(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】タイルユニット
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
E04F13/08 102L
E04F13/08 102G
(21)【出願番号】P 2017028559
(22)【出願日】2017-02-19
【審査請求日】2020-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2016043954
(32)【優先日】2016-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513235441
【氏名又は名称】藤垣窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098741
【氏名又は名称】武蔵 武
(72)【発明者】
【氏名】藤垣 伊織
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-018331(JP,U)
【文献】特開2003-268957(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0130993(KR,A)
【文献】登録実用新案第3114097(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏両面に貼着層を有するベースシートと、
そのベースシートの表面に所定の目地空間を設けて配列され且つそのベースシートの表面に前記貼着層を介して貼着される複数のタイル片と、
厚さが前記タイル片の厚みより小さく且つ前記ベースシートに配列される前記タイル片の配置に合わせて象った貫通額孔を有し、当該貫通額孔に前記タイル片を嵌め入れて自身が前記目地空間内に収まるようになっている網形状の軟質樹脂目地材と、を備えたタイルユニットにおいて、
前記軟質樹脂目地材の前記貫通額孔は、前記タイル片と密に嵌り合う形状に形成され、
一方、前記軟質樹脂目地材と前記ベースシートの表面の貼着層との間には、その軟質樹脂目地材の前記貼着層への貼着を防止する貼着防止手段が設けられており、
その貼着防止手段は、貼着カバー部材で前記ベースシートの前記目地空間に対応する貼着層をカバーするものであり、その貼着カバー部材をベースシートと前記軟質樹脂目地材との間に介在させるようにして前記目地空間に対する前記軟質樹脂目地材の着脱を自在に行い得るようにしたことを特徴とするタイルユニット。
【請求項2】
前記貼着カバー部材と前記軟質樹脂目地材との間に、前記ベースシートと貼着カバー部材の前記貼着層による貼着力より小さい貼着力で両者を貼着可能且つ剥離可能な弱貼着性貼着層を介在させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のタイルユニット。
【請求項3】
表裏両面に貼着層を有するベースシートと、
そのベースシートの表面に所定の目地空間を設けて配列され且つそのベースシートの表面に前記貼着層を介して貼着される複数のタイル片と、
厚さが前記タイル片の厚みより小さく且つ前記ベースシートに配列される前記タイル片の配置に合わせて象った貫通額孔を有し、当該貫通額孔に前記タイル片を嵌め入れて自身が前記目地空間内に収まるようになっている網形状の軟質樹脂目地材と、を備えたタイルユニットにおいて、
前記軟質樹脂目地材の前記貫通額孔は、前記タイル片と密に嵌り合う形状に形成され、
一方、前記軟質樹脂目地材と前記ベースシートの表面の貼着層との間には、その軟質樹脂目地材の前記貼着層への貼着を防止する貼着防止手段が設けられており、
その貼着防止手段は、前記軟質樹脂目地材を前記目地空間の所定の位置に嵌合させた状態でその軟質樹脂目地材と前記ベースシートの表面の貼着層との間に隙間が形成されるようにしたものであることを特徴とするタイルユニット。
【請求項4】
前記軟質樹脂目地材の裏面を貼着剤の貼着を困難にする離型層でカバーするものであることを特徴する請求項3記載のタイルユニット。
【請求項5】
前記軟質樹脂目地材は、前記タイル片が貼着されたベースシート二枚分以上に対応し得る大きさであることを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載のタイルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の壁面や家具の外表面等の被着面にタイルを貼着して装飾するためのタイルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基材シートの表裏両面に粘着面を設けて両面粘着シートを形成し、その両面粘着シートの表面に複数のタイル片を接合すると共に裏面の粘着面を被着面に接合するようにしたタイルユニットがある(特許文献1参照)。
このタイルユニットは、タイル片の表面に透明シートが貼着されており、まず全部を被着面に貼り付けてから前記透明シートを剥がし、その後、タイル片の目地部に目地材を導入する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実登第3071347号公報(段落0019、
図5)
【文献】特開2015-59322号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のタイルユニットは、被着面に貼り付けた後のタイル片の目地部に目地材を導入するようになっているが、従来の左官工事によるものと遜色のない仕上がりにするにはそれ相応の技量が必要である。したがって、左官工事の経験のない一般需要者が綺麗な目地に仕上げることはきわめて困難であり、もちろん時間も掛かる。加えて目地材には一般に目地用のモルタルが使われるため、吸水性があって汚れがしみ込みやすく且つ汚れた場合の掃除が難しい、等の問題もあった。
【0005】
かかる特許文献1のタイルユニットに存する問題点を解消するため本出願人は、左官経験のない一般需要者でも簡単且つ綺麗にタイルを貼ることができ、しかも汚れても簡単に掃除が可能なタイルユニットを既に特許出願している(特許文献2)。
【0006】
この特許文献2のタイルユニット100は、
図8、
図9に示したように、表裏両面に貼着層を有するベースシート200と、そのベースシート200の表面に所定の目地空間500を設けて配列され且つそのベースシート200の表面に貼着層を介して貼着される複数のタイル片300と、ベースシート200の表面に貼着層を介して貼着される軟質樹脂目地材400とを備えている。前記軟質樹脂目地材400は、少なくとも表面が耐水性を有すると共に厚みがタイル片300の厚みより小さく且つ外寸がベースシート200とほぼ同じであって、ベースシート200に配列されるタイル片300の形状と配置に合わせて象った貫通額孔4000を有する。
【0007】
このタイルユニット100は、左官経験のない一般需要者でも簡単且つ綺麗にタイルの目地を形成することができ、しかも汚れても簡単に掃除ができる、という発明所期の目的を達成し得るが、それでもなお軟質樹脂目地材400のタイル片300の側面に沿った縁の部分に汚れが残りやすく、また、タイル片300の回りを軟質樹脂目地材400でしっかり固める格好になっていて一枚のタイルユニット100が恰も剛性の高い板であるかのような状態になっているため、一旦貼着すると被着面から剥がしにくい、という使用上の新たな課題も浮上していた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、その目的は、目地の掃除が行い易いタイルユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため本発明は、請求項1に記載したように、
表裏両面に貼着層を有するベースシートと、
そのベースシートの表面に所定の目地空間を設けて配列され且つそのベースシートの表面に前記貼着層を介して貼着される複数のタイル片と、
厚さが前記タイル片の厚みより小さく且つ前記ベースシートに配列される前記タイル片の配置に合わせて象った貫通額孔を有し、当該貫通額孔に前記タイル片を嵌め入れて自身が前記目地空間内に収まるようになっている網形状の軟質樹脂目地材と、を備えたタイルユニットにおいて、
前記軟質樹脂目地材の前記貫通額孔は、前記タイル片と密に嵌り合う形状に形成され、
一方、前記軟質樹脂目地材と前記ベースシートの表面の貼着層との間には、その軟質樹脂目地材の前記貼着層への貼着を防止する貼着防止手段が設けられており、
その貼着防止手段は、貼着カバー部材で前記ベースシートの前記目地空間に対応する貼着層をカバーするものであり、その貼着カバー部材をベースシートと前記軟質樹脂目地材との間に介在させるようにして前記目地空間に対する前記軟質樹脂目地材の着脱を自在に行い得るようにしたタイルユニットを提供する。
【0010】
また、請求項2に記載したように、前記貼着カバー部材と前記軟質樹脂目地材との間に、前記ベースシートと貼着カバー部材の前記貼着層による貼着力より小さい貼着力で両者を貼着可能且つ剥離可能な弱貼着性貼着層を介在させるようにした請求項1に記載のタイルユニットを提供する。
【0011】
また、請求項3に記載したように、
表裏両面に貼着層を有するベースシートと、
そのベースシートの表面に所定の目地空間を設けて配列され且つそのベースシートの表面に前記貼着層を介して貼着される複数のタイル片と、
厚さが前記タイル片の厚みより小さく且つ前記ベースシートに配列される前記タイル片の配置に合わせて象った貫通額孔を有し、当該貫通額孔に前記タイル片を嵌め入れて自身が前記目地空間内に収まるようになっている網形状の軟質樹脂目地材と、を備えたタイルユニットにおいて、
前記軟質樹脂目地材の前記貫通額孔は、前記タイル片と密に嵌り合う形状に形成され、
一方、前記軟質樹脂目地材と前記ベースシートの表面の貼着層との間には、その軟質樹脂目地材の前記貼着層への貼着を防止する貼着防止手段が設けられており、
その貼着防止手段は、前記軟質樹脂目地材を前記目地空間の所定の位置に嵌合させた状態でその軟質樹脂目地材と前記ベースシートの表面の貼着層との間に隙間が形成されるようにしたものであるタイルユニットを提供する。
【0012】
また、請求項4に記載したように、前記軟質樹脂目地材の裏面を貼着剤の貼着を困難にする離型層でカバーするものである請求項3記載のタイルユニットを提供する。
【0013】
また、請求項5に記載したように、前記軟質樹脂目地材は、前記タイル片が貼着されたベースシート二枚分以上に対応し得る大きさである請求項1~4の何れか1つに記載のタイルユニットを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のタイルユニットは、軟質樹脂目地材が貼着防止手段によってベースシートに貼り付かないようになっているため、目地空間への軟質樹脂目地材の着脱が自由に行える。したがって、目地空間から軟質樹脂目地材を取り外して綺麗に掃除(洗浄)し、そうして綺麗になった軟質樹脂目地材を目地空間に嵌め戻すことが可能であり、通常の拭き掃除では難い例えば軟質樹脂目地材のタイル片に沿う縁の汚れ等も除去しやすい。また、軟質樹脂目地材の表裏を色違いに形成しておけば、裏返しにするだけで目地色を変える模様替えも簡単に行うことができる。
また、目地空間から軟質樹脂目地材を取り外すことによりタイル片の回りに遊び空間ができるため、タイルユニットが面方向に撓りやすくなる。したがって、タイルユニットの被着面からの引き剥がしが容易になるため、貼り替えによる部屋の模様替えが気軽に行え、或は退去時に原状回復が必要な賃貸マンション等の壁面へも気軽に貼り付けることができる。
【0017】
上記貼着防止手段は、請求項1に記載したように貼着カバー部材でベースシートの目地空間に対応する貼着層をカバーするか、請求項3に記載したように軟質樹脂目地材とベースシートの表面の貼着層との間に隙間が形成されるようにすることで容易に実施できる。また、貼着カバー部材をベースシートと軟質樹脂目地材との間に介在させるようにした請求項1において、請求項2のように貼着カバー部材と軟質樹脂目地材の間に弱貼着性貼着層を介在させるようにしておけば、目地空間に対する軟質樹脂目地材の着脱の自由を損なうことなく目地空間内での安定性を向上させることができる。
【0018】
また、請求項5に記載したように、軟質樹脂目地材をタイル片が貼着されたベースシート二枚分以上に対応し得る大きさにしておけば、複数のタイルユニット同士の継ぎ目の部分を軟質樹脂目地材で隠すことができるため、タイルユニット同士の継ぎ目を目立たせなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】タイルユニットの一部拡大図を含む全体斜視図である。
【
図4】中間を省略したタイルユニットの拡大縦断面図である。
【
図5】軟質樹脂目地材の他の形態を示すもので、被着面に二枚のタイルユニットを貼着する状態を示す分解斜視図である。
【
図6】貼着防止手段の他の形態を示すもので、中間を省略したタイルユニットの拡大縦断面図である。
【
図7】貼着防止手段の他の形態を示すもので、中間を省略したタイルユニットの拡大縦断面図である。
【
図8】従来のタイルユニットの一部拡大図を含む全体斜視図である。
【
図9】従来のタイルユニットの中間を省略した拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態1]
以下に、本発明の実施形態1を
図1~
図5を参照しつつ説明する。
タイルユニット1は、
図1~
図5に示したように、ベースシート2と、複数のタイル片3,3…と、網形状の軟質樹脂目地材4と、貼着防止手段たる網形状の貼着カバー部材5と、から概略構成されている。
【0021】
[ベースシート]
前記ベースシート2は、例えば約150mm×150mmの四角い紙又は合成樹脂製の薄いシートであり、裏面と表面に粘着剤又は接着剤を塗布してなる貼着層(図示せず)を有する。
【0022】
[タイル片]
前記タイル片3は、陶磁器、ガラス、合成樹脂、金属、竹、木、石などで形成されている。また、タイル片3は、表面が装飾面で、裏面がほぼ平らな接合面になっており、前記べースシート2の表面に所定の目地空間6を設けて配列され且つそのベースシート2の表面に前記貼着層を介して貼着される。
実施形態のタイル片3は、表面に釉薬を施して焼成した陶磁製で、約23mm×23mm×6.5mmの四角い板状であり、前記ベースシート2の表面に2mm~3mmの目地空間6を設けて6個×6個配列されている。
なお、タイル片3,3…の目地空間6は、被着面7の縁に用いる特殊なもの(これについては後述する。)を除いて、ベースシート2の角を挟んで隣合う二辺(図において左辺と下辺)にはない。これにより、複数のタイルユニット1,1…を横や上下に並べて連続させた場合に、タイルユニット1,1…同士の継ぎ目の目地空間6が二本分に連なる(太くなる)不具合を回避することができる。
【0023】
[軟質樹脂目地材]
前記軟質樹脂目地材4は、例えば軟質の塩化ビニル樹脂を主成分とする白色系のものであり、耐水性と適度な弾性を有する。この軟質樹脂目地材4は、厚みがタイル片3の厚みより小さく(実施形態ではほぼ1/3(約1.8mm))、外寸が前記ベースシート2とほぼ同じで、ベースシート2に配列される前記タイル片3,3…の形状と配置に合わせて厚さ方向に真っ直ぐ象った貫通額孔40,40…を有する格子型の網形状である。かかる軟質樹脂目地材4は、当該貫通額孔40,40…にタイル片3を密に嵌め入れて自身が目地空間6内に収まると共に弾性による突っ張り力でその目地空間6内に止まるようになっている。
【0024】
[貼着カバー部材]
貼着カバー部材5は、前記軟質樹脂目地材4と前記ベースシート2の表面の貼着層との間に介在してベースシート2の貼着層をカバーし、そうして軟質樹脂目地材4の貼着層への貼着を防止するものである。この貼着カバー部材5は、前記軟質樹脂目地材4とほぼ同形状(したがって貫通額孔40とほぼ同様の貫通額孔50を有する。)で同じ性質の材料(実施形態では同一材料)であるものの、厚みが、軟質樹脂目地材4との合算でタイル片3の厚みを越えない、具体的には約3.5mmであり、ベースシート2の貼着層に貼着された状態で目地空間6の内部に収まっている。
【0025】
以上の構成を有する実施形態1のタイルユニット1は、ベースシート2の目地空間6に対応する貼着層が貼着カバー部材5によって覆われ、しかもこの貼着カバー部材5自身には貼着層がないため、目地空間6に嵌め入れられた軟質樹脂目地材4はどこにも貼り付くことなく自身の突張り力、つまり摩擦抵抗のみによって目地空間6内に収まっている。
したがって、軟質樹脂目地材4は、いつでも自由に繰り返し着脱し得るため、目地空間6から軟質樹脂目地材4を取り外して洗浄し、そうして綺麗になった軟質樹脂目地材4を目地空間6に嵌め戻すことが可能であり、また、目地空間6から軟質樹脂目地材4を取り外すことによりタイル片3,3…の回りに遊び空間ができて面方向に撓りやすくなるため、タイルユニット1の被着面7からの引き剥がしが容易になる。
【0026】
[貼着方法1]
次に、実施形態1のタイルユニット1を例えば建物室内の壁面等の被着面7に貼着する方法について製造段階から順に説明する。
まず、ベースシート2の表裏両面の貼着層は、剥離可能な剥離紙(図示せず)で保護されているため、表面の剥離紙を剥がしてその表面の貼着層に貼着カバー部材5を貼着する。
次に、その貼着カバー部材5の貫通額孔50,50…にタイル片3,3…を嵌めてベースシート2の貼着層に押し付ける。これによりタイル片3がベースシート2の表面に貼着層を介して貼着される。
次に、軟質樹脂目地材4の貫通額孔40,40…にタイル片3,3…を通して目地空間6に軟質樹脂目地材4を嵌め入れる。
こうして製造されたタイルユニット1は、
図1の斜視図に示したようにベースシート2の表面に貼着された全てのタイル片3,3…が軟質樹脂目地材4の貫通額孔40,40…に殆ど隙間なく嵌っており、しかも軟質樹脂目地材4はタイル片3の表面より若干凹んだ位置にあるため、外観上、軟質樹脂目地材4がモルタル製の目地のごとくに見える。
このタイルユニット1からベースシート2の裏面の剥離紙を剥がして被着面7に貼着する。被着面7がタイルユニット1より広い場合には、複数枚のタイルユニット1を縦横に並べて被着面7を覆うように貼り付ける。
【0027】
[貼着方法2]
次に、実施形態1のタイルユニット1の貼着方法2について
図5により説明する。
まず、貼着方法1と同様にベースシート2の表面の剥離紙を剥がしてその表面の貼着層に貼着カバー部材5を貼着する。
次に、その貼着カバー部材5の貫通額孔50,50…にタイル片3,3…を嵌めてベースシート2の貼着層に押し付ける。これによりタイル片3がベースシート2の表面に貼着層を介して貼着される。
次に、ベースシート2の裏面の剥離紙を剥がして前記被着面7にそれを貼着し、もって軟質樹脂目地材4を嵌める前のタイルユニット1の中間体10を被着面7に先付けする。この作業を繰り返して被着面7をタイル片3,3…で覆う。
次に、先付けしたタイル片3,3…に貫通額孔40,40…を通して目地空間6に軟質樹脂目地材4を嵌め込む。なお、上記のように貼着カバー部材5は、軟質樹脂目地材4と同じ性質の材料でほぼ同形状であるため、この工程を省略して貼着カバー部材5を外部に露出させておき、そうして深い位置に目地があるいわゆる「深目地」のような仕上がりにすることもできる。したがって貼着カバー部材5は、その形状、材質、使用態様、機能等から第二軟質樹脂目地材と読み替えることもできる。
この貼着方法2では、ベースシート2に貼着カバー部材5とタイル片3,3…を貼着するまでの工程を工場で行い、そのタイルユニット1の中間体10と完成に必要な軟質樹脂目地材4とをセットにして市場に流通させ、最終的に需要者が、上記の要領で被着面7にタイル片3,3…を貼着した後、そのタイル片3,3…に貫通額孔40,40…を通して目地空間6に軟質樹脂目地材4を嵌め込んで仕上げる。
この場合、
図5に示したように、ベースシート2の二枚分以上に対応し得る大きさの軟質樹脂目地材4を用いれば、タイルユニット1とタイルユニット1の継ぎ目が軟質樹脂目地材4で隠れるため、より本物の目地材に近い仕上がりになる。もちろん軟質樹脂目地材4は、被着面7の大きさに近くして多くの中間体10を一枚でカバーするほど前記継ぎ目を目立たせなくすることができる。
【0028】
以上、タイルユニット1の貼着方法1,2について説明したが、これ以外にも貼着方法2の中間体10をベースシート2に貼着カバー部材5を貼着した形態とし、それを被着面7に先付けしてからタイル片3,3…と軟質樹脂目地材4を順に組み付けるようにしてもよい。
この貼着方法によれば、ベースシート2に貼着カバー部材5を貼着するまでの工程を工場で行い、その貼着カバー部材5とベースシート2の中間体10と、必要数(貼着カバー部材5の貫通額孔50の数と同数以上)のタイル片3,3…とのセットを購入した需要者が、前記のように自宅の壁等の被着面7にタイル片3,3…のない中間体10を先付けし、そうして貫通額孔50,50…にタイル片3,3…を自由に配置しながら嵌め込めば、タイル貼りしたオリジナルの壁面が施工できる。
【0029】
[実施形態2]
実施形態2のタイルユニット1は、実施形態1の貼着防止手段たる貼着カバー部材5に代えて、
図6に示したように前記軟質樹脂目地材4の裏面に貼着剤の貼着を困難にする例えばフッ素樹脂の離型層8を設けたものである。この場合、ベースシート2にタイル片3を貼着してから軟質樹脂目地材4を目地空間6に嵌め込むようにすればよい。もちろん軟質樹脂目地材4を目地空間6に嵌め込むタイミングは、上記貼着方法1、2の何れでもよい。
実施形態2のタイルユニット1は、軟質樹脂目地材4の裏面がベースシート2の貼着層に接しても殆ど貼り付かず簡単に剥がれるため、実施形態1の貼着カバー部材5と同様な作用効果を発揮する。
【0030】
[実施形態3]
実施形態3のタイルユニット1は、実施形態1の貼着防止手段たる貼着カバー部材5に代えて、
図7に示したように、軟質樹脂目地材4を目地空間6の所定の位置に嵌合させた状態でその軟質樹脂目地材4とベースシート2の表面の貼着層との間に隙間sが形成されるようにしたものである。この場合も実施形態2と同様にベースシート2にタイル片3を貼着してから軟質樹脂目地材4を目地空間6に嵌め込むようにすればよく、軟質樹脂目地材4を目地空間6に嵌め込むタイミングも上記貼着方法1、2の何れでもよい。
この実施形態3のタイルユニット1は、隙間sの存在によって軟質樹脂目地材4の裏面がベースシート2の貼着層にそもそも接することが無く、当然貼り付かないため、実施形態1の貼着カバー部材5と同様な作用効果を発揮する。
【0031】
ところで、実施形態1~3のタイルユニット1は、主として被着面7の縁以外の部分に使用するものであって、前記のように左辺と下辺に目地空間6が設けられていない。そのため、例えばこれを被着面7の左の縁や下の縁に配置した場合には目地相当の空間がない分、アンバランスに見えるおそれがある。したがって、好ましくは被着面7の左の縁に対応するタイルユニット1には、貼着カバー部材5と軟質樹脂目地材4の左辺に目地空間相当の縦枠を付加し、また、被着面7の下の縁に対応するタイルユニット1には、軟質樹脂目地材4の下辺に目地空間相当の横枠を付加し、さらに被着面7の左下隅角部に対応するタイルユニット1には、前記縦枠と横枠を付加するとよい。
【0032】
以上本発明を実施形態1~3について説明したが、もちろん本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、タイル片3を正方形の板状に形成したが、長方形はもちろん、円形や三角形等の多角形にしてもよい。
また、実施形態1~3は、単独で実施しても適宜に組み合わせて実施してもよい。例えば、実施形態2の離型層8と実施形態3の隙間sを組み合わせれば、仮に軟質樹脂目地材4が設定以上に押し込まれた場合でも軟質樹脂目地材4とベースシート2の貼着層との貼着を防止することができる。
【0033】
また、実施形態では、軟質樹脂目地材4を白色系としたが、全体を任意の色に着色したり或は表裏を色違いにしてもよい。そうすることにより、軟質樹脂目地材4を色違いのものに交換して手軽に模様替えが行え、また、表裏を色違いにした軟質樹脂目地材4を裏返しにすることによっても簡単に模様替えが行える。
【0034】
また、ベースシート2の二枚分以上に対応し得る大きさにした軟質樹脂目地材4は、ベースシート2の表面に目地空間6を設けて貼着された一群のタイル片3,3…を、被着面7に複数セット並べて貼り付ける構成を備えたあらゆるタイルユニットに対して適用可能であり、それによってタイルユニット同士の継ぎ目部分が目立たない自然な見栄えに仕上げることができる。
【0035】
また、実施形態1では貼着カバー部材5と軟質樹脂目地材4との間に貼着層を設けないで軟質樹脂目地材4を摩擦抵抗のみによって目地空間6内に収めるようにしたが、軟質樹脂目地材4の縁に位置する貫通額孔40がコの字状に開放された部分では突っ張り力(摩擦抵抗)が低下するため、ベースシート2と貼着カバー部材5の前記貼着層による貼着力より小さい貼着力で両者を貼着可能且つ剥離可能な弱貼着性貼着層(図示せず)を、例えば軟質樹脂目地材4の裏面又は貼着カバー部材5の表面の何れか一方又は双方に形成し、そうして貼着カバー部材5と軟質樹脂目地材4との間に弱貼着性貼着層を介在させるようにしておけば、目地空間6に対する軟質樹脂目地材4の着脱の自由を損なうことなく、軟質樹脂目地材4の特に縁の部分の目地空間6内での安定性を向上させることができる。なお、弱貼着性貼着層を貼着カバー部材5の表面に設ける場合には、タイル片3,3…をベースシート2に貼り付ける際に、貼着カバー部材5の貫通額孔50の縁がタイル片3の縁に擦れて引き込まれるおそれがあるため、実施形態2、3のようにベースシート2にタイル片3,3…を先付けするのがよい。もちろん軟質樹脂目地材4の裏面に弱貼着性貼着層を設ける場合にはそのような制約はなく、したがって実施形態1のタイルユニット1には、軟質樹脂目地材4の裏面に弱貼着性貼着層を設けるのが好ましい。
【符号の説明】
【0036】
1 …タイルユニット
2 …ベースシート
3 …タイル片
4 …軟質樹脂目地材
40 …貫通額孔
5 …貼着カバー部材(貼着防止手段)
50 …貫通額孔
6 …目地空間
8 …離型層(貼着防止手段)
s …隙間(貼着防止手段)