(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】葉物野菜の乾燥方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20220225BHJP
A23B 7/024 20060101ALI20220225BHJP
A23B 7/02 20060101ALI20220225BHJP
A23L 3/40 20060101ALI20220225BHJP
A23L 3/44 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23B7/024
A23B7/02
A23L3/40 A
A23L3/44
(21)【出願番号】P 2018041635
(22)【出願日】2018-03-08
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】593020108
【氏名又は名称】エースコック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506322640
【氏名又は名称】株式会社カミサリーエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】今西 嘉之
(72)【発明者】
【氏名】横原 健偉致
(72)【発明者】
【氏名】吉本 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】立石 光
(72)【発明者】
【氏名】金子 伸治
(72)【発明者】
【氏名】勝部 敏之
【審査官】飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-218442(JP,A)
【文献】特開平06-153782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00
A23L 3/00
A23B 7/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の流れである風を葉物野菜に吹き付けることにより前記葉物野菜を乾燥させる風乾燥工程と、
前記風乾燥工程において乾燥した前記葉物野菜を凍結乾燥する凍結乾燥工程とを備える葉物野菜の乾燥方法であって、
前記凍結乾燥工程が、
前記風乾燥工程において乾燥した前記葉物野菜を凍結させる乾燥野菜凍結工程と、
前記乾燥野菜凍結工程において凍結した前記葉物野菜を解凍する解凍工程と、
前記解凍工程において解凍された前記葉物野菜に水分を添加する水分添加工程と
、
前記水分添加工程において前記水分が添加された前記葉物野菜を再凍結する再凍結工程と、
前記再凍結工程において凍結した前記葉物野菜が含む水分を昇華させる昇華工程とを有することを特徴とす
る葉物野菜の乾燥方法。
【請求項2】
前記水分添加工程が、前記解凍工程において解凍された前記葉物野菜の21重量%以上100重量%以下の前記水分を前記葉物野菜に添加する工程を有することを特徴とする請求項
1に記載の葉物野菜の乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉物野菜の乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は乾燥食品の製造方法を開示する。この乾燥食品の製造方法は、葉物野菜を、熱風乾燥した後に、その葉物野菜を凍結乾燥するという方法である。この熱風乾燥において、葉物野菜は、水分含有量が85~40重量%になるまで摂氏40度~摂氏120度で30分間~5時間乾燥させられる。特許文献1に開示された乾燥食品の製造方法によれば、食感に優れ、着色料を添加するまでもなく野菜、果実等の本来の色調を有する乾燥食品を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された乾燥食品の製造方法には、乾燥した葉物野菜を水に浸したとき、あまり膨らまないという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するものである。その目的は、水に浸したときよく膨らむ葉物野菜の乾燥方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題点に対して鋭意検討した結果、凍結乾燥に先だって葉物野菜の水分分布を均一に近づけることで、凍結乾燥後の葉物野菜を水に浸したときよく膨らむことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、次の通りである。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、葉物野菜の乾燥方法は、風乾燥工程S100と、凍結乾燥工程S102とを備える。風乾燥工程S100は、風を葉物野菜に吹き付けることにより葉物野菜を乾燥させる工程である。風は、気体の流れである。凍結乾燥工程S102は、風乾燥工程S100において乾燥した葉物野菜を凍結乾燥する工程である。凍結乾燥工程S102が、乾燥野菜凍結工程S120と、解凍工程S130と、水分添加工程S132と、再凍結工程S124と、昇華工程S126とを有する。乾燥野菜凍結工程S120は、風乾燥工程S100において乾燥した葉物野菜を凍結させる工程である。水分分布矯正工程S122は、乾燥野菜凍結工程S120において凍結した葉物野菜における水分分布を均一に近づくよう矯正する工程である。再凍結工程S124は、水分添加工程S132において水分が添加された葉物野菜を再凍結する工程である。昇華工程S126は、再凍結工程S124において凍結した葉物野菜が含む水分を昇華させる工程である。
【0008】
解凍工程S130は、乾燥野菜凍結工程S120において凍結した葉物野菜を解凍する工程である。水分添加工程S132は、解凍工程S130において解凍された葉物野菜に水分を添加する工程である。
【0009】
もしくは、上述した水分添加工程S132が、解凍工程S130において解凍された葉物野菜の21重量%以上100重量%以下の水分を葉物野菜に添加する工程を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水に浸したときよく膨らむ葉物野菜の乾燥方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のある実施形態にかかる葉物野菜の乾燥方法の手順を示すフローチャートである。
【
図2】本発明のある実施形態にかかる水分分布矯正工程の手順を示すフローチャートである。
【
図3】本発明のある実施形態にかかる再凍結用容器の外観を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
〈本発明の対象となる野菜の説明〉
本発明は、葉物野菜を対象とする。葉物野菜とは、主に葉の部分を食用とする野菜のことである。葉物野菜の例には、アブラナと、キャベツと、コマツナと、チンゲンサイと、ニラと、ニンニクの葉と、ネギと、タマネギの葉と、ノザワナと、ハクサイと、フキと、フダンソウと、ホウレンソウと、ミズナと、レタスとがある。ただし、本発明において、葉物野菜がその他の物と混合された状態で乾燥させられてもよい。その他の物の例には、根菜、穀物、肉がある。
【0014】
〈本発明に用いられる装置の説明〉
本発明のある実施形態において用いられる装置は、風乾燥装置、凍結装置、混合装置、および、真空凍結乾燥装置である。風乾燥装置は、葉物野菜に風を吹き付けることによってその葉物野菜を乾燥させる。その風は、熱風であっても冷風であってもよい。凍結装置は、風乾燥装置によって乾燥させられた葉物野菜を凍結させる。凍結装置は、混合装置によって水分と混合された葉物野菜を再度凍結させる装置でもある。混合装置は、凍結装置によっていったん凍結させられ解凍させられた葉物野菜と水分とを混合する。真空凍結乾燥装置は、凍結装置によって再凍結させられた葉物野菜の水分を昇華させる。なお、本発明を実施するにあたり、混合装置は必ずしも用いられなくてもよい。混合装置が用いられない場合の例には、凍結装置によっていったん凍結させられ解凍させられた葉物野菜が水分と混合されない場合がある。また、風乾燥装置によって乾燥させられた葉物野菜を凍結させるための凍結装置と、いったん解凍され水分と混合された葉物野菜を再度凍結させるための凍結装置とは別の装置であってもよい。これらの装置はいずれも周知の装置である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。また、葉物野菜に風を吹き付ける、葉物野菜を凍結させる、葉物野菜と水分とを混合させる、葉物野菜の水分を昇華させるといった工程を実施するための装置および道具は特に限定されない。
【0015】
〈工程の説明〉
図1は、本実施形態にかかる葉物野菜の乾燥方法の手順を示すフローチャートである。
図1に基づいて、本実施形態にかかる葉物野菜の乾燥方法の工程が説明される。本発明にかかる葉物野菜の乾燥方法は、風乾燥工程S100と、凍結乾燥工程S102とを備える。
【0016】
風乾燥工程S100は、葉物野菜に風を吹き付ける工程である。ここでいう風とは気体の流れを意味する。風を吹き付けられることにより葉物野菜は乾燥させられる。上述された風乾燥装置は、葉物野菜に風を吹き付けるために用いられ得る。葉物野菜に風を吹き付けるための具体的方法は特に限定されない。その具体的方法は周知の方法であってもよい。その風の属性も特に限定されない。例えば、風を構成する気体の温度と湿度と組成とは特に限定されない。ただし、その気体は空気であることが望ましい。入手が容易なためである。空気のほかにも、窒素ガスおよび二酸化炭素ガスもその気体の例となる。その気体の温度は摂氏70度以上摂氏90度以下であることが望ましい。その温度が摂氏70度未満の場合およびその気体が摂氏90度を超える場合に比べ、葉物野菜を傷める可能性を抑えることと葉物野菜を乾燥させる効果とを両立できるためである。その気体の湿度は相対湿度100%未満が望ましい。その湿度はなるべく低いことがより望ましい。湿度が低くなるにつれ葉物野菜を乾燥させる効果が向上するためである。
【0017】
凍結乾燥工程S102は、風乾燥工程S100において乾燥した葉物野菜を凍結乾燥する工程である。本実施形態においては、凍結乾燥工程S102は、乾燥野菜凍結工程S120と、水分分布矯正工程S122と、再凍結工程S124と、昇華工程S126とを有する。
【0018】
乾燥野菜凍結工程S120は、風乾燥工程S100において乾燥した葉物野菜を凍結させる工程である。上述された凍結装置は、その葉物野菜を凍結させるために用いられ得る。葉物野菜を凍結させるための具体的方法は特に限定されない。その具体的方法は周知の方法であってもよい。
【0019】
水分分布矯正工程S122は、乾燥野菜凍結工程S120において凍結した葉物野菜における水分分布を均一に近づくよう矯正する工程である。本発明におけるその矯正は、例えば、葉物野菜の葉の中心の水分が葉の表面の水分より多い場合に、前者と後者との水分の差を小さくすることを意味する。葉の表面と中心とに代えて、茎の根元に近い部分と茎の先端に近い部分との水分の差を小さくすることであってもよい。
【0020】
再凍結工程S124は、水分分布矯正工程S122において水分分布が均一に近づくよう矯正された葉物野菜を再凍結する工程である。上述された凍結装置は、その葉物野菜を再凍結させるために用いられ得る。葉物野菜を再凍結させるための具体的方法は特に限定されない。その具体的方法は周知の方法であってもよい。
【0021】
昇華工程S126は、葉物野菜が含む水分を昇華させる。この葉物野菜は、再凍結工程S124において凍結した葉物野菜である。その水分が昇華することにより、その葉物野菜は乾燥する。上述された真空凍結乾燥装置は、その葉物野菜が含む水分を昇華させるために用いられ得る。葉物野菜が含む水分を昇華させるための具体的方法は特に限定されない。その具体的方法は周知の方法であってもよい。
【0022】
水分分布矯正工程S122は、解凍工程S130と、水分添加工程S132とを有してい
る。
図2は、本実施形態にかかる水分分布矯正工程S122の手順を示すフローチャートである。
図2に基づいて、本実施形態にかかる水分分布矯正工程S122の工程が説明される。
【0023】
解凍工程S130は、乾燥野菜凍結工程S120において凍結した葉物野菜を解凍する工程である。解凍のための具体的な方法は特に限定されない。気温が摂氏0度を越える室内に放置することはそのような方法の一例である。
【0024】
水分添加工程S132は、解凍工程S130において解凍された葉物野菜に水分を添加する工程である。上述された混合装置は、その葉物野菜に水分を添加するために用いられ得る。この場合、その葉物野菜と水溶液とをその混合装置へ入れた後、その葉物野菜と水溶液とをその混合装置によって混合することで、その葉物野菜に水分が添加されることとなる。その水溶液の組成は特に限定されない。水溶液が含む物質の例には、炭酸水素ナトリウム、デキストリン塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、ビタミンE、糊料がある。糊料の例には、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースがある。その水分の重量%は、解凍工程S130において解凍された葉物野菜の21重量%以上100重量%以下であることが望ましい。本実施形態にかかる葉物野菜の乾燥方法によって乾燥させられた葉物野菜が水に浸されたとき特に良好に膨らむからである。もちろん、この工程において水分を添加するための具体的方法は上述されたものに限定されない。その具体的方法は周知の方法であってもよい。
【0025】
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0026】
例えば、解凍工程S130と水分添加工程S132とを有している限り、水分分布矯正工程S122において、水分分布を矯正するための具体的な方法は特に限定されない。
【0027】
【0028】
〈食べ方の説明〉
本実施形態にかかる乾燥方法によって乾燥させられた葉物野菜の使用方法は特に限定されない。例えば、その葉物野菜は、即席めんの具として用いられてもよい。その場合、その葉物野菜は、湯をかけられることによって乾燥前に近い状態へと変化する。乾燥前に近い状態へと変化することで、その葉物野菜は周知の調理された野菜と同様に食することができる。
【0029】
〈実施例の説明〉
以下、本発明の実施例が説明される。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0030】
[実施例1]
〈下処理〉
作業者は、キャベツの葉を一枚ずつ切り離して水で洗浄した。洗浄の後、作業者は、洗浄されたキャベツの葉から10mmφ以上の葉脈を除去した。除去の後、作業者は、残ったキャベツの葉を50×50mmの方形に裁断した。裁断の後、作業者は、株式会社エー・アンド・デイ製汎用電子天びんFX-2000iによってそのキャベツの葉の重量を測定した。重量が測定されると、作業者は、その重量に0.927を乗算することにより、そのキャベツの水分の重量を算出した。その重量に0.927を乗算するのは、女子栄養大学出版部を発行所とした平成16年01月初版第一別発行の七訂食品成分表中の七訂日本食品標準成分表にあるキャベツの水分に基づき、下処理前のキャベツに含まれる水分の重量%を92.7重量%とみなしたためである。以下においても、下処理前のキャベツに含まれる水分の重量%は92.7重量%とみなされる。キャベツの水分の重量が算出されると、作業者は、測定されたキャベツの重量からその水分の重量を差し引くことで、そのキャベツの水分以外の成分の重量を算出した。それらの重量が算出されると、作業者は、裁断されたキャベツの葉を食塩水でゆでた。食塩水の温度は摂氏90度であった。その食塩水における食塩の濃度は1重量%であった。キャベツの葉がゆでられた時間は60秒間であった。作業者は、ゆでられたキャベツの葉を、冷水で摂氏20度まで冷却した。冷却の後、作業者は、冷却されたキャベツの葉を水切りした。作業者は、水切りされたキャベツの葉へ、そのキャベツの葉の重量に対して3.5重量%のラクトースと、そのキャベツの葉の重量に対して1.5重量%のグルコースと、そのキャベツの葉の重量に対して0.5重量%の食塩とを添加した。それらが添加された後、作業者は、それらを均一に撹拌しながら摂氏65度まで加熱した。その間に、キャベツの葉から水分が出た。作業者はその水分を廃棄した。本実施形態では、葉物野菜へ食塩を添加することによってその葉物野菜からそれに含まれる水分を排出させることを「浸透圧脱水」と言う。浸透圧脱水後のキャベツが、本実施例にかかる下処理されたキャベツである。
【0031】
作業者は、青梗菜の根部20mmを除去した。根部が除去されると、作業者は青梗菜の葉を一枚ずつ切り離した。青梗菜の葉が切り離されると、作業者はそれらの葉を水で洗浄した。洗浄の後、作業者は、50mmの長さとなるように青梗菜を裁断した。切れ目の方向は、青梗菜の葉の繊維束に対して直角方向であった。その後については下処理されたキャベツと同様であった。もちろん、株式会社エー・アンド・デイ製汎用電子天びんFX-2000iによってその青梗菜の葉の重量が測定された。浸透圧脱水後の青梗菜が、本実施例にかかる下処理された青梗菜である。なお、本実施例においては、女子栄養大学出版部を発行所とした平成16年01月初版第一別発行の七訂食品成分表中の七訂日本食品標準成分表にある青梗菜の水分に基づき、下処理前の青梗菜に含まれる水分の重量%を96.0重量%とみなした。
【0032】
作業者は、白ネギの根部10mmと濃緑色部とを除去した。それらが除去されると、作業者は白ネギを水で洗浄した。洗浄の後、作業者は、10mmの長さとなるように白ネギを裁断した。切れ目の方向は、白ネギの繊維束に対して45°斜め方向であった。その後については下処理されたキャベツと同様であった。もちろん、株式会社エー・アンド・デイ製汎用電子天びんFX-2000iによってその白ネギの重量が測定された。浸透圧脱水後の白ネギが、本実施例にかかる下処理された白ネギである。なお、本実施例においては、女子栄養大学出版部を発行所とした平成16年01月初版第一別発行の七訂食品成分表中の七訂日本食品標準成分表にある白ネギの水分に基づき、下処理前の白ネギに含まれる水分の重量%を89.6重量%とみなした。
【0033】
作業者は、予めゆでられ冷凍されたスイートコーンを解凍した。解凍の後、作業者は、解凍されたスイートコーンを塩水で再びゆでた。食塩水の温度は摂氏90度であった。その食塩水における食塩の濃度は1重量%であった。スイートコーンが再びゆでられた際におけるゆでられた時間は60秒間であった。作業者は、再びゆでられたスイートコーンを、冷水で摂氏20度まで冷却した。冷却の後、作業者は、冷却されたスイートコーンを水切りした。水切りされた後のスイートコーンが、本実施例にかかる下処理されたスイートコーンである。このスイートコーンは、本実施例にかかる試料の彩りとして用いられる。
【0034】
作業者は、人参を水で洗浄した。洗浄の後、作業者は、洗浄された人参の外皮を除去した。除去の後、作業者は、20mmの長さとなるように人参を裁断した。切れ目の方向は、人参の繊維束に対して水平(平行)な方向であった。裁断の後、作業者は、人参を3×3mmの千切りにした。千切りの後、作業者は、裁断された人参を食塩水でゆでた。食塩水の温度は摂氏90度であった。その食塩水における食塩の濃度は1重量%であった。人参がゆでられた時間は60秒間であった。作業者は、ゆでられた人参を、冷水で摂氏20度まで冷却した。冷却の後、作業者は、冷却された人参を水切りした。水切りされた後の人参が、本実施例にかかる下処理された人参である。この人参は、本実施例にかかる試料の彩りとして用いられる。
【0035】
〈風乾燥工程〉
作業者は、下処理されたキャベツに熱風を吹き付けた。その熱風の温度は摂氏70度以上摂氏90度以下となるように制御された。これにより、下処理されたキャベツは乾燥させられた。下処理されたキャベツに熱風が吹き付けられている間、作業者は任意のタイミングでそのキャベツの重量を測定した。その重量は株式会社エー・アンド・デイ製汎用電子天びんFX-2000iによって測定された。重量が測定されると、作業者は次に述べられる手順でそのキャベツの水分の重量%を算出した。まず、作業者は、測定されたキャベツの重量から、水分以外の成分の重量を差し引いた。キャベツの水分以外の成分の重量の値は、下処理において算出された値が用いられた。これにより、熱風が吹き付けられたキャベツにおける水分の重量が算出された。次に、作業者は、その水分の重量を測定されたキャベツの重量で除算し100を乗算した。この値がキャベツの水分の重量%である。以下の実施例および比較例においても同様の手順で重量が測定され水分の重量%が算出された。算出された水分の重量%が57.06重量%になるまで熱風の吹き付けが継続された。
【0036】
作業者は、キャベツの水分の重量%が57.06重量%になると、次の式に基づいて乾燥減量率を算出した。
乾燥減量率[%]={(キャベツのうち水分以外の部分の重量+キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量)-(キャベツのうち水分以外の部分の重量+算出されたキャベツの水分の重量)}÷(キャベツのうち水分以外の部分の重量+キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量)×100=(キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量-算出されたキャベツの水分の重量)÷(キャベツのうち水分以外の部分の重量+キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量)×100=(キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量-0.5706×本工程において測定されたキャベツの重量)÷(キャベツのうち水分以外の部分の重量+キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量)×100={(1-0.5706)×本工程において測定されたキャベツの重量×0.927÷(1-0.927)-0.5706×本工程において測定されたキャベツの重量}÷{(1-0.5706)×本工程において測定されたキャベツの重量+(1-0.5706)×本工程において測定されたキャベツの重量×0.927÷(1-0.927)}×100={(1-0.5706)×0.927÷(1-0.927)×本工程において測定されたキャベツの重量-0.5706×本工程において測定されたキャベツの重量}÷{(1-0.5706)×本工程において測定されたキャベツの重量+(1-0.5706)×0.927÷(1-0.927)×本工程において測定されたキャベツの重量}×100={(1-0.5706)×0.927÷(1-0.927)-0.5706}÷{(1-0.5706)+(1-0.5706)×0.927÷(1-0.927)}×100=(0.4294×0.927÷0.073-0.5706)÷(0.4294+0.4294×0.927÷0.073)×100=4.88÷5.88×100=0.829×100=83
【0037】
作業者は、キャベツの水分の重量%が57.06重量%になると、次の式に基づいて水分除去率を算出した。
水分除去率[%]=(キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量-算出されたキャベツの水分の重量)÷キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量×100=(キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量-本工程において測定されたキャベツの重量×0.5706)÷キャベツに92.7重量%の水分が含まれていると仮定した場合のその水分の重量×100={(1-0.5706)×本工程において測定されたキャベツの重量×0.927÷(1-0.927)-本工程において測定されたキャベツの重量×0.5706}÷{(1-0.5706)×本工程において測定されたキャベツの重量×0.927÷(1-0.927)}×100={(1-0.5706)×0.927÷(1-0.927)-0.5706}÷{(1-0.5706)×0.927÷(1-0.927)}×100=(0.4294×0.927÷0.073-0.5706)÷{0.4294×0.927÷0.073}×100=(5.453-0.5706)÷5.453×100=4.882÷5.453×100=89.53
【0038】
作業者は、下処理された青梗菜に熱風を吹き付けた。その熱風の温度は摂氏70度以上摂氏90度以下となるように制御された。これにより、下処理された青梗菜は乾燥させられた。下処理された青梗菜に熱風が吹き付けられている間、作業者は任意のタイミングでその青梗菜の重量を測定し重量%を算出した。算出された水分の重量%が69.23重量%になるまで熱風の吹き付けが継続された。
【0039】
作業者は、青梗菜の水分の重量%が69.23重量%になると、キャベツの場合と同様にして乾燥減量率を算出した。算出された乾燥減量率は87重量%であった。
【0040】
作業者は、青梗菜の水分の重量%が69.23重量%になると、キャベツの場合と同様にして水分除去率を算出した。算出された水分除去率は90.63重量%であった。
【0041】
作業者は、下処理された白ネギに熱風を吹き付けた。その熱風の温度は摂氏70度以上摂氏90度以下となるように制御された。これにより、下処理された白ネギは乾燥させられた。下処理された白ネギに熱風が吹き付けられている間、作業者は任意のタイミングでその白ネギの重量を測定し重量%を算出した。算出された水分の重量%が51.18重量%になるまで熱風の吹き付けが継続された。
【0042】
作業者は、白ネギの水分の重量%が51.18重量%になると、キャベツの場合と同様にして乾燥減量率を算出した。算出された乾燥減量率は79重量%であった。
【0043】
作業者は、白ネギの水分の重量%が51.18重量%になると、キャベツの場合と同様にして水分除去率を算出した。算出された水分除去率は87.83重量%であった。
【0044】
〈乾燥野菜凍結工程〉
作業者は、風乾燥工程において乾燥した葉物野菜をポリエチレン製の袋に入れた。葉物野菜は、その種類別に分かれるようポリエチレン製の袋に入れられた。作業者は、葉物野菜が入れられたポリエチレン製の袋を冷凍庫に収容した。冷凍庫の内部の気温は摂氏マイナス25度であった。それらの袋はその冷凍庫内に24時間収容された。それらの袋が24時間冷凍庫内に収容された後、作業者は、それらの袋に入れられている葉物野菜がいずれも凍結していることを確認した。
【0045】
〈解凍工程〉
作業者は、乾燥野菜凍結工程において凍結した葉物野菜を冷凍庫の外に放置した。冷凍庫の外の気温は摂氏0度を越えていた。これにより、ポリエチレン製の袋に入れられた葉物野菜は解凍された。
【0046】
〈水分添加工程〉
作業者は、解凍工程において解凍された葉物野菜のうち、キャベツ7.4gと、青梗菜5.5gと、白ネギを5.5gとを混合用の容器に入れた。その後、作業者は、次に述べられる糊液11.2gをその容器に入れた。この糊液は、デキストリンと、食塩と、L-グルタミン酸Naと、ビタミンEとを含んでいた。この糊液は、それらを含む水溶液を摂氏85度まで加熱することで製造された。この糊液におけるデキストリンの重量%は12.8重量%であった。この糊液における食塩の重量%は0.9重量%であった。この糊液におけるL-グルタミン酸Naの重量%は0.9重量%であった。この糊液におけるビタミンEとの重量%は0.4重量%であった。この糊液は、昇華工程S126の後の乾燥野菜の強度を向上させることと、その乾燥野菜の調味と、その乾燥野菜の酸化防止とを目的として添加された。糊液が混合用の容器に入れられると、作業者は、葉物野菜と糊液とを撹拌しながら摂氏70度まで加熱した。加熱の後、作業者は、下処理されたスイートコーン5.0gと下処理された人参0.4gとを混合用の容器に入れた。スイートコーンと人参とが容器に入れられると、作業者はその容器の内容物を均一となるように混ぜた。
【0047】
〈再凍結工程〉
作業者は、混合用の容器の内容物を次に述べられる再凍結用容器200に収容した。
図3は、その再凍結用容器200の外観を示す概要図である。この再凍結用容器200はポリプロピレン製である。この再凍結用容器200の開口部210の外縁の幅および長さは底部212の幅および長さより大きい。この再凍結用容器200の開口部210の外縁の幅および長さはいずれも45mmである。この再凍結用容器200の底部212の外縁の幅および長さはいずれも43mmである。この再凍結用容器200の開口部210から底部212の内周面220までの深さは18mmである。この再凍結用容器200の容積は35mlである。混合用の容器の内容物は、再凍結用容器200摺り切り一杯分であった。混合用の容器の内容物が再凍結用容器200に収容されると、作業者は、その再凍結用容器200を冷凍庫に収容した。冷凍庫の内部の気温は摂氏マイナス25度であった。再凍結用容器200はその冷凍庫内に16時間収容された。これにより、再凍結用容器200に収容された内容物は凍結した。
【0048】
〈昇華工程〉
作業者は、再凍結工程において冷凍庫に収容された再凍結用容器200を真空凍結乾燥装置に収容した。その真空凍結乾燥装置内の気圧は100Paであった。その際、再凍結用容器200の温度は摂氏50度であった。その真空凍結乾燥装置内で、再凍結用容器200の内容物は水分の重量%が5重量%以下になるまで乾燥させられた。乾燥後のその内容物が本実施例にかかる試料である。
【0049】
[実施例2]
次の3点を除けば、本実施例にかかる葉物野菜の乾燥方法は実施例1にかかる葉物野菜の乾燥方法と同様である。第1点目は、風乾燥工程において、キャベツの水分の重量%が70.8重量%になるまで熱風の吹き付けが継続された点である。その結果、本実施例にかかるキャベツの乾燥減量率は75%であった。本実施例にかかるキャベツの水分除去率は80.91%であった。第2点目は、風乾燥工程において、青梗菜の水分の重量%が64.71重量%になるまで熱風の吹き付けが継続された点である。その結果、本実施例にかかる青梗菜の乾燥減量率は83%であった。本実施例にかかる青梗菜の水分除去率は88.3%であった。第3点目は、風乾燥工程において、白ネギの水分の重量%が66.8重量%になるまで熱風の吹き付けが継続された点である。その結果、本実施例にかかる白ネギの乾燥減量率は69%であった。本比較例にかかる白ネギの水分除去率は76.57%であった。
【0050】
なお、本実施例にかかる再凍結工程において、実施例1と同様に、混合用の容器の内容物は、再凍結用容器200摺り切り一杯分であった。
【0051】
[実施例3]
〈下処理〉
キャベツにかかる下処理は実施例1と同様である。本実施例では、青梗菜と白ネギとスイートコーンと人参との下処理は行われなかった。
【0052】
〈風乾燥工程〉
作業者は、下処理されたキャベツに熱風を吹き付けた。その熱風の温度は摂氏70度以上摂氏90度以下となるように制御された。これにより、下処理されたキャベツは乾燥させられた。下処理されたキャベツに熱風が吹き付けられている間、作業者は任意のタイミングでそのキャベツの重量を測定し重量%を算出した。算出された水分の重量%が72.61重量%になるまで熱風の吹き付けが継続された。その結果、本実施例にかかるキャベツの乾燥減量率は73.35%であった。本実施例にかかるキャベツの水分除去率は89.5%であった。
【0053】
〈乾燥野菜凍結工程〉
作業者は、風乾燥工程において乾燥したキャベツを厚さ18mmの板状に成型した。作業者は、そのキャベツを冷凍庫に収容した。その際、ポリエチレン製シートによる被覆およびダンボール紙による被覆は行われなかった。冷凍庫の内部の気温は摂氏マイナス35度であった。そのキャベツは凍結するまでその冷凍庫内に収容された。凍結の途中、作業者は、そのキャベツの中心部分の温度を計測した。作業者は、その温度が摂氏マイナス3度以下摂氏マイナス5度以上であった時間を計測した。その時間は23分であった。
【0054】
〈解凍工程〉
作業者は、乾燥野菜凍結工程において凍結したキャベツを55分間冷凍庫の外に放置した。冷凍庫の外の気温は摂氏0度を越えていた。これにより、キャベツは解凍された。
【0055】
〈水分添加工程〉
作業者は、解凍工程において解凍されたキャベツとそのキャベツの重量の58.8重量%にあたる糊液とを混合用の容器に入れた。この糊液は、デキストリンと、食塩と、L-グルタミン酸Naと、ビタミンEとを含んでいた。この糊液は、それらを含む水溶液を摂氏85度まで加熱することで製造された。この糊液におけるデキストリンの重量%は12.8重量%であった。この糊液における食塩の重量%は0.9重量%であった。この糊液におけるL-グルタミン酸Naの重量%は0.9重量%であった。この糊液におけるビタミンEの重量%は0.4重量%であった。糊液が混合用の容器に入れられると、作業者は、キャベツと糊液とを撹拌しながら摂氏70度まで加熱した。
【0056】
〈再凍結工程〉
作業者は、混合用の容器の内容物を実施例1と同一の再凍結用容器200に摺り切り一杯となるように収容した。混合用の容器の内容物が再凍結用容器200に収容されると、作業者は、その再凍結用容器200を厚さ0.02mmのポリエチレン製シートで被覆した。被覆の後、作業者は、その再凍結用容器200を冷凍庫に収容した。冷凍庫の内部の気温は摂氏マイナス25度であった。これにより、再凍結用容器200に収容された内容物は凍結した。再凍結の途中、作業者は、そのキャベツの中心部分の温度を計測した。作業者は、その温度が摂氏マイナス3度以下摂氏マイナス5度以上であった時間を計測した。その時間は62分であった。
【0057】
〈昇華工程〉
作業者は、再凍結工程において冷凍庫に収容された再凍結用容器200を真空凍結乾燥装置に収容した。その真空凍結乾燥装置内の気圧は100Paであった。その際、再凍結用容器200の温度は摂氏50度であった。その真空凍結乾燥装置内で、再凍結用容器200の内容物は水分の重量%が5重量%以下になるまで乾燥させられた。乾燥後のその内容物が本実施例にかかる試料である。
【0058】
[実施例4]
〈下処理〉
キャベツにかかる下処理の具体的内容は実施例3と同様である。
【0059】
〈風乾燥工程〉
風乾燥工程の具体的内容は実施例3と同様である。
【0060】
〈乾燥野菜凍結工程〉
板状に成型されたキャベツを厚さ0.02mmのポリエチレン製シートで被覆し、かつ、そのキャベツをダンボール紙でさらに被覆した点を除けば、この工程の具体的内容は実施例3と同様である。凍結の途中、作業者は、そのキャベツの中心部分の温度を計測した。作業者は、その温度が摂氏マイナス3度以下摂氏マイナス5度以上であった時間を計測した。その時間は194分であった。
【0061】
〈解凍工程~昇華工程〉
解凍工程~昇華工程の具体的内容は実施例3と同様である。再凍結の途中、作業者は、そのキャベツの中心部分の温度を計測した。作業者は、その温度が摂氏マイナス3度以下摂氏マイナス5度以上であった時間を計測した。その時間は62分であった。
【0062】
[実施例5]
〈下処理~解凍工程〉
下処理~解凍工程の具体的内容は実施例1と同様である。
【0063】
〈水分添加工程〉
作業者は、解凍工程において解凍された葉物野菜のうち、キャベツ7.9gと、青梗菜5.9gと、白ネギを5.9gとを混合用の容器に入れた。その後、作業者は、次に述べられる糊液9.9gをその容器に入れた。この糊液の量は、キャベツの重量と、青梗菜の重量と、白ネギの重量との合計の50重量%にあたる。この糊液は、デキストリンと、食塩と、L-グルタミン酸Naと、ビタミンEとを含んでいた。この糊液は、それらを含む水溶液を摂氏85度まで加熱することで製造された。この糊液におけるデキストリンの重量%は12.8重量%である。この糊液における食塩の重量%は0.9重量%である。この糊液におけるL-グルタミン酸Naの重量%は0.9重量%である。この糊液におけるビタミンEとの重量%は0.4重量%である。糊液が混合用の容器に入れられると、作業者は、葉物野菜と糊液とを撹拌しながら摂氏70度まで加熱した。加熱の後、作業者は、下処理されたスイートコーン5.0gと下処理された人参0.4gとを混合用の容器に入れた。スイートコーンと人参とが容器に入れられると、作業者はその容器の内容物を均一となるように混ぜた。
【0064】
〈再凍結工程~昇華工程〉
再凍結工程~昇華工程の具体的内容は実施例1と同様である。
【0065】
[実施例6]
〈下処理〉
次に述べられる点を除けば葉物野菜かかる下処理は実施例1と同様である。その点は、水切りの後、葉物野菜に添加される物質である。本実施例の場合、葉物野菜に添加されるのは、葉物野菜の重量に対して5.0重量%のグルコースと、葉物野菜の重量に対して0.5重量%の食塩とであった。
【0066】
〈風乾燥工程~解凍工程〉
次に述べられる点を除けば風乾燥工程~解凍工程の具体的内容は実施例1と同様である。その点は、風乾燥工程において、青梗菜に対し測定された水分の重量%が76.47重量%になるまで熱風の吹き付けが継続された点である。その結果、その青梗菜についての乾燥減量率は83重量%であった。その青梗菜についての水分除去率は86.46重量%であった。
【0067】
〈水分添加工程〉
作業者は、解凍工程において解凍された葉物野菜のうち、キャベツ7.44gと、青梗菜5.58gと、白ネギを5.58gとを混合用の容器に入れた。その後、作業者は、次に述べられる糊液9.3gをその容器に入れた。糊液9.3gは、これらの葉物野菜の合計重量18.6gの50重量%に相当する。この糊液は、水9.3gに、デキストリン1.4gと、食塩0.09gと、L-グルタミン酸Na0.09gと、ビタミンE0.06gとを加えて合計10.94gとし、これを摂氏85度まで加熱したものである。したがって、糊液が含む水分は、これらの葉物野菜の合計重量18.6gの43重量%(9.3g÷10.94g×9.3g÷18.6g×100=43重量%)に相当する。糊液が混合用の容器に入れられると、作業者は、葉物野菜と糊液とを撹拌しながら摂氏70度まで加熱した。加熱の後、作業者は、下処理されたスイートコーン5.0gと下処理された人参0.4gとを混合用の容器に入れた。スイートコーンと人参とが容器に入れられると、作業者はその容器の内容物を均一となるように混ぜた。
【0068】
〈再凍結工程〉
作業者は、混合用の容器の内容物を実施例1と同一の再凍結用容器200に収容した再凍結用容器200に収容されたその内容物の量は、再凍結用容器200摺り切り一杯分であった。混合用の容器の内容物が再凍結用容器200に収容されると、作業者は、その再凍結用容器200を冷凍庫に収容した。冷凍庫の内部の気温は摂氏マイナス25度であった。再凍結用容器200はその冷凍庫内に16時間収容された。これにより、再凍結用容器200に収容された内容物は凍結した。
【0069】
〈昇華工程〉
昇華工程の具体的内容は実施例1と同様である。
【0070】
[実施例7]
〈下処理〉
下処理の具体的内容は実施例6と同様である。
【0071】
〈風乾燥工程~解凍工程〉
風乾燥工程~解凍工程の具体的内容は実施例6と同様である。
【0072】
〈水分添加工程〉
作業者は、解凍工程において解凍された葉物野菜のうち、キャベツ6.24gと、青梗菜4.68gと、白ネギを4.68gとを混合用の容器に入れた。その後、作業者は、次に述べられる糊液11.7gをその容器に入れた。糊液11.7gは、これらの葉物野菜の合計重量15.6gの75重量%に相当する。この糊液は、水11.7gに、デキストリン1.76gと、食塩0.12gと、L-グルタミン酸Na0.12gと、ビタミンE0.06gとを加えて合計13.76gとし、これを摂氏85度まで加熱したものであった。したがって、糊液が含む水分は、これらの葉物野菜の合計重量15.6gの64重量%(11.7g÷13.76g×11.7g÷15.6g×100=64重量%)に相当する。糊液が混合用の容器に入れられると、作業者は、葉物野菜と糊液とを撹拌しながら摂氏70度まで加熱した。加熱の後、作業者は、下処理されたスイートコーン5.0gと下処理された人参0.4gとを混合用の容器に入れた。スイートコーンと人参とが容器に入れられると、作業者はその容器の内容物を均一となるように混ぜた。
【0073】
〈再凍結工程および昇華工程〉
再凍結工程および昇華工程の具体的内容は実施例6と同様である。なお、再凍結用容器200に収容された混合用の容器の内容物の量は、再凍結用容器200摺り切り一杯分であった。
【0074】
[実施例8]
〈下処理〉
下処理の具体的内容は実施例6と同様である。
【0075】
〈風乾燥工程~解凍工程〉
風乾燥工程~解凍工程の具体的内容は実施例6と同様である。
【0076】
〈水分添加工程〉
作業者は、解凍工程において解凍された葉物野菜のうち、キャベツ5.44gと、青梗菜4.08gと、白ネギを4.08gとを混合用の容器に入れた。その後、作業者は、次に述べられる糊液13.6gをその容器に入れた。糊液13.6gは、これらの葉物野菜の合計重量13.6gの100重量%に相当する。この糊液は、水13.6gに、デキストリン2.04gと、食塩0.14gと、L-グルタミン酸Na0.14gと、ビタミンE0.06gとを加えて合計15.98gとし、これを摂氏85度まで加熱したものである。したがって、糊液が含む水分は、これらの葉物野菜の合計重量13.6gの85重量%(13.6g÷15.98g×13.6g÷13.6g×100=85重量%)に相当する。糊液が混合用の容器に入れられると、作業者は、葉物野菜と糊液とを撹拌しながら摂氏70度まで加熱した。加熱の後、作業者は、下処理されたスイートコーン5.0gと下処理された人参0.4gとを混合用の容器に入れた。スイートコーンと人参とが容器に入れられると、作業者はその容器の内容物を均一となるように混ぜた。
【0077】
〈再凍結工程および昇華工程〉
再凍結工程および昇華工程の具体的内容は実施例6と同様である。なお、再凍結用容器200に収容された混合用の容器の内容物の量は、再凍結用容器200摺り切り一杯分であった。
【0078】
[実施例9]
〈下処理〉
下処理の具体的内容は実施例6と同様である。
【0079】
〈風乾燥工程~解凍工程〉
風乾燥工程~解凍工程の具体的内容は実施例6と同様である。
【0080】
〈水分添加工程〉
作業者は、解凍工程において解凍された葉物野菜のうち、キャベツ7.44gと、青梗菜5.58gと、白ネギを5.58gとを混合用の容器に入れた。その後、作業者は、次に述べられる糊液4.65gをその容器に入れた。糊液4.65gは、これらの葉物野菜の合計重量18.6gの25重量%に相当する。この糊液は、水4.65gに、デキストリン0.7gと、食塩0.05gと、L-グルタミン酸Na0.05gと、ビタミンE0.06gとを加えて合計5.51gとし、これを摂氏85度まで加熱したものである。したがって、糊液が含む水分は、これらの葉物野菜の合計重量18.6gの21重量%(4.65g÷5.51g×4.65g÷18.6g×100=21重量%)に相当する。糊液が混合用の容器に入れられると、作業者は、葉物野菜と糊液とを撹拌しながら摂氏70度まで加熱した。加熱の後、作業者は、下処理されたスイートコーン5.0gと下処理された人参0.4gとを混合用の容器に入れた。スイートコーンと人参とが容器に入れられると、作業者はその容器の内容物を均一となるように混ぜた。
【0081】
〈再凍結工程および昇華工程〉
再凍結工程および昇華工程の具体的内容は実施例6と同様である。なお、再凍結用容器200に収容された混合用の容器の内容物の量は、再凍結用容器200の開口部210から3mm程度下方に留まるものであった。
【0082】
[実施例10]
〈下処理〉
キャベツにかかる下処理は、次に述べられる2点を除き、実施例1と同様である。第1点目は、水切りされたキャベツの葉に対し、水切り後のキャベツの葉の重量に対するラクトースとグルコースと食塩との添加が行われなかった点である。第2点目は、青梗菜と白ネギとスイートコーンと人参とを使用していない点である。
【0083】
〈風乾燥工程〉
作業者は、下処理されたキャベツに熱風を吹き付けた。その熱風の温度は摂氏70度以上摂氏90度以下となるように制御された。これにより、下処理されたキャベツは乾燥させられた。下処理されたキャベツに熱風が吹き付けられている間、作業者は任意のタイミングでそのキャベツの重量を測定した。重量が測定されると、作業者はその重量に基づいてキャベツの水分の重量%を算出した。測定算出された水分の重量%が62.27重量%になるまで熱風の吹き付けが継続された。その結果、本実施例にかかるキャベツの乾燥減量率は80.65%であった。本実施例にかかるキャベツの水分除去率は87%であった。
【0084】
〈乾燥野菜凍結工程〉
作業者は、風乾燥工程において乾燥したキャベツを厚さ18mmの板状に成型した。作業者は、板状に成型されたキャベツを厚さ0.02mmのポリエチレン製シートで被覆した。作業者は、そのキャベツを冷凍庫に収容した。冷凍庫の内部の気温は摂氏マイナス25度であった。そのキャベツは凍結するまでその冷凍庫内に収容された。
【0085】
〈解凍工程〉
作業者は、乾燥野菜凍結工程において凍結したキャベツを冷凍庫の外に放置した。冷凍庫の外の気温は摂氏0度を越えていた。これにより、キャベツは解凍された。
【0086】
〈水分添加工程〉
作業者は、解凍工程において解凍されたキャベツとそのキャベツの重量の75重量%にあたる次に述べられる糊液とを混合用の容器に入れた。この糊液は、水に対しその3重量%の馬鈴薯でんぷんが加えられ、かつ、それらの混合物を摂氏85度まで加熱して充分に糊化させたものであった。糊液が混合用の容器に入れられると、作業者は、キャベツと糊液とを撹拌しながら摂氏70度まで加熱した。
【0087】
〈再凍結工程〉
作業者は、混合用の容器の内容物を実施例1と同一の再凍結用容器200に摺り切り一杯となるように収容した。充填できたキャベツの重量は103.5gであった。混合用の容器の内容物が再凍結用容器200に収容されると、作業者は、その再凍結用容器200を冷凍庫に収容した。冷凍庫の内部の気温は摂氏マイナス25度であった。これにより、再凍結用容器200に収容された内容物は凍結した。
【0088】
〈昇華工程〉
作業者は、再凍結工程において冷凍庫に収容された再凍結用容器200を真空凍結乾燥装置に収容した。その真空凍結乾燥装置内の気圧は133Paであった。その際、再凍結用容器200の温度は摂氏50度であった。その真空凍結乾燥装置内で、再凍結用容器200の内容物は水分の重量%が5重量%以下になるまで乾燥させられた。乾燥後のその内容物が本実施例にかかる試料である。
【0089】
[比較例1]
〈下処理〉
キャベツにかかる下処理は実施例3と同様である。
【0090】
〈風乾燥工程〉
風乾燥工程の具体的内容は実施例3と同様である。
【0091】
〈乾燥野菜凍結工程~解凍工程〉
本比較例においては、乾燥野菜凍結工程~解凍工程は実施されなかった。
【0092】
〈水分添加工程~昇華工程〉
水分添加工程~昇華工程の具体的内容は実施例3と同様である。
【0093】
[比較例2]
〈下処理~風乾燥工程〉
下処理~風乾燥工程の具体的内容は実施例5と同様である。
【0094】
〈乾燥野菜凍結工程~解凍工程〉
本比較例においては、乾燥野菜凍結工程~解凍工程は実施されなかった。
【0095】
〈水分添加工程〉
水分添加工程の具体的内容は実施例5と同様である。
【0096】
〈再凍結工程~昇華工程〉
再凍結工程~昇華工程の具体的内容は実施例5と同様である。
【0097】
[比較例3]
〈下処理〉
下処理の具体的内容は実施例10と同様である。
【0098】
〈風乾燥工程~解凍工程〉
本比較例においては、風乾燥工程~解凍工程 は実施されなかった。
【0099】
〈水分添加工程〉
作業者は、解凍工程において解凍されたキャベツとそのキャベツの重量の30重量%にあたる次に述べられる糊液とを混合用の容器に入れた。この糊液は、水に対しその3重量%の馬鈴薯でんぷんが加えられ、かつ、それらの混合物を摂氏85度まで加熱して充分に糊化させたものであった。糊液が混合用の容器に入れられると、作業者は、キャベツと糊液とを撹拌しながら摂氏70度まで加熱した。
【0100】
〈再凍結工程〉
作業者は、混合用の容器の内容物を実施例1と同一の再凍結用容器200に摺り切り一杯となるように収容した。充填できたキャベツの重量は29.9gであった。混合用の容器の内容物が再凍結用容器200に収容されると、作業者は、その再凍結用容器200を冷凍庫に収容した。冷凍庫の内部の気温は摂氏マイナス25度であった。これにより、再凍結用容器200に収容された内容物は凍結した。
【0101】
〈昇華工程〉
昇華工程の具体的内容は実施例10と同様である。
【0102】
〈効果の説明〉
[実施例1と実施例2とについて]
実施例1にかかる試料と実施例2にかかる試料とにおいて湯戻りに要する時間と湯戻し後の状態とを評価した。まず、作業者は、実施例1にかかる試料5個と実施例2にかかる試料5個とを無作為に選択して評価対象とした。作業者は、評価対象となった試料をそれぞれ別個の断熱性のある発泡スチロール製容器に入れた。試料が発泡スチロール製容器に入れられると、作業者は、試料の上から摂氏90度の熱湯を300ml注いだ後にアルミ箔で発泡スチロール製容器上面に蓋をした。作業者は、熱湯を注いでから3分経過後に試料を評価した。その評価は、それぞれの野菜が持っている色調、食感、及び風味がより自然な状態へ復元するものを高評価とした。3分の湯戻し時間経過中は撹拌やほぐしが行われなかった。その結果、湯戻りに要する時間について、実施例1にかかる試料5個と実施例2にかかる試料5個との間に大きな差がなかった。いずれも3分でほぼ完全にほぐれて復元していた。これらは充分に喫食可能な状態であった。野菜が持っている色調、食感、及び風味について、実施例1にかかる試料5個と実施例2にかかる試料5個との間に大きな差がなかった。これらの試料において色調や風味に関し使用した各原料の特徴が充分に復元されていた。これらの試料において歯応えや嚥下に際しての違和感が全くなかった。しかしながら、実施例1にかかる試料5個と実施例2にかかる試料5個との間には、キャベツ、青梗菜、及び白ネギの量についての差が感じられた。その差は野菜を多く使用した即席食品にそれらの試料が使用されたと仮定した場合、看過できない程度の差であった。
【0103】
[実施例3と実施例4と比較例1とについて]
実施例3にかかる試料と実施例4にかかる試料と比較例1にかかる試料とにおいて湯戻りに要する時間と湯戻し後の状態とを評価した。まず、作業者は、実施例3にかかる試料5個と実施例4にかかる試料5個と比較例1にかかる試料5個とを無作為に選択して評価対象とした。作業者は、評価対象となった試料をそれぞれ別個の断熱性のある発泡スチロール製容器に入れた。試料が発泡スチロール製容器に入れられると、作業者は、試料の上から摂氏90度の熱湯を300ml注いだ後にアルミ箔で発泡スチロール製容器上面に蓋をした。作業者は、熱湯を注いでから3分経過後に試料を評価した。その評価は、それぞれの野菜が持っている色調、食感、及び風味がより自然な状態へ復元するものを高評価とした。その結果、湯戻りに要する時間について、実施例3にかかる試料5個と実施例4にかかる試料5個と比較例1にかかる試料5個との間に大きな差がなかった。いずれも3分でほぼ完全にほぐれて復元していた。これらは充分に喫食可能な状態であった。野菜の色調について、実施例3にかかる試料5個と実施例4にかかる試料5個と比較例1にかかる試料5個との間に大きな差がなかった。これらの試料において色調に関しては原料の特徴が充分に復元されていた。これらの試料のうち、比較例1にかかる湯戻し後のキャベツはやや固く感じられた。実施例3にかかる湯戻し後のキャベツおよび実施例4にかかる湯戻し後のキャベツの食感はキャベツが本来持っている食感と比べて違和感がなかった。その結果、風乾燥工程を経た後の乾燥野菜凍結工程および解凍工程の有用性が確認できた。実施例3にかかる試料5個と実施例4にかかる試料5個との間には、形状、色調、および、食感のいずれについても明確な差がなかった。実施例3と実施例4との差は、乾燥野菜凍結工程における、キャベツの凍結の際の被覆の有無である。その差は、キャベツの中心部分の温度が摂氏マイナス3度以下摂氏マイナス5度以上であった時間に影響する。被覆の有無がキャベツの冷却速度に影響するためである。実施例3にかかる試料と実施例4にかかる試料との間には、形状、色調、および、食感のいずれについても明確な差がなかったので、乾燥野菜凍結工程における凍結速度の影響は小さいとの結論に達した。
【0104】
[実施例5と比較例2とについて]
実施例5にかかる試料と比較例2にかかる試料とにおいて湯戻りに要する時間と湯戻し後の状態とを評価した。まず、作業者は、実施例5にかかる試料5個と比較例2にかかる試料5個とを無作為に選択して評価対象とした。作業者は、評価対象となった試料をそれぞれ別個の断熱性のある発泡スチロール製容器に入れた。試料が発泡スチロール製容器に入れられると、作業者は、試料の上から摂氏90度の熱湯を300ml注いだ後にアルミ箔で発泡スチロール製容器上面に蓋をした。作業者は、熱湯を注いでから3分経過後に試料を評価した。その評価は、それぞれの野菜が持っている色調、食感、及び風味がより自然な状態へ復元するものを高評価とした。3分の湯戻し時間経過中は撹拌やほぐしが行われなかった。その結果、湯戻りに要する時間について、実施例5にかかる試料5個と比較例2にかかる試料5個との間に大きな差がなかった。いずれも3分でほぼ完全にほぐれて復元していた。これらは充分に喫食可能な状態であった。野菜が持っている色調について、実施例5にかかる試料5個と比較例2にかかる試料5個との間に大きな差がなかった。食感の評価では、比較例2にかかる試料は実施例5にかかる試料と比較して部分的に硬さが感じられた。特に青梗菜の茎部についてはその差が顕著であった。比較例2にかかる試料の硬さを感じる程度は、各種の野菜原料の有する特徴を大きく損ずるほどではなかった。しかし、比較例2にかかる試料と実施例5にかかる試料との比較差は明確であった。キャベツ、白ネギについても青梗菜に準ずる硬さの差異が感じられた。また、実施例5にかかる試料5個と比較例2にかかる試料5個との個別の比較においても硬さの差異が感じられた。その結果、風乾燥工程が終了した後の、葉物野菜内部の部分的な水分勾配を解消するための水分分布矯正工程の有用性が確認された。
【0105】
[実施例6乃至実施例9について]
実施例6乃至実施例9にかかる試料のうち、実施例6にかかる試料乃至実施例8にかかる試料は何れも成型容器に充填する作業に全く支障がなかった。一方、実施例9にかかる試料は加水量が少ないために成型容器に充填する作業がやや困難であった。その結果、実施例9の水分添加工程における加水量(4.65g÷5.51g×4.65g÷18.6g×100=21重量%)が、水分添加工程における加水量の下限と判断された。
【0106】
また、実施例6にかかる試料乃至実施例9にかかる試料において湯戻りに要する時間と湯戻し後の状態とを評価した。まず、作業者は、実施例6乃至実施例9にかかる試料5個ずつを無作為に選択して評価対象とした。作業者は、評価対象となった試料をそれぞれ別個の断熱性のある発泡スチロール製容器に入れた。試料が発泡スチロール製容器に入れられると、作業者は、試料の上から摂氏90度の熱湯を300ml注いだ後にアルミ箔で発泡スチロール製容器上面に蓋をした。作業者は、熱湯を注いでから3分経過後に試料を評価した。
【0107】
各実施例にかかる試料5個の平均的な湯戻し後の見かけの量を目視で確認したところ、実施例6にかかる試料が最も多く感じられ、次に実施例9にかかる試料が多く感じられ、実施例7にかかる試料、実施例8にかかる試料の順で少なくなっていることが感じられた。
【0108】
実施例9における野菜の使用量と実施例6における野菜の使用量とが同量であったにもかかわらず実施例9にかかる試料の方がやや少なく感じられたのは先述の湯戻し時のほぐれの悪さに由来するものと思われる。実施例9にかかる試料に次いで実施例7にかかる試料が多く感じられ、実施例7にかかる試料に次いで実施例8にかかる試料の順で少なくなっていることが感じられたのは、次に述べられる理由と思われた。その理由は、実施例6にかかる試料および実施例9にかかる試料と比較して実施例7にかかる野菜の使用量が少なく、実施例8にかかる野菜の使用量がさらに少なくなっているためというものである。
【0109】
実施例9にかかる試料は、3分経過後に蓋を取り除いた直後の目視評価ではややほぐれが悪かったが、箸でかき混ぜる事によって充分に喫食可能な状態となった。この傾向は実施例9にかかる5個の試料全てに見られたが、いずれも本実施例にかかる試料を即席食品の具材として実際に使用するに当たっての支障を感じるほどではなかった。しかし、実施例9にかかる試料を実施例6乃至実施例8にかかる試料と比較すればその復元性に於いてやや劣っていた。その結果、実施例9の水分添加工程における加水量(4.65g÷5.51g×4.65g÷18.6g×100=21重量%)は、風乾燥工程において乾燥させた各種野菜の、真空凍結乾燥後の湯戻りを担保するための適正な加水量の下限に近いと判断された。実施例6乃至実施例8にかかる試料はすべて湯戻りの状況が良好であった。これらの試料は3分経過後にはほぼ完全にほぐれて復元されていた。実施例6、 実施例7 、実施例8の各試料間での優位差は見られなかった。
【0110】
従って、実施例6乃至実施例9の結果から、水分添加工程における加水の必要性と、その加水量が21重量%以上100重量%以下であることが望ましいとの結論を得た。
【0111】
[実施例10と比較例3とについて]
比較例3にかかる試料は真空凍結乾燥後の製品を摂氏90度以上の熱湯で湯戻しした時のほぐれが早かった。比較例3にかかる試料は、ほぼ完全な復元に要する時間が約3分間と早かった。比較例3にかかる試料は、色調に於いてキャベツ特有の鮮緑色が見られた。一方、比較例3にかかる試料は、喫食時のキャベツの食感が弱かった。その結果、比較例3にかかる試料には、キャベツ本来の歯ざわりとの違いが感じられた。これと比較して、実施例10にかかる試料は完全な復元に要する時間がほぼ2分間であったが、比較例3と比較して湯戻し後の喫食時に於ける食感が良好であった。すなわち、この試料には、キャベツ本来の歯ざわりが充分に感じられた。この試料のキャベツ特有の鮮緑色は、比較例3と比較して遜色がなかった。
【0112】
比較例3におけるキャベツの充填量が29.9gだったのに比較して、実施例10が103.5gであった。すなわち、実施例と比較例とではその充填量に格段の差があった。
【0113】
実施例10と比較例3とを比較した結果、風乾燥工程において葉物野菜が本来含有していた水分を減じることで充分な収縮が得られた。さらにその葉物野菜に冷凍と解凍の工程を経た後の加水を施すことによって、収縮や野菜同士の絡まりによる復元性の低下を充分に回避できた。
【符号の説明】
【0114】
200…再凍結用容器
210…開口部
212…底部
220…内周面