(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】アレイ基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20220224BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220224BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20220224BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220224BHJP
H05B 33/24 20060101ALI20220224BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
H05B33/10
H05B33/24
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/30 349D
(21)【出願番号】P 2020517531
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 CN2019101615
(87)【国際公開番号】W WO2020224088
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】201910376302.1
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517333336
【氏名又は名称】武漢華星光電半導体顕示技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN CHINA STAR OPTOELECTRONICS SEMICONDUCTOR DISOLAY TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】305 Room,Building C5 Biolake of Optics Valley,No.666 Gaoxin Avenue,.Wuhan East Lake High-tech Development Zone Wuhan,Hubei 430079 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 雷
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109037493(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104733501(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H01L 51/50
H05B 33/22
H05B 33/10
H01L 27/32
H05B 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板であって、
ベース基板と、
前記ベース基板上に設けられる第1平坦層と、
前記ベース基板上に設けられ、前記ベース基板が露出されるように前記第1平坦層との間に遮断溝が形成される第2平坦層と、
前記第1平坦層上に設けられる第1電極層と、
前記第2平坦層の側面が遮蔽されるように前記第2平坦層上に設けられる反射層と、
前記第1平坦層の一部及び前記第2平坦層の一部が被覆されるように前記遮断溝上に設けられる画素定義層と、
前記第1電極層及び前記反射層上に設けられる発光層と、
前記発光層上に設けられる第2電極層と、を含み、
前記反射層は、前記第2平坦層から前記アレイ基板上に延伸し、
前記反射層と前記第1平坦層との間には、隙間が形成される、アレイ基板。
【請求項2】
前記ベース基板上に設けられる薄膜トランジスタ層をさらに含み、
前記第1平坦層は、前記薄膜トランジスタ層に対応して設けられる、請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記遮断溝の一側壁が被覆されるとともに前記ベース基板上に延伸するように前記反射層が前記第2平坦層上に設けられることにより、第2平坦層が前記反射層と前記ベース基板との間に設けられる、請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記反射層の材質は、前記第1電極層の材質と同じである、請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記第2平坦層の厚さは、前記第1平坦層の厚さよりも大きい、請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項6】
アレイ基板であって、
ベース基板と、
前記ベース基板上に設けられる第1平坦層と、
前記ベース基板上に設けられ、前記ベース基板が露出されるように前記第1平坦層との間に遮断溝が形成される第2平坦層と、
前記第1平坦層上に設けられる第1電極層と、
前記第2平坦層の側面が遮蔽されるように前記第2平坦層上に設けられる反射層と、
前記第1平坦層の一部及び前記第2平坦層の一部が被覆されるように前記遮断溝上に設けられる画素定義層と、
前記第1電極層及び前記反射層上に設けられる発光層と、
前記発光層上に設けられる第2電極層と、を含む、アレイ基板。
【請求項7】
前記ベース基板上に設けられる薄膜トランジスタ層をさらに含み、
前記第1平坦層は、前記薄膜トランジスタ層に対応して設けられる、請求項6に記載のアレイ基板。
【請求項8】
前記遮断溝の一側壁が被覆されるとともに前記ベース基板上に延伸するように前記反射層が前記第2平坦層上に設けられることにより、第2平坦層が前記反射層と前記ベース基板との間に設けられる、請求項6に記載のアレイ基板。
【請求項9】
前記反射層の材質は、前記第1電極層の材質と同じである、請求項6に記載のアレイ基板。
【請求項10】
前記第2平坦層の厚さは、前記第1平坦層の厚さよりも大きい、請求項6に記載のアレイ基板。
【請求項11】
アレイ基板の製造方法であって、
ベース基板を提供するステップと、
第1平坦層を第1マスクによって前記ベース基板上に形成するステップと、
第2平坦層を第2マスクによって前記ベース基板上に形成することで、前記ベース基板が露出されるように前記第1平坦層と前記第2平坦層との間に遮断溝が形成されるステップと、
第1電極層を第3マスクによって前記第1平坦層上に形成するとともに、前記第2平坦層の側面が遮蔽されるように反射層を前記第2平坦層上に形成するステップと、
前記第1平坦層の一部及び前記第2平坦層の一部が被覆されるように画素定義層を第4マスクによって前記遮断溝上に形成することで、互いに離間した一対の画素定義層が形成されるステップと、
発光層を前記第1電極層及び前記反射層上に形成するステップと、
第2電極層を前記発光層上に形成するステップと、を含む、アレイ基板の製造方法。
【請求項12】
前記ベース基板上に設けられる薄膜トランジスタ層をさらに含み、
前記第1平坦層は、前記薄膜トランジスタ層に対応して設けられる、請求項11に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項13】
前記遮断溝の一側壁が被覆されるとともに前記ベース基板上に延伸するように前記反射層が前記第2平坦層上に設けられることにより、第2平坦層が前記反射層と前記ベース基板との間に設けられる、請求項11に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項14】
前記反射層の材質は、前記第1電極層の材質と同じである、請求項11に記載のアレイ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示技術分野に関し、特にアレイ基板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下、単にOLEDと称される)は、高輝度、全視野角、高応答速度、柔軟な表示などの利点を有するため、表示分野に広く適用されている。
【0003】
従来から有機発光ダイオードに適用されるアレイ基板構造は、平坦層、陽極、画素定義層及びパッシベーション層で構成されている。一方、平坦層は透明材料により構成されるため、平坦層の透光性を透明材料によって強くすることができる。発光層が光を放出するとき、発光層は上方に光を放出するだけでなく、発光層の両側に沿って光を放出する。発光層の側面から放出される光を平坦層によって効果的に遮ることができない。発光層から放出される光、特に発光層の側面から放出される光を平坦層によって効果的に遮ることができないため、発光層の側面から放出される光は、表示パネルの表面において金属層による反射及び他のフィルム層による屈折によって迷光に変換される。すると、指紋認証などの生体認証技術では、製品の信号対雑音比が低下し、認証能力が低下してしまう。
【0004】
他方、発光層自体から放出される光は、各方向に進み、画素定義層などのフィルム層の吸収及び屈折による損失を受けるため、光放出効率が20%未満である。そして、高い使用輝度を得るためには、電源の出力を向上させる必要がある。そのため、消費電力が増加し、製品のバッテリ寿命が低下する。
【発明の概要】
【0005】
従来の有機発光ダイオードのアレイ基板における平坦層及び画素定義層はいずれも透明材料であるため、発光層の側面から放出される光を効果的に遮ることができず、表示パネルの全体的な光放出量を大幅に低下させ、内部光学指紋に対する信号干渉が発生し、信号対雑音比が低下し、消費電力も増加する。
【0006】
上記の問題を解決するために、本態様によれば、アレイ基板であって、ベース基板と、前記ベース基板上に設けられる第1平坦層と、前記ベース基板上に設けられ、前記ベース基板が露出されるように前記第1平坦層との間に遮断溝が形成される第2平坦層と、前記第1平坦層上に設けられる第1電極層と、前記第2平坦層の側面が遮蔽されるように前記第2平坦層上に設けられる反射層と、前記第1平坦層の一部及び前記第2平坦層の一部が被覆されるように前記遮断溝上に設けられる画素定義層と、を含み、前記反射層は、前記第2平面層から前記アレイ基板上に延伸し、前記反射層と前記第1平坦層との間には、隙間が形成されるアレイ基板が提供される。
【0007】
本態様の一実施例によれば、前記ベース基板上に設けられる薄膜トランジスタ層をさらに含み、前記第1平坦層は、前記薄膜トランジスタ層に対応して設けられる。
【0008】
本態様の一実施例によれば、前記遮断溝の一側壁が被覆されるとともに前記ベース基板上に延伸するように前記反射層が前記第2平坦層上に設けられることにより、第2平坦層が前記反射層と前記ベース基板との間に設けられる。
【0009】
本態様の一実施例によれば、前記反射層の材質は、前記第1電極層の材質と同じである。
【0010】
本態様の一実施例によれば、前記第1電極層及び前記反射層上に設けられる発光層と、前記発光層上に設けられる第2電極層と、をさらに含む。
【0011】
本態様の一実施例によれば、前記第2平坦層の厚さは、前記第1平坦層の厚さよりも大きい。
【0012】
上記の問題を解決するために、本態様によれば、アレイ基板であって、ベース基板と、前記ベース基板上に設けられる第1平坦層と、前記ベース基板上に設けられ、前記ベース基板が露出されるように前記第1平坦層との間に遮断溝が形成される第2平坦層と、前記第1平坦層上に設けられる第1電極層と、前記第2平坦層の側面が遮蔽されるように前記第2平坦層上に設けられる反射層と、前記第1平坦層の一部及び前記第2平坦層の一部が被覆されるように前記遮断溝上に設けられる画素定義層と、を含むアレイ基板がさらに提供される。
【0013】
本態様の一実施例によれば、前記ベース基板上に設けられる薄膜トランジスタ層をさらに含み、
前記第1平坦層は、前記薄膜トランジスタ層に対応して設けられる。
【0014】
本態様の一実施例によれば、前記遮断溝の一側壁が被覆されるとともに前記ベース基板上に延伸するように前記反射層が前記第2平坦層上に設けられることにより、第2平坦層が前記反射層と前記ベース基板との間に設けられる。
【0015】
本態様の一実施例によれば、前記反射層の材質は、前記第1電極層の材質と同じである。
【0016】
本態様の一実施例によれば、前記第1電極層及び前記反射層上に設けられる発光層と、前記発光層上に設けられる第2電極層をさらに含む。
【0017】
本態様の一実施例によれば、前記第2平坦層の厚さは、前記第1平坦層の厚さよりも大きい。
【0018】
上記の問題を解決するために、本態様によれば、アレイ基板の製造方法であって、ベース基板を提供するステップと、第1平坦層を第1マスクによって前記ベース基板上に形成するステップと、第2平坦層を第2マスクによって前記ベース基板上に形成することで、前記ベース基板が露出されるように前記第1平坦層と前記第2平坦層との間に遮断溝が形成されるステップと、第1電極層を第3マスクによって前記第1平坦層上に形成するとともに、前記第2平坦層の側面が遮蔽されるように反射層を前記第2平坦層上に形成するステップと、前記第1平坦層の一部及び前記第2平坦層の一部が被覆されるように画素定義層を第4マスクによって前記遮断溝上に形成することで、互いに離間した一対の画素定義層が形成されるステップと、を含むアレイ基板の製造方法がさらに提供される。
【0019】
本態様の一実施例によれば、前記ベース基板上に設けられる薄膜トランジスタ層をさらに含み、前記第1平坦層は、前記薄膜トランジスタ層に対応して設けられる。
【0020】
本態様の一実施例によれば、前記遮断溝の一側壁が被覆されるとともに前記ベース基板上に延伸するように前記反射層が前記第2平坦層上に設けられることにより、第2平坦層が前記反射層と前記ベース基板との間に設けられる。
【0021】
本態様の一実施例によれば、前記反射層の材質は、前記第1電極層の材質と同じである。
【発明の効果】
【0022】
本態様は、以下の有益な効果を有する。本態様は、アレイ基板及びその製造方法を提供する。アレイ基板の構造では、第2平坦層が設けられ、第2平坦層の辺縁に反射層が設けられる。反射層は主に反射効果を提供し、発光層の側面から放出される光を表示パネルの光放出方向に反射する。これにより、発光層の側面から放出される光が表示パネルの内部に放出されて他のフィルム層の吸収及び屈折による損失を受けることで発光層の発光効率が低下することが回避され、ひいては光放出量を増加させる効果が達成される。また、反射層の反射効果により、発光層の辺縁からの光漏れを防止する効果がさらに達成される。また、アレイ基板の製造方法では、従来のアレイ基板製造工程と比較して、本態様は、前記第2マスクを別途使用して第2平坦層を製造し、第2平坦層の辺縁に反射層を形成する。反射層によって提供される反射効果は、発光層の側面から放出される光を表示パネルの光放出方向に反射することにより、発光層の側面から放出される光による光漏れの発生を効果的に回避することができる。これにより、平坦層及び画素定義層の材料を変更することなく、光放出量を増加させ、発光層の辺縁からの光漏れを防止する効果が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本態様に係るアレイ基板の構造を示す概略図である。
【
図2A】本態様に係るアレイ基板の製造方法のフローチャートを示す概略図である。
【
図2B】本態様に係るアレイ基板の製造方法のフローチャートを示す概略図である。
【
図2C】本態様に係るアレイ基板の製造方法のフローチャートを示す概略図である。
【
図2D】本態様に係るアレイ基板の製造方法のフローチャートを示す概略図である。
【
図3】本態様に係るアレイ基板の製造方法のステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本態様の実施可能な特定実施例を例示する。
【0025】
図1から
図2A~
図2Dを参照して、
図1は、本態様に係るアレイ基板の構造を示す概略図である。
図2A~
図2Dは、本態様に係るアレイ基板の製造方法のフローチャートを示す概略図である。本態様によれば、ベース基板10、第1平坦層11、第2平坦層12、第1電極層13、反射層14及び画素定義層15を含むアレイ基板が提供される。前記第1平坦層11は、前記ベース基板10上の一部に設けられる。前記第2平坦層12は、前記ベース基板10上の他の一部に設けられ、前記ベース基板10が露出されるように前記第1平坦層11との間に遮断溝20が形成される。前記第1電極層13は、前記第1平坦層11上に設けられる。前記反射層14は、前記第2平坦層12の側面が遮蔽されるように前記第2平坦層12上に設けられる。前記画素定義層15は、前記第1平坦層11の一部及び前記第2平坦層12の一部が被覆されるように前記遮断溝20上に設けられる。
【0026】
前記アレイ基板によれば、ベース基板10上に薄膜トランジスタ層30及び有機発光ダイオード(図示せず)が順に積層されて設けられる。薄膜トランジスタ層30は、ベース基板10の第1平坦層11下に対応して設けられる。ベース基板10には、画素駆動回路(図示せず)が設けられる。前記有機発光ダイオードは、ベース基板10から離間する方向に沿って順に積層されて設けられる第1平坦層11、第2平坦層12、第1電極層13、反射層14、画素定義層15、発光層40及び第2電極層16を含む。前記発光層40は、前記第1電極層13及び前記反射層14上に設けられる。前記第2電極層16は、前記発光層40上に設けられる。第1電極層13は、ベース基板10の前記薄膜トランジスタ層30の上方に位置する。前記発光層40及び第2電極層16は、前記第2平坦層12に対応するベース基板10の前記他の一部まで延伸する。前記発光層40から放出される光は、上記フィルム層及びベース基板10を順次通過した後、ベース基板10の光放出面から放出される。
【0027】
ベース基板10は、ガラス、石英、サファイア、樹脂などの一般的な透明材料からなる基板であってもよい。また、ベース基板10における第1電極層13及び第2電極層16は、それぞれ陽極及び陰極であり、それらの具体的な設定がアレイ基板の設計要件に応じて決定される。第1電極層13は陰極であり、これに対応する第2電極層16は陽極であってもよい。発光層40から放出される光の全部又は一部は、ベース基板10を介して放出される。前記反射層14を介して発光層40の側面から放出される光を表示パネル(図示せず)の光放出方向に反射する。これにより、伝播中に他のフィルム層を通過する光の吸収及び屈折による損失が回避される。
【0028】
一実施例では、前記遮断溝20は、前記反射層14によって部分的に被覆されるように、前記第1平坦層11と第2平坦層12との間に設けられる。より詳細には、アレイ基板は、アレイ状に配列される複数の画素素子(図示せず)を含む。画素素子は、上記の有機発光ダイオードと、有機発光ダイオードの周囲に設けられる画素定義層15とを含む。遮断溝20は、本画素素子と隣接する画素素子との間の画素定義層15の接続を遮断するために使用される。すなわち、隣接する画素素子間に少なくとも一つの遮断溝20が設けられる。反射層14は、基本的には、前記遮断溝20が部分的に被覆されるように、当該遮断溝20内に延伸して前記第2平坦層12上に設けられる。すなわち、反射層14は、遮断溝20内の一側壁21が被覆されるように延伸し、さらに前記ベース基板10が被覆されるように延伸する。前記ベース基板10上に延伸する反射層14と前記第1平坦層11との間には、隙間が形成される。すなわち、前記ベース基板10上に延伸する反射層14は、前記第1平坦層11に接触しない。なお、前記反射層14は、遮断溝20の一側壁21を被覆し、遮断溝20の他側壁22を被覆しないことに留意されたい。また、反射層14は、遮光金属などの遮光材料で構成することができる。さらに、前記反射層14は、前記第1電極層13の延伸部であり、前記反射層14の材質は、前記第1電極層13の材質と同じである。このように、反射層14は、発光層の側面から放出される光を表示パネルの光放出方向に直接反射することにより、表示パネルにおける他の金属フィルム層とベース基板10との間の接触面での光の反射が低減され、他のフィルム層とベース基板10とが接触する接触面で発生する光の屈折も低減される。これにより、より多くの光を放出することができ、発光層40の辺縁からの光漏れが回避され、表示装置の表示効果が向上する。
【0029】
上記の説明からわかるように、本実施例によって提供されるアレイ基板は、基板内部の屈折及び反射によって迷光が形成される状況を低減すると同時に、放出される光を光放出面にさらにまとめて反射するために反射層が設けられ、これにより表示パネルの光放出効率が向上する。
【0030】
図2A~
図2Dから
図3を参照して、
図3は、本態様に係るアレイ基板の製造方法のステップを示す概略図である。前記製造方法は以下のステップを含む。
【0031】
ステップS01では、ベース基板を提供する。
【0032】
ステップS02では、第1平坦層を第1マスクによって前記ベース基板上の一部に形成する。ステップS01~S02は
図2Aに対応して参照する。
【0033】
ステップS03では、第2平坦層を第2マスクによって前記ベース基板上の他の一部に形成することで、前記ベース基板が露出されるように前記第1平坦層との間に遮断溝が形成される。ステップS03は
図2Bに対応している。
【0034】
ステップS04では、第1電極層を第3マスクによって前記第1平坦層上に形成し、前記第2平坦層の側面が遮蔽されるように反射層を前記第2平坦層上に形成する。ステップS03は
図2Cに対応している。
【0035】
ステップS05では、前記第1平坦層の一部及び前記第2平坦層の一部が被覆されるように画素定義層を第4マスクによって前記遮断溝上に形成することで、互いに離間した一対の画素定義層が形成される。ステップS03は
図2Dに対応している。
【0036】
ステップS01では、ベース基板上に薄膜トランジスタ層を形成するステップがさらに含まれる。前記薄膜トランジスタ層は、第1平坦層11の下に対応して設けられる。前記ベース基板には、画素駆動回路(図示せず)が設けられる。前記ベース基板は、ガラス基板、サファイア基板、シリコン基板などであってもよい。
【0037】
ステップS02では、前記ベース基板上にフォトレジストを形成(例えば、塗布によって)し、第1マスク(例えば、ハーフトーンマスク又はグレートーンマスク)によって露光、現像及びエッチングした後、残りのフォトレジストを除去して、第1平坦層が形成される。
【0038】
ステップS03では、別途第2マスクを追加し、まずパターン化された第2平坦層を形成し、フォトリソグラフィプロセスによってパターン化された第2平坦層をパターニング処理する。前のステップで説明したように、余分な部分をエッチング除去した後、第2平坦層が形成される。
【0039】
ステップS04では、まず第3マスクによってパターン化された第1電極層及びパターン化された反射層を形成し、フォトリソグラフィプロセスによってパターン化された第1電極層をパターニング処理することにより、前記第1平坦層上に前記第1電極層を形成する。同時に、第3マスクを使用しフォトリソグラフィプロセスによってパターン化された反射層をパターニング処理することにより、前記第2平坦層上に前記反射層を形成する。
【0040】
ステップS05では、第4マスクによってパターン化された画素定義層を形成し、フォトリソグラフィプロセスによってパターン化された画素定義層をパターニング処理することにより、前記第1平坦層の一部及び前記第2平坦層の一部が被覆されるように前記遮断溝上に互いに離間した一対の画素定義層を形成する。
【0041】
ステップS05では、ベース基板上に有機発光ダイオード(図示せず)を形成するステップがさらに含まれる。有機発光ダイオードは、ベース基板から離間する方向に順に積層されて設けられた第1平坦層、第2平坦層、第1電極層、反射層、画素定義層、発光層及び第2電極層を含む。前記発光層は前記第1電極層及び前記反射層上に設けられる。前記第2電極層は前記発光層上に設けられる。第1電極層はベース基板の前記薄膜トランジスタ層の上方に位置する。前記発光層から放出される光は、上記フィルム層及び前記ベース基板を順次通過した後、前記ベース基板の光放出面から放出される。
【0042】
発光層から放出される光の全部又は一部はベース基板を介して放出される。前記反射層を介して発光層の側面から放出される光を表示パネルの光放出方向に反射する。これにより、伝播中に他のフィルム層を通る光の吸収及び屈折による損失が回避される。
【0043】
一実施例では、前記遮断溝は、前記反射層によって部分的に被覆されるように、前記第1平坦層11と第2平坦層12との間に設けられる。より詳細には、アレイ基板は、アレイ状に配列された複数の画素素子を含む。画素素子は、上記の有機発光ダイオードと、有機発光ダイオードの周囲に設けられる画素定義層とを含む。遮断溝は、本画素素子と隣接する画素素子との間の画素定義層の接続を遮断するために使用される。すなわち、隣接する画素素子間に少なくとも一つの遮断溝が設けられる。反射層は、基本的には、前記遮断溝が部分的に被覆されるように当該遮断溝内に延伸して前記第2平坦層上に設けられる。すなわち、反射層は、遮断溝内の一方の側壁を被覆するように延伸し、さらに前記アレイ基板を被覆するように延伸する。前記アレイ基板上に延伸する反射層と前記第1平坦層11との間には、隙間が形成される。すなわち、前記アレイ基板上に延伸する反射層は、前記第1平坦層に接触しない。また、反射層は、遮光金属などの遮光材料で構成することができる。さらに、前記反射層は、前記第1電極層の延伸部であり、前記反射層の材質は、前記第1電極層の材質と同じである。このように、反射層は、発光層の側面から放出される光を表示パネルの光放出方向に直接反射することにより、表示パネルにおける他の金属フィルム層とベース基板10との間の接触面での光の反射が低減られ、他のフィルム層とベース基板との間の接触面で発生する光の屈折も低減られる。これにより、より多くの光を放出することができ、発光層の辺縁からの光漏れが回避され、表示装置の表示効果が向上する。
【0044】
上記の説明からわかるように、本実施例によって提供されるアレイ基板の製造方法は、第2平坦層を第2マスクによって形成するステップを追加することにより、その後に形成される反射層を第2平坦層の側面(すなわち、遮断溝の側壁)に設けることができる。このように、基板内部の屈折及び反射によって迷光が形成される状況を低減すると同時に、放出される光を光放出面にさらにまとめて反射するために反射層が設けられる。平坦層及び画素定義層の材料を変更することなく、光放出量を増加させ、発光層の辺縁からの光漏れを防止する効果が図られる。
【0045】
本態様は、以下の有益な効果を有する。本態様は、アレイ基板及びその製造方法を提供する。アレイ基板の構造では、第2平坦層が設けられ、第2平坦層の辺縁に反射層が設けられる。反射層は主に反射効果を提供し、発光層の側面から放出される光を表示パネルの光放出方向に反射する。これにより、発光層の側面から放出される光が表示パネルの内部に放出されて他のフィルム層の吸収及び屈折による損失を経ることで発光層の発光効率が低下することが回避され、ひいては光放出量を増加させる効果が達成される。また、反射層の反射効果は、発光層の辺縁からの光漏れを防止する効果がさらに達成される。また、アレイ基板の製造方法では、従来のアレイ基板製造工程と比較して、本態様は、前記第2マスクを別途使用して第2平坦層を準備し、第2平坦層の辺縁に反射層を形成する。反射層によって提供される反射効果は、発光層の側面から放出される光を表示パネルの光放出方向に反射し、発光層の側面から放出される光による光漏れの発生を効果的に回避する。これにより、平坦層及び画素定義層の材料を変更することなく、光放出量を増加させ、発光層の辺縁からの光漏れを防止する効果が図られる。
【0046】
以上、本態様は好適実施例で上記のように開示されたが、上記好適実施例は本態様を限定するためのものではない。当業者は、本態様の精神及び範囲から逸脱しない限り、若干の変更及び修正を加えることができる。したがって、本態様の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義される範囲に準ずる。