(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】外殻トンネル構築用搬送システム
(51)【国際特許分類】
E21F 13/00 20060101AFI20220225BHJP
E21D 11/40 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
E21F13/00
E21D11/40 Z
(21)【出願番号】P 2017229479
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000228707
【氏名又は名称】日本コンベヤ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】布村 進
(72)【発明者】
【氏名】松山 正典
(72)【発明者】
【氏名】為本 隆也
(72)【発明者】
【氏名】市川 政美
(72)【発明者】
【氏名】和田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】中村 太三
(72)【発明者】
【氏名】請川 誠
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-096097(JP,A)
【文献】特開平06-248899(JP,A)
【文献】特開平06-257381(JP,A)
【文献】特開平09-177499(JP,A)
【文献】特開平07-071197(JP,A)
【文献】特開平06-129199(JP,A)
【文献】特開2005-290678(JP,A)
【文献】特開平02-194297(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104265334(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 13/00
E21D 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物の外周に複数の外殻トンネルを掘削するために用いられる資機材を掘削機に搬送するシステムであって、
搭載位置で前記資機材を
積載した台車を搭載して、前記地下構造物の円周方向に延びる円周発進基地内を移動する円周搬送装置と、
前記地下構造物内を通る前記資機材の輸送経路に設けられ、輸送された前記資機材を複数保管可能な資機材保管部と、
前記資機材保管部からの前記資機材の供給位置と、前記円周発進基地の前記搭載位置との間を接続する接続通路を有し、前記搭載位置に移動した前記円周搬送装置へ前記供給位置から前記資機材を供給する接続搬送装置と、を備え
、
前記接続搬送装置は、前記接続通路を介して、前記供給位置で前記資機材を積載した積載台車と、前記搭載位置における前記円周搬送装置に搭載されていた空台車とを入れ替えるように構成されている、外殻トンネル構築用搬送システム。
【請求項2】
前記資機材保管部は、
上下に並ぶ複数の収容部を有する立体保管庫と、
輸送された前記資機材を分類して前記複数の収容部のいずれかに搬入する搬入機構と、
前記収容部に保管された前記資機材を前記供給位置に搬出する搬出機構と、をさらに含む、請求項1に記載の外殻トンネル構築用搬送システム。
【請求項3】
前記資機材保管部は、前記輸送経路のうち前記資機材を搬送するための第1輸送経路に接続するとともに、前記輸送経路のうち前記資機材保管部を経由せずに搬送物を搬送するための第2輸送経路と並んで設けられており、
前記接続搬送装置は、前記供給位置の前記資機材を前記搭載位置に供給するとともに、前記第2輸送経路から輸送された前記搬送物を前記搭載位置に供給するように構成されている、請求項1または2に記載の外殻トンネル構築用搬送システム。
【請求項4】
前記接続通路は、前記供給位置から前記搭載位置に向かう第1通路と、前記搭載位置から前記供給位置に向かう前記第1通路とは異なる第2通路とを含む循環通路であり、
前記接続搬送装置は
、前記搭載位置における前記円周搬送装置
から前記空台車を前記第2通路に送り出し、前記積載台車を前記第1通路から前記円周搬送装置へ送り込むように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の外殻トンネル構築用搬送システム。
【請求項5】
前記掘削機の稼働情報、前記円周搬送装置の稼働情報、および前記資機材保管部の稼働情報をそれぞれ収集し、前記掘削機の動作に応じて前記資機材保管部から前記資機材を供給させるとともに、規定数量の前記資機材が前記資機材保管部に確保されるように前記資機材保管部への前記資機材の輸送要求を地上供給設備に出力するように構成された、物流管理部をさらに備える、請求項1~
4のいずれか1項に記載の外殻トンネル構築用搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外殻トンネル構築用搬送システムに関し、特に、地下構造物の外周に外殻トンネルを構築するための資機材を搬送する円周搬送装置を備えた外殻トンネル構築用搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地下構造物の外周に複数の外殻トンネルを構築するために掘削機や資機材を搬送する円周搬送装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
外殻トンネルは、トンネルなどの地下構造物の防護のために、地下構造物の外周に並べて形成されるトンネルである。外殻トンネルは、トンネル形成後にコンクリートなどが充填されることにより、地下構造物の周囲の防護壁として構成される。
【0004】
上記特許文献1には、円筒状の12個の搬送ユニットを有し、地下構造物である第1シールドトンネルの周囲を回転する回転構造体を備えた搬送装置が開示されている。掘削機によって、外殻トンネルである第2シールドトンネルが第1シールドトンネルの周囲を取り囲むように複数形成される。第2シールドトンネルの掘削は、6台の掘削機により同時に行われる。回転構造体の回転によって、資機材などを搭載した12個の搬送ユニットが一体的に移動する。これにより、それぞれの搬送ユニットが、第2シールドトンネルの掘削を行う6台の掘削機にそれぞれ資機材などを搬送する。上記特許文献1では、資機材は、第1シールドトンネルの側面に設けられた開口から搬送装置の各搬送ユニット内に搬入されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載された外殻トンネルの掘削工事において、複数の外殻トンネルを同時並行で掘削するためには、複数台の掘削機に対して、搬送装置によって資機材を遅延なく適時に供給することが必要である。そのためには、搬送装置への資機材の積み込みを遅延なく適時に行う必要がある。
【0007】
しかしながら、搬送装置は地下構造物の周囲(地下)に設けられるため、地上からトンネルや立坑などを介して資機材を輸送する場合に、資機材の到達タイミングのずれが生じ易くなる。その結果、掘削機側で資機材が必要になるタイミングと地上から資機材が到達するタイミングとが一致しないと、搬送装置から掘削機までの搬送を高速化しても、外殻トンネルの掘削を効率的に行うことができなくなる。そのため、従来、地上から搬送装置を介して掘削機に至る資機材の供給経路全体に亘って、資機材の供給を遅延なく適時に行うことが困難であるという課題がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、地上から搬送装置を介して掘削機に至る資機材の供給経路全体に亘って、資機材の供給を遅延なく適時に行うことが可能な外殻トンネル構築用搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明による外殻トンネル構築用搬送システムは、地下構造物の外周に複数の外殻トンネルを掘削するために用いられる資機材を掘削機に搬送するシステムであって、搭載位置で資機材を積載した台車を搭載して、地下構造物の円周方向に延びる円周発進基地内を移動する円周搬送装置と、地下構造物内を通る資機材の輸送経路に設けられ、輸送された資機材を複数保管可能な資機材保管部と、資機材保管部からの資機材の供給位置と、円周発進基地の搭載位置との間を接続する接続通路を有し、搭載位置に移動した円周搬送装置へ供給位置から資機材を供給する接続搬送装置と、を備え、接続搬送装置は、接続通路を介して、供給位置で資機材を積載した積載台車と、搭載位置における円周搬送装置に搭載されていた空台車とを入れ替えるように構成されている。
【0010】
なお、本明細書において、地下構造物は、トンネルや、地下施設その他の地中空洞部が形成される構造を含む広い概念である。地下構造物の外周とは、地下構造物の縦断面において地下構造物を取り囲む周囲を意味する。掘削機は、たとえばシールド掘削機を含み、その場合の資機材はシールド工法に用いるセグメント(トンネル坑壁を構成するブロック)、外殻トンネルの掘削済み領域に敷設される搬送路を構成するレールや枕木などを含む。また、資機材保管部は、たとえば資機材を保管する保管庫(保管倉庫)を含むほか、資機材を搭載した台車やパレットなどを並べて配置することにより保管する保管領域を含む広い概念である。
【0011】
この発明による外殻トンネル構築用搬送システムでは、上記の資機材保管部と接続搬送装置とを設けることにより、地上供給設備から地下構造物内の輸送経路を介して輸送されてきた資機材を、資機材保管部に一時保管することができる。そのため、資機材が地上供給設備から到達するタイミングと掘削機側で資機材が必要になるタイミングとが一致しない場合でも、資機材保管部での一時保管によりタイミングの差異を吸収させて、掘削機側で資機材が必要になるタイミングに合わせたタイミングで資機材を供給できる。そして、接続搬送装置によって、資機材保管部から供給された資機材を、掘削機側で資機材が必要になるタイミングに合わせて搭載位置に移動してきた円周搬送装置へ、接続通路を介して供給することができる。その結果、本発明によれば、地上から円周搬送装置を介して掘削機に至る資機材の供給経路全体に亘って、資機材の供給を遅延なく適時に行うことができる。そして、円周搬送装置による搬送済みの空台車(資機材を積み降ろした空の台車)と資機材を積載した台車とを入れ替えるだけで、円周搬送装置への資機材の積み込みを行うことができる。
【0012】
上記発明による外殻トンネル構築用搬送システムにおいて、好ましくは、資機材保管部は、上下に並ぶ複数の収容部を有する立体保管庫と、輸送された資機材を分類して複数の収容部のいずれかに搬入する搬入機構と、収容部に保管された資機材を供給位置に搬出する搬出機構と、をさらに含む。このように構成すれば、立体保管庫によりスペースを立体的に利用して資機材を保管できるので、より多くの資機材を供給位置において保管できる。そのため、地下構造物内の限られたスペースの中でも、資機材が必要になるタイミングと資機材が到達するタイミングとの差異を吸収するのに十分な、資機材の保管量を確保することができる。また、資機材を複数の収容部に分類して種類別に保管することができるので、外殻トンネルの掘削に用いられる多種類の資機材の保管量を容易に把握することができる。その結果、資機材の種類毎の使用量に応じて地上供給設備へ資機材の補充指令を送るなどの処理を容易に行えるようになるので、多種類の資機材がある場合でも、各種の資機材を安定して供給することができる。
【0013】
上記発明による外殻トンネル構築用搬送システムにおいて、好ましくは、資機材保管部は、輸送経路のうち資機材を搬送するための第1輸送経路に接続するとともに、輸送経路のうち資機材保管部を経由せずに搬送物を搬送するための第2輸送経路と並んで設けられており、接続搬送装置は、供給位置の資機材を搭載位置に供給するとともに、第2輸送経路から輸送された搬送物を搭載位置に供給するように構成されている。このように構成すれば、資機材と、資機材保管部には保管されない搬送物とを別経路で供給することができる。そのため、資機材保管部での貯留や積み替えが困難であるとともに、必ずしも備蓄する必要のない掘削機本体または掘削機の構成部材などのような大型で重量のある搬送物については、第2輸送経路から円周搬送装置へ直接供給しつつ、複数の在庫を確保する必要がある資機材だけを第1輸送経路により資機材保管部へ輸送することができる。また、大型の重量物のような搬送物も保管できるようにするために資機材保管部を不必要に大型化する必要がないので、資機材保管部の大型化を抑制することにより地下構造物内の限られたスペースを効率的に利用できる。
【0014】
上記発明による外殻トンネル構築用搬送システムにおいて、好ましくは、接続通路は、供給位置から搭載位置に向かう第1通路と、搭載位置から供給位置に向かう第1通路とは異なる第2通路とを含む循環通路であり、接続搬送装置は、搭載位置における円周搬送装置から空台車を第2通路に送り出し、積載台車を第1通路から円周搬送装置へ送り込むように構成されている。ここで、たとえば単一の接続通路しかない場合に、円周搬送装置から回収すべき搭載物がある場合、接続通路により搭載物を積み出した後に、同じ接続通路により資機材の積み込みを行う必要が生じる。これに対して、接続通路が第1通路と第2通路とを含む場合、回収すべき搭載物を第2通路へ送り出した直後に、速やかに第1通路から資機材を円周搬送装置に積み込むことができる。その結果、円周搬送装置への資機材の積み込みに要する時間を短縮し、掘削機への資機材の搬送を迅速に行うことができる。そして、台車の入れ替えを、第1通路と第2通路とによって別々の通路から行えるので、より一層、円周搬送装置への資機材の積み込みに要する時間を短縮することができる。また、積み込み時間が短縮されるので、円周搬送装置の搬送に時間的な余裕が発生し、資機材が必要になるタイミングと資機材が到達するタイミングとの差異に対しても柔軟に対応することが可能となる。
【0016】
上記発明による外殻トンネル構築用搬送システムにおいて、好ましくは、掘削機の稼働情報、円周搬送装置の稼働情報、および資機材保管部の稼働情報をそれぞれ収集し、掘削機の動作に応じて資機材保管部から資機材を供給させるとともに、規定数量の資機材が資機材保管部に確保されるように資機材保管部への資機材の輸送要求を地上供給設備に出力するように構成された、物流管理部をさらに備える。ここで、特に、複数台の掘削機が同時並行で外殻トンネルの掘削を行い、円周搬送装置によってそれぞれの掘削機に並行して資機材を搬送する場合には、それぞれの掘削状況が必ずしも一致しないため、資機材の需給管理が困難となる。そこで、上記の物流管理部によれば、それぞれの稼働情報に基づいて、外殻トンネル構築用搬送システムにおける資機材の需要と供給とを統合的に管理できる。その結果、資機材が必要になるタイミングに応じた資機材保管部、円周搬送装置および接続搬送装置の搬送動作を実現するとともに、資機材が必要になるタイミングで対応可能な在庫量が常時確保されるように地上供給設備から資機材が到達するタイミングを調整することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、地上から搬送装置を介して掘削機に至る資機材の供給経路全体に亘って、資機材の供給を遅延なく適時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態による搬送システムの外殻トンネル進行方向に沿った横断面を示した模式図である。
【
図2】
図1の400-400線に沿った模式的な断面図である。
【
図3】地上供給設備を示す図(A)および地下の円周発進基地を示す図(B)である。
【
図4】円周搬送装置が備える自走式搬送装置の正面図である。
【
図5】資機材保管部を示した模式的な側面図である。
【
図6】資機材保管部を示した模式的な正面図である。
【
図7】接続搬送装置を示した模式的な平面図である。
【
図9】搬送システムの動作例を説明するための図である。
【
図10】第2実施形態の搬送システムを示した模式図である。
【
図11】円周搬送装置の変形例を示した模式図である。
【
図12】
図11における回転駆動機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1~
図9を参照して、第1実施形態による外殻トンネル構築用搬送システム100(以下、搬送システム100という)の構成について説明する。
【0021】
(搬送システムの全体構成)
図1および
図2に示すように、搬送システム100は、地下構造物1の外周に複数の外殻トンネル2を掘削するために用いられる資機材5をシールド機6に搬送するシステムである。ここで、地下構造物1の外周とは、
図2に示す鉛直方向に沿う断面(縦断面)における外周を意味し、周方向は縦断面において地下構造物1の周囲を回る方向である。シールド機6は、特許請求の範囲の「掘削機」の一例である。
【0022】
地下構造物1は、地下に構築される構造物であれば特に限定されない。地下構造物1は、地下において概ね水平方向に拡がる空間として構築される。地下構造物1が構築される空間を防護するために、地下構造物1に沿って概ね水平に延びる外殻トンネル2が、地下構造物1の外周(上下左右)を取り囲むように構築される。
【0023】
第1実施形態では、地下構造物1は、本線トンネル1aおよびアクセス用トンネル1bを含む複数のトンネルである例を示す。アクセス用トンネル1bは、地上から本線トンネル1aに合流するように設けられる。
図1は本線トンネル1aと、アクセス用トンネル1bとの合流部を示している。
【0024】
地下構造物1(本線トンネル1aおよびアクセス用トンネル1b)の外周には、周囲を取り囲むように環状に形成された円周発進基地3が設けられている。円周発進基地3は、地下構造物1の外周を取り囲む円形状(円環状)の縦断面を有する空間部である。円周発進基地3は、アクセス用トンネル1bから横坑4を利用して掘削構築されたものである。
【0025】
外殻トンネル2は、円周発進基地3から掘進が開始され、地下構造物1(本線トンネル1aおよびアクセス用トンネル1b)に沿って延びるように形成されるトンネルである。つまり、外殻トンネルの掘進方向(Y方向)は、本線トンネル1aおよびアクセス用トンネル1bの延びる方向と概ね平行である。以下では、
図1に示した平面視で、掘進方向をY方向とし、掘進方向と直交する左右方向をX方向とする。外殻トンネル2は、本線トンネル1aおよびアクセス用トンネル1bを包むように円周状に並んで複数構築される外殻トンネル群TGとして構成される。たとえば最初に先行の複数(18本)の外殻トンネル2が構築され、複数(18本)の外殻トンネル2の間の位置に、さらに後行の複数(18本)の外殻トンネル(図示せず)が構築される。各外殻トンネル2は、円形断面を有し、周方向に等角度間隔で配置されている。
【0026】
各外殻トンネル2は、コンクリートなどが充填されることにより、最終的に地下構造物1の外周防護用の構造体として構成される。構造体は、地下構造物1の周囲を取り囲む筒状の防護壁として、外部からの土圧、水圧などを支持して圧力が地下構造物1に作用するのを抑制する。このような外殻トンネル2の施工は、地下構造物1の構築工事において行われるほか、アクセス用トンネル1bとの連結による本線トンネル1aの地下拡幅工事などにおいて行われる。
【0027】
外殻トンネル群TGを構成する各外殻トンネル2は、円周発進基地3を利用してそれぞれの発進位置に周方向に搬送されたシールド機6(
図1参照)により構築される。第1実施形態の搬送システム100は、円周発進基地3に設けられた後述する円周搬送装置10により、外殻トンネル2を掘削するシールド機6に、掘削等工事に必要な資機材5を周方向に搬送する。シールド機6は、掘削断面(ここでは円形)に応じた形状のシールド部を推進させて地盤を掘進するとともに、セグメントを環状(リング状)に組み立ててトンネル内壁を構築しながら進行する掘削機である。資機材5は、たとえばセグメントを含み、シールド機6を駆動するための各種機材を含んでもよい。また、資機材5は、たとえば外殻トンネル2の掘削済み領域内に敷設される搬送路2a用のレールや枕木などを含み得る。
【0028】
第1実施形態の搬送システム100は、円周搬送装置10(
図2参照)と、資機材保管部20(
図1参照)と、接続搬送装置30(
図1参照)と、を備える。
【0029】
(円周搬送装置)
円周搬送装置10は、地下構造物1の外周に複数の外殻トンネル2を構築するために使用される掘削機(シールド機6)および掘削に必要な資機材5を、地下構造物1の周方向(C方向)に設けられる外殻トンネル2の施工位置に搬送する搬送装置である。円周搬送装置10は、地下構造物1の円周方向に延びる円周発進基地3内を移動するように構成されている。
【0030】
図2に示すように、円周搬送装置10は、資機材5を地下構造物1の周方向に搬送するために使用される1つの周方向走路11と、周方向走路11を走行する自走式搬送装置12とを備える。自走式搬送装置12は、1つの周方向走路11に1つまたは複数設けてもよい。たとえば、自走式搬送装置12の数は、同時掘削を行う外殻トンネル2の数(すなわちシールド機6の数)以上とするのが好ましい。これにより、1つの外殻トンネル2の施工場所に対して、1台以上の自走式搬送装置12を割り当てて資機材5を搬送できる。
図2では、4機のシールド機6に対して、4台の自走式搬送装置12を設けた例を示している。なお、後述するが、自走式搬送装置12を非自走式の構成としてもよい。
【0031】
上記の通り、円周搬送装置10は、円周発進基地3内に設置されている。周方向走路11は、円周発進基地3内で、地下構造物1の外周の周方向(C方向)に沿って延びるように形成されている。すなわち、周方向走路11は、円周発進基地3に沿って円周状(円環状)に形成されている。
【0032】
周方向走路11は、周方向(C方向)に延びるレール13を含んでいる。具体的には、周方向走路11は、外周側に配置された複数本(たとえば前後2本)の外側レール13aと、内周側に配置された複数本(たとえば前後2本)の内側レール13bと、を含む。
【0033】
自走式搬送装置12は、周方向走路11上を移動可能に設けられている。すなわち、自走式搬送装置12は、外側レール13aおよび内側レール13bを支持体として各レールと係合した状態で、外側レール13aおよび内側レール13bの間を周方向に移動することが可能である。各々の自走式搬送装置12は、互いに独立して周方向走路11上を移動することが可能である。
【0034】
自走式搬送装置12には、アクセス用トンネル1bからの資機材5の搭載位置P2(
図1参照)で資機材5が搭載される。自走式搬送装置12は、円周発進基地3内を周方向に移動して、搭載した資機材5を、搬送先である掘削中の外殻トンネル2に配置されたシールド機6へ搬送するように構成されている。搭載位置P2は、横坑4によって接続されたアクセス用トンネル1bと円周発進基地3との接続箇所である。第1実施形態では、搭載位置P2は、アクセス用トンネル1bから横方向(X方向)へ略水平に並ぶ位置である。それぞれの自走式搬送装置12は、円周発進基地3内を同一方向に周回して、1周する間に搭載位置P2での資機材5の搭載と、搬送先での資機材5の搬出とを行う。
【0035】
図1において、資機材5は、地上から、地下構造物1の内部であるアクセス用トンネル1b内を通って、アクセス用トンネル1b内の供給位置P1まで搬送される。すなわち、アクセス用トンネル1bには、アクセス用トンネル1b(地下構造物1)内を通る資機材5の輸送経路60が構築される。
図1に示す例では、輸送経路60は、トンネル運搬台車61が走行するための輸送路(レール)により構成されている。
図3に示すように、輸送経路60は、地上供給設備70(
図3(A)参照)から、アクセス用トンネル1bを通って地下の供給位置P1(
図3(B)参照)まで延びるように設けられる。アクセス用トンネル1bから地上供給設備70までは、工事内容に応じて、たとえば1km程度とされる場合がある。
【0036】
〈自走式搬送装置の構成〉
図4は、自走式搬送装置12の一構成例を示す。自走式搬送装置12は、搬送対象を載置可能な本体部14と、本体部14を支持して1つの周方向走路11に沿ってレール13上を走行する支持装置15とを備える。
【0037】
本体部14は、骨組み構造を有する。本体部14は、中央の円形状を有する円形構造体14aと、円形構造体14aから周方向左右にそれぞれ張り出した一対の張出構造体14bと、を含む。本体部14は、支持装置15に固定的に連結されている。円形構造体14aの内側には、水平維持機構16を介してシールド機6または資機材5を搭載することができる。
【0038】
自走式搬送装置12は、周方向(C方向)の移動により360度姿勢が変化する。そこで、水平維持機構16は、円形構造体14aの内周面に沿って相対移動するように構成され、搬送するシールド機6、資機材5を水平に保つことができる。水平維持機構16は、貨物が設置される架台16aと、架台16aを支持し、円形構造体14aの内周面に沿って移動する支持ローラ16bと、架台16aの姿勢および高さ位置を調節するための複数の昇降装置16cとを有する。架台16aは、たとえば資機材用架台とシールド機用架台とで交換可能とされる。また、架台16a上には、後述する台車35の走路となるレールが設けられる。
【0039】
支持装置15は、円形構造体14aの両側に張出した張出構造体14bにそれぞれ連結されている。各張出構造体14bにおいて、支持装置15は、外側レール13aおよび内側レール13bに対応して、内周側および外周側にそれぞれ設けられている。支持装置15は、レール13上を回転する車輪15aをレール13に対して伸縮自在かつ回動可能に有する。これにより、自走式搬送装置12が走行する際に、レール13の表面粗さや撓み、円周発進基地3自体の歪みを吸収することができる。
【0040】
自走式搬送装置12は、それぞれ走行駆動機構17を備える。すなわち、自走式搬送装置12は、自走するための駆動部を備える搬送装置として構成されている。
【0041】
走行駆動機構17は、2つ一組で設けられる。すなわち、走行駆動機構17は、走行駆動機構17aと、走行駆動機構17bとを含んでいる。なお、走行駆動機構17aと走行駆動機構17bとは、互いに同様の構成を有している。
【0042】
走行駆動機構17aおよび17bの各々は、レール13と係合および係合解除可能なロック機構18aと、本体部14とロック機構18aとの間で周方向に伸縮可能なシリンダ機構18bとを含む。
【0043】
走行駆動機構17aおよび17bのうち、一方を係合状態のロック機構18aによりレール13に固定した状態でシリンダ機構18bを伸長または収縮させることにより、自走式搬送装置12が進行方向に向けて移動する。走行駆動機構17aおよび17bの一方が自走式搬送装置12を駆動する間に、他方は、係合解除状態のロック機構18aをシリンダ機構18bによって伸長または収縮させて次の駆動の準備を行う。次に、他方をロック機構18aによりレール13に固定した状態でシリンダ機構18bを伸長または収縮させることにより、自走式搬送装置12が進行方向に向けて移動する。その間に、一方がロック機構18aを係合解除状態に切り替えて伸長または収縮することにより、次の駆動の準備を行う。走行駆動機構17aおよび17bにおいて、自走式搬送装置12の駆動を交互に繰り返すことによって、自走式搬送装置12は、周方向走路11を時計回りまたは反時計回りに連続的に移動可能である。
【0044】
なお、走行駆動機構17は、たとえばギヤ駆動方式で構成してもよい。すなわち、走行駆動機構17がピニオンギヤとピニオンギヤを駆動するモータとを備えた構成でもよい。この場合、周方向走路11の外側レール13aの側面に、周方向に延びるラックギヤが設けられる。走行駆動機構17がラックギヤに噛み合うピニオンギヤを回転させることにより、自走式搬送装置12を周方向走路11に沿って周方向に移動させることが可能である。
【0045】
(資機材保管部)
図1に戻り、資機材保管部20は、地下構造物1内を通る資機材5の輸送経路60に設けられている。資機材保管部20は、輸送された資機材5を複数保管可能に構成されている。資機材保管部20は、供給位置P1に隣接するように設けられている。資機材保管部20は、輸送経路60から輸送されてきた資機材5を収容し、収容した資機材5を供給位置P1に送り出すことが可能に構成されている。
【0046】
図5および
図6に示すように、第1実施形態では、資機材保管部20は、上下に並ぶ複数の収容部21aを有する立体保管庫21を含む。立体保管庫21は、上下に複数層の収容部21aを設けることにより、単層の場合と比較して設置面積当たりの資機材5の収容量が増大している。
図5および
図6では、1層当たり3列の収容部21aが、上下に3層並ぶように設けられている。したがって、正面視で、3列×3層の9つの収容部21aが格子状に並んで配置されている。
【0047】
資機材保管部20は、輸送された資機材5を分類して複数の収容部21aのいずれかに搬入する搬入機構22と、収容部21aに保管された資機材5を供給位置P1に搬出する搬出機構23と、を含む。
【0048】
搬入機構22は、輸送経路60を介して輸送された資機材5を受け入れる受入コンベア22aと、受入コンベア22aから送り出された資機材5をいずれかの層の収容部21aに送り込むように上下移動する入庫リフト22bとを有する。輸送経路60からトンネル運搬台車61によって運ばれた資機材5は、受入コンベア22aの手前に設けられた移載装置であるガントリクレーン24によって、受入コンベア22aに積み替えられる。
図1に示したように、空のトンネル運搬台車61は、搬送時に走行する往路62とは異なる復路63を通って、地上供給設備70へ戻る。
【0049】
受入コンベア22aは、入庫リフト22bに向かって前後左右に移動可能なコンベヤ搬送装置である。受入コンベア22aは、移載された資機材5の種別に応じて、3列の収容部21aのうち資機材5の種別に対応する収容部21aが配置された列を選択する。受入コンベア22aは、選択された列に対向する位置で、資機材5を入庫リフト22bへ送り出す。
【0050】
図5に示すように、入庫リフト22bは、3列の収容部21aにそれぞれ接続するように3台(
図1参照)設けられている。入庫リフト22bは、送り込まれた資機材5を上下に移動させると共に、収容部21aに向けて送り出すことが可能なコンベヤを有している。入庫リフト22bは、受入コンベア22aから送り込まれた資機材5の種別に応じて、3層の収容部21aのうち資機材5の種別に対応する収容部21aが配置された層を選択する。入庫リフト22bは、選択された層の収容部21aに対して、資機材5を送り出す。
【0051】
立体保管庫21は、輸送経路60に沿って供給位置P1(
図1参照)まで延びるように構成されている。立体保管庫21のそれぞれの収容部21aには、供給位置P1へ向けて前送りする搬送コンベア21b(
図5参照)が設けられている。それぞれの収容部21aに搬入された資機材5は、搬送コンベア21bによって、搬入機構22が配置された後側端部から、搬出機構23が配置された前側端部まで順次搬送される。すなわち、第1実施形態では、立体保管庫21は、後入れ前出し方式の保管庫として構成されている。各収容部21aには、同一種別の資機材5が収容されるので、各々の収容部21aにおいて、保管する資機材5が前側端部からどの位置まで貯留されているかによって、種別毎の資機材5の在庫数が容易に把握できる。
【0052】
搬出機構23は、立体保管庫21の供給位置P1側である前側端部に接続されている。搬出機構23は、立体保管庫21の各層の収容部21aから資機材5を受入可能な出庫リフト23a(
図5参照)を有する。
【0053】
出庫リフト23aは、3列の収容部21aにそれぞれ接続するように3台(
図1参照)設けられている。出庫リフト23aは、任意の層の収容部21aから資機材5を受け入れるように上下に移動可能で、受け入れた資機材5を供給位置P1に向けて送り出すことが可能なコンベヤを有している。出庫リフト23aは、供給位置P1へ送り出す資機材5の種別に応じて、3層の収容部21aのうち資機材5の種別に対応する収容部21aが配置された層を選択する。
図1に示すように、出庫リフト23aは、選択された層の収容部21aから資機材5を受け入れて、供給位置P1へ配置された空の台車35に送り出す。
【0054】
(接続搬送装置)
図1に示したように、接続搬送装置30は、搭載位置P2に移動した円周搬送装置10へ供給位置P1から資機材5を供給するように構成されている。接続搬送装置30は、資機材5を搬送するための接続通路31を有する。
【0055】
なお、アクセス用トンネル1bと円周発進基地3とを接続する横坑4には、搭載位置P2の前部(円周発進基地3の外殻トンネル掘進方向側)に作業床4aが設けられている。接続搬送装置30の接続通路31は、作業床4a上に設けられている。
【0056】
接続通路31は、資機材保管部20からの資機材5の供給位置P1と、円周発進基地3の搭載位置P2との間を接続するように設けられている。なお、供給位置P1は、搭載位置P2と横並びに並ぶ位置である。
図1の例では、供給位置P1と搭載位置P2とは、水平面内でアクセス用トンネル1bと直交する横方向(X方向)に並んで配置されている。供給位置P1と搭載位置P2とが横並びに並ぶため、接続通路31は、供給位置P1がアクセス用トンネル1bのY方向の手前側または奥側にある場合と比べて、供給位置P1と搭載位置P2とを最短距離で結ぶことができる。
【0057】
第1実施形態では、
図7に示すように、接続通路31は、供給位置P1から搭載位置P2に向かう第1通路31aと、搭載位置P2から供給位置P1に向かう第2通路31bとを含む循環通路である。第2通路31bは、第1通路31aとは異なる通路である。
【0058】
また、第1実施形態では、円周搬送装置10は、資機材5を積載した台車35を搭載して移動するように構成されている。つまり、自走式搬送装置12には、資機材5が台車35に積載された状態で、台車35ごと搭載される。
【0059】
具体的には、接続通路31は、通路部32a、通路部32b、通路部32c、通路部32d、および通路部32eを含んで構成されている。各通路部32a~32eは、それぞれトラバーサ台車33が走行可能な走路であり、直線状に延びる。通路部32a、通路部32b、通路部32cは、それぞれアクセス用トンネル1bに沿った前後方向(Y方向)に延びる。通路部32aは供給位置P1に接続し、通路部32cは搭載位置P2に接続する。通路部32bは、通路部32aと通路部32cとの間に配置されている。通路部32dおよび通路部32eは、それぞれアクセス用トンネル1bと直交する横方向(X方向)に延びる。通路部32dは、供給位置P1に接続し、通路部32aと通路部32bとを繋いでいる。通路部32eは、供給位置P1よりも奥側に設けられ、通路部32a、通路部32bおよび通路部32cを繋いでいる。
図7から分かるように、通路部32a、通路部32b、通路部32dおよび通路部32eによって、矩形状の循環通路が構成されている。
【0060】
図7の構成例では、第1通路31aは、供給位置P1から、通路部32d、通路部32b、通路部32e、通路部32cを経て、搭載位置P2に到達する通路である。第2通路31bは、搭載位置P2から、通路部32c、通路部32e、通路部32aを経て、供給位置P1に到達する経路である。
【0061】
トラバーサ台車33は、これらの通路部32a~通路部32e上を移動可能な台車であり、たとえばモータなどの駆動部を内蔵した自走式の台車である。トラバーサ台車33は、資機材5を搭載した台車35を積んだ状態で移動することができる。
図1および
図7の例では、3台のトラバーサ台車33が配置されている。
【0062】
このような構成により、接続搬送装置30は、第2通路31bを介した搭載位置P2における円周搬送装置10内の搭載物の積み出しと、第1通路31aを介した搭載位置P2への資機材5の積み込みとを、並行して実施可能に構成されている。
【0063】
そして、接続搬送装置30は、搭載位置P2における円周搬送装置10から搬送済みの台車35(以下、空台車35bという)を第2通路31bに送り出し、資機材5を積載した台車(以下、積載台車35aという)を第1通路31aから円周搬送装置10へ送り込むように構成されている。
【0064】
すなわち、自走式搬送装置12が搭載位置P2に移動してくると、空台車35bが自走式搬送装置12からトラバーサ台車33へ送り出される。空台車35bを乗せたトラバーサ台車33は、通路部32eを通路部32aまで移動する第2通路31bを通る。
【0065】
積載台車35aは、供給位置P1においてトラバーサ台車33上で準備される。空台車35bを乗せたトラバーサ台車33が通路部32bを超えて通路部32a側へ移動すると、積載台車35aを乗せたトラバーサ台車33が通路部32dおよび通路部32bを移動する第1通路31aを通って、搭載位置P2の自走式搬送装置12内に送り込まれる。
【0066】
その後、空台車35bを乗せたトラバーサ台車33は、通路部32aを通って供給位置P1へ移動し、空台車35bに対する次の資機材5の積み込みが行われる。
【0067】
なお、
図1に示すように、輸送経路60には、資機材5を輸送する経路と、シールド機6などの搬送物7を輸送する経路とが、別々に設けられている。すなわち、輸送経路60は、資機材5を搬送するための第1輸送経路60aと、資機材保管部20を経由せずに搬送物7を搬送するための第2輸送経路60bとを有する。第1輸送経路60aと第2輸送経路60bとは、並列に設けられ、分岐部64において往路62および復路63と合流している。分岐部64において、往路62からのトンネル運搬台車61が搭載物に応じて第1輸送経路60aまたは第2輸送経路60bに振り分けられる。
【0068】
資機材保管部20は、輸送経路60のうち資機材5を搬送するための第1輸送経路60aに接続する。また、資機材保管部20は、輸送経路60のうち資機材保管部20を経由せずに搬送物7を搬送するための第2輸送経路60bと並んで設けられている。搬送物7は、資機材保管部20には保管されずに、円周搬送装置10によって外殻トンネル2の施工場所へ送られる。搬送物7(
図6参照)は、たとえばシールド機6本体、または分割搬送されるシールド機6の構成部材のような、大型の重量物などである。このような搬送物7は、たとえば外殻トンネル2の掘削を新たに開始する際に輸送させるものであり、掘削中に一定のサイクルタイムを維持して供給する必要がないため、資機材保管部20に備蓄する必要性が低い。このため、資機材保管部20と並ぶ第2輸送経路60bから、搬送物7が直接、接続搬送装置30まで輸送される。
【0069】
接続搬送装置30は、供給位置P1の資機材5を搭載位置P2に供給するとともに、第2輸送経路60bから輸送された搬送物7を搭載位置P2に供給するように構成されている。
【0070】
具体的には、第2輸送経路60bの終端位置には、シールド機6を搬入するための移載装置であるガントリクレーン65(
図6および
図7参照)が設けられている。搬送物7は、ガントリクレーン65によって、図示しない重量物搬送用の台車に移載され、接続通路31を介して円周搬送装置10へ積み込まれる。
【0071】
なお、シールド機6の搬送には、シールド機6の部品を複数回に分けて搬送する分割搬送と、完成品を搬送する一体型搬送との両方が含まれる。分割搬送をする場合には、シールド機6の構成部品は、ガントリクレーン65により自走式搬送装置12で搬送する所定サイズに組み立てられた後、接続搬送装置30のトラバーサ台車33によって搭載位置P2の自走式搬送装置12に搭載される。
【0072】
(搬送システムにおける資機材の需給管理)
図8に示すように、第1実施形態では、搬送システム100は、資機材5の供給処理を管理するための物流管理部40を備える。
【0073】
物流管理部40は、シールド機6の動作に応じて資機材保管部20から資機材5を供給させる機能を有する。すなわち、物流管理部40は、シールド機6の動作に応じて、掘進中における資機材5が必要になるタイミングに合わせたタイミングで、シールド機6への円周搬送装置10からの資機材5の搬送が行えるように、資機材保管部20から必要な資機材5の送り出しを行わせる。つまり、物流管理部40は、シールド機6における資機材5が必要になるタイミングと、円周発進基地3内の円周搬送装置10の搬送動作のサイクルタイムとに基づき、資機材保管部20からの資機材5の供給を管理する。資機材保管部20から送り出された資機材5が接続搬送装置30によって搭載位置P2に移動してきた自走式搬送装置12に搭載されることにより、シールド機6における資機材5が必要になるタイミングに対応した資機材5の供給が行われる。
【0074】
また、物流管理部40は、規定数量の資機材5が資機材保管部20に確保されるように資機材保管部20への資機材5の輸送要求を地上供給設備70に出力する機能を有する。すなわち、物流管理部40は、資機材5が必要になるタイミングに合わせたタイミングでの資機材5の供給が可能なように、予め設定された所定数量以上の資機材5が資機材保管部20に保管されるように、資機材保管部20の在庫管理を行う。
【0075】
具体的には、物流管理部40は、資機材5の品種毎に、資機材保管部20に保管されている資機材5の数量を把握し、所定数量以下になった資機材5の品種と数量とを含む搬送要求を、地上供給設備70に対して行う。
【0076】
また、これらの処理に付随して、物流管理部40は、掘削に必要な資機材5の抽出、各シールド機6への搬送順序の決定、各装置の運行経路の決定などの処理も行う。
【0077】
これらの物流管理の処理のため、物流管理部40は、稼働情報41の収集を行う。稼働情報41は、シールド機6の稼働情報、円周搬送装置10の稼働情報、および資機材保管部20の稼働情報を含む。好ましくは、稼働情報41は、接続搬送装置30の稼働情報を含む。物流管理部40は、収集した稼働情報41に基づいて、資機材保管部20からの資機材5の供給や、地上供給設備70への資機材5の搬送要求を行う。
【0078】
シールド機6の稼働情報としては、たとえば掘削中であるかセグメントの組み立て中であるかなどの現在の作業状況を示すジョブ情報である。シールド機6は、基本的には、一定距離分の掘進作業と、掘進した箇所へのセグメントの組み立てとの2工程を、繰り返すことにより外殻トンネル2を形成する。そのため、資機材5が必要となる作業の典型例は、セグメントの組み立てである。シールド機6が掘削中である場合、現在の掘進距離の情報も取得され、次のセグメント組立(資機材5の需要タイミング)までの所要時間などが把握される。
【0079】
円周搬送装置10の稼働情報としては、たとえば各自走式搬送装置12が円周発進基地3内のどの位置にあるか、搬送先への資機材5の搬送前であるか搬送後であるかなどの現在の作業状況を示すジョブ情報である。円周搬送装置10の稼働情報から、各々の自走式搬送装置12が、次に搭載位置P2に到達するまでの所要時間などが把握される。また、各々の自走式搬送装置12の個別の情報として、次に搭載位置P2に到達する自走式搬送装置12に搭載すべき資機材5の品種および数量が把握される。次に搭載位置P2に到達する自走式搬送装置12に搭載すべき資機材5は、シールド機6の稼働情報から、その自走式搬送装置12が搬送を行うシールド機6で次にどの品種の資機材5が必要となるかにより把握される。
【0080】
資機材保管部20の稼働情報としては、保管する資機材5の品種と、品種毎の現在数量である。現在数量と、確保されるべき所定数量との比較に基づいて、地上供給設備70に対してどの品種の資機材5をどれだけの数量で要求すべきかが把握される。
【0081】
接続搬送装置30の稼働情報としては、たとえば次に自走式搬送装置12に搭載する資機材5を運搬する(積載台車35aを搭載した)トラバーサ台車33の位置、および、空台車35bを搭載したトラバーサ台車33の位置などの各トラバーサ台車33の情報である。
【0082】
物流管理部40(
図3(A)参照)は、たとえば外殻トンネル2の掘削工事全体を管理する地上の管理センターなどにおいて構築されるコンピュータシステムである。管理センターは、地上の資機材5の備蓄を行う地上供給設備70などとともに設けられる。詳細は省略するが、それぞれの稼働情報は、有線、無線またはこれらの組み合わせにより構築される情報網により、各シールド機6、各自走式搬送装置12、資機材保管部20および接続搬送装置30の各々が備える情報処理装置(図示せず)から取得される。
【0083】
たとえば4機など複数のシールド機6を同時並行で運用して複数の外殻トンネル2の施工を同時に行う場合は、多数の稼働情報41が同時に生成されるため、個々の作業現場での管理では円滑な作業進行が困難になる。物流管理部40により、搬送システム100の全体の各種の稼働情報41を統合的に管理して、搬送システム100の円滑な運用が可能となる。
【0084】
(搬送システムの動作)
次に、
図9を参照して、第1実施形態の搬送システム100の動作について説明する。
図9では、たとえば4機のシールド機6を同時並行で稼働させ、各シールド機6に対して4台の自走式搬送装置12により資機材5の搬送を行う例を考える。各シールド機6で資機材5が必要になるタイミングの周期が60分であるとする。この場合、4機のシールド機6で同時に需要タイミングにならないように、15分毎にずらしたタイミングで、いずれかのシールド機6に資機材5が搬送されるようにする。
【0085】
4台の自走式搬送装置12は、資機材5が必要になるタイミングに合わせて、60分のサイクルタイムで周方向(C方向)に移動して、資機材5を搬送すればよい。しかし、搭載位置P2では、4台の自走式搬送装置12に対して同時に資機材5の搭載を行うことはできず、順番に搭載作業を行う必要がある。このため、搭載位置P2では、15分毎のサイクルタイム内で資機材5を搭載する必要があり、搭載作業時間も搬送のサイクルタイムに含まれることから、迅速な作業と、資機材5の十分な在庫確保が必要となる。
【0086】
しかし、地上供給設備70から資機材5が到達するタイミングは、需要タイミングと異なっていたり、需要タイミングの周期よりも長い周期で大量の資機材5がバッチ処理的に輸送されてくるようなケースがありうる。特に地上供給設備70から供給位置P1までの輸送経路60の距離が長い場合には、資機材5が到達するタイミングと資機材5が必要になるタイミングの不一致が発生しやすい。その場合でも、第1実施形態では、輸送経路60と直結した供給位置P1に設けられた資機材保管部20によって、資機材5が一時保管される。その結果、供給位置P1に資機材5を常時供給可能な状態が確保され、15分のサイクルタイムでの資機材5の供給に対応することが可能となる。
【0087】
また、第1実施形態では、接続搬送装置30により、次の搭載予定の資機材5が予め積載された積載台車35aが第1通路31aに準備される。そして、自走式搬送装置12が搭載位置P2に到達すると、搭載されていた空台車35bの第2通路31bへの送り出しと、第1通路31aから自走式搬送装置12への積載台車35aの送り込みとが行われる。つまり、自走式搬送装置12に搭載する台車35の入れ替えだけで、資機材5の搭載が完了する。そのため、搭載作業が短時間で完了して、自走式搬送装置12を搬送先のシールド機6へ向けて送り出される。
【0088】
搬送先の外殻トンネル2においても、トンネル内には、台車を移動させるための搬送路2aが構築される。そのため、自走式搬送装置12は、円周発進基地3のトンネル入口において、搭載した積載台車35aをトンネル内に送り出すだけで、資機材5の搬送が可能である。積載台車35aがシールド機6の位置まで到達して資機材5が積み降ろされた後、積み降ろされた空台車35bが自走式搬送装置12へ返却される。その後、自走式搬送装置12は、再度搭載位置P2へ向けて円周発進基地3内を移動する。
【0089】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0090】
第1実施形態では、上記のように、資機材保管部20と接続搬送装置30とを設けることにより、地上供給設備70から地下構造物1内の輸送経路60を介して輸送されてきた資機材5を、資機材保管部20に一時保管することができる。そのため、資機材5が地上供給設備70から到達するタイミングとシールド機6側で資機材5が必要になるタイミングとが一致しない場合でも、資機材保管部20での一時保管によりタイミングの差異を吸収させて、シールド機6側で資機材5が必要になるタイミングに合わせたタイミングで資機材5を供給できる。そして、接続搬送装置30によって、資機材保管部20から供給された資機材5を、シールド機6側で資機材5が必要になるタイミングに合わせたタイミングで搭載位置P2に移動してきた円周搬送装置10へ、接続通路31を介して供給することができる。その結果、第1実施形態の搬送システム100によれば、地上から円周搬送装置10を介してシールド機6に至る資機材5の供給経路全体に亘って、資機材5の供給を遅延なく適時に行うことができる。
【0091】
また、第1実施形態では、上記のように、資機材保管部20に、立体保管庫21と、搬入機構22と、搬出機構23とを設ける。これにより、立体保管庫21によりスペースを立体的に利用して資機材5を保管できるので、より多くの資機材5を供給位置P1において保管できる。そのため、地下構造物1内の限られたスペースの中でも、資機材5が必要になるタイミングと資機材5が到達するタイミングとの差異を吸収するのに十分な、資機材5の保管量を確保することができる。また、資機材5を複数の収容部21aに分類して種類別に保管することができるので、外殻トンネル2の掘削に用いられる多種類の資機材5の保管量を容易に把握することができる。その結果、資機材5の種類毎の使用量に応じて地上供給設備70へ補充指令を送るなどの処理を容易に行えるようになるので、多種類の資機材5がある場合でも、各種の資機材5を安定供給することができる。
【0092】
また、第1実施形態では、上記のように、資機材保管部20を輸送経路60の第1輸送経路60aに接続させ、資機材保管部20を経由せずに搬送物7を搬送するための第2輸送経路60bと並んで設ける。そして、接続搬送装置30を、供給位置P1の資機材5を搭載位置P2に供給するとともに、第2輸送経路60bから輸送された搬送物7を搭載位置P2に供給するように構成する。これにより、資機材5と、シールド機6の構成部材などの搬送物7とを別経路で供給することができる。そのため、資機材保管部20での貯留や積み替えが困難であるとともに、必ずしも備蓄する必要のないシールド機6本体やシールド機6の構成部材などの大型の重量物のような搬送物7については、第2輸送経路60bから円周搬送装置10へ直接供給しつつ、複数の在庫を確保する必要がある資機材5だけを第1輸送経路60aにより資機材保管部20へ輸送することができる。また、大型の重量物のような搬送物7も保管できるようにするために資機材保管部20を不必要に大型化する必要がないので、資機材保管部20の大型化を抑制することにより地下構造物1内の限られたスペースを効率的に利用できる。
【0093】
また、第1実施形態では、上記のように、接続通路31を、第1通路31aと第2通路31bとを含む循環通路として構成し、接続搬送装置30を、第2通路31bを介した搭載物の積み出しと、第1通路31aを介した資機材5の積み込みとを、並行して実施可能に構成する。ここで、たとえば単一の接続通路31しかない場合に、円周搬送装置10から回収すべき搭載物がある場合、接続通路31により搭載物を積み出した後に、同じ接続通路31により資機材5の積み込みを行う必要が生じる。これに対して、接続通路31が第1通路31aと第2通路31bとを含む場合、回収すべき搭載物を第2通路31bへ送り出した直後に、速やかに第1通路31aから資機材5を円周搬送装置10に積み込むことができる。その結果、円周搬送装置10への資機材5の積み込みに要する時間を短縮し、シールド機6への資機材5の搬送を迅速に行うことができる。
【0094】
また、第1実施形態では、上記のように、搭載位置P2における円周搬送装置10から空台車35bを第2通路31bに送り出し、積載台車35aを第1通路31aから円周搬送装置10へ送り込むように接続搬送装置30を構成する。これにより、空台車35bと積載台車35aとを入れ替えるだけで、円周搬送装置10への資機材5の積み込みを行うことができる。そして、台車の入れ替えを、第1通路31aと第2通路31bとによって別々の通路から行えるので、より一層、円周搬送装置10への資機材5の積み込みに要する時間を短縮することができる。また、積み込み時間が短縮されるので、円周搬送装置10の搬送に時間的な余裕が発生し、資機材5が必要になるタイミングと、資機材5が到達するタイミングとの差異に対しても柔軟に対応することが可能となる。
【0095】
また、第1実施形態では、上記のように、シールド機6、円周搬送装置10、および資機材保管部20の各稼働情報41をそれぞれ収集し、シールド機6の動作に応じて資機材保管部20から資機材5を供給させるとともに、規定数量の資機材5が資機材保管部20に確保されるように資機材保管部20への資機材5の輸送要求を地上供給設備70に出力するように構成された、物流管理部40を設ける。
図9に示したように、複数台のシールド機6が同時並行で外殻トンネル2の掘削を行う場合には、それぞれの掘削状況が必ずしも一致しないため、資機材5の需給管理が困難となる。そこで、上記の物流管理部40によれば、それぞれの稼働情報41に基づいて、搬送システム100における資機材5の需要と供給とを統合的に管理できる。その結果、シールド機6で資機材5が必要になるタイミングに応じた資機材保管部20、円周搬送装置10および接続搬送装置30の搬送動作を実現するとともに、資機材5が必要になるタイミングに対応可能な在庫量が常時確保されるように地上供給設備70から資機材5が到達するタイミングを調整することができる。
【0096】
[第2実施形態]
次に、
図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、資機材保管部20に立体保管庫21を設けた上記第1実施形態とは異なり、資機材保管部120に立体保管庫21を設けない例について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
【0097】
図10に示した第2実施形態の搬送システム200では、資機材保管部120が、立体保管庫21を有しておらず、トンネル運搬台車61を並べて保管する構成を有する。すなわち、資機材保管部120は、複数台のトンネル運搬台車61を並べて待機させることが可能な待機搬送路121を含んでいる。
【0098】
具体的には、輸送経路60が、分岐部64において合流する往路62および復路63と、合流後の第1輸送経路60aとを含んでおり、待機搬送路121は、分岐部64の手前の往路62の一部として設けられる。供給位置P1には、資機材5を接続搬送装置130のトラバーサ台車33に移載するためのガントリクレーン122が設けられている。
【0099】
資機材保管部120は、資機材5を積載したトンネル運搬台車61を、待機搬送路121から第1輸送経路60aへ送り込む。第1輸送経路60aの終端において、ガントリクレーン122によって、トンネル運搬台車61に積まれた資機材5が、供給位置P1でトラバーサ台車33上に配置した空台車35bに移載される。
【0100】
接続搬送装置130では、供給位置P1で資機材5を積載した積載台車35aが、搭載位置P2の自走式搬送装置12に台車ごと積み込まれる。なお、供給位置P1でトンネル運搬台車61から空台車35bへの積み替えを行うことなく、ガントリクレーン122が、資機材5を積載したトンネル運搬台車61を、そのままトラバーサ台車33の上へ運んでもよい。
【0101】
空のトンネル運搬台車61は、第1輸送経路60aを折り返して、分岐部64から復路63へと進んで地上供給設備70まで戻る。
【0102】
第2実施形態では、立体保管庫21を設けないので、シールド機6またはシールド機6の構成部材など搬送物も、資機材5と同一の輸送経路60で搬送することができる。第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、輸送経路60に第2輸送経路60bを設けてもよい。
【0103】
この他、資機材保管部120は、トンネル運搬台車61を並べて保管する構成でなくてもよい。たとえば、資機材保管部120は、供給位置P1へ向けて延びる1または複数ラインのコンベヤラインであってもよい。この場合、たとえばコンベヤラインの入口および出口にそれぞれガントリクレーン122を配置して、入口側のガントリクレーン122がトンネル運搬台車61の資機材5をコンベヤラインの入口に移載し、出口側のガントリクレーン122が供給位置P1のトラバーサ台車33上に配置された空台車35bに資機材5を移載する。これにより、コンベヤライン上で資機材5を貯留することができる。
【0104】
なお、
図10に示した構成例では、接続搬送装置130の接続通路31の形態が上記第1実施形態と異なる。
図10の構成例では、矩形状の4本の通路部132a~132dによって、矩形環状の循環通路が構成されている。第1通路31aは、供給位置P1から奥側に向かう通路部132a、通路部132aと直交する横向きの通路部132b、通路部132bから搭載位置P2へ手前側に向かう通路部132cにより構成される。第2通路31bは、搭載位置P2と供給位置P1とを直接繋ぐ通路部132dにより構成されている。この場合、
図7に示した第1実施形態と比較して、第1通路31aと第2通路31bとの共用部分(
図7の通路部32c、および通路部32eの一部)がなく、供給位置P1および搭載位置P2を除いて第1通路31aと第2通路31bとが互いに独立した通路として構成されている。そのため、空台車35bと積載台車35aとの入れ替えを、より速やかに行える。
【0105】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0106】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0107】
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、資機材保管部20と接続搬送装置130とを設けることにより、地上供給設備70から地下構造物1内の輸送経路60を介して輸送されてきた資機材5を、資機材保管部20に一時保管し、資機材5が必要になるタイミングに合わせたタイミングで供給することができる。その結果、地上から円周搬送装置10を介してシールド機6に至る資機材5の供給経路全体に亘って、資機材5の供給を遅延なく適時に行うことができる。
【0108】
第2実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0109】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0110】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、複数のトンネル(本線トンネルおよび支線トンネル)からなる地下構造物の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、地下構造物は、1本のトンネルであってもよいし、トンネル以外の他の構造物であってもよい。
【0111】
また、上記第1および第2実施形態では、自走式搬送装置12を備えた円周搬送装置10の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば
図11および
図12に示すように、複数の搬送ユニット212を備える回転構造体211の全体を回転させることにより、複数の搬送ユニット212を一体的に周方向に移動させるタイプの円周搬送装置210を設けてもよい。
図11および
図12の例では、円周搬送装置210は、回転構造体211と、回転構造体211を周方向(C方向)に回転可能に支持する回転支持機構213と、回転構造体211を周方向に回転駆動する回転駆動機構214(
図12参照)と、を備える。回転支持機構213により支持された回転構造体211を、回転駆動機構214が周方向に回転駆動することによって、回転構造体211が資機材5を載せた搬送ユニット212とともに周方向に回転して資機材5を所定位置に搬送する。
【0112】
図12に示す回転駆動機構214は、周方向(接線方向)に沿って伸縮可能なシリンダ機構215aと係合機構215bとを有し、係合機構215bを係合位置にした状態で回転構造体211に設けられた係合部211aを周方向に押圧することにより回転構造体211を駆動する。回転駆動機構214は、係合機構215bを退避位置にした状態で係合部211aとは非係合の状態でシリンダ機構215aを伸縮させることができる。回転駆動機構214は、係合機構215bを係合位置にした状態での伸長と、係合機構215bを退避位置にした状態での収縮とを繰り返すことにより、回転構造体211を周方向に連続的に駆動できる。
【0113】
また、上記第1および第2実施形態では、自走式搬送装置12に走行駆動機構17を設け、自走可能な構成とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、外部の駆動機構によって搬送装置を走行させてもよい。たとえば、牽引ワイヤ、チェーンその他の牽引部材を介して、自走式搬送装置12を走行させてもよい。
【0114】
また、上記第1および第2実施形態では、掘削機の一例としてシールド機6を用いる構成を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、シールド機6以外のどのような掘削機を用いてもよい。
【0115】
また、上記第1および第2実施形態では、輸送経路60がアクセス用トンネル1b内を通って地上供給設備70まで延びる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、輸送経路60の水平距離を短縮するため、円周発進基地3の付近のアクセス用トンネル1bの直上に立坑160(
図3(B)参照)を形成して、地上から立坑160を介してアクセス用トンネル1b内に資機材5を輸送する構成でもよい。なお、立坑160を設ける場合でも、輸送経路60は、アクセス用トンネル1b内を供給位置P1まで通る経路とされるので、アクセス用トンネル1b内に資機材保管部20を設けて資機材5を貯留することが可能である。
【0116】
また、上記第1実施形態では、3層3列の収容部21aを有する立体保管庫21の例を示したが、本発明はこれに限られない。立体保管庫21における収容部21aの層数は、2層または4層以上でもよい。立体保管庫21における収容部21aの列数は、1列、2列または4列以上でもよい。立体保管庫21における収容部21aの層数および列数は、資機材5の品種の数や、保管する資機材5の数量などに応じて任意に設定できる。
【0117】
また、上記第1実施形態では、供給位置P1へ向けて前送りする搬送コンベア21bを有する収容部21aを含んだ後入れ前出し方式の立体保管庫21を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。立体保管庫21としては、たとえばスタッカクレーン方式の立体保管庫でもよい。スタッカクレーン方式では、供給位置P1へ向けた走路上を移動可能かつ昇降可能なクレーン装置の片側または両側に、資機材5を収容するための収容部が形成された棚が走路に沿って設けられる。クレーン装置は、資機材5を保持して、棚のうちの任意の位置に資機材5を出し入れすることができる。スタッカクレーン方式では、後入れ前出し方式とは異なり、クレーン装置によって、棚の任意の位置に資機材5を収納し、任意の位置の資機材5を搬出することができるので、多品種の資機材5でも容易に分類保管ができる。
【0118】
また、資機材保管部20に立体保管庫21を設けない場合の構成例として、資機材保管部20の全体に亘って移動可能なガントリクレーン24を設けて、資機材5を資機材保管部20に平面的に並べて保管してもよい。この場合、輸送経路60から搬送された資機材5を、ガントリクレーン24によって資機材保管部20に移載し、次に供給すべき資機材5をガントリクレーン24によって供給位置P1へ移載する。
【0119】
また、上記第1および第2実施形態では、接続通路31を走行可能なトラバーサ台車33を備える台車方式の接続搬送装置30を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、コンベヤ方式の物流供給部を設けてもよい。たとえば、トラバーサ台車33の走路であって通路部32a~通路部32eを、それぞれコンベヤ通路によって置き換えて接続通路31を構成する。この場合、搭載位置P2にガントリクレーンを設けて、通路部32cからコンベヤで送られてきた資機材5を、円周搬送装置10から引き出した空台車35bに積み込むように構成してもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 地下構造物
2 外殻トンネル
3 円周発進基地
5 資機材
6 シールド機(掘削機)
7 搬送物
10、210 円周搬送装置
20、120 資機材保管部
21 立体保管庫
21a 収容部
22 搬入機構
23 搬出機構
30、130 接続搬送装置
31 接続通路
31a 第1通路
31b 第2通路
35 台車
35a 積載台車
35b 空台車
40 物流管理部
41 稼働情報
60 輸送経路
60a 第1輸送経路
60b 第2輸送経路
70 地上供給設備
100、200 搬送システム(外殻トンネル構築用搬送システム)
P1 供給位置
P2 搭載位置