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特許7029614ネジタップの安全性及び耐久性確保可能なタッピングシャンク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】ネジタップの安全性及び耐久性確保可能なタッピングシャンク
(51)【国際特許分類】
   B23G 1/46 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
B23G1/46 G
B23G1/46 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020505963
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2018085731
(87)【国際公開番号】W WO2018205891
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2019-10-11
(31)【優先権主張番号】201710341053.3
(32)【優先日】2017-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519368529
【氏名又は名称】蘇州市家家有机械制造有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】張春明
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-099978(JP,U)
【文献】実開昭53-015185(JP,U)
【文献】特開昭52-094577(JP,A)
【文献】特開昭61-076211(JP,A)
【文献】実開平02-107424(JP,U)
【文献】米国特許第05174424(US,A)
【文献】特開平04-000026(JP,A)
【文献】特開2005-090655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/00-33/00
B23G 1/00-11/00
B23Q 11/00-13/00
F16D 41/00-47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジタップの安全性及び耐久性確保可能なタッピングシャンクであって、
複合フローティングメカニズムと安全クラッチ機構とを組み合わせて構成され、
前記複合フローティングメカニズム及び安全クラッチ機構は、シャンク(1)、転がり鋼
球(2)、軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材(4)、転がりクラッチ
鋼球(6)、ホルダー(7)、軸方向においてソケットを有するクラッチフローティング
部材(9)、転がり部材(10)、径方向フローティング部材(11)、転がり部材(1
2)、位置決め部材(13)、転がり鋼球(14)、チャック(15)、トルク調整ナッ
ト(16)、スリップクラッチ部材(3)、バネ(17)、偏向フローティングネジ(2
0)及び軸方向フローティングネジ(21)を有し、
シャンク(1)と軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材(4)は、転がり
鋼球(2)を介して可動に接続され、軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部
材(4)と軸方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材(9)は、転が
りクラッチ鋼球(6)を介して可動に接続され、クラッチ鋼球(6)には、ホルダー(7
)を有し、軸方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材(9)と径方向
フローティング部材(11)は、転がり部材(10)を介して可動に接続され、径方向フ
ローティング部材(11)と位置決め部材(13)は、転がり部材(12)を介して可動
に接続され、位置決め部材(13)とチャック(15)は、転がり鋼球(14)を介して
可動に接続され、
タッピングの抵抗力がネジタップについて、トルク調整ナット(16)で設定されたトル
クより大きい場合、シュートを有するスリップクラッチ部材(3)により、径方向フロー
ティングを少量で発生させ、且つ軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材(
4)及びバネ(17)に対して軸方向のスラスト力を発生させることにより、ネジタップ
が保護され、
偏向フローティングバネ(20)を調整することにより、位置決め部材(13)の垂直度
及び同心度が確保され、
軸方向フローティングバネ(21)を備えることにより、主軸によるネジタップへの直接
の軸方向圧縮力及び軸方向引張力を解消する、
ことを特徴とするタッピングシャンク。
【請求項2】
前記シャンク(1)は、外輪にはトルク調整ネジを有し、内輪には転がり鋼球(2)の転
がり溝を有し、平面には1周のピットを有することを特徴とする請求項1に記載のタッピ
ングシャンク。
【請求項3】
前記軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材(4)又はシュートを有するス
リップクラッチ部材(3)は、外輪には転がり鋼球(2)の転がり溝を有し、軸方向にお
いてソケットを有する転がりクラッチ部材(4)は、平面にソケットを有し、シュートを
有するスリップクラッチ部材(3)は、平面にシュートを有することを特徴とする請求項
1に記載のタッピングシャンク。
【請求項4】
前記軸方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材(9)又は径方向にお
いてソケットを有するクラッチフローティング部材(8)は、平面に偏向フローティング
バネ(20)孔、転がり部材(10)の転がり溝を有し、軸方向においてソケットを有す
るクラッチフローティング部材(9)は、平面にソケットを有し、径方向においてソケッ
トを有するクラッチフローティング部材(8)は、外輪にソケットを有することを特徴と
する請求項1に記載のタッピングシャンク。
【請求項5】
前記径方向フローティング部材(11)は、上下平面にX、Y方向段差を有することを特
徴とする請求項1に記載のタッピングシャンク。
【請求項6】
前記位置決め部材(13)は、平面に1周のピットを有し、ホルダー(18)における鋼
球(19)を介してシャンク(1)の平面におけるピットに可動に接続され、外輪には転
がり部材(12)の転がり溝を有し、内輪には長溝を有することを特徴とする請求項1に
記載のタッピングシャンク。
【請求項7】
前記チャック(15)は、位置決め部材(13)の内輪に取り付けられ、外輪には長溝を
有することを特徴とする請求項1に記載のタッピングシャンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンクに関し、特にCNC工作機械に使用されているシャンクに関する。
【背景技術】
【0002】
タッピングする際に、ネジタップがワークに折り込むことは、特に小径ネジタップの場合
、従来から重要で解決しにくい技術的課題である。
【0003】
特許検索をしたところ、中国特許CN20110601において、過負荷保護型タップチ
ャックが開示されており、それは、本発明に最も近い従来技術であり、軸方向フローティ
ング機構とスリップ摩擦クラッチ機構との2つの部分を組み合わせたタッピングシャンク
である。
【0004】
スリップ摩擦クラッチは、摩擦係数が大きいため、小さなトルクを感知できないので、最
も折りやすい小径ネジタップに対して過負荷保護が効かない。
【0005】
径方向及び偏向のフローティングはないため、ネジタップの摩損速度が高く、小さなネジ
タップが折りやすく、タッピングする孔径が制御できず、ネジ精度への要求を満足できず
、被検品が要件を満たさない要因となり、接続隙間を増大するか、又は径方向及び偏向の
フローティング機能を追加することにより径方向又は偏向の摩擦を減少できるが、中心位
置決め基準がないため、回転数が高いほど、ネジタップの揺れが大きくなり、「孔の位置
合わせが困難である」という新しい問題が生じる。
【0006】
揺れのため、チャックをあまり延ばすことができず、この結果、段付きワークの場合は、
タッピングが実施できない。
【0007】
タップを抜くときに、切り屑や材料の詰まりにより、ネジタップが「滑り」して主軸とと
もに回転しないおそれがあり、その結果、ネジタップが主軸とともに抜かれず、主軸によ
り引っ張られて切ってしまう。
【0008】
クラッチ機構のクラッチ部材は、パワーアームが短く、圧力の強さが大きく、摩損速度が
高く、頻繁な手動調整が可能であるものの、完全な機械的生産には適していない。
【0009】
ネジタップの切削刃がタッピングの進行に伴い鈍くなるため、軸方向フローティングバネ
の受けるタッピング初期の軸方向の圧縮力が絶えずに変わり、このため、CNC工作機械
によるタッピングの深さを制御できず、深さが規定されるタッピングに適用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、ネジタップの折れ、特に最も折りやすい小さなネジタップの折れを
防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成させるために、本発明の技術案は、以下のとおりである。
【0012】
ネジタップの安全性及び耐久性確保可能なタッピングシャンクであって、主に複合フロー
ティングメカニズムと安全クラッチ機構を組み合わせて構成される。
【0013】
前記複合フローティングメカニズム及び安全クラッチ機構は、シャンク、転がり鋼球、軸
方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材、転がりクラッチ鋼球、ホルダー、軸
方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材、転がり部材、径方向フロー
ティング部材、転がり部材、位置決め部材、転がり鋼球、チャック、トルク調整ナット、
バネ、ホルダー、鋼球、偏向フローティングバネ、軸方向フローティングバネを有し、シ
ャンクと軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材は、転がり鋼球を介して可
動に接続され、軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材と軸方向においてソ
ケットを有するクラッチフローティング部材は、転がりクラッチ鋼球を介して可動に接続
され、クラッチ鋼球には、ホルダーを有し、軸方向においてソケットを有するクラッチフ
ローティング部材と径方向フローティング部材は、転がり部材を介して可動に接続され、
径方向フローティング部材と位置決め部材は、転がり部材を介して可動に接続され、位置
決め部材とチャックは、転がり鋼球を介して可動に接続され、位置決め部材は、鋼球を介
してシャンクに可動に接続される。
【0014】
前記複合フローティングメカニズム及びスリップクラッチ式安全機構は、シャンク、転が
り鋼球、シュートを有するスリップクラッチ部材、スリップクラッチ鋼球、径方向におい
てソケットを有するクラッチフローティング部材、転がり部材、径方向フローティング部
材、転がり部材、位置決め部材、転がり鋼球、チャック、トルク調整ナット、バネ、ホル
ダー、鋼球、偏向フローティングバネ、軸方向フローティングバネを有し、シャンクとシ
ュートを有するスリップクラッチ部材は、転がり鋼球を介して可動に接続され、シュート
を有するスリップクラッチ部材と径方向においてソケットを有するクラッチフローティン
グ部材は、スリップクラッチ鋼球を介して可動に接続され、径方向においてソケットを有
するクラッチフローティング部材と径方向フローティング部材は、転がり部材を介して可
動に接続され、径方向フローティング部材と位置決め部材は、転がり部材を介して可動に
接続され、位置決め部材とチャックは、転がり鋼球を介して可動に接続され、位置決め部
材は、鋼球を介してシャンク可動に接続される。
【0015】
前記シャンクは、外輪にはトルク調整ネジを有し、内輪には転がり鋼球の転がり溝を有し
、平面には1周のピットを有する。
【0016】
前記シュートを有するスリップクラッチ部材又は軸方向においてソケットを有する転がり
クラッチ部材は、外輪には転がり鋼球の転がり溝を有し、平面にはタップ抜き用の滑り止
め一方向スロットを有し、軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材は、平面
にソケットを有し、シュートを有するスリップクラッチ部材は、平面にシュートを有する
【0017】
前記径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材又は軸方向においてソ
ケットを有するクラッチフローティング部材は、平面にタップ抜き用の滑り止めカラム孔
、偏向フローティングバネ孔、転がり部材の転がり溝を有し、平面がホルダーにおける鋼
球を介して転がりブロック又はシャンクに可動に接続され、軸方向においてソケットを有
するクラッチフローティング部材は、平面にソケットを有し、径方向においてソケットを
有するクラッチフローティング部材は、外輪にソケットを有する。
【0018】
前記径方向フローティング部材は、上下平面にX、Y方向段差を有する。
【0019】
前記位置決め部材は、内輪には、鋼球と軸方向補償バネを収納するための長溝とを有し、
外輪には、定力ネジ孔と転がり体の転がり溝を有し、平面には、1周のピットを有し、ホ
ルダーにおける鋼球を介してシャンクの平面におけるピットに可動に接続される。
【0020】
前記チャックは、位置決め部材の内輪に位置し、その外輪には、長溝を有する。
【0021】
前記トルク調整ナットは、シャンクの雄ネジに接続され、平面に位置決めネジ孔を有する
【発明の効果】
【0022】
本発明のネジタップの安全性及び耐久性確保可能なタッピングシャンクの有益な効果は、
以下のとおりである。
【0023】
1、本タッピングシャンクの複合フローティングメカニズムは、軸方向、径方向、偏向な
どの3種類のフローティング機能を有するため、いずれか2つのフローティングの組み合
わせ、又は単独に関するニーズを満足でき、それにより、主軸によるネジタップへの軸方
向の圧縮力又は引張力を解消するとともに、シャンクの各パーツの製造、組み立て、延伸
において生じる偏心又は偏向の誤差を解消し、ネジタップの中心線とネジ付き下孔の中心
線が重なることを可能にし、タッピングする際に、ネジタップの切削刃へ印加される力が
均一であるため、摩損を最低限に抑え、それにより、ネジタップをできるだけ長寿命化す
るとともに、孔径の精度及び仕上げ度を確保し、さらに工作機械のナイフの変換回数を削
減させ、またナイフ部材のコストを低下させ、シャンクとの同心度を確保するためにパー
ツの加工精度に依存することを解消する。
【0024】
2、タッピングシャンクに使用される純粋な転がりクラッチの過負荷保護機構は、摩擦係
数が小さいため、従来技術における完全スリップ摩擦クラッチよりも感度が約十倍向上し
、ネジタップが受けられる最大トルクを正確に調節するとともに、複合フローティングメ
カニズムと組み合わせることによって、構造を最適化させるとともに、機能をより包括的
にして、性能をさらに高める。従来、M1まで小さなネジにも過負荷保護により安全性を
確保し、タッピングの過負荷保護の分野において、前例のない空白を埋め、国内外で、自
体の折れ抵抗力が低く最も折りやすい、特にM3以下の小さなネジタップという、技術に
ついての要求が厳格な高難度ネジ加工に対して、過負荷保護を提供できないというタッピ
ングシャンクの欠点を解決する。本タッピングシャンクは、CNC工作機械において、複
合フローティングと転がりクラッチを組み合わせることによって、タッピングするときに
、最も発生しやすい折れという技術的課題を解決し、またタッピングするネジのサイズに
かかわらず、負荷が過負荷になった場合に保護できる。
【0025】
3、複合フローティングメカニズムと安全クラッチ機構を組み合わせて接続するため、フ
ローティング機構にはクラッチ機構を有し、クラッチ機構にはフローティング機構を有し
、分割できない一体となり、構造を簡素化させるため、三分の一の生産コストを削減させ
るとともに、位置決め基準によりチャックとシャンクの同心度及び垂直度をより容易に制
御でき、それにより、チャックは、回転するときに揺れることがなく、タッピングすると
きにフローティングできる。
【0026】
4、中心位置決めがあるため、チャックを延ばすことができ、タッピングが段付きワーク
により制限されない。
【0027】
5、タッピングシャンクは、タップ抜き用の滑り止めカラムとタップ抜き用の滑り止め一
方向スロットとにより、タップを抜くときの「滑り」を防止し、ネジタップが主軸ととも
に抜かれず、引っ張られて切ってしまうということを回避する。
【0028】
6、タッピングシャンクは、定力装置を有するため、チャックの軸方向の初期圧縮力を一
定にして、タッピング深さの一致性を確保する。
【0029】
7、クラッチ部材のパワーアームが従来技術によるパワーアームよりも長いため、クラッ
チ部位での圧力の強さを減少させ、摩損しにくくし、また、クラッチ部位には耐摩耗溝を
有するため、力の受ける面積をより増大して、圧力の強さを減少させ、このため、耐久性
を向上させ、トルクの手動調整を必要とせず、完全な機械自動化生産により適している。
【0030】
8、チャックが中空構造であるため、水や油などの関連機構に接続することで、切り屑排
出、降温や潤滑の役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】タッピングシャンクの全体構造図である。
図2】シャンク、チャック、トルク調整ナットのパーツの図である。
図3】シュートを有するスリップクラッチ部材、軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材、ホルダーのパーツの図である。
図4】径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材、軸方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材、ホルダーのパーツの図である。
図5】径方向フローティング部材、位置決め部材のパーツの図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、鋼球式転がり摩擦クラッチとスリップ摩擦クラッチの、2つのタイプのタッピ
ングシャンクであり、転がり摩擦クラッチ式のものは、主に小さなネジを加工するときに
、スリップ摩擦クラッチよりも高いクラッチ感度を必要とすることを解決する。
【0033】
転がり摩擦クラッチ式のものでは、トルクの伝達順番は、シャンク1、転がり鋼球2、軸
方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材4、転がりクラッチ鋼球6、軸方向に
おいてソケットを有するクラッチフローティング部材9、転がり部材10、径方向フロー
ティング部材11、転がり部材12、位置決め部材13、転がり鋼球14、チャック15
であり、最後に、チャック15によりネジタップ又はリーマを回転駆動する。
【0034】
スリップ摩擦クラッチ式のものでは、トルクの伝達順番は、シャンク1、転がり鋼球2、
シュートを有するスリップクラッチ部材3、スリップクラッチ鋼球5、径方向においてソ
ケットを有するクラッチフローティング部材8、転がり部材10、径方向フローティング
部材11、転がり部材12、位置決め部材13、転がり鋼球14、チャック15であり、
最後に、チャック15によりネジタップ又はリーマを回転駆動する。
【0035】
主軸に接続されたシャンク1では、外輪のネジがトルク調整ナット16に接続され、トル
クを調整するときに、トルク調整ナット16の平面での位置決めネジを緩めて、調整ナッ
トを回し、次に位置決めネジを締め付けてよい。
【0036】
シャンク1は、内輪には、転がり鋼球2の転がり溝、転がり鋼球2に接続された、軸方向
においてソケットを有する転がりクラッチ部材4又はシュートを有するスリップクラッチ
部材3を有し、外輪にも、転がり鋼球2の転がり溝を有し、平面には、タップ抜き用の滑
り止め一方向スロットを有し、軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材4は
、平面にソケットを有し、シュートを有するスリップクラッチ部材3は、平面にシュート
を有する。
【0037】
シュートを有するスリップクラッチ部材3は、スリップクラッチ鋼球5を介して、径方向
においてソケットを有するクラッチフローティング部材8に可動に接続され、タッピング
の抵抗力がネジタップについて設定されたトルクより大きい場合、スリップクラッチ鋼球
5は、スリップ方式で、径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材8
のピットにおいて、スリップ回転をしながら径方向フローティングを少量で発生させ、且
つ軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材4及びバネ17に対して軸方向の
スラスト力を発生させ、チャックがシャンク1とともに回転しないため、ネジタップが保
護される。
【0038】
軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材4は、転がりクラッチ鋼球6を介し
て、軸方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材9に可動に接続され、
タッピングの抵抗力がネジタップについて設定されたトルクより大きい場合、転がりクラ
ッチ鋼球6は、転がり方式で、軸方向においてソケットを有するクラッチフローティング
部材9及び軸方向においてソケットを有する転がりクラッチ部材4におけるピットから離
れて、転がり回転をしながら軸方向フローティングを少量で発生させ、且つ軸方向におい
てソケットを有する転がりクラッチ部材4及びバネ17に対して軸方向スラスト力を発生
させ、チャックがシャンク1とともに回転しないため、ネジタップが保護される。ホルダ
ー7は、各転がりクラッチ鋼球6の間隔を保持する。
【0039】
径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材8又は軸方向においてソケ
ットを有するクラッチフローティング部材9は、平面にタップ抜き用の滑り止め孔、ネジ
孔、転がり部材10の転がり溝を有し、軸方向においてソケットを有するクラッチフロー
ティング部材9は、平面にソケットを有し、ソケットには、1周の耐摩耗溝を有し、径方
向においてソケットを有するクラッチフローティング部材8は、外輪においてソケットを
有し、そのソケットにも1周の耐摩耗溝を有し、可動部位の受ける力の面積を増大して、
圧力の強さを減少させ、耐摩耗性を向上させるという役割を果たす。
【0040】
径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材8又は軸方向においてソケ
ットを有するクラッチフローティング部材9は、平面におけるタップ抜き用の滑り止め孔
には、バネとタップ抜き用の滑り止めカラム25とを有し、タップ抜き用の滑り止めカラ
ム25は、シュートを有するスリップクラッチ部材3又は軸方向においてソケットを有す
る転がりクラッチ部材4の、タップ抜き用の滑り止め一方向スロットに可動に接続され、
滑り止め一方向スロットは、一端が高くて他端が低い傾斜面であり、一端が平面と傾斜面
をなすように接続され、他端が平面とは段差をなし、タップを抜くときに、滑り止め一方
向スロットにおける段差が、滑り止めカラム25を介して、タップを抜くトルクを、径方
向においてソケットを有するクラッチフローティング部材8又は軸方向においてソケット
を有するクラッチフローティング部材9に直接伝達し、このように、タップを抜くトルク
がスリップクラッチ鋼球5又は転がりクラッチ鋼球6を介して伝達されなくなる。
【0041】
径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材8又は軸方向においてソケ
ットを有するクラッチフローティング部材9では、平面におけるネジ孔には、偏向フロー
ティングバネ20及びネジを有し、ネジを介して偏向フローティングバネ20が調整され
、径方向フローティング部材11、転がり部材12、位置決め部材13、鋼球19、シャ
ンク1に接続されたときに、接触力の大きさが、シャンク1の内輪におけるピットを中心
位置決め基準として、位置決め部材13の垂直度と同心度を確保するとともに、位置決め
部材13のために径方向又は偏向フローティングの空間を提供する。
【0042】
径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材8又は軸方向においてソケ
ットを有するクラッチフローティング部材9は、平面にホルダー22を有し、ホルダーは
、転がりブロック26に可動に接続された鋼球23を有し、タッピングするときに「滑り
」が発生したときに、転がり摩擦をすることによりスリップ摩擦を回避して、クラッチ感
度を向上させる。
【0043】
径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材8又は軸方向においてソケ
ットを有するクラッチフローティング部材9は、クラッチでありながら、フローティング
部品であり、機能の異なる2種の機構を組み合わせて、分割できない一体とし、それによ
り、構造を簡素化させるとともに、チャックが回転するときに揺らないように制御しやす
い。
【0044】
径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材8又は軸方向においてソケ
ットを有するクラッチフローティング部材9では、平面における転がり溝が、トルクを転
がり溝における転がり部材10で径方向フローティング部材11に伝達し、転がり部材1
2が位置決め部材13の外輪における転がり溝に接続され、それによって、トルクが転が
り部材12を介して位置決め部材13に伝達される。
【0045】
径方向フローティング部材11は、通常の十字形軸継手であり、上下平面にX、Y方向段
差を有し、転がり部材10及び12の径方向フローティングによって、ネジタップとネジ
付き下孔との径方向の偏差を解消し、ネジタップの摩擦を減少させて摩損を低下させ、タ
ッピング又はリーミングをするときに、孔径や仕上げ度を確保できる。
【0046】
位置決め部材13の外輪には、定力ネジ孔を有し、孔には、ネジ、バネやテーパーコラム
などの定力装置を有し、ネジを回すことでテーパーコラムの径方向力を増減することによ
って、チャックがタッピングするときの初期軸方向の圧縮力を一定にして、タッピング深
さの一致性を確保する。
【0047】
チャック15は、位置決め部材13の内輪に位置し、チャック15の外輪及び位置決め部
材13の内輪のいずれにも長溝を有し、溝には、鋼球14又は軸方向フローティングバネ
21を有し、鋼球14及び軸方向フローティングバネ21を1つの溝に装着することがで
き、ネジタップが過負荷して「滑り」が起こって回転しない、又は主軸方向において下へ
移動してピッチと合致しなくなる場合、チャック15は、位置決め部材13の内孔で軸方
向においてフローティングし、このとき、軸方向フローティングバネ21が圧縮されて、
主軸によるネジタップへの直接の軸方向圧縮力を解消し、主軸方向においてタップを抜く
ときに、ネジタップのピッチと合致しない場合にも、軸方向フローティングバネ21が圧
縮されて、主軸によるネジタップへの直接の軸方向引張力を解消し、軸方向圧縮力又は引
張力が解消されると、軸方向フローティングバネ21は自動的に回復する。
【0048】
位置決め部材13では、平面に1周のピットを有し、ピットは、ホルダー18における鋼
球19を介して、シャンク1の内平面における1周のピットに可動に接続され、シャンク
1を基準として、中心位置決め作用を果たし、それにより、ネジタップは、回転するとき
に揺れることがなく、タッピングするときにフローティングし、このように、同心度と垂
直度により位置決めされ、それによって、径方向フローティングと偏向フローティングに
よるチャックの揺れを防止し、段付きワークについてタッピングするときに、チャック1
5を延ばすことができる。
【0049】
位置決め部材13の内輪の下部には、鋼球14又は軸方向フローティングバネ21が落下
することを防止するためのストッパー27を有する。
【0050】
位置決め部材13は、鋼球14を介してトルクをチャック15に伝達して、ネジタップ又
はリーマーを回転駆動し、リーミングする場合は、クラッチトルクを大きく調整すればよ
い。
【0051】
硬質材料をタッピングする場合、負荷が限界トルクを超える場合、ネジタップが「滑り」
により保護され、主軸が回転するが、ネジタップが回転せず、タップを抜くときに、ネジ
タップが主軸とともに回転して抜かれ、このようにタッピングとタップ抜きを複数回繰り
返し、段階的に所望の程度までタッピングする。
【0052】
本タッピングシャンクの技術的特徴は、ネジタップ及びリーミングに適用できるだけでな
く、ロボットのネジ組立などの作業に適用でき、当業者であれば、本発明の開示内容から
直接導出又は想到しうる置換は、すべて本発明と同一又は等同の保護範囲にあるとみなす
べきである。
【符号の説明】
【0053】
図には、シャンク1、転がり鋼球2、シュートを有するスリップクラッチ部材3、軸方向
においてソケットを有する転がりクラッチ部材4、スリップクラッチ鋼球5、転がりクラ
ッチ鋼球6、ホルダー7、径方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材
8、軸方向においてソケットを有するクラッチフローティング部材9、転がり部材10、
径方向フローティング部材11、転がり部材12、位置決め部材13、転がり鋼球14、
チャック15、トルク調整ナット16、バネ17、ホルダー18、鋼球19、偏向フロー
ティングバネ20、軸方向フローティングバネ21、ホルダー22、鋼球23、定力装置
24、タップ抜き用の滑り止めカラム25、転がりブロック26、ストッパー27。
図1
図2
図3
図4
図5