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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】物理的境界監視器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04815 20220101AFI20220224BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20220224BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
G06F3/0481 150
G06F3/0346 422
G06F3/01 570
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020517779
(86)(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018052719
(87)【国際公開番号】W WO2019067470
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】62/566,306
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/631,048
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【弁理士】
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】ミルホセイニ セイエドクーシャ
(72)【発明者】
【氏名】バル-ジーヴ アヴィ
(72)【発明者】
【氏名】マクロバーツ ダンカン エイ.ケイ.
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-532178(JP,A)
【文献】特表平10-504917(JP,A)
【文献】特開2015-191124(JP,A)
【文献】国際公開第2016/073783(WO,A1)
【文献】特表2019-516180(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0277119(US,A1)
【文献】特開2011-128838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/033 - 3/039
G06F 3/048 - 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想現実環境を表示している間に物理的障害物を示す方法であって、前記方法は、
1つ以上のプロセッサと、メモリと、1つ以上のカメラとを有する電子デバイスにおいて、
地面を表す表面を含む仮想現実環境を表示することと、
前記電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離を判定することと、
前記電子デバイスと前記物理的オブジェクトとの間の前記距離が第1の閾値距離内であるか否かを判定することと、
前記距離が前記第1の閾値距離内であるとの判定に従って、前記仮想現実環境内に視覚効果を表示し、前記視覚効果を表示することが、前記物理的オブジェクトの仮想表示を示すことなく前記地面上に暗色領域を表示し、前記暗色領域は前記電子デバイスに対する物理的環境内の前記物理的オブジェクトの位置に対応することと、
前記電子デバイスと前記物理的オブジェクトとの間の前記距離が第2の閾値距離内であるか否かを判定することと、
前記距離が前記第2の閾値距離内であるとの判定に従って、前記物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現を表示することであって、前記視覚的表現が前記1つ以上のカメラを使用して提供される、ことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記電子デバイスがウェアラブルヘッドセットである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電子デバイスと前記物理的オブジェクトとの間の前記距離が前記第1の閾値距離内であるか否かを判定することが、
前記電子デバイスが前記物理的環境内の前記物理的オブジェクトに近づいているか否かを判定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の閾値距離及び前記第2の閾値距離のうちの少なくとも1つが、前記電子デバイスの移動速度に基づく、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記物理的オブジェクトに基づいて、前記第1の閾値距離及び前記第2の閾値距離を判定することを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記視覚効果を表示することが、
前記仮想現実環境内に1つ以上の仮想オブジェクトを表示することであって、前記1つ以上の仮想オブジェクトは、前記物理的オブジェクトが前記電子デバイスから前記第1の閾値距離内であるというインジケーションである、ことを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記表示された1つ以上の仮想オブジェクトのうちの少なくとも1つの外観を、前記電子デバイスと前記物理的オブジェクトとの間の前記距離に基づいて変化させることを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電子デバイスが前記物理的オブジェクトに近づいているか、又は遠ざかっているかを判定することと、
前記電子デバイスが前記物理的オブジェクトに近づいているとの判定に従って、前記電子デバイスと前記物理的オブジェクトとの間の前記距離に基づいて前記暗色領域を暗色化することと、
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記電子デバイスが前記物理的オブジェクトから遠ざかっているとの判定に従って、前記暗色領域を明るくすることを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記暗色領域の寸法が前記物理的オブジェクトのサイズに対応する、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記電子デバイスと前記物理的環境内の前記物理的オブジェクトとの間の前記距離が前記第2の閾値距離内であるか否かを判定することが、
前記電子デバイスが前記物理的オブジェクトに近づいているか否かを判定することと、
前記電子デバイスが前記物理的オブジェクトに近づいているとの判定に従って、前記電子デバイスと前記物理的環境の前記物理的オブジェクトとの間の前記距離が前記第2の閾値距離以下であるか否かを判定することと、
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記視覚効果が、前記物理的オブジェクトに関連付けられた前記距離に対応する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上のプロセッサと、メモリと、1つ以上のカメラと、を備える電子デバイスに、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法に含まれる手順を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項14】
1つ以上のカメラと、
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記コンピュータプログラムを実行可能な1つ以上のプロセッサと、
を備える、電子デバイス。
【請求項15】
1つ以上のカメラと、
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法に含まれる手順を実行する手段と、
を備える電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年2月15日に出願された「PHYSICAL BOUNDARY GUARDIAN」と題する米国仮特許出願第62/631048号、及び2017年9月29日に出願された「PHYSICAL BOUNDARY GUARDIAN」と題する米国仮特許出願第62/566306号に対する優先権を主張する。両方の出願の内容は、その全体があらゆる目的で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、コンピュータ模擬現実インタフェースに関し、より具体的には、仮想現実環境内の物理的障害物を示す技術に関する。
【0003】
仮想現実デバイスは、ユーザを仮想環境内に没入する。ユーザが仮想環境で動き回る間に、仮想環境に没入し過ぎて、ユーザは、隣接する物理的環境内の物理的オブジェクトと衝突する可能性がある。例えば、仮想現実ヘッドマウントデバイスを装着している間に、ユーザは、仮想現実において大きな(仮想)部屋を動き回ることができるが、このプロセスでは、ユーザが物理的に位置する物理的部屋の物理的壁と衝突する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ユーザが仮想現実環境に没入している間に、ユーザの直近の物理的環境にある物理的障害物を示すための技術を記載する。例示的一実施形態において、仮想現実環境が表示される。電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が判定される。更に、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が第1の閾値距離内であるか否かが判定される。距離が第1の閾値距離内であるとの判定に従って、視覚効果が仮想現実環境内に表示される。更に、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が第2の閾値距離内であるか否かが判定される。距離が第2の閾値距離内であるとの判定に従って、物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現が表示される。視覚的表現は、1つ以上のカメラによって提供される。
【0005】
例示的一実施形態において、仮想現実環境が電子デバイスのディスプレイ上に表示されている間に、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が判定される。更に、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が閾値距離内であるか否かが判定される。仮想現実環境は、地面を表す表面を有する。距離が閾値距離内であるとの判定に従って、視覚効果が仮想現実環境内に表示される。視覚効果は、物理的オブジェクトに関連付けられた距離に対応する。更に、視覚効果は、仮想現実環境の仮想地面に配置される。
【0006】
例示的一実施形態において、電子デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。1つ以上のプログラムは、仮想現実環境を表示し、かつ電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離を判定する命令を含む。1つ以上のプログラムは、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が第1の閾値距離内であるか否かを判定する更なる命令を含む。1つ以上のプログラムは、距離が第1の閾値距離内であるとの判定に従って、仮想現実環境内に視覚効果を表示する更なる命令を含む。1つ以上のプログラムは、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が第2の閾値距離内であるか否かを判定し、距離が第2の閾値距離内であるとの判定に従って、物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現を表示する、更なる命令を含む。視覚的表現は、1つ以上のカメラによって提供される。
【0007】
例示的一実施形態において、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶するメモリとを含む。1つ以上のプログラムは、仮想現実環境を表示し、かつ電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離を判定する命令を含む。1つ以上のプログラムは、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が第1の閾値距離内であるか否かを判定する更なる命令を含む。1つ以上のプログラムは、距離が第1の閾値距離内であるとの判定に従って、仮想現実環境内に視覚効果を表示する更なる命令を含む。1つ以上のプログラムは、電子デバイスと物理的環境内の物理的オブジェクトとの間の距離が第2の閾値距離内であるか否かを判定し、距離が第2の閾値距離内であるとの判定に従って、物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現を表示する、更なる命令を含む。視覚的表現は、1つ以上のカメラによって提供される。
【0008】
例示的一実施形態において、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、仮想現実環境を表示する手段と、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離を判定する手段と、を含む。電子デバイスは、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が第1の閾値距離内であるか否かを判定する手段を更に含む。電子デバイスは、距離が第1の閾値距離内であるとの判定に従って、仮想現実環境内に視覚効果を表示する手段を更に含む。電子デバイスは、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が第2の閾値距離内であるか否かを判定する手段と、距離が第2の閾値距離内であるとの判定に従って、物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現を表示する手段と、を更に含む。視覚的表現は、1つ以上のカメラによって提供される。
【0009】
例示的一実施形態において、電子デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。1つ以上のプログラムは、仮想現実環境が地面を表す表面を有する仮想現実環境を、電子デバイスのディスプレイ上に表示している間に、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離を判定する命令を含む。1つ以上のプログラムは、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が閾値距離内であるか否かを判定する更なる命令を含む。1つ以上のプログラムは、距離が閾値距離内であるとの判定に従って、仮想現実環境内に視覚効果を表示する更なる命令を含む。視覚効果は、物理的オブジェクトに関連付けられた距離に対応し、また視覚効果は、仮想現実環境の地面に配置される。
【0010】
例示的一実施形態において、電子デバイスは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶するメモリとを含む。1つ以上のプログラムは、仮想現実環境が地面を表す表面を有する仮想現実環境を、電子デバイスのディスプレイ上に表示している間に、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離を判定する命令を含む。1つ以上のプログラムは、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が閾値距離内であるか否かを判定する更なる命令を含む。1つ以上のプログラムは、距離が閾値距離内であるとの判定に従って、仮想現実環境内に視覚効果を表示する更なる命令を含む。視覚効果は、物理的オブジェクトに関連付けられた距離に対応し、また視覚効果は、仮想現実環境の地面に配置される。
【0011】
例示的一実施形態において、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、仮想現実環境が地面を表す表面を有する仮想現実環境を、電子デバイスのディスプレイ上に表示している間に、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離を判定する手段を含む。電子デバイスは、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が閾値距離内であるか否かを判定する手段を更に含む。電子デバイスは、距離が閾値距離内であるとの判定に従って、仮想現実環境内に視覚効果を表示する手段を更に含む。視覚効果は、物理的オブジェクトに関連付けられた距離に対応し、また視覚効果は、仮想現実環境の地面に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】仮想現実及び複合現実を含む、様々なコンピュータ模擬現実技術で使用するための例示的なシステムを示す。
図1B】仮想現実及び複合現実を含む、様々なコンピュータ模擬現実技術で使用するための例示的なシステムを示す。
図2】ユーザデバイスが配置され、かつ例示的な仮想現実環境がユーザデバイスによって表示される、例示的な物理的環境を示す。
図3A】第1の閾値距離よりも大きい、物理的オブジェクトからの距離に配置されたユーザデバイスと、ユーザデバイスによって表示された、対応する例示的な仮想現実環境とを示す。
図3B】第1の閾値距離内の距離に配置されたユーザデバイスと、対応する仮想現実環境内に表示される例示的な仮想インジケーションとを示す。
図3C】第2の閾値距離内の距離に配置されたユーザデバイスと、ユーザデバイスによって表示される物理的環境の画像とを示す。
図3D】第2の閾値距離内の距離に配置され、かつ物理的オブジェクトに背を向けるように配向されたユーザデバイスと、ユーザデバイスによって表示される例示的な仮想現実環境とを示す。
図4A】第1の閾値距離内である距離に配置されたユーザデバイスに対応する仮想現実環境に表示される様々な例示的な視覚効果を示す。
図4B】第1の閾値距離内である距離に配置されたユーザデバイスに対応する仮想現実環境に表示される様々な例示的な視覚効果を示す。
図4C】第1の閾値距離内である距離に配置されたユーザデバイスに対応する仮想現実環境に表示される様々な例示的な視覚効果を示す。
図4D】第1の閾値距離内である距離に配置されたユーザデバイスに対応する仮想現実環境に表示される様々な例示的な視覚効果を示す。
図4E】第1の閾値距離内である距離に配置されたユーザデバイスに対応する仮想現実環境に表示される様々な例示的な視覚効果を示す。
図5A】第2の閾値距離内の様々な距離に配置されたユーザデバイスと、ユーザデバイスによって表示される対応する例示的な物理的環境の少なくとも一部の画像とを示す。
図5B】第2の閾値距離内の様々な距離に配置されたユーザデバイスと、ユーザデバイスによって表示される対応する例示的な物理的環境の少なくとも一部の画像とを示す。
図5C】第2の閾値距離内の様々な距離に配置されたユーザデバイスと、ユーザデバイスによって表示される対応する例示的な物理的環境の少なくとも一部の画像とを示す。
図6A】第2の閾値距離内に配置され、かつ物理的オブジェクトに背を向けるように配向されたユーザデバイスと、ユーザデバイスによって表示される例示的な仮想現実環境及び/又は物理的環境の画像とを示す。
図6B】第2の閾値距離内に配置され、かつ物理的オブジェクトに背を向けるように配向されたユーザデバイスと、ユーザデバイスによって表示される例示的な仮想現実環境及び/又は物理的環境の画像とを示す。
図7A】複合現実環境における物理的障害物を示すための例示的な技術のフローチャートを示す。
図7B】複合現実環境における物理的障害物を示すための例示的な技術のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
電子システム及び、そのようなシステムを、仮想現実及び複合現実を含む様々な模擬現実技術に関連して使用するための技術(物理的環境からの感覚入力を組み込む)の、様々な実施形態が説明される。
【0014】
物理的環境とは、電子システムの支援なしに個人が感知、及び/又は対話することができる世界を意味する。物理的環境(例えば、物理的森林)は、物理的要素(例えば、物理的木、物理的構造、及び物理的動物)を含む。個人は、接触、視覚、嗅覚、聴覚、及び味覚などを介して、物理的環境と直接対話、及び/又は物理的環境を直接感知することができる。物理的環境はまた、物理的環境又は実環境と呼ばれてもよい。物理的要素はまた、物理的オブジェクト又は物理的物品と呼ばれてもよい。
【0015】
対照的に、模擬現実(SR)環境は、電子システムを介して個人が感知及び/又は対話することができる、完全又は部分的にコンピュータ生成された環境を指す。SRにおいて、個々の動きのサブセットが監視され、それに応答して、SR環境における1つ以上の仮想オブジェクトの1つ以上の属性が、1つ以上の物理的法則と一致する様式で変更される。例えば、SRシステムは、前方に数歩歩く個人を検出し、それに応答して、そのような景色及び音が物理的環境において変化する方法と同様の様式で、個人に提示されるグラフィック及び音声を調整してもよい。SR環境における仮想オブジェクト(単数又は複数)の属性(単数又は複数)に対する修正はまた、移動の表現に応答して行われてもよい(例えば、音声命令)。
【0016】
個人は、接触、嗅覚、視覚、味覚、及び音声を含む、自身の感覚のうちのいずれか1つを使用して、SRオブジェクトと対話する及び/又はそれを感知することができる。例えば、個人は、多次元(例えば、3次元)又は空間的音声環境を作成する、及び/又は音声透明性を可能にする音声オブジェクトと対話することができるか、及び/又は音声オブジェクトを感知することができる。多次元又は空間的音声環境は、多次元空間内の別個の音声源の知覚を個人に提供する。音声透過性は、コンピュータ生成された音声を用いて又は用いることなく、物理的環境からの音声を選択的に組み込む。いくつかのSR環境において、個人は音声オブジェクトのみと対話してもよく、及び/又は音声オブジェクトのみを感知してもよい。
【0017】
SRの一例は、仮想現実(VR)である。VR環境とは、感知のうちの少なくとも1つのコンピュータ生成された感覚入力のみを含むように設計された模擬環境を指す。VR環境は、個人が対話及び/又は感知することができる複数の仮想オブジェクトを含む。個人は、コンピュータ生成された環境内の個々のアクションのサブセットの模擬を通じて、及び/又はコンピュータ生成された環境内の個々又は自身の存在の模擬を通じて、VR環境内の仮想オブジェクトと対話する及び/又は仮想オブジェクトを感知することができる。
【0018】
SRの別の例は、複合現実(MR)である。MR環境とは、コンピュータ生成された感覚入力(例えば、仮想オブジェクト)を、物理的環境又はその表現からの感覚入力と統合するように設計された模擬環境を指す。現実スペクトルでは、複合現実環境は、一方の端部でのVR環境と他方の端部での完全な物理的環境との間にあり、これらを含まない。
【0019】
いくつかのMR環境において、コンピュータ生成された感覚入力は、物理的環境からの感覚入力の変更に応答し得る。また、MR環境を提示するためのいくつかの電子システムは、仮想オブジェクトが現実のオブジェクト(すなわち、物理的環境からの物理的要素又はその表現)と対話することを可能にするために、物理的環境に対する向き及び/又は位置を監視することができる。例えば、システムは、仮想植物が物理的な建物に対して静止して見えるように、移動を監視することができる。
【0020】
複合現実の一例は、拡張現実(AR)である。AR環境は、少なくとも1つの仮想オブジェクトが物理的環境上か又はその表現上に重ねられた模擬環境を指す。例えば、電子システムは、不透明なディスプレイと、物理的環境の表現である、物理的環境の画像又はビデオをキャプチャする少なくとも1つの撮像センサとを有してもよい。システムは、画像又はビデオを仮想オブジェクトと合成し、その合成物を不透明なディスプレイ上に表示する。個人は、システムを使用して、物理的環境の画像又はビデオによって間接的に物理的環境を見て、物理的環境上に重ねられた仮想オブジェクトを観察する。システムが画像センサ(単数又は複数)を使用して物理的環境の画像をキャプチャし、それらの画像を使用して不透明なディスプレイ上にAR環境を提示する場合、表示された画像は、ビデオパススルーと呼ばれる。あるいは、AR環境を表示するための電子システムは、個人が物理的環境を直接見ることができる透明又は半透明のディスプレイを有してもよい。システムは、透明又は半透明のディスプレイ上に仮想オブジェクトを表示し、それによって、個人はシステムを使用して、物理的環境上に重ねられた仮想オブジェクトを観察してもよい。別の例において、システムは、仮想オブジェクトを物理的環境に投影する投影システムを含んでもよい。仮想オブジェクトは、例えば、物理的表面上に、又はホログラフとして投影され、それによって、個人は、システムを使用して、物理的環境の上に重ねられた仮想オブジェクトを観察してもよい。
【0021】
拡張現実環境はまた、物理的環境の表現がコンピュータ生成された感覚情報によって変換される模擬環境を指してもよい。例えば、物理的環境の表現の一部分は、変更された部分が依然として元々キャプチャされた画像(単数又は複数)の表現であり得るが、忠実に再現されたバージョンではないように、グラフィカルに変換(例えば、拡大)されてもよい。別の例として、ビデオパススルーを提供する際、システムは、センサ画像のうちの少なくとも1つを変更して、画像センサ(単数又は複数)によってキャプチャされた視点とは異なる特定の視点を課すことができる。更なる例として、物理的環境の表現は、その一部をグラフィカルに不明瞭化又は排除することによって変換されてもよい。
【0022】
複合現実の別の例は、拡張仮想現実(AV)である。AV環境とは、コンピュータ生成された環境又は仮想環境が物理的環境からの少なくとも1つの感覚入力を組み込む、模擬環境を指す。物理的環境からの感覚入力(単数又は複数)は、物理的環境の少なくとも1つの特性の表現であってもよい。例えば、仮想オブジェクトは、撮像センサ(単数又は複数)によってキャプチャされた物理的要素の色を想定してもよい。別の例において、仮想オブジェクトは、撮像、気象関連センサ、及び/又はオンライン気象データを介して識別されるように、物理的環境における実際の気象条件と一致する特性を示し得る。更に別の例において、拡張現実の森林は、仮想的な木及び構造を有してもよいが、動物は、物理的動物の撮影画像から正確に再現される特徴を有してもよい。
【0023】
多くの電子システムは、個人が様々なSR環境と対話する及び/又はそれを感知することを可能にする。一実施例は、ヘッドマウントシステムを含む。ヘッドマウントシステムは、不透明なディスプレイ及びスピーカ(単数又は複数)を有してもよい。あるいは、ヘッドマウントシステムは、外部ディスプレイ(例えば、スマートホン)を受け入れるように設計されてもよい。ヘッドマウントシステムは、それぞれ物理的環境の画像/ビデオを撮影する及び/又は音声をキャプチャするための、撮像センサ(単数又は複数)及び/又はマイクロフォンを有してもよい。ヘッドマウントシステムはまた、透明又は半透明のディスプレイを有してもよい。透明又は半透明のディスプレイは、画像を表す光が個人の目に向けられる基板を組み込んでもよい。ディスプレイは、LED、OLED、デジタル光プロジェクタ、レーザ走査光源、シリコン上の液晶、又はこれらの技術の任意の組み合わせを組み込んでもよい。光が透過される基板は、光導波路、光学結合器、光学リフレクタ、ホログラフ基板、又はこれらの基材の任意の組み合わせであってもよい。一実施形態において、透明又は半透明のディスプレイは、不透明状態と透明又は半透明状態との間で選択的に遷移してもよい。別の例において、電子システムは、投影ベースシステムであってもよい。投影ベースシステムは、網膜投影を使用して、個人の網膜上に画像を投影することができる。あるいは、投影システムはまた、仮想オブジェクトを物理的環境に(例えば、物理的表面上に、又はホログラフとして)投影することができる。SRシステムの他の例としては、ヘッドアップディスプレイ、グラフィックを表示する機能を有する自動車用フロントガラス、グラフィックを表示する機能を有する窓、グラフィックを表示する機能を有するレンズ、ヘッドホン又はイヤホン、スピーカ構成、入力機構(例えば、触覚フィードバックを有する又は有さないコントローラ)、タブレット、スマートホン、及びデスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータが挙げられる。
【0024】
コンピュータ模擬現実における1つの課題は、ヘッドマウントデバイスによって表示された仮想オブジェクトと対話している間に、ユーザが仮想現実環境に没入し過ぎて、ユーザの物理的近くにある物理的障害物及び/又は境界の認識を失う可能性があることである。ヘッドマウントデバイスは、不透明であってもよく、いくつかの実施形態において、ユーザの両目を覆うことができる。したがって、ユーザは、ユーザの物理的環境を見る(例えば、直接見る)ことができない可能性がある。したがって、ユーザデバイスが、物理的障害物を回避するのを助ける及び/又は物理的障害物の周囲をナビゲートするためにユーザにインジケーションを提供することが望ましい。更に、ユーザデバイスは、ユーザの仮想現実エクスペリエンスに著しく影響を与えない方法で、これらのインジケーションを提供することが望ましい。
【0025】
本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、仮想現実環境がユーザに表示されている間に、仮想現実デバイスは、デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離を判定する。仮想現実デバイスは、デバイスが物理的環境の物理的オブジェクトに対して(第1の)閾値距離内であるか否かを更に判定する。デバイスが物理的オブジェクトに近過ぎると判定した場合、デバイスは、視覚効果を仮想現実環境内に表示して近くの物理的障害物の存在をユーザに警告する。視覚効果は、物理的オブジェクトに関連付けられた距離に対応し、例えば、1つ以上の仮想オブジェクトを含む。いくつかの例において、視覚効果はガラス板の外観を有し、ユーザが前方に移動し続ける場合にユーザが衝突し得る近くの物理的壁を表す。他の例を以下に説明する。仮想現実デバイスは、このようにユーザに近くの物理的オブジェクトを警告する。視覚効果にも関わらず、仮想現実デバイスが物理的オブジェクトに更に近くになる(第2の閾値距離内)ように、ユーザが物理的オブジェクトに近づき続ける場合、デバイスは、物理的環境の生の画像又はビデオを表示する。このようにして、ヘッドマウント仮想現実デバイスを取り外すことなく、ユーザが正確な物理的障害物を見ることができるように、ユーザは物理的環境に対するパススルー視覚を提供される。
【0026】
図1A及び図1Bは、仮想現実及び複合現実を含む、様々な模擬現実技術で使用するための例示的なシステム100を示す。
【0027】
いくつかの実施形態において、図1Aに示すように、システム100は、デバイス100aを含む。デバイス100aは、プロセッサ(単数又は複数)102、RF回路(単数又は複数)104、メモリ(単数又は複数)106、画像センサ(単数又は複数)108、向きセンサ(単数又は複数)110、マイクロフォン(単数又は複数)112、位置センサ(単数又は複数)116、スピーカ(単数又は複数)118、ディスプレイ(単数又は複数)120、及びタッチ感知面122などの様々な構成要素を含む。これらの構成要素は、任意選択的に、デバイス100aの通信バス(単数又は複数)150を介して通信する。
【0028】
いくつかの実施形態において、システム100の要素は、基地局デバイス(例えば、リモートサーバ、モバイルデバイス、又はラップトップなどのコンピューティングデバイス)内に実装され、システム100の他の要素は、第2のデバイス(例えば、ヘッドマウントデバイス)内に実装される。いくつかの例において、デバイス100aは、基地局デバイス又は第2のデバイス内に実装される。
【0029】
図1Bに示すように、いくつかの実施形態において、システム100は、有線接続又は無線接続などを介して通信する2つ(又はそれより多)のデバイスを含む。第1のデバイス100b(例えば、基地局デバイス)は、プロセッサ(単数又は複数)102、RF回路(単数又は複数)104、及びメモリ(単数又は複数)106を含む。これらの構成要素は、任意選択的に、デバイス100bの通信バス(単数又は複数)150を介して通信する。第2のデバイス100c(例えば、ヘッドマウントデバイス)は、プロセッサ(単数又は複数)102、RF回路(単数又は複数)104、メモリ(単数又は複数)106、画像センサ(単数又は複数)108、向きセンサ(単数又は複数)110、マイクロフォン(単数又は複数)112、位置センサ(単数又は複数)116、スピーカ(単数又は複数)118、ディスプレイ(単数又は複数)120、及びタッチ感知面122などの様々な構成要素を含む。これらの構成要素は、任意選択的に、デバイス100cの通信バス(単数又は複数)150を介して通信する。
【0030】
システム100は、プロセッサ(単数又は複数)102及びメモリ(単数又は複数)106を含む。プロセッサ(単数又は複数)102は、1つ以上の汎用プロセッサ、1つ以上のグラフィックプロセッサ、及び/又は1つ以上のデジタル信号プロセッサを含む。いくつかの実施形態において、メモリ(単数又は複数)106は、後述する技術を実行するためにプロセッサ(単数又は複数)102によって実行されるように構成されているコンピュータ可読命令を記憶する1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ)である。
【0031】
システム100は、RF回路(単数又は複数)104を含む。RF回路(単数又は複数)104は、任意選択的に、電子デバイス、インターネット、イントラネット及び/又は、セルラーネットワーク及び無線ローカルエリアネットワーク(LAN)などの無線ネットワークなどのネットワークと通信するための回路を含む。RF回路(単数又は複数)104は、任意選択的に、近距離通信及び/又はBluetooth(登録商標)などの短距離通信を使用して通信するための回路を含む。
【0032】
システム100は、ディスプレイ(単数又は複数)120を含む。ディスプレイ(単数又は複数)120は、不透明なディスプレイを有してもよい。ディスプレイ(単数又は複数)120は、画像を表す光が個人の目に向けられる基板を組み込んでもよい透明又は半透明のディスプレイを有してもよい。ディスプレイ(単数又は複数)120は、LED、OLED、デジタル光プロジェクタ、レーザ走査光源、シリコン上の液晶、又はこれらの技術の任意の組み合わせを組み込んでもよい。光が透過される基板は、光導波路、光学結合器、光学リフレクタ、ホログラフ基板、又はこれらの基材の任意の組み合わせであってもよい。一実施形態において、透明又は半透明のディスプレイは、不透明状態と透明又は半透明状態との間で選択的に遷移してもよい。ディスプレイ(単数又は複数)120の他の例としては、ヘッドアップディスプレイ、グラフィックを表示する機能を有する自動車フロントガラス、グラフィックを表示する機能を有する窓、グラフィックを表示する機能を有するレンズ、タブレット、スマートホン、及びデスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータが挙げられる。あるいは、システム100は、外部ディスプレイ(例えば、スマートホン)を受け入れるように設計されてもよい。いくつかの実施形態において、システム100は、網膜投影を使用して画像を個人の網膜上に投影するか、又は仮想オブジェクトを物理的環境に(例えば、物理的表面上に又はホログラフとして)投影する投影ベースのシステムである。
【0033】
いくつかの実施形態において、システム100は、タップ入力及びスワイプ入力などのユーザ入力を受け取るためのタッチ感知面(単数又は複数)122を含む。いくつかの例において、ディスプレイ(単数又は複数)120及びタッチ感知面(単数又は複数)122は、タッチ感知ディスプレイ(単数又は複数)を形成する。
【0034】
システム100は画像センサ(単数又は複数)108を含む。画像センサ(単数又は複数)108は、任意選択的に、電荷結合デバイス(CCD)センサなどの1つ以上の可視光画像センサ、及び/又は物理的環境から物理的要素の画像を取得するように動作可能な相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサを含む。画像センサ(単数又は複数)はまた、任意選択的に、物理的環境からの赤外光を検出するための、パッシブIRセンサ又はアクティブIRセンサなどの1つ以上の赤外線(IR)センサ(単数又は複数)を含む。例えば、アクティブIRセンサは、赤外光を物理的環境に放射するためのIRドットエミッタなどのIRエミッタを含む。画像センサ(単数又は複数)108はまた、任意選択的に、物理的環境における物理的要素の移動をキャプチャするように構成されている1つ以上のイベントカメラを含む。画像センサ(単数又は複数)108はまた、任意選択的に、システム100からの物理的要素の距離を検出するように構成された1つ以上の深度センサ(単数又は複数)を含む。いくつかの例において、システム100は、CCDセンサ、イベントカメラ、及び深度センサを組み合わせて使用して、システム100の周囲の物理的環境を検出する。いくつかの例において、画像センサ(単数又は複数)108は、第1の画像センサ及び第2の画像センサを含む。第1の画像センサ及び第2の画像センサは、任意選択的に、2つの異なるパースペクティブから、物理的環境内の物理的要素の画像をキャプチャするように構成されている。いくつかの例において、システム100は、画像センサ(単数又は複数)108を使用して、ハンドジェスチャなどのユーザ入力を受け取る。いくつかの例において、システム100は、画像センサ(単数又は複数)108を使用して、物理的環境におけるシステム100及び/又はディスプレイ(単数又は複数)120の位置及び向きを検出する。例えば、システム100は、画像センサ(単数又は複数)108を使用して、物理的環境内の1つ以上の固定要素に対するディスプレイ(単数又は複数)120の位置及び向きを追跡する。
【0035】
いくつかの実施形態において、システム100は、マイクロフォン(単数又は複数)112を含む。システム100は、マイクロフォン(単数又は複数)112を使用して、ユーザ及び/又はユーザの物理的環境からの音声を検出する。いくつかの例において、マイクロフォン(単数又は複数)112は、周囲ノイズを特定するか、又は物理的環境の空間内の音源の位置を特定するために、任意選択的に並んで動作するマイクロフォンのアレイ(複数のマイクロフォンを含む)を含む。
【0036】
システム100は、システム100及び/又はディスプレイ(単数又は複数)120の向き及び/又は移動を検出するための向きセンサ(単数又は複数)110を含む。例えば、システム100は、向きセンサ(単数又は複数)110を使用して、システム100及び/又はディスプレイ(単数又は複数)120の位置及び/又は向きの変化を、物理的環境内の物理的要素などに対して追跡する。向きセンサ(単数又は複数)110は、1つ以上のジャイロスコープ及び/又は1つ以上の加速度計を含む。
【0037】
ここで図2、3A~3D、4A~4E、5A~5C及び6A~6Bを参照し、いくつかの実施形態に係る、電子デバイス(例えば、100a)上に仮想現実環境を表示している間に、物理的障害物を示すための例示的な電子デバイス及びユーザインタフェースを説明する。これらの図は、図7A及び7Bでのプロセスを含む、以下に説明するプロセスを例示するために使用される。
【0038】
図2は、ユーザデバイス206が配置される例示的な物理的環境200と、ユーザデバイス206によって表示される例示的な仮想現実環境260とを示す。本実施形態において、ユーザデバイス206は、ハンドヘルド型モバイルデバイス(例えば、スマートホン)、又は独立型ヘッドマウントデバイスなどの独立型デバイスである。他の実施形態において、ユーザデバイス206は、基地局デバイス(例えば、基地局デバイス100b)などの別のデバイスに通信可能に連結され得ることを認識されたい。これらの実施形態において、コンピュータ模擬現実環境内の物理的障害物を示すための以下に記載される動作は、ユーザデバイス206と他のデバイスとの間の任意の方法で分割することができる。例えば、本出願に記載されている方法又はプロセスのいずれかを実行する電子デバイスは、ユーザデバイス206と基地局デバイス100bとの組み合わせであり得る。
【0039】
図2は、ユーザデバイス206がヘッドマウントデバイスとして使用される実施形態を示す。いくつかの実施形態において、ヘッドマウントデバイスは不透明であり、ユーザ204の両目を覆う。したがって、場合によっては、ユーザデバイス206を装着しているユーザ204は、物理的環境200内の物理的オブジェクトを直接見ることができない。ユーザデバイス206はまた、1つ以上のカメラを使用して画像及びビデオを取得することができる。カメラは、例えば、デジタル画像又はビデオをキャプチャするデジタルカメラ(例えば、電荷結合デバイス(CCD)型カメラ)であり得る。カメラは、動的視覚センサ(DVS)カメラなどのイベントカメラであり得る。いくつかの実施形態において、イベントカメラは、それぞれ画素位置、サイン、及び正確なタイミングを有する非同期スパイクのストリームを出力し、個々の画素が閾値強度(例えば、対数強度)変化を記録する時を示す。例えば、イベントカメラは、物理的環境の変化(例えば、部屋に入る人などの新しい物理的オブジェクト)によってトリガされることができる。
【0040】
図2を参照すると、いくつかの実施形態において、物理的環境200は、1つ以上の物理的オブジェクト208A~E(まとめて物理的オブジェクト208)を含む部屋などの室内環境である。物理的環境内の物理的オブジェクトは、例えば、壁、テーブル、椅子、窓、人、動物、植物などを含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は、物理的環境200内に配置された物理的オブジェクトに対して移動することができる。例えば、ユーザ204が物理的オブジェクト208A及び208Eに対して(例えば、それに向かって)移動する時、ユーザデバイス206もまた、物理的オブジェクト208A及び208Eに対して移動される。いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は、物理的環境200内の物理的オブジェクトに近づいているか否かを判定するように構成され得る。ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206の1つ以上のカメラ及び/又は深度センサを使用して、そのような判定を行うように構成され得る。例えば、複数のカメラ(例えば、デジタルカメラ、赤外線カメラ)を使用して、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的環境200内の物理的オブジェクトのうちの1つ以上との間の距離を判定することができる。一例として、距離は、ユーザデバイス206の2つ以上のカメラによってキャプチャされた3D知覚の不一致に基づいて判定される。別の例として、深度センサ(例えば、3D飛行時間型センサ)を使用して、物理的環境200内のそれぞれの物理的オブジェクトとユーザデバイス206との間の距離を推定する。深度センサは、例えば、LiDARセンサであってもよい。
【0042】
図2を参照すると、ユーザデバイス206は、例示的な仮想現実環境260(例えば、ビーチを示す仮想屋外環境)を表示する。いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206によって表示される仮想現実環境260は、物理的環境200内のユーザデバイス206の移動に応答して変化することができる。例えば、仮想現実環境260内のオブジェクト(例えば、仮想ビーチチェア262A及び仮想ビーチパラソル262B)は、ユーザ204がユーザデバイス206と共に前方又は後方に移動するにつれて、ユーザ204により近く/より遠くに見える場合がある。別の例として、ユーザ204が自分の頭部をユーザデバイス206と共に左又は右に移動させると、仮想現実環境260内に表示された画像/ビデオ内のオブジェクトは、ユーザ204の視点に対してそれらの位置/角度を変更することができる。
【0043】
図3Aを参照すると、動作中、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と、物理的環境200内の1つ以上の特定の物理的オブジェクトとの間の距離の変動を監視し、それが1つ以上の物理的オブジェクトに対して移動しているか否かを判定する。例えば、図3Aを参照すると、物理的オブジェクト208A(例えば、コンピュータデスク)とユーザデバイス206との間の距離が減少している、変化していない、又は増加していると判定される場合、ユーザデバイス206は、それぞれ、物理的オブジェクト208Aに近づいている、移動していない(静止している)、又は物理的オブジェクト208Aから遠ざかっていると判定するように構成される。
【0044】
いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aに近づいていると判定される場合、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Aが第1の閾値距離306以下であるか否かを判定するように更に構成され得る。ユーザデバイス206が移動していない、又は物理的オブジェクト208Aから遠ざかっていると判定された場合、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206の移動を監視し続ける。例えば、ユーザ204は、物理的オブジェクト208Aの前に座っているか又は立っていてもよく、それに応答して、ユーザデバイス206は、自身が移動していないと判定してもよい。したがって、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離が、第1の閾値距離306未満、したがって第1の閾値距離内であってもよい間、ユーザ204に物理的オブジェクト208Aを認識させる必要がない可能性がある(例えば、ユーザ204と物理的オブジェクト208Aとの間の衝突の危険性がない)ため、物理的オブジェクト208Aに対応する視覚効果をユーザ204に即時に提供する必要はない。これらの状況下で、ユーザデバイス206は、仮想現実環境260をユーザ204に表示し続けながら、移動を監視し続ける。
【0045】
上述のように、ユーザデバイス206は、例えば、深度センサ又は複数のカメラのうちの少なくとも1つを使用して、物理的環境200内のユーザデバイス206と各物理的オブジェクト(例えば、図2に示すオブジェクト208A~E)との間の距離を判定するように構成され得る。したがって、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Aを判定し、判定された距離304Aを第1の閾値距離306と比較することができる。第1の閾値距離306は、ユーザ204に物理的オブジェクトを認識させるように、1つ以上の物理的オブジェクト(例えば、オブジェクト208A及び208E)に対応する1つ以上の視覚効果が、仮想環境260内でユーザ204に表示される距離を表す。第1の閾値距離306は、例えば3~5フィートであるように構成されてもよい。
【0046】
図3Aを参照すると、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Aが第1の閾値距離306以下であるか否かを判定することができる。図3Aに示すように、いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は距離304が第1の閾値距離306よりも大きいと判定し、ユーザデバイス206が依然として物理的オブジェクト208Aから遠く離れているため、ユーザ204に物理的オブジェクト208Aを認識させる必要がないことを示す。したがって、ユーザデバイス206は、物理的オブジェクト208Aの視覚効果又は画像/ビデオを表示することなく、仮想現実環境260を表示し続ける。
【0047】
図3Bは、第1の閾値距離306内の距離304Bに配置されたユーザデバイス206と、対応する仮想現実環境260内に表示される例示的な仮想インジケーション324とを示す。図3Bを参照すると、ユーザ204が物理的オブジェクト208Aにより近くに歩くにつれて、ユーザデバイス206は物理的オブジェクト208Aに連続的に近づいてもよい。ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的環境200の物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Bが第1の閾値距離306以下であるか否かを判定する。その場合、ユーザデバイス206は、距離304Bが第1の閾値距離内であると判定する。図3Aは、ユーザに物理的オブジェクトを認識させるために視覚効果が表示されるべきか否かを判定するための第1の閾値条件として第1の閾値距離306を使用する実施形態を示し、第1の閾値条件は、ユーザデバイス206の角度、ユーザデバイス206の移動方向、物理的オブジェクト208Aの種類などの他の条件の1つ以上を含むことができることが理解される。
【0048】
いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は、距離304Bが第2の閾値距離406よりも大きいか否かを更に判定する。その場合、ユーザデバイス206は、距離304Bが第2の閾値距離406内にないと判定する。図3Bを参照すると、いくつかの実施形態において、距離304Bが第1の閾値距離306以下であり、かつ第2の閾値距離406より大きいとの判定に従って、ユーザデバイス206は、仮想現実環境260内に視覚効果を表示するように構成されている。いくつかの実施形態において、視覚効果は、例えば、物理的オブジェクト208Aがユーザデバイス206から第1の閾値距離306(例えば、3フィート)内に位置するが、依然として第2の閾値距離406(例えば、1フィート)の外側に位置することを示す。
【0049】
いくつかの実施形態において、視覚効果は、1つ以上の仮想オブジェクトを含む。視覚効果はまた、物理的環境の1つ以上のオブジェクトを表すオブジェクト(例えば、物理的オブジェクトの画像)を含み得ることが理解されるであろう。いくつかの例において、視覚効果を提供するための1つ以上の仮想オブジェクトは、表示されている仮想現実環境内の既存の仮想オブジェクトに対応し得る。図3Bに示すように、例えば、ユーザデバイス206は、現在、仮想現実環境260を表示している。物理的環境200内の物理的オブジェクト208Aに対応する視覚効果を提供するために、ユーザデバイス206は、仮想ビーチチェア262A及び仮想ビーチパラソル262Bを見ることができる仮想ガラス壁324を表示するように構成され得る。いくつかの例において、仮想ガラス壁324は、物理的環境200内の物理的オブジェクト208Aに対応することができ、ユーザの移動の経路内に配置された物理的オブジェクト208Aをユーザ204に認識させるように、ユーザ204に視覚効果(例えば、半透明性)を提供することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、(仮想)ガラスのペインの位置は、物理的環境200に関連付けられた第2の閾値距離406に対応する。物理的環境200において、第2の閾値距離406は、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト(例えば、物理的オブジェクト208A及び208E、椅子、テーブル、壁)に非常に近いことを示す距離とすることができる。ユーザデバイス206が第2の閾値距離406内にある場合、ユーザデバイス206によって表示される視覚効果は、ユーザ204に物理的環境を認識させるのに十分でなくてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は、物理的環境の少なくとも一部分の画像を表示する。第2の閾値距離406は、仮想現実環境260内に、例えば、仮想オブジェクト(例えば、仮想ビーチチェア262A、仮想ビーチパラソル262B、仮想壁、仮想絵画など)と仮想ガラス壁324との間の距離として表され得る。以下でより詳細に記載されるように、ユーザデバイス206が第2の閾値距離406以下の距離に配置されている場合、ユーザデバイス206は、物理的環境200の少なくとも一部の視覚的表現(例えば、画像/ビデオ)を表示する。それに対応して、仮想現実環境260において、ユーザデバイス206は、効果を生成し(例えば、仮想ガラス壁324が割れるか又は砕ける)、物理的環境200の少なくとも一部の視覚的表現を表示することができる。いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクトとの間の距離が変化するにつれて、仮想ガラス壁324に関連付けられた異なるパターン及び/又は不透明性を表示するように構成され得る。例えば、仮想ガラス壁324は、ユーザデバイス206が物理的環境200内の物理的オブジェクト208Aに近づくにつれてますます不透明になり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、仮想ビーチチェア262A及び仮想ビーチパラソル262Bは、仮想現実環境260内に表示されている既存の仮想オブジェクトである。仮想ガラス壁324は、ユーザデバイス206によって新たに生成された仮想オブジェクトであり、ユーザデバイス206が第1の閾値距離306内の距離に配置されているとの判定に従って、仮想現実環境260に追加される。したがって、仮想ガラス壁324は、仮想現実環境260内に既に存在する任意の仮想オブジェクトに対応しなくてもよい。いくつかの実施形態において、仮想ガラス壁324を使用することにより、ユーザは仮想ガラス壁324を通して既存の仮想オブジェクトを見ることが可能になり、それにより、仮想現実環境260に新しい仮想オブジェクトを追加する影響を低減する。仮想現実環境における視覚効果として新しい仮想オブジェクトを追加する影響を低減することにより、ユーザエクスペリエンスが向上する。図3Bは仮想インジケーションを提供するための仮想ガラス壁324などの仮想オブジェクトを図示しているが、任意の仮想オブジェクト(例えば、仮想現実環境内の既存の仮想オブジェクト又は新しい仮想オブジェクト)を使用して、ユーザデバイス206からの閾値距離未満の物理的オブジェクト(単数又は複数)をユーザに認識させるように、視覚効果を提供することができることが理解される。図4A~4Eは、以下でより詳細に論じられるように、視覚効果として使用される仮想オブジェクトのより多くの例を提供する。
【0052】
図3Cは、第2の閾値距離406内の距離304Cに配置されたユーザデバイス206と、ユーザデバイス206によって表示される物理的環境200の画像430とを示す。図3Cを参照すると、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的環境200内の物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Cが第2の閾値距離406内にあるか否かを判定するように構成され得る。いくつかの実施形態において、距離304Cが第1の閾値距離306内であると判定した後、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aに近づき続ける(例えば、ユーザ204は、ユーザデバイス206と共に物理的オブジェクト208Aに向かって歩き続ける)か否かを更に判定するように構成される。ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aに近づき続けていると判定した場合、ユーザデバイス206は、距離304Cが第2の閾値距離406内にあるか否かを判定するように更に構成され得る。ユーザデバイス206が、ユーザデバイス206が移動していないか、又は物理的オブジェクト208Aから遠ざかっていると判定した場合、ユーザデバイス206は、上述のように、自身の移動を監視し続ける。例えば、視覚効果(例えば、仮想ガラス壁)を見た後、ユーザは、物理的オブジェクトに接近していることを認識し、ユーザが物理的オブジェクト208Aの前に座っているか又は立っているように移動を停止することができる。結果として、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206が移動していないと判定する。したがって、ユーザデバイス206が、物理的オブジェクト208Aの更なる警告をユーザ204に即時に提供する必要がなく、したがって、ユーザデバイス206は、自身の移動を監視し続ける。
【0053】
図3Cを参照すると、第2の閾値距離406は、例えば、物理的環境200内の物理的オブジェクト208Aとユーザデバイス206との間の距離であり得る。上述のように、ユーザデバイス206は、深度センサ又は複数のカメラのうちの少なくとも1つを使用して、物理的環境200内のユーザデバイス206と各物理的オブジェクトとの間の距離を判定する。したがって、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Cを判定し、判定された距離304Cを第2の閾値距離406と比較することができる。第2の閾値距離406は、視覚効果が、ユーザ204の経路内に配置された物理的オブジェクト(単数又は複数)を、ユーザ204に(例えば、適時に)認識させるのに十分でない可能性がある距離に、ユーザデバイス206があることを(例えば、仮想オブジェクトを使用して)示す。代わりに、ユーザデバイス206は、物理的環境の視覚的表現をユーザ204に提供することができる。例えば、物理的環境200内の1つ以上の物理的オブジェクト208(例えば、オブジェクト208A及び208E)の視覚的表現(例えば、表示された画像又はビデオ)がユーザ204に表示されて、ユーザ204がユーザ204の経路内の物理的オブジェクト208を更に認識することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の閾値距離は、ユーザデバイス206及び/又は物理的オブジェクト208などの物理的オブジェクトの1つ以上の特性に基づく。例えば、ユーザデバイス206は、ユーザの移動の速度を判定することができ、第1及び第2の閾値距離は、判定された速度に基づいて動的及び/又は適応的に構成され得る。したがって、ユーザ204が走っており、ユーザデバイス206が、ユーザの動きの速度が制限を超えると判定した場合、ユーザデバイス206は、ユーザの移動の速度を考慮するために第1及び第2の閾値距離を増加させるように構成され得る。閾値距離を増加させることにより、物理的環境の視覚効果(例えば、仮想オブジェクト)又は視覚的表現(例えば、画像)を表示するのに十分な時間を提供することができ、それにより、ユーザ204は、物理的オブジェクト208との衝突を回避することができる。別の実施形態として、ユーザデバイス206は、物理的オブジェクトの種類を判定することができ、第1及び第2の閾値距離は、物理的オブジェクトの種類に基づいて動的及び/又は適応的に構成され得る。例えば、ユーザデバイス206は、特定の種類の物理的オブジェクト(例えば、暖炉、ストーブ、水泳プール)に対して、他の種類の物理的オブジェクト(例えば、テーブル、椅子、ソファ)に対するより大きな距離で、物理的環境の視覚効果又は視覚的表現を提供することができる。
【0055】
図3Cを参照すると、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的環境200の物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Cが第2の閾値距離406以下であるか否かを判定することによって、距離304Cを第2の閾値距離406と比較することができる。例えば、ユーザデバイス206が、距離304Cが、1フィートの第2の閾値距離より小さい0.5フィートであると判定した場合、ユーザデバイス206は、距離304Cが第2の閾値距離406内にあると判定する。図3Cは、第2の閾値条件として例示として第2の閾値距離406を使用するが、第2の閾値条件は、ユーザデバイス206の角度、ユーザデバイス206の移動の方向、物理的オブジェクト208の種類などの他の条件のうちの1つ以上を含むことができることが理解されるであろう。
【0056】
図3Cを参照すると、ユーザデバイス206は、距離304Cが第2の閾値距離406内にあるとの判定に従って、仮想現実環境の表示の少なくとも一部分を、物理的環境の少なくとも一部分の視覚的表現に置き換えるように構成され得る。視覚的表現は、物理的環境の画像及び/又はビデオ(例えば、ライブストリームビデオ)であり得る。視覚的表現は、ユーザデバイス206の1つ以上のカメラによって提供されて、物理的オブジェクト208Aがユーザデバイス206から第2の閾値距離(例えば、1フィート)内にあることを示すことができる。したがって、距離304Cにおいて、物理的オブジェクト208Aは、ユーザ204に非常に近くにあってもよく、それに応答して、ユーザデバイス206は、物理的オブジェクト208Aの画像及び/又はビデオをユーザ204に表示する。図3Cに示す実施形態において、ユーザデバイス206は、仮想現実環境260全体を、表示画像430(例えば、物理的オブジェクト208A及び208Aの少なくとも一部の画像及び/又はビデオ)に置き換える。以下により詳細に記載されるように、いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は、仮想現実環境の、全体ではなく一部分を、物理的環境の視覚的表現に置き換えることができる。
【0057】
図3Dを参照すると、ユーザデバイス206は第2の閾値距離406内の距離304Cに配置され、物理的オブジェクトとユーザデバイス206によって表示される例示的な仮想現実環境514に背を向けるように配向される。図3Cで上述したように、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aからの自身の距離が第2の閾値距離406内にあると判定した場合、ユーザデバイス206は、仮想現実環境の表示の少なくとも一部分を、物理的環境200の視覚的表現(例えば、画像/ビデオ)に置き換えることができる。いくつかの実施形態において、仮想現実環境の表示の少なくとも一部分を、物理的環境200の少なくとも一部分の視覚的表現(例えば、画像/ビデオ)に置き換えた後、ユーザデバイス206は、ユーザ204の視線が物理的環境200の少なくとも一部分の視覚的表現から遠ざかるか否かを判定する。ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206の向きが変化するか否かを検出することによって、そのような判定を行うことができる。例えば、1つ以上の動きセンサ、カメラ、加速度計などを使用して、ユーザデバイス206の向きが変化する(例えば、ユーザ204は、物理的オブジェクトから背を向けるように方向転換する)とユーザデバイス206は判定することができる。それに応答して、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aから向きを変えていると判定し、図3Dに示すように仮想現実環境260の少なくとも一部の表示を再開する。ユーザデバイス206はまた、例えば、デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が増加しているか否かを検出することによって、デバイスが物理的オブジェクト208Aから遠ざかっているか否かを検出することによって、そのような判定を行うことができる。
【0058】
図3Dは、ユーザデバイス206のディスプレイの表示領域512を示す。ユーザデバイス206は、表示領域512内に第2の仮想現実環境514を表示することができる。例えば、ユーザ204が物理的オブジェクト208Aから背を向けるように方向転換したとユーザデバイス206が判定した後に、第2の仮想現実環境514は表示されることができる。いくつかの実施形態において、仮想現実環境514は、(図3Cに関して説明したように)物理的環境200の視覚的表現(例えば、画像/ビデオ)の少なくとも一部分に置き換えられる前に表示された、以前の仮想現実環境260と同じ又は類似している。例えば、第2の仮想現実環境514は、ユーザ204が方向転換したかのように見られる仮想現実環境260の一部として表示され得る。表示領域512は、窓、ゲート、又は任意の他の所望の形状の形状を有することができる。
【0059】
上述のように、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Cが第2の閾値距離406の範囲内にある場合、ユーザデバイス206は、物理的環境200の視覚的表現(例えば、図3Cに示す画像430)を表示する(例えば、仮想現実環境全体を、物理的環境200の少なくとも一部の視覚的表現に置き換える)。図3Dを参照すると、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Cが増加し、及び/又はユーザデバイス206の向きが変化する(例えば、ユーザ204が反対方向を向くと、ユーザデバイス206は物理的オブジェクト208Aから背を向ける)場合、物理的環境200の少なくとも一部の画像/ビデオを表示し続けることは望ましくないか、又は必要とされない可能性がある。したがって、いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は、物理的環境200の少なくとも一部の視覚的表現の表示を任意選択的に除去するか、暗くするか、又は中止する(例えば、背景領域502を空白にするか又は暗くする)。図3Dに示すように、ユーザデバイス206は、背景領域502内の表示領域512内に第2の仮想現実環境514を表示する。いくつかの実施形態において、表示領域512の少なくとも1つの寸法は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208との間の距離に基づいて変化する。例えば、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離304Cが増加すると、第2の仮想現実環境514のより多くの領域が表示されるように、表示領域512が拡大される。
【0060】
いくつかの実施形態において、表示領域512内に表示される第2の仮想現実環境514は、物理的環境の視覚的表現に以前に置き換えられた、同じ仮想現実環境である。例えば、図3Dに示すように、表示領域512内に表示された第2の仮想現実環境514は、物理的環境200の視覚的表現に置き換えられる前に、仮想現実環境260内に以前に表示された(ユーザ204が方向転換したかのように見られる)同じ仮想ビーチであり得る。
【0061】
図3Bに関して上述したように、距離304Bが第1の閾値距離306未満であり、第2の閾値距離406を超えるとユーザデバイス206が判定する場合、ユーザデバイス206は、仮想現実環境260内に視覚効果を表示するように構成されている。図3Bは、視覚効果の一例としての仮想ガラス壁324を示す。図4A~4Eは、物理的オブジェクト208(例えば、オブジェクト208A及び208E)から第1の閾値距離306より小さく、かつ第2の閾値距離406よりも大きい距離に配置されているユーザデバイスに対応する仮想現実環境260に表示される様々な例示的な視覚効果を示す。
【0062】
例えば、図4Aに示すように、仮想現実環境260は、1つ以上の仮想オブジェクト(例えば、仮想ビーチパラソル262B)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、物理的環境200内の物理的オブジェクトに対応する視覚効果を提供するために、ユーザデバイス206は、仮想壁314及び/又は仮想壁314に掛けられた仮想絵画312を表示するように構成され得る。仮想壁314及び/又は仮想絵画312は、ユーザの移動の経路内に配置された物理的オブジェクトをユーザに認識させるように、ユーザに視覚効果を提供することができる。いくつかの実施形態において、仮想壁314及び/又は仮想絵画312は、仮想現実環境260内に存在する他の仮想オブジェクトに対応する(例えば、複製する)ことができる。ユーザデバイス206は、任意選択的に、例えば、これらの既存の仮想オブジェクトを再使用して、物理的オブジェクトに対応する視覚効果を提供する新しい仮想オブジェクトを生成するように構成される。仮想現実環境内に存在しないオブジェクトを使用するのではなく、既存の仮想オブジェクトを再使用することは、仮想現実環境の表示に対する視覚効果の影響を低減することができる。視覚効果の影響を低減することにより、ユーザエクスペリエンスが向上し、仮想現実環境を著しく変更する必要なく仮想オブジェクトを生成する効率を向上させる。
【0063】
物理的オブジェクトに関連付けられた距離304Bに対応する視覚効果を提供する追加の実施形態を図4Bに示す。図4Bを参照すると、仮想現実環境260が表示され、仮想ビーチチェア、仮想ビーチパラソルなどを含むことができる。図4Bに示すように、いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は仮想オブジェクトの外観を仮想インジケーションとして変更することができる。外観の変化は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208(例えば、208A及び208E)との間の距離に基づくことができる。例えば、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aに近づくにつれて、仮想オブジェクト262A~B(図3Aに示す)の外観は、それぞれ仮想オブジェクト332A~B(図4Bに示す)の外観に遷移することができる。仮想オブジェクト332A~Bは、それぞれ仮想オブジェクト262A~Bと同様の形状を有することができるが、粒子/フェザリング効果を有することができる。いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aに近づくにつれて、仮想オブジェクト332A~Bは、より不透明になり得る、及び/又はより高密度の粒子を有し得る(又はその逆)。より不透明な仮想オブジェクト又はより高密度の粒子を有する仮想オブジェクトは、対応する物理的オブジェクトが、より不透明であるか、又はより粗い粒子を有する仮想オブジェクトよりも近いことを示す視覚効果を提供することができる。いくつかの実施形態において、この種類の視覚効果は、直感的であり、ユーザによって容易に理解又はキャプチャされ、それにより、ユーザエクスペリエンスを更に高め、視覚効果の有効性を改善することができる。図4Bは仮想オブジェクト332A~Bを使用して仮想オブジェクトを例示しているが、ユーザが近づいている物理的環境内の物理的オブジェクトをユーザに認識させるように、任意の仮想オブジェクト(例えば、仮想現実環境内の既存のオブジェクト又は新しい仮想オブジェクト)を使用して視覚効果を提供することができることが理解される。
【0064】
物理的オブジェクトに関連付けられた距離304Bに対応する視覚効果を提供する追加の実施形態を図4C~4Dに示す。図4Cを参照すると、ユーザデバイス206は現在、仮想現実環境260を表示している。仮想現実環境260は、仮想ビーチチェア262A及び仮想ビーチパラソル262Bなどの仮想オブジェクトを含んでもよい。物理的環境200内の物理的オブジェクト(例えば、オブジェクト208A)に対応する視覚効果を提供するために、ユーザデバイス206は、仮想ビーチチェア262A及び仮想ビーチパラソル262Bなどの1つ以上の既存の仮想オブジェクトの前に配置された仮想霧352を表示する。仮想現実環境260内の霧の位置は、いくつかの実施形態において、ユーザ204に対する物理的環境200内の物理的オブジェクト(例えば、オブジェクト208A)の位置を示すことができる。いくつかの実施形態において、霧352の外観は、下にある仮想オブジェクト(例えば、262A~B)を調和させる及び/又はぼかすことによって作製され、半透明の視覚効果を生成する。
【0065】
いくつかの実施形態において、図4Dに示すように、ユーザデバイス206は、仮想現実環境260の1つ以上の仮想オブジェクト及び/又は部分の輝度を同様に低減するか、又は暗色効果354を加えて、ユーザ204に対する物理的環境200の1つ以上の物理的オブジェクト208(例えば、208A)の位置を示してもよい。仮想霧352及び/又は暗色効果354は、ユーザの経路内に配置された物理的オブジェクトをユーザに認識させるように、ユーザに視覚効果を提供することができる。いくつかの実施形態において、仮想霧352又は暗色効果354に基づいて生成される視覚効果は、直感的であり、ユーザによって容易に理解又はキャプチャされ、それにより、ユーザエクスペリエンスを更に高め、視覚効果の有効性を改善することができる。例えば、ユーザは、典型的には、霧又は暗色領域に入る可能性が低く、又は回避する可能性がより高い。
【0066】
物理的オブジェクトに関連付けられた距離304Bに対応する視覚効果を提供する追加の実施形態を図4Eに示す。図4Eを参照すると、ユーザデバイス206は現在、仮想現実環境260を表示している。仮想現実環境260は、仮想ビーチチェア262A及び仮想ビーチパラソル262Bなどの仮想オブジェクトを含む。物理的環境200内の物理的オブジェクトに対応する視覚効果を提供するために、ユーザデバイス206は、暗色領域362を表示するように構成され得る。いくつかの実施形態において、暗色領域362は、仮想地面366上(例えば、仮想ビーチ上)に配置され、物理的環境200内の物理的オブジェクト(例えば、オブジェクト208A、208E及び208F)の位置に対応する。例えば、暗色領域362は、物理的オブジェクト208A(例えば、机)、208E(例えば、椅子)、及び208F(例えば、ソファ)の位置又は境界に対応する(例えば、追従する)境界を有するように構成され得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、暗色領域362などの暗色領域の少なくとも1つの寸法は、物理的オブジェクトの対応する寸法を示すように構成され得る。例えば、物理的オブジェクトの長手方向寸法が横方向寸法よりも大きい場合、暗色領域362は、対応するより大きい長手方向寸法を有するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクトとの間の距離に基づいて、暗色領域362内の暗色化の程度を変化させるように構成され得る。例えば、ユーザデバイス206が物理的オブジェクトに近づくにつれて、暗色領域362が暗くなる程度は、増加する(例えば、より暗くなる)、又は減少することができる。いくつかの例において、暗色領域は、任意の形状を有し得る。暗色領域は、例えば、実質的に三角形、矩形、円形、楕円形、又は任意の他の形状であってもよい。
【0068】
暗色領域362は、ユーザの経路内に配置された物理的オブジェクトをユーザに認識させるように、ユーザに視覚効果を提供する。上述のように、仮想現実環境における特定の領域の暗色化に基づいて生成される視覚効果は、直感的であり、ユーザによって容易に理解又はキャプチャされ、それにより、ユーザエクスペリエンスを更に高め、視覚効果の有効性を改善することができる。例えば、ユーザは、典型的には、暗色領域に入る可能性が低く、又は回避する可能性がより高い。図4Eは、視覚効果として暗色領域362を使用することを示しているが、ユーザの近くにある及び/又はユーザが近づいている物理的環境内の物理的オブジェクトをユーザに認識させるように、視覚効果を提供するために、任意の仮想効果(例えば、陰影、着色、歪み、ぼかし、振動など)が任意の方法で仮想現実環境に加えられ得る(例えば、天井、壁、床、又は1つ以上のオブジェクトに加えられる)ことが理解される。
【0069】
上述のように、図3B及び4A~4Eに示されるように、距離304Bが、第1の閾値306内にあり、かつ任意選択で、図3B及び4A~4Eに示されるように、第2の閾値距離406内にない、とユーザデバイス206が判定する場合、様々な視覚効果(例えば、仮想壁、仮想ガラス、仮想霧、粒子/フェザリング効果、暗色領域など)を仮想現実環境に加える又は配置することができる。いくつかの実施形態において、上述のように、ユーザ204に視覚効果を提供するにも関わらず、ユーザ(及びユーザによって装着されたユーザデバイス206)は第1の閾値距離306超えて物理的オブジェクトに近づき続け、したがって、ユーザデバイス206と物理的オブジェクトとの間の距離304Bは、距離304Cまで減少し続け得る。
【0070】
上述のように、図3Cは、ユーザデバイス206が、距離304Cが第2の閾値距離406内にあると判定し、したがって、仮想現実環境260の表示全体を、物理的環境200の少なくとも一部の視覚的表現(例えば、画像430)に置き換える例を示す。図5A~5Cは、第2の閾値距離406内の様々な距離に配置されたユーザデバイス206と、ユーザデバイス206によって表示される対応する例示的な物理的環境200の少なくとも一部の画像とを示す。
【0071】
図5Aの例において、いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206は、物理的オブジェクト208から距離304Dに位置する。距離304Dは、例えば、第2の閾値距離406より小さいが、第3の閾値距離506より大きくてもよい。上述したように、距離304Dは第2の閾値距離406より小さい(したがって、第2の閾値距離406内)と判定されるため、ユーザデバイス206は、物理的環境200の少なくとも一部分(例えば、物理的オブジェクト208A及び208E)の視覚的表現416A(例えば、画像及び/又はビデオ)と、仮想現実環境260の少なくとも一部分(例えば、仮想ビーチ及び仮想空)とを表示する。図5Aに示すように、距離304Dは第3の閾値距離506以上である(以下により詳細に記載される)ため、ユーザデバイス206は、仮想現実環境260の表示の、全体ではなく、一部分のみを視覚的表現416Aに置き換え、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離(例えば、図3C及び5Cに示される距離304C)が第3の閾値距離506よりも小さい場合、ユーザデバイス206は、仮想現実環境260の表示全体を置き換える。視覚的表現416Aは、いくつかの例において、窓、ゲート、又は任意の他の所望の形状の形状を有することができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、視覚的表現416Aの少なくとも1つの寸法は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208(例えば、オブジェクト208A)との間の距離に基づいて変化する。図5Aに示すように、視覚的表現416Aはディスプレイの任意の領域(例えば、左下角)に提供され、仮想現実環境260の一部分に取って代わることができる。いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aに近づき続ける場合、ユーザデバイス206は、視覚的表現416Aを表示するためのエリアの寸法を増加させる。図5Bに示すように、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aに近づくにつれて(例えば、距離304Eまで移動する)、ユーザデバイス206は、仮想現実環境260のより大きな部分を視覚的表現416Bに置き換えることができる。視覚的表現416Bは、例えば、図5Bに示される視覚的表現416Aの寸法(例えば、幅及び/又は長さ)より大きい寸法を有する。いくつかの実施形態において、視覚的表現を表示するための領域の少なくとも1つの寸法は、物理的オブジェクトの種類に基づいて変化する。例えば、視覚的表現を表示するための領域は、他の種類の物理的オブジェクト(例えば、テーブル、椅子、ソファ)の場合よりも、特定の種類の物理的オブジェクト(例えば、暖炉、ストーブ、水泳プール)のために、仮想現実環境260のより多くの領域を置き換える。
【0073】
いくつかの実施形態において、物理的オブジェクトは、ユーザに非常に近接して(例えば、ユーザが接触又は知覚することができる距離内)位置する場合があり、インジケーション又は強調表示のための表示領域の一部分内の視覚的表現を使用することは、十分ではない場合がある。図5Cは、仮想現実環境260全体を、物理的環境200の少なくとも一部の視覚的表現(例えば、画像430)に置き換える例を提供する。例えば、ユーザデバイス206は、物理的オブジェクト208Aから第3の閾値距離506より小さい距離304Cまで移動される場合がある。第3の閾値距離506は、第2の閾値距離406より小さい。いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206が第3の閾値距離506内に配置されている場合、ユーザデバイス206は、ユーザ204が物理的オブジェクト208Aと衝突するのを防ぐために、即時の注意又は警告が必要であると判定することができる。例えば、物理的オブジェクト208Aは、ユーザの直前に、又はユーザが物理的オブジェクト208Aに接触する可能性がある距離内に、位置する可能性がある。距離304Cが第3の閾値距離506以下であるとユーザデバイス206が判定した場合、ユーザデバイス206は、仮想現実環境全体を、物理的オブジェクト208(例えば、オブジェクト208A及び208E)を含む物理的環境200の少なくとも一部の視覚的表現(例えば、画像430)に置き換える。図5Cに示すように、ユーザデバイス206は、フルスクリーンモードで仮想表現(例えば、画像又はビデオ430)を表示し、仮想現実環境260全体を置き換える。いくつかの実施形態において、仮想現実環境を表示するための領域の一部に視覚的表現を表示することに対して、仮想現実環境全体を物理的環境の視覚的表現に置き換えることにより、インジケーションの増大したレベルを提供することができ、ユーザに強調表示、及び/又は警告する。結果として、ユーザデバイス206は、ここで仮想現実環境260を表示し、ユーザ204は、物理的環境200内に位置する任意の物理的オブジェクト又は障害物との接触又は衝突を回避するために、即座にアクションを取ることができる。例えば、ユーザ204は、物理的オブジェクト208Aに近づくことを停止してもよく、異なる方向に移動するか、又は物理的オブジェクト208Aから遠ざかってもよい。
【0074】
図3Dに関して上述したように、いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206が物理的オブジェクト208Aから向きを変えている(例えば、ユーザ204が方向転換した)とユーザデバイス206が判定する場合には、ユーザデバイス206は、以前の仮想現実環境260の表示の少なくとも一部分を、物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現に置き換えた後に、第2の仮想現実環境514を表示する。図3Dに示す実施形態において、第2の仮想現実環境514は、表示領域512内に表示される。表示領域512の外側にある背景領域502内の物理的環境200の画像及び/又はビデオは、除去されるか、暗くされるか、又は表示を中止する。
【0075】
図6A~6Bは、第2の閾値距離406内の距離304Cに配置され、かつ物理的オブジェクトに背を向けるように配向されたユーザデバイス206と、ユーザデバイス206によって表示される物理的環境の例示的な仮想現実環境及び/又は画像とを示す。図6A及び6Bは、例えば、ユーザ204が物理的オブジェクト208Aから方向転換した、又は遠ざかったとユーザデバイス206が判定することに応答して、ユーザデバイス206は、表示領域512内に第2の仮想現実環境514を表示する。表示領域512は、窓、ゲート、又は任意の他の所望の形状の形状を有することができる。
【0076】
図6Aは、表示領域512内に第2の仮想現実環境514(例えば、仮想ビーチ)の一部と、表示領域512の外側に第2の仮想現実環境514の別の部分(例えば、背景領域502内)とを表示する実施形態を示す。この実施形態において、ユーザデバイス206は、以前に表示された物理的環境200の視覚的表現全体を仮想現実環境514に置き換える。結果として、ユーザデバイス206は、表示領域512内に第2の仮想現実環境514の一部と、表示領域512の外側にある背景領域502内に別の部分とを表示する。いくつかの実施形態において、ユーザデバイス206が物理的環境200内の物理的オブジェクト208Aから方向転換されるか、又は遠ざかると、以前に表示された仮想現実環境260と類似しているか、又はその続きである第2の仮想現実環境514を提供すると、ユーザが以前に表示された仮想現実環境260に再び入るかのような効果を生成することができる。この効果は、ユーザエクスペリエンスを向上させる。
【0077】
図6Bは、第3の仮想現実環境520が表示される表示領域526を示す。図6Bに示すように、例えば、ユーザ204が物理的オブジェクト208Aから方向転換した、及び/又は遠ざかると、ユーザデバイス206の向きが変更したとユーザデバイス206が判定することに応答して、ユーザデバイス206は、表示領域526内に第3の仮想現実環境520を表示する。図3Cに関して上述したように、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208(例えば、208A)との間の距離304Cが第2の閾値距離406内にある場合、ユーザデバイス206は、仮想現実環境260全体を、物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現(例えば、画像/ビデオ)に置き換えることができる(例えば、距離304Cが第3の閾値距離506より小さい場合)。図6Bは、物理的環境200のそのような画像524を示す。ユーザ204の視線が物理的環境の画像524から遠ざかる(例えば、ユーザが方向転換するか、又はユーザデバイス206の向きが変わる)、及び/又はユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離が増加するとユーザデバイス206が判定する場合、ユーザデバイス206は、表示領域526内に第3の仮想現実環境520を表示することができる。いくつかの実施形態において、表示領域526の少なくとも1つの寸法は、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離に基づいて変化するように構成され得る。例えば、ユーザデバイス206と物理的オブジェクト208Aとの間の距離が増加するにつれて、第3の仮想現実環境520のより多くの領域が表示されるように、表示領域526の寸法はより大きくなる。図6Bに示すように、表示領域526は、ゲート又はドアの形状を有することができ、第3の仮想現実環境520は、以前に表示された仮想現実環境260と類似しているか、又はその続きであり得る。したがって、表示領域526を提供することは、ユーザがゲート又はドアの中に歩いて入り、以前に表示された仮想現実環境260に入る(又は再び入る)効果を生成することができる。表示領域526を地面に対して位置付けることによって、ユーザデバイス206が物理的環境内にあるかのように、ユーザは、ユーザデバイス206と表示領域526の位置との間の距離をより容易に判定することができる。
【0078】
ここで図7Aを参照すると、複合現実環境内の物理的障害物を示すための例示的なプロセス700のフローチャートが示されている。以下の説明では、プロセス700は、ユーザデバイス(例えば、デバイス100a)を使用して実行されるものとして説明される。ユーザデバイスは、例えば、図1A及び図1C図1Iのデバイス100a、及び図2、3A~3D、4A~4E、5A~5C、及び6A~6Bのデバイス206などの、ハンドヘルド型モバイルデバイス又はヘッドマウントデバイスである。他の実施形態において、プロセス700は、ベースデバイスなどの別のデバイスに通信可能に結合されたユーザデバイスなどの、2つ以上の電子デバイスを使用して実行されることを認識されたい。これらの実施形態において、プロセス700の動作は、ユーザデバイスと1つ以上の他のデバイスとの間で任意の方法で分散される。更に、ユーザデバイスのディスプレイは、透明又は不透明であってもよいことを理解されたい。プロセス700の1つ以上のブロックを省略することができる、及び/又はプロセス700の間の任意の時点で1つ以上の追加のブロックを実行することができることを理解されたい。
【0079】
ブロック702において、仮想現実環境が電子デバイスのディスプレイ上に表示される。ブロック704において、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が判定される。電子デバイスは、仮想現実ヘッドセットである。ブロック706において、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が第1の閾値距離内であるか否かが判定される。いくつかの実施形態において、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が第1の閾値距離内であるか否かを判定することは、電子デバイスが物理的環境内の物理的オブジェクトに近づいているか否かを判定することを含む。
【0080】
ブロック708において、距離が第1の閾値距離内であるとの判定に従って、視覚効果が仮想現実環境内に表示される。視覚効果は、物理的オブジェクトに関連付けられた距離に対応する。距離が第1の閾値距離内にないとの判定に従って、仮想現実環境は、物理的オブジェクトの視覚効果を伴わずに連続して表示される。
【0081】
いくつかの実施形態において、仮想インジケーションを表示することは、表示された仮想現実環境上に1つ以上の仮想オブジェクト(例えば、仮想壁、仮想ガラス壁、仮想霧、粒子/フェザリング効果、暗色化)を表示することを含む。1つ以上の仮想オブジェクトは、物理的オブジェクトが電子デバイスから第1の閾値距離内にあることを示す。いくつかの実施形態において、1つ以上の仮想オブジェクトのうちの少なくとも1つの外観は、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離に基づいて変化する。
【0082】
いくつかの実施形態において、仮想インジケーションを表示することは、表示された仮想現実環境の仮想接地に暗色領域を表示することを含む。暗色領域は、物理的環境内の物理的オブジェクトの位置に対応する。暗色領域内の暗色化の程度は、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離に基づいて変化し得る。暗色領域の少なくとも1つの寸法は、物理的オブジェクトの1つ以上の対応する寸法を示すことができる。いくつかの実施形態において、暗色領域は、実質的に三角形の形状を有する。
【0083】
ブロック710において、電子デバイスと物理的環境内の物理的オブジェクトとの間の距離が第2の閾値距離内であるか否かが判定される。いくつかの実施形態において、電子デバイスが第1の閾値距離を超えて物理的オブジェクトに近づき続けるか否かが判定される。電子デバイスが第1の閾値距離を超えて物理的オブジェクトに近づき続けているとの判定に従って、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が第2の閾値距離以下であるか否かが判定される。
【0084】
いくつかの実施形態において、第1の閾値距離及び第2の閾値距離のうちの1つ又は両方は、電子デバイスの移動の速度に基づいて、及び/又は物理的オブジェクトの種類に基づいて構成される。
【0085】
ブロック712において、距離が第2の閾値距離内であるとの判定に従って、物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現が表示される。視覚的表現は、1つ以上のカメラによって提供される。いくつかの実施形態において、電子デバイスが物理的オブジェクトに近づいているか、又は遠ざかっているかが判定される。電子デバイスが物理的オブジェクトに近づいているとの判定に従って、暗色領域は、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離に基づいて暗くされる。電子デバイスが物理的オブジェクトから遠ざかっているとの判定に従って、暗色領域が明るくされる。視覚的表現の少なくとも1つの寸法は、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離に基づいて、及び/又は物理的オブジェクトの種類に基づいて変化し得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、表示される仮想現実環境の少なくとも一部分を物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現に置き換えた後、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が増加しているか否かが判定される。例えば、ユーザデバイスが物理的オブジェクトから遠ざかっている場合、距離は増加する。電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が増加しているとの判定に従って、第2の仮想現実環境が表示される。
【0087】
いくつかの実施形態において、第2の仮想現実環境は、物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現に置き換えられる、以前に表示された仮想現実環境の続きである。第2の仮想現実環境を表示することは、物理的環境の少なくとも一部の視覚的表現全体を第2の仮想現実環境に置き換えることを含み得る。いくつかの実施形態において、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離が増加するにつれて、第2のポータルの少なくとも1つの寸法は増加され得る。
【0088】
ここで図7Bを参照すると、仮想現実環境内の物理的障害物を示すための例示的なプロセス740のフローチャートが示されている。以下の説明では、プロセス740は、ユーザデバイス(例えば、デバイス100a又は206)を使用して実行されるものとして説明される。ユーザデバイスは、例えば、ハンドヘルド型モバイルデバイス又はヘッドマウントデバイスである。いくつかの実施形態において、プロセス740は、ベースデバイスなどの別のデバイスに通信可能に結合されたユーザデバイスなどの、1つ以上の電子デバイスを使用して実行されることを認識されたい。これらの実施形態において、プロセス740の動作は、ユーザデバイスと他のデバイスとの間で任意の方法で分散される。更に、ユーザデバイスのディスプレイは、透明又は不透明であってもよいことを理解されたい。プロセス740の1つ以上のブロックは任意であり得、及び/又は追加のブロックが実行され得ることを理解されたい。
【0089】
ブロック742において、仮想現実環境が電子デバイスのディスプレイ上に表示され、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が判定される。電子デバイスは、いくつかの実施形態において、仮想現実ヘッドセット、スマートホン、又はタブレットである。仮想現実環境は、いくつかの実施形態において、地面を表す表面を有する。ブロック744において、電子デバイスと物理的環境の物理的オブジェクトとの間の距離が閾値距離内であるか否かが判定される。ブロック748において、距離が閾値距離内であるとの判定に従って、視覚効果が仮想現実環境内に表示される。いくつかの実施形態において、視覚効果は、物理的オブジェクトに関連付けられた距離に対応し、かつ仮想現実環境の地面に配置される。
【0090】
いくつかの実施形態において、仮想接地に加えられる視覚効果の外観は、電子デバイスと物理的オブジェクトとの間の距離に基づいて変化し得る。仮想接地に加えられる視覚効果の少なくとも1つの寸法は、物理的オブジェクトのサイズに基づく。仮想接地に加えられる視覚効果は、実質的に三角形の暗色領域である。
【0091】
プロセス700及び740が仮想現実環境を参照して説明されているが、プロセス700及び740はそのように限定されないことを認識されたい。例として、いくつかの例において、プロセス700及び740は、拡張現実環境を使用して実装される。例えば、視覚効果に使用されるものを含むがこれらに限定されない1つ以上の仮想オブジェクトは、物理的環境内の物理的オブジェクトの視覚的表現に置き換えられ得る。
【0092】
特定の実施形態の前述の説明を、例示と説明のために提示してきた。これらは、網羅的であることも、又は特許請求の範囲を開示される厳密な形態に限定することも意図するものではなく、上記の教示に照らして多くの変更及び変形が可能であることを理解されたい。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B