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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】医薬組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5415 20060101AFI20220225BHJP
   A61K 36/575 20060101ALI20220225BHJP
   A61K 36/268 20060101ALI20220225BHJP
   A61K 36/9068 20060101ALI20220225BHJP
   A61K 36/484 20060101ALI20220225BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220225BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220225BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
A61K31/5415
A61K36/575
A61K36/268
A61K36/9068
A61K36/484
A61P11/02
A61P37/08
A61P43/00 121
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017090369
(22)【出願日】2017-04-28
(65)【公開番号】P2018188377
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 真之介
(72)【発明者】
【氏名】飛騨 俊宏
【審査官】今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-054826(JP,A)
【文献】特表2008-517035(JP,A)
【文献】特開平10-158193(JP,A)
【文献】特開2000-095675(JP,A)
【文献】総合かぜ薬 ビタクールTM錠 小林薬品工業 添付文書,2016年08月31日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/ 44
A61K 36/00-36/9068
A61P 1/00-43/ 00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メキタジン、及び鼻炎系生薬を含有し、
前記鼻炎系生薬が、シンイ、サイシン、ショウキョウ、及びこれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも一種である、医薬組成物。
【請求項2】
メキタジン、及び鼻炎系生薬を含有し、
前記鼻炎系生薬が、カンゾウ及び/又はカンゾウの抽出物であり、
メキタジン1重量部に対し、カンゾウ及び/又はカンゾウの抽出物を原生薬換算量で50~200重量部の割合で含有する、医薬組成物。
【請求項3】
前記メキタジンを、成人1日あたりの投与量として3~7mg含有する、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記メキタジン1重量部に対し、前記鼻炎系生薬を原生薬換算量で1~7000重量部の割合で含有する、請求項1又はに記載の医薬組成物。
【請求項5】
固形製剤である、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
急性鼻炎用、アレルギー性鼻炎用、及び副鼻腔炎用からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
速溶解性及び/又は速放出性である、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
メキタジン、及び鼻炎系生薬を含有させることを含み、
前記鼻炎系生薬が、シンイ、サイシン、ショウキョウ、及びこれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも一種である、医薬組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
鼻粘膜の炎症である鼻炎に対して、抗ヒスタミン薬を含有する医薬が知られている。例えば、抗ヒスタミン剤を含有する鼻炎治療用組成物として、特許文献1には、フェノチアジン系抗ヒスタミン薬と、消炎酵素薬及び抗炎症薬を含有することを特徴とする鼻炎治療用組成物が開示されている。また、抗ヒスタミン薬の1種としてメキタジンが知られている。
【0003】
また、鼻炎に対して、生薬による治療も古くから行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-158193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、メキタジンは水に対して溶解しにくいことが知られている。
【0006】
そこで本発明は、メキタジンの溶解性が改善された医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、メキタジンと、鼻炎系生薬とが共存すると、メキタジンの水に対する溶解性が効果的に改善することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1]メキタジン、及び鼻炎系生薬を含有する医薬組成物;
[2]前記鼻炎系生薬が、シンイ、カンゾウ、サイシン、ショウキョウ、ケイガイ、ゼンコ、ビャクシ、及びこれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも一種である、前記[1]に記載の医薬組成物;
[3]前記メキタジンを、成人1日あたりの投与量として3~7mg含有する、前記[1]又は[2]に記載の医薬組成物;
[4]前記メキタジン1重量部に対し、前記鼻炎系生薬を原生薬換算量で1~7000重量部の割合で含有する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の医薬組成物;
[5]更にステアリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、前記[1]~[4]のいずれかに記載の医薬組成物;
[6]固形製剤である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の医薬組成物;
[7]急性鼻炎用、アレルギー性鼻炎用、及び副鼻腔炎用からなる群より選択される少なくとも一種である、[1]~[6]のいずれかに記載の医薬組成物;
[8]速溶解性及び/又は速放出性である、[1]~[7]のいずれかに記載の医薬組成物を提供するものである。
また、別の実施形態において、本発明は、メキタジンと、鼻炎系生薬とを医薬組成物に共存させることを含む、水に対する分散性及び/又は溶解性改善作用を該医薬組成物に付与する方法を提供することも可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医薬組成物は、メキタジン及び鼻炎系生薬を共存させることにより、メキタジンの水に対する溶解性が向上し、薬物の速溶解性及び速放出性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[医薬組成物]
本発明の医薬組成物は、メキタジン、及び鼻炎系生薬を含有する。
【0011】
[メキタジン]
メキタジンは鼻汁分泌抑制薬として公知の抗アレルギー薬であり、抗ヒスタミン作用も有する。メキタジンは市販品にて入手するか、公知の製造方法によって製造することができる。
【0012】
メキタジンは、通常、フリー体である。
【0013】
メキタジンの用量(投与量)は、鼻炎系生薬の種類や量、他の成分の種類や量、服用者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、および剤形等によって異なり得るが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、通常、体重約60kgの成人に経口投与する場合、好ましくは3~7mg/日、より好ましくは3.5~6mg/日、さらに好ましくは3.5~5mg/日、特に好ましくは、約4mg/日である。
【0014】
したがって、本発明の医薬組成物は、成人1日あたりの投与量として、メキタジンを、好ましくは3~7mg、より好ましくは3.5~6mg、さらに好ましくは3.5~5mg、特に好ましくは4mg含有する。
【0015】
メキタジンの含有量は、鼻炎系生薬の種類や量、他の成分の種類や量、服用者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、および剤形等によって異なり得るが、医薬組成物が固形製剤である場合、医薬組成物の総量を基準として、通常0.01~20重量%、好ましくは0.02~15重量%、さらに好ましくは0.03~10重量%である。また、医薬組成物が液状製剤である場合、医薬組成物の総量を基準として、通常0.01~70重量%、好ましくは0.02~60重量%、さらに好ましくは0.03~50重量%である。なお、固形製剤が液状調製物を部分的に包含する場合、液状調製物全量に対して、通常0.01~15重量%、好ましくは0.02~10重量%、さらに好ましくは0.03~5重量%である。本明細書において、液状調製物には、軟カプセル内容物、硬カプセル内容物のうち液状のものなどが含まれる。
【0016】
[鼻炎系生薬]
本明細書において、鼻炎系生薬とは、鼻炎及びその関連症状を改善する機能を有する生薬をいう。鼻炎の関連症状には、鼻汁(鼻漏、鼻水、鼻汁過多)、鼻閉(鼻づまり)、くしゃみ、なみだ目、そう痒、のどの痛み、頭重(頭が重い)、鼻腔のうっ血、鼻出血、および鼻粘膜の萎縮または硬化等が挙げられる。鼻炎系生薬は、このような機能を有する生薬であれば限定はされない。
【0017】
本明細書において、鼻炎系生薬は、特定の生薬の各種部位(全体、花、頭花、花芽、つぼみ、花穂、葉、枝、枝葉、根茎、根皮、根、樹皮、果実、果皮、豆果、種子など)をそのまま、あるいは乾燥したもの、粉砕したもの、粉砕後搾取したものであってもよく、又は、抽出溶媒で抽出したものであってもよい。
【0018】
鼻炎系生薬は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、シンイ、カンゾウ、サイシン、ショウキョウ、ケイガイ、ゼンコ、ビャクシ、及びこれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、シンイ、カンゾウ、サイシン、ショウキョウ、及びこれらの抽出物からなる群より選択される少なくとも一種であることがより好ましい。鼻炎系生薬は、1種を単独で用いてもよく、複数種を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0019】
鼻炎系生薬のうち、シンイは、限定はされないが、モクレン、ハモクレン、シモクレン、コブシ、タムシバ等のモクレン科植物、又はその他近縁植物の花蕾を乾燥したものから得られ、マグノフロリン等が含まれている。
【0020】
鼻炎系生薬のうち、カンゾウは、限定はされないが、ウラルカンゾウ、スペインカンゾウ等のマメ科カンゾウ属植物の根や根茎を乾燥したものから得られ、グリチルリチン酸等が含まれている。
【0021】
鼻炎系生薬のうち、サイシンは、限定はされないが、ケイリンサイシン、ウスバサイシン等のウマノスズクサ科植物の根や根茎を乾燥したものから得られ、アサリニン等が含まれている。
【0022】
鼻炎系生薬のうち、ショウキョウは、限定はされないが、ショウガ科ショウガ根茎を生又は乾燥したものから得られ、キンゲロール等が含まれている。
【0023】
鼻炎系生薬のうち、ケイガイは、限定はされないが、シソ科ケイガイアリタソウの全草また花穂を乾燥したものから得られる。
【0024】
鼻炎系生薬のうち、ゼンコは、限定はされないが、セリ科のノダケ又は白花前胡の根を乾燥したものから得られる。
【0025】
鼻炎系生薬のうち、ビャクシは、限定はされないが、セリ科ヨロイグサの根を乾燥したものから得られる。
【0026】
鼻炎系生薬を抽出物(エキス)として用いる場合、抽出溶媒としては、水(熱水を含む)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒(すべて含水であってもよい)などを適宜用いることができ、1種または2種の任意の混合液であってもよい。これらの溶媒のうち、水、エタノール、またはこれらの混合溶液が、安全性の観点から好ましい。
【0027】
鼻炎系生薬の抽出物は、植物の全草あるいは必要部位などから抽出した粗抽出物そのままでも、更にそれを精製処理したものでも良く、濃縮処理したものでも良く、合成によって得られたものでも良く、市販品を用いることもできる。鼻炎系生薬の抽出物を得る方法としては、特に限定されず、通常の抽出法、精製方法、濃縮方法、合成方法、乾燥粉末化方法等が採用される。また、鼻炎系生薬の抽出物は、第十七改正日本薬局方に収載される項目を満たすものであってもよい。
【0028】
鼻炎系生薬の抽出物は、液状のものを使用してもよいが、必要に応じて、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理を行って液体分を低減又は除去することにより、濃縮液状、半固形状、固形状、又は粉末状にしたものを使用してもよい。
【0029】
本発明の医薬組成物における1日あたりの鼻炎系生薬の用量(投与量)は、メキタジンの量、鼻炎系生薬の種類、他の成分の種類や量、服用者の状態(体重、年齢、性別、症状、体調等)、及び剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、原生薬換算量で表した総量(複数種の鼻炎系生薬を含有する場合を含む)として、300~13000mgとすることができ、好ましくは、500~12000mg、より好ましくは、700~11000mg、さらに好ましくは、950~10000mg、更に好ましくは、60~9000mg、更に好ましくは、1100~8000mg、特に好ましくは、1250~7500mg、最も好ましくは、1400~7000mgとすることができる。
【0030】
また、限定はされないが、通常、シンイの1日あたりの経口投与量は、原生薬換算量で表すと、約1~約5000mgとすることができ、より好ましくは、約50~約4000mg、さらに好ましくは、約100~約3500mg、特に好ましくは、約150~約3500mg、最も好ましくは、約200~約3000mgとすることができる。また、シンイ抽出物の1日あたりの経口投与量は、約0.01~約2700mgとすることができ、より好ましくは、約0.1~約1800mg、さらに好ましくは、約0.5~約1500mg、特に好ましくは、約1~約1200mg、最も好ましくは、約3~約900mgとすることができる。また、カンゾウの1日あたりの経口投与量は、原生薬換算量で表すと、約5~約8000mgとすることができ、より好ましくは、約300~約7000mg、さらに好ましくは、約500~約6000mg、さらに好ましくは、約750~約5500mg、さらに好ましくは、約950~約5000mg、さらに好ましくは、約1100~約5000mg、さらに好ましくは、約1500~約5000mg、特に好ましくは、約2000~約5000mg、最も好ましくは、約2500~約5000mgとすることができる。また、カンゾウ抽出物の1日あたりの経口投与量は、約150~約2100mgとすることができ、より好ましくは、約200~約1800mg、さらに好ましくは、約250~約1500mg、特に好ましくは、約300~約1200mg、最も好ましくは、約350~約900mgとすることができる。また、サイシンの1日あたりの経口投与量は、原生薬換算量で表すと、約1~約5000mgとすることができ、より好ましくは、約50~約4000mg、さらに好ましくは、約100~約3500mg、特に好ましくは、約150~約3500mg、最も好ましくは、約200~約3000mgとすることができる。また、ショウキョウの1日あたりの経口投与量は、原生薬換算量で表すと、約1~約5000mgとすることができ、より好ましくは、約50~約4000mg、さらに好ましくは、約100~約3500mg、さらに好ましくは、約150~約3500mg、さらに好ましくは、約200~約3000mg、さらに好ましくは、約300~約3000mg、さらに好ましくは、約500~約3000mg、さらに好ましくは、約750~約3000mg、さらに好ましくは、約900~約3000mg、特に好ましくは、約1200~約3000mg、最も好ましくは、約1500~約3000mgとすることができる。また、ケイガイの1日あたりの経口投与量は、原生薬換算量で表すと、約1~約5000mgとすることができ、より好ましくは、約50~約4000mg、さらに好ましくは、約100~約3500mg、特に好ましくは、約150~約3500mg、最も好ましくは、約200~約3000mgとすることができる。また、ゼンコの1日あたりの経口投与量は、原生薬換算量で表すと、約1~約5000mgとすることができ、より好ましくは、約50~約4000mg、さらに好ましくは、約100~約3500mg、特に好ましくは、約150~約3500mg、最も好ましくは、約200~約3000mgとすることができる。また、ビャクシの1日あたりの経口投与量は、原生薬換算量で表すと、約1~約5000mgとすることができ、より好ましくは、約50~約4000mg、さらに好ましくは、約100~約3500mg、特に好ましくは、約150~約3500mg、最も好ましくは、約200~約3000mgとすることができる。
【0031】
本明細書において「原生薬換算」とは、その成分量を得るために必要な原生薬(生薬混合物)の重量(乾燥重量)として表したものを意味する。生薬として抽出物を用いる場合には、その抽出物の量を得るために必要な原生薬の乾燥重量が原生薬換算量となる。1日あたりの服用量は、1~6回、好ましくは1~3回に分けて服用してもよい。
【0032】
鼻炎系生薬の総含有量は、メキタジンの量、鼻炎系生薬の種類、他の成分の種類や量、服用者の状態(体重、年齢、症状、体調等)、および剤形等によって異なり得るが、医薬組成物が固形製剤である場合、医薬組成物の総量を基準として、通常0.01~99重量%、好ましくは0.05~95重量%、さらに好ましくは0.1~90重量%、特に好ましくは1~85重量%である。また、鼻炎系生薬の総含有量は、医薬組成物が液状製剤である場合、医薬組成物全量に対して、通常0.01~80重量%、好ましくは0.05~70重量%、さらに好ましくは0.1~60重量%、特に好ましくは1~55重量%である。なお、固形製剤が液状調製物を包含する場合、液状調製物全量に対して、通常0.01~70重量%、好ましくは0.05~60重量%、さらに好ましくは0.1~50重量%、特に好ましくは1~50重量%である。
【0033】
また、本発明の医薬組成物におけるメキタジンと鼻炎系生薬との配合比は、鼻炎系生薬の種類、他の成分の種類や量、服用者の状態(体重、年齢、性別、症状、体調等)、及び剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、メキタジン1重量部に対し、鼻炎系生薬を原生薬換算量で1~7000重量部、好ましくは10~6000重量部、より好ましくは25~5000重量部、さらに好ましくは50~4000重量部、さらにより好ましくは60~3500重量部、特に好ましくは75~3000重量部、さらに特に好ましくは75~2500重量部、最も好ましくは90~2000重量部の割合とすることができる。
【0034】
また、限定はされないが、メキタジン1重量部に対し、シンイを原生薬換算量で1~3000重量部、好ましくは3~3000重量部、より好ましくは5~2800重量部、さらに好ましくは10~2400重量部、さらにより好ましくは20~2000重量部、特に好ましくは30~1800重量部、さらに特に好ましくは50~1500重量部、最も好ましくは75~1300重量部の割合とすることができる。また、メキタジン1重量部に対し、カンゾウを原生薬換算量で50~6000重量部、好ましくは80~6000重量部、より好ましくは100~6000重量部、さらに好ましくは250~6000重量部、さらにより好ましくは255~5000重量部、特に好ましくは260~4000重量部、さらに特に好ましくは270~3000重量部、最も好ましくは280~2000重量部、290~1800重量部、300~1500重量部、300~1200重量部の割合とすることができる。また、別の観点から、メキタジン1重量部に対し、カンゾウを原生薬換算量で50~200重量部、好ましくは60~190重量部、より好ましくは70~180重量部、さらに好ましくは80~170重量部の割合とすることもできる。また、メキタジン1重量部に対し、サイシンを原生薬換算量で1~3000重量部、好ましくは3~3000重量部、より好ましくは5~2800重量部、さらに好ましくは10~2400重量部、さらにより好ましくは20~2000重量部、特に好ましくは30~1800重量部、さらに特に好ましくは50~1500重量部、最も好ましくは75~1300重量部の割合とすることができる。また、メキタジン1重量部に対し、ショウキョウを原生薬換算量で1~3000重量部、好ましくは10~2400重量部、より好ましくは50~1500重量部、さらに好ましくは75~1300重量部、さらにより好ましくは100~1300重量部、特に好ましくは120~1300重量部、さらに特に好ましくは150~1300重量部、最も好ましくは200~1300重量部の割合とすることができる。また、別の観点から、メキタジン1重量部に対し、ショウキョウを原生薬換算量で1~80重量部、好ましくは5~70重量部、より好ましくは10~60重量部、さらに好ましくは15~50重量部の割合とすることもできる。また、メキタジン1重量部に対し、ケイガイを原生薬換算量で1~3000重量部、好ましくは3~3000重量部、より好ましくは5~2800重量部、さらに好ましくは10~2400重量部、さらにより好ましくは20~2000重量部、特に好ましくは30~1800重量部、さらに特に好ましくは50~1500重量部、最も好ましくは75~1300重量部の割合とすることができる。また、メキタジン1重量部に対し、ゼンコを原生薬換算量で1~3000重量部、好ましくは3~3000重量部、より好ましくは5~2800重量部、さらに好ましくは10~2400重量部、さらにより好ましくは20~2000重量部、特に好ましくは30~1800重量部、さらに特に好ましくは50~1500重量部、最も好ましくは75~1300重量部の割合とすることができる。また、メキタジン1重量部に対し、ビャクシを原生薬換算量で1~3000重量部、好ましくは3~3000重量部、より好ましくは5~2800重量部、さらに好ましくは10~2400重量部、さらにより好ましくは20~2000重量部、特に好ましくは30~1800重量部、さらに特に好ましくは50~1500重量部、最も好ましくは75~1300重量部の割合とすることができる。
【0035】
本発明の医薬組成物は、所望により、メキタジン及び鼻炎系生薬に加えて、その他の生理活性成分を含有してもよい。
【0036】
このような生理活性成分としては、例えば
(1)抗ヒスタミン成分(例えば、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩水和物、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、メトジラジン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、アリメマジン酒石酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩)、
(2)副交感神経遮断成分(例えば、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ダツラエキス、ロートエキスなど)、
(3)交感神経興奮成分(例えばメチルエフェドリン、プソイドエフェドリン、フェニレフリン、メトキシフェナミン又はそれらの塩など)、
(4)消炎酵素類(例えば、リゾチーム、ブロメラインなど)、
(5)グリチルリチン酸類(例えば、グリチルリチン酸又はその塩など)、
(6)キサンチン誘導体(例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン水和物、無水カフェイン等のカフェインなど)、
などが挙げられる。
【0037】
これらの生理活性成分は、フリー体であっても、塩であってもよい。
【0038】
本発明の効果を安定的に発揮する観点から、これらの生理活性成分としては、メチルエフェドリン及びその塩(メチルエフェドリン塩酸塩など)、プソイドエフェドリン及びその塩(プソイドエフェドリン塩酸塩など)、ベラドンナ総アルカロイド、グリチルリチン酸又はその塩(グリチルリチン酸二カリウムなど)、及び無水カフェインからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0039】
本発明の医薬組成物は、例えば、医薬品、医薬部外品、又はこれらの原料[例えば、医薬製剤、医薬部外品製剤]であることができる。
【0040】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の方法に従って、固形製剤として種々の剤形に調製することができる。固形製剤の形状や大きさには特に限定はなく、例えば内服剤としては、錠剤[口腔内崩壊錠、チュアブル錠(咀嚼可能錠)、発泡錠、分散錠、溶解錠、フィルムコーティング錠、素錠及び糖衣錠等を含む]、カプセル剤[硬カプセル剤及び軟カプセル剤等を含む]、顆粒剤[発泡顆粒剤を含む]、散剤、粉末剤、細粒剤、丸剤、口腔用錠剤[トローチ剤、舌下錠、バッカル錠、付着錠及びガム剤等を含む]、フィルム剤、ドライシロップ剤、ゼリー剤、口腔用半固形剤、製菓剤[キャンディー(飴)、グミ剤及びヌガー剤等を含む]などの固形製剤が挙げられる。また、本発明の医薬組成物は、液状製剤として種々の剤形に調製することができ、例えば内服剤としては、シロップ剤、液剤、懸濁剤などの液状製剤が挙げられる。これらのなかでも、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、本発明の医薬組成物は、固形製剤に用いることが好ましく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、フィルム剤に用いることがより好ましく、錠剤、カプセル剤に用いることがさらに好ましい。
【0041】
また本発明の医薬組成物は、その剤形に応じて、適当な添加物を含有してもよい。このような添加物としては、結合剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなど)、賦形剤(例えば、ショ糖、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、マンニトール、ソルビトールなど)、滑沢剤(例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸及びその塩、タルクなど)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムなど)、発泡剤(例えば、炭酸水素ナトリウムなど)、流動化剤(例えば、メタケイ酸アルミン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸など)、油性基剤(例えば、サフラワー油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、小麦胚芽油などの植物油;中鎖脂肪酸トリグリセリドなど)、水性基剤(例えば、マクロゴール400、グリセリン、水など)、ゲル基剤(例えば、カルボキシビニルポリマー、ガム質など)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、セスキオレイン酸ソルビタン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど)、懸濁化剤(例えば、ミツロウや各種界面活性剤、アラビアゴム、アラビアゴム末、キサンタンガム、大豆レシチンなど)、分散剤、乳化剤、安定化剤、緩衝剤、溶解補助剤、pH調節剤、防腐剤(保存剤)、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、香料、および呈味剤などを適宜添加してもよい。
【0042】
これらの添加剤のなかでも、本発明の効果を安定的に発揮する観点から、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリソルベート80、グリセリン脂肪酸エステル、サラシミツロウ、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0043】
本発明の医薬組成物は、その製剤形態に応じて、通常の製剤化の方法を採用して製造することができる。例えば、前記各成分を、造粒(例えば、押出し造粒、流動層造粒又は噴霧乾燥式造粒等)、乾燥、及び篩過して顆粒剤を製造できる。これを用いて、更に通常の方法により、カプセル剤、又は錠剤を製造できる。また、例えば、各成分を適量の精製水で溶解した後、pHを好ましくは2~8に、より好ましくは2.5~7に、更に好ましくは3~6に調整し、次いで、残りの精製水を加えて容量調整をすることにより製造することができる。ここで、メキタジン及び鼻炎系生薬が十分に混合される方法を採用することが好ましい。
【0044】
[適用]
また、本発明の医薬組成物は、症状として鼻炎を伴う病態や鼻炎の関連症状(鼻汁(鼻漏、鼻水、鼻汁過多)、鼻閉(鼻づまり)、くしゃみ、なみだ目、そう痒、のどの痛み、頭重(頭が重い)、鼻粘膜の腫れ、鼻腔のうっ血、鼻出血、および鼻粘膜の萎縮または硬化等)の全てに適応が可能と考えられ、急性鼻炎や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(通年性アレルギー性鼻炎、および季節性アレルギー性鼻炎(花粉症の鼻炎症状など)を含む)に効果が高い。特に、本発明の医薬組成物は、ウイルスや細菌感染、アレルゲン(ダニ、カビ、ハウスダスト、大気汚染物質、花粉など)が一因となる鼻炎に効果が高い。限定はされないが、本発明の医薬組成物は、アレルギー性鼻炎による鼻汁、鼻閉、若しくはくしゃみ、花粉、ハウスダストによる鼻汁、鼻閉、若しくはくしゃみ、又は、アレルゲンによる急性鼻炎、副鼻腔炎、若しくはアレルギー性鼻炎に好適に用いられ得る。限定はされないが、本発明の医薬組成物は、ネバネバした鼻汁、喉に落ちる鼻汁、外鼻孔から出る鼻汁、息苦しさ、頭がぼーっとする症状に対しても好適に用いられ得る。本発明の医薬組成物は、例えば、内服用(経口投与用)に用いることができる。
【0045】
本発明の医薬組成物は、メキタジンと鼻炎系生薬とが医薬組成物において共存することによって、水に対する溶解性を改善することができる。本発明は水に対する高い溶解性を示すことにより、体内で医薬組成物から有効成分が素早く溶解し(速溶解効果)、及び/又は素早く放出される(速放出効果)。そのため、体内での薬物吸収性が改善され、メキタジン及び鼻炎系生薬の急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などに対する効果の高い医薬組成物を提供することが可能となる。よって、本発明の医薬組成物は、急性鼻炎用、アレルギー性鼻炎用、及び副鼻腔炎用からなる群より選択される少なくとも一種に有用である。
【0046】
本発明の医薬組成物の投与量は、その形態、投与方法、投与目的及び当該組成物の投与対象者の年齢、体重、症状、体調によって適宜設定され、一定ではない。また、本発明の医薬組成物の投与は、所望の投与量範囲内において、1日あたり単回で、又は数回に分けて行ってもよく、食前、食間、食後、又は食事と同時に投与されてもよい。なお、本明細書中の用語「投与」は、「服用」を包含することを意図して用いられる。
【0047】
本発明の医薬組成物は、通常、1日1~6回、好ましくは1日1~3回投与することができる。したがって、1回の投与のための本発明の医薬組成物は、前記の1日あたりの投与量を1日の投与回数で割った量を、含有することが好ましい。なお、本発明の医薬組成物は、水に対する溶解性が向上し、薬物の速溶解性及び/又は速放出性に優れるため、1日1~3回の投与が好ましく、1日1回、1日2回、又は1日3回の投与で用いることが可能である。
【0048】
本発明の医薬組成物は、メキタジンと鼻炎系生薬とを同時に製剤化して得られる単一の製剤であってもよく、別々に製剤化して得られる2種の製剤の組み合わせであってもよい。このいずれの場合でも、本発明の効果を奏することができる。
【0049】
[水に対する分散性及び/又は溶解性改善作用を医薬組成物に付与する方法]
本発明により、メキタジンと、鼻炎系生薬とを医薬組成物に共存させることを含む、水に対する分散性及び/又は溶解性改善作用を該医薬組成物に付与する方法を提供することも可能である。メキタジンの量、鼻炎系生薬の種類や量、その他の成分の種類や量は、上記の[医薬組成物]の場合と同様である。
【実施例
【0050】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0051】
[試験例1:分散性評価(1)]
表1に示す各成分を処方に従い混合し、20mL容量のメスフラスコに投入した。精製水を加えて20mLの試験液とした。メスフラスコを30回転倒混和した後、メスフラスコを静置し、室温(24℃)で、120分後の液面及び底面の固形物の付着または沈殿の様子について、目視で観察した。シンイエキスは第十七改正日本薬局方に収載されるシンイの項目を満たすものを用いた(以下同じ)。結果を表1に併せて示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示すように、比較例1-1では液面付近に固形物が付着していた。メキタジンと鼻炎系生薬であるシンイエキスを含有する実施例1-1及び実施例1-2では固形物の付着は見られなかった。また底面では、比較例1-1は固形物が沈降していた。実施例1-1及び実施例1-2ではメキタジン由来の白い沈殿は見られなかった。これらのことより、メキタジンの水への分散性が、鼻炎系生薬を加えることによって改善していることが確認できた。従って、メキタジン及び鼻炎系生薬を含有する医薬組成物は、水と混ざって分散しやすく(速溶解効果)、体内で薬物放出性に優れ(速放出効果)、体内で吸収されやすい組成物であることが明らかになった。
【0054】
[試験例2:溶解性評価(1)]
表2及び表3に示す各成分を処方に従い混合し、精製水を加えて20mLの試験液とした。試験液を800rpm、30分間攪拌した後、下記分析条件に従った液体クロマトグラフィー法により精製水に溶解したメキタジン含有量を測定した。各生薬エキスは、第十七改正日本薬局方に収載される項目を満たすものを用いた(以下同じ)。
【0055】
分析条件
検出器:紫外線吸光光度法(波長254nm)
カラム:内径4.0mm、長さ100mm、粒子径3μm
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:トリフルオロ酢酸1mLを1000mLに溶かした液と、アセトニトリル液を3:2に混合した液
流量:メキタジンの保持時間が約5分になるよう調整(0.5min/分)
【0056】
次に、下記式1により溶解改善度を算出した。
[式1]溶解改善度=(実施例の試験液のメキタジン含有量)/(対応する比較例の試験液のメキタジン含有量)
ここで、対応する比較例とは、実施例と同量のメキタジンを含有し、鼻炎系生薬を含有しない試験液のことである。結果を表2及び表3に併せて示す。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
表2において、比較例2-1、比較例2-2ではメキタジンは精製水に殆ど溶解しなかった。表2及び表3に示すように、驚くべきことに、メキタジンは鼻炎系生薬と共存することにより、その溶解度が顕著に改善されることが見出された(実施例2-1~実施例2-11)。従って、メキタジン及び鼻炎系生薬を含有する医薬組成物は、薬物の生体吸収性に優れ(高吸収性)、生体内で薬物の効果が発現しやすい組成物であることが明らかになった。
【0060】
[製造例]
公知の技術を用いて、表4~5に記載される処方例について医薬組成物を調製した。表中の重量は、1日の服用量とした。処方例1~5は1錠あたり250mgの錠剤であり、1日あたり3錠服用とした。処方例6~10は軟カプセル1個あたり267mgの内容物(スラリー)を調製し、カプセル外皮膜の基剤で被包成型して軟カプセル剤とし、1日あたり1カプセルを3回服用とした。表中の括弧内の数値は、原生薬換算量を示す。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】