備酸洗されたストリップを中央のコイラ装置を介して圧延設備に供給することもできる。プッシュプル型酸洗ラインの構成に起因して、連続生産は可能でない。何故なら、常に所定のストリップ長さのコイルが一個で製造されるからである。スタンダードコイルサイズ(ジャンボコイル)以上のコイルの生産も企図されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許出願公開第3 006 122号明細書
【文献】欧州特許第2 516 076号明細書
【文献】特開昭55-64906号公報
【文献】欧州特許第1 148 956号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これに鑑みて、本発明の課題は、設備が、可能な運転モードと使用されるアウトプットコイルに関して高い柔軟性を可能にし、拡大された製品レンジを可能にする、金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備と相応の方法を提供することである。好ましくは、無作業時間及び寸法外れ長さも制限されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これら及び他の課題は、請求項1による金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備と、請求項9による金属ストリップの酸洗及び/又は冷間圧延をするための方法によって解決される。
【0012】
本発明は、金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備を提供する。換言すると、本発明による設備により、1つの同じ設備で金属ストリップを連続酸洗プロセスだけで加工すること、金属ストリップを冷間圧延プロセスだけで加工すること、及び、金属ストリップを連続酸洗プロセスとこれに連結された冷間圧延プロセスの両方で加工することが可能である。
【0013】
これに応じて、本発明による設備は、金属ストリップの連続酸洗をするための酸洗領域と、(同じ又は他の)金属ストリップの圧延をするための冷間圧延領域を備える。酸洗領域は、少なくとも、酸洗すべき金属ストリップを巻き戻すための1つの巻戻し装置を備える。適当な金属ストリップは、好ましくは、巻戻し装置が相応のコイルから巻き戻すことができる金属ストリップである。酸洗領域は、更に、少なくとも、巻戻し装置によって巻き戻された金属ストリップを酸洗すべき連続金属ストリップに結合するための1つの溶接装置と、連続金属ストリップを酸洗するための1つの酸洗装置を備える。酸洗領域は、更に、少なくとも、金属ストリップ(例えば、設備が下記の切離モードで作動する場合には連続金属ストリップの少なくとも一部)を巻き取るために設備された1つの巻取り装置を備える。
【0014】
本発明による設備の場合、冷間圧延領域は、少なくとも、圧延すべき金属ストリップを圧延するための一対のワークロールと、圧延された金属ストリップを巻き取るための1つの巻取り装置を備える。冷間圧延領域の巻取り装置は、生産方向で少なくとも一対のロールの下流に接続され、金属ストリップをスタンダードコイル又はラージコイル(ジャンボコイル)に巻き取るために設備することができる。
【0015】
本発明によれば、設備は、複数のストリップガイド要素を備え、これらストリップガイド要素は、連結モードで、酸洗領域と冷間圧延領域がストリップの案内に関して連結されていることにより、酸洗領域で酸洗された連続金属ストリップが、圧延をするための冷間圧延領域に供給可能であるように、配置及び設備されている。この場合、ストリップガイド要素は、例えば、金属ストリップを搬送する及び/又は金属ストリップの搬送方向を制御するために適当かつ配置された設備の部品である。適当なストリップガイド要素の例は、金属ストリップの案内及び搬送をするためのガイドテーブルと、金属ストリップの案内方向を変更するために適当なストリップ転路器を有する。
【0016】
本発明による設備の場合、ストリップガイド要素は、切離モードで、酸洗領域と冷間圧延領域が、金属ストリップの案内に関して完全に切離されているように、配置及び設備されている。換言すれば、切離モードで、金属ストリップは、酸洗領域から冷間圧延領域に搬送されず、設備構成要素は、同時に酸洗領域と冷間圧延領域の両方によって運転される。例えば、酸洗領域から冷間圧延領域への移行部の上流に、金属ストリップの搬送方向を適当に制御する適当なストリップ転路器を設けることができる。
【0017】
本発明による設備の場合、ストリップガイド要素は、切離モードで、酸洗領域で酸洗された連続金属ストリップの少なくとも一部が、巻取りをするための酸洗領域の巻取り装置に供給可能であるように、配置されている。従って、好ましい実施形態では、ストリップガイド要素は、酸洗領域にストリップ転路器を有し、このストリップ転路器は、切離モードで、酸洗領域で酸洗された連続金属ストリップが、巻取りをするための酸洗領域の巻取り装置に導入するために設備されている。従って、ストリップガイド要素は、構造的に独立した2つの領域を結合又は分離するために適当である。
【0018】
従って、本発明によれば、有利な方法で、連続酸洗過程と冷間圧延過程の連結/切離が可能になる。従って、本発明による設備は、切離モードで、冷間圧延過程を有しない連続酸洗を可能にし、連結モードで、冷間圧延が直接的に接続する連続酸洗を可能にする。これにより、本発明による設備は、ただ1つの設備でこの可能な運転モードに関する有利に高い柔軟性を許容する。
【0019】
好ましい実施形態では、冷間圧延領域は、更に、圧延すべき金属ストリップを巻き戻すための1つの巻戻し装置と、切離モードで、圧延すべき金属ストリップが冷間圧延領域の巻戻し装置から圧延をするための一対のワークロールに供給可能であるように設備された複数のストリップガイド要素を備える。このように、付加的に切離モードで酸洗が上流に接続されてない冷間圧延が可能になり、これが、設備の柔軟性を更に高める。
【0020】
好ましい実施形態では、酸洗領域は、溶接装置によって連続ストリップに結合された金属ストリップを少なくとも部分的に貯蔵するように設備された少なくとも1つのストリップ貯蔵部を備える。この場合、溶接設備から出る金属ストリップの速度と、金属ストリップが酸洗装置を通過することができる速度との間の差を相殺するために、溶接装置と酸洗装置の間に配置されたストリップ貯蔵部を使用することができる。更に、ストリップ貯蔵部に貯蔵された金属ストリップを、金属ストリップが酸洗装置から出るよりも高い速度で巻き取るために、酸洗装置の下流で、例えば酸洗領域の巻取り装置の上流に配置されたストリップ貯蔵部を使用することができる。従って、少なくとも1つのストリップ貯蔵部も、設備の柔軟性のために寄与し、特に連続金属ストリップの使用を助長する。
【0021】
好ましい実施形態では、設備が、更に、酸洗領域と冷間圧延領域の間に移行領域を備える。この場合、移行領域は、酸洗領域で酸洗された連続金属ストリップを圧延のために冷間圧延領域に搬送するための搬送手段、例えば適当なガイドテーブルを備える。移行領域は、更に、連結モードへの切替え時に酸洗された連続金属ストリップの先端片を連結ストリップ片と結合するように設備された溶接装置を備える。設備の連結モードへの切替え時に酸洗領域を通過した連続ストリップを適当に冷間圧延領域に、特に一対のワークロールの間に移動させるため、連結ストリップ片は、例えば移行領域内に位置決めすることができる。例えば、ストリップ始端部/先端片を付けた連結ストリップは、少なくとも一対のロールのロールの間を経て案内することができる。この通板過程中、ワークロール対の間のロールギャップは、目標厚さに設定すること又はより大きいギャップを備えることができる。連結ストリップの通過後、ロールギャップは、すぐに閉鎖することができる。両場合で、本来圧延すべき連続ストリップは、それほどの寸法外れ長さなしで圧延される。
【0022】
好ましい実施形態では、冷間圧延領域は、連続圧延モードとバッチ圧延モードの両方を可能にするように設備されている。好ましい実施形態では、冷間圧延領域は、ワンウエイ圧延モードとリバース圧延モードの両方を可能にするように設備されている。これら実施形態では、冷間圧延領域は、特にこれらモードのために適当なストリップ搬送手段及びガイド手段、並びに相応のマニュアル運転及び/又は自動化運転をするための相応に設備された制御ユニットを備えることができる。
【0023】
好ましい実施形態では、冷間圧延領域は、リダクション圧延モードと調質圧延モードの両方を可能にするように設備されている。このため、好ましくは、適当なロール粗さを有する適当なロールセットが設けられている。例えば駆動装置からのロールセットの切離、調整力の低減等のような他の措置が、好ましくは同様に設けられている。
【0024】
従って、好ましい実施形態で、設備は、以下の運転モードをそれぞれ同時に可能にするように設備することができる:
a)冷間圧延過程のない連続酸洗/酸洗が上流に接続されてない冷間圧延(酸洗装置及び冷間圧延装置の切離)と、圧延が直接的に接続する連続酸洗(連結モード);
b)連続圧延と、バッチ又は半連続冷間圧延(冷間圧延領域の異なる生産モード);
c)ワンウエイ圧延とリバース圧延(冷間圧延領域の異なる生産方向モード);
d)リダクション圧延と調質圧延(冷間圧延領域内の異なる圧延成形);
e)標準的なシングルコイル(スタンダードコイル)での運転と、マルチコイル/ラージコイルでの運転。
【0025】
好ましくは、設備は、運転モードa)~e)の少なくとも3つを可能にする。理論的には技術的にすべての運転モードa)~e)を唯一の設備によって実現することができるが、前記5つの運転モードの3つの間での切り替えに限定することが、有利であるとわかった。運転モードa)~e)の3つの組合せが、所望の柔軟な設備を可能にし、しかしながらその場合、設備が、同時に、実務のために有用で、生産技術的観点からもコイル物流に関しても有利である。
【0026】
好ましい実施形態では、設備(好ましくは固有の巻戻し装置と巻取り装置が付設された冷間圧延領域)は、3つのスタンダードコイル(約30-35tから25kg/mmの比重)即ち合計で約100tのコイルサイズのマルチコイルを加工するために設計されている。必要な安定性が得られ、巻取過程時の狭窄が許容範囲内に留まっていることが
わかった。
【0027】
本発明は、更に、前段で説明したような設備で金属ストリップの酸洗及び/又は冷間圧延をするための方法を提供する。この方法は、まず、連結モードで設備が作動可能であるようにストリップガイド要素を設定するステップを備える。例えば、生産方向で冷間圧延領域の上流に接続されたストリップ転路器は、連続金属ストリップが酸洗後に酸洗領域からストリップ転路器を介して冷間圧延領域に供給可能であるように設定することができる。ストリップガイド要素を設定するステップは、方法中の適当な各時点で実施することができる。
【0028】
方法は、更に、酸洗領域の酸洗装置に連続金属ストリップを供給するステップと、酸洗装置によって連続金属ストリップを酸洗するステップを備える。方法は、酸洗された連続金属ストリップを冷間圧延領域に搬送するステップを備える。方法は、酸洗された連続金属ストリップを少なくとも一対のワークロールによって圧延するステップを備える。更に、方法は、酸洗及び圧延された連続金属ストリップを冷間圧延領域の巻取り装置によって巻き取るステップを備える。この場合、圧延された連続ストリップは、例えば、連続ストリップの部分が例えばスタンダードコイル又はラージコイルに巻き取られ、これらコイルが、次に、それぞれ、残った連続ストリップから切断され、個々に搬出されるように、巻き取られる。従って、方法により、連続モード中に、コイルは、酸洗及び圧延された金属ストリップから製造することができる。
【0029】
好ましい実施形態では、冷間圧延領域が、更に、生産方向で少なくとも一対のワークロールの下流に配置された切断装置、例えばシャーを備える。その場合、好ましい実施形態では、方法が、酸洗された連続金属ストリップの先端片を連結ストリップ片と移行領域で結合するステップを備える。方法は、更に、少なくとも一対のワークロールを経て連結ストリップ片を案内するステップを備える。しかしながら、これらワークロールは、必ずしも、連結ストリップが圧延されない、即ち相応の力の作用を受けないように、互いに離間していない。方法は、更に、連結ストリップ片が少なくとも一対のワークロールを経て案内された後に、切断装置によって連続金属ストリップから連結ストリップ片を切断するステップを備える。方法は、好ましくは更に、連結部に続く連続ストリップが目標厚さに圧延されるように、少なくとも一対のロールのロール間隔の位置決めをするステップを備える。
【0030】
好ましい実施形態では、更に、設備が切離モードで作動可能であるようにストリップガイド要素を設定するステップを備える。このため、例えば、生産方向で冷間圧延領域の上流に接続されたストリップ転路器は、連続金属ストリップが酸洗後に酸洗領域からストリップ転路器を介して冷間圧延領域に供給可能ではなく、酸洗領域の巻取り装置に供給可能であるように設定することができる。酸洗ラインと冷間圧延機の構造的に独立した領域を連結又は切離するために、ストリップガイド要素を設定するステップは、方法中の適当な各時点で実施することができる。
【0031】
方法は、更に、連続金属ストリップを酸洗領域の酸洗装置に供給するステップと、酸洗装置によって連続金属ストリップを酸洗するステップと、酸洗された連続金属ストリップの少なくとも一部を酸洗領域の巻取り装置によって巻き取るステップを備える。この場合、酸洗された連続ストリップは、例えば、連続ストリップの部分が例えばスタンダードコイル又はラージコイルに巻き取られ、これらコイルが、次に、それぞれ、残った連続ストリップから切断され、個々に搬出されるように、部分的に巻き取られる。このため、酸洗領域は、好ましくは、生産方向で酸洗装置の下流に接続されかつ酸洗領域の巻取り装置の上流に接続された適当な分離装置、例えばシャーを備える。従って、方法により、連続モード中に、コイルは、酸洗された設備自身によって圧延されてない金属ストリップから製造することができる。
【0032】
好ましい実施形態では、方法は、連続金属ストリップを酸洗領域から圧延領域に供給するステップの前に、連結ストリップ片を移行領域に位置決めするステップを備える。これにより、連結ストリップが、切離された純粋な酸洗モードの後に、連結された酸洗/圧延モードのために再びすぐに提供され、例えば一時保存する必要がないことが、有利に可能になる。
【0033】
金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための前記設備及びこの設備と関係した方法は、
・酸洗及び油処理されたストリップ(圧延過程なし)の製造、又は、
・酸洗及び冷間圧延されたストリップの製造、又は、
・酸洗及び冷間圧延及び調質されたストリップの製造を、
選択的に
・連続モードで
・半連続モードで
・バッチモードで、
選択的に
1つの同じ設備で
・スタンダードコイル(約30tのコイル重量)
・スタンダードコイル重量の3倍まで、即ち最大約100tのコイル重量(ジャンボコイル)(例えば半連続生産で)で、
可能にする。
【0034】
好ましくは、設備は、
・ワンウエイ圧延モードと
・リバース圧延モードと
の間で切り替えることができる。
【0035】
限られたスペースで、これまで異なる設備のために提供されていた多くの異なる生産モードを互いに組み合わせることができる柔軟性の高い設備コンセプトを実現することが可能になる。
【0036】
本発明の実施形態を、図に図示し以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備の概略側面図
図2】金属ストリップの連続酸洗及び/又は冷間圧延をするための設備の概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1及び2に関して、切離モードで連続金属ストリップの連続酸洗と金属ストリップの冷間圧延の両方を可能にし、連結モードで連続金属ストリップの連続酸洗と酸洗された連続ストリップの引き続く冷間圧延を可能にする設備が記載されている。
【0039】
図1に図示したように、設備は、酸洗領域Aと、冷間圧延領域Bと、酸洗領域Aと冷間圧延領域Bの間に存在する移行領域Cに細分化される。以下の説明は、設備の重要な構成要素に集中する。明瞭さのため、場合によっては設けられるテーブル、偏向ローラ、ブライドル、駆動ローラ、媒体設備、搬送カー等の説明は省略する。
【0040】
酸洗領域Aに、設備は、巻戻しユニット(巻戻し装置)1を、例えばスタンダードコイル(例えば約30tのコイル重量)用に有する。しかしながらまた、巻戻しユニット1は、ラージコイル又はジャンボコイル(例えば約100tまでのコイル重量)用に設計することもでき、これは、この点で設備に高い柔軟性を可能にする。設備は、更に、巻戻しユニット1によって巻き戻された個々のストリップを連続したストリップに結合するための溶接機(溶接装置)2を有する。設備は、更に、ストリップ貯蔵部3、酸洗装置4、別のストリップ貯蔵部5、分離装置(例えばシャー)6、並びに巻取りユニット(巻取り装置)7及びストリップ転路器の形態のストリップガイド要素8を有する。
【0041】
巻取りユニット7は、選択的に1つ又は2つのコイラを有すること、又はターニングコイラとして設けることもできる。好ましくは、巻取りユニット7は、スタンダードコイルを生産するために設計することができ、これは、簡単な排出を可能にし、ラージコイルの外部分離を回避する。ストリップ転路器8は、引き続く冷間圧延過程が企図されていない場合に設備の切離モードで酸洗された連続ストリップを巻取りユニット7に供給するために設けることができるストリップガイド要素の例である。これにより、ストリップ転路器8は、酸洗ライン及び冷間圧延機の構造的に独立した領域を連結/切離するために使用される。
【0042】
巻取りユニット7によって巻き取られたコイルは、そこから適当に搬出することができる。従って、本発明による設備は、切離モードで、連続酸洗された圧延されてない金属ストリップの製造を可能にする。このモードで、酸洗領域Aと冷間圧延領域Bは切離されている。
【0043】
好ましい実施形態では、酸洗領域Aと冷間圧延領域Bの連結中に(設備の連結モードで)ロール交換が実施される又は実施可能である。図に概略的に示したように、この可能性のために、いずれにしても必要な期間のために、オプションで別のストリップ貯蔵部9が設けられており、この別のストリップ貯蔵部が、好ましくは分離装置6と巻取り装置7の間に配置することができる、もしくは、ストリップ貯蔵部5が、相応により大きく設計される。
【0044】
酸洗領域Aを冷間圧延領域Bと連結するため、適当なストリップガイド要素が設けられているので、酸洗された連続ストリップは、例えば適当なガイドテーブルを介して酸洗領域Aから冷間圧延領域Bに搬送することができる。また、このため,移行領域Cに適当なストリップ搬送装置を設けることができる。
【0045】
冷間圧延領域Bは、例えばスタンダードコイル又はラージコイル用の巻戻しユニット(巻戻し装置)10と、1つ又は複数のロールスタンド11を有する圧延装置を有する。ロールスタンド11は、それぞれ少なくとも一対のワークロール11a,11bを備え、これらワークロールは、成形作業もしくは調質作業を行なう。冷間圧延領域Bの出側に、別の分離装置12(例えばシャー12の形態の)と、巻取りユニット(巻取り装置)13が設けられている。巻取りユニット13は、同様にスタンダードコイル又はラージコイルように設計することができるので、設備は、好ましくは、スタンダードコイルでの運転と、ラージコイルでの運転の両方のために設計することができる。好ましくは、唯一の設備が、両運転を可能にすることができる。コイルの供給及び排出は、更に以下で説明する異なる方法で行なうことができる。
【0046】
独立した巻戻しユニット10を設けることにより、この設備に、予備酸洗されたコイルを、示した設備によって冷間圧延(だけ)を行なうために、他の設備から供給することもできる。設備の一貫したワンウエイモード時に、更に、示した設備によって既に1度圧延されたコイルが、再度圧延され得るために、新たに巻戻しユニット10に供給されることも可能である(バックツーバック圧延)。
【0047】
選択的又は付加的に、冷間圧延領域Bは、リバース設備として形成することもできる。例えば、その場合、第1の圧延過程は、連続モードで行なうことができ、次の圧延過程は、バッチ又は半連続モードでのリバース過程とすることができる。この場合、圧延装置11が最大で2つのロールスタンドから成る場合が有利であるとわかった。何故なら、3つ又はそれより多くのスタンドの場合、リバース圧延過程は、技術的な制御、通常のパスシーケンス並びに寸法外れ長さに関して望ましくない効果をもたらし得るからである。
【0048】
リバース圧延過程のため、この期間内で酸洗されたストリップを収容するために、拡大されたストリップ貯蔵容量を提供すべきである。このため、ストリップ貯蔵部5が拡大されるか、別のストリップ貯蔵部9が設けられる。
【0049】
リバース過程は、冷間圧延機の領域Bと酸洗領域Aの切離を意味する。連結モードの再開時、ストリップ転路器の形態のストリップガイド要素は、設備が連結モードで作動し得るように設定されなければならない。好ましくは、酸洗された更に圧延すべき新しい連続ストリップの先端片は、引き続き冷間圧延機で圧延するために、移行領域に位置決めされた連結ストリップと溶接される。
【0050】
冷間圧延領域Bでラージコイルを使用するため、コイルリフトカー又はウォーキングビームコンベヤを有する搬送システムの代わりにパレット(14)を有する搬送システムを使用することが、安全性に関して有利であるとわかった。このようなシステムは、図2の冷間圧延領域Bに略示されている。領域B内のこのパレット搬送システム(14)は、設備がワンウエイモードでのみ(例えば図に示した生産方向にのみ)運転される場合が、同様に有利である。何故なら、パレット搬送システムが、前記バックツーバック圧延用の快適な循環システムを可能にするからである。しかしながらまた、パレット搬送システムは同様にリバースモードで使用することもできるので、パレット搬送システムは、ワンウエイモードとリバースモードで柔軟に運転され得る設備にとって特に適当であるとわかった。特に、ラージコイルを巻く時及びコイル操作時並びに薄い最終厚さの圧延時に、好ましくは相応のスリーブの使用が企図される。これは、高い信頼性のために使用される。明瞭さの理由から、これは、図には図示してない。
【0051】
特に、冷間圧延領域Bでラージコイルが処理されるべき場合、選択的にコイル物流は、例えばコイルリフトカー15を介して行なうことができる。このようなコイル物流は、図2では模範的に酸洗領域Aにコイル搬送機15a及び15bによって略示されている。この場合、個々のコイル/スタンダードコイルは、コイルリフトカー15a上で巻戻しユニット1に搬送される、もしくは巻取りユニット7から搬出される(コイルリフトカー15b)。
【0052】
図1に示したように、図示した設備内には、酸洗領域Aと冷間圧延領域Bの間に、移行領域Cが配置されている。このような移行領域Cは、特に、図示した設備が、既存の設備の近代化として企図される場合、又は、構造上の前提条件がより大きい間隔を強いる場合に設けることができる。この場合、移行領域Cは、より大きい空間的距離(例えば20mよりも多く)を、酸洗領域Aと冷間圧延領域Bの間に橋渡すことができる。設備が、連結モードで運転される場合、酸洗されたストリップは、別の作業ステップなしで移行領域Cを経て、そこで成形するために冷間圧延領域Bに案内することができる。
【0053】
切離モードから連結モードへの切替え時、移行領域は、以下のように使用することができる。図1に示したように、移行領域Cには溶接機20が配置されている。移行領域Cの長さにほぼ一致する連結ストリップ片21は、この領域に位置決めすることができる。その場合、溶接機20は、連結ストリップ21の酸洗領域Aの側の終端部を、酸洗領域Aから移行領域Cに案内される酸洗された連続金属ストリップの先端片(又はストリップ始端部)と結合するために使用することができる。その場合、ストリップ始端部を付けた連結ストリップは、ロールスタンド11(ロール対11a,11bのロールの間)を経て案内される。この場合、ロール対11a,11bのロールの間のロールギャップは、連結ストリップ21の通過後、すぐに閉鎖することができるので、本来圧延すべき連続金属ストリップは、それほどの寸法外れ長さなしで圧延することができる。ロールスタンド(11)による厚さ縮小なしの連結ストリップ21の案内は、廃棄されるまで連結ストリップ21を頻繁に使用することができるとの利点を有する。加えて、厚さは、連続ストリップに依存せずに選択することができる。しかしながら、それは、必ずしも必要ではない。
【0054】
連結ストリップ21は、例えば巻取りユニット13に巻き付け、別々に搬出するために、分離装置12(例えばシャー12)の通過時に後続の連続金属ストリップから切断することができる。引き続き、本来の圧延材が、目標厚さに圧延され、巻取りユニット13に巻き取られる。
【0055】
この場合無作業時間を省くため、巻取りユニット13は、2つのコイラ、又は1つのターニングコイラ、又は1つのコイラと簡単な構成の1つのスモールコイルコイラから成ることができる。その場合、コイラの1つ又はスモールコイルコイラは、(メイン)コイラが酸洗及び圧延された連続金属ストリップを巻き取るために更に使用可能である間に連結ストリップを巻くために使用することができる(この解決策は、図には示されていない)。その場合、連結ストリップ21を有するスモールコイルは、再利用のために酸洗領域Aに再び供給することができる。例えば、連結ストリップは、最後のストリップが設備の連結運転モードで酸洗装置Aを通過する場合、酸洗領域Aに供給することができる。その場合、連結ストリップ21は、連結運転モードで圧延される、連結モードの最後のストリップの終端部と、切離運転モードの後続の最初のストリップの始端部との間に溶接することができ、これにより、これらストリップと共に生産方向に搬送されるようになる。連結ストリップ21を移行領域Cで再び切断するため、酸洗領域Aの終端部に分離装置6が設けられ、冷間圧延領域Bの始端部で巻戻しユニット10の近傍に(機能的には未だ移行領域Cに付属する)分離装置23が設けられている。従って、連結ストリップ21は、領域Cの前後で分離装置6及び23によって、例えばシャーによって、切り離すことができ、これにより、次の連結まで領域Cに留まることになる。酸洗領域Aのシャー6は、切離モードで、酸洗された連続ストリップの、巻取装置7に巻き取られた部分を、残りの連続ストリップから切断し、酸洗された圧延されてない金属ストリップからコイルを製造するために、使用することができる。
【0056】
切離モードで、冷間圧延領域Bは、ワンウエイ/バッチモード又はリバースモードで別の圧延課題を満足することができる。冷間圧延領域Bは、リダクションモードと調質モードの間で切り換えることができる。このため、特に、適当なロール粗さを有する相応のロールセットが設けられている。例えば駆動装置からのロールセットの切離、調整力の低減等のような他の措置を、構造的に企図することができる。コンセプト的に、相応の生産シーケンスにおいて、DCR(Double Cold Reduction Mill)モードが可能であり得る。
【符号の説明】
【0057】
A 酸洗領域
B 冷間圧延領域
C 移行領域
1 巻戻し装置(巻戻しユニット)
2 溶接装置(溶接機)
3 ストリップ貯蔵部
4 酸洗装置
5 ストリップ貯蔵部
6 分離装置、例えばシャー
7 巻取りユニット、巻取り装置
8 ストリップガイド要素/ストリップ転路器
9 ストリップ貯蔵部
10 巻戻しユニット/巻戻し装置
11 ロールスタンド
11a ワークロール
11b ワークロール
12 分離装置
13 巻取り装置/巻樋ユニット
14 パレット搬送システム
15a コイル搬送機
15b コイル搬送機
20 溶接機
21 連結ストリップ片
23 分離装置
図1
図2