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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】密封装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3204 20160101AFI20220225BHJP
   F16J 15/3244 20160101ALI20220225BHJP
【FI】
F16J15/3204 201
F16J15/3244
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017133865
(22)【出願日】2017-07-07
(65)【公開番号】P2019015353
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-04-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】坂野 祐也
(72)【発明者】
【氏名】米内 寿斗
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-020762(JP,U)
【文献】実開平03-078169(JP,U)
【文献】実開平03-057563(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3204-15/3236
F16J 15/324-15/3296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに対して回転する回転軸の外周面に装着される円筒部、および、当該円筒部における前記ハウジングの機内側の端部から前記回転軸の軸線とは垂直な方向へ延びる円環状のフランジ部を有するスリンガーと、
前記ハウジングに装着され、前記スリンガーのフランジ部の平坦な外側面と摺動自在に接触することにより潤滑油を前記ハウジングの機内側へシールするメインリップを有するシール部と
を備え、
前記フランジ部は、その外側面において前記メインリップと接触する部分に、回転時に前記潤滑油を前記ハウジングの機内側へ戻す排出作用を発揮するための溝を有し、
前記メインリップは、前記フランジ部の前記外側面と当該メインリップとが接触したときの相対的な接触角度が小さくなると共に前記メインリップと前記フランジ部の前記外側面との接触面積が増大するように、前記フランジ部の前記外側面と接触するリップ先端部にかけて当該メインリップのリップ基端部から全体的に湾曲した湾曲形状のリップ湾曲部を有し、
前記接触角度は、前記メインリップの前記リップ先端部が前記フランジ部の前記外側面に押し付けられた際、当該メインリップの前記リップ湾曲部が屈曲されることのないしめしろで前記フランジ部の前記外側面と接触される角度である
ことを特徴とする密封装置。
【請求項2】
前記シール部は、
前記スリンガーの前記円筒部の外周面に接触して前記潤滑油を前記ハウジングの機外側へ漏洩することを防止すると共に機外側からのダストの侵入を防止するダストリップと、
前記メインリップと前記ダストリップとの間に設けられた中間リップと
を備え、
前記中間リップは、前記メインリップと前記フランジ部の前記外側面との間から侵入した前記潤滑油を受け止め、前記ダストリップに前記潤滑油が直接到達することを防止する
ことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置に関し、例えば、自動車関連の分野において回転用シールとして用いられ、特に、機内に潤滑油が存在するエンジン用シールとして用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン用シールとして用いられる密封装置としては、機内に密封されている潤滑油が機外へ漏洩することを防止するために、例えば、エンジンハウジングとクランクシャフトとの間に装着されている。この密封装置としては、スリンガーのフランジ部に設けられたネジ部によって、クランクシャフトの回転時にポンピング作用を発揮し、機内の潤滑油をシールしている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
図8に示すように、このような密封装置100としては、回転軸としてのクランクシャフト201の外周面に装着されて当該クランクシャフト201とともに回転するスリンガー101と、ハウジング202の内周面に装着されるシール部102とを備えている。
【0004】
スリンガー101は、クランクシャフト201の外周面に装着される円筒部105と、当該円筒部105の機内A側の端部から外周側へ拡がるフランジ部103とを備えている。フランジ部103には、機内A側に膨らんだ中空円盤状の膨出部分103eと、当該膨出部分103eの外周側の端部から機外B側へ折り曲げされた後に外周側へ拡がる中空円盤状の円盤部分103fとを備えている。
【0005】
この密封装置100では、フランジ部103の円盤部分103fの軸方向における機外B側の端面である外側面103aに対して、シール部102のメインリップ111が摺動可能に密接することにより、機内Aに存在する潤滑油(オイル)が機外Bへ漏洩することを防止している。
【0006】
この密封装置100においては、メインリップ111が摺動可能に密接するフランジ部103の円盤部分103fの外側面103aに対して複数のネジ溝104が設けられている。
【0007】
ネジ溝104は、一定の間隔でそれぞれ独立して配置され、クランクシャフト201の回転方向に対応して内径側から外径側へ右回転で進む4等配の螺旋状の溝であり、個々の溝の始点および終点がそれぞれ異なっている。このネジ溝104は、スリンガー101におけるフランジ部103の円盤部分103fの外側面103aに形成され、シール部102のメインリップ111のリップ先端111aが4本のネジ溝104の範囲内で接触している。
【0008】
したがって、密封装置100では、スリンガー101とシール部102のシール部材110との間に囲まれた空間Sへ潤滑油が滲み出した場合でも、クランクシャフト201とともにスリンガー101が回転したときのフランジ部103の遠心力により潤滑油を空間Sから機内A側へ戻す振切作用と、当該フランジ部103における円盤部分103fの回転時におけるネジ溝104の影響により潤滑油を空間Sから機内A側へ戻す作用(以下、これを「ネジ作用」ともいう。)とを奏することができる。なお、このような振切作用およびネジ作用の双方により潤滑油を空間Sから機内A側へ戻す効果をポンピング効果という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2014-129837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した密封装置100において、クランクシャフト201の回転数が例えば5000rpm(revolution per minute)程度以下の低速で回転するディーゼルエンジンであれば、スリンガー101のフランジ部103とメインリップ111のリップ先端111aとの隙間から空間Sへ潤滑油が滲み出すことはない。
【0011】
しかしながら密封装置100を、例えば6000rpm程度以上の高速でクランクシャフト201が回転するガソリンエンジンに適用した場合、スリンガー101のフランジ部103とメインリップ111のリップ先端111aとの隙間から空間Sへ潤滑油が滲み出てしまい、空間Sに潤滑油が貯留してしまうおそれがあった。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、回転軸の回転数が所定以上の高速回転時であっても、機内側の潤滑油がスリンガーのフランジ部とメインリップとの隙間から滲み出て最終的に漏洩してしまうことを防止し得る密封装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明においては、ハウジングに対して回転する回転軸の外周面に装着される円筒部、および、当該円筒部の内側の端部から前記回転軸の軸線とは垂直な方向へ延びる円環状のフランジ部を有するスリンガーと、前記ハウジングに装着され、前記スリンガーのフランジ部の平坦な外側面と摺動自在に接触することにより潤滑油を前記ハウジングの機内側へシールするメインリップを有するシール部とを備え、前記フランジ部は、その外側面において前記メインリップと接触する部分に、回転時に前記潤滑油を前記ハウジングの機内側へ戻す排出作用を発揮するための溝を有し、前記メインリップは、前記フランジ部の前記外側面と接触するリップ先端部にかけて当該メインリップのリップ基端部から全体的に湾曲した湾曲形状を有することを特徴とする。
【0014】
本発明において、前記メインリップのリップ先端部は、前記フランジ部の前記外側面と接触している部分が面接触しており、前記リップ先端部から前記リップ基端部にかけて緩やかに前記外側面から離間されていることを特徴とする。
【0015】
本発明において、前記メインリップのリップ先端部は、前記フランジ部の前記溝を有する領域で接触していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、回転軸の回転数が所定回転数以上の高速回転時であっても、機内側の潤滑油がスリンガーのフランジ部とメインリップとの隙間から滲み出て最終的に漏洩してしまうことを防止し得る密封装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るオイルシールの装着状態を示す断面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るオイルシールの単体の構成を示す拡大断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るスリンガーの構成を示す平面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るスリンガーの他の構成例を示す平面図である。
図5】従来のメインリップとスリンガーのフランジ部との接触角度に応じた潤滑油の貯留量の説明に供する断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るオイルシールにおいて、メインリップとスリンガーのフランジ部との接触角度に応じた潤滑油の貯留量の説明に供する平面図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係るオイルシールの単体の構成を示す拡大断面図である。
図8】従来の密封装置(オイルシール)の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るオイルシールの装着状態を示す断面図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るオイルシールの単体の構成を示す拡大断面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係るスリンガーの構成を示す平面図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係るスリンガーの他の構成例を示す平面図である。図5は、従来のメインリップとスリンガーのフランジ部との接触角度に応じた潤滑油の貯留量の説明に供する断面図である。図6は、本発明の第1の実施の形態に係るオイルシールにおいて、メインリップとスリンガーのフランジ部との接触角度に応じた潤滑油の貯留量の説明に供する平面図である。
【0020】
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向を外側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向を内側とする。より具体的には、外側とは、エンジンから離れる機外B側であり、内側とは、エンジンの内部方向であり機内A側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。
【0021】
<オイルシールの構成>
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態に係る密封装置としてのオイルシール1は、機内Aに潤滑油が存在する自動車用エンジン(特にガソリンエンジン)のシールとして用いられ、機内Aの潤滑油が機外Bへ漏洩するのを防止するとともに、機外Bから機内Aへダスト等の異物が侵入するのを防止するものである。
【0022】
オイルシール1は、エンジンハウジング(以下、これを単に「ハウジング」ともいう。)202の内周側(矢印d方向)の面である内周面202aに装着されるシール部10と、ハウジング202に対して回転する回転軸としてのクランクシャフト201の外周側(矢印c方向)の面である外周面201aに装着されるスリンガー30とを備え、これらの組み合わせにより構成されている。
【0023】
シール部10は、補強環20と、当該補強環20と一体に形成された弾性体部21とを備えている。補強環20は、軸線xを中心とする環状の金属材からなる。補強環20の金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。一方、弾性体部21の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
【0024】
補強環20は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部21は成形型を用いて架橋(加硫)成型によって成形される。この架橋成型の際に、補強環20は成形型の中に配置されており、弾性体部21が架橋(加硫)接着により補強環20に接着され、弾性体部21が補強環20と一体的に成形される。
【0025】
補強環20は、例えば、断面略L字状の形状を呈しており、円筒部20a、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dを備え、円筒部20a、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dが全て一体に形成されている。
【0026】
この場合、円筒部20aは、外周側(矢印c方向)に向かって凸状に膨出した湾曲形状を有している。また、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dは、全体略S字状のフランジ部を形成している。
【0027】
円筒部20aは、軸線xに沿って略平行に延びる円筒状の部分であり、ハウジング202の内周面202aに対して内嵌される。外周側円盤部20bは、軸線xと略垂直な方向、すなわち、円筒部20aの外側(矢印a方向)の端部から内周側(矢印d方向)へ向かって拡がる中空円盤状の部分である。テーパー部20cは、外周側円盤部20bの内周側(矢印d方向)の端部から更に内周側(矢印d方向)および内側(矢印b方向)に向かって斜めに延びる中空円盤状の部分である。内周側円盤部20dは、テーパー部20cの内周側(矢印d方向)の端部からさらに内周側(矢印d方向)に向かって拡がる中空円盤状の部分である。
【0028】
なお、補強環20の円筒部20aは、この場合、外周側(矢印c方向)に向かって凸状に膨出した湾曲形状を有しているが、これに限るものではなく、軸線xに沿って真っ直ぐに延びる円筒状の部分であってもよい。また、補強環20は、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dにより全体略S字状に形成されているが、外周側円盤部20b、テーパー部20c、および、内周側円盤部20dが軸線xと略垂直な方向に真っ直ぐに延びていてもよい。
【0029】
弾性体部21は、補強環20に一体に取り付けられており、当該補強環20を外側(矢印a方向)、外周側(矢印c方向)の一部、および、内周側(矢印d方向)を覆うように当該補強環20と一体的に成形されている。
【0030】
弾性体部21は、補強環20の円筒部20aにおける外周側(矢印c方向)の一部を覆うリップ被覆部21aと、補強環20の外周側円盤部20bを外側(矢印a方向)から覆うリップ被覆部21bと、補強環20のテーパー部20cを覆うリップ被覆部21cと、補強環20の内周側円盤部20dを外側(矢印a方向)から覆うリップ被覆部21dと、リップ被覆部21dと一体化されたリップ腰部21eと、当該リップ腰部21eに一体形成されたメインリップ22、ダストリップ23、中間リップ24とを備えている。
【0031】
弾性体部21のリップ腰部21eは、補強環20の内周側円盤部20dにおける内周側(矢印d方向)の端部の近傍に位置する部分であり、メインリップ22、ダストリップ23、および、中間リップ24の基部である。
【0032】
弾性体部21のメインリップ22は、リップ腰部21eの内側(矢印b方向)の端部から更に内側(矢印b方向)かつ外周側(矢印c方向)に向かって斜めに延びる、軸線xを中心とした環状のリップ部分であり、内周側(矢印d方向)から外周側(矢印c方向)へ向かって拡径している。
【0033】
メインリップ22は、外周側(矢印c方向)の面である外周面22gと、内周側(矢印d方向)の面である内周面22uとの間の幅すなわち厚さがリップ腰部21eの基端側から先端側へ向かって同様の太さで延びている。ただし、これに限らず、外周面22gは、内周面22uとほぼ平行ではなく、当該外周面22gが最先端面に向かって内周面22uとの幅が次第に狭くなるように傾斜した平坦な面であってもよい。同様に、内周面22uは、当該内周面22uが最先端面に向かって外周面22gとの幅が次第に狭くなるように傾斜した平坦な面であってもよい。
【0034】
この場合、メインリップ22は、外周面22g、内周面22u、および、最先端面22eによって画成されている。メインリップ22の最先端面22eは、メインリップ22の最先端の端面であり、外周面22gおよび内周面22uとほぼ垂直な平坦面である。ただし、これに限るものではなく、最先端面22eは丸みを帯びた湾曲面であってもよい。
【0035】
メインリップ22のリップ基端側には、リップ腰部21eから内側(矢印b方向)へ向かって突出した根元部分に相当するリップ基端部22nを備え、メインリップ22のリップ先端側には、後述するスリンガー30のフランジ部33の外側面33gと接触する部分であるリップ先端部22pを備えている。
【0036】
すなわち、メインリップ22は、リップ基端部22nと、リップ先端部22pと、当該リップ基端部22nとリップ先端部22pとを滑らかな曲線で繋ぐリップ湾曲部22wとを備えている。この場合、メインリップ22は、リップ基端部22nからリップ先端部22pにかけて内周側(矢印d方向)に凹となるようにリップ湾曲部22wが全体的に湾曲している。ただし、メインリップ22のリップ基端部22n、リップ先端部22p、および、リップ湾曲部22wについては、実際上、明確な境界は存在していない。
【0037】
メインリップ22の内周面22uは、後述するスリンガー30のフランジ部33の外側(矢印a方向)の面である外側面33gと接触する接触面である。ただし、内周面22uの全てがフランジ部33の外側面33gと接触するのではなく、内周面22uのうちリップ先端部22pの先端側の一部が外側面33gと面接触することになる。
【0038】
メインリップ22の外周面22gは、後述するスリンガー30のフランジ部33の外側(矢印a方向)の面である外側面33gと接触することのない非接触面である。なおメインリップ22の外周面22gは、フランジ部33の外側面33gに限らず、何れの部分とも接触することはない。
【0039】
メインリップ22のリップ基端部22nは、リップ腰部21eから内側(矢印b方向)へ向かって突出した当該メインリップ22の根元部分であり、リップ基端部22nからリップ先端部22pにかけて湾曲する際の起点となる部分である。
【0040】
メインリップ22のリップ先端部22pは、フランジ部33の外側面33gに接触する部分であり、リップ基端部22nからリップ先端部22pにかけて湾曲する際の終点となる部分である。また、リップ先端部22pは、メインリップ22がフランジ部33の外側面33gに対して所定のしめしろで押し付けられた際に当該外側面33gと面接触し、機内Aに存在する潤滑油(オイル)が空間Sに滲み出ることを防止する部分である。
【0041】
メインリップ22のリップ湾曲部22wは、リップ基端部22nとリップ先端部22pとを滑らかな曲線で繋ぎ、当該メインリップ22が全体的に湾曲状をなすため最も大きく曲がった主な湾曲部分である。すなわち、メインリップ22がフランジ部33の外側面33gに所定のしめしろで押し付けられる際、このリップ湾曲部22wが主に曲げられることになる。
【0042】
弾性体部21のダストリップ23は、リップ腰部21eの内周側(矢印d方向)の端部から外側(矢印a方向)かつ内周側(矢印d方向)に向かって斜めに延びる、軸線xを中心とした環状のリップ部分であり、外周側(矢印c方向)から内周側(矢印d方向)へ向かって拡径している。なお、ダストリップ23が延びる延び方向は、メインリップ22の延び方向とはほぼ反対向きである。
【0043】
弾性体部21の中間リップ24は、リップ腰部21eにおいてメインリップ22よりも内周側(矢印d方向)に位置し、かつ、ダストリップ23よりも内側(矢印b方向)に位置し、リップ腰部21eの内周側(矢印d方向)の端部から内側(矢印b方向)に向かって僅かに延びる、軸線xを中心とした環状のリップ部分である。中間リップ24は、そのリップ長が短く、リップ先端がスリンガー30と接触することはない。
【0044】
スリンガー30は、クランクシャフト201の外周面201aに装着された状態で、当該クランクシャフト201の回転とともに連れ回る例えば金属製の板状部材であり、円筒部31と、フランジ部33とを備えている。スリンガー30は、例えば板状部材を曲げ加工により形成することが可能である。
【0045】
スリンガー30の円筒部31は、軸線xに沿って略平行に延びる円筒状の部分であり、ハウジング202に対して回転するクランクシャフト201の外周面201aに圧入して固定することにより装着される。スリンガー30の円筒部31は、外周側(矢印c方向)の面である外周面31aを有しており、その外周面31aに対して弾性体部21のダストリップ23のリップ先端が摺動自在に接触する。これにより、機外Bからダスト等の異物が機内Aに侵入することを防止している。
【0046】
スリンガー30のフランジ部33は、機内A側に膨らんだ中空円盤状の膨出部分33bと、当該膨出部分33bの外周側の端部から機外B側へ折り曲げられた後に外周側(矢印c方向)へ拡がる中空円盤状の円盤部分33aとを備えている。
【0047】
フランジ部33の膨出部分33bの外周側(矢印c方向)への高さは、中間リップ24のリップ先端の位置よりも高く、当該膨出部分33bと中間リップ24のリップ先端とが対向するように配置されている。
【0048】
このオイルシール1では、フランジ部33の円盤部分33aの軸方向における機外B側の端面である外側面33gに対して、弾性体部21のメインリップ22のリップ先端部22pが摺動可能に密接することにより、機内Aに存在する潤滑油(オイル)が機外Bへ漏洩することを防止している。
【0049】
このオイルシール1において、メインリップ22のリップ先端部22pが摺動可能に密接する外側面33gの端部領域には、空間Sに侵入した潤滑油G1(図6)を機外Aへ排出するために用いられる4本の螺旋溝状のネジ溝34が設けられている。
【0050】
ネジ溝34は、一定の間隔でそれぞれ独立して配置され、クランクシャフト201の回転方向に対応して内径側から外径側へ右回転で進む4等配の螺旋状の溝であり、個々の溝の始点および終点がそれぞれ異なっている。このネジ溝34は、スリンガー30におけるフランジ部33の円盤部分33aの外側面33gに形成され、弾性体部21のメインリップ22の薄肉先端部22pが4本のネジ溝34の範囲内で接触している。
【0051】
これら4本のネジ溝34は、図3に示すように、それぞれの始点stが互いに90度ずつ離間した位置に形成されるとともに、それぞれの終点etについても互いに90度ずつ離間した位置に形成されている。ネジ溝34は、始点stから終点etまで約1周分程度の螺旋状に形成されているが、これに限るものではなく、半周程度、3/4周程度等の1周以下であったり、1周半程度、2周程度等の1周以上の螺旋状に形成されていてもよい。
【0052】
また、ネジ溝34は、フランジ部33の内径側から外径側へ向かって右回転向き(時計回り)に次第に半径を大きくしながら進む4等配の溝としてそれぞれ独立して形成されている。ただし、これに限るものではなく、ネジ溝34は、2等配、3等配、6等配等のその他種々の本数であってもよい。なお、この場合、スリンガー30は、ネジ溝34とは逆に図中矢印で示すように左回転(反時計回り)するものとする。
【0053】
ただし、スリンガー30のフランジ部33の外側面33gに形成される溝としては、ネジ溝34である必要は必ずしもない。例えば、図4(A)に示すように、スリンガー30sでは、フランジ部33の外側面33gの内径側から外径側へ向かって延びる放射状であり、スリンガー30の軸線とは垂直な方向へ直線状に延びる放射状溝37(37a~37h)であってもよい。この場合、メインリップ22のリップ先端部22pがフランジ部33の外側面33gと摺動するのは、例えば放射状溝37のほぼ中央付近の位置POS1となる。
【0054】
同様に、図4(B)に示すように、スリンガー30vでは、フランジ部33の外側面33gの内径側から外径側へ向かって延びるが、内径側から外径側の外周方向へ向かって図中右側へ傾斜するように直線状に延びる傾斜状溝38(38a~38h)であってもよい。この場合、メインリップ22のリップ先端部22pがフランジ部33の外側面33gと摺動するのは、例えば傾斜状溝38のほぼ中央付近よりもやや
寄りの位置POS2となる。
【0055】
この場合、放射状溝37および傾斜状溝38は、ネジ溝34に比べて始点stから終点etまでの長さが非常に短くなり、放射状溝37、傾斜状溝38を伝って潤滑油G1を短時間のうちに振り切り、機内A側へ戻すことが可能となる。また、放射状溝37および傾斜状溝38は、ネジ溝34に比べて溝本数を多く形成することができるので、ネジ溝34よりも短時間のうちに多くの量の潤滑油G1を機内A側へ戻すことが可能となる。
【0056】
上述したように、メインリップ22は、リップ先端部22pへ向かってリップ基端部22nから全体的に湾曲状に形成されているため、当該リップ先端部22pがフランジ部33の外側面33gに所定のしめしろで押し付けられたときの当該外側面33gとの相対的な接触角度θ1(図2図6)を、従来の接触角度θ0(図5)に比して小さくすることが可能である。
【0057】
この場合、接触角度θ1が従来の接触角度θ0よりも小さくなる分だけ、メインリップ22のリップ先端部22pとフランジ部33の外側面33gとの接触面積が増大するため密封性を維持し易くなる。この場合、メインリップ22のリップ先端部22pは、フランジ部33の外側面33gと接触している部分が面接触しており、リップ先端部22pからリップ基端部22nにかけて緩やかに外側面33gから離間されている。ここで、接触角度θ1は、メインリップ22のリップ先端部22pがフランジ部33の外側面33gに押し付けられた際、当該メインリップ22のリップ湾曲部22wが屈曲されることのない程度のしめしろでフランジ部33の外側面33gと接触した状態にあることを前提とする。
【0058】
このように、オイルシール1は、スリンガー30のフランジ部33における外側面33gと接触する弾性体部21のメインリップ22が機内A側に配置されて潤滑油が滲み出すことを防止するとともに、スリンガー30の円筒部31の外周面31aに接触する弾性体部21のダストリップ23が機外B側に配置されてダストの侵入および機外B側へ潤滑油が漏洩することを防止する構造を有している。
【0059】
ところで、一般的にハブベアリングに用いられるハブシールは、スリンガーのフランジ部と接触する弾性体部のサイドリップ(メインリップ22に相当)が機外B側に配置されてダストの侵入を防止するとともに、スリンガーの円筒部と接触するラジアルリップ(ダストリップ23に相当)が機内A側に配置されて潤滑油の漏洩を防止する構造を有している。
【0060】
すなわち、本発明のオイルシール1は、ハブベアリングに用いられるハブシールと比べて、スリンガー30と接触するメインリップ22の配置が真逆であり、かつ、その役割についても逆であるため、ハブシールとは根本的に異なるシール構造を有するものである。
【0061】
このような構成のオイルシール1において、弾性体部21のメインリップ22、ダストリップ23、および、スリンガー30の円筒部31の外周面31a、および、フランジ部33の外側面33gによって軸線xを中心とした環状の閉じた空間S(図6)が形成されている。
【0062】
この空間Sは、スリンガー30のフランジ部33における外側面33gとメインリップ22のリップ先端部22pとの隙間を伝って機内A側から当該空間Sに滲み出た潤滑油G1(図6)を貯留する空間である。この空間Sに貯留された潤滑油G1は、ダストリップ23の存在により機外B側へ漏洩することが抑制されている。
【0063】
<作用および効果>
以上の構成において、第1の実施の形態におけるオイルシール1は、シール部10がハウジング202の内周面202aに圧入して固定されるとともに、スリンガー30がクランクシャフト201の外周面201aに圧入して固定されることにより装着される。
【0064】
このとき、シール部10における弾性体部21のダストリップ23をスリンガー30の円筒部31の外周面31aに所定のしめしろで接触させるとともに、当該弾性体部21のメインリップ22におけるリップ先端部22pとスリンガー30のフランジ部33の外側面33gとが所定のしめしろで接触される。
【0065】
上述したように組み合わされて取り付けられたシール部10とスリンガー30とからなるオイルシール1は、クランクシャフト201の回転に伴ってスリンガー30が左回転(反時計回り)する。
【0066】
このとき、オイルシール1は、フランジ部33の外周側(矢印c方向)の端部領域に形成された4本のネジ溝34の影響により、空間Sに滲み出た潤滑油G1を内周側(矢印d方向)から外周側(矢印c方向)へ向かって移動させ、フランジ部33の外側面33gとメインリップ22のリップ先端部22pの内周面22uとの隙間から機内A側へ吸い込んで排出する(ネジ作用)ことができる。すなわち、ネジ溝34は、潤滑油G1を空間Sから機内A側へ吸い込んで排出する油排出作用を機能として有している。
【0067】
なお、オイルシール1では、弾性体部21の中間リップ24の存在により、空間Sに滲み出てきた潤滑油G1を受け止めることができるので、ダストリップ23に潤滑油G1が直接到達することを防ぎながら空間Sに侵入した潤滑油G1を機内A側へ吸い出すことができる。
【0068】
また、オイルシール1は、スリンガー30のフランジ部33の回転に伴う遠心力によって空間S内の潤滑油G1を内周側(矢印d方向)から外周側(矢印c方向)へ向かって移動させ、フランジ部33の外側面33gとメインリップ22のリップ先端部22pの内周面22uとの隙間から機内A側へ潤滑油G1を振り切りながら排出する(振切作用)ことができる。
【0069】
すなわち、オイルシール1は、ネジ溝34の影響による空間Sの潤滑油G1に対するネジ作用と、フランジ部33の遠心力による空間Sの潤滑油G1に対する振切作用とにより、空間Sに存在する潤滑油G1を機内Aに吸い込んで排出するポンピング効果を働かせることができる。
【0070】
ところで、図5に示すように、従来の密封装置100(図8)ではメインリップ111の内側の面である内側面111uとフランジ部103の外側面103aとの相対的な接触角度θ0を有する。これに比べて、図6に示すように、本発明のオイルシール1ではメインリップ22のリップ先端部22pの内周面22uとフランジ部33の外側面33gとの相対的な接触角度θ1の方が接触角度θ0よりも小さくなっている(θ0>θ1)。
【0071】
従来の密封装置100では、メインリップ111とフランジ部103との接触角度θ0が大きいため、当該メインリップ111の内側面111uとフランジ部103の外側面103aとの間に表面張力により付着される潤滑油G0の量が少ない。そのため、ポンピング効果が働いても、空間Sに侵入した潤滑油G0が全て効率良く機内A側へ排出されることがないので一部残留してしまう。
【0072】
これに対して、本発明のオイルシール1では、リップ先端部22pからリップ基端部22nにかけてフランジ部33の外側面33gから緩やかに離間されているため、メインリップ22のリップ先端部22pの内周面22uとフランジ部33の外側面33gとの相対的な接触角度θ1が従来の接触角度θ0よりも小さくなっている。このため、メインリップ22のリップ先端部22pの内周面22uとフランジ部33の外側面33gとの間に表面張力により付着して貯留される潤滑油G1の量が従来よりも多い。
【0073】
すなわち、メインリップ22のリップ先端部22pの内周面22uとフランジ部33の外側面33gとに付着される潤滑油G1の付着面積が従来よりも大きくなっている。具体的には、メインリップ22のリップ先端部22pの内周面22uおよびフランジ部33の外側面33gに付着される潤滑油G1の付着幅W1が従来の密封装置100(図5)よりも大きい。
【0074】
このため、メインリップ22のリップ先端部22pの内周面22uとフランジ部33の外側面33gとの間に表面張力により付着された潤滑油G1がそのまま全てポンピング作用によって機内A側へ効率よく排出されるため、空間Sに潤滑油G1が残留してしまうことを防止することができる。
【0075】
かくしてオイルシール1では、エンジンの回転数が所定回転数以上に高くなった場合であっても、フランジ部33の遠心力による潤滑油G1の振切作用と、ネジ溝34により潤滑油G1を機内A側へ戻すネジ作用が効果的に働くことになる。
【0076】
すなわちオイルシール1では、機内A側から空間Sに滲み出た潤滑油G1を当該空間Sから機内A側へ効率的かつ短時間のうちに戻すポンピング効果を十分に発揮させることができる。かくして、オイルシール1は、機内Aの潤滑油G1が空間Sに滲み出たとしても、空間Sに残留してしまい、当該空間Sから機外Bへ潤滑油G1が漏洩することを大幅に低減することができる。
【0077】
さらに、オイルシール1では、メインリップ22は、リップ基端部22nからリップ湾曲部22wを介してリップ先端部22pへ全体的に湾曲状に形成されているため、従来に比して少ないしめしろでリップ先端部22pとフランジ部33の外側面33gとの相対的な接触角度θ1を従来の接触角度θ0よりも小さくすることができる。これにより、リップ先端部22pの内周面22uがフランジ部33の外側面33gと密着し、ネジ溝34を塞ぐことになるため、静止漏れを抑制するとともに、メインリップ22の摺動抵抗についても低減させることができる。
【0078】
<第2の実施の形態>
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るオイルシール200の単体の構成を示す拡大断面図である。図2との対応部分に同一符号を付した図7に示すように、オイルシール200は、シール部220と、クランクシャフト201の外周面201aに装着されるスリンガー30とを備え、これらが組み合わされて構成されている。
【0079】
すなわち、オイルシール200は、シール部10に替えてシール部220を有し、シール部220は、補強環20と、当該補強環20と一体に形成された弾性体部221とを備えている。この場合、第1の実施の形態における弾性体部21のメインリップ22に替えて弾性体部221のメインリップ232を用いている点を特徴とする。
【0080】
メインリップ232は、リップ腰部221eから内側(矢印b方向)へ延びるリップ腕部232rと、当該リップ腕部232rの内側(矢印b方向)の先端から外周側(矢印c方向)へ向かい、かつ、内側(矢印b方向)へ僅かに傾斜して延びるリップ立設部232tとを備えている。すなわちメインリップ232は、図7において、全体的に断面略逆L字状に形成されている。
【0081】
メインリップ232のリップ腕部232rは、リップ腰部221eから一定の太さで延びる円筒状部分であり、内周側(矢印d方向)の面である内周面232ru、外周側(矢印c方向)の面である外周面232rgにより画成されている。ただし、これに限るものではなく、リップ腰部221eから細くなりながら延びてもよく、また、不均等な太さで延びていてもよい。このリップ腕部232rは、リップ腰部221eから内側(矢印b方向)へ向かって突出した根元部分に相当するリップ基端部であるともいえる。
【0082】
メインリップ232のリップ立設部232tは、リップ腕部232rの内側(矢印b方向)の先端から外周側(矢印c方向)へ延びるフランジ状部分であり、外側面232tout、内側面232tin、および、先端面232ttip によって画成されている。リップ立設部232tの内側面232tinは、フランジ部33の外側面33gと接触する接触面である。リップ立設部232tの外側面232toutは、フランジ部33の外側面33gと接触することのない非接触面である。なお、外側面232toutは、フランジ部33の外側面33gに限らず、何れの部分とも接触することはない。
【0083】
リップ立設部232tは、外側面232toutと、内側面232tinとの間の幅すなわち厚さが一定であり、フランジ部33の外側面33gと密接するリップ先端部232tpを有している。ただし、これに限らず、外側面232toutは内側面232tinとほぼ平行ではなく、リップ先端部232tpの先端面232ttip に向かって内側面232tinとの幅が次第に狭くなるように傾斜した平坦な面であってもよく、内側面232tin が先端面232tinに向かって外側面232toutとの幅が次第に狭くなるように傾斜した平坦な面であってもよい。
【0084】
リップ立設部232tは、フランジ部33の外側面33gに近づいたリップ腕部232rの先端側から外周側(矢印c方向)かつ内側(矢印b方向)へ僅かに傾斜して延びている。このため、リップ先端部232tpがフランジ部33の外側面33gに押し付けられたときの当該外側面33gとの相対的な接触角度θ1を、従来の接触角度θ0(図5)に比して小さくすることが可能である。
【0085】
この場合も、接触角度θ1が従来の接触角度θ0よりも小さくなる分だけ、メインリップ232のリップ立設部232tのリップ先端部232tpとフランジ部33の外側面33gとの接触面積が増大し密封性を維持し易くなる。この結果、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
<他の実施の形態>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の第1および第2の実施の形態に係るオイルシール1、200に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題および効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【0087】
また、本実施の形態に係る密封装置としてのオイルシール1、200は、自動車用エンジンのシールとして用いられるものとしたが、本発明に係る密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、他の汎用機械、産業機械等、本発明の奏する効果を利用し得る全ての構成に対して、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1、100、200…オイルシール、10、102、221…シール部、20…補強環、21、221…弾性体部、22、111、232…メインリップ、22p、232p…リップ先端部、23…ダストリップ、24…中間リップ、30…スリンガー、31…円筒部、31a…外周面、33、103…フランジ部、33g…外側面、34、104…ネジ溝(溝)、37…放射状溝(溝)、38…傾斜状溝(溝)、201…クランクシャフト(回転軸)、202…ハウジング、S…空間、A…機内、B…機外
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8