(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】壁内蔵給水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
E03C1/042 E
(21)【出願番号】P 2018014803
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】坂本 武司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真一
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-001068(JP,A)
【文献】特開2004-153902(JP,A)
【文献】特開2004-088822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開放され、側壁部を有し、建物の壁内部に設置される角材に、前記側壁部を先端が尖っていて該角材に挿すことで固定する固定部材により固定すべく該固定部材を挿通するための孔が該側壁部に形成されたボックス部と、該ボックス部の内部に固定され、給水配管に接続されて通水状態及び止水状態を切り替え可能な給水栓本体とを備えた壁内蔵給水栓であって、
前記側壁部は、前記孔を閉塞する閉塞部を備え、
該閉塞部は、前記側壁部の他の部分と一体成形されており、前記固定部材を挿すことが可能で、かつ、挿した該固定部材を保持可能に構成さ
れ、
前記角材に前記ボックス部を当て付けた状態において、前記側壁部の外面と前記角材との間に隙間が形成され、前記固定部材を前記閉塞部に挿したときに、前記隙間に前記固定部材の先端部が入り込み、該先端部が前記閉塞部に保持された状態になることを特徴とする壁内蔵給水栓。
【請求項2】
前記閉塞部は、前記側壁部の他の部分の厚みよりも薄く形成されると共に前記孔における前記側壁部の外面側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の壁内蔵給水栓。
【請求項3】
前記側壁部における前記孔が形成された部分の外面を、前方から後方に向かうほど内側に位置する傾斜面に形成することで、前記側壁部の外面と前記角材との間に隙間が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁内蔵給水栓。
【請求項4】
前記側壁部の外面のうちの前記傾斜面の前後方向両側のそれぞれに、前記角材に当接する縦方向に延びる縦リブが形成され、前記傾斜面が前後方向両側の前記縦リブの左右方向の端面よりも内側に位置していることを特徴とする請求項3に記載の壁内蔵給水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の壁に少なくとも一部が埋め込まれて用いられる壁内蔵給水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる壁内蔵給水栓は、建物等の壁に埋め込まれて洗濯機などに給水するために用いられる。この壁内蔵給水栓は、建物の壁内部に設置される角材に固定されるボックス部と、該ボックス部に固定され、給水配管に接続されて通水状態及び止水状態を切り替え可能な給水栓本体とを備え、前記ボックス部を構成する上側の壁部及び左右の壁部に、該ボックス部を角材に固定するためのビスを挿通可能な孔が形成されている。
【0003】
そして、壁内蔵給水栓を建物の壁に埋め込んで施工する場合には、まず、ボックス部を左右方向に延びる横角材と上下方向に延びる縦角材とが交差する部分に、ボックス部の上側の壁部と左側の壁部又は右側の壁部とを当て付けた状態でボックス部を一方の手で保持する。この状態で、他方の手で上側の壁部に形成されている孔を通してビスを横角材に工具を用いてねじ込んで上側の壁部を横角材に固定する。続いて、左側の壁部又は右側の壁部に形成されている孔を通してビスを縦角材に工具を用いてねじ込んで左側の壁部又は右側の壁部を縦角材に固定して、ボックス部の固定が完了する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成によれば、ビスをボックス部の壁部の孔に挿通して角材にねじ込んでボックス部の固定を行う際に、先端にビスを保持した工具をボックス部内の狭い空間内に突っ込みながら固定作業を行わなければならないため、角材に工具に保持したビスをねじ込む時にビスの先端が所定位置から逃げてしまい、ビスが工具から外れて落ちてしまうことがあり、ボックス部の固定作業が煩わしく、改善の余地があった。
【0006】
本発明は前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、ボックス部の角材への固定作業が簡便で施工性のよい壁内蔵給水栓を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の壁内蔵給水栓は、前述の課題解決のために、前方が開放され、側壁部を有し、建物の壁内部に設置される角材に、前記側壁部を先端が尖っていて該角材に挿すことで固定する固定部材により固定すべく該固定部材を挿通するための孔が該側壁部に形成されたボックス部と、該ボックス部の内部に固定され、給水配管に接続されて通水状態及び止水状態を切り替え可能な給水栓本体とを備えた壁内蔵給水栓であって、前記側壁部は、前記孔を閉塞する閉塞部を備え、該閉塞部は、前記側壁部の他の部分と一体成形されており、前記固定部材を挿すことが可能で、かつ、挿した該固定部材を保持可能に構成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、固定部材でボックス部の角材への固定を行う際に、孔を閉塞する閉塞部に固定部材を挿すと、挿した固定部材が閉塞部に保持されるため、角材に固定部材を挿した時に固定部材の先端が所定位置から逃げてしまい、固定部材が工具から外れた場合でも、固定部材が、落下することなく閉塞部に保持されているため、工具の先端を固定部材に再度係止して固定部材の挿す作業を行うことができる。よって、ボックス部の角材への固定作業が簡便になり、施工性の向上を図れる。
【0009】
又、本発明の壁内蔵給水栓は、前記閉塞部が、前記側壁部の他の部分の厚みよりも薄く形成されると共に前記孔における前記側壁部の外面側に位置していてもよい。
【0010】
上記のように、閉塞部が孔における壁部の外面側に位置することで、孔の内面側の内側部分を固定部材の移動を案内する案内部として利用することができ、閉塞部に確実に固定部材を挿すことができる。
【0011】
又、本発明の壁内蔵給水栓は、前記閉塞部が、前記孔を全体を閉塞していてもよい。
【0012】
上記のように、閉塞部が、前記孔を全体を閉塞していることで、孔のどの位置に固定部材を挿しても、固定部材を閉塞部で保持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、固定部材を挿すことが可能で、かつ、挿した固定部材を保持可能な閉塞部で孔を閉塞することによって、ボックス部の角材への固定作業が簡便で施工性のよい壁内蔵給水栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】壁に取り付けられた壁内蔵給水栓の斜視図である。
【
図2】
図1の給水配管を省略した壁内蔵給水栓の正面図である。
【
図3】化粧板等を省略した壁内蔵給水栓の正面図である。
【
図5】壁内蔵給水栓のボックス部を構成する斜視図である。
【
図7】壁内蔵給水栓を角材にビスにより固定している状態を示す斜視図である。
【
図8】壁内蔵給水栓を縦角材にビスにより固定された状態を示す横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の壁内蔵給水栓の一実施形態を、図面を参照して説明する。下記における方向の表現は、壁内蔵給水栓Cを
図1に示すように建物の壁Wに設置した場合における方向により、壁面W1を基準として手前に向かう方向を「前方」と、奥に向かう方向を「後方」とする。また、「上下左右」は壁面W1に対向した位置から見た方向である。なお、本発明が下記において説明する方向の態様のみに限定解釈されないことは言うまでもない。
【0016】
壁内蔵給水栓Cは、
図1~
図5、
図7に示すように、後述する角材Lを構成する2本の角材である縦角材L2と水平角材L1とが交差する部分に取り付けられるボックス部1と、ボックス部1内に取り付けられる胴部(給水栓本体)2と、胴部2に取り付けられる化粧カバー3とハンドル4とホースフック部5を、主要構成部材としている。
【0017】
ボックス部1は、
図3~
図6に示すように、前方が開放された硬質(軟質でもよい)の合成樹脂製の箱体からなっている。具体的には、ボックス部1は、上側壁部6、後側壁部7、左側壁部8、右側壁部9、底側壁部10を備えている。このボックス部1の左側壁部8、右側壁部9の外面には、縦向きの多数の縦リブ11(
図5では右側壁部9のみ図示しているが、左側壁部8も同様である)が形成されており、左側壁部8及び右側壁部9の剛性が高められている。これら縦リブ11の左右方向外側に突出する端面11Aは、左右方向において同一位置になっており、これら縦リブ11の端面11Aが縦角材L2(
図7参照)に当接する。縦角材L2及び横角材L1は、本実施形態では木材であるが、軽量鉄骨材料や樹脂材料で構成される場合もある。また、後側壁部7における内面の上下方向略中央部にも、左側壁部8と右側壁部9とを連結するように左右方向に延びる横リブ12が形成されている。この横リブ12の形成により、後側壁部7の剛性を高めることができて撓みの発生を抑制できる。
【0018】
また、左側壁部8及び右側壁部9それぞれの上下方向3箇所に、孔13が形成されている。これら孔13は、前後方向に長い長孔である。これら孔13に、孔13の上下幅寸法と同等又は上下幅寸法よりも小さな径寸法を有するねじ軸部14Aと孔13の上下幅寸法よりも大きな外径寸法を有する頭部14Bとを有するビス14(
図6参照、固定部材)を挿入することになる。ここでは、左側壁部8及び右側壁部9のうちの一方の外面が壁Wの内部に位置する角材L(
図7では縦角材L2)の側面に当接した状態で、ボックス固定用のビス14が縦角材L2にねじ込まれてボックス部1が縦角材L2に固定されることになるが、左側壁部8及び右側壁部9のうちのいずれか一方と上側壁部6の2つの壁部を縦角材L2と横角材L1に当接した状態でボックス部1を縦角材L2と横角材L1にビスで固定してもよいし、また、上側壁部6のみを横角材L1に当接した状態でボックス部1を横角材L1にビスで固定してもよい。この上側壁部6を固定する際には、前記孔13を上側壁部6に形成しておくことが好ましい。また、実施形態では、側壁部にねじ込むビス14を例に挙げているが、側壁部に突き刺す釘であってもよく、要するに先端が尖っていて角材Lに挿すことができるものであれば、どのようなものであってもよい。前記ビス14や釘等を総称して固定部材という。
【0019】
また、左側壁部8及び右側壁部9の内面において、前後方向で孔13が形成された部分に対応する部分(前後方向後ろ寄り部分)に、前方から後方に向かうほど内側に位置する傾斜(テーパ)面15が形成されている。この傾斜面15は、ボックス固定用のビス14の設計上の取り付け方向(軸方向)に略直交する面に形成されている。そして、内側の傾斜面15の外側に位置する外側の傾斜面16が前記縦リブ11の左右方向の端面11Aよりも内側に位置しているため、前述のように縦角材L2と水平角材L1とが交差する部分にボックス部1を当て付けた状態において、
図8に示すように、左側壁部8の外側の傾斜面16と縦角材L2の右側面28との間に隙間Eが形成される。したがって、後述する閉塞部17に電動ドライバー等の工具Tによりビス14の先端部を押し込みながら閉塞部17を貫通したときに、前記隙間Eにビス14の先端部が入り込み、ビス14の先端部が閉塞部17に保持された状態になる。なお、ビス14がステンレスビスの場合には、工具Tの先端に引っ付かないため、手でステンレスビスを掴んで押し込むことにより閉塞部17を貫通させ、隙間Eにビス14の先端部が入り込み、ビス14の先端部が閉塞部17に保持された状態になる。この状態から工具Tによりビス14をねじ込むことによって、縦角材L2に当接してねじ込まれる。このように閉塞部17にビス14の先端部が保持された状態で、縦角材L2に当接してねじ込むため、ビス14が工具Tから外れることがなく、縦角材L2へのねじ込み作業をスムーズに行うことができる。このビス14は、ボックス部1の内部から斜め後方へ向かう姿勢で縦角材L2にねじ込まれる。これによりビス14は、
図8に示すように、軸方向が前後方向に対して傾斜するように取り付けられる。ボックス部1の内面を傾斜面15に形成することにより、傾斜したビス14の頭部をボックス部1の内面に対して片当たりすることを抑制しつつ、頭部の全周において接触(線接触または面接触)させることができる。このため、工具Tによるねじ込み作業中に、ビス14から力が不均等にボックス部1に働くことにより、ボックス部1がずれて縦角材L2に取り付けられてしまったり、ビス14を取り付けた状態のボックス部1にぐらつきが発生したり、ボックス部1に亀裂等が入ることを有効に抑制できる。
【0020】
また、
図5に示す6個の前後方向に長い孔13は、閉塞部17により孔13を全体を閉塞している。つまり、閉塞部17により孔13を完全に閉塞している。左側壁部8の閉塞部17は、左側壁部8の他の部分(孔13の周囲の部分)と一体成形(一体形成)している。また、右側壁部9の閉塞部17は、右側壁部9の他の部分(孔13の周囲の部分)と一体成形されている。また、この閉塞部17は、左側壁部8及び右側壁部9の他の部分(孔13の周囲の部分)の厚みよりも薄く形成され、孔13における左側壁部8及び右側壁部9の外面側、ここでは、左側壁部8及び右側壁部9の外面側端部に位置している。なお、前記閉塞部17は 孔13における左側壁部8及び右側壁部9の内面側(例えば内面側端部)に位置していてもよい。この実施形態では、ボックス部1を合成樹脂で構成することによって、閉塞部17も合成樹脂で形成されることになり、固定部材(ここではビス14)を閉塞部17に容易に挿すことができる。なお、閉塞部17の厚みを1mm以下に設定することによって、固定部材(ここではビス14)を閉塞部17に確実に挿すことができる。合成樹脂としては、硬質の合成樹脂が好ましく、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等を用いることができる。また、角材Lにビス14をねじ込む際に、ねじ込む部分が例えば木材の節であると、ねじ込み難く、角材Lに対するビス14のねじ込む位置を変更したい場合がある。このような場合でも、前記のように長孔に構成された孔13を閉塞部17で閉塞しているので、ビス14の挿し直しを行うことができ、ボックス部1の施工面において有利になる。また、閉塞部17がビス14の設計上の取り付け方向(軸方向)に略直交する内側の傾斜面15に沿っているため、閉塞部17にビス14を略垂直方向から挿すことができ、挿したビスが閉塞部17に保持され易い利点がある。
【0021】
したがって、ビス14でボックス部1の縦角材L2への固定を行う際に、孔13を閉塞する閉塞部17にビスを挿すと、挿したビス14が閉塞部17に保持されるため、縦角材L2にビス14をねじ込む時にビス14の先端が所定位置から逃げてしまい、ビス14が工具Tから外れた場合でも、ビス14が、落下することなく閉塞部17に保持されているため、工具Tの先端をビス14の頭部の溝に再度係止してビス14のねじ込み作業を行うことができる。よって、ボックス部1の縦角材L2への固定作業が簡便になり、施工性の向上を図れる。また、閉塞部17が孔13における左側壁部8及び右側壁部9の外面側に位置することで、孔13の内面側の内側部分13aをビス14の移動を案内する案内部として利用することができ、閉塞部17に確実にビス14を挿すことができる。また、閉塞部17が、孔13を完全に閉塞していることで、孔13のどの位置にビス14を挿したとしても、ビス14を閉塞部17で保持できる。
【0022】
また、左側壁部8及び右側壁部9における外面のうち、前後方向中間部の位置に縦角材L2の前面に当接してボックス部1の縦角材L2に対する前後方向の位置を決めるための位置決め用の当接部18が形成されている。この当接部18は、
図5に示すように、最も前側に位置する縦リブ11の上下端部に左右方向外側に突出する台形状の突起板部から構成されている。これら突起板部18は、上下端部以外の部分にも備えてもよい。また、上側壁部6に上方に突出して横角材L1の前面に当接する上側壁用当接部を設けてもよい。
【0023】
ボックス部1を建物の壁Wの後側に位置する縦角材L2(
図7参照)にビス14で固定する際には、この縦角材L2における前面の右端に、前記左側の上下の当接部18,18が当接する状態にする。この状態で孔13にビス14が斜め後方へねじ込まることでボックス部1を縦角材L2に対して固定することができる。
【0024】
また、ボックス部における左側壁部8及び右側壁部9の内面の上部には、
図3に示すように、一対のスライドレール部19が前後方向に延びるように突出している。一対のスライドレール部19は、胴部2の前後方向での調整可能範囲に対応して形成されている。これら一対のスライドレール部19に胴部2の左右両側に延びる二股状のスライド受部20が取り付けられる。そして、スライド受部20が、スライドレール部19の上下を挟むように配置されたのち、胴固定用のビス21をねじ込んで固定される。
【0025】
胴部2は、銅合金製(本実施形態では銅鋳物)であって、
図3及び
図4に示すように、入口部22、弁機構部23、出口部24、スライド受部20を備えている。入口部22には、底側壁部10の貫通孔10Aを通してボックス部1内に引き込まれた給水配管25が接続される。また、弁機構部23の前端部に備える回転軸に前記ハンドル4が取り付けられ、ハンドル4を回転させることによって、弁機構部23を開閉して出口部24から水を排出する状態と遮断する状態とに切り替える。
【0026】
底側壁部10の貫通孔10Aには、給水配管25を貫通するパッキン26が嵌合されている。また、底側壁部10の前端部には、前方側ほど下方に位置する傾斜面10Sが形成されている。したがって、ボックス部1の孔13が前記閉塞部17で閉塞されており、底側壁部10の貫通孔10Aも前記パッキン26により閉塞されているため、ボックス部1内で水漏れが発生した場合には、上側壁部6、後側壁部7、左側壁部8、右側壁部9から外部に水が漏れることがなく、底側壁部10へ案内される。そして、底側壁部10に案内された水は、前端部の傾斜面10Sを介して前端10Hから下方へ水が排出される。このとき、
図4に示すように、前端10Hが壁Wの壁面W1よりも前方に位置しているため、水漏れしていることを目視にて確認することができる。ここでは、傾斜面10Sを底側壁部10の左右幅方向略全域に形成して、漏れた水を直ちに前方へ排出しているが、漏れた水を、一旦、左右方向所定箇所、例えば、左右方向左端部又は左右方向中央部あるいは左右方向右端部に集めてから前方へ排出するようにしてもよい。
【0027】
本発明の壁内蔵給水栓は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0028】
例えば、ボックス部1を、上側壁部6と後側壁部7と左側壁部8と右側壁部9と底側壁部10とから構成したが、上側壁部6を省略する、又は後側壁部7を省略する、又は底側壁部10を省略する、又は後側壁部7と底側壁部10とを省略する、又は左側壁部8及び右側壁部9の一方と底側壁部10とを省略する、又は左側壁部8と右側壁部9と底側壁部10を省略してもよい。少なくとも、2つの側壁部を備えたボックス部1であればよい。
【0029】
また、本実施形態の壁内蔵給水栓Cは、ハンドル4が上に、出口部24が下に配置されたレイアウトであるが、これとは逆に、ハンドル4が下に、出口部24が上に配置されたレイアウトや、ハンドル4と出口部24とが横に並ぶレイアウトとすることもできる。
【0030】
また、胴部2の入口部22が給水用と給湯用の2箇所設けられ、胴部2を内部で湯水を混合するタイプのものとすることもできる。
【0031】
また、壁内蔵給水栓Cの接続対象は洗濯機に限られず、食器洗い機、湯沸かし器、浄水器、加湿器等、種々の機器とすることができる。
【0032】
また、本実施形態の閉塞部17が、孔13を完全に閉塞している構成であったが、
図9に示すように、一部が開放される横長のスリット27が形成された閉塞部17であってもよい。スリット27に代えて、ビス14の先端が入る程度の大きさの孔であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…ボックス部、2…胴部(給水栓本体)、3…化粧カバー、4…ハンドル、5…ホースフック部、6…上側壁部、7…後側壁部、8…左側壁部、9…右側壁部、10…底側壁部、10A…貫通孔、13a…内側部分、14…ビス(固定部材)、14A…軸部、14B…頭部、15…傾斜面、16…傾斜面、17…閉塞部、18…当接部(突起板部)、19…スライドレール部、20…スライド受部、21…ビス、22…入口部、23…弁機構部、23…出口部、24…出口部、25…給水配管、26…パッキン、27…スリット、28…右側面、C…壁内蔵給水栓、L…角材、L1…横角材、L2…縦角材、T…工具、W…壁、W1…壁面