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▶ ハンヴォン ユージー テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】磁気ホイール減衰装置及びその実現方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
G01D5/245 110M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020560521
(86)(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 CN2018078594
(87)【国際公開番号】W WO2019144474
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】201810062073.1
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520273430
【氏名又は名称】ハンヴォン ユージー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANVON UGEE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2/F, West of 3/F, 4/F, Building No.4, Fulongte Industrial Park, Huaxing Road, Langkou Community, Dalang Street, Longhua District, Shenzhen, Guangdong 518000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】特許業務法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー ユェンヂー
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-26026(JP,A)
【文献】特表2005-513653(JP,A)
【文献】特開2006-260179(JP,A)
【文献】特開2003-280799(JP,A)
【文献】特開2003-148998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252
G01B 7/00-7/34
G06F 3/01-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも極性が逆である一対の磁極を有する第一多極磁石を含む磁気ホイールと、磁気減衰磁石または第一多極磁石に吸引可能な金属からなる磁気減衰機構とを備え、前記磁気減衰磁石または金属は、第一多極磁石の磁界内に位置するとともに、磁気ホイールとの距離調整可能であり、
前記磁気減衰磁石は第二多極磁石であり、前記第二多極磁石は、少なくとも極性が逆である一対の磁極を含み、
前記磁気減衰磁石は、固定され回転しなく、または磁気ホイールの回転に伴って回転することを特徴とする磁気ホイール減衰装置。
【請求項2】
前記磁気減衰磁石が固定され回転しない場合、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数の半分に等しいものであり、前記一格子あたりのスケール感は第一多極磁石と磁気減衰磁石との間の作用力が吸引力から反発力に変化し、また反発力から吸引力に変化するという過程全体を表わすことを特徴とする請求項に記載の磁気ホイール減衰装置。
【請求項3】
磁石ホイールの回転に伴って前記磁気減衰磁石が回転する場合、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数に等しくなり、前記一格子あたりのスケール感は第一多極磁石と磁気減衰磁石との間の作用力が吸引力から反発力に変化し、また反発力から吸引力に変化するという過程全体を表わすことを特徴とする請求項に記載の磁気ホイール減衰装置。
【請求項4】
MCUと第一多極磁石の磁界内に位置する複数のホール素子とを更に備え、前記複数のホール素子の出力端はいずれもMCUの入力端に接続されることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の磁気ホイール減衰装置。
【請求項5】
磁気減衰機構と磁気ホイールとの距離をリアルタイムに取得し、その中、磁気ホイールは第一多極磁石を備え、前記第一多極磁石は少なくとも極性が逆である一対の磁極を含み、前記磁気減衰機構として、磁気減衰磁石または第一多極磁石に吸引可能な金属を用い、前記磁気減衰磁石または金属は、第一多極磁石の磁界内に位置するとともに、磁気ホイールとの距離を調整することができるステップと、
リアルタイムに取得した距離に基づいて磁気減衰機構と磁気ホイールとの間の磁気抵抗の大きさを特定するステップとを含み、
磁気減衰機構が磁気減衰磁石であるか否かを判定し、磁気減衰磁石であれば次のステップを実行し、そうでなければフロー全体を終了するステップと、
磁気減衰磁石の回転状態をリアルタイムに取得し、前記磁気減衰磁石の回転状態は、固定され回転しない状態と、磁気ホイールの回転に伴って回転する状態との二つの状態を含むステップと、
リアルタイムに取得した回転状態から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算し、前記一格子あたりのスケール感は第一多極磁石と磁気減衰磁石との間の作用力が吸引力から反発力に変化し、また反発力から吸引力に変化するという過程全体を表わすステップとを含むことを特徴とする磁気ホイール減衰装置の実現方法。
【請求項6】
前記のリアルタイムに取得した回転状態から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算するステップは、具体的に、
リアルタイムに取得した回転状態が固定され回転しない状態であれば、第一多極磁石の総磁極数から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算し、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数÷2となり、
リアルタイムに取得した回転状態が磁気ホイールの回転に伴って回転する状態であれば、第一多極磁石の総磁極数から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算し、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数となることを特徴とする請求項に記載の磁気ホイール減衰装置の実現方法。
【請求項7】
複数のホール素子及びMCUにより磁気ホイールの回転情報を取得することを特徴とする請求項に記載の磁気ホイール減衰装置の実現方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタブレットの分野に関し、特に磁気ホイール減衰装置及びその実現方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タブレット市場では、ホイールが広く使用されている。ホイールは通常、連続的なデータ調整に用いられ、使用したとき、非常に便利で且つ観察しやすいものであるが、利用者毎に滑らかさ(すなわち抵抗の程度)に対する要求は同じではない。現在、タブレットの常用されるホイールは機械ホイールであり、それは一般的に摩擦抵抗によりホイールを回転させるようにする。異なるホイールの滑らかさの要求を満たすためには、従来の機械ホイールは異なる材質を用いる必要があり、柔軟性が足りなく汎用性も高くない。また、機械ホイールは摩擦抵抗により摩擦損失が生じ、ホイールの寿命が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記課題を解決するために、本発明は、柔軟で汎用性が高く、長寿命である磁気ホイール減衰装置及びその実現方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が採用する第一の態様は以下のとおりである。
少なくとも極性が逆である一対の磁極を有する第一多極磁石を含む磁気ホイールと、磁気減衰磁石または第一多極磁石に吸引可能な金属からなる磁気減衰機構とを備え、前記磁気減衰磁石または金属は、第一多極磁石の磁界内に位置するとともに、磁気ホイールとの距離を調整することができる、磁気ホイール減衰装置。
【0005】
さらに、前記磁気減衰磁石は第二多極磁石であり、前記第二多極磁石は、少なくとも極性が逆である一対の磁極を含む。
【0006】
さらに、前記磁気減衰磁石は、固定され回転しなく、または磁気ホイールの回転に伴って回転する。
【0007】
さらに、前記磁気減衰磁石が固定され回転しない場合、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数の半分に等しいものであり、前記一格子あたりのスケール感は第一多極磁石と磁気減衰磁石との間の作用力が吸引力から反発力に変化し、また反発力から吸引力に変化するという過程全体を表わす。
【0008】
更に、磁石ホイールの回転に伴って前記磁気減衰磁石が回転する場合、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数に等しくなり、前記一格子あたりのスケール感は第一多極磁石と磁気減衰磁石との間の作用力が吸引力から反発力に変化し、また反発力から吸引力に変化するという過程全体を表わす。
【0009】
更に、MCUと第一多極磁石の磁界内に位置する複数のホール素子とを備え、前記複数のホール素子の出力端はいずれもMCUの入力端に接続される。
【0010】
本発明が採用する第二の態様は以下のとおりである。
磁気減衰機構と磁気ホイールとの距離をリアルタイムに取得し、その中、磁気ホイールは第一多極磁石を備え、前記第一多極磁石は少なくとも極性が逆である一対の磁極を含み、前記磁気減衰機構として、磁気減衰磁石または第一多極磁石に吸引可能な金属を用い、前記磁気減衰磁石または金属は、第一多極磁石の磁界内に位置するとともに、磁気ホイールとの距離を調整することができるステップと、
リアルタイムに取得した距離に基づいて磁気減衰機構と磁気ホイールとの間の磁気抵抗の大きさを特定するステップとを含む、磁気ホイール減衰装置の実現方法。
【0011】
さらに、以下のステップを含む。
磁気減衰機構が磁気減衰磁石であるか否かを判定し、磁気減衰磁石であれば次のステップを実行し、そうでなければフロー全体を終了することと、
磁気減衰磁石の回転状態をリアルタイムに取得し、前記磁気減衰磁石の回転状態は、固定され回転しない状態と、磁気ホイールの回転に伴って回転する状態との二つの状態を含むことと、
リアルタイムに取得した回転状態から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算し、前記一格子あたりのスケール感は第一多極磁石と磁気減衰磁石との間の作用力が吸引力から反発力に変化し、また反発力から吸引力に変化するという過程全体を表わすことである。
【0012】
さらに、前記のリアルタイムに取得した回転状態から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算するステップは、具体的に、
リアルタイムに取得した回転状態が固定され回転しない状態であれば、第一多極磁石の総磁極数から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算し、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数÷2となり、
リアルタイムに取得した回転状態が磁気ホイールの回転に伴って回転する状態であれば、第一多極磁石の総磁極数から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算し、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数となる。
【0013】
さらに、複数のホール素子とMCUとにより、磁気ホイールの回転情報を取得するステップを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明の磁気ホイール減衰装置及びその実現方法によれば、従来の機械ホイールの代わりとして、磁気ホイールと磁気減衰機構とからなる磁気ホイール減衰装置を採用し、磁気ホイールと磁気減衰磁石または金属との間の距離を調整するだけで磁界の作用力原理を利用して異なる大きさの磁気抵抗を与えられ、異なるホイールの滑らかさ要求を満たし、異なる材質を使用する必要がなく、柔軟で汎用性が高く、かつ磁界作用力に摩擦損失がなく、ホイールの寿命が延長される。さらに、磁気減衰磁石が第二多極磁石であり、磁気減衰磁石が固定され回転しなく、または磁気ホイールの回転に伴って回転する際に作用力によって反発力から吸引力に戻るという過程全体において、ユーザーにスケール感を与え、機能がより豊富になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の磁気減衰機構が磁気減衰磁石である場合の磁気ホイール減衰装置の構成模式図である。
図2図2は本発明の磁気減衰機構が金属である場合の磁気ホイール減衰装置の構成模式図である。
図3図3は本発明の磁気減衰磁石が固定され回転しない場合の構成模式図である。
図4図4は本発明の磁気減衰磁石が磁気ホイールの回転に伴って回転する場合の構成模式図である。
図5図5は本発明の磁気減衰磁石が磁気ホイールの回転に伴って回転し始める時の構成模式図である。
図6図6は本発明の磁気減衰磁石と第一多極磁石が、異極の反発しあう位置に回転する場合の構成模式図である。
図7図7は本発明の磁気減衰磁石と第一多極磁石が、同極の引き合う位置に回転する場合の構成模式図である。
図8図8は従来の機械ホイールの分解図である。
図9図9図8の機械ホイールの全体の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および図2を参照して、磁気ホイール減衰装置は、磁気ホイール及び磁気減衰機構を備え、前記磁気ホイールは第一多極磁石1を含み、前記第一多極磁石1は少なくとも極性が逆である一対の磁極を含み、前記磁気減衰機構として、磁気減衰磁石2または第一多極磁石1に吸引可能な金属4を用い、前記磁気減衰磁石2または金属4は、第一多極磁石1の磁界内に位置するとともに、磁気ホイールとの距離を調整することができる。
【0017】
ただし、図1では磁気減衰機構が磁気減衰磁石であり、図2では磁気減衰機構が金属であり、いずれも第一多極磁石と相互作用して吸引力を発生することができ、また磁気減衰磁石や金属の形状と材質は限定されない。
【0018】
さらに好ましい実施形態として、前記磁気減衰磁石は、第二多極磁石であり、前記第二多極磁石は、少なくとも極性が逆である一対の磁極を含む。
【0019】
図3および図4を参照して、さらに好ましい実施形態として、前記磁気減衰磁石は、固定され回転しなく、または磁気ホイールの回転に伴って回転する。
【0020】
図3において、磁気減衰磁石は固定され回転しないが、図4では磁石ホイールの回転に伴って磁気減衰磁石が回転する。
【0021】
さらに好ましい実施形態として、前記磁気減衰磁石が固定され回転しない場合、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数が第一多極磁石の総磁極数の半分に等しく、前記一格子あたりのスケール感は第一多極磁石と磁気減衰磁石との間の作用力が吸引力から反発力に変化し、また反発力から吸引力に変化するという過程全体を表わす。
【0022】
本実施例では、一格子あたりのスケール感とは、第一多極磁石が回転している過程において、磁気減衰磁石と第一多極磁石との間の作用力が引き合い→反発しあい→引き合いとなるという完全な過程を指す。磁気ホイールが一回転する、即ち第一多極磁石が一回転する際に、複数の上記完全な過程が出てくる可能性があるため、スケール感の総格子数も多格子である可能性がある。本実施例では、磁気減衰磁石が固定されているので、磁気ホイールの第一多極磁石が回転する際に、一回で二つの磁極を飛びることがあり、この過程に、第一多極磁石が1つの磁気減衰磁石における磁気ホイール上の磁極と同じ磁極を経るため、1つの磁極間の反発力があり、最終的に磁気ホイールが磁気減衰磁石と異極の引き合い状態に保たれる。磁気ホイールが回転するにあたって、反発力から再び異極引き合いの吸引力に戻るという過程はスケール感のようなものである。スケール感は、機械ホイールのメカチャックと類似しており、回転後に同極反発の現象による反発力があるため、係合が生じ、磁気ホイールを回転させる毎に、一格子のスケール感のように係合が生じて、一回転分の角度を規制する。
【0023】
さらに好ましい実施形態として、磁気ホイールの回転に伴って前記磁気減衰磁石が回転すると、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数に等しくなり、前記一格子あたりのスケール感は第一多極磁石と磁気減衰磁石との間の作用力が吸引力から反発力に変化し、また反発力から吸引力に変化するという過程全体を表わす。
【0024】
本実施例では、一格子あたりのスケール感とは、磁気減衰磁石及び第一多極磁石が何れも回転している過程において、磁気減衰磁石と第一多極磁石との間の作用力が引き合い→反発しあい→引き合いとなるという完全な過程を指す。磁気ホイールが一回転する、即ち第一多極磁石が一回転する際に、複数の上記完全な過程が出てくる可能性があるため、スケール感の総格子数も多格子である可能性がある。本実施例では、磁気減衰磁石も回転するため、最初、磁気ホイールと第一多極磁石の異極引き合い作用により、磁気減衰磁石が回転し、磁気減衰磁石と第一多極磁石の両方は、極性が変わろうとする境界にあるときに、短い時間であるが、同極反発しあい作用が出て、そして両磁石が次の磁極に移行し、再び異極引き合いの状態に戻る。磁気ホイールが回転するにあたって、反発力から再び異極引き合いの吸引力に戻るという過程はスケール感のようなものである。スケール感は、機械ホイールのメカチャックと類似しており、回転後に同極反発の現象による反発力があるため、係合が生じ、磁気ホイールを回転させる毎に、一格子のスケール感のように係合が生じて、一回転分の角度を規制する。
【0025】
さらに好ましい実施形態として、MCU及び複数のホール素子を備え、前記複数のホール素子は、第一多極磁石の磁界内に位置し、前記複数のホール素子の出力端はいずれもMCUの入力端に接続される。
【0026】
本発明は、複数のホール素子を利用して、MCUと磁気ホイールにおける第一多極磁石とを協働して、タブレットの連続したデータの読み書きを実現することもできる。ホイールが回転すると、第一多極磁石がこれとともに回転して、変化する磁界が発生し、この変化する磁界が固定位置の複数のホール素子に作用してホール効果(Hall Effect)が生じる。各ホール素子の位置が異なるため、同一時点において、各ホール素子に誘起されるホール電圧(位相、電流等)はいずれも異なる。MCUは、この現象から各ホール素子が出力する信号の差異を判定・取得し、さらに第一多極磁石(すなわちホイール)の回転情報(回転速度などを含む)を判定・計算する。
【0027】
本発明はさらに磁気ホイール減衰装置の実現方法を提供し、以下のステップを含む。
【0028】
磁気減衰機構と磁気ホイールとの距離をリアルタイムに取得し、その中、磁気ホイールは第一多極磁石を備え、前記第一多極磁石は少なくとも極性が逆である一対の磁極を含み、前記磁気減衰機構として、磁気減衰磁石または第一多極磁石に吸引可能な金属を用い、前記磁気減衰磁石または金属は、第一多極磁石の磁界内に位置するとともに、磁気ホイールとの距離を調整することができることと、
リアルタイムに取得した距離に基づいて磁気減衰機構と磁気ホイールとの間の磁気抵抗の大きさを特定することである。
【0029】
その中、磁界相関理論によれば、磁気減衰機構と磁気ホイール間の磁気抵抗の大きさは、それらの間の距離に反比例する。
【0030】
さらに好ましい実施形態として、以下のステップを含む。
磁気減衰機構が磁気減衰磁石であるか否かを判定し、磁気減衰磁石であれば次のステップを実行し、そうでなければフロー全体を終了することと、
磁気減衰磁石の回転状態をリアルタイムに取得し、前記磁気減衰磁石の回転状態は、固定され回転しない状態と、磁気ホイールの回転に伴って回転する状態との二つの状態を含むことと、
リアルタイムに取得した回転状態から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算し、前記一格子あたりのスケール感は第一多極磁石と磁気減衰磁石との間の作用力が吸引力から反発力に変化し、また反発力から吸引力に変化するという過程全体を表わすことである。
【0031】
さらに好ましい実施形態として、前記のリアルタイムに取得した回転状態から、磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算するステップは、具体的に、
リアルタイムに取得した回転状態が固定され回転しない状態であれば、第一多極磁石の総磁極数から磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算し、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数÷2となり、
リアルタイムに取得した回転状態が磁気ホイールの回転に伴って回転する状態であれば、第一多極磁石の総磁極数から、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数を計算し、前記磁気ホイールの一回転分のスケール感格子数は第一多極磁石の総磁極数となる。
【0032】
さらに好ましい実施形態として、複数のホール素子及びMCUにより磁気ホイールの回転情報を取得するステップが含まれる。
【0033】
以下、明細書の図面及び具体的な実施例を参照して本発明をさらに述べて説明する。
【0034】
本具体的な実施例は、タブレットに磁気ホイール技術を組み合わせて使用する磁気抵抗発生の技術を開示する。当該技術は、複数のホール素子の空間位置を干渉することなく、他の多極磁石(本具体例では、磁気減衰磁石という)を新たに追加し、磁気減衰磁石と磁気ホイール間の距離の遠近に応じて、異なる大きさの磁気抵抗を与える。そのうち、磁気減衰磁石は、固定されていてもよく、回動可能であってもよく、磁気ホイールとの距離の遠近を変えることもできる。磁気ホイールが回転する場合、同極反発しあいの現象により、格子ずつのスケール感があり、磁気減衰磁石が磁気ホイールに近づくと、スケール感が顕著となり、しかもホイールが回転する際の抵抗が大きい。磁気減衰磁石が磁気ホイールから次第に離れていくと、スケール感が低下するとともに、磁気ホイールが回転しやすくなる。
【0035】
図5を例に、第一多極磁石の磁極総数が16であり、磁気減衰磁石の磁極総数が2であるとすれば、外力により磁気ホイールが回転すると、第一多極磁石が回転し、磁界による吸引力によって磁気減衰磁石も回転する。第一多極磁石が11. 25度を超えて回転し、図6に示す位置に到達する際に、2極の磁気抵抗磁石は、同極反発しあいにより吸引状態から反発状態に変わるので、磁石ホイールの第一多極磁石は、次の磁極へ向かって押されて図7に示す位置に到達すると同時に、2極の磁気減衰磁石も90度回転し、反発状態から吸引状態に変わる。
【0036】
つまり、図6に示す第一多極磁石(すなわちホイール)が11. 25度を超えて回転すると、磁石の同極反発及び異極引き合いの物理現象により、ホイールに力を持って11. 25度から22. 5度に飛び出し、このとき、第一多極磁石及び磁気減衰磁石の両磁石は引き合って、外力がなければ回転しなくなる。この時に磁気ホイールを使用する感覚は、機械ホイールの如く、回転後にメカチャックがあり、磁気ホイールを回転させる毎に、一格子のスケール感のように係合が生じて、一回転分の角度を規制する。勿論、十分に大きな外力を加えて、磁気ホイールを常時回転させてもよいが、磁気ホイールが1つの係止位置を通過すると、一格子あたりのスケール感が発生する。
【0037】
図3に示すように、磁気減衰磁石が固定され回転しないとき、磁気ホイールが一回転分のスケール感の数は、第一多極磁石磁極数を2で除算したものである。16極の磁気ホイールを例にとれば、磁気減衰磁石が固定され回転しない場合、磁気ホイールが一回転することになり、8格子のスケール感がある。
【0038】
図4図7に示すように、磁気減衰磁石が回転可能である場合、磁気ホイールが一回転する分のスケール感の数は、第一多極磁石の磁極数と同じである。16極の磁気ホイールを例にとれば、磁気減衰磁石が回転可能な状態にあるときには、磁気ホイールが一回転することになり、16格子のスケール感がある。
【0039】
また、磁気減衰磁石の代わりに、磁石に吸引可能な金属材質を用いることも可能である。図2に示すように、金属4が磁気ホイール(すなわち第一多極磁石1)に近いほど、磁気ホイールが回転する抵抗は大きくなる。ホイールが回転する抵抗は、金属4が磁石ホイールから離れるほど小さくなる。金属4は形状に限定されず、磁気ホイールと作用し得るものであればよいが、このような磁気抵抗の発生方式によれば、磁気ホイールが回転時にスケール感がない。
【0040】
また、磁気減衰磁石が磁気ホイールとの有効距離から離れると、磁気ホイールにはスケール感がなくなり、抵抗が小さくなることで滑らかに回転することができる。
【0041】
従来の機械ホイールの構成は、図8及び図9に示すように、一般的にはスプリング72を用いて拍車26を押すため、回転するときに、スプリング72と拍車26が互いに作用しあい、スケール感及び音鳴りが発生するが、拍車26がプラスチック材質であるため、摩擦損失の問題がある。これに対して、本発明の磁気減衰装置は、磁気抵抗に加えて、スケール感を与えることができ、音鳴りがなく、かつ摩擦損失の問題もない。
【0042】
以上説明したように、本発明の磁気ホイール減衰装置及びその実現方法によれば、従来の機械ホイールに代えて、磁気ホイールと磁気減衰機構からなる磁気ホイール減衰装置を採用するため、磁気ホイールと磁気減衰磁石または金属との間の距離を調整するだけで、磁界作用力の原理を利用して異なる大きさの磁気抵抗を提供でき、異なるホイール滑らかさのニーズを満たし、異なる材質を用いる必要がなく、柔軟で汎用性が強く、かつ磁界作用力に摩擦損失がなく、ホイールの寿命が延長され、音鳴りもない。本発明は、摩擦損失がない前提で、磁気ホイールの滑らかさを距離により調整することができ、第一多極磁石の総磁極数によってスケール感の数を調整することもできる。これは、従来の機械ホイールでは実現が困難である。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について具体的に説明したが、当業者にとって、本発明は、その趣旨に反しない範囲において種々の変形や置き換えが可能であり、それら均等の変形や置き換えは、いずれも本願特許請求の範囲に記載された範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9