IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山陽製紙株式会社の特許一覧

特許7029688古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法
<>
  • 特許-古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法 図1
  • 特許-古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法 図2
  • 特許-古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法 図3
  • 特許-古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法 図4
  • 特許-古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法 図5
  • 特許-古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法 図6
  • 特許-古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20220225BHJP
【FI】
G06Q10/00 400
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2016066066
(22)【出願日】2016-03-29
(65)【公開番号】P2017182299
(43)【公開日】2017-10-05
【審査請求日】2019-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】505355243
【氏名又は名称】山陽製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】原田 六次郎
【合議体】
【審判長】高瀬 勤
【審判官】中野 浩昌
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-245209(JP,A)
【文献】特開平11-343007(JP,A)
【文献】特開2002-92268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の単位とした古紙に関する古紙情報を古紙管理テーブルに記憶する手段と、
前記古紙情報に基づく古紙特定情報を送信する手段と、
少なくとも前記古紙の溶解工程、原紙製造工程、商品製造工程の複数の工程を有するリサイクル工程における一の工程の次の工程の工程実施者の端末において所定の入力手段を介して入力された前記一の工程に関する工程特定情報を受信する手段と、
受信した前記一の工程に関する工程特定情報に基づき前記一の工程に関する工程情報を検索抽出する手段と、
検索抽出された前記一の工程に関する工程情報と前記次の工程の工程実施者の端末から受信した前記次の工程に関する工程情報とを関連付けて前記古紙管理テーブルに記憶する手段と、
前記次の工程に関する工程特定情報を作成して前記次の工程の工程実施者の端末に送信する手段と、
情報の閲覧を希望する閲覧申請者端末からの閲覧申請を受信する手段と、
前記閲覧申請を受信した閲覧申請者端末から前記リサイクル工程のいずれかの工程に関する工程特定情報を受け付ける手段と、
受け付けた前記工程の工程特定情報に基づき前記リサイクル工程における前記いずれかの工程より前の他の工程の工程情報を検索特定する手段と、
特定された前記他の工程の工程情報と閲覧画面用の所定フォームデータとを前記閲覧申請者端末に送信する手段と、を備え、
前記工程特定情報は、前記古紙、当該古紙の最終リサイクル品、又は当該古紙の中間物に付され、前記古紙管理テーブルにおける当該古紙のレコードを特定するデータであり、
前記リサイクル工程における最初の工程における前記工程特定情報は前記古紙特定情報であり、前記工程情報は前記古紙情報であることを特徴とする古紙リサイクル情報管理装置。
【請求項2】
前記工程情報とは、溶解工程に関する溶解情報、原紙製造に関する原紙情報、商品製造に関する商品情報であることを特徴とする請求項1に記載の古紙リサイクル情報管理装置。
【請求項3】
古紙を排出する古紙排出者を管理する排出者情報を記憶する手段を備え、
前記排出者情報は、前記古紙情報と関連付けられるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の古紙リサイクル情報管理装置。
【請求項4】
特定された前記複数の工程の工程情報の少なくともいずれかに所定の演算を施した演算結果情報と閲覧画面用の所定フォームデータとを前記閲覧申請者端末に送信する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の古紙リサイクル情報管理装置。
【請求項5】
特定された前記複数の工程の工程情報の少なくともいずれかに基づき排出者情報を検索特定する手段と、
特定された排出者情報と閲覧画面用の所定フォームデータとを前記閲覧申請者端末に送信する手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の古紙リサイクル情報管理装置。
【請求項6】
古紙に関するリサイクル情報を管理する古紙リサイクル情報管理装置が、
所定の単位とした古紙に関する古紙情報を古紙管理テーブルに記憶するステップと、
前記古紙情報に基づく古紙特定情報を送信するステップと、
少なくとも前記古紙の溶解工程、原紙製造工程、商品製造工程の複数の工程を有するリサイクル工程における一の工程の次の工程の工程実施者の端末において所定の入力手段を介して入力された前記一の工程に関する工程特定情報を受信するステップと、
受信した前記一の工程に関する工程特定情報に基づき前記一の工程に関する工程情報を検索抽出するステップと、
検索抽出された前記一の工程に関する工程情報と前記次の工程の工程実施者の端末から受信した前記次の工程に関する工程情報とを関連付けて前記古紙管理テーブルに記憶するステップと、
前記次の工程に関する工程特定情報を作成して前記次の工程の工程実施者の端末に送信するステップと、
情報の閲覧を希望する閲覧申請者端末からの閲覧申請を受信するステップと、
前記閲覧申請を受信した閲覧申請者端末から前記リサイクル工程のいずれかの工程に関する工程特定情報を受け付けるステップと、
受け付けた前記工程の工程特定情報に基づき前記リサイクル工程における前記いずれかの工程より前の他の工程の工程情報を検索特定するステップと、
特定された前記他の工程の工程情報と閲覧画面用の所定フォームデータとを前記閲覧申請者端末に送信するステップと、を行い、
前記工程特定情報は、前記古紙、当該古紙の最終リサイクル品、又は当該古紙の中間物に付され、前記古紙管理テーブルにおける当該古紙のレコードを特定するデータであり、
前記リサイクル工程における最初の工程における前記工程特定情報が前記古紙特定情報であり、前記工程情報が前記古紙情報であることを特徴とする古紙リサイクル情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙のリサイクルの状況等に係る情報を追跡、確認できる古紙のリサイクルにおける情報の管理システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日常において消費される資源は膨大であり、紙類は、特に企業や自治体などにおいてコピー用紙等として大量に消費されている。紙類等の資源は、有限であり、また温暖化防止等のため大気排出二酸化炭素の低減の観点から、そのリサイクルの促進が求められている。
【0003】
こうした紙類のリサイクルの促進に関するものとして、従来から、例えば特許文献1に係る技術が知られている。すなわち、特に商業的な採算の観点から、古紙の破砕運搬、紙再生処理、再生製品生産といった各段階の業者等に係る情報を登録し、各業者の稼働可能な時間や各業者間における運搬距離等といった情報に基づいて最適にスケジューリングすることで、無駄を省くことによりリサイクルを促進させようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-41664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る技術では、リサイクルの履歴に関する情報を適切に収集、管理、保管することができなかった。リサイクルの履歴に関する情報とは、処理業者によって、いつ、誰が排出したものを、どのような作業工程を経て、再生紙として再生されたかといった情報である。
【0006】
特に企業や自治体には、環境への配慮の姿勢が社会的責任として求められるが、そういった者が、どの程度、リサイクルに関与し環境に貢献したかといった情報を確認できるものではなかった。
【0007】
こうした情報は、リサイクル活動の環境への貢献を確認するための指標の一つとなるものであり、リサイクル商品におけるトレーサビリティを実現し、ひいては更なる環境への関与および貢献等を促すために必要である。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、古紙のリサイクルにおける各工程における情報を把握し、途中経過、最終リサイクル品又は中間物からリサイクルの履歴に係る情報を追跡することができる古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明にかかる古紙リサイクル情報管理システムは、所定の単位とした古紙に関する古紙情報を記憶する手段と、前記古紙情報に基づく古紙特定情報を送信する手段と、リサイクル工程におけるある工程の次工程の工程実施者の端末において所定の入力手段を介して入力された工程特定情報を受信する手段と、受信した前記工程特定情報に基づき前記工程に関する工程情報を検索抽出する手段と、検索抽出された前記工程情報と前記次工程実施者の端末から受信した前記工程の次工程に関する工程情報とを関連付けて記憶する手段とを備え、前記リサイクル工程における最初の工程における前記工程特定手段は前記古紙特定情報であり、前記工程情報は前記古紙情報であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる古紙リサイクル情報管理方法は、古紙に関するリサイクル情報を管理する古紙リサイクル情報管理装置が、所定の単位とした古紙に関する古紙情報を記憶するステップと、前記古紙情報に基づく古紙特定情報を送信するステップと、リサイクル工程におけるある工程の次工程の工程実施者の端末において所定の入力手段を介して入力された工程特定情報を受信するステップと、受信した前記工程特定情報に基づき前記工程に関する工程情報を検索抽出するステップと、検索抽出された前記工程情報と前記次工程実施者の端末から受信した前記工程の次工程に関する工程情報とを関連付けて記憶するステップとを行い、前記リサイクル工程における最初の工程における前記工程特定手段が前記古紙特定情報であり、前記工程情報が前記古紙情報であることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、リサイクルの各工程の工程実施者の作業負担増大を抑えて、リサイクルの各工程に関する情報を順次確実に取得、管理できる。
【0012】
本発明によれば、こういった各工程の情報の収集、管理が確実になるため、その情報によりリサイクル商品の製造に関する履歴情報の確認が容易である。
【0013】
本発明によれば、古紙排出者が排出した古紙がリサイクルされた結果、その環境への貢献に関するデータを数値などの定量的なデータに換算して閲覧できるようにするので、二酸化炭素削減量等の環境配慮へのデータが分かり易く確認できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる古紙リサイクル情報管理システムおよび古紙リサイクル情報管理方法によれば、古紙のリサイクルにおける各工程における情報を把握し、途中経過、最終リサイクル品又は中間物からリサイクルの履歴に係る情報を追跡することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施に必要なハードウェアと、それらの結びつきを示す概略図である。
図2】排出者管理テーブルの一例を示す図である。
図3】管理装置の処理を示す図である。
図4】古紙管理テーブルの一例を示す図である。
図5】商品管理テーブルの一例を示す図である。
図6】閲覧画面の一の例を示す図である。
図7】閲覧画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施に必要なハードウェアと、それらの結びつきを示す概略図である。必要な情報を管理するための管理装置1と、企業等の古紙排出者が使用する古紙排出者端末3と、実際のリサイクルに作業に関する業者等が使用する端末4a等と、消費者が使用する消費者端末5とが、インターネット等の通信回線2を介して、データの送受信が可能に接続される。
【0017】
管理装置1、古紙排出者端末3、端末4a、消費者端末5等は、データを処理するための処理装置、データを記憶する記憶装置と、データを送受信する送受信部をそれぞれ備えている。これらの記憶装置には、本発明を実施するためのコンピュータプログラム及び所定のデータがそれぞれ記憶されている。処理装置は、当該コンピュータプログラム等による所定の命令に従ってデータの処理を行う。
【0018】
管理装置1は、例えば、市販のサーバー、コンピュータであってよい。また、古紙排出者端末3、端末4a、消費者端末5は、市販のコンピュータ又は、スマートフォン、タブレットPCといった携帯情報端末であってよい。これらは、データ表示のための表示手段、データ入力のための入力手段といった情報端末が一般に備える各種手段を必要に応じて適宜備えるものでよい。
【0019】
以下、まず本実施例における管理装置1を中心とする処理の流れについて説明するが、まずそのための前提から説明する。企業などの古紙排出者において、古紙が発生した場合、古紙排出者は、古紙を所定の収容手段に所定の分別をして保管する。
【0020】
ここで所定の収容手段とは、所定の分別をされた古紙をまとめて一単位と固定できるものであればよく、具体的には、袋又は箱などであってよい。また、所定の分別とは、古紙を再生する古紙再生業者が有する設備等にもよるため一概にできるものではないが、最低限、コピー用紙、新聞紙といった利用者に分かり易い紙の種類別に分けるものとする。ここでは、古紙を使用済みのコピー用紙と想定して説明する。
【0021】
古紙排出者は、排出された古紙を当該収容手段に入れていき、ある程度の量となったところでテープ留め等をして閉じて一単位としたものに、これを受け取った古紙再生業者が分かるように古紙排出者自身を特定する住所、名称等の情報を付して、配送するなどの方法により古紙再生業者に渡す。
【0022】
上述のとおり、一単位にまとめられた古紙を受け取った古紙再生業者は、自身が利用する古紙再生業者端末4を操作して管理装置1にアクセスし、管理装置1が記憶している古紙排出業者を管理するための排出者管理テーブルを検索して、その古紙の送り元である古紙排出者を検索し特定する。
【0023】
排出者管理テーブルは、図2に示すように、古紙排出者ごとに、「排出者ID」、「排出者名」、「排出者住所」等といった古紙排出者を特定するための基本情報を関連付けて記憶しているものである。古紙再生業者は、届いた古紙に付されている古紙排出者のID(排出者ID)などの排出者特定情報を管理装置1に送信し、これを受信した管理装置1は当該古紙排出者特定情報に基づき古紙排出者情報を検索し該当する古紙排出者を特定する。
【0024】
なお、古紙排出者が、排出者管理テーブルへ未登録の者であった場合は、古紙再生業者が、送られた古紙に付されている情報に基づいて、古紙再生業者端末4から新規に登録してもよいし、事前に古紙排出者が自ら古紙排出者端末1から管理装置1にアクセスして登録させるようにしてもよい。
【0025】
<古紙登録工程>
<S1:古紙情報登録処理>
以下、図3を参照しつつ、以後の工程における流れについて説明する。古紙収集業者等の古紙情報登録者は、上述のとおり、所定の単位毎に古紙を管理するため古紙情報を図4に示す古紙管理テーブルに追加更新して記憶する。ここで「古紙情報」とは、少なくとも「古紙ID」を含む情報であり、この「古紙ID」に関連付けられる「古紙重量」、「古紙受付日付」といった古紙に関する情報のうち任意に選択したものをいう。古紙IDは、古紙を一単位毎に管理するものであるため、ユニークな値とする。
【0026】
古紙情報登録者は、古紙情報登録者端末4aを介して、当該古紙の重量を測定して得られた重量データ、古紙情報登録者としての古紙収集業者等がその古紙を受け取った日付に関するデータを、それぞれ「古紙重量」、「古紙受付日」として、「古紙ID」と関連付けて管理装置1の古紙管理テーブルに追加更新して記憶する。
【0027】
なお、その際、その古紙に対応する古紙情報とその古紙を排出した古紙排出者を示す排出者IDとを関連付けて古紙管理テーブルに記憶してもよい。図4に示す例においては、管理装置1は、古紙管理テーブルに、古紙ID、古紙重量、古紙受付日付からなる古紙情報と、その古紙を排出した古紙排出者を示す「排出者ID」とを関連付けて記憶している。
【0028】
<S2:古紙特定情報発行処理>
このように古紙管理テーブルへ追加更新が確定したとき、管理装置1は、古紙特定情報を作成して古紙情報登録者端末4aに送信する。当該古紙特定情報は、古紙管理テーブルの特定のレコードを任意に特定するための一のデータまたは複数のデータの組み合わせであればよいが、古紙IDを用いるのが簡便である。当該古紙特定情報は、単に古紙ID等をそのまま単なる文字列として表現したデータでもよいが、後の入力作業が容易になるためバーコード又は2次元バーコード等として作成されたものとするのが望ましい。
【0029】
古紙情報登録者としての古紙収集業者等は、このように作成され古紙情報登録者端末4aに送信された古紙特定情報を古紙に付する。具体的には、古紙の収容手段の側面等に直接記載するなどしてもよいが、古紙特定情報がバーコード又は2次元バーコード等である場合には、プリンター等により出力し、その出力結果を貼り付けるなどすればよい。
【0030】
こうして古紙は、一単位毎に古紙特定情報が付され、以後の溶解等のリサイクル工程の順番待ちに回され、順番になるまで保管される。
【0031】
以後、実際のリサイクル工程の説明であるが、リサイクル工程とは、リサイクルのための各工程を含めた一連の工程をいうものであり、以下の説明では、リサイクル工程として、「溶解工程」、「原紙製造工程」、「商品製造工程」の順に工程が進む場合を例に説明する。本発明に係る管理装置1は、こうした「溶解工程」、「原紙製造工程」、「商品製造工程」といった本発明の利用者が管理を希望するリサイクル工程の各工程において対応する処理を行うものである。
【0032】
<溶解工程>
<S3:溶解情報登録処理>
古紙登録工程に続いて、古紙特定情報が付された古紙が溶解される工程について説明する。古紙再生業者は、古紙を再生紙として再生するため所定の薬液等により古紙を溶解するが、このとき、本溶解工程を実施する業者等を溶解作業実施者といい、この溶解作業実施者が本工程のおける工程実施者としての役割を果たす。
【0033】
溶解作業実施者は、この溶解工程に関連する情報を「溶解情報」として古紙管理テーブルの情報を追加更新して記憶する。ここで「溶解情報」とは、少なくとも「溶解ID」を含む情報であり、この「溶解ID」に関連付けられる「溶解作業日」といった溶解工程に関する情報のうち任意に選択したものをいう。この溶解情報が、本工程における「工程情報」としての役割を果たす。
【0034】
溶解作業実施者は、具体的には、溶解の順番が到来した古紙に付されている古紙特定情報を溶解作業実施者が使用する端末4bに入力し、当該端末4bから管理装置1へ送信し、これを受信した管理装置1は、古紙管理テーブルを検索し特定されるレコードにおいて溶解情報を関連付けて記憶する。
【0035】
溶解IDは、溶解作業実施者が行う1回ごとの溶解作業ごとに付されるのが望ましい。溶解作業においては、1回で複数の古紙単位を溶解することがあるので、複数の古紙IDについて同一の溶解IDが関連付けられる場合があるものである。
【0036】
なお、古紙特定情報の溶解作業実施者の端末4bへの入力は、古紙特定情報が単なる文字列である場合は、溶解作業実施者が端末4bのキーボード等の入力手段により直接入力すればよく、2次元コード等である場合は所定の光学的な読取手段を介して入力するようにすればよい。
【0037】
<S4:溶解情報特定情報発行処理>
このように古紙管理テーブルへの溶解情報の追加更新が確定したとき、管理装置1は、溶解特定情報を作成して溶解作業実施者の端末4bに送信する。当該溶解特定情報は、古紙管理テーブルの特定のレコードを特定することができる一のデータまたは複数のデータの組み合わせであってよいが、溶解IDを用いるのが簡便でよい。この溶解特定情報が、本工程における工程特定情報としての役割を果たす。
【0038】
当該溶解特定情報は、古紙特定情報と同様、単に溶解ID等をそのまま単なる文字列として表現したものでもよいし、バーコード又は2次元コードとして作成されたものとしてもよい。
【0039】
溶解作業実施者の端末4bは管理装置1から送信された溶解特定情報を受信して記憶する。溶解作業実施者は、当該溶解特定情報を上記溶解工程を終えた古紙の溶解物に付する。具体的に、溶解工程を終えた古紙の溶解物は、所定の容器で再生紙原紙として加工されるまでの間保管されることになるが、この当該溶解物は、溶解特定情報を付された上で、保管される。溶解特定情報を付するとは、溶解物の容器の側面等に直接記載するなどしてもよいが、溶解特定情報がバーコード又は2次元コード等である場合には、プリンター等により出力し、その出力結果を容器側面等に貼り付けるようにしてもよい。
【0040】
<原紙製造工程>
<S5:原紙情報登録処理>
続いて、古紙の溶解物に成形等の処理を施して再生紙の原紙にする工程について説明する。ここで、原紙製造工程を実施する業者等を原紙製造実施者といい、原紙製造実施者が、本工程における工程実施者としての役割を果たす。
【0041】
上述のようにして得られた古紙の溶解物について成形、乾燥等の処置を施して再生紙原紙を製造する原紙製造工程を行うが、その際、原紙製造実施者は、管理装置1の古紙管理テーブルに原紙情報を追加更新して記憶する。ここで、原紙情報とは、少なくとも「原紙ID」を含む情報であり、この「原紙ID」に関連付けられる「原紙製造日」などといった原紙製造工程に関する情報のうち任意に選択したものをいう。この原紙情報が、本工程における工程情報としての役割を果たす。
【0042】
原紙製造実施者は、具体的には、原紙製造工程の順番が到来した古紙の溶解物に付されている溶解特定情報を原紙製造実施者の端末4cに入力し、当該端末4cから管理装置1へ送信し、これを受信した管理装置1は、古紙管理テーブルを検索し特定されるレコードにおいて原紙情報を関連付けて記憶する。
【0043】
溶解特定情報が、単なる文字列である場合は、原紙製造実施者は原紙製造実施者の端末4cのキーボード等の入力手段により直接入力すればよく、2次元バーコード等である場合は所定の読取手段を介して入力するようにすればよい。また、原紙IDは、実際に製造された原紙1ロール毎など任意の単位毎でよい。
【0044】
<S6:原紙特定情報発行処理>
このように原紙情報の古紙管理テーブルへの追加更新が確定したとき、管理装置1は、原紙特定情報を作成して原紙製造実施者の端末4bに送信する。当該原紙特定情報は、古紙管理テーブルの特定のレコードを任意に特定できる一のデータまたは複数のデータの組み合わせであってよいが、原紙IDを用いるのが簡便でよい。この原紙特定情報が、本工程のおける工程特定情報としての役割を果たす。
【0045】
当該原紙特定情報は、溶解特定情報等と同様、単に原紙ID等をそのまま単なる文字列として表現したデータでもよいし、バーコード又は2次元バーコードとして作成されたものとしてもよい。
【0046】
原紙製造実施者の端末4cは、管理装置1が送信した原紙特定情報を受信し記憶することとなるが、原紙製造実施者は、この原紙特定情報を上記原紙製造工程により製造された原紙に付する。具体的に、当該原紙に、直接記載若しくは印刷するようにしてもよいが、原紙特定情報がバーコード又は2次元バーコード等である場合には、プリンター等により出力し、その出力結果を原紙に貼り付ける若しくは直接印刷するようにしてもよい。
【0047】
<商品製造工程>
<S7:商品情報登録処理>
上述のように、各工程を経て製造された再生紙原紙は、コピー用紙、ノート、名刺、その他様々な商品として加工される。この場合、商品製造業者等は、上述のとおり得られた再生紙原紙を購入し加工を施して商品を製造する。この商品製造工程を実施する業者等を商品製造実施者といい、この商品製造実施者が本工程における工程実施者としての役割を果たす。
【0048】
管理装置1には、例えば図5に示すような、商品情報を管理するための商品管理テーブルが記憶される。ここで、「商品情報」とは、少なくとも「商品ID」を含む情報であり、この「商品ID」に関連付けられる「商品名」、「商品製造日」などといった商品製造工程に関する情報を任意に選択したものをいう。また、商品IDは、実際に製造される商品ごととするのがよい。
【0049】
商品製造業者等といった商品製造実施者は、原紙に付されている原紙特定情報を商品製造実施者の端末4dに入力し、当該端末4dから管理装置1へ送信し、これを受信した管理装置1は、商品管理テーブルに商品情報と当該原紙特定情報を関連付けて記憶する。
【0050】
<S8:商品特定情報発行処理>
このように商品管理テーブルへの商品の古紙管理テーブルへの追加更新が確定したとき、管理装置1は、商品特定情報を作成して商品製造実施者の端末4dに送信する。当該商品特定情報は、商品管理テーブルの特定のレコードを任意に特定できる一のデータまたは複数のデータの組み合わせであってよいが、商品IDを用いるのが簡便でよい。ここで、この商品特定情報が、本工程における工程特定情報としての役割を果たす。
【0051】
当該商品特定情報の商品製造実施者の端末4dへの提供については、これまでの特定情報等と同様、単に商品ID等をそのまま単なる文字列として表現したものでもよいし、バーコード又は2次元バーコードとして表現されたものとしてもよい。
【0052】
商品製造実施者の端末4dは、管理装置1が送信した商品特定情報を受信し記憶することとなるが、商品製造実施者は、この商品特定情報を製造した商品に付する。
【0053】
具体的には、これまで同様、当該商品に、直接記載若しくは印刷するようにしてもよいが、バーコード又は2次元バーコード等である場合には、プリンター等により出力し、その出力結果を商品に貼り付ける若しくは直接印刷するようにしてもよい。
【0054】
以上のとおり、所定の単位ごととした古紙に関する古紙特定情報をリサイクル工程の最初の工程実施者が知得し、この工程実施者の端末の所定の入力手段を介して管理装置1に送信し、それにより特定される古紙情報と当該工程の工程情報とを関連付けて記憶する。以後のリサイクル工程においては、ある工程の工程特定情報をその次の工程の工程実施者の端末に入力して管理装置1に送信し、特定される工程情報と、当該次の工程の工程情報とを関連付けて記憶するものである。
【0055】
これをリサイクル工程の最後まで繰り返すことで、各工程における工程情報が工程が進むに従い順次関連付けて記憶されていくので、リサイクル工程の履歴情報の保存管理が確実となる。また、工程実施者にとっては、前工程の工程特定情報の入力および自身の工程における工程情報の入力の作業が追加されるのみで、リサイクルの履歴情報の保存管理が実現していくため、工程実施者にとっても作業負担が少ないものである。
【0056】
<閲覧処理1>
以上の一連の流れにより、リサイクルの工程について、その履歴を追跡することが可能となる。例えば、ある消費者が、上述のようにして得られた商品としてのノートを購入し入手したとする。このノートに関する履歴についての情報の閲覧を希望する消費者は、当該ノートに付されている商品特定情報を、自身が利用する消費者端末5に入力し、管理装置1に送信する。
【0057】
これまでの説明のとおり、古紙管理テーブルおよび商品管理テーブルにおいて、結果的に、古紙情報、溶解情報、原紙情報および商品情報が関連付けられて記憶されている。すなわち、管理装置1は、商品特定情報を特定できれば、商品情報、その商品に使用された原紙情報、溶解情報およびその商品の原料となった古紙情報(例えば、古紙ID、古紙排出者の名称等)といった情報が全て紐付けられて検索抽出可能となっているものである。
【0058】
実際に閲覧をする場合、消費者は、消費者端末5を操作して管理装置1にアクセスし閲覧申請する。閲覧申請を受けた管理装置1は、消費者端末5に対し商品に付されている商品特定情報の入力を求める。消費者はこの入力要求に応じて、消費者端末5の入力手段を用いて商品特定情報を入力し、管理装置1へ送信する。こうして、消費者は、図6に示すような情報を、消費者端末5の表示手段を介して閲覧することが可能となる。
【0059】
この図6に示す例では、掲載情報として、「商品名」、「商品製造日」、「原料(古紙)提供者」に関する情報を掲載するようにしている。上述のように、消費者端末5から商品特定情報を受信した管理装置1は、商品特定情報に基づいて商品情報を検索することにより特定される各情報を抽出する。
【0060】
すなわち、掲載情報「商品名」については商品管理テーブルの「商品名」から、同様に掲載情報「商品製造日」については、商品管理テーブルの「商品製造日」から、掲載情報「原料(古紙)提供者」については排出者管理テーブルの「排出者名」から、それぞれ特定される情報を抽出する。
【0061】
管理装置1は、こうして抽出された各情報を所定のフォームデータと共に消費者端末5に送信することで、消費者が消費者端末5の表示手段を介して、図6で示したような閲覧が可能となる。
【0062】
<閲覧処理2>
上述した閲覧処理1の他、例えば、図7に示すような、古紙排出者毎に関連した情報を閲覧させるようにしてもよい。図7は、古紙排出者の状況を個別に閲覧させるものであり、「古紙回収日」、「古紙の重量」、「溶解日」、「溶解証明書」、「月別貯紙重量」、「月別再生重量」、「再生紙の高さ」、「CO2削減量」、「森林伐採削減量」を掲載するようにした例である。
【0063】
自身の排出した古紙のリサイクル状況を確認したいと希望する古紙排出者は、古紙排出者端末3を操作し、管理装置1にアクセスする。この際、管理装置1は、アクセス元である古紙排出者の特定を求める。特定の方法は特に限定しないが、古紙排出者が事前に取得しているアカウント(ログインIDとパスワード)を入力させそれを管理装置1が認証するといった通常行われているログイン処理を施す場合、そのアカウントと排出者IDとが、同一の値とするか、もしくは、関連付いていればよい。
【0064】
古紙排出者を特定した管理装置1は、任意の年月におけるその古紙排出者のリサイクル状況を検索抽出する。具体的には、古紙排出者情報の該当する排出者IDとその年月に基づき古紙管理テーブルを検索し、該当するレコードから、「古紙回収日」として「古紙受付日」を、「古紙の重量」として「古紙重量」をそれぞれ抽出する。さらに、溶解情報から「溶解日」として「溶解作業日」を抽出する。
【0065】
掲載情報「月別貯紙重量」、「月別再生重量」、「再生紙の高さ」、「CO2削減量」、「森林伐採削減量」などは、上記該当レコードにおける各情報に、所定の演算を施して得られる情報である。
【0066】
例えば、「月別貯紙重量」は、抽出された「古紙重量」の総計として算出した情報であり、「月別再生重量」は、抽出された情報のうち、原紙製造日のデータが有る「古紙重量」の総計として算出した情報などとすればよい。
【0067】
掲載情報「再生紙の高さ」については、例えば、「月別再生重量」を全てコピー用紙に場合の高さの推定値を所定の数式に基づいて算出すればよく、「CO2削減量」、「森林伐採削減量」等についても、上述のとおり抽出された情報を適宜用いて数式等に基づいた算出した値とすればよい。
【0068】
このような、環境貢献度を示す情報を数値等で示すことにより、古紙排出者などにとっては、自身のリサイクル活動が環境に貢献したことが感覚的に分かり易く、把握しやすくなるため、古紙のリサイクルに対するモチベーションを向上させ、更なるリサイクル活動への参加意識向上を図ることができる。
【0069】
<溶解証明書発行処理>
ここで、掲載情報「溶解証明書」について説明する。特に企業や地方自治体等が排出する古紙には、個人情報その他の機密事項が記載されている場合も想定される。そのため、排出された古紙が、適切に処理されているかどうかを確認できるようにすることは重要であり、特に古紙の溶解が適切に行われていれば、その後の機密事項漏えいの可能性が極めて低くなるという点で、この古紙の溶解工程は非常に重要なものである。
【0070】
そこで、古紙排出者等に対して、任意の工程が完了したときにその完了を示す証明書を発行するようにするのが望ましい。
【0071】
例えば、溶解情報は、「溶解作業実施日」を含むようにし、管理装置1は、古紙排出者端末3からの要求に応え、該当する古紙IDと対応する「溶解作業実施日」が記憶されているか否か判断し、「溶解作業実施日」が記憶されている場合には、その「古紙ID」、「古紙受付日」、「溶解作業実施日」等の情報と、「確実に溶解されたことに相違ない」旨のテキスト、および溶解作業を実施した古紙再生業者名等を所定のフォームデータに配した溶解証明書を作成し、古紙排出者端末3に送信する。
【0072】
これにより、古紙排出者端末3といった外部端末から古紙毎に溶解作業が確かに完了したことを証明する証明書の閲覧、入手が可能となる。これにより、自身の排出した古紙が適切に処理され、機密情報の漏えい等の不安軽減に資する。
【0073】
本発明は、以上の例に限定されない。たとえば、管理装置1は単一のハードウェアである必要はなく、複数のハードウェアから構成されるものであってよい。これまで説明した各種情報の種類や呼び方、若しくは関連付けのやり方についても、これまでの説明のとおりに限定されるものでなく、例えば、本説明によるような適宜テーブル分けしてそれを関連付ける関係データベースとして記憶してもよいし、単一のテーブルで記憶してもよく、必要に応じて各情報が相互に参照できる構造になっていればよい。
【0074】
特に、古紙情報、溶解情報、原紙情報、商品情報が関連付けているデータの項目は、上述の項目に限らず、例えば、溶解情報であれば、その溶解作業を実施した業者に関する名称や住所等といった情報、商品情報であれば、商品製造業者名や住所等といったように、各工程の実施者、実施場所等の情報その他の関連情報を適宜関連付けるようにしてもよい。
【0075】
また、上述の説明においては、リサイクル工程として、溶解工程から商品製造工程までを挙げて説明してきたが、必ずしもこれら全てについて上述のように管理する必要はなく、利用者の要求等に応じて必要な工程のみ管理するようにしてよい。
【0076】
上述の説明に含まれない工程、たとえば、溶解工程の前工程として古紙を細断する細断工程を含めるなどとしてもよい。この場合、上記各工程における説明と同様の処理をすればよい。例えば、管理装置1が、本細断工程における工程情報である細断情報は、細断ID、細断実施日などを関連付けて記憶するものとして、対応する古紙情報に関連付けて記憶するようにすればよい。細断ID等を文字列若しくは2次元コード等で表現した細断特定情報(工程特定情報)を細断工程実施者(工程実施者)の端末に送信するようにし、これを受信した細断工程実施者は、当該細断特定情報を細断した古紙に付するようにする。そして、次工程が、溶解工程の場合、溶解情報において当該細断IDを関連付けて記憶するようにすればよい。
【0077】
上述の説明における、2次元コードは、例えば、QRコード(登録商標)などの既知の手段、または将来開発される同様の役割および機能を果たす手段を適宜利用してよい。
【0078】
また、各工程における工程実施者について、同一人が複数の工程実施者を兼ねる場合があるのは勿論である。
【0079】
各端末への工程特定情報の入力については、これまでも説明してきたが、キーボード等の入力手段によって直接入力する他、これらの情報がバーコードである場合には、バーコード読取手段、2次元コードである場合には、カメラ機能および認識用プログラムとの連動からなる読取手段によるものなど、既知の手段を適宜採用してよい。
【符号の説明】
【0080】
1 管理装置
2 通信回線
3 古紙排出者端末
4 工程実施者端末
5 消費者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7