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特許7029620パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダー及び風計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダー及び風計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/95 20060101AFI20220225BHJP
   G01S 7/487 20060101ALI20220225BHJP
   G01S 17/26 20200101ALI20220225BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20220225BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20220225BHJP
【FI】
G01S17/95
G01S7/487
G01S17/26
H01S3/10 D
H04B10/80
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020572591
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2018107084
(87)【国際公開番号】W WO2020056756
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】520358494
【氏名又は名称】南京牧▲レー▼激光科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING MOVELASER TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 0601,Building C,Xingzhi Science and Technology Park,Xingzhi Road,Nanjing Economic and Technological Development Zone,Nanjing,Jiangsu 210000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 軍
(72)【発明者】
【氏名】朱 海龍
(72)【発明者】
【氏名】肖 増利
(72)【発明者】
【氏名】李 智
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/052839(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/061476(WO,A1)
【文献】米国特許第08947659(US,B1)
【文献】特表2001-521161(JP,A)
【文献】特許第6250197(JP,B1)
【文献】特表2007-510914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0166113(US,A1)
【文献】国際公開第03/100458(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107807367(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107783144(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103792385(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源発射ユニットと、受信ユニットと、検知ユニットと、信号処理ユニットとを備え、前記光源発射ユニットと前記受信ユニットはいずれも前記検知ユニットに接続され、前記検知ユニットは更に前記信号処理ユニットに接続され、そのうち、前記受信ユニット及び/又は前記検知ユニットには、少なくとも1種のノイズフィルターデバイスが設けられ、
前記光源発射ユニットは、被測定空域へレーザーパルスを発射するように配置され、更に、前記検知ユニットに自機発信光信号を伝送するように配置され、
前記受信ユニットは、前記レーザーパルスが前記被測定空域における大気パーティクルで散乱され得られた大気散乱光信号を受信するように配置され、更に、前記大気散乱光信号を前記検知ユニットに伝送するように配置され、
前記検知ユニットは、前記自機発信光信号と前記大気散乱光信号に基づいてビートバランス検知を実行し、検知結果を得るように配置され、
前記信号処理ユニットは、前記検知結果とドップラー効果関係式に基づいて計算して風速情報を得るように配置され
前記受信ユニットにおけるノイズフィルターデバイスは、高速電気光学スイッチ及び光ファイバー回折格子フィルターを含み、前記高速電気光学スイッチにより、光ファイバー端面で生成される散乱光ノイズを低減し、前記光ファイバー回折格子フィルターにより、有効なスペクトル範囲外のバックグラウンド光ノイズを濾去し、
前記検知ユニットにおけるノイズフィルターデバイスは、光ファイバー遅延線を含み、前記光ファイバー遅延線により、自機発信光源自身の位相/周波数ノイズによる影響を低減することを特徴とする、パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダー。
【請求項2】
前記光源発射ユニットは、順次に接続された自機発信光源、光変調器、光ファイバアンプ、第1の光サーキュレータ、及び受送信機一体化光学アンテナを含み、更に、パルス同期信号発生器、及び前記パルス同期信号発生器と前記光変調器のそれぞれに接続されたドライバーを含むことを特徴とする、請求項に記載のレーダー。
【請求項3】
前記自機発信光源は、2本の連続レーザービームを出力し、前記自機発信光信号としての1本目のレーザービームを前記検知ユニットに伝送し、前記被測定空域へ発射されるレーザーパルスの元としての2本目のレーザービームを前記光変調器に伝送するように配置され、
前記光変調器は、前記2本目のレーザービームを予設のレーザーパルスに変調し、前記レーザーパルスを前記光ファイバアンプに伝送するように配置され、その中、前記パルス同期信号発生器は同期パルス電気信号を生成し、前記同期パルス電気信号を前記ドライバーに伝送するように配置され、前記ドライバーは前記同期パルス電気信号を増幅し、増幅された前記同期パルス電気信号で前記光変調器を駆動して作動させるように配置され、
前記光ファイバアンプは、前記レーザーパルスのエネルギーを増幅し、被発射レーザーパルスを得、前記第1の光サーキュレータを経由して前記被発射レーザーパルスを前記受送信機一体化光学アンテナに伝送するように配置され、
前記受送信機一体化光学アンテナは、前記被発射レーザーパルスを被測定空域へ発射するように配置され、更に、前記被測定空域における大気パーティクルで散乱され得られた大気散乱光信号を受信し、前記第1の光サーキュレータを経由して前記大気散乱光信号を前記受信ユニットに伝送するように配置されることを特徴とする、請求項に記載のレーダー。
【請求項4】
前記第1の光サーキュレータは、第1のポート、第2のポート、及び第3のポートを含み、
前記第1の光サーキュレータは、前記被発射レーザーパルスを前記第1のポートによって受信し、前記被発射レーザーパルスを前記第2のポートによって前記受送信機一体化光学アンテナに伝送するように配置され、
前記第1の光サーキュレータは更に、前記大気散乱光信号を前記第2のポートによって受信し、前記大気散乱光信号を前記第3のポートによって前記受信ユニットに伝送するように配置されることを特徴とする、請求項に記載のレーダー。
【請求項5】
前記第1のポートと前記第3のポートとの間の光アイソレーションは50dBよりも大きいことを特徴とする、請求項に記載のレーダー。
【請求項6】
前記自機発信光源は単一周波数の低ノイズの半導体レーザー源であり、
及び/又は、
前記光変調器は光ファイバー音響光学変調器又は光ファイバー電気光学変調器であり、
及び/又は、
前記光ファイバアンプはエルビウムドープ光ファイバアンプ又はエルビウムイッテルビウム共ドープ光ファイバアンプであることを特徴とする、請求項又はに記載のレーダー。
【請求項7】
前記受信ユニットは高速電気光学スイッチを含むことを特徴とする、請求項に記載のレーダー。
【請求項8】
前記受信ユニットは更に、第2の光サーキュレータ及び光ファイバー回折格子フィルターを含み、その中、前記高速電気光学スイッチ、前記第2の光サーキュレータ及び前記光ファイバー回折格子フィルターは順次に接続されることを特徴とする、請求項に記載のレーダー。
【請求項9】
前記高速電気光学スイッチは、前記第1の光サーキュレータと前記パルス同期信号発生器のそれぞれに接続され、前記第1の光サーキュレータは更に前記大気散乱光信号を前記高速電気光学スイッチに伝送するように配置され、前記パルス同期信号発生器は更に前記同期パルス電気信号を前記高速電気光学スイッチに伝送するように配置され、
前記高速電気光学スイッチは、前記同期パルス電気信号に応じてオン・オフ状態を変更し、前記大気散乱光信号における散乱光ノイズを濾去し、前記第2の光サーキュレータを経由して前記散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号を前記光ファイバー回折格子フィルターに伝送するように配置され、
前記光ファイバー回折格子フィルターは、前記散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号に対してスペクトルノイズろ過処理を実行し、前記第2の光サーキュレータを経由して前記スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号を前記検知ユニットに伝送するように配置されることを特徴とする、請求項に記載のレーダー。
【請求項10】
前記第2の光サーキュレータは、第4のポート、第5のポート、及び第6のポートを含み、
前記第2の光サーキュレータは、前記散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号を前記第4のポートによって受信し、前記散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号を前記第5のポートによって前記光ファイバー回折格子フィルターに伝送するように配置され、
前記第2の光サーキュレータは更に、前記スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号を前記第5のポートによって受信し、前記スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号を前記第6のポートによって前記検知ユニットに伝送するように配置されることを特徴とする、請求項に記載のレーダー。
【請求項11】
前記光ファイバー回折格子フィルターの反射バンドパス幅は1nmよりも小さいことを特徴とする、請求項9又は10に記載のレーダー。
【請求項12】
前記検知ユニットは、順次に接続された調節可能な光減衰器、光ファイバー遅延線、及び光ミキサ検知器を含むことを特徴とする、請求項11のいずれか一項に記載のレーダー。
【請求項13】
前記調節可能な光減衰器は更に前記自機発信光源に接続され、前記自機発信光源から伝送された前記自機発信光信号に対して強度を調節し、強度が調節された前記自機発信光信号を前記光ファイバー遅延線に伝送するように配置され、
前記光ファイバー遅延線は、強度が調節された前記自機発信光信号の前記光ミキサ検知器に到達するまでの時間を遅延させるように配置され、
前記光ミキサ検知器は、前記スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号と時間が遅延された前記自機発信光信号に対してビートバランス検知を実行し、検知結果を得るように配置されることを特徴とする、請求項12に記載のレーダー。
【請求項14】
前記光ミキサ検知器の感光材はインジウム・ガリウム・ヒ素を含むことを特徴とする、請求項12又は13に記載のレーダー。
【請求項15】
前記レーダーとして、全光ファイバー構造のもの又は非全光ファイバー構造のものを採用することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のレーダー。
【請求項16】
前記光源発射ユニットによって被測定空域へレーザーパルスを発射し、前記検知ユニットへ自機発信光信号を伝送することと、
前記受信ユニットによって、前記レーザーパルスが前記被測定空域における大気パーティクルで散乱され得られた大気散乱光信号を受信し、前記大気散乱光信号を前記検知ユニットに伝送することと、
前記検知ユニットによって、前記自機発信光信号と前記大気散乱光信号に基づいてビートバランス検知を実行し、検知結果を得ることと、
前記信号処理ユニットによって前記検知結果とドップラー効果関係式に基づいて計算して風速情報を得ることと、
を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載のパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーに適用される風計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はレーダー技術分野に関し、特に、パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダー及び風計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、清浄風による電気エネルギーの開発、気象学、民間機空港の空域におけるウインドシアの早期警告、風洞流体力学研究、スペース大気科学研究などの多くの分野において、大気風力場を正確的に検知する必要があり、これに応じて、高精度の大気風力場情報の遠隔計測技術であって、主にドップラー周波数偏移という原理を利用して大気の風力場を計測するドップラー風計測レーザーレーダー技術が生まれた。しかしながら、目の前に広く適用されていたパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーは、やはり多くのノイズに邪魔されるため、信号対雑音比が低くて風計測の正確率が高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、本願の目的は、上記した問題の少なくとも1つを改良できるパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダー及び風計測方法を提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願に係る実施例において、以下のような技術手段が採用される。
【0005】
本願に係る実施例は、第1の局面において、光源発射ユニットと、受信ユニットと、検知ユニットと、信号処理ユニットとを備え、上記光源発射ユニットと上記受信ユニットはいずれも上記検知ユニットに接続され、上記検知ユニットは更に上記信号処理ユニットに接続され、その中、上記受信ユニット及び/又は上記検知ユニットには少なくとも1種のノイズフィルターデバイスが設けされ、上記光源発射ユニットは被測定空域へレーザーパルスを発射するように配置され、更に上記検知ユニットへ自機発信光信号を伝送するように配置され、上記受信ユニットは、上記レーザーパルスが上記被測定空域における大気パーティクルで散乱され得られた大気散乱光信号を受信するように配置され、更に上記大気散乱光信号を上記検知ユニットに伝送するように配置され、上記検知ユニットは上記自機発信光信号と上記大気散乱光信号に基づいてビートバランス検知を実行し、検知結果を得るように配置され、上記信号処理ユニットは上記検知結果とドップラー効果関係式に基づいて計算して風速情報を得るように配置されるパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーを提供する。
【0006】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記受信ユニットにおけるノイズフィルターデバイスは、高速電気光学スイッチ及び/又は光ファイバー回折格子フィルターを含む。
【0007】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記信号検知ユニットにおけるノイズフィルターデバイスは、光ファイバー遅延線を含む。
【0008】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記光源発射ユニットは、順次に接続された自機発信光源、光変調器、光ファイバアンプ、第1の光サーキュレータ、及び受送信機一体化光学アンテナを含み、更に、パルス同期信号発生器、及び上記パルス同期信号発生器と上記光変調器のそれぞれに接続されたドライバーを含む。
【0009】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記自機発信光源は、2本の連続レーザービームを出力し、上記自機発信光信号としての1本目のレーザービームを上記検知ユニットに伝送し、上記被測定空域に発射されるレーザーパルスの元としての2本目のレーザービームを上記光変調器に伝送するように配置され、上記光変調器は、上記2本目のレーザービームを予設のレーザーパルスに変調し、上記レーザーパルスを上記光ファイバアンプに伝送するように配置され、その中、上記パルス同期信号発生器は同期パルス電気信号を生成して上記同期パルス電気信号を上記ドライバーに伝送するように配置され、上記ドライバーは上記同期パルス電気信号を増幅し、増幅された上記同期パルス電気信号で上記光変調器を駆動して作動させるように配置され、上記光ファイバアンプは、上記レーザーパルスのエネルギーを増幅して被発射レーザーパルスを得、上記第1の光サーキュレータを経由して上記被発射レーザーパルスを上記受送信機一体化光学アンテナに伝送するように配置され、上記受送信機一体化光学アンテナは上記被発射レーザーパルスを被測定空域に発射するように配置され、更に、上記被測定空域における大気パーティクルで散乱され得られた大気散乱光信号を受信し、上記第1の光サーキュレータを経由して上記大気散乱光信号を上記受信ユニットに伝送するように配置される。
【0010】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記第1の光サーキュレータは、第1のポート、第2のポート、及び第3のポートを含み、上記第1の光サーキュレータは、上記被発射レーザーパルスを上記第1のポートによって受信し、上記上記被発射レーザーパルスを第2のポートによって上記受送信機一体化光学アンテナに伝送するように配置され、更に、上記大気散乱光信号を上記第2のポートによって受信し、上記大気散乱光信号を上記第3のポートによって上記受信ユニットに伝送するように配置される。
【0011】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記第1のポートと上記第3のポートとの間の光アイソレーションは50dBよりも大きいである。
【0012】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記自機発信光源は単一周波数の低ノイズの半導体レーザー源であり、及び/又は、上記光変調器は光ファイバー音響光学変調器又は光ファイバー電気光学変調器であり、及び/又は、上記光ファイバアンプはエルビウムドープ光ファイバアンプ又はエルビウムイッテルビウム共ドープ光ファイバアンプである。
【0013】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記受信ユニットは高速電気光学スイッチである。
【0014】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記受信ユニットは更に第2の光サーキュレータ及び光ファイバー回折格子フィルターを含み、その中、上記高速電気光学スイッチ、上記第2の光サーキュレータ、及び上記光ファイバー回折格子フィルターは順次に接続される。
【0015】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記高速電気光学スイッチは上記第1の光サーキュレータと上記パルス同期信号発生器のそれぞれに接続され、上記第1の光サーキュレータは更に上記大気散乱光信号を上記高速電気光学スイッチに伝送するように配置され、上記パルス同期信号発生器は更に上記同期パルス電気信号を上記高速電気光学スイッチに伝送するように配置され、上記高速電気光学スイッチは上記同期パルス電気信号に応じてオン・オフ状態を変更し、上記大気散乱光信号における散乱光ノイズを濾去し、上記第2の光サーキュレータを経由して上記散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号を上記光ファイバー回折格子フィルターに伝送するように配置され、上記光ファイバー回折格子フィルターは、上記散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号に対してスペクトルノイズろ過処理を実行し、上記第2の光サーキュレータを経由して上記スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号を上記検知ユニットに伝送する。
【0016】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記第2の光サーキュレータは第4のポート、第5のポート、及び第6のポートを含み、上記第2の光サーキュレータは、上記散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号を上記第4のポートによって受信し、上記散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号を上記第5のポートによって上記光ファイバー回折格子フィルターに伝送するように配置され、更に、上記スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号を上記第5のポートによって受信し、上記スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号を上記第6のポートによって上記検知ユニットに伝送するように配置される。
【0017】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記光ファイバー回折格子フィルターの反射バンドパス幅は1nmよりも小さいである。
【0018】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記検知ユニットは、順次に接続された調節可能な光減衰器、光ファイバー遅延線、及び光ミキサ検知器を含む。
【0019】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記調節可能な光減衰器は更に上記自機発信光源に接続され、上記自機発信光源から伝送された上記自機発信光信号に対して強度を調節し、強度が調節された上記自機発信光信号を上記光ファイバー遅延線に伝送するように配置され、上記光ファイバー遅延線は、強度が調節された上記自機発信光信号の上記光ミキサ検知器に到達するまでの時間を遅延させるように配置され、上記光ミキサ検知器は、上記スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号と時間が遅延された上記自機発信光信号に対してビートバランス検知を実行し、検知結果を得るように配置される。
【0020】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記光ミキサ検知器の感光材は、インジウム・ガリウム・ヒ素を含む。
【0021】
好ましい実施形態の1つにおいて、上記レーダーとして、全光ファイバー構造のもの又は非全光ファイバー構造のものを採用する。
【0022】
本願に係る実施例は、第2の局面において、第1の局面により提供される上記いずれか一項に記載のパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーに適用される風計測方法であって、上記光源発射ユニットによって被測定空域へレーザーパルスを発射すると共に、上記検知ユニットへ自機発信光信号を伝送することと、上記受信ユニットによって、上記レーザーパルスが上記被測定空域における大気パーティクルで散乱され得られた大気散乱光信号を受信し、上記大気散乱光信号を上記検知ユニットに伝送することと、上記検知ユニットによって、上記自機発信光信号と上記大気散乱光信号に基づいてビートバランス検知を実行し、検知結果を得ることと、上記信号処理ユニットによって、上記検知結果とドップラー効果関係式に基づいて計算して風速情報を得ることとを含む風計測方法を提供する。
【0023】
本願に係る実施例によれば、光源発射ユニットと、受信ユニットと、検知ユニットと、信号処理ユニットとを備え、受信ユニット及び/又は検知ユニットには少なくとも1種のノイズフィルターデバイスが設けられるパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダー及び風計測方法を提供し、ノイズフィルターデバイスによってノイズを濾去することで、信号対雑音比に対するノイズの影響を好適に低減することができるため、本実施例により提供されるレーダーは、従来のパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーよりも高い信号対雑音比を有し、レーダーの風計測正確率を更に向上することに寄与する。
【0024】
本願の他の特徴と利点は後述の明細書において説明し、又は、一部の特徴と利点は、明細書から推知し又は疑義なく確定でき、又は本開示の上記技術を実施することによって理解できる。
【0025】
以下、本願の上記の目的、特徴及び利点を更に明らかにするように、特に好ましい実施例を挙げて、添付図面に基づいて以下のように詳細に説明する。
【0026】
以下、本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術手段を更に明らかに説明するように、具体的な実施形態又は従来技術の記述に利用必要である添付図面を簡単に紹介し、言うまでもなく、以下に記述される添付図面は本願の一部の実施形態であり、業者にとって、創造的な労働が無くても、これらの添付図面から他の添付図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願に係る実施例により提供されるパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーの構造模式図を示す。
図2】本願に係る実施例により提供されるパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーの具体構造模式図を示す。
図3】本願に係る実施例により提供されるパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーの光路原理図を示す。
図4】本願に係る実施例により提供される0.8~2.2μmの大気透過スペクトル範囲模式図を示す。
図5】本願に係る実施例により提供されるインジウム・ガリウム・ヒ素光学電気検知器の典型的なスペクトル応答グラフを示す。
図6】本願に係る実施例により提供される風計測方法フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願に係る実施例の目的、技術手段及び利点を更に明らかにするように、添付図面に基づいて本願の技術手段を明確的で完備的に記述するが、明らかであるように、記述される実施例は全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例である。業者が本願における実施例に基づいて創造的な労働をしない限り得られた他の実施例は、全て本願の保護範囲に含まれる。
【0029】
目の前、光ファイバー構造のパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダー、非光ファイバー構造のパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダー(例えば、光学レンズ、レーザー結晶、光学マウントなどの離散光学素子からなる固形レーザー器を光源とするレーザーレーダー)にかかわらず、信号対雑音比はノイズに邪魔されて低いため、最終的に風計測正確率は高くない場合が多い。以下、例を挙げて説明する。
【0030】
(1)パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーには、光ミキサ検知器を有する場合が多いが、光ミキサ検知器は一定の応答スペクトル範囲を有する感光材による光学電気検知器であり、応答スペクトルの幅は光信号のスペクトルの幅よりも遥かに大きいであり、検知された光信号のバックグラウンドノイズには、一部の太陽放射スペクトルノイズ、大気における各種の異なるサイズのパーティクルとレーザービームとの相互作用による迷光ノイズが含まれるため、レーダーシステムの信号対雑音比が低減される。
【0031】
(2)全光ファイバーパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーは、構造がコンパクトでエネルギー消耗が低いが、光ファイバーの断面が小さいため、光信号とノイズの伝播が光導波路内に束縛され、光ファイバーの端面で生成され且つ散乱光ノイズとも称される反射信号はその強度が有効な光検知信号よりも遥かに大きいであり、光検知器はこのようなノイズのため飽和になり易く、信号対雑音比も影響され、また、レーダー検知データ有効率も低減される。
【0032】
(3)パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーにおける自機発信光源自身の位相/周波数ノイズによっては、光ミキサ検知によって解析された有効信号のスペクトラムピーク幅は広くなる場合があり、信号対雑音比が影響され、反転計算された風速精度も影響される。
【0033】
本願に係る実施例は、上記した問題の少なくとも1つを改善するように、パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダー及び風計測方法を提供し、当該技術は、例えば清浄風による電気エネルギーの開発、気象学、民間機空港の空域におけるウインドシアの早期警告、風洞流体力学研究、スペース大気科学研究などの大気風力場を検知する必要がある各種の分野に適用される。以下、本願に係る実施例を詳細に紹介する。
【0034】
まず、図1に示すパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーの構造模式図を参照し、パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーは、光源発射ユニットと、受信ユニットと、検知ユニットと、信号処理ユニットとを備え、光源発射ユニットと受信ユニットはいずれも検知ユニットに接続され、検知ユニットは更に信号処理ユニットに接続され、その中、受信ユニット及び/又は検知ユニットには少なくとも1種のノイズフィルターデバイスが設けられる(図1に示せず)。光源発射ユニット、受信ユニット、検知ユニット及び信号処理ユニットの基本的なメカニズムは、以下の通りである。
【0035】
光源発射ユニットは、被測定空域へレーザーパルスを発射するように配置され、更に、検知ユニットへ自機発信光信号を伝送するように配置される。
【0036】
受信ユニットは、レーザーパルスが被測定空域における大気パーティクルで散乱され得られた大気散乱光信号を受信するように配置され、更に、大気散乱光信号を検知ユニットに伝送するように配置される。
【0037】
検知ユニットは、自機発信光信号と大気散乱光信号に基づいてビートバランス検知を実行し、検知結果を得るように配置される。一部の実施形態において、検知ユニットは、自機発信光信号と大気散乱光信号をミキサし、ビートバランス検知を実行してアナログ電気信号の検知結果(時間領域アナログ電気信号でもよい)を生成してもよい。
【0038】
信号処理ユニットは、検知結果とドップラー効果関係式に基づいて計算して風速情報を得るように配置される。一部の実施形態において、信号処理ユニットはまず、アナログ電気信号をデジタル電気信号に変換し、そして高速離散フーリエ変換によって時間領域データから周波数領域データへ変換し、ドップラー効果関係式によって即時の風速データ情報を算出してもよい。
【0039】
本願に係る実施例により提供される上記のパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーは、光源発射ユニットと、受信ユニットと、検知ユニットと、信号処理ユニットとを備え、その中、受信ユニット及び/又は検知ユニットには少なくとも1種のノイズフィルターデバイスが設けられ、ノイズフィルターデバイスでノイズを濾去することで、信号対雑音比に対するノイズの影響を好適に低減することができるため、本実施例により提供されるレーダーは、従来のパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーよりも高い信号対雑音比を有し、レーダーの風計測正確率を更に向上することに寄与する。
【0040】
一部の実施形態において、受信ユニットにおけるノイズフィルターデバイスは、高速電気光学スイッチ及び/又は光ファイバー回折格子フィルターを含んでもよい。信号検知ユニットにおけるノイズフィルターデバイスは光ファイバー遅延線を含んでもよい。具体的に実施する場合、本願に係る実施例により提供されるノイズフィルターデバイスとしては、高速電気光学スイッチ、光ファイバー回折格子フィルター、及び光ファイバー遅延線の1つ又は複数を採用して実現してもよいし、もちろん他のノイズフィルターデバイスを採用して実現してもよく、ここに制限されない。
【0041】
実用中、本実施例により提供されるパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーとして、全光ファイバー構造のもの又は非全光ファイバー構造のものを採用してもよいが、ここに制限されない。
【0042】
図1の元で、図2に模式的に示すパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーの具体構造模式図を参照し、また、図2の元で、図3に模式的に示すパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーの光路原理図を更に参照し、図2図3の区別は以下の通りである。図2には、単にレーザーレーダーに含まれる具体的なデバイス及び各デバイスの間の接続関係を模式的に示し、図2における実線は、2つのデバイスの間に関連関係があることを意味する。しかしながら、図3図2の元で、更に異なるデバイスの間の信号伝送方式を模式的に示し、例えば、図3における実線は、2つのデバイスの間にレーザーを伝送することを意味し、破線は、2つのデバイスの間に被測定大気返波信号(即ち、大気散乱光信号)を伝送することを意味し、点鎖線は、2つのデバイスの間に電気信号を伝送することを意味する。
【0043】
以下、図2図3に基づいて、本願に係る実施例により提供されるパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーを詳細に説明する。
【0044】
光源発射ユニットは、順次に接続された自機発信光源、光変調器、光ファイバアンプ、第1の光サーキュレータ、及び受送信機一体化光学アンテナを含み、更に、パルス同期信号発生器、及びパルス同期信号発生器と光変調器のそれぞれに接続されたドライバーを含んでもよい。各デバイスの機能を便宜に理解するために、以下のように具体的に説明する。
【0045】
自機発信光源は、2本の連続レーザービームを出力し、自機発信光信号としての1本目のレーザービームを検知ユニットに伝送し、被測定空域へ発射されるレーザーパルスの元としての2本目のレーザービームを光変調器に伝送するように配置される。1つの実施形態において、自機発信光源は、波長1.5μm(人目にとって安全である光波長域)の単一周波数の低ノイズの半導体レーザーであってもよい。
【0046】
光変調器は、2本目のレーザービームを予設のレーザーパルス(例えば、設定された繰り返し周波数とパルス幅を有し、変調キャリア周波数はビート検知中間周波数)に変調し、レーザーパルスを光ファイバアンプに伝送するように配置され、その中、パルス同期信号発生器は同期パルス電気信号を生成して同期パルス電気信号をドライバーに伝送するように配置され、ドライバーは同期パルス電気信号を増幅し、増幅された同期パルス電気信号で光変調器を駆動して作動させるように配置される。
【0047】
1つの実施形態において、光変調器として、光ファイバー音響光学変調器を採用してもよく(もちろん、実用中、光変調器として電気光学変調器を採用してもよい)、連続レーザーをレーザーパルスに変調し、パルス繰り返し周波数とパルス幅はパルス同期信号発生器によって決められた。パルス同期信号発生器から同期電気パルス信号を出力し、レーザーレーダーから発射されるパルス光信号の形状、繰り返し周波数とパルス幅は、電気パルス信号のパルス繰り返し周波数とパルス幅により決められた。同期電気パルス信号は2本に別れてもよく、その1本はドライバーで増幅された後、適宜なRFパワーで光変調器を駆動し、もう1本は受信ユニットにおける高速電気光学スイッチ(以下詳細に紹介するが、ここで記述しない)の同期制御に用いられてもよい。便宜に理解するために、光変調器の基本的なメカニズムを更に記述する。光変調器によって入力電気信号(例えば、アナログ又はデジタルTTL信号)を変調し、ドライバーでRFパワーを増幅し、標準なSMAなどのインターフェイスでドライバーから光変調器の電気インターフェイスに接続される。光変調器のインターフェイスは、電気インターフェイスと光インターフェイスを含んでもよく、例えば、レーザーが光インターフェイスで光変調器を進出する場合、光変調器内の電気光学結晶、音響光学結晶は十分なRFパワーによる駆動下、電気光学効果、音響光学効果によって入射レーザーをパルス変調し、連続光信号をパルス光信号に変換し、即ち、光変調器によって、連続レーザーを繰り返し周波数とパルス幅が一定で、変調キヤリア周波数がビート検知中間周波数であるレーザーパルスに変調することができる。
【0048】
光ファイバアンプは、レーザーパルスのエネルギーを増幅して被発射レーザーパルスを得、第1の光サーキュレータを経由して被発射レーザーパルスを受送信機一体化光学アンテナに伝送するように配置される。1つの実施形態において、光ファイバアンプとして、レーザーパルスのエネルギーを増幅するためのエルビウムドープ光ファイバアンプ又はエルビウムイッテルビウム共ドープ光ファイバアンプを採用してもよく、検知距離の要求に応じて、多段増幅器の段間結合によってパルスエネルギーを拡大してもよい。被発射レーザーパルスのエネルギーの大きさは、レーダーシステム指標によって定められ(主に検知距離の遠さであり)、一般的には、実際なレーダー適用外野での試験テストによると、レーザーエネルギーを調節するために、レーザー器の制御電流を調節すればよいということが確認された。理解できるように、大気によるレーザー信号の減衰があり、レーザーエネルギーが高ければ、レーザー発射が遠くなり、また、同一距離下、レーダーへ散乱して戻る光信号が強ければ、有用になる検知信号が強くなる。
【0049】
受送信機一体化光学アンテナは、被発射レーザーパルスを被測定空域に発射するように配置され、更に、被測定空域の大気パーティクルで散乱され得られた大気散乱光信号を受信し、第1の光サーキュレータを経由して大気散乱光信号を受信ユニットに伝送するように配置される。具体的には、レーザーパルスが大気に発射され、大気における移動エアロゾルパーティクルがレーザーに照射され、これによって散乱された光信号は、受送信機一体化光学アンテナへ反射して戻る。その中、第1の光サーキュレータと受送信機一体化光学アンテナとの接続としては、第1の光サーキュレータの一端の光ファイバーコネクターを受送信機一体化光学アンテナの接続口に接続して固定してもよい。レーザーは光ファイバー端面から出射した後、受送信機一体化光学アンテナ内の光学レンズ、ウィンドウミラーで合焦して大気へ発射し、大気に移動しているエアロゾル粒子で散乱され得られた光信号(即ち、大気散乱光信号)は逆の経路で受送信機一体化光学アンテナへ戻る。
【0050】
具体的に実施する場合、上記第1の光サーキュレータは、第1のポートC1、第2のポートC2、及び第3のポートC3を含み、その中、第1の光サーキュレータは被発射レーザーパルスを第1のポートC1によって受信し、被発射レーザーパルスを第2のポートC2をによって受送信機一体化光学アンテナに伝送するように配置され、更に、大気散乱光信号を第2のポートC2によって受信し、大気散乱光信号を第3のポートC3によって受信ユニットに伝送するように配置される。即ち、被発射レーザーパルスは第1の光サーキュレータの第1のポートC1から第2のポートC2に入り、受送信機一体化光学アンテナを経由して被測定空域へ発射され、大気散乱光信号は受送信機一体化光学アンテナで収集された後、第1の光サーキュレータの第2のポートC2から第3のポートC3に入り、更に第3のポートC3から後の受信ユニットに入るようになる。具体的には、第1の光サーキュレータは三つポートの光ファイバーサーキュレータであり、ポートの間でのレーザーの単方向伝播は、C1→C2、C2→C3という方向であり、C1→C3、C2→C1という方向の伝播は禁止される。好ましくは、C1とC3との間の光アイソレーションは50dBよりも大きいである。
【0051】
受信ユニットは、順次に接続された高速電気光学スイッチ、第2の光サーキュレータ、及び光ファイバー回折格子フィルターを含んでもよく、その中、高速電気光学スイッチ、第2の光サーキュレータ及び光ファイバー回折格子フィルターは順次に接続される。更に、高速電気光学スイッチは、第1の光サーキュレータとパルス同期信号発生器のそれぞれに接続される。第1の光サーキュレータは更に大気散乱光信号を高速電気光学スイッチに伝送するように配置され、パルス同期信号発生器は更に同期パルス電気信号を高速電気光学スイッチに伝送するように配置される。
【0052】
高速電気光学スイッチは、同期パルス電気信号に応じてオン・オフ状態を変更し、大気散乱光信号における散乱光ノイズを濾去し、第2の光サーキュレータを経由して散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号を光ファイバー回折格子フィルターに伝送するように配置される。
【0053】
光ファイバー回折格子フィルターは、散乱光ノイズが濾去された大気散乱光信号に対してスペクトルノイズろ過処理を実行し、第2の光サーキュレータを経由してスペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号を検知ユニットに伝送するように配置される。光ファイバー回折格子フィルターは、有効なスペクトル範囲にある光を反射し、有効でないスペクトルの光を透過することによって、有効でないスペクトルの光を濾去するという目的を達成できる。
【0054】
その中、第2の光サーキュレータは主に、高速電気光学スイッチで処理された光信号を光ファイバー回折格子フィルターにガイドしてスペクトルをろ過し、スペクトルノイズを濾去した後、スペクトルノイズが濾去された光信号を光ミキサ検知器にガイドするように配置される。具体的には、本実施例により提供される第2の光サーキュレータは、第4のポートC4、第5のポートC5、及び第6のポートC6を含み、その中、第2の光サーキュレータは、散乱光ノイズが除かれた大気散乱光信号を第4のポートC4によって受信し、散乱光ノイズが除かれた大気散乱光信号を第5のポートC5によって光ファイバー回折格子フィルターに伝送するように配置されされ、更に、スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号を第5のポートC5によって受信し、スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号を第6のポートC6によって検知ユニットに伝送するように配置される。
【0055】
レーダー光源のスペクトル幅が一般的に狭い(<1nm)であるということを考えると、本実施例により提供される光ファイバー回折格子フィルターの反射バンドパス幅は、1nmよりも小さくなってもよく、もちろん他の数値を採用してもよいが、通常な場合、バンドパスのスペクトル幅が広いほど、スペクトル内に他の光ノイズが多くなるが、1nmは経験値であり、デバイスメーカーから大量の性能安定のデバイスが提供され、規模化適用に寄与するすることができる。また、本願に係る実施例により提供されるレーザーレーダー光源の中心波長は自機発信光源の中心波長により決定され、1550nmは光通信業界の標準汎用波長であり、製造プロセスと材料によっては、ロットでのデバイスの具体的な精確値はずれがある場合があるため、一般的に、1550±0.5nmでロットでの購入は容易になる。これに基づいて、本実施例に提供される光ファイバー回折格子フィルターによって、波長が1550nm近くの1nmのスペクトル範囲にある有効な光信号を第2の光サーキュレータへ反射し、第5のポートC5から第6のポートC6に入らせることができる。有効なスペクトル範囲外のバックグラウンド光ノイズ(図4に示すように、0.8~2.2μmの大気透過スペクトル範囲)は光ファイバー回折格子フィルターを透過し、光ファイバー回折格子フィルターで濾去され、スペクトルノイズをろ過する機能が実現れる。
【0056】
例えば全光ファイバー構造のレーザーレーダーにおいて、全光ファイバーレーザー光源全体(例えば、自機発信光源、光変調器、光ファイバアンプ、ドライバーなどのデバイスを含んでもよい)に用いられるデバイスは、いずれも光ファイバー通信業界に利用される微型の光ファイバーデバイスであり、デバイス接続として光ファイバー溶接が採用され、すべての光信号は光ファイバー内に伝送され、むき出しであるフリースペースが無いため、光ファイバー端面で生成される散乱(又は反射)信号は有効な大気散乱光信号よりも遥かに大きいである。これに基づいて、本実施例は、大気散乱光信号に混合された散乱光ノイズを濾去するために高速電気光学スイッチが設けられ、その具体的なメカニズムは以下の通りである。第1の光サーキュレータの第3のポートC3で受信された光信号には、受送信機一体化光学アンテナにおいて光ファイバー端面と光学ミラーで生成された強い散乱光パルスが含まれ、高速電気光学スイッチによって、パルス同期信号発生器のトリガータイミング制御信号(上記の同期パルス電気信号に対応)に基づいて、オン・オフ状態を変更することによって、上記の強い散乱光パルス(上記の散乱光ノイズに対応)を離隔して除くすることができる。理解できるように、レーダー内部の散乱光パルス又は反射光パルス(光ファイバー端面、望遠鏡内の光学ミラー、発射光学ウィンドウで生成され得、信号が強い)と、遠距離大気におけるパーティクルで散乱されたエコー光信号(即ち、上記の大気散乱光信号、信号が弱い)との間に一定の時間差があり、レーダー内の散乱光パルスは優先して高速電気光学スイッチに到達し、この時、高速電気光学スイッチがOFF状態にあれば、散乱光パルスを阻止できるが、大気散乱光信号は遅延して到達し、高速電気光学スイッチがOFF状態からON状態に変更される。ON状態の継続時間は、光パルス信号の継続時間(一般的には、100nsオーダー)よりも若干大きければよい。ON/OFFの変更速度が速い(例えば、一般的には、<10nsという要求がある)スイッチが必要であるため、対応する高速電気光学スイッチを選択して利用することによって実現できる。
【0057】
本実施例により提供される検知ユニットは、順次に接続された調節可能な光減衰器、光ファイバー遅延線、及び光ミキサ検知器を含んでもよい。また、調節可能な光減衰器は更に自機発信光源に接続される。
【0058】
調節可能な光減衰器は、自機発信光源から伝送された自機発信光信号に対して強度を調節し、強度が調節された自機発信光信号を光ファイバー遅延線に伝送するように配置される。
【0059】
光ファイバー遅延線は、強度が調節された自機発信光信号の光ミキサ検知器に到達するまでの時間を遅延させるように配置される。
【0060】
光ミキサ検知器は、スペクトルノイズろ過処理された大気散乱光信号と時間が遅延された自機発信光信号に対してビートバランス検知を実行し、検知結果を得、検知結果を信号処理ユニットに伝送するように配置される。その中、光ミキサ検知器として、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)が主な感光材である光学電気検知器を採用してもよく、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)の典型的なスペクトル応答グラフである図5に示すように、応答スペクトル範囲が広いであることが見られ、上記の大気散乱光信号のスペクトルろ過による有効性も実証され、即ち、光信号中心波長帯外の広いスペクトルノイズは検知前、高効率的に除去されることができる。
【0061】
理解できるように、パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーは主に干渉検知という原理によって風速データを計測し、具体的には、自機発信光信号(自身が光ノイズを持つ)と大気散乱光信号(他の迷光ノイズ及び風速を反映する散乱光信号などを含む)がミキサされた後、光ミキサ検知器からアナログ電気信号を出力し、当該アナログ電気信号を高精度にデジタルサンプリングして解析することによって、風速を反映できる精確ドップラー周波数の差分を取得できる。本願に係る実施例はまず、レーダーシステムに設置された各ノイズフィルターデバイスによって自機発信光信号と大気散乱光信号に対してろ過処理を実行することができ、レーダー信号対雑音比を向上し、風計測正確率を更に向上することに寄与する。その中、光ファイバー遅延線は、ノイズフィルターデバイスの一種であり、本願に係る実施例により提供される光ファイバー遅延線の基本的なメカニズムは以下の通りである。自機発信光信号と大気散乱光信号(自機発信光信号のエネルギーが増幅された後、大気パーティクルに照射され、そして散乱して戻る信号でもある)の自身周波数又は位相ノイズは、時間に関連し、もしある瞬間時刻、自機発信光信号と大気散乱光信号が同じ瞬間位相又は周波数を有すれば、ミキサされた後の干渉検知の感度と効率はより好ましくなる。更に適宜に自機発信光信号と大気散乱光信号が同じ瞬間位相又は周波数を有することができるように、本願に係る実施例において、主に光ファイバー遅延線を利用して自機発信光信号を遅延させ、できる限り自機発信光信号と大気散乱光信号が同じ瞬間位相又は周波数を有するようにし、自機発信光源の周波数ノイズの信号対雑音比に対する影響を低減する。また、光ファイバー遅延線を採用して自機発信光信号を遅延させることによって、大気散乱光信号(自身が極めた弱い)を遅延させることより、損失をより一層好適に低減できると共に、レーダーシステムの構造がもっと合理的になることができる。
【0062】
最後、信号処理ユニットによって、検知結果としての(時間領域アナログ電気信号)をアナログデジタル信号に変換し、高速離散フーリエ変換によって時間領域データを周波数領域データに変換してもよく、異なるスペクトラムノイズの処理アルゴリズムによって、即時風速データ情報を算出してもよい。
【0063】
図2図3に示すパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーのように、若干の光ファイバーによるアクティブデバイスとパッシブデバイスとの組み合わせによって、パルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーにおける、信号対雑音比を影響する幾つかの主なノイズ源を集中に除去でき、例えば、光ファイバー遅延線が設けられるため、自機発信光源自身の位相/周波数ノイズによる影響を低減でき、関連するデバイスの選択範囲と技術標準要求のマージンを更に拡大でき、コスト低減にも寄与できる。高速電気光学スイッチが設けられるため、光ファイバー端面で生成される散乱光ノイズを効果的に低減てき、光ファイバー回折格子フィルターが設けられるため、有効なスペクトル範囲外のバックグラウンド光ノイズを効果的に濾去することができる。レーザーレーダーの構造においてこれらのノイズフィルターデバイスを設置することによって、信号対雑音比を影響する異なるノイズを好適に濾去し、レーダーの信号対雑音比及びレーダーの風計測正確率を有効に向上することができる。
【0064】
本実施例は更に、本実施例により提供される上記いずれか一種のパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーに適用される風計測方法を提供し、図6に示す風計測方法フローチャートのように、当該方法は、
光源発射ユニットによって被測定空域へレーザーパルスを発射し、検知ユニットへ自機発信光信号を伝送するステップS602と、
受信ユニットによって、レーザーパルスが被測定空域における大気パーティクルで散乱され得られた大気散乱光信号を受信し、大気散乱光信号を検知ユニットに伝送するステップS604と、
検知ユニットによって自機発信光信号と大気散乱光信号に基づいてビートバランス検知を実行し、検知結果を得るステップS606と、
信号処理ユニットによって検知結果とドップラー効果関係式によって計算して風速情報を得るステップS608と、を含む。
【0065】
本実施例により提供される上記風計測方法は、本実施例により提供される上記いずれか1種のパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーにより実現されるため、受信ユニット及び/又は検知ユニットには少なくとも1種のノイズフィルターデバイスが設けられ、ノイズを濾去することで信号対雑音比に対するノイズの影響を好適に低減し、レーダーの風計測正確率を更に向上することができる。
【0066】
当業者にとって明らかであるように、記述を便宜で簡潔にするために、以上に記述したパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーによって風計測を行う具体作動過程、及びパルス干渉ドップラー風計測レーザーレーダーにおける各デバイスの風計測過程における主な役割は、実施例における対応の過程を参照でき、ここで繰り返して記述しない。
【0067】
本願に係る実施例の記述において、特に明確的に規定・限定しない限り、「取り付け」、「に接続され」、「接続」という用語は、広義で理解されるべきであり、例えば、固定に接続してもよいし、取り除き可能に接続してもよく、又は一体に接続してもよく、また、機械的に接続してもよいし、電気的に接続してもよく、また、直接的に接続してもよいし、中間媒体を介して間接的に接続してもよく、2つのデバイス内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な場合によって上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0068】
本願の記述において、説明する必要があるように、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」という用語などで指示される方位又は位置関係は、添付図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を便宜に記述してその記述を簡略化するためのものであり、指された装置又はデバイスが必ずしも所定の方位を有し、所定の方位で構成・操作すると指示又は示唆しないため、本願に対する制限として理解されるべきでない。なお、「第1の」、「第2の」、「第3の」という用語は、ただ目的を記述するためのものであり、相対的な重要性を指示又は示唆すると理解されるべきでない。
【0069】
最後に説明すると、以上に記載された実施例は、本願を制限するものではなく、ただ本願の技術手段を説明するための本願の具体的な実施形態であり、本願による保護範囲はこれに制限されなく、上記した実施例を参照して本願を詳細に説明するが、当業者によって理解されるべきであるように、本技術分野において通常な知識を有する技術者は、本願に開示された技術範囲内、依然として上記実施例に記載された技術手段を改良又は容易に変更し、又はその中の一部の技術特徴を等価に取り替えることができるが、これらの改良、変更又は取り替えは、対応する技術手段の本質を本願に係る実施例の技術手段の精神と範囲から逸脱させるものではなく、いずれも本願による保護範囲内に含まれる。そのため、本願による保護範囲は、上記請求の範囲による保護範囲を順ずる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本願に係る技術手段を適用することによって、ノイズを好適にろ過し、レーダーの信号対雑音比と風計測正確率の向上に寄与することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6