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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】蓄電素子及び蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/567 20210101AFI20220225BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20220225BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20220225BHJP
   H01M 50/516 20210101ALI20220225BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20220225BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20220225BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20220225BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20220225BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20220225BHJP
   H01G 15/00 20130101ALI20220225BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
H01M50/567
H01M50/55 101
H01M50/557
H01M50/516
H01M50/507
H01M50/533
H01M50/562
H01G11/74
H01G11/10
H01G15/00
H01G2/02 101E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017201206
(22)【出願日】2017-10-17
(65)【公開番号】P2019075308
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】榎本 行生
(72)【発明者】
【氏名】河西 宏紀
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-088464(JP,A)
【文献】特開2016-189247(JP,A)
【文献】特開2014-026867(JP,A)
【文献】特開2016-195015(JP,A)
【文献】国際公開第2016/020996(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01G 11/74
H01G 11/10
H01G 15/00
H01G 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子が設けられた外装体と、前記外装体に収容された電極体と、一端が前記外部端子に接続された導電軸部と、前記外装体に収容され、前記導電軸部の他端が接続され、前記電極体が接続された導電板部とを備え、前記外部端子は、バスバーが載置される第一の表面に凹部を有し、第二の表面が前記外装体に対向し、前記凹部内で前記導電軸部の一端が前記外部端子に圧接し、前記外部端子は、前記バスバーによって前記凹部が気密に覆われるように構成されている蓄電素子と、
バスバーと
を備え、
前記バスバーは、前記外部端子の前記凹部の周囲に溶接されている
蓄電モジュール
【請求項2】
前記導電板部は、前記外装体の蓋板と略平行に延びる板状に形成され、
その第一面に前記導電軸部の他端が接続され、
その第二面に前記電極体の前記蓋板に向けて延びるタブが接続され、
前記蓋板の面方向における前記導電板部及びタブのそれぞれの寸法は前記外部端子の寸
法よりも大きい
請求項1に記載の蓄電モジュール
【請求項3】
前記導電軸部は、前記外部端子とは異なる材料によって構成されている
請求項1又は2に記載の蓄電モジュール
【請求項4】
前記外部端子には、前記凹部に連通する貫通孔が形成され、
前記導電軸部の一端は前記貫通孔に挿入されて前記凹部内でかしめられている
請求項1から3のいずれか一つに記載の蓄電モジュール
【請求項5】
前記導電軸部は銅部材を有し、
前記外部端子はアルミニウム部材を有する
請求項1から4のいずれか一つに記載の蓄電モジュール
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電素子及び蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、自動車等の様々な機器に、充放電可能な蓄電素子が使用されている。電気自動車(EV)又はプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の電気エネルギーを動力源とする車両は、大きなエネルギーを必要とするため、複数の蓄電素子を備える大容量の蓄電モジュールを搭載している。
【0003】
一般に、蓄電素子は、セパレータを介して正極板及び負極板を積層し、又は巻回して形成される電極体を、電解液と共にケースに気密に収容する。電極体と集電体を介し電気的に接続される正極外部端子及び負極外部端子が、ケースの蓋板に設けられる。ケースと端子との間、及びケースと集電体との間には、ガスケット又は絶縁プレートが配される。
【0004】
特許文献1は、角型のケースを有するリチウムイオン二次電池を開示している。ケースの蓋は、貫通孔を有する。貫通孔に棒状の胴部が挿入され、該胴部の一端部にはケース内で第1フランジ部が連結され、胴部の他端部には端子板(外部端子)が接続されている。第1フランジ部には、電極体のタブが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-91659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓄電素子には、外部端子と集電体との機械的かつ電気的な接続性が良好であり、良好な気密性を有し、漏液及び水分の浸入を防止することが求められている。
【0007】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、良好な気密性を有し、漏液及び水分の浸入を防止できる蓄電素子及び蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蓄電素子及び蓄電モジュールは、外部端子が設けられた外装体と、前記外装体に収容された電極体と、一端が前記外部端子に接続された導電軸部と、前記外装体に収容され、前記導電軸部の他端が接続され、前記電極体が接続された導電板部とを備え、前記外部端子は、バスバーが載置される第一の表面に凹部を有し、第二の表面が前記外装体に対向し、前記凹部内で前記導電軸部の一端が前記外部端子に圧接し、前記外部端子は、前記バスバーによって前記凹部が気密に覆われるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る蓄電素子及び蓄電モジュールにあっては、外部端子の第一の表面に凹部が形成され、バスバーによって凹部が気密に覆われるので、前記外部端子と導電軸部との圧接部分が外部から隔絶される。そのため、耐腐食性が良好であり、蓄電素子の電気的性能の低下、及び短寿命化が抑制されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】蓄電素子の概略斜視図である。
図2】蓄電素子の概略正面図である。
図3図2に示すIII-III線を切断線とした蓄電素子の概略断面図である。
図4図2に示すIV-IV線を切断線とした蓋板付近の部分拡大断面図である。
図5】複数の蓄電素子を有する蓄電モジュールの概略図である。
図6図5に示すVI-VI線を切断線とした部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施の形態に係る蓄電素子及び蓄電モジュールを示す図面に基づいて説明する。図1は、蓄電素子の概略斜視図、図2は、蓄電素子の概略正面図である。以下、蓄電素子1がリチウムイオン二次電池である場合を説明するが、蓄電素子1は、リチウムイオン二次電池に限定されない。
【0012】
図1に示すように、蓄電素子1は、蓋板21及びケース本体20を有するケース2(外装体)、正極端子4(外部端子)、負極端子5(外部端子)、外ガスケット7、10、破裂弁6、及び集電体9、12を備える。正極端子4は略中央部に凹部41を有し、凹部41に集電体12の端部が機械的かつ電気的に接続されている。負極端子5は略中央部に凹部51を有し、凹部51に集電体9の端部が機械的かつ電気的に接続されている。集電体9、12の詳しい接続構造は後述する。
【0013】
ケース2は例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等の金属、又は合成樹脂からなる。ケース2は、直方体状をなし、後述する電極体3及び電解液(不図示)を収容する。本実施形態では、蓄電素子1の設置面(不図示)に対し、蓋板21が垂直に延びるように配置されている。なお、蓋板21は、図1における上を向くように配置してもよい。
【0014】
図2に示すように、蓋板21の外面の一端部に正極端子4が外ガスケット10を介して設けられ、蓋板21の外面の他端部に負極端子5が外ガスケット7を介して設けられている。正極端子4及び負極端子5は、その平坦な外面が露呈して、バスバー等の導電部材(図示せず)が溶接されるように構成されている。蓋板21の、正極端子4と負極端子5との間に破裂弁6が設けられている。
【0015】
図3は、図2に示すIII-III線を切断線とした蓄電素子1の概略断面図である。
図3に示すように、電極体3は、複数の正極板13、負極板14、及びセパレータ15を備える。正極板13、負極板14、及びセパレータ15はそれぞれ、図3における左右方向から見て矩形状をなす。複数の正極板13及び負極板14は、セパレータ15を介して交互に積層されている。図3においては、それぞれの負極板14から延びる負極タブ17が、それらの先端側で重ね合わされて導電板部90の内面(第二面)に接合されている状態を示す。負極タブ17は、蓄電素子1のエネルギー密度を向上できるように(負極端子5と負極板14との間の電流経路による占有スペースを小さくできるように)、ケース2内に湾曲した状態で収容されている。図示していないが、正極板13から延びる正極タブ16(後述)も、負極タブ17と同様に構成されている。
【0016】
電極体3は、長尺の正極板13と負極板14とをセパレータ15を介して扁平状に巻回して得られる巻回タイプであってもよい。集電体9の取り付け構造は後述する。
【0017】
正極板13は、アルミニウムやアルミニウム合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である正極基材箔の両面に正極活物質層が形成されたものである。負極板14は、銅及び銅合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である負極基材箔の両面に負極活物質層が形成されたものである。
【0018】
正極活物質層に用いられる正極活物質、又は負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質又は負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。
【0019】
正極活物質としては、例えば、LiMPO4 、LiM2 SiO4 、LiMBO3 (MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0020】
負極活物質としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム-アルミニウム、リチウム-シリコン、リチウム-鉛、リチウム-錫、リチウム-アルミニウム-錫、リチウム-ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li4 Ti5 12等)、ポリリン酸化合物等が挙げられる。
【0021】
セパレータ15は、電解液が浸潤するシート状乃至フィルム状の材料から形成される。セパレータ15を形成する材料としては、例えば織布、不織布、又は多孔性かつシート状乃至フィルム状の樹脂が挙げられる。セパレータ15は正極板13と負極板14とを離隔すると共に、正極板13と負極板14との間に電解液を保持する。
【0022】
図4は、図2に示すIV-IV線を切断線とした蓋板21付近の部分拡大断面図である。蓋板21には、二つの貫通孔210、211が蓋板21の長手方向に間隔をあけて設けられている。貫通孔210、211の間に破裂弁6が配置されている。
【0023】
図4に示すように、蓄電素子1は貫通孔211の近傍に、負極端子5、外ガスケット7、内ガスケット8、及び集電体9を備える。
【0024】
集電体9は銅製であり、導電板部90、導電軸部91、及びかしめ部92を有する。導電板部90は蓋板21の内側に配置されている。筒状の導電軸部91は導電板部90の外面(第一面)の略中央部に設けられており、貫通孔211を貫通する。導電軸部91の軸方向の一端にかしめ部92が形成されている。
【0025】
導電軸部91は導電板部90に一体的に形成されてもよい。代替的に、導電軸部91は導電板部90と別体で、導電板部90に溶接、かしめ等により接合されてもよい。導電軸部91は中実であってもよい。
【0026】
内ガスケット8は、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製である。内ガスケット8は、板部80、挿通孔81、ボス82、縁部83、及び被圧縮凸部84を有する。板部80は、導電板部90と蓋板21の内面との間に介在し、略中央部に挿通孔81を有する。挿通孔81を囲むように、筒状のボス82が設けられており、導電軸部91の外周を覆っている。板部80の内面の周縁には、内側に突出する縁部83が設けられている。縁部83は導電板部90の側面を覆う。板部80における、ボス82の外周側の両面にはリング状の被圧縮凸部84、84が設けられている。被圧縮凸部84はリング状に限定されず、周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。被圧縮凸部84は、かしめ時に押圧されて圧縮する。
【0027】
負極端子5はアルミニウム製であり、矩形板状をなす。負極端子5は第一面(外面)に、丸穴状の凹部51を有する。凹部51の底面の中央部には、導電軸部91が挿通される挿通孔52(貫通孔)が設けられている。
【0028】
負極端子5はアルミニウム製であり、かしめ部92は銅製であり、イオン化傾向の差が大きい。負極端子5とかしめ部92との接触部分に水等の液体が浸入し、かしめ部92と負極端子5とが液体を介して導通した場合、電蝕(ガルバニック腐食)が生じる虞がある。
【0029】
外ガスケット7はPPS又はPP等の合成樹脂製であり、板部70、挿通孔71、及び縁部72を有する。板部70は、蓋板21の外面と負極端子5の内面との間に介在する。挿通孔71は板部70の略中央部に設けられており、ボス82が挿入される。板部70の外面の周縁には、外側に突出する縁部72が設けられており、負極端子5の側面を覆っている。
【0030】
蓋板21の面方向(長手方向)における、導電板部90及び負極タブ17のそれぞれの寸法(面積)は、負極端子5の寸法よりも大きい。
【0031】
図4に示すように、蓄電素子1は貫通孔210の近傍に、正極端子4、外ガスケット10、内ガスケット11、及び集電体12を備える。
【0032】
集電体12はアルミニウム製であり、導電板部120、導電軸部121、及びかしめ部122を有する。導電板部120は蓋板21の内側に配置されている。筒状の導電軸部121は導電板部120の略中央部に設けられており、貫通孔210を貫通する。導電軸部121の端部にかしめ部122が形成されている。
【0033】
導電軸部121は導電板部120に一体的に形成されてもよい。代替的に、導電軸部121は導電板部120と別体で、導電板部120に溶接、かしめ等により接合されてもよい。
【0034】
内ガスケット11は、例えばPPS又はPP等の合成樹脂製である。内ガスケット11は、板部110、挿通孔111、ボス112、縁部113、及び被圧縮凸部114を有する。板部110は、導電板部120と蓋板21の内面との間に介在し、略中央部に挿通孔111を有する。挿通孔111を囲むように、筒状のボス112が設けられており、導電軸部121の外周を覆っている。板部110の内面の周縁には、内側に突出する縁部113が設けられている。板部110における、ボス112の外周側の両面に、リング状の被圧縮凸部設けられた114、114が設けられている。被圧縮凸部114はリング状に限定されず、周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。
【0035】
正極端子4はアルミニウム製であり、矩形板状をなす。正極端子4は第一面(外面)に、丸穴状の凹部41を有する。凹部41の底面の中央部には、導電軸部121が挿通される挿通孔42(貫通孔)が設けられている。
【0036】
導電軸部121の端部を凹部41にかしめることにより、かしめ部122が形成され、集電体12が正極端子4に機械的にかつ電気的に接続される。正極端子4の表面にめっき層は形成されていない。正極端子4及び集電体12は共にアルミニウム製であるので、かしめ部122と正極端子4とが接触する部分で、電蝕は生じない。
【0037】
外ガスケット10はPPS又はPP等の合成樹脂製であり、板部100、挿通孔101、及び縁部102を有する。板部100は、蓋板21の外面と正極端子4の内面との間に介在する。挿通孔101は板部100の略中央部に設けられており、ボス112が挿入される。板部100の外面の周縁には、外側に突出する縁部102が設けられており、正極端子4の側面を覆っている。
【0038】
本実施形態においては、導電軸部91の直下に負極タブ17が配置されているので、負極タブ17から負極端子5までの電流経路が短い。導電板部90が蓋板21と略平行に延びる板状に形成されているため、導電板部90がケース2内で占有する体積が小さい。そのため、ケース2内における電極体3の体積占有率が大きく、蓄電素子1のエネルギー密度が良好である。導電板部90がケース2内で占有する体積が小さいにも関わらず、負極タブ17が接続される内面の面積を広く確保できる。そのため、蓋板21の面方向における導電板部90及び負極タブ17のそれぞれの寸法を負極端子5の寸法よりも大きくし、負極タブ17と導電板部90との接触面積を大きくして、電流経路の抵抗ロスを小さくできる。同様に、正極タブ16から正極端子4までの電流経路が短く、また正極タブ16と導電板部120との接触面積を大きくして、電流経路の抵抗ロスを小さくできる。従って、蓄電素子1において、大電流が流れても、電流経路が溶断しにくい。
【0039】
複数の蓄電素子1を使用して、蓄電モジュールを作製することができる。図5は、複数の蓄電素子1を有する蓄電モジュール26の概略図、図6は、図5に示すVI-VI線を切断線とした部分拡大断面図である。蓄電モジュール26は、ボックスやエンドプレート等の保持部材24と、該保持部材24により保持された複数の蓄電素子1を備える。複数の蓄電素子1は、外部端子が設けられた壁(蓋板)が、同じ方向を向くように配置される。本実施形態では、設置面から、複数の蓄電素子1の蓋板が立ち上がり、それら蓋板に設けられた外部端子が蓄電素子モジュールの側方に向けられている。複数の蓄電素子1において、隣り合う蓄電素子は正極端子4と負極端子5が上下逆になるように配置される。隣接する蓄電素子1の正極端子4と負極端子5とをバスバー25によって接続することで、複数の蓄電素子1を直列接続できる。同極を接続して、複数の蓄電素子1を並列接続してもよい。
【0040】
バスバー25は長方形をなし、バスバー25の一端部は、凹部41内に配置されたかしめ部122と正極端子4との接続部分に対向し、凹部41を覆っている。凹部41の周囲全体において、バスバー25の一端部と正極端子4とが溶接されている。以下、バスバー25と正極端子4との溶接部分を、溶接部分25aと称する。バスバー25の一端部及び溶接部分25aによって、凹部41は封止されており、凹部41内に配置されたかしめ部122と正極端子4との接続部分、即ちかしめによる圧接部分は外部から隔絶されている。
【0041】
バスバー25の他端部は、凹部51内に配置されたかしめ部92と負極端子5との接続部分に対向し、凹部51を覆っている。凹部51の周囲全体において、バスバー25の他端部と負極端子5とが溶接されている。以下、バスバー25と負極端子5との溶接部分を、溶接部分25bと称する。バスバー25の他端部及び溶接部分25bによって、凹部51は封止されており、凹部51内に配置されたかしめ部92と負極端子5との接続部分、即ち圧接部分は外部から隔絶されている。
【0042】
正極端子4又は負極端子5と、かしめ部122、92との接続部分、即ち圧接部分の周囲全体がバスバー25に溶接されているので、凹部41、51がバスバー25によって気密に覆われ、外気から隔絶される。そのため、例えば外気に含まれる水分又は塩分と反応して、前記圧接部分にガルバニック腐食が発生することを防止できる。また漏液及び水分の浸入を防止できる。溶接は、気密な封止を実現する一例に過ぎず、例えば接着剤又はシールリング等を用いて、正極端子4又は負極端子5と、かしめ部122、92との接続部分の周囲全体と、バスバー25とを封止してもよい。
【0043】
集電体9には、銅部材が使用され、負極端子5には、アルミニウム部材が使用される。銅及びアルミニウムの間のイオン化傾向差は、比較的大きいので、両者の接触部分が外気に触れると、外気に含まれる水分又は塩分によってガルバニック腐食が発生し易い。ガルバニック腐食への対策として、集電体9にニッケルめっきを施すことが考えられる。しかし、負極タブ17と導電板部90とを超音波溶接する場合には、ニッケルめっきが剥がれ、負極タブ17にニッケル粉が混入するおそれがある。
【0044】
導電板部90にニッケルめっきを施さず、導電軸部91のみに対して、ニッケルめっきを施すことも考えられる。しかし、導電軸部91と導電板部90とが一体に成形されている場合、導電軸部91のみに対して、ニッケルめっきを施すことは困難である。実施の形態においては、ニッケルめっきを施すことなく、ガルバニック腐食の発生を防止している。なお集電体9に使用される部材は銅部材に限定されず、負極端子5に使用される部材はアルミニウム部材に限定されない。
【0045】
蓄電素子1がリチウムイオン二次電池である場合につき説明したが、蓄電素子1はリチウムイオン二次電池には限定されない。蓄電素子1は、ニッケル水素電池等の他の二次電池であってもよいし、一次電池であってもよいし、キャパシタ等の電気化学セルであってもよい。
【0046】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではない。記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 蓄電素子
2 ケース
3 電極体
4 正極端子(外部端子)
41 凹部
42 挿通孔(貫通孔)
5 負極端子(外部端子)
51 凹部
52 挿通孔(貫通孔)
9、12 集電体
90、120 導電板部
91、121 導電軸部
92、122 かしめ部
21 蓋板
25 バスバー
25a、25b 溶接部分
26 蓄電モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6