(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】耕耘爪の製造方法
(51)【国際特許分類】
A01B 33/10 20060101AFI20220225BHJP
C23C 26/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
A01B33/10 A
C23C26/00 E
(21)【出願番号】P 2017126948
(22)【出願日】2017-06-29
【審査請求日】2020-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健志
(72)【発明者】
【氏名】海田 健児
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 拓斗
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-235162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0014458(US,A1)
【文献】国際公開第2008/090662(WO,A1)
【文献】特開平11-229103(JP,A)
【文献】登録実用新案第3117466(JP,U)
【文献】実開昭59-191103(JP,U)
【文献】特開昭62-013578(JP,A)
【文献】特開2010-229463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00-33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業用の耕耘爪に対して、
レーザークラッディング法以外の方法により、第1合金材料を用いて前記耕耘爪の母材よりも硬度の高い第1コーティング層を形成し、
前記第1コーティング層の表面に、レーザークラッディング法により、前記第1合金材料とは異なる第2合金材料を用いて前記耕耘爪の母材よりも硬度の高い第2コーティング層を形成することを特徴とする、耕耘爪の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耕耘爪の製造方法に関する。特に、耐摩耗性を有する合金層で刃縁部をコーティングした耕耘爪の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業用のロータリー作業機などに装備する耕耘爪の耐摩耗性を向上させるため、耕耘爪の刃縁部に耐摩耗性コーティング層を形成する技術が知られている。耐摩耗性コーティング層としては、一般的に、耕耘爪の母材よりも硬度の高いクロム炭化物を含む合金層が用いられる。このような耐摩耗性コーティング層を設けることにより、耕耘爪の耐久性を向上させることができる。
【0003】
耕耘爪に耐摩耗性コーティング層を形成する方法としては、高周波溶着、肉盛溶接、肉盛溶射等の技術が知られている。特に、近年、熱集中性の良いプラズマアークを熱源として用い、プラズマアーク中に合金粉末を供給することにより所望の合金層を形成するPPW(プラズマパウダウェルディング)法が注目されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-235162号公報
【文献】実用新案登録第3117466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、PPW法の熱源として用いられるプラズマアークは、10,000℃を超える熱量をもち、しかも母材と電極間にアークが発生する移行型アークであるため、母材自体が溶融して発熱する。つまり、母材への入熱が大きく、母材への溶け込みが大きい(母材の希釈率が高い)。したがって、耕耘爪に対してPPW法を用いて耐摩耗性コーティング層を形成した場合、強度や靭性が低下するという問題があった。また、この場合、熱歪みが大きくなり、耕耘爪が変形したりコーティング層の密着性が低下したりする問題があった。
【0006】
本発明は、耕耘爪に対して耐摩耗性コーティング層を形成する際に、母材への負担を軽減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による耕耘爪の製造方法は、農作業用の耕耘爪に対して、レーザークラッディング法を用いて前記耕耘爪の母材よりも硬度の高いコーティング層を形成することを特徴とする。
【0008】
前記コーティング層は、前記耕耘爪の第1面の側の刃縁部及び該第1面とは反対側の第2面の側の刃縁部に形成されていてもよい。このとき、前記第1面の側の刃縁部及び前記第2面の側の刃縁部には、同一材料で構成される前記コーティング層が形成されていてもよい。
【0009】
前記コーティング層は、クロム炭化物又はニオブ炭化物を含む合金層であってもよい。
【0010】
前記コーティング層を積層構造としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、耕耘爪に対して耐摩耗性コーティング層を形成する際に、母材への負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る耕耘爪の構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る耕耘爪の構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る耕耘爪の製造方法を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る耕耘爪の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の耕耘爪の実施形態について説明する。但し、本発明の耕耘爪は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
本発明は、農作業用の耕耘爪に限らず、農作業機を構成する部品のうち耐摩耗性を要求される部品全般に適用することができる。
【0015】
〈第1実施形態〉
[耕耘爪の構成]
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係る耕耘爪10の構成を示す図である。具体的には、
図1は、耕耘爪10を第1面の側から見た図を示し、
図2は、耕耘爪10を第1面の反対側の第2面の側から見た図を示している。なお、本実施形態に示す耕耘爪の形状は一例に過ぎず、この形状に限定されるものではない。
【0016】
図1において、耕耘爪10は、図面に向かって右から順に、取付基部12、縦刃部14、及び横刃部16を有する。本実施形態では、横刃部16は、図面の手前に向かって緩やかに湾曲した形状となっている。また、取付基部12には、取付孔18a及び18bが長手方向に2箇所設けられている。耕耘爪10は、これらの取付孔18a及び18bにボルト等の締結部材を挿入して、図示しない作業ロータの耕耘爪軸に装着される。
【0017】
縦刃部14及び横刃部16は、曲線形状である刃縁部20と、刃縁部20に対して略等間隔を維持しながら延びる峰縁部22とを有する。横刃部16は、刃縁部20と峰縁部22を曲線状に滑らかに結ぶ頭縁部24を有している。耕耘爪10は、前述のように、爪先に向けて略一定の曲率半径で一側方に弯曲する。これにより、湾曲した内側の面はすくい面を形成しており、このすくい面によって、土を耕耘・放擲するとともに土寄せも行うことが可能となっている。
【0018】
刃縁部20は、縦刃部14から横刃部16に亘って略一定の刃幅を有して形成されている。刃縁部20に設ける刃は、第1面の側のみに設けた片刃としても良いし、第1面の側及び第2面の側の両方に設けた両刃としても良い。両刃とする場合、刃の角度を等しくしてもよいし、異なるものとしてもよい。
【0019】
このとき、耕耘作業時においては、耕耘爪10が図中矢印Aの方向に向けて正回転することで、縦刃部14側の刃縁部20から横刃部16側の刃縁部20にかけて、順に土面へ切り込みが行われる。この耕耘作業が頻繁に行われることにより、耕耘爪10の刃縁部20は、土面との摩擦により大きな負担を受ける。
【0020】
そこで、本実施形態の耕耘爪10には、縦刃部14から横刃部16にかけて第1コーティング層30a及び第2コーティング層30bが設けられている。これらの第1コーティング層30a及び第2コーティング層30bは、耐摩耗性を有する層であり、例えば合金材料で構成される層で構成される。
【0021】
本実施形態において、第1コーティング層30aは、
図1に示す耕耘爪10の第1面の側に設けられ、第2コーティング層30bは、
図2に示す耕耘爪10の第2面の側に設けられている。また、第1コーティング層30aと第2コーティング層30bとは、互いに対向する位置に設けられていてもよいし、互いに対向する位置に設けられていなくてもよい。耕耘作業を続けていくと、耕耘爪10の第1面の側の摩耗の仕方と耕耘爪10の第2面の側の摩耗の仕方とは、図示しない作業ロータの耕耘爪軸に対する装着位置、土質等様々な条件によって異なってくる場合がある。そういった場合、種々の条件に応じた所望の位置(耐摩耗性を必要とする位置)に第1コーティング層30a及び第2コーティング層30bを設けることができる。なお、本実施形態では、耕耘爪10の第1面の側及び第2面の側の両方にコーティング層を設ける例を示したが、片方の面だけであってもよい。
【0022】
第1コーティング層30a及び第2コーティング層30bとしては、耕耘爪10の母材(例えば、SUP6などのバネ鋼)よりも硬度の高い合金層、例えばクロム炭化物又はニオブ炭化物等を含む合金層や自溶性合金層(例えばコルモノイ合金を含む合金層)を用いることができる。勿論、ここで例示した合金層は一例に過ぎず、耕耘爪10の母材よりも硬度の高い合金層であれば如何なるものを用いてもよい。なお、硬度は、母材と合金層との相対的な硬さの指標であればよく、例えば、ロックウェル硬さ、ビッカース硬さ、ブリネル硬さ等を用いることができる。
【0023】
また、第1コーティング層30a及び第2コーティング層30bは、同一材料で構成してもよいし、異なる材料で構成してもよい。本実施形態では、第1コーティング層30a及び第2コーティング層30bを形成するに当たり、レーザークラッディング法を用いる。レーザークラッディング法は、ワークへの母材の入熱が少ないため、第1面の側に第1コーティング層30aを形成した後に第2面の側に第2コーティング層30bを形成する際、第1コーティング層30aへの熱的影響を抑えることができる。そのため、耕耘爪のように厚さの薄いワークであっても、表面側と裏面側の両方に同一材料で構成される合金層を形成することが可能である。
【0024】
レーザークラッディング法とは、微細な合金粉末をレーザー光の照射領域に吹き付け、レーザー光のエネルギーを利用してワーク(処理対象)の母材と合金粉末を溶解し、ワークの表面に合金層を形成する技術である。ワーク表面への合金層の形成を「肉盛り」と称することもあるため、ワーク表面に形成された合金層を「肉盛り層」と呼ぶ場合もある。
【0025】
なお、通常、硬度の高い肉盛り層を形成するにあたっては、ニッケル系やコバルト系の基合金にクロム炭化物やニオブ炭化物などを含有させる。したがって、肉盛り層としては、通常は合金層が利用される。本実施形態においても、肉盛り層として合金層を形成する場合を例示して説明するが、肉盛り層として単一の金属元素からなる純金属層を用いることを排除するものではない。
【0026】
レーザークラッディング法は、レーザー光のエネルギーを利用するため、ワークの表面付近にしか熱的影響が及ばない(つまり、母材への入熱が少ない)という利点を有する。つまり、ワークに発生する熱歪みや熱影響部を低減することができるという利点を有する。また、レーザークラッディング法は、肉盛りの厚さの制御が容易であり、肉盛り層の表面も滑らかであるという利点がある。
【0027】
[耕耘爪の製造方法]
ここで、レーザークラッディング法を用いてワークである耕耘爪に合金層を形成する様子について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る耕耘爪の製造方法を示す図である。
【0028】
図3において、ワーク41は、耕耘爪である。本実施形態では、ワーク41として、母材がSUP6などのバネ鋼である耕耘爪を用いる。ワーク41は、作業台としての2軸ポジショナー(図示せず)の上に載置され、水平面内で自由に移動可能である。また、レーザークラッディング法は、ワーク41の形状に依らず合金層を形成することができる。そのため、2軸ポジショナーは、その作業台上に様々な形状のワーク41を固定可能な治具を備えている。
【0029】
ワーク41の表面には、肉盛り層42が形成される。本実施形態では、肉盛り層42の原材料としてクロム炭化物を含む合金粉末を用いるため、肉盛り層42としてはクロム炭化物を含む合金層が形成される。なお、ここでいう肉盛り層42が、
図1及び
図2に示した第1コーティング層30a及び第2コーティング層30bに相当する。
【0030】
レーザー装置50は、筐体52の内部にレーザー光路54と、材料供給路56a、56bとを有する。レーザー光路54は、その内側に光学レンズ58を備え、レーザー光60をワーク41の表面へと誘導する経路である。レーザー光60としては、例えば、HPDDL(高出力ダイレクトダイオードレーザー)、Nd:YAGレーザー、CO2レーザーなどを用いることができる。また、レーザー光60の断面形状は、光学レンズ58によって円形状にすることもできるし、矩形状(例えば線状)にすることもできる。
【0031】
なお、レーザー光路54の内側は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスで構成されるシールドガス62で充填されている。このシールドガス62は、レーザー光60の出射口からワーク41の表面に吹き付けられ、被処理部43を不活性雰囲気とすることにより外気から保護する役割を有する。これにより、肉盛り層42に不純物として不要な酸化物が混入されることを防ぐことができる。
【0032】
材料供給路56a及び56bは、内部がノズル状になっており、肉盛り層42の原材料としての合金粉末64をワーク41の表面へと噴射可能になっている。レーザークラッディング法の場合、レーザー光60のエネルギーで瞬間的に合金粉末64を溶融することができる。そのため、原材料として使用可能な合金粉末64の選択の幅が広がり、従来よりも硬度の高い肉盛り層42を形成することができる。
【0033】
以上説明したレーザー装置50を用いてワーク41の表面に対してレーザー光60を照射しつつ合金粉末64を供給すると、ワーク41の被処理部43には、溶融層(メルティングプール)42aが形成される。そして、レーザー装置50を3次元的に移動させることにより、ワーク41の表面に沿って溶融層42aを移動させ、ワーク41の表面の所望の位置に肉盛り層42を形成することができる。
【0034】
また、溶融層42aの形成は瞬間的に行われ、ただちに冷却されて肉盛り層42を形成するため、ワーク41の母材に対する入熱が少なく、さらに母材への合金の溶け込みも少ない。したがって、レーザークラッディング法を耕耘爪の肉盛りに適用した場合においても、母材が熱歪みや熱的影響を受けることなく、耕耘爪の強度や靭性の低下を抑えることができる。
【0035】
さらに、レーザー光60による瞬間的な高温加熱によりワーク41の母材と合金粉末64とが強固に結合するため、薄い膜厚であっても密着性の高い肉盛り層42を形成することができる。つまり、従来よりも少ない肉盛り量で従来と同等の密着性を確保できるため、製造コストの低減が可能である。
【0036】
また、一般的に、焼入れ処理が施されている鋼に対して熱が付加されると焼き戻し現象により鋼が軟化する。したがって、従来のPPW法のようにワークに対する熱影響がある方法により肉盛りを行った場合、焼き戻し現象によりワークの軟化も無視できなくなる。
【0037】
これに対し、レーザークラッディング法を用いた場合、ワークに対して局所的に高温部分が形成されるため、その周囲のワーク自体が冷却媒体として機能する。つまり、ワーク41において、レーザー光60が照射された領域(溶融層42aの直下の領域)は、瞬間的に高温になり、すぐに急冷される。したがって、ワーク41のうち急冷された領域は、焼入れ処理が施された場合と同様に、母材が硬化する。そのため、従来のPPW法のように、熱影響により母材が軟化するといった問題を回避することができる。
【0038】
以上のように、本実施形態では、耕耘爪に対して耐摩耗性コーティング層を形成する際の肉盛り作業にレーザークラッディング法を用いる。これにより、耕耘爪の母材に対する負担(特に、熱的負担)を軽減することができ、耐摩耗性が高く、信頼性の高い耕耘爪を製造することが可能となる。
【0039】
なお、
図3に示したレーザー装置50は非常にコンパクトなものであるため、複数の可動軸を有する多関節ロボットのアーム部の先端に取り付けることにより、三次元空間を自由に移動させることが可能である。特に、本実施形態のように、湾曲面を有する耕耘爪に肉盛り作業を行うにあたり、耕耘爪の表面に沿って細やかにレーザー装置50の位置を制御することができるという特長は、加工精度の向上という観点からも有利である。
【0040】
〈第2実施形態〉
第1実施形態では、ワーク41の表面に肉盛り層42を一層だけ形成する例を示した。しかしながら、レーザークラッディング法は、ワーク41の母材への入熱が少ないという利点を有するため、肉盛り層を積層するに当たり有利な手法と言える。本実施形態では、ワーク41に対して肉盛り層を積層した例について説明する。
【0041】
図4は、本発明の一実施形態に係る耕耘爪の製造方法を示す図である。ただし、
図4において、
図3と同様の構成については、
図3と同じ符号を用いることにより詳細な説明を省略する。
【0042】
図4において、レーザー装置50の構成は、
図3を用いて説明したレーザー装置50と同様である。本実施形態では、ワーク41の表面に第1実施形態と同様のプロセスで第1肉盛り層45を形成し、その後、さらに第1肉盛り層45の表面に第2肉盛り層46を形成する。第2肉盛り層46の溶融層46aは、第1肉盛り層45の表面に形成される。
【0043】
このとき、第1肉盛り層45を構成する合金材料と第2肉盛り層46を構成する合金材料を同じものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。本実施形態では、合金粉末66として、第1肉盛り層45を形成する際に使用した合金粉末とは異なる合金粉末を用いるため、第1肉盛り層45と第2肉盛り層46とが異なる合金層で構成される。
【0044】
なお、耐摩耗性を向上させるために、肉盛り層を相当程度まで厚くしたいような場合には、第1肉盛り層45と第2肉盛り層46とを同一の合金材料で形成し、単に、肉盛り層の膜厚を厚くすることも可能である。
【0045】
また、本実施形態では、第1肉盛り層45及び第2肉盛り層46を積層することにより二層構造とする例を示したが、さらに三層、四層といった具合に積層して、より多くの多層構造とすることも可能である。この場合も、それぞれ同一の合金材料で構成してもよいし、異なる合金材料で構成してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、第1肉盛り層45をレーザークラッディング法により形成する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、第1肉盛り層45をPPW法、溶射法等の他の方法で形成し、その後、第2肉盛り層46をレーザークラッディング法により形成してもよい。
【0047】
〈第3実施形態〉
第2実施形態では、ワーク41の表面に第1肉盛り層45を形成した後、第1肉盛り層45の表面に、レーザークラッディング法により第2肉盛り層46を形成する例を示したが、この順序を逆にすることも可能である。すなわち、レーザークラッディング法により第1肉盛り層45を形成した後、溶射法等の他の方法で第2肉盛り層46を形成することも可能である。
【0048】
例えば、溶射法は、溶射材料の自由度が高く、ワークへの熱影響が少ないというメリットがあるものの、形成された肉盛り層の緻密性が低かったり母材との密着性が低かったりというデメリットがある。
【0049】
そこで、本実施形態では、まずレーザークラッディング法により母材に対して密着性の良い第1肉盛り層45を形成し、その上に、溶射法のメリットを活かして第2肉盛り層46を形成する。これにより、レーザークラッディング法と溶射法の利点を有効利用することが可能である。
【0050】
〈第4実施形態〉
第1実施形態において、ワーク41に対してレーザークラッディング法を用いた肉盛り作業を行うに当たり、ワーク41を冷却しつつレーザー光60を照射することも可能である。この場合、レーザー光60の照射による僅かな入熱の影響をさらに低減することが可能である。
【0051】
ワーク41を冷却する手段としては、例えば、ワーク41の処理面(レーザー光60の照射面)とは反対側の面に冷却媒体を接触させておくことができる。冷却媒体としては、冷却水を循環させた金属体(例えばヒートパイプなど)を用いてもよい。
【0052】
また、ワーク41を冷却する手段として、シールドガス62を冷却することも可能である。この場合、シールドガス62の供給源を冷却しておいてもよいし、レーザー装置50の筐体52の内部に冷却水を循環させてもよい。
【0053】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
10…耕耘爪、12…取付基部、14…縦刃部、16…横刃部、18a、18b…取付孔、20…刃縁部、22…峰縁部、24…頭縁部、30a…第1コーティング層、30b…第2コーティング層、41…ワーク、42…肉盛り層、42a…溶融層、43…被処理部、45…第1肉盛り層、46…第2肉盛り層、46a…溶融層、50…レーザー装置、52…筐体、54…レーザー光路、56a、56b…材料供給路、58…光学レンズ、60…レーザー光、62…シールドガス、64、66…合金粉末