(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】使用時に安全性が高いシリンジ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
A61M5/32 510Z
(21)【出願番号】P 2020202962
(22)【出願日】2020-12-07
(62)【分割の表示】P 2017555712の分割
【原出願日】2016-04-22
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】MI2015A000587
(32)【優先日】2015-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517366725
【氏名又は名称】ジュベルキオ, カルロ
【氏名又は名称原語表記】GIUBERCHIO, Carlo
(73)【特許権者】
【識別番号】517366736
【氏名又は名称】マルキオンニ, マルコ
【氏名又は名称原語表記】MARCHIONNI, Marco
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】ジュベルキオ, カルロ
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-122753(JP,U)
【文献】米国特許第05205833(US,A)
【文献】特開平02-206470(JP,A)
【文献】米国特許第04904244(US,A)
【文献】特開平09-117508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ(3)を摺動可能に収容するように構成され、針(6)の基端部(5)との嵌合を可能とするよう構成された突出端部(4)を有するシリンジ本体(2)を備える、シリンジ(1)において、
前記シリンジ本体(2)と前記針(6)の前記基端部(5)との間に介在される、前記針(6)の保護キャップ(7)を取り外すための取外し手段(8)を備え、
前記取外し手段(8)は、前記針(6)の前記基端部(5)に螺合され、
針(6)の基端部(5)上で前記取外し手段(8)をシリンジの長手方向を軸として回動することによって、前記取外し手段(8)と前記針(6)の前記基端部(5)の相対位置、および前記取外し手段(8)と前記シリンジ本体(2)の相対位置が変化し、前記取外し手段(8)が前記保護キャップ(7)を押すことにより、前記針(6)の前記保護キャップ(7)を取り外すことを特徴とする、シリンジ。
【請求項2】
前記
取外し手段(8)をシリンジの長手方向を軸として回動させ、前記針(6)の基端部(5)との螺合のストロークの終点に達した後、さらに前記
取外し手段(8)の回動を続けることによって、前記針(6)の基端部(5)を前記シリンジ本体(2)の突出端部(4)上で回転させ、前記針(6)と前記取外し手段(8)が共に取り外されることを特徴とする、請求項1に記載のシリンジ。
【請求項3】
前
記取外し手段(8)が、前記シリンジ本体の前記突出端部(4)の外面に配置されるように構成され且つ内部にて前記針(6)の前記基端部(5)との
螺合を可能にするように構成された管状体を備える、請求項1
又は2に記載のシリンジ。
【請求項4】
前記シリンジ本体(2)に向く側の前記管状
体の穴の直径が、前記シリンジの前記突出端部
(4)に接続される前記針(6)の前記基端部(5)の穴と同等又はそれよりも大きいことを特徴とする、請求項
3に記載のシリンジ。
【請求項5】
前記管状
体と、前記針
(6)に取り付けられた前記保護キャップ(7)との間に、ワッシャ(11)を備えることを特徴とする、請求項3
又は4に記載のシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性の高いシリンジに関する。より詳細には、本発明は、施術者の側についていうと、針の先端を施術者自身に穿刺してしまうことによって施術者を偶発的に負傷させる危険性なしに、片手で針を取り外すことができる器具を有するシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、現在、シリンジから針を取り外すことができるようにするために、施術者は両手を使用する。すなわち、一方の手をシリンジの本体を保持するために用い、もう一方の手をシリンジの本体から針を取り外すために用いる。
【0003】
しかし、両手を用いてこのような操作を行うことは常にできるわけではなく、さらに、この操作は効果の観点から実用的であるとは限らないことに留意すべきである。
【0004】
医療関係施術者に生じる可能性がある他の問題は、注射を行うことができるようにするためにシリンジの針を保護するキャップを取り外す必要があることである。
【0005】
この場合、医療関係施術者は、シリンジを一方の手で把持しているが他方の手が塞がっていることが分かっている場合がしばしばある。この場合、針からキャップを取り外すことができるようにするには、施術者は助手の助けを借りなければならず、或いは、施術者は口でキャップをくわえてシリンジから取り外すことが強く求められる。もちろん、これは安全上、高い危険性を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、使用者が片手で針及び/又は関連するキャップを取り外す操作を行うことを可能にする、使用時に安全性が高いシリンジを提供することである。
【0007】
この課題の範囲内で、本発明は、使用者が絶対的に安全な状態で針及び/又はそのキャップを取り外すことを可能にし、偶発的な穿刺を避けることができる、使用時に安全性が高いシリンジを創案することを目的としている。
【0008】
本発明の別の目的は、信頼性が高く、比較的簡単に製造することができ、さらに競争力のあるコストで製造することができる、使用時に安全性が高いシリンジを創案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題、並びに以下でさらに明らかになる上記目的及び他の目的は、プランジャ(3)を摺動可能に収容するように構成され、針(6)の基端部(5)との嵌合を可能とするよう構成された突出端部(4)を有するシリンジ本体(2)を備える、シリンジ(1)において、前記シリンジ本体(2)と前記針(6)の前記基端部(5)との間に介在される、前記針(6)の保護キャップ(7)を取り外すための取外し手段(8)を備え、前記取外し手段(8)は、前記針(6)の前記基端部(5)に螺合され、針(6)の基端部(5)上で前記取外し手段(8)をシリンジの長手方向を軸として回動することによって、前記取外し手段(8)と前記針(6)の前記基端部(5)の相対位置、および前記取外し手段(8)と前記シリンジ本体(2)の相対位置が変化し、前記取外し手段(8)が前記保護キャップ(7)を押すことにより、前記針(6)の前記保護キャップ(7)を取り外すことを特徴とする、シリンジにより達成される。また、前記取外し手段(8)をシリンジの長手方向を軸として回動させ、前記針(6)の基端部(5)との螺合のストロークの終点に達した後、さらに前記取外し手段(8)の回動を続けることによって、前記針(6)の基端部(5)を前記シリンジ本体(2)の突出端部(4)上で回転させ、前記針(6)と前記取外し手段(8)が共に取り外されることが好ましい。
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に非限定的な例として示された本発明によるシリンジの好ましいが限定的ではない実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照すると、参照符号1で全体的に示される本発明によるシリンジは、プランジャ3がその中でスライドするシリンジ本体2を備える。シリンジ本体2はその一端にて、針6の基端部5と嵌合するように構成された略切頭円錐状の断面部分4で終端しており、針6はキャップ7によって保護される。
【0013】
本発明によるシリンジは、シリンジ本体2と針6の基端部5との間に、回転され得るように構成され且つ針6及び/又はキャップ7の取外しを可能にするように構成された針取外し手段8を有する。
【0014】
実際には、針取外し手段は、シリンジ本体2の端部、より詳細にはシリンジの部分4に連結されるように構成された中空の管状体8によって構成されており、この管状体8は、その中で針6の基端部5の螺合又は係合を可能とするように構成されている。
【0015】
したがって、基端部5を有する針6は、管状体8にねじ込むことができ、又は、針6を取り外すための針取外し手段を構成する管状体8に形成された対応のスロット10と係合する針6の基端部5の翼部9によって相互結合されることができる。
【0016】
管状体8と針6の基端部5との間にワッシャ11を設置することができ、このワッシャ11は、管状体8を、針6からキャップ7を取り外すために針のキャップ7に当接させることができる。
【0017】
シリンジ本体2に向く側の管状体8の穴の直径は、針の基端部5の穴の直径以上である。
【0018】
別の実施形態では、管状体8は、シリンジ本体2の端部4に接続される代わりに、シリンジ本体2上でスライドさせることができるように形作ることができる。
【0019】
本発明によるシリンジの使用は以下の通りである。
【0020】
施術者は、シリンジ本体2の端部上でスライドさせることができる管状体8を片手で把持すると共に、指で管状体8を回すことによって、シリンジ本体2の端部に嵌挿された針を、シリンジから針を容易に取り外すことができるように回転させることができる。
【0021】
管状体8が、例えばワッシャ11を介在させることによって、針のキャップ7にも当接する場合、施術者は片手で針のキャップを取り外すことができる。ワッシャ11が存在する場合、管状体8が動かされると、ワッシャ11はキャップ7の基部に当接してこれを取り外す。
【0022】
管状体8が針の基部に螺合され、針の基部上で管状体を動かす(ねじる)ことによって針のキャップを取り外すことができる場合、管状体はシリンジのキャップ7の端部に当接しそれを針から外す。
【0023】
管状体8が針の基部上に螺合され、針の基部上で管状体を動かす(ねじる)ことによって針又は針のキャップを取り外すことができる場合、最初、管状体はシリンジのキャップ7の端部に当接しそれを針7から外し、次いで、管状体をねじり続けることによって、管状体8がそのストロークの終点に達する。このようになったならば、施術者は、管状体をねじり続けることによって、針6をシリンジの突出端部上で回転させ、シリンジから針6を管状体と共に容易に取り外す(管状体8及び針6をシリンジから取り外す)ことができる。
【0024】
施術者は、シリンジ本体2の端部上でスライドさせることができる管状体8を片手で交互に把持し指でそれを回すことによって、管状体がシリンジの端部に当接した後、管状体を回し続けることによって、管状体が十分に長い場合には、シリンジ本体の端部に嵌合された針を外方に押し、最終的にシリンジから取り外させる。
【0025】
実際に、本発明によるシリンジは、偶発的な穿刺の危険なしに片手で針及び/又はそのキャップを取り外すことを可能にするので、意図された目的及び課題を完全に達成することが分かった。
【0026】
このようにして創案されたシリンジは、多くの変更や変形が可能であり、これらの全てが添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【0027】
各要素の全てが技術的に等価な他の要素に置き換えられてもよい。
【0028】
実際に、使用される材料並びに付随的な形状及び寸法は、条件や当該技術に応じて任意であり得る。
【0029】
本願が優先権を主張するイタリア特許出願第MI2015A000587号(102015902346414)の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
特許請求の範囲に記載された技術的特徴の後に参照符号を付した場合、これらの参照符号は特許請求の範囲の明瞭性を高める目的のためにのみ含まれているので、そのような参照符号はそのような参照符号によって例として示される各要素の解釈にいかなる影響を与えるものではない。