(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20220225BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20220225BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
G16H10/00
(21)【出願番号】P 2018501715
(86)(22)【出願日】2017-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2017006437
(87)【国際公開番号】W WO2017146067
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2019-05-27
【審判番号】
【審判請求日】2020-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2016035925
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516060406
【氏名又は名称】株式会社豊崎会計事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】518193940
【氏名又は名称】一般社団法人LS総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】豊崎 修
【合議体】
【審判長】高瀬 勤
【審判官】松田 直也
【審判官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-500866(JP,A)
【文献】特開2005-227928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0112686(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の集団内で個人を特定可能な識別子と、当該個人についての、1以上の属性を
示す情報とを対応付けて記憶されたデータベースから情報を抽出する情報処理装置であって、
患者に対して所定の投与量の薬が実際に投与され
た当該患者についての、1以上の属性と、前記所定の投与量と、実際の効能との夫々を示す情報の組
を含む学習用データ
を、新たな患者の1以上の属性
を示す情報が入力されると薬の投与量が出力されるモデルの生成又は更新をするための学習に用い
るために前記データベースから抽出する第1抽出手段と、前記識別子が与えられた場合には、当該識別子により特定される前記個人についての情報として、前記1以上の属性を
示す情報を前記データベースから抽出する第2抽出手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
予め所定の投与量の薬が投与されて実際の効能が既知の複数の患者の夫々について、前記第1抽出手段により抽出された前記個人が有する1以上の属性を示す情報と、前記薬の投与量を示す情報と、前記実際の効能を示す情報との組を前記学習用データとして用いて、前記モデルを生成又は更新する学習手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記モデルを取得するモデル取得手段と、
前記第2抽出得手段により取得された、所定の患者の前記情報としての前記1以上の特性を示す情報を前記モデルに入力し、当該モデルから出力される薬の投与量を前記所定の患者の医療方針として提示する医療方針提示手段と、
前記医療指針が前記所定の患者に適用された場合における、当該医療指針の当該所定の患者に対する実際の効能を解析する効能解析手段と、
をさらに備え、
前記学習手段は、
前記効能解析手段の解析結果を前記実際の効能を示す情報として採用し、前記医療方針を前記薬の投与量を示す情報として採用し、前記所定の患者についての前記1以上の特性を示す情報と共に前記学習用データとして用いて、前記モデルを更新する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記効能解析手段の解析対象となった前記医療指針について、当該解析対象となった前記効能とは別の効能を、前記1以上の特性を示す情報以外のその他情報に基づき解析する別効能解析手段、
をさらに備える請求項3に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、患者に投与する医薬品の用量を患者の疾患症状や年齢などにより簡単かつ的確に決定する薬の用量決定支援装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、薬の投与量と患者の属性情報の関係については、患者の入力する属性情報が固定されているため、薬の投与量と患者の属性情報の対応関係がわかっていない。
また、薬は、1つの疾患症状に対しての効能だけではないため、他の疾患症状に対しての効能を発見したいという課題が常に付きまとう。
そこで、薬の投与量と患者の属性情報に対応したより適切な薬の投与量を導き出したい場合や薬の1つの疾患症状に対しての効能だけでなく他の疾患症状に対しての効能を発見したい場合の新たな対策技術が要望されている状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、薬の投与量と患者の属性情報に対応したより適切な薬の投与量を導き出すこと及び薬の1つの疾患症状に対しての効能だけでなく他の疾患症状に対しての効能を発見することの手法の確立を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
所定の集団内で個人を特定するために付された第1識別子に基づいて生成された、当該個人を特定可能な第2識別子と対応付けて、当該個人に関する健康診断データ又は受診データを収集するデータ収集手段
を備える。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
前記情報処理装置が収集する前記個人の健康診断データ又は受診データに基づいて、前記個人に対して医療指針を提示する情報処理装置であって、
前記個人である患者の少なくとも1種類以上の属性の情報を取得する患者属性情報取得手段と、
所定の疾患症状に対して効能を有する医療指針と、1種類以上の属性との対応関係を示す対応情報が格納されている対応情報データベースと、
前記患者が自覚している疾患症状に関する前記対応情報を前記対応情報データベースから取得する対応情報取得手段と、
前記患者属性情報取得手段により取得された前記患者属性情報と、前記対応情報取得手段により取得された前記対応情報に基づいて、前記患者が自覚している疾患症状の前記患者に対する医療指針を演算する最適医療指針演算手段と、
前記最適医療指針演算手段により演算された前記医療指針が前記患者に適用された場合における、当該医療指針の当該患者に対する効能を解析する効能解析手段と、
前記効能解析手段の解析結果に基づいて、当該医療指針の前記対応情報であって、属性の種類を含む対応情報を更新する対応情報更新手段と、
を備える。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
所定の疾患症状に対して効能を有する薬の投与量と、1種類以上の属性との対応関係を示す対応情報が格納されている対応情報データベースと、
患者の少なくとも1種類以上の属性の情報を取得する患者属性情報取得手段と、
前記患者が自覚している疾患症状に関する前記対応情報を前記対応情報データベースから取得する対応情報取得手段と、
前記患者属性情報取得手段により取得された前記患者属性情報と、前記対応情報取得手段により取得された前記対応情報に基づいて、前記患者が自覚している疾患症状の薬についての前記患者に対する投与量を演算する最適投与量演算手段と、
前記最適投与量演算手段により演算された前記投与量で前記薬が前記患者に投与された場合における、当該薬の当該患者に対する効能を解析する効能解析手段と、
前記効能解析手段の解析結果に基づいて、当該薬の前記対応情報であって、属性の種類を含む対応情報を更新する対応情報更新手段と、
前記効能解析手段の解析対象となった前記薬について、当該解析対象となった前記効能とは別の効能を、前記患者属性情報以外のその他情報に基づき解析する別効能解析手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プライバシーに配慮しつつ医療ビッグデータを構築すること、薬の投与量と患者の属性情報に対応したより適切な薬の投与量を導き出すこと及び薬の1つの疾患症状に対しての効能だけでなく他の疾患症状に対しての効能を発見することの手法を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の情報処理システムのうち、本発明の一実施形態としてのサーバ2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】患者端末1とサーバ2と医療端末3の機能的構成のうち、最適投与量決定制御を実行するための機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【
図4】患者属性情報以外のその他情報の具体例を表す図である。
【
図5】医療機関を介したサービスの概要を表す図である。
【
図6】本サービスにより決定する初回投与量の一例を表す図である。
【
図7】複数の医療機関を介する場合の本サービスの概要を表す図である。
【
図8】従来の患者の体調の時系列推移を表す図である。
【
図9】本システム利用有無の夫々の場合についての患者の体調の時系列推移を比較した図である。
【
図10】サービスの別の形態の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示している。
図1に示す情報処理システムは、n人(nは1以上の任意の整数値)の患者の夫々により使用される患者端末1-1乃至1-nと、サーバ2と、m人(mは1以上の任意の整数値)の医療従事者の夫々により使用される医療端末3-1乃至3-mとを含むシステムである。患者端末1-1乃至1-nの夫々と、サーバ2と、医療端末3-1乃至3-mの夫々とは、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
【0013】
サーバ2は、患者端末1-1乃至1-n又は医療端末3-1乃至3-mの夫々に対して薬の投与量等の医療指針を決定する実行環境を提供し、患者端末1-1乃至1-n又は医療端末3-1乃至3-mの夫々において実行される薬の投与量等の医療指針の決定に関する各種各様のサービスを提供する。このようなサービスの1つとして、本実施形態では、患者の属性に応じて薬の最適な投与量等の医療指針を決定するサービスが採用されている。
【0014】
なお、以下、患者端末1-1乃至1-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「患者端末1」と呼ぶ。
また、以下、医療端末3-1乃至3-mの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「医療端末3」と呼ぶ。
【0015】
図2は、
図1の情報処理システムのうち、本発明の一実施形態としてのサーバ2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0016】
サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0017】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0018】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0019】
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(
図1の例では患者端末1又は医療端末3)との間で行う通信を制御する。
【0020】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0021】
このような
図2のサーバ2側の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、医療端末3からの医療ビッグデータの構築並びに医療指針の決定及び患者端末1での薬の最適な投与量の決定をするサービスが可能になる。
即ち、本実施形態の情報処理システムは、患者端末1から入力された患者の属性に基づいて、患者に投与する薬の最適な量を決定する制御(以下、「最適投与量決定制御」と呼ぶ)として、次のような制御を実行することができる。
【0022】
即ち、患者の多くは、自身が自覚している疾患症状に対して、効能があるであろう薬を、予め決められた所定の用量に従って服用している。
しかしながら、患者によって最適な薬の投与量は、患者の属性(例えば、身長、体重、性別、年齢)によって異なるものである。
そこで、本実施例のサーバ2は、医療端末3から医療データを収集してビッグデータ化し、患者の属性に基づき薬の投与量を決定し、その投与量で薬を投与した際の当該患者の効果を解析し、その解析結果に基づき、最適な投与量を生成又は更新する。サーバ2は、このような一連の処理を、数多くの患者について繰り返し実行していくことで、患者の属性に応じて最適な薬の投与量を決定することができる。
また、薬は、1つの所定の疾患症状に対する効能だけでなく、その他にも複数の疾患症状に対して効能を有する場合がある。
そこで、本実施例のサーバ2は、薬を投与した患者の属性や生体情報等に基づき、当該患者が自覚している疾患症状とは別の疾患症状に対しても当該薬が効能を有することを解析することもできる。
【0023】
以上説明した最適投与量決定制御を実行すべく、
図1の患者端末1とサーバ2と医療端末3は、
図3に示すような機能的構成を有している。
図3は、患者端末1とサーバ2と医療端末3の機能的構成のうち、最適投与量決定制御を実行するための機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【0024】
図3に示すように、患者端末1は、患者により操作される端末であって、少なくとも患者属性情報を入力する機能を有する端末である。ここで、患者属性情報とは、患者の身長、体重、性別、年齢等の1以上の属性を示す情報をいう。
また、患者端末1は、入力された患者属性情報をサーバ2に送信したり、サーバ2から最適であるとして提示された薬の投与量を患者に提示することもできる。
【0025】
また
図3に示すように、医療端末3は、医療従事者により操作される端末であって、少なくとも所定の集団内で個人を特定するために付された識別子及び健康診断情報を入力する機能を有する端末である。ここで、当該識別子は日本国政府が発行するマイナンバーであって良い。
日本国厚生労働省は、今後各医療機関に対し、診療時にマイナンバーを提示するよう義務付け、各個人の医療情報を収集する可能性がある為、マイナンバー制度の利用は本発明に係るシステムの普及の面において好適である。
同様に日本国財務省は、銀行口座、証券口座、保険加入に対し、マイナンバーを付し、個人の金融情報を収集する可能性がある為、マイナンバー制度の利用は本発明に係るシステムの普及の面において好適である。
また、マイナンバーを背景とすることにより、マイナンバー法の罰則規定が援用される可能性を担保に本発明に係るシステムの普及を図ることができる点において、マイナンバー制度の利用は好適である。
健康診断情報とは、健康診断によって得られた受診者の身長、体重、性別、年齢等の1以上の属性を示す情報をいう。
また、医療端末3は、入力された健康診断情報をサーバ2に送信したり、サーバ2から最適であるとして提示された薬の投与量等の医療指針を医療従事者に提示することもできる。
【0026】
このような患者端末1及び医療端末3と通信を行うサーバ2のCPU11においては、
図3に示す様に、データ収集部40と、投与量提示部41と、投与量学習部42と、別効能発見部43とが機能する。
【0027】
データ収集部40は、所定の集団内で個人を特定するために付された第1識別子に基づいて生成された、当該個人を特定可能な第2識別子と対応付けて、当該個人に関する健康診断データ又は受診データを収集し、記憶部18の一領域である患者属性情報DB81に記憶させる。
投与量提示部41は、患者端末1から入力された患者属性情報に基づき、その患者にとって最適な薬の投与量を患者端末1を介して当該患者に提示する。
投与量学習部42は、投与量提示部41により提示された投与量で薬が投与された患者から、その薬が効いたか否か等の情報を効能解析部44等から取得し、当該情報を用いて学習することで、各種属性と薬の最適な投与量との対応関係を示す対応情報を生成又は更新する。
別効能発見部43は、患者属性情報やその他の情報(例えば患者の血液等の生体情報)に基づき、患者に投与した薬について、患者が自覚している疾患症状とは別の効能を発見する。
効能解析部44は、投与量提示部41により最適と提示された投与量で薬が投与された患者について、その効果を解析し、解析結果を投与量学習部42に提供する。
【0028】
サーバ2の記憶部18の一部の領域には、患者属性情報DB81と、対応情報DB82と、別効能情報DB83とが設けられている。
【0029】
患者属性情報DB81は、健康診断情報又は診察情報を格納する。
また、患者属性情報DB81は、患者属性情報を格納する。ここで、健康診断情報、診察情報及び患者属性情報とは、上述した様に、患者の1以上の属性、例えば、身長、体重、性別、年齢等を特定可能な情報を言う。
対応情報DB82は、疾患症状に対して効能を有する薬の投与量と、1種類以上の患者側の属性との対応関係を示す対応情報を格納する。
別効能情報DB83は、現在効能を有するとして市販等されている疾患症状以外の疾患に対する効能の情報を格納する。
【0030】
以下、投与量提示部41、投与量学習部42、及び別効能発見部43それぞれの機能ブロックを詳細に説明する。
【0031】
投与量提示部41は、患者属性情報取得部61と、対応情報取得部62と、最適投与量演算部63とを含む。
患者属性情報取得部61は、患者端末1から入力された患者の少なくとも1種類以上の属性を取得する。
対応情報取得部62は、対応情報DB82より、患者が自覚している疾患症状に対して効能を有する薬の投与量と、1種類以上の属性との対応関係を示す対応情報を取得する。
最適投与量演算部63は、患者属性情報及び対応情報に基づいて患者が自覚している疾患症状に対して最適な薬の投与量を演算する。
【0032】
投与量学習部42は、患者側の各種属性と薬の最適な投与量との対応関係の学習を、例えば以下のように行う。
即ち、患者属性情報の初期のパラメータとして、X1(体重)とX2(身長)が決められているとする。そして、これらのパラメータX1,X2を入力して、投与量Yを出力する関数f(X1,X2)として、Y=aX1+bX2が設定されているものとする。ここで、a及びbは相互に独立した係数である。
例えば、投与量学習部42は、パラメータX1及びX2を適宜変えて関数f(X1,X2)の出力である投与量Yの実際の効能を入力して学習することで、関数f(X1,X2)の係数a,bが最適になるように更新していくことができる。
また、投与量学習部42は、過去の学習結果から仮定を導き出し、パラメータX2では最適な投与量を導けないと判断した場合には、例えば、パラメータX2の使用をやめて、新たなパラメータX3(性別)を採用し、パラメータX1,X3を入力して、投与量Yを出力する新たな関数f(X1,X3)を設定してもよい。
ここで例えば関数f(X1,X3)の出力Y=aX1+cX3が設定されたものとする。この場合、係数aと係数cが最適なものとなっていない可能性が大いにあり得る。そこで、投与量学習部42は、パラメータX1及びX3を適宜変えて関数f(X1,X3)の出力である投与量Yの実際の効能を入力して学習することで、関数f(X1,X3)の係数a,cが最適になるように更新していくこともできる。
また、投与量学習部42は、3つのパラメータX1乃至X3に増やして、これらのパラメータX1乃至X3を入力して、投与量Yを出力する新たな関数f(X1,X2,X3)を設定してもよい。
ここで例えば関数f(X1,X2,X3)の出力Y=aX1+bX2+cX3が設定されたものとする。この場合、係数a,b,cが最適なものとなっていない可能性が大いにあり得る。そこで、投与量学習部42は、パラメータX1乃至X3を適宜変えて関数f(X1,X2,X3)の出力である投与量Yの実際の効能を入力して学習することで、関数f(X1,X2,X3)の係数a,b,cが最適になるように更新していくこともできる。
【0033】
別効能発見部43は、その他情報取得部71と、別効能解析部72を含む。
その他情報取得部71は、患者属性情報DB81から、患者属性情報以外のその他情報を取得する。
別効能解析部72は、効能解析部44の解析対象となった薬について、効能解析部44の解析対象となった疾患症状以外の疾患症状への効能を、その他情報取得部71により取得されたその他情報に基づき解析する。
ここで、患者属性情報以外のその他情報の具体例を
図4に示す。
【0034】
図4は、患者属性情報以外のその他情報の具体例を表す図である。
図4は、項目、単位、基準範囲、高値、低値の事項より構成されている。
患者属性情報以外のその他情報は、血液生化学検査、血液学的検査、血清学検査、尿検査、腎機能検査、内分泌機能検査、循環機能検査等、様々な検査結果に基づく情報である。
例えば、
図4の示す通り、クレアチニン(Cr)であれば、基準範囲より高いと腎不全、脱水症、心不全、尿路閉塞の疑いがあり、基準範囲より低いと筋ジストロフィー症、甲状腺機能低下症の疑いがある。
また、例えば、
図4の示す通り、尿酸(UA)であれば、基準範囲より高いと痛風、腎不全、心不全、血液疾患の疑いがあり、基準範囲より低いとウィルソン症、妊娠の疑いがある。
さらに、例えば、
図4の示す通り、ピルビン酸であれば、基準範囲より高いとショック、劇症肝炎、心不全の疑いがある。
加えて、例えば、
図4の示す通り、乳酸であれば、基準範囲より高いとショック、尿毒症、心不全の疑いがある。
また、例えば、
図4の示す通り、比重(随時尿)であれば、基準範囲より高いと糖尿病、脱水症、フロネーゼ、急性腎炎、心不全の疑いがあり、基準範囲より低いと高カルシウム血症、骨疾患の疑いがある。
即ち、別効能解析部72は、例えば、患者が心不全の疾患症状を自覚していたとして、心不全の薬を投与し、血液生化学検査をしたところクレアチニン(Cr)の値が高値から基準範囲に下がったとすると、心不全の薬は、腎不全、脱水症、尿路閉塞の疾患に対しても効能があると発見することができる。
また、例えば、患者が痛風の疾患症状を自覚していたとして、痛風の薬を投与し、血液生化学検査をしたところ尿酸(UA)の値が高値から基準範囲に下がったとすると、痛風の薬は、腎不全、心不全、血液疾患の疾患に対しても効能があると発見することができる。
さらに、例えば、患者が尿毒症の疾患症状を自覚していたとして、尿毒症の薬を投与し、血液化学検査をしたところピルビン酸の値が高値から基準範囲に下がったとすると、尿毒症の薬は、ショック、心不全の疾患に対しても効能があると発見することができる。
加えて、例えば、患者が劇症肝炎の疾患症状を自覚していたとして、劇症肝炎の薬を投与し、血液化学検査をしたところ乳酸の値が高値から基準範囲に下がったとすると、劇症肝炎の薬は、ショック、心不全の疾患に対しても効能があると発見することができる。
また、例えば、患者が糖尿病の疾患症状を自覚していたとして、糖尿病の薬を投与し、尿検査をしたところ比重(随時尿)の値が高値から基準範囲に下がったとすると、糖尿病の薬は、脱水症、フロネーゼ、急性腎炎、心不全の疾患に対しても効能があると発見することができる。
【0035】
以上、患者本人が患者端末1を操作してサービスを享受する形態について説明した。
続いて、医療機関を介して患者がサービスを享受する形態について説明する。
図5は、医療機関を介したサービスの概要を表す図である。
本サービスは患者P、病院H及びデータセンターDにより構成されるシステムにおいて提供する。
患者Pは、病院Hを訪問し、医師による診察又は健康診断を受診する。
病院Hは、少なくとも1人以上の医師により、患者Pに医療サービスを提供する。医師は診察又は健康診断についてのデータをデータセンターDに送信する。
データセンターDは、サービス提供者が管理し、病院H及び医師に対して医薬についての投与量、投与回数及び投与時間を決定するサービスを提供する。
【0036】
患者Pに提供する具体的な医療サービスの一例として、培養上清液を点滴・点鼻により投与することが、考えられる。
この様にして、幹細胞を培養する際に生み出される上清中に分泌された液性成分(成長因子、サイトカイン、脂質、核酸など)を体内に投与することにより、内在性幹細胞が活性化され、欠損部位に幹細胞が誘導され治癒する効果がある。
但し、適正量を超える投与をした場合、サイトカイン放出症候群が発生するリスクがある。
対象となり得る疾病として、脳梗塞、皮膚炎、脊髄損傷、肺疾患、肝疾患、糖尿病などが挙げられるが、今後の研究により他の疾病にも拡大されるものと考えられる。
培養上清液の患者投与量を本発明によりビックデータ化し、サイトカイン放出症候群を回避することで安全性を確保し、利用を拡大、促進することができる。
【0037】
図6は、本サービスにより決定する初回投与量の一例を表す図である。
本実施例では、データセンターDは投与量の限界値を所定の演算により求め、所定の安全係数を乗じて、最大投与量を決定する。限界値は、患者の属性から求められる安全投薬最大量である。最大投与量についての安全係数は0以上1未満の数値であって例えば0.8を採用することができる。
同様に、投与時間についても、投与量増加率の限界値を所定の演算により求め、所定の安全係数を乗じて投与量増加率を決定する。投与量増加率についての安全係数は0以上1未満の数値であって、例えば0.5を採用することができる。
【0038】
限界値の演算に用いる患者データとしては、例えば年齢、性別、体重、身長、体温、血圧、脈拍、血液、体内水分量、尿、外傷画像データを用いて良い。
演算は、例えば各症例に応じた臨床検査数値を基準として、治療効果を測定し、投与量の再調整を繰り返すことにより、適正値までの投与回数を減らすことができる。
本発明は、例えば情報提供料として課金するビジネスモデルにより、利用拡大を図ることができる。
【0039】
図7は、複数の医療機関を介する場合の本サービスの概要を表す図である。
図7では
図5における病院Hが、A病院HA、B病院HB及びC病院HCの3病院となっている。
患者Pは、A病院HA、B病院HB及びC病院HCの3病院全ておいて、同一の個人識別情報(例えばマイナンバー)を使用することにより、データセンターDにおいて同一人として取り扱われ、異なる病院に訪問しても、同じデータに基づいて、他の医師による診察や手術等の処置を受けることができる。
入力データは、例えばパーソナルデータ(遺伝子情報含む)、処方箋履歴、病歴、手術歴、家族の病歴、治療中の病気の治療状況、人間ドックのデータ、ウェアラブル端末との連携による日々のデータ収集、家庭用医療機器とのデータ連携、飲食内容、睡眠時間等であって良い。
出力データは、例えば手術時の麻酔量、抗がん剤の投与量、緩和治療における鎮痛剤の投与量、処方薬の量、先制医療・予防医療の提案、混合診療の提案、健康管理・運動プログラムの提案、食事管理・食事制限・推奨メニューの提示、病気予測、推奨病院の選定・予約代行、健康食品・サプリメントの推奨・購入代行等であって良い。
この様にすることにより、診察時に他の病院における治療内容を確認でき、複数の医療機関に通院をしている場合の投薬の節約・飲み合わせの調整可能になり、更には医療過誤を発見・防止することができる。
本発明によれば防止できた具体的事例としては、例えば2016年に東京慈恵会医科大学付属病院で発生した、肺がん疑い放置事故が挙げられる。
即ち、放射線科の医師が画像報告書に「原発性肺がんは鑑別となり、短期間でのフォローが望まれます」と付記していたが、当時の担当医やその後の外来を担当した主治医が、報告書を確認しないまま肺がんの疑いを1年にわたり放置し、手術や抗がん剤治療ができない状態にまでがんを進行させた事例である。
これは、1人の患者Pについての医療データを複数の医療関係者が閲覧できれば回避することができた可能性がある一事例である。
本発明は、例えば患者PがデータセンターDに契約により加入し、診察終了時に患者Pが病院にデータセンターDにデータを送る旨指示し、送信手数料として、データセンターDから病院に支払いがなされ、カルテ閲覧時・投薬指示時に情報提供料として患者Pに課金する及び各種代行業務による口銭収入を得るビジネスモデルにより、利用拡大を図ることができる。
【0040】
図8は、従来の患者の体調の時系列推移を表す図である。
縦軸は患者の体調であり、高い位置程患者が健康体であることを示している。
本発明では、患者の健康状態が良好である時期から、各種臨床検査数値を基礎数値として収集して良い。
この様にすることにより、発症時及び投与開始後の各種臨床検査数値を当該基礎数値と比較し、治癒率を考えることができることとなる。
【0041】
本発明では、出生時からの基礎数値データ分析により個人差を考慮して良い。
この様にすることにより、例えば、平熱体温が36度の人と37度の人では、発症時体温が同じ38度であっても症状は異なることを考慮することができる。
【0042】
本発明では、数回に渡り繰り返し投与する場合と一回限りの投与の場合とでは、参照するパラメータの重み付けを変更して良い。
この様にすることにより、例えば、連続投与する場合は、回数を重ねる程パーソナルデータが優位とし、一回限りの投与の場合及び連続投与での初回投与の場合は、ビックデータを優位とする事ができる。
【0043】
本発明は、例えば培養上清液の投与で糖尿病を治療するケースに適用して良い。
当該ケースでは、培養上清液の過剰投与によるサイトカインストームの発生が問題となる。
このケースにおいて本発明では、初期投与においてはビックデータを基に投与量を決定して良い。
同じく本発明では、2回目以降の投与においては、患者の各種臨床検査数値(例えば尿検査における尿PH、尿糖、尿ケトン体、血液化学検査における血糖値、ヘモグロビンの値)により投与量を増加又は減少させて良い。
【0044】
図9は、本システム利用有無の夫々の場合についての患者の体調の時系列推移を比較した図である。
縦軸は患者の体調であり、高い位置程患者が健康体であることを示している。
本発明によれば、以下の効果が期待できる。
即ち本発明によれば、第一に薬剤の適正投与による治療効果の向上が期待できる。
本発明によれば、症例に基づく治療薬の一律的な投与ではなく、各個人の状況に応じた投与量とすることとなるので、より効果的な治療を行うことが可能となるからである。
この結果として
図9に示す通り、患者の体調の回復速度をより高くすることができるからである。
【0045】
上記効果以外にも付随して、以下の図示せぬ効果を本発明は有する。
本発明によれば、第二に薬剤の不適正投与を防止することができる。
本発明によれば防止できた具体的事例としては、例えば2016年2月に東京女子医科大学病院で発生した、プロポフォール投与事故が挙げられる。
即ち、小児集中治療における人工呼吸中の鎮静用には禁忌のプロポフォールを、遺族の承諾がないまま大量投与したことなどにより2歳10カ月の男児が死亡した事例である。
これは、投与量がビックデータ化されていれば回避することができた一事例である。
【0046】
本発明によれば、第三に残薬の管理・抑制及び売薬の防止をすることができる。
即ち本発明に係るシステムが過剰処方と判断した場合は、処方を停止する
【0047】
本発明によれば、第四に先制医療の普及を促進することができる。
本発明によれば、体重・体温・その他臨床検査数値を発症後の診察時のみの値で判断するのではなく、過去からの推移を把握することにより、発症経緯・病変を察知し、早期の治療に着手することができるからである。
【0048】
本発明によれば、第五に診療費決済の簡素化することができる。
本発明によれば、医療費の支払いを全て患者の口座決済とすることにより、病院の窓口業務が簡素化し、病院の混雑緩和に寄与するからである。
【0049】
本発明によれば、第六に架空請求の防止することができる。
本発明によれば、診療情報と決済情報とが関連付けられることにより、病院側の不正操作による保険診療報酬の架空請求を防止することができるからである。
【0050】
本発明によれば、第七に医療情報の共有化による相互監視機能が発揮されることが期待できる。
本発明によれば、他の医療機関の診断内容を他の医師及びAI(Artificial Intelligence:人工知能)が確認できることにより、セカンド・オピニンオンの選定効果と誤診又は医療過誤の発見に寄与するからである。
【0051】
図10は、サービスの別の形態の一例を表す図である。
マイナンバーを自己の健康と財産の管理の為に以下の如く活用する。
第一の活用例として、診療時のマイナンバー活用について説明する。
個人Cは、患者として診療時に自己のマイナンバーを病院Hに提示する。
病院Hは、診察内容を個人Cのマイナンバーに関連付けてデータセンターDに送信する。
個人Cは、病院Hに支払う診療報酬について、指紋認証の上、マイナンバーに基づく個人金融IDを用いて銀行Bに送金指示をする。
病院Hの診察内容は、データセンターDで個人Cのマイナンバーにより管理され、AIにより分析され、今後の治療方針、病状の予測をし、処方薬の判断をする。
【0052】
以下、糖尿病患者である個人Cが病院Hにおいて培養上清液の投与を受ける場合を例として、流れを具体的に説明する。
先ず、個人Cは、病院Hの窓口において自己のIDカード提示し、マイナンバーの読み取りをさせる。
診察段階に進み、病院Hの医師は、データセンターDから個人Cのパーソナルデータ呼び出し、既往歴・直近の摘要薬を医療端末に表示させる。
次に、病院Hの医師は医療端末を操作して、画面上に表示される操作子を「本日の投与薬」、「培養上清液」の順にクリックする。
すると、健康時・発症時・投与後の臨床検査数値が比較され、投与量が算出される。
算出される投与量は、数値比較の結果により増減する。
また、病院Hの医師は医療端末を操作して、データセンターDに、随時、データを送信すれば、他の病院の診療内容・処方箋を認識することができ、これにより、飲み合わせ及び重複服用の管理を実施することができる。
その上で、病院Hの医師は個人Cに、培養上清液を投与することができる。
精算段階に進み、病院Hは個人Cに、診療明細の提示を行う。
これには、データセンターDによるデータ提供料の課金も含まれる。
個人Cは病院Hの窓口において指紋認証を行い、銀行Bの個人C口座から病院Hに医療費が送金される。その際、病院Hは窓口において個人CのIDカードを再度提示させても良い。
【0053】
第二の活用例として、自己健康管理時のマイナンバー活用について説明する。
食事を撮影した画像データを、個人Cのマイナンバーに関連付けて、データセンターDに送信する。
データセンターDでは、カロリー計算等を実施し、個人Cのマイナンバーと関連付けて各種データ管理する。
個人Cのマイナンバーと関連付けて蓄積された各種データをAIが分析し、個人Cに推奨メニュー・制限メニューを定期配信する。
【0054】
第三の活用例として、店舗での支払時のマイナンバー活用について説明する。
店舗Sでの買い物時に、個人Cは自己のマイナンバーに基づく個人金融IDを提示し、指紋認証をする。
マイナンバーに基づく個人金融IDに基づき買物内容をAIが判断し、銀行Bに送金指示を行う。
AIによる判断内容は、趣味・嗜好・場所・価額等により本人認識を行う。
【0055】
第四の活用例として、金融機関等でのマイナンバー活用について説明する。
保有している銀行B・証券E・保険会社Iの残高を個人Cのマイナンバーに基づく個人金融IDと関連付けてデータセンターDに送信する。
年末時点の残高データで、その年分の確定申告データを作成し、個人Cに配信する。
AIによりポートフォリオ分析をする。
マイナンバーに基づく個人金融IDに基づいてAIにより個人Cの健康状況を分析し、適正保険を選定し、配信する。
マイナンバーに基づく個人金融IDに基づいて相続税の試算をする。
【0056】
第五の活用例として、市販薬購入時における適性判断及び用法・用量の決定並びに代金決済でのマイナンバー活用について説明する。
店舗Sは、市販薬のパッケージに成分の内容等をバーコード表示する。
店舗Sに来店した個人Cは、バーコードをスマートフォンで読み取りデータセンターDに送信する。
データセンターDは、個人CのパーソナルデータをAIで解析し、適性・用法・用量を返信する。
個人Cは、代金決済時にマイナンバーと指紋認証で、データセンターDから指定口座に支払指示を出し、店舗Sに代金を送金する。
データセンターDは、購入履歴をデータ保存する。
個人Cは、その後の投与量を送信する。
データセンターDは、重複購入、過去の類似薬・残薬を管理し、個人Cに警告する。
データセンターDは、年次集計により、医療費控除の適用データを個人Cに出力する。
データセンターDは、自己のAIにより、適切な診療・検診場所を個人Cに提示する。
データセンターDは、自己のAIにより、適切な食事メニュー・休暇プランを、個人Cに推奨する。
その際、食事メニューからレストラン予約サイトに連携させて提示して良い。
また、休暇プランから旅行予約サイトに連携させて提示して良い。
データセンターDは、自己のAIにより個人Cの余命を算定し、適正な生命保険を選定して提示する。
データセンターDは、自己のAIにより個人Cの推定相続税を算定し、財産の適正なポートフォリオを選定して提示する。
【0057】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0058】
例えば、
図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図3の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図3に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバ2の機能ブロックを患者端末1等に移譲させてもよい。逆に
図3には図示せぬ端末1の機能ブロックをサーバ2等に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0059】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0060】
このようなプログラムを含む記録媒体は、プログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で提供される記録媒体等で構成される。
【0061】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0062】
換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
所定の集団(日本国国民の集合)内で個人を特定するために付された第1識別子(例えばマイナンバー)に基づいて生成された、当該個人を特定可能な第2識別子と対応付けて、当該個人に関する健康診断データ又は受診データを収集するデータ収集手段(例えば、
図3のデータ収集部40)
を備える。
【0063】
また、本発明が適用される情報処理装置は、
前記情報処理装置が収集する前記個人の健康診断データ又は受診データに基づいて、前記個人に対して医療指針を提示する情報処理装置であって、
前記個人である患者の少なくとも1種類以上の属性の情報を取得する患者属性情報取得手段(例えば、
図3の患者属性情報取得部61)と、
所定の疾患症状に対して効能を有する医療指針と、1種類以上の属性との対応関係を示す対応情報が格納されている対応情報データベース(例えば、
図3の対応情報DB82)と、
前記患者が自覚している疾患症状に関する前記対応情報を前記対応情報データベースから取得する対応情報取得手段(例えば、
図3の対応情報取得部62)と、
前記患者属性情報取得手段により取得された前記患者属性情報と、前記対応情報取得手段により取得された前記対応情報に基づいて、前記患者が自覚している疾患症状の前記患者に対する医療指針を演算する最適医療指針演算手段(例えば、
図3の最適投与量演算部)と、
前記最適医療指針演算手段により演算された前記医療指針が前記患者に適用された場合における、当該医療指針の当該患者に対する効能を解析する効能解析手段(例えば、
図3の効能解析部44)と、
前記効能解析手段の解析結果に基づいて、当該医療指針の前記対応情報であって、属性の種類を含む対応情報を更新する対応情報更新手段(例えば、
図3の投与量学習部42)と、
を備える。
また、本発明が適用される情報処理装置は、
患者の少なくとも1種類以上の属性の情報を取得する患者属性情報取得手段(例えば、
図3の患者属性情報取得部61)と、
前記患者属性情報を格納する患者属性情報データベース(例えば、
図3の患者属性情報DB81)と、
前記患者が自覚している疾患症状に対して効能を有する薬の投与量と、1種類以上の属性との対応関係を示す対応情報が格納されている対応情報データベース(例えば、
図3の対応情報DB82)と、
前記対応情報を取得する対応情報取得手段(例えば、
図3の対応情報取得部62)と、
取得した前記患者属性情報及び前記対応情報に基づいて前記患者が自覚している疾患症状に対して最適な薬の投与量を演算する最適投与量演算手段(例えば、
図3の最適投与量演算部63)と、
演算した最適な薬の投与量の効能を解析する効能解析手段(例えば、
図3の効能解析部44)と、
解析結果に基づいて、属性の種類を含む対応情報を更新する対応情報更新手段(例えば、
図3の投与量学習部42)と、
解析した前記効能とは別の前記患者の自覚している疾患症状以外の疾患への効能を前記患者属性情報以外のその他情報に基づき解析する別効能解析手段(例えば、
図3の別効能解析部72)と、
前記別効能の情報を格納する別効能情報データベース(例えば、
図3の別効能情報DB83)と、
前記患者属性情報以外のその他情報を取得するその他情報取得手段(例えば、
図3のその他情報取得部71)と、
を備える。
ここで、患者とは、上述の実施形態で説明したように人間を含むことは当然ながら、それ以外の薬の投与対象、例えば動物や植物も含む広義な概念である。
また、データ収集手段(例えば、
図3のデータ収集部40)を備える情報処理装置及び最適医療指針演算手段(例えば、
図3の最適投与量演算部)を備える情報処理装置は、1台の情報処理装置が兼ねて良い。
【0064】
このようにして、プライバシーに配慮しつつ医療ビッグデータを構築すること、薬の投与量と患者の属性情報に対応したより適切な薬の投与量を導き出すこと及び薬の1つの疾患症状に対しての効能だけでなく他の疾患症状に対しての効能を発見することの手法が確立される。
即ち、所定の集団内で個人を特定するために付された第1識別子に基づいて生成された、当該個人を特定可能な第2識別子と対応付けて、当該個人に関する健康診断データ又は受診データを収集し、これを用いて患者の属性に基づき薬の投与量を決定し、その投与した薬の効能を解析し、その解析結果に基づき、最適な投与量を更新していくことにより、患者の属性に対応する情報に基づいた最適な薬の投与量を決定することができる。
また、患者の属性の情報以外のその他情報に基づき、患者の自覚している疾患症状とは別の疾患症状に対しても効能を有する薬の解析をすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・患者端末、2・・・サーバ、3・・・医療端末、11・・・CPU、18・・・記憶部、40・・・データ収集部、41・・・投与量提示部、42・・・投与量学習部、43・・・別効能発見部、44・・・効能解析部、71・・・その他情報取得部、72・・・別効能解析部、81・・・患者属性情報DB、82・・・対応情報DB、83・・・別効能情報DB