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特許7029622ポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を利用した透明性が強化された生地及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】ポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を利用した透明性が強化された生地及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/283 20210101AFI20220225BHJP
   D03D 15/547 20210101ALI20220225BHJP
   D06C 7/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
D03D15/283
D03D15/547
D06C7/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020535207
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2018007688
(87)【国際公開番号】W WO2019240321
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0068593
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518184351
【氏名又は名称】ティーケージー エコ マテリアル カンパニーリミテッド
【住所又は居所原語表記】11, Noksansandan 382-ro 49beon-gil, Gangseo-gu, Busan, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100126963
【氏名又は名称】来代 哲男
(72)【発明者】
【氏名】キム,グ ファン
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-123072(JP,A)
【文献】特開2000-096380(JP,A)
【文献】登録実用新案第3075192(JP,U)
【文献】特開2005-330603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 15/283
D03D 15/547
D06C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を利用して製織した織物を熱収縮したものであり、
前記織物の表面は、ポリエステル-エーテルブロック共重合体のモノ原糸であり、背面はポリエステルまたはナイロンの異種原糸から構成されたことを特徴とする、透明性が強化された織物
【請求項2】
前記熱収縮は、テンター(TENTER)機を利用した熱風方式、熱シリンダードラムを利用した加熱方式または染色機を利用した水中での収縮方式によって長さ及び幅を各10~30%に収縮したことを特徴とする、請求項1に記載の透明性が強化された織物
【請求項3】
前記織物の背面は、グラビア方式、ロータリー方式、デジタルプリント方式及びスクリーンプリント方式のうちいずれか一つのプリント方式で形成されることを特徴とする、請求項に記載の透明性が強化された織物
【請求項4】
前記熱収縮した織物を分散染料、酸性染料、塩基性染料のうちのいずれか一つの染を使用してカラーを実現することを特徴とする、請求項に記載の透明性が強化された織物
【請求項5】
ポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を製造する段階;
前記原糸を利用して織物を製造する段階;及び
前記織物を熱収縮して透明性が強化された織物を製造する段階;を含み、
前記織物を製造する段階は、
前記原糸に水溶性シリコン系紡糸油剤を処理した後、苛性ソーダで前記紡糸油剤を除去することを特徴とする、透明性が強化された織物の製造方法。
【請求項6】
前記ポリエステル-エーテルブロック共重合体は、
テレフタル酸、1,4-ブタンジオール及びポリテトラメチレングリコールを縮重合して形成されることを特徴とする、請求項に記載の透明性が強化された織物の製造方法。
【請求項7】
前記熱収縮は、テンター(TENTER)機を利用した熱風方式、熱シリンダードラムを利用した加熱方式または染色機を利用した水中での収縮方式によって長さ及び幅が各10~30%に収縮したことを特徴とする、請求項に記載の透明性が強化された織物の製造方法。
【請求項8】
前記熱収縮した織物を分散染料、酸性染料、塩基性染料のうちのいずれか一つの染を使用してカラーを実現する段階;
をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の透明性が強化された織物の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を利用した透明性が強化された生地及びその製造方法に関し、より詳細にはポリエステル-エーテルブロック共重合体のモノ原糸を利用することによってシースルー(SEE THROUGH)効果を示す透明性が強化されて、同時に伸縮性、通気性、摩耗強度に優れたポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を利用した透明性が強化された生地及びその製造方法に関し、靴用甲皮材、ソファー、椅子用表皮材などに広範囲に用いられる。
【背景技術】
【0002】
近年産業が急速に発展して生活水準の向上、生活のパターンが変化することによってレジャー、趣味、運動などの様々な余暇活動が多くなっていて、このような傾向に合わせて差別化された機能及びデザインを備えた新素材を組み合わせた製品の需要が急激に増加している。
【0003】
特に靴用甲皮材の場合、このような特徴が目立ち、快適な着用感、通気性、軽量感、高強度、伸縮性、差別化された機能性製品と差別化デザインのファッション性が付け加えられた需要が急増している。
【0004】
従来このような靴用甲皮材で主に使用される材料は大きく2種類に分けることができる。ポリウレタン樹脂コーティングを利用した人造皮革製品とトリコット(TRICOT)、ダブルラッセル(DOUBLE RASHEL)、丸編物、織物などの生地製品がある。
【0005】
従来技術として大韓民国登録特許第1448133号に開示された通り、ポリウレタンを利用した人造皮革製品は、天然皮革をイミテーションした製品で、摩耗強度、形態安定性、耐久性に優れて、種々のエンボス、カラー表現が可能な長所があって従来には多く用いられたが、通気ができず、重く、伸縮性がなく、ハード(HARD)な感性などの短所があってこれに対する改善要望が多い。
【0006】
生地素材は、通気性に優れて、軽量感、ソフト(SOFT)な質感、様々な織種及びパターンの表現、染色による様々なカラー表現、部位別デザイン表現が可能な点、JDQを利用したピース単位供給で製靴自動化などの長所があって、急激に需要が増加されているが、摩耗強度、形態安定性、汚染性、耐久性低下の短所があって、これに対する改善要望が多い。
【0007】
靴用素材は、様々な活動で安定的着用感を持つことができる回復力、パワーストレッチ(POWER STRECH)材料の要望が多くて、このような要望は今後も持続的に増加すると展望される。現在伸縮性を付与する方法は、スパンデックス原糸を製織時、数%から数十%ポリエステル(POLYESTER)、ナイロン(NYLON)原糸と混用して使用することによって伸縮性を発揮しているが、初機伸長時伸長力が低くて、緩やかに伸びることによって捉える力が低くて急激な力が与えられた時、靴が足で捩れる感じがあって、これを改善した素材が必要となる。
【0008】
そして、靴用甲皮用素材で現在多く使用されているもう一つのデザインコンセプト(CONCEPT)はシースルー(SEE THROUGH)効果の製品で、表面に下の素材が見えるような透明度がある素材を使用して、主に使用されている素材は、ポリエステルモノ(MONO)糸生地製品、ホール(HOLE)組織のトリコット(TRICOT)生地製品などである。
【0009】
シースルー(SEE THROUGH)効果付与のために、ポリエステルモノ(MONO)糸を利用して織物、丸編み、トリコット(TRICOT)等で製織して使用しているが、ポリエステル(POLYESTER)モノ(MONO)糸は、タッチハード(TOUCH HARD)であり屈曲性、摩耗強度の低下問題によって屈曲部位、カを多く受ける部位、伸縮が必要な部位には使用が制限されていて、物性問題によって薄膜製織が難しく透明度にも限界がある。このような点を改善するために、ポリエステルフィラメント(FILAMENT)糸をホール(HOLE)組織で製織してホール(HOLE)の開放(OPEN)された部分でシースルー(SEE THROUGH)効果を一部表現しているが、パターンがある部位は現れない問題があって顧客の要求を満足するにはまだ不十分な実情である。
【0010】
そこで上述したような人造皮革と生地の長短所を考慮して、通気性、摩耗強度、伸縮性、ソフト質感を持ちながら、シースルー(SEE THROGH)効果を示す透明性が強化された高密化されたスキン(SKIN)表面効果の生地製品開発が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的はポリエステル-エーテルブロック共重合体のモノ原糸を利用してシースルー(SEE THROUGH)効果を示す透明性が強化されて、同時に伸縮性、通気性、摩耗強度に優れた透明性が強化された生地及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明の透明性が強化された生地は、ポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を利用して製織した織物を熱収縮したことを特微とする。
【0013】
前記透明性が強化された生地において、前記織物の表面は、ポリエステルエテルブロック共重合体のモノ原糸で、背面は、ポリエステル、ナイロンまたはCDP(Cation Dyeable Polyester)の異種原糸から構成されたことを特微とする。
【0014】
前記透明性が強化された生地において、前記熱収縮は、テンター(TENTER)機を利用した熱風方式、熱シリンダードラムを利用した加熱方式または染色機を利用した水中での収縮方式によって長さ及び幅を各10~30%に収縮したことを特微とする。
【0015】
前記透明性が強化された生地において、前記織物の背面はグラビア方式、ロータリー方式、デジタルプリント方式及びスクリーンプリント方式のうちいずれか一つのプリント方式で形成されることを特微とする。
【0016】
前記透明性が強化された生地において、前記熱収縮は織物を分散染料、酸性染料、塩基性染料のうちのいずれか一つの染色を使用してカラーを実現することを特微とする。
【0017】
本発明の透明性が強化された生地の製造方法は、ポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を製造する段階;前記原糸を利用して織物を製造する段階;及び前記織物を熱収縮して透明性が強化された生地を製造する段階;を含むことを特微とする。
【0018】
前記透明性が強化された生地の製造方法において、前記ポリエステル-エーテルブロック共重合体は、テレフタル酸、1,4-ブタンジオール及びポリテトラメチレングリコールを縮重合して形成されることを特微とする。
【0019】
前記透明性が強化された生地の製造方法において、前記織物を製造する段階は、前記原糸に水溶性シリコン系紡糸油剤を処理した後、苛性ソーダで前記紡糸油剤を除去することを特微とする。
【0020】
前記透明性が強化された生地の製造方法において、前記熱収縮は、テンター(TENTER)機を利用した熱風方式、熱シリンダードラムを利用した加熱方式または染色機を利用した水中での収縮方式によって長さ及び幅が各10~30%に収縮したことを特微とする。
【0021】
前記透明性が強化された生地の製造方法において、前記熱収縮は、織物を分散染料、酸性染料、塩基性染料のうちのいずれか一つの染色を使用してカラーを実現する段階をさらに備えたことを特微とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を利用した透明性が強化された生地及びその製造方法によると、ポリエステル-エーテルブロック共重合体のモノ原糸を利用することによってシースルー(SEE THROUGH)効果を示す透明性が強化されて、同時に伸縮性、通気性、摩耗強度に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本明細書に開示された実施例を詳細に説明するが、図面符号に関係なく同じか類似の構成要素は同じ参照番号を付与してこれに対する重複する説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞“モジュール”及び“部”は、明細書作成の容易さだけが考慮されて付与されたり混用されるものであり、それ自体で互いに区別される意味または役割を持つのではない。さらに、本明細書に開示された実施例を説明するに当たり、関連した公示技術に対する具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨を曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。さらに、添付された図面は本明細書に開示された実施例を理解し易いようにするだけで、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0024】
第1、第2などのように序数を含む用語は様々な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を別の構成要素から区別する目的にだけ使用される。
【0025】
ある構成要素が別の構成要素に“連結されて”いるとか“接続されて”いると言及された時には、その別の構成要素に直接連結されていたりまたは接続されていてもいいが、その中間にさらに別の構成要素が存在してもよいと理解されなければならない。一方、ある構成要素が別の構成要素に“直接連結されて”いるとか“直接接続されて”いると言及された時には、その中間にさらに別の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0026】
単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0027】
本出願で、“含む”または“持つ”等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、一つまたはそれ以上の別の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0028】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。本発明は、本発明の精神及び必須特徴を逸脱しない範囲で他の特定の形態で具体化されるは当業者に自明である。
【0029】
本発明の実施例に係る透明性が強化された生地は、ポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を利用して製織した織物を熱収縮したことを特微とする。本発明のポリエステル-エーテルブロック(BLOCK)共重合体は、テレフタル酸と1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコールを縮合重合して製造されることが好ましく、ポリブチレンテレフタレートからなるハードセグメント(HARD SEGMENT)とポリメチレングリコールからなるソフトセグメント(SOFT SEGMENT)で構成されていて各比率の調節により弾性、硬度、物性などの差が発生する。ソフトセグメント(SOFT SEGMENT)の比率が増加すると、弾性回復力及び軟性(SOFTNESS)が増加するか、耐熱性、強度などが低下して必要に応じて適正な割合で調整が必要である。本発明で使用するポリエステル-エーテルブロック共重合体モノ糸は、ハードセグメント(HARD SEGMENT)比率20~60%、ソフトセグメント(SOFT SEGMENT)比率40%~80%が好ましく、硬度はショア(SHORE)D 20D~70D、溶融流れ性MIは190℃のピストンを2.16kgの錘で荷重を加えた時あふれる量が10~50g/10minが好ましく、融点が170~220℃が好ましい。
ここで、前記織物の表面は、ポリエステルエテルブロック共重合体のモノ原糸で、背面はポリエステル、ナイロンまたはCDPの異種原糸から構成されたことを特微とする。
【0030】
従来に靴用甲皮素材のシースルー(see through)実現のために主に使用されている方法はポリエステル(polyester)モノ糸を利用して物形態で製織して使用した。しかしポリエステルモノ糸を利用した素材は、透明性は優れるがタッチ感(tough)が強くしわ発生が多くて、長時間の屈曲時生地が裂ける問題があって、表面の摩耗強度が低下することによって甲皮材で使用するには問題が多い。そこで、これを改善するために弾性がありながら透明性に優れたポリエステル-エーテルブロック共重合体をモノ糸形態で紡糸して織物態の生地で製織して使用することによって靴甲皮に適合した物性及び感性を持つ素材の実現が可能である。
【0031】
ポリエステルエテルモノ原糸を利用した生地を靴用甲皮材で適用するためには、原糸の繊度が300d以下の太さで製造することが必要で、原糸の物性値としては強度2.0g/de以上、延度50~150%、収縮率20%以下(95度30分放置)が好ましい。
【0032】
ポリエステル-エーテルモノ糸原糸を物性、感性、作業性を満足させるためには、PBTとPTMGの比率が70/30~30/70まで要求されて、物性、品質水準に応じて適切に調節して使用する。
【0033】
前記熱収縮は、テンター(TENTER)機を利用した熱風方式、熱シリンダードラムを利用した加熱方式または染色機を利用した水中での収縮方式によって長さ及び幅が各10~30%に収縮したことを特微とする。
【0034】
本発明をより具体的に説明すると、本発明ではポリエステル-エーテルブロック共重合体を利用して190~240℃モノフィラメント(MONOFILAMENT)原糸を繊度100~2000D紡糸して3~6倍延伸して適正張力状態で巻き取って製造した原糸を織物ど様々な製織方法を利用して要求する品質で生地を製作して、100~180℃乾熱熱風、直接熱または熱湯収縮によって面積収縮率20~60%に高密化して透明度向上と原糸ロット(LOT)別カラー均一性、UV(Ultra violet)堅牢度向上のために100~130℃で染料及びUV増進調剤と、を投入して染色を実施する、そして必要に応じてプリント、エンボスなどの様々な後加工を組み合わせて製造する。
【0035】
高密化された生地を得るために、ポリエステルエテル原糸の烈的収縮特性を利用して製織完了生地を熱セット(SET)工程及び染色工程で熱風及び熱水によって面積収縮率が20~60%に生地が収縮高密化されることによってフィルム表面効果及び物性に優れて、通気性に優れた素材を製造することができる。
【0036】
前記織物の背面はグラビア方式、ロータリー方式、デジタルプリント方式及びスクリーンプリント方式のうちいずれか一つのプリント方式で形成されることができる。
【0037】
さらに、本発明の一実施例として、前記熱収縮は織物を分散染料、酸性染料、塩基性染料のうちのいずれか一つの染色を使用してカラーを実現することを特微とする。
【0038】
素材が持った低温の熱的な特性と一般ポリエステル対比非決定領域の分布が相対的に少なくガラス移転温度Tgが低いので、初期染着がはやく起きる。従って、分散染料タイプ(TYPE)の中でも粒子が小さくて均染性が良い淡色用Eタイプ(TYPE)のアゾ(AZO)系統分散染料である青(BLUE)、赤(RED)、黄(YELLOW)染料の3コンビ(COMBI)組み合わせで染めることによってSタイプ(TYPE)の染料で染めた時よりも色の鮮明性と均染性を確保して素材の透明度向上にシナジー効果をもたらすことができる。実際の染色が起きる染着カーブは一般ポリエステル素材とは異なるので染色において低温での注入(DOSING)が必要で分子量が小さくて染料活性エネルギーが低い染料で染色時耐光性(LIGHT FASTNESS)が低下する部分を補完するためにベンゾトリアゾール(BENZOTRIAZOLE)誘導体の耐光材を使用して400nm~700nm領域の光エネルギーを包括的に吸収するようにして耐光性(LIGHT FASTNESS)を満たした。靴用物性において重要な染料移動(MIGRATION)と接着性を勘案して染色前前処理過程が必要で、これを勘案した染料の適正投入濃度は3コンビ(COMBI)基準0.001~0.1%(O.W.F)である。
【0039】
本発明の透明性が強化された生地の製造方法は、ポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を製造する段階(S10);前記原糸を利用して織物を製造する段階(S20);及び前記織物を熱収縮して透明性が強化された生地を製造する段階(S30)を含むことを特微とする。
【0040】
本発明のS10段階は、ポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を製造する段階である。
【0041】
前記ポリエステル-エーテルブロック共重合体は、テレフタル酸、1,4-ブタンジオール及びポリテトラメチレングリコールを縮重合して形成されることを特微とする。
【0042】
前記ポリエステル-エーテルブロック共重合体を溶融紡糸MONO糸紡糸設備を利用して繊度100~2000Dを製造して使用する。詳細条件は、圧出機温度190~240℃、要求される繊度に合わせて紡糸口金を選択して装着してギアーポンプで吐出量を調節してポリマーを圧出して25~40℃水中で冷却して1次、2次延伸ロールを介して3~6倍延伸を実施して安定化工程で150~190℃で熱処理して前、後方ロールの速度比を10%減少して進行するので弾性力向上及び自然収縮率最小化実施、安定化熱処理不十分時にボビン巻き取り後原糸食い込み問題で解糸性不良発生、織物製織後ばらつき収縮問題発生の恐れがある。
【0043】
そして前記で得られた原糸を製織性向上、ボビンの原糸食い込み問題による解糸性不良を防止するために、紡糸油剤処理油剤の種類はシリコンタイプの油剤をディップロール(dip roll)で処理液を付けて処理して、ここに使用される紡糸油剤は水溶性調剤を使用することが好ましく、完全脱落されない時ばらつき染色、製靴工程で接着力問題が発生する恐れがある。
【0044】
前記の素材は、素材の特性上弾性を保有していて、製織時解糸性による作業性低下を防止するために、巻き取り時に必ず張力最小化による巻き取り作業が必要で一般的に張力系40~70g範囲の張力で巻き取り作業をすることが好ましい。
【0045】
この時、原糸の物性は、伸率70~120%、収縮率10~15%(98℃水中30分放置)、原糸強度2~3g/deが好ましい。
【0046】
次に本発明のS20段階は、前記原糸を利用して織物を製造する段階である。
【0047】
前記の原糸を織機の設備を利用して必要な組織及びスペック(SPEC)で製織を実施して、使用製品の用途及び要求品質などにより様々な種類の生地で製織する。ポリエステル-エーテル単一成分の透明モノ糸を利用して織物どの製織機種でシースルー(SEE THROUGH)効果を表現する1レイヤー(LAYER)構造素材を製造する。ポリエステル、ナイロン、CDP原糸などと混用し二重紙形態で製織して、使用面にはポリエステル-エーテルブロック共重合体原糸、背面には一般糸を適用してプリントをして様々なプリントパターンが表面に投影される効果を示す素材を実現することができる。
【0048】
1レイヤー(LAYER)のシースルー(SEE THROUGH)効果を示す素材は透明度、物性などを考慮して適正密度、組織設計、原糸繊度選定が必要である。密度が高ければ物性は良いが透明度が落ちて、密度が低く過ぎると透明度は良いが物性低下及びメッシュ状のような感じがあってスキン(SKIN)効果が落ちることによって低級な感じがする問題がある。従って、織物の場合好ましく原糸繊度100~300D、密度は経糸/緯糸各々60~90EA/INCH範囲が適当で、丸編物の場合、織物よりは透明度が落ちる問題があるが伸縮性が高くて異種素材と合地時伸縮性を生かすことができて好まれて、原糸の繊度は100~300D、製織設備は24ゲージ、径30パイが適合する。
【0049】
2レイヤー(LAYER)製品の場合は、表面効果、伸縮性、物性などを勘案して原糸繊度100~300D、製織機種トブルニット(DOUBLE KNIT)、20~24ゲージ(GAUGE)、径30~32パイの設備が適合する。
【0050】
前記織物を製造する段階(S20)は、前記原糸に水溶性シリコン系紡糸油剤を処理した後、苛性ソーダで前記紡糸油剤を除去することを特微とする。
【0051】
原糸の表面特性上タッキ(TACKY)性が多く、製織性向上のために原糸紡糸時水溶性のシリコン系紡糸油剤を多量処理するが、このような紡糸油剤による染斑発生、接着不良発生を改善するために精錬処理を苛性ソーダ、精錬剤を処理して除去する。
【0052】
前記の原糸適用生地製品は、原糸カラーが薄い黄(YELLOW)カラートーンを有していて、ロット(LOT)別色差があって、染色時白(WHITE)蛍光カラー分散染料を100~130℃で染めることによって蛍光カラー発色による透明度増加とロット(LOT)別偏差を減少させることができる。
【0053】
S30段階は、前記織物を熱収縮して透明性が強化された生地を製造する段階である。
【0054】
前記熱収縮は、テンター(TENTER)機を利用した熱風方式、熱シリンダードラムを利用した加熱方式または染色機を利用した水中での収縮方式によって長さ及び幅が各10~30%に収縮したことを特微とする。
【0055】
前記のポリエステル-エーテル共重合計原糸は、熱処理時収縮が発生して、伸縮性も増加する傾向があって、このような特性を利用して熱処理収縮による高密化でスキー表面効果及び伸縮性増加で高級な表面効果及び感性を実現することができる。収縮による高密化方法としては、テンター(TENTER)加工機を利用して130~190℃の熱風による収縮方法と熱シリンダードラムを利用した130~190℃の直接熱による高密化、レピア染色機を利用して100~130℃の水中で収縮による高密化方法があって、この時、収縮率は長さ/幅方向各10~30%程度である。
【0056】
本発明の一実施例として、前記透明性が強化された生地の製造方法において、前記熱収縮は、織物を分散染料、酸性染料、塩基性染料のうちのいずれか一つの染色を使用してカラーを実現する段階をさらに備えたことを特微とする。
【0057】
本発明のポリエステル-エーテルブロック共重合体の原糸を利用した透明性が強化された生地及びその製造方法によると、ポリエステル-エーテルブロック共重合体のモノ原糸を利用することによってシースルー(SEE THROUGH)効果を示す透明性が強化されて、同時に伸縮性、通気性、摩耗強度に優れる。
【0058】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0059】
実施例
実施例1:原糸の製造
原料を圧出機に投入して、180℃の温度で溶融させて、これを6~10倍延伸して熱固定して最終150Dの太さで製造する。
【0060】
原料の構成は、テレフタル酸と1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコールを縮合重合して製造する。
【0061】
ポリブチレンテレフタレートからなるハードセグメント(HARD SEGMENT)とポリメチレングリコールからなる(SOFT SEGMENT)で構成されて、ソフトセグメント(SOFT SEGMENT)の比率に応じて弾性回復力、軟性(SOFTNESS)、耐熱性、強度が調節される。
【0062】
本発明ではハードセグメント(HARD SEGMENT)比率20~60%、ソフトセグメント(SOFT SEGMENT)比率40%~80%で構成されて、硬度はSHORE D 20D~70D、溶融流れ性MI 10~50g/10min、融点170~220℃である。
【0063】
ポリエステル-エーテル共重合体ポリマーを溶融モノ(MONO)紡糸設備を利用して製造する。
【0064】
詳細条件は、圧出機温度190~240℃、要求される繊度は150~200D程度を実現することができる紡糸口金を装着する。
【0065】
ギアーポンプで溶融したポリマーの吐出量を調節して圧出して25~40℃水中冷却を実施する。
【0066】
1次~2次延伸ロールを介して3~6倍延伸を実施して安定化工程で150~190℃で熱処理して原糸の弾性力向上と自然収縮率を最小化するようにする。安定化工程が不十分な場合、ボビンに巻き取り時に原糸が食い込む問題で解糸性不良や製織後収縮斑が発生する可能性がある。
【0067】
前記の工程で得られた原糸は、製織性と解糸性を向上するために紡糸油剤を使用する。油剤はシリコンタイプ(TYPE)をディップロール(DIP ROLL)に処理液を付けて処理してここに使用する油剤は水溶性を使用することが好ましい。
【0068】
油剤が完全脱落にならない場合、染色斑、製靴工程で接着力の問題などが発生する可能性がある。
【0069】
製織時解糸性の問題で作業性の低下を防止するために巻き取りは張力を最小化して進行することが好ましく、張力計で40~70g範囲の張力が適切である。
【0070】
この時、原糸の物性は、伸率は70~120%、収縮率10~15%(98℃水中30分放置)、原糸強度2~3g/de程度である。
【0071】
実施例2:織物の製造
経糸と緯糸に実施例1の原糸を適用してポリエステル-エーテルモノ原糸100%を適用した織物を製織する。
【0072】
織物は経糸と緯糸で構成して、経糸は、約4,000~5,000本程度で製織機のビームに整経を実施する。
【0073】
各原糸間の張力が一定に巻き取られるべきであり、原糸の張力の偏差が発生する場合、製織後生地の外観がばらついたり収縮の偏差が発生する可能性がある。
【0074】
レピアタイプの製織機を利用して製織を実施する。1レイヤー(LAYER)で構成されスキン(SKIN)のような透明な材料を実現するために適切な緯糸の密度が必要である。密度が高過ぎる場合、透明度が低下して、密度が低過ぎる場合、メッシュ状のような感じがして低級な感じがする場合がある。
【0075】
適切な緯糸密度は、製織機上で緯糸密度50~80EA/IN程度が適切である。
製織した生地を50~100℃の熱湯で熱収縮を進行して、120~170℃の温度でテンター(TENTER)加工を進行する。
【0076】
染料、調剤を適正量投入してカラー発現して、120~170℃の温度でテンター(TENTER)加工を進行する。
前記のポリエステル-エーテル共重合体モノ(MONO)原糸は、熱処理時収縮が発生して、伸縮性が増加する特性がある。
【0077】
このような特性を利用するために、熱処理収縮を進行すると材料が高密化されてスキン(SKIN)効果が現れて、伸縮性増加して高密化されて材料の高級な表面効果と感性を持つようになる。
【0078】
収縮による高密化方法には、テンター(TENTER)加工機を利用して130~190℃の熱風による収縮方法、熱シリンダードラムを利用して130~190℃の直接熱を利用した高密化方法、レピア染色機を利用して100~130℃水中で収縮を進行する高密化方法があって、この際の収縮率は長さ及び幅方向に10~30%程度である。
【0079】
原糸の解糸性向上のために水溶性油剤を多量処理するが、このような紡糸油剤は、染色や接着を邪魔する要因になる。
【0080】
これを改善するために精錬処理を実施して苛性ソーダなどの精錬剤を利用して紡糸油剤を除去する。
【0081】
分散染料を使用して、透明度が具現されるように少量の染料を使用して染色を進行する。
【0082】
分散染料を投入してレピア染色機で100~130℃で10~30分の時間染色を進行する。
【0083】
実施例3:後加工
製織した生地を50~100℃の熱湯で熱収縮を進行して、120~170℃の温度でテンター(TENTER)加工を進行する。
【0084】
染料、調剤を適正量投入してカラーを発現して、120~170℃の温度でテンター(TENTER)加工を進行する。
【0085】
前記のポリエステル-エーテル共重合体モノ(MONO)原糸は、熱処理時収縮が発生して、伸縮性が増加する特性がある。
【0086】
このような特性を利用するために、熱処理収縮を進行すると材料が高密化されてスキン(SKIN)効果が現れて、伸縮性が増加して高密化されて材料の高級な表面効果と感性を持つようになる。
【0087】
収縮による高密化方法には、テンター(TENTER)加工機を利用して130~190℃の熱風による収縮方法、熱シリンダードラムを利用して130~190℃の直接熱を利用した高密化方法、レピア染色機を利用して100~130℃水中で収縮を進行する高密化方法があって、この際の収縮率は長さ及び幅方向に10~30%程度である。
【0088】
原糸の解糸性向上のために、水溶性油剤を多量処理するが、このような紡糸油剤は染色や接着を邪魔する要因になる。
【0089】
これを改善するために、精錬処理を実施して苛性ソーダなどの精錬剤を利用して紡糸油剤を除去する。
【0090】
分散染料を使用して、透明度が具現されるように少量の染料を使用して染色を進行する。
【0091】
分散染料を投入してレピア染色機で100~130℃で10~30分の時間染色を進行する。
【0092】
比較例
比較例1:前記織物製品にポリエステル-エーテルモノ(MONO)原糸の代わりにポリエステルMONO原糸で製織した。
【0093】
比較例2:前記織物製品にポリエステル-エーテルモノ原糸の代わりにナイロンモノ(NYLON MONO)原糸で製織した。
【0094】
下記の表1を参照すると、本発明に係る実施例、比較例1及び2を対比すると、本発明に係る実施例が摩耗強度、伸率、屈曲性が比較例1及び2に比べて非常に優秀でソフトな質感を有している。
【0095】
【表1】
【0096】
一方、以上の詳細な説明はすべての面で制限的に解釈されてはならず、例示的であると考慮されなければならない。本発明の範囲は添付された請求項の合理的解釈によって決められるべきであり、本発明の等価的範囲内でのすべての変更は本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、靴用甲皮材、ソファーまたは椅子用表皮材などに使用することができる透明性が強化された生地に適用可能である。