(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】原価計上装置、原価計上方法、および、原価計上プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20120101AFI20220225BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
(21)【出願番号】P 2017205190
(22)【出願日】2017-10-24
【審査請求日】2020-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩品 努
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雄教
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-186950(JP,A)
【文献】特開2003-044645(JP,A)
【文献】国際公開第2008/078385(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた原価計上装置であって、
前記記憶部は、
仕訳データを記憶する仕訳データ記憶手段、
を備え、
前記制御部は、
売上時に、売上時発生原価、および、発注残となっている請求書未達の売上時未達原価と今後発生見込の売上時見込原価とを含む売上時仮原価を設定する売上時設定手段と、
売上月に取得した請求書データに基づいて、売上月の売上時以降の発生原価である売上月発生原価、発注残となっている請求書未達の売上月の累積未達原価、および、今後発生見込の売上月の累積見込原価を算出し、前記売上時発生原価、前記売上月発生原価、および、前記売上月の累積未達原価と前記売上月の累積見込原価とを含む売上月仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する売上月仕訳手段と、
月初に、前月に作成された前記累積未達原価および前記累積見込原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する取消仕訳手段と、
前記売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月の発生原価である当月発生原価、発注残となっている請求書未達の当月の累積未達原価、および、今後発生見込の当月の累積見込原価を算出し、前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する月次仕訳手段と、
を備えたことを特徴とする原価計上装置。
【請求項2】
前記月次仕訳手段は、
前記売上月後の各月に、当月に取得した前記請求書データに基づいて、前記当月発生原価を算出し、当該当月発生原価が前月の前記累積未達原価より少ない場合、前記前月の累積未達原価から当該
当月発生原価を減じた当月の累積未達原価を算出し、前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む前記月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする請求項1に記載の原価計上装置。
【請求項3】
前記月次仕訳手段は、
前記売上月後の各月に、当月に取得した前記請求書データに基づいて、前記当月発生原価を算出し、当該当月発生原価が、前月の前記累積未達原価より多く、且つ、前記前月の累積未達原価と前月の前記累積見込原価との合計金額より少ない場合、前記当月発生原価から前記前月の累積未達原価を減じた追加原価を算出し、当月の累積未達原価を0とし、前記合計金額から前記当月発生原価を減じた当月の累積見込原価を算出し、前記追加原価を含む前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む前記月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする請求項1に記載の原価計上装置。
【請求項4】
前記月次仕訳手段は、
前記売上月後の各月に、当月に取得した前記請求書データに基づいて、前記当月発生原価を算出し、当該当月発生原価が、前月の前記累積未達原価と前月の前記累積見込原価との合計金額より多い場合、前記当月発生原価から前記前月の累積未達原価を減じた追加原価を算出し、当月の累積未達原価を0とし、当月の累積見込原価を0とし、前記追加原価を含む前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む前記月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする請求項1に記載の原価計上装置。
【請求項5】
前記月次仕訳手段は、
更に、前記当月が決算月の場合、前記当月の累積見込原価を0とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の原価計上装置。
【請求項6】
前記月次仕訳手段は、
更に、前記売上時発生原価と、前記売上月発生原価と、前記売上月後の各月の前記当月発生原価を累積した金額とを合計した当月の累積発生原価を算出し、前記当月の累積発生原価を前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の原価計上装置。
【請求項7】
前記売上月仕訳手段は、
更に、前記売上時発生原価と前記売上月発生原価と前記売上月仮原価とを合計した売上月の最終予想原価、および、前記売上時発生原価と前記売上月発生原価と前記売上月の累積未達原価とを合計した売上月の最終取極原価を算出し、前記売上月の最終予想原価および前記売上月の最終取極原価を前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の原価計上装置。
【請求項8】
前記月次仕訳手段は、
更に、前記売上月後の各月に、前記当月の累積発生原価と当月の前記月次仮原価とを合計した当月の最終予想原価、および、前記当月の累積発生原価と前記当月の累積未達原価とを合計した当月の最終取極原価を算出し、前記当月の最終予想原価および前記当月の最終取極原価を前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする請求項6に記載の原価計上装置。
【請求項9】
前記売上時設定手段は、
更に、前記売上時発生原価と前記売上時仮原価とを合計した売上時の最終予想原価、および、前記売上時発生原価と前記売上時未達原価とを合計した売上時の最終取極原価を算出することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の原価計上装置。
【請求項10】
記憶部と制御部とを備えた原価計上装置に実行させるための原価計上方法であって、
前記記憶部は、
仕訳データを記憶する仕訳データ記憶手段、
を備え、
前記制御部で実行させる、
売上時に、売上時発生原価、および、発注残となっている請求書未達の売上時未達原価と今後発生見込の売上時見込原価とを含む売上時仮原価を設定する売上時設定ステップと、
売上月に取得した請求書データに基づいて、売上月の売上時以降の発生原価である売上月発生原価、発注残となっている請求書未達の売上月の累積未達原価、および、今後発生見込の売上月の累積見込原価を算出し、前記売上時発生原価、前記売上月発生原価、および、前記売上月の累積未達原価と前記売上月の累積見込原価とを含む売上月仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する売上月仕訳ステップと、
月初に、前月に作成された前記累積未達原価および前記累積見込原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する取消仕訳ステップと、
前記売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月の発生原価である当月発生原価、発注残となっている請求書未達の当月の累積未達原価、および、今後発生見込の当月の累積見込原価を算出し、前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する月次仕訳ステップと、
を含むことを特徴とする原価計上方法。
【請求項11】
記憶部と制御部とを備えた原価計上装置に実行させるための原価計上プログラムであって、
前記記憶部は、
仕訳データを記憶する仕訳データ記憶手段、
を備え、
前記制御部において、
売上時に、売上時発生原価、および、発注残となっている請求書未達の売上時未達原価と今後発生見込の売上時見込原価とを含む売上時仮原価を設定する売上時設定ステップと、
売上月に取得した請求書データに基づいて、売上月の売上時以降の発生原価である売上月発生原価、発注残となっている請求書未達の売上月の累積未達原価、および、今後発生見込の売上月の累積見込原価を算出し、前記売上時発生原価、前記売上月発生原価、および、前記売上月の累積未達原価と前記売上月の累積見込原価とを含む売上月仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する売上月仕訳ステップと、
月初に、前月に作成された前記累積未達原価および前記累積見込原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する取消仕訳ステップと、
前記売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月の発生原価である当月発生原価、発注残となっている請求書未達の当月の累積未達原価、および、今後発生見込の当月の累積見込原価を算出し、前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する月次仕訳ステップと、
を実行させるための原価計上プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原価計上装置、原価計上方法、および、原価計上プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、仕訳においてユーザが望む任意の取引を取り消すために、取り消すべき取引データを特定し、逆仕訳データを作成することによって相殺することができる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、仮原価を計上する構成は記載されておらず、仮原価として計上した仕訳データを翌月初に取り消すための逆仕訳データを作成することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、仮原価として計上した仕訳を翌月初に取消し、売上後毎月次、最終予想原価を評価した金額を仮原価として計上することができる原価計上装置、原価計上方法、および、原価計上プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る原価計上装置は、記憶部と制御部とを備えた原価計上装置であって、前記記憶部は、仕訳データを記憶する仕訳データ記憶手段、を備え、前記制御部は、売上時に、売上時発生原価、および、発注残となっている請求書未達の売上時未達原価と今後発生見込の売上時見込原価とを含む売上時仮原価を設定する売上時設定手段と、売上月に取得した請求書データに基づいて、売上月の売上時以降の発生原価である売上月発生原価、発注残となっている請求書未達の売上月の累積未達原価、および、今後発生見込の売上月の累積見込原価を算出し、前記売上時発生原価、前記売上月発生原価、および、前記売上月の累積未達原価と前記売上月の累積見込原価とを含む売上月仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する売上月仕訳手段と、月初に、前月に作成された前記累積未達原価および前記累積見込原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する取消仕訳手段と、前記売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月の発生原価である当月発生原価、発注残となっている請求書未達の当月の累積未達原価、および、今後発生見込の当月の累積見込原価を算出し、前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する月次仕訳手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る原価計上装置は、前記月次仕訳手段は、前記売上月後の各月に、当月に取得した前記請求書データに基づいて、前記当月発生原価を算出し、当該当月発生原価が前月の前記累積未達原価より少ない場合、前記前月の累積未達原価から当該当月発生原価を減じた当月の累積未達原価を算出し、前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む前記月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る原価計上装置は、前記月次仕訳手段は、前記売上月後の各月に、当月に取得した前記請求書データに基づいて、前記当月発生原価を算出し、当該当月発生原価が、前月の前記累積未達原価より多く、且つ、前記前月の累積未達原価と前月の前記累積見込原価との合計金額より少ない場合、前記当月発生原価から前記前月の累積未達原価を減じた追加原価を算出し、当月の累積未達原価を0とし、前記合計金額から前記当月発生原価を減じた当月の累積見込原価を算出し、前記追加原価を含む前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む前記月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る原価計上装置は、前記月次仕訳手段は、前記売上月後の各月に、当月に取得した前記請求書データに基づいて、前記当月発生原価を算出し、当該当月発生原価が、前月の前記累積未達原価と前月の前記累積見込原価との合計金額より多い場合、前記当月発生原価から前記前月の累積未達原価を減じた追加原価を算出し、当月の累積未達原価を0とし、当月の累積見込原価を0とし、前記追加原価を含む前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む前記月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る原価計上装置は、前記月次仕訳手段は、更に、前記当月が決算月の場合、前記当月の累積見込原価を0とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る原価計上装置は、前記月次仕訳手段は、更に、前記売上時発生原価と、前記売上月発生原価と、前記売上月後の各月の前記当月発生原価を累積した金額とを合計した当月の累積発生原価を算出し、前記当月の累積発生原価を前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る原価計上装置は、前記売上月仕訳手段は、更に、前記売上時発生原価と前記売上月発生原価と前記売上月仮原価とを合計した売上月の最終予想原価、および、前記売上時発生原価と前記売上月発生原価と前記売上月の累積未達原価とを合計した売上月の最終取極原価を算出し、前記売上月の最終予想原価および前記売上月の最終取極原価を前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る原価計上装置は、前記月次仕訳手段は、更に、前記売上月後の各月に、前記当月の累積発生原価と当月の前記月次仮原価とを合計した当月の最終予想原価、および、前記当月の累積発生原価と前記当月の累積未達原価とを合計した当月の最終取極原価を算出し、前記当月の最終予想原価および前記当月の最終取極原価を前記仕訳データ記憶手段に格納することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る原価計上装置は、前記売上時設定手段は、更に、前記売上時発生原価と前記売上時仮原価とを合計した売上時の最終予想原価、および、前記売上時発生原価と前記売上時未達原価とを合計した売上時の最終取極原価を算出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る原価計上方法は、記憶部と制御部とを備えた原価計上装置に実行させるための原価計上方法であって、前記記憶部は、仕訳データを記憶する仕訳データ記憶手段、を備え、前記制御部で実行させる、売上時に、売上時発生原価、および、発注残となっている請求書未達の売上時未達原価と今後発生見込の売上時見込原価とを含む売上時仮原価を設定する売上時設定ステップと、売上月に取得した請求書データに基づいて、売上月の売上時以降の発生原価である売上月発生原価、発注残となっている請求書未達の売上月の累積未達原価、および、今後発生見込の売上月の累積見込原価を算出し、前記売上時発生原価、前記売上月発生原価、および、前記売上月の累積未達原価と前記売上月の累積見込原価とを含む売上月仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する売上月仕訳ステップと、月初に、前月に作成された前記累積未達原価および前記累積見込原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する取消仕訳ステップと、前記売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月の発生原価である当月発生原価、発注残となっている請求書未達の当月の累積未達原価、および、今後発生見込の当月の累積見込原価を算出し、前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する月次仕訳ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る原価計上プログラムは、記憶部と制御部とを備えた原価計上装置に実行させるための原価計上プログラムであって、前記記憶部は、仕訳データを記憶する仕訳データ記憶手段、を備え、前記制御部において、売上時に、売上時発生原価、および、発注残となっている請求書未達の売上時未達原価と今後発生見込の売上時見込原価とを含む売上時仮原価を設定する売上時設定ステップと、売上月に取得した請求書データに基づいて、売上月の売上時以降の発生原価である売上月発生原価、発注残となっている請求書未達の売上月の累積未達原価、および、今後発生見込の売上月の累積見込原価を算出し、前記売上時発生原価、前記売上月発生原価、および、前記売上月の累積未達原価と前記売上月の累積見込原価とを含む売上月仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する売上月仕訳ステップと、月初に、前月に作成された前記累積未達原価および前記累積見込原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する取消仕訳ステップと、前記売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月の発生原価である当月発生原価、発注残となっている請求書未達の当月の累積未達原価、および、今後発生見込の当月の累積見込原価を算出し、前記当月発生原価、および、前記当月の累積未達原価と前記当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを前記仕訳データ記憶手段に格納する月次仕訳ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、建設業、広告業またはITサービス業等の協力会社に外注依頼をするような業界において、売上月に請求書が未達になっており、請求書が翌月以降に到着してから原価計上をする場合でも、売上月と同月に仮原価計上ができるため、売上原価のバランスをとることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、原価計上装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における原価計上装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施形態における原価計上処理の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における原価計上処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における原価計上処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における原価計上処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における原価計上処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における原価計上処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0020】
[1.概要]
まず、本発明の概要を説明する。
【0021】
従来、仮仕訳を入力する際に、発注残の金額をシステム外で集計していたが、管理会計上の粗利の把握に時間がかかっていた。また、従来、仮原価計上のエビデンスとしての内訳のために、対象プロジェクトを別途管理しておく必要があった。
【0022】
そこで、本実施形態においては、売上時に、発注残となっていて請求書未達の原価、および、今後発生予定の原価を原価責任者が承認し、仮原価計上とする運用を可能としている。また、本実施形態においては、月次決算の場合、毎月、最終予想原価を売上原価とする仕訳を計上し、翌月初に取消し仕訳を計上する原価計上を可能としている。
【0023】
[2.構成]
本実施形態に係る原価計上装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、原価計上装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
原価計上装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、原価計上装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0025】
原価計上装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。原価計上装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0026】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、原価計上装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、原価計上装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、受注データファイル106aと、仕訳データファイル106bとを備えている。
【0028】
受注データファイル106aは、受注金額(契約金額)を含む受注データを記憶する。ここで、受注データは、プロジェクトNO、プロジェクト件名、得意先名、契約明細NO、受注日付、期間、原価科目名および/または予算金額等を含んでいてもよい。
【0029】
仕訳データファイル106bは、仕訳データを記憶する。ここで、仕訳データファイル106bは、累積発生原価、最終予想原価および/または最終取極原価を記憶してもよい。
【0030】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0031】
制御部102は、原価計上装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、売上時設定部102aと、売上月仕訳部102bと、取消仕訳部102cと、月次仕訳部102dとを備えている。
【0032】
売上時設定部102aは、売上時に、売上時発生原価、および、発注残となっている請求書未達の売上時未達原価と今後発生見込の売上時見込原価とを含む売上時仮原価を設定する。ここで、売上時設定部102aは、更に、売上時発生原価、売上時未達原価および売上時見込原価を仕訳データファイル106bに格納してもよい。また、売上時設定部102aは、更に、売上時発生原価と売上時仮原価とを合計した売上時の最終予想原価、および、売上時発生原価と売上時未達原価とを合計した売上時の最終取極原価を算出してもよい。また、売上時設定部102aは、更に、売上時の最終予想原価および売上時の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納してもよい。また、売上時設定部102aは、売上時に、売上時発生原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納してもよい。
【0033】
売上月仕訳部102bは、売上月に取得した請求書データに基づいて、売上月の売上時以降の発生原価である売上月発生原価、発注残となっている請求書未達の売上月の累積未達原価、および、今後発生見込の売上月の累積見込原価を算出し、売上時発生原価、売上月発生原価、および、売上月の累積未達原価と売上月の累積見込原価とを含む売上月仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納する。ここで、売上月仕訳部102bは、更に、売上時発生原価と売上月発生原価と売上月仮原価とを合計した売上月の最終予想原価、および、売上時発生原価と売上月発生原価と売上月の累積未達原価とを合計した売上月の最終取極原価を算出し、売上月の最終予想原価および売上月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納してもよい。また、売上月仕訳部102bは、売上時発生原価と売上月発生原価とを合計した売上月の累積発生原価を算出してもよい。
【0034】
取消仕訳部102cは、月初に、前月に作成された累積未達原価および累積見込原価(売上月仮原価または月次仮原価)に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを仕訳データファイル106bに格納する。ここで、取消仕訳部102cは、累積未達原価、累積見込原価、売上月仮原価または月次仮原価に関する仕訳データを取り消す(振り替える)ための振替仕訳データを作成し、当該振替仕訳データを仕訳データファイル106bに格納してもよい。
【0035】
月次仕訳部102dは、売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月の発生原価である当月発生原価、発注残となっている請求書未達の当月の累積未達原価、および、今後発生見込の当月の累積見込原価を算出し、当月発生原価、および、当月の累積未達原価と当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納する。ここで、月次仕訳部102dは、売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月発生原価を算出し、当該当月発生原価が前月の累積未達原価より少ない場合、前月の累積未達原価から当該当月発生原価を減じた当月の累積未達原価を算出し、当月発生原価、および、当月の累積未達原価と当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納してもよい。
【0036】
また、月次仕訳部102dは、売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月発生原価を算出し、当該当月発生原価が、前月の累積未達原価より多く、且つ、前月の累積未達原価と前月の累積見込原価との合計金額より少ない場合、当月発生原価から前月の累積未達原価を減じた追加原価を算出し、当月の累積未達原価を0とし、当該合計金額から当月発生原価を減じた当月の累積見込原価を算出し、追加原価を含む当月発生原価、および、当月の累積未達原価と当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納してもよい。また、月次仕訳部102dは、売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月発生原価を算出し、当該当月発生原価が、前月の累積未達原価と前月の累積見込原価との合計金額より多い場合、当月発生原価から前月の累積未達原価を減じた追加原価を算出し、当月の累積未達原価を0とし、当月の累積見込原価を0とし、追加原価を含む当月発生原価、および、当月の累積未達原価と当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納してもよい。
【0037】
また、月次仕訳部102dは、更に、当月が決算月の場合、当月の累積見込原価を0としてもよい。また、月次仕訳部102dは、更に、売上時発生原価と、売上月発生原価と、売上月後の各月の当月発生原価を累積した金額とを合計した当月の累積発生原価を算出し、当月の累積発生原価を仕訳データファイル106bに格納してもよい。また、月次仕訳部102dは、更に、売上月後の各月に、当月の累積発生原価と当月の月次仮原価とを合計した当月の最終予想原価、および、当月の累積発生原価と当月の累積未達原価とを合計した当月の最終取極原価を算出し、当月の最終予想原価および当月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納してもよい。なお、月次仕訳部102dは、「当月の累積見込原価=前月末見込金額+売上時見込金額+決算見込調整額+見込調整額-当月の発注外原価累計金額-当月の追加原価」により算出してもよい。
【0038】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図2から
図8を参照して説明する。
【0039】
[原価計上処理]
ここで、
図2を参照して、本実施形態における原価計上処理の一例について説明する。
図2は、本実施形態における原価計上装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0040】
図2に示すように、売上時設定部102aは、売上時に、受注データファイル106aに記憶された受注データに基づいて、売上時発生原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し、売上時発生原価、および、発注残となっている請求書未達の売上時未達原価と今後発生見込の売上時見込原価とを含む売上時仮原価を設定し、売上時発生原価と売上時仮原価とを合計した売上時の最終予想原価、および、売上時発生原価と売上時未達原価とを合計した売上時の最終取極原価を算出し、売上時発生原価、売上時未達原価、売上時見込原価、売上時の最終予想原価および売上時の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納する(ステップSA-1)。
【0041】
そして、売上月仕訳部102bは、外注依頼した協力会社から売上月に取得した請求書データに基づいて、売上月の売上時以降の発生原価である売上月発生原価、発注残となっている請求書未達の売上月の累積未達原価、および、今後発生見込の売上月の累積見込原価を算出し、売上時発生原価、売上月発生原価、および、売上月の累積未達原価と売上月の累積見込原価とを含む売上月仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し、売上時発生原価と売上月発生原価と売上月仮原価とを合計した売上月の最終予想原価、および、売上時発生原価と売上月発生原価と売上月の累積未達原価とを合計した売上月の最終取極原価を算出し、売上月の最終予想原価および売上月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納する(ステップSA-2)。
【0042】
そして、取消仕訳部102cは、月初に、前月に作成された累積未達原価および累積見込原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを仕訳データファイル106bに格納する(ステップSA-3)。
【0043】
そして、月次仕訳部102dは、売上月後の各月に、当月に取得した請求書データに基づいて、当月の発生原価である当月発生原価、発注残となっている請求書未達の当月の累積未達原価、および、今後発生見込の当月の累積見込原価を算出し、当月発生原価、および、当月の累積未達原価と当月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し、売上時発生原価と、売上月発生原価と、売上月後の各月の当月発生原価を累積した金額とを合計した当月の累積発生原価を算出し、当月の累積発生原価と当月の月次仮原価とを合計した当月の最終予想原価、および、当月の累積発生原価と当月の累積未達原価とを合計した当月の最終取極原価を算出し、当月の最終予想原価および当月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納する(ステップSA-4)。
【0044】
そして、制御部102は、ユーザにより入力装置112を介して原価完了の指示が入力されたか否かを判定する(ステップSA-5)。
【0045】
そして、制御部102は、ユーザにより入力装置112を介して原価完了の指示が入力されていないと判定した場合(ステップSA-5:No)、処理をステップSA-3に移行させる。
【0046】
一方、制御部102は、ユーザにより入力装置112を介して原価完了の指示が入力されたと判定した場合(ステップSA-5:Yes)、処理をステップSA-6に移行させる。
【0047】
そして、制御部102は、当月の累積未達原価および/または当月の累積見込原価に残額があるか否かを判定する(ステップSA-6)。
【0048】
そして、制御部102は、当月の累積未達原価および/または当月の累積見込原価に残額がないと判定した場合(ステップSA-6:No)、処理を終了する。
【0049】
そして、制御部102は、当月の累積未達原価および/または当月の累積見込原価に残額があると判定した場合(ステップSA-6:Yes)、処理をステップSA-7に移行させる。
【0050】
そして、取消仕訳部102cは、当月の月次仮原価に関する仕訳データを取り消すための振替仕訳データを作成し、当該振替仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し(ステップSA-7)、処理を終了する。
【0051】
ここで、
図3から
図8を参照して、本実施形態における原価計上処理の詳細について説明する。
【0052】
まず、
図3から
図8を参照して、本実施形態における原価計上処理の具体例について説明する。
図3から
図8は、本実施形態における原価計上処理の一例を示す図である。
【0053】
図3に示すように、本実施形態においては、売上月(7月)の売上時に、受注データファイル106aに記憶された受注データ(工事番号、契約金額(¥100,000)、実行予算(¥80,000)、ならびに、出来高査定と直接経費と直接労務費を含む発生原価(¥50,000))に基づいて、発生原価を未成工事支出金から完成原価振替(売上原価を仮原価に振替(買掛金を工事未払金に振替))するための仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納している。
【0054】
そして、
図3に示すように、本実施形態においては、受注データファイル106aに記憶された受注データに基づいて、技術部のユーザにより入力装置112を介して工事および/または契約単位に今後予想される発注残となっている請求書未達の未達原価である売上時未達原価(¥30,000)および今後発生見込の見込原価である売上時見込原価(¥10,000)が入力された場合、(売上時)発生原価、および、売上時未達原価と売上時見込原価とを含む売上時仮原価を設定し、(売上時)発生原価と売上時仮原価とを合計した売上時の最終予想原価、および、(売上時)発生原価と売上時未達原価とを合計した売上時の最終取極原価を算出し、(売上時)発生原価、売上時未達原価、売上時見込原価、売上時の最終予想原価および売上時の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納している。そして、
図3に示すように、本実施形態においては、技術部のユーザにより入力装置112を介して今後かかる着地予想が予算工種毎に入力されることで、工事完成報告書データが作成されている。
【0055】
そして、
図3に示すように、本実施形態においては、7/31に、売上月(7月)に請求書データを取得していないため、(売上時)発生原価を売上月の累積発生原価に設定し、売上時未達原価を売上月の累積未達原価に設定し、売上時見込原価を売上月の累積見込原価に設定し、売上月の累積発生原価、売上月の累積未達原価および売上月の累積見込原価を含む売上月仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し、売上月の累積発生原価と売上月仮原価とを合計した売上月の最終予想原価(¥90,000)、および、売上月の累積発生原価と売上月の累積未達原価とを合計した売上月の最終取極原価(¥80,000)を算出し、売上月の最終予想原価および売上月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納している。
【0056】
そして、
図4に示すように、本実施形態においては、8月初(8/1)に、前月(7月)に作成された累積未達原価および累積見込原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを仕訳データファイル106bに格納している。このように、本実施形態においては、未達原価計上分を翌月初に取消仕訳している。
【0057】
そして、
図4に示すように、本実施形態においては、8/31に、8月に取得した請求書データ(¥10,000)に基づいて、8月の発生原価である当月発生原価(¥10,000)、8月の累積未達原価(¥20,000)、および、8月の累積見込原価(¥10,000)を算出し、8月発生原価、および、8月の累積未達原価と8月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し、売上時発生原価と、売上月後の各月(8月)の当月発生原価を累積した金額とを合計した8月の累積発生原価(¥60,000)を算出し、8月の累積発生原価と8月の月次仮原価とを合計した当月の最終予想原価(¥90,000)、および、8月の累積発生原価と8月の累積未達原価とを合計した8月の最終取極原価(¥80,000)を算出し、8月の最終予想原価および8月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納している。このように、本実施形態においては、売上月後、追加発生の原価を計上する際に、仮原価を超える金額までは仮原価を売上原価に振替(工事未払金を買掛金に振替)している。
【0058】
そして、
図5に示すように、本実施形態においては、決算月である9月初(9/1)に、前月(8月)に作成された8月の月次仮原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを仕訳データファイル106bに格納している。
【0059】
そして、
図5に示すように、本実施形態においては、9月が決算月であるため、9/30に、決算月である9月に請求書データを取得していないため、8月の累積未達原価を9月の累積未達原価(¥20,000)に設定し、9月の累積見込原価を0に設定し、9月の累積未達原価を含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し、売上時発生原価と、売上月後の各月(8月から9月まで)の当月発生原価を累積した金額とを合計した9月の累積発生原価(¥60,000)を算出し、9月の累積発生原価と9月の月次仮原価とを合計した9月の最終予想原価(¥80,000)、および、9月の累積発生原価と9月の累積未達原価とを合計した9月の最終取極原価(¥80,000)を算出し、9月の最終予想原価および9月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納している。このように、本実施形態においては、原価計算の会計年月で決算月を判断し、累計見込原価を0に更新している。
【0060】
そして、
図6に示すように、本実施形態においては、10月初(10/1)に、前月(9月)に作成された9月の月次仮原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを仕訳データファイル106bに格納している。
【0061】
そして、
図6に示すように、本実施形態においては、10/31に、10月に取得した請求書データ(¥25,000)に基づいて、10月の当月発生原価(¥25,000)を算出し、10月の当月発生原価が9月の月次仮原価(¥20,000)より多いため、10月の当月発生原価から9月の累積未達原価を減じた10月の追加原価(¥5,000)を算出し、10月の累積未達原価を0とし、10月の累積見込原価を0とし、10月の追加原価を含む10月の当月発生原価、および、10月の累積未達原価および10月の累積見込原価を含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し、売上時発生原価と、売上月後の各月(8月から10月まで)の当月発生原価を累積した金額とを合計した10月の累積発生原価(¥85,000)を算出し、10月の累積発生原価と10月の月次仮原価とを合計した10月の最終予想原価(¥85,000)、および、10月の累積発生原価と10月の累積未達原価とを合計した10月の最終取極原価(¥85,000)を算出し、10月の最終予想原価および10月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納している。このように、本実施形態においては、売上月後、仮原価を超える追加原価が発生した場合、売上原価を計上している。また、本実施形態においては、10月の累積発生原価が9月の最終予想原価(¥80,000)よりも多いため、最終予想原価を洗替えている。
【0062】
そして、
図6に示すように、本実施形態においては、ユーザにより入力装置112を介して原価完了の指示が入力された場合、原価発生不可としている。このように、本実施形態においては、原価完了の場合、該当工事に原価が発生しないように制御している。
【0063】
一方、
図7に示すように、本実施形態においては、9月が決算月ではなく通常月である場合、9/30に、9月に請求書データを取得していないため、8月の累積未達原価を9月の累積未達原価(¥20,000)に設定し、8月の累積見込原価を9月の累積見込原価(¥10,000)に設定し、9月の累積未達原価と9月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し、売上時発生原価と、売上月後の各月(8月から9月まで)の当月発生原価を累積した金額とを合計した9月の累積発生原価(¥60,000)を算出し、9月の累積発生原価と9月の月次仮原価とを合計した当月の最終予想原価(¥90,000)、および、9月の累積発生原価と9月の累積未達原価とを合計した9月の最終取極原価(¥80,000)を算出し、9月の最終予想原価および9月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納している。
【0064】
そして、
図8に示すように、本実施形態においては、10月初(10/1)に、前月(9月)に作成された9月の月次仮原価に関する仕訳データを取り消すための逆仕訳データを作成し、当該逆仕訳データを仕訳データファイル106bに格納している。
【0065】
そして、
図8に示すように、本実施形態においては、10/31に、10月に取得した請求書データ(¥25,000)に基づいて、10月の当月発生原価(¥25,000)を算出し、10月の当月発生原価が、9月の累積未達原価(¥20,000)より多く、且つ、9月の月次仮原価(¥30,000)より少ないため、10月の当月発生原価から9月の累積未達原価を減じた10月の追加原価(¥5,000)を算出し、当月の累積未達原価を0とし、9月の月次仮原価から10月の当月発生原価を減じた10月の累積見込原価(¥5,000)を算出し、10月の追加原価を含む10月の当月発生原価、および、10月の累積未達原価と10月の累積見込原価とを含む月次仮原価に関する仕訳データを作成し、当該仕訳データを仕訳データファイル106bに格納し、売上時発生原価と、売上月後の各月(8月から10月まで)の当月発生原価を累積した金額とを合計した10月の累積発生原価(¥85,000)を算出し、10月の累積発生原価と10月の月次仮原価とを合計した当月の最終予想原価(¥90,000)、および、10月の累積発生原価と10月の累積未達原価とを合計した10月の最終取極原価(¥85,000)を算出し、10月の最終予想原価および10月の最終取極原価を仕訳データファイル106bに格納している。このように、本実施形態においては、10月の累積発生原価が9月の最終取極原価よりも多いため、累積見込原価を取り崩している。
【0066】
そして、
図8に示すように、本実施形態においては、10月の月次仮原価に関する仕訳データを取り消すための振替仕訳データを作成し、当該振替仕訳データを仕訳データファイル106bに格納している。そして、
図8に示すように、本実施形態においては、ユーザにより入力装置112を介して原価完了の指示が入力された場合、原価発生不可としている。
【0067】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0068】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0069】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0070】
また、原価計上装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0071】
例えば、原価計上装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて原価計上装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0072】
また、このコンピュータプログラムは、原価計上装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0073】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0074】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0075】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0076】
また、原価計上装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、原価計上装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0077】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、協力会社に外注依頼する際に、毎月発注残にて売上原価計上をする建設業、広告業またはITサービス業等において有用である。
【符号の説明】
【0079】
100 原価計上装置
102 制御部
102a 売上時設定部
102b 売上月仕訳部
102c 取消仕訳部
102d 月次仕訳部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 受注データファイル
106b 仕訳データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク