(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】前受仕訳連携装置、前受仕訳連携方法、および、前受仕訳連携プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20120101AFI20220225BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20220225BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
G06Q10/00
(21)【出願番号】P 2018049921
(22)【出願日】2018-03-16
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦地 勇希
(72)【発明者】
【氏名】坪川 拓樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-159260(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0098623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた前受仕訳連携装置であって、
前記記憶部は、
百貨店の売上計上基準、および、前記百貨店へ消化仕入にて商品を委託している委託元の売上計上基準を設定した計上基準マスタを記憶する計上基準記憶手段、
を備え、
前記制御部は、
前記商品の納品形態が規定された、前記百貨店の顧客からの前記商品の受注に関する受注データを取得する受注取得手段と、
前記商品の納品形態が後日納品である場合、前記百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が納品基準であるか否かを判定する売上計上基準判定手段と、
前記売上計上基準判定手段により前記百貨店の売上計上基準が前記受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の受注時に、貸方の勘定科目を前受金とする、前記受注に係る仕訳データを作成する仕訳手段と、
を備えたことを特徴とする前受仕訳連携装置。
【請求項2】
前記仕訳手段は、
前記売上計上基準判定手段により前記百貨店の売上計上基準が前記納品基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の納品時に、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データを作成することを特徴とする請求項1に記載の前受仕訳連携装置。
【請求項3】
前記仕訳手段は、
前記商品の納品形態が即日納品である場合、前記商品の受注時に、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データを作成することを特徴とする請求項1に記載の前受仕訳連携装置。
【請求項4】
前記仕訳手段は、
前記売上計上基準判定手段により前記百貨店の売上計上基準が前記受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の納品時に、借方の勘定科目を前受金とする、売上に係る仕訳データを作成することを特徴とする請求項1に記載の前受仕訳連携装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記商品の納品形態が即日納品である場合、前記商品の受注時に、前記商品の売上金額を含む売上データを作成する売上作成手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の前受仕訳連携装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記商品の納品時に、前記商品の売上金額を含む売上データを作成する売上作成手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の前受仕訳連携装置。
【請求項7】
前記百貨店は、
デパート、スーパーマーケット、または、量販店であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の前受仕訳連携装置。
【請求項8】
記憶部と制御部とを備えた前受仕訳連携装置に実行させるための前受仕訳連携方法であって、
前記記憶部は、
百貨店の売上計上基準、および、前記百貨店へ消化仕入にて商品を委託している委託元の売上計上基準を設定した計上基準マスタを記憶する計上基準記憶手段、
を備え、
前記制御部で実行させる、
前記商品の納品形態が規定された、前記百貨店の顧客からの前記商品の受注に関する受注データを取得する受注取得ステップと、
前記商品の納品形態が後日納品である場合、前記百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が納品基準であるか否かを判定する売上計上基準判定ステップと、
前記売上計上基準判定ステップにて前記百貨店の売上計上基準が前記受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の受注時に、貸方の勘定科目を前受金とする、前記受注に係る仕訳データを作成する仕訳ステップと、
を含むことを特徴とする前受仕訳連携方法。
【請求項9】
記憶部と制御部とを備えた前受仕訳連携装置に実行させるための前受仕訳連携プログラムであって、
前記記憶部は、
百貨店の売上計上基準、および、前記百貨店へ消化仕入にて商品を委託している委託元の売上計上基準を設定した計上基準マスタを記憶する計上基準記憶手段、
を備え、
前記制御部において、
前記商品の納品形態が規定された、前記百貨店の顧客からの前記商品の受注に関する受注データを取得する受注取得ステップと、
前記商品の納品形態が後日納品である場合、前記百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が納品基準であるか否かを判定する売上計上基準判定ステップと、
前記売上計上基準判定ステップにて前記百貨店の売上計上基準が前記受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の受注時に、貸方の勘定科目を前受金とする、前記受注に係る仕訳データを作成する仕訳ステップと、
を実行させるための前受仕訳連携プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前受仕訳連携装置、前受仕訳連携方法、および、前受仕訳連携プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、売上と仕入とが同日計上されない慣習となっている旅行商品において、顧客からの入金に関する計上が発生した場合、前受金として計上する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、注文と納品とのタイミングが異なる百貨店業務における仕訳を作成することができなかったという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、百貨店の計上基準および取引内容に合わせて、仕訳の勘定科目を自動判断することで、計上基準の異なる百貨店に対する前受金の管理をシステム上でできるようにする前受仕訳連携装置、前受仕訳連携方法、および、前受仕訳連携プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る前受仕訳連携装置は、記憶部と制御部とを備えた前受仕訳連携装置であって、前記記憶部は、百貨店の売上計上基準、および、前記百貨店へ消化仕入にて商品を委託している委託元の売上計上基準を設定した計上基準マスタを記憶する計上基準記憶手段、を備え、前記制御部は、前記商品の納品形態が規定された、前記百貨店の顧客からの前記商品の受注に関する受注データを取得する受注取得手段と、前記商品の納品形態が後日納品である場合、前記百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が納品基準であるか否かを判定する売上計上基準判定手段と、前記売上計上基準判定手段により前記百貨店の売上計上基準が前記受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の受注時に、貸方の勘定科目を前受金とする、前記受注に係る仕訳データを作成する仕訳手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る前受仕訳連携装置において、前記仕訳手段は、前記売上計上基準判定手段により前記百貨店の売上計上基準が前記納品基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の納品時に、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データを作成することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る前受仕訳連携装置において、前記仕訳手段は、前記商品の納品形態が即日納品である場合、前記商品の受注時に、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データを作成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る前受仕訳連携装置において、前記仕訳手段は、前記売上計上基準判定手段により前記百貨店の売上計上基準が前記受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の納品時に、借方の勘定科目を前受金とする、売上に係る仕訳データを作成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る前受仕訳連携装置において、前記制御部は、前記商品の納品形態が即日納品である場合、前記商品の受注時に、前記商品の売上金額を含む売上データを作成する売上作成手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る前受仕訳連携装置において、前記制御部は、前記商品の納品時に、前記商品の売上金額を含む売上データを作成する売上作成手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る前受仕訳連携装置において、前記百貨店は、デパート、スーパーマーケット、または、量販店であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る前受仕訳連携方法は、記憶部と制御部とを備えた前受仕訳連携装置に実行させるための前受仕訳連携方法であって、前記記憶部は、百貨店の売上計上基準、および、前記百貨店へ消化仕入にて商品を委託している委託元の売上計上基準を設定した計上基準マスタを記憶する計上基準記憶手段、を備え、前記制御部で実行させる、前記商品の納品形態が規定された、前記百貨店の顧客からの前記商品の受注に関する受注データを取得する受注取得ステップと、前記商品の納品形態が後日納品である場合、前記百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が納品基準であるか否かを判定する売上計上基準判定ステップと、前記売上計上基準判定ステップにて前記百貨店の売上計上基準が前記受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の受注時に、貸方の勘定科目を前受金とする、前記受注に係る仕訳データを作成する仕訳ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る前受仕訳連携プログラムは、記憶部と制御部とを備えた前受仕訳連携装置に実行させるための前受仕訳連携プログラムであって、前記記憶部は、百貨店の売上計上基準、および、前記百貨店へ消化仕入にて商品を委託している委託元の売上計上基準を設定した計上基準マスタを記憶する計上基準記憶手段、を備え、前記制御部において、前記商品の納品形態が規定された、前記百貨店の顧客からの前記商品の受注に関する受注データを取得する受注取得ステップと、前記商品の納品形態が後日納品である場合、前記百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が納品基準であるか否かを判定する売上計上基準判定ステップと、前記売上計上基準判定ステップにて前記百貨店の売上計上基準が前記受注基準であり且つ前記委託元の売上計上基準が前記納品基準であると判定された場合、前記商品の受注時に、貸方の勘定科目を前受金とする、前記受注に係る仕訳データを作成する仕訳ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、百貨店の計上基準・取引内容に合わせて仕訳の科目を自動判断することで、百貨店への消火仕入にて商品を委託している卸売業またはメーカの計上基準が納品基準の場合に、受注基準の百貨店に対する前受金管理をできるようにした結果、システム連携での仕訳計上による売掛金勘定の正確性を向上させることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、販売システムでの対応を行うことで会計システムとの連携が可能になり、会計数値の正確性を担保できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、前受仕訳連携装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における前受仕訳連携装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施形態における前受仕訳連携装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本実施形態におけるデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における仕訳連携処理の一例を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における発生仕訳の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における発生仕訳の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における発生仕訳の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における発生仕訳の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
まず、本発明の概要を説明する。
【0019】
従来、売上の計上をもって債権管理を行うため、百貨店へ商品を委託している自社が納品基準で取引先である百貨店が受注基準の場合、売掛金の計上タイミングが異なり、システム上での管理が出来なかった。また、従来、会計計上の主流が「納品基準」になる中、「納品基準」へと変更しようとしても百貨店側が「受注基準」のままであることが多かったため、百貨店が受注基準の場合、システム外で売掛金を管理し、会計システムに手入力する必要があった。そのため、従来、売掛金の正確性が担保できず、監査対応として十分な証跡が存在しなかった。
【0020】
そこで、本実施形態においては、百貨店にて顧客より注文を承るが、名入れまたは加工を介するため、実際の商品の受け渡しが後日となる際に、百貨店の売上計上基準が「受注基準」であり且つ自社の売上計上基準が「納品基準」である場合、この時点で消化仕入を計上し、この時点では売上としては扱わないように会計処理することを可能にしている。
【0021】
[2.構成]
本実施形態に係る前受仕訳連携装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、前受仕訳連携装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
前受仕訳連携装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、前受仕訳連携装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0023】
前受仕訳連携装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。前受仕訳連携装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0024】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、前受仕訳連携装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、前受仕訳連携装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0025】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、計上基準マスタ106aと、取引ファイル106bとを備えている。
【0026】
計上基準マスタ106aは、取引先である百貨店の売上計上基準、および、百貨店へ消化仕入にて商品を委託している委託元の売上計上基準を設定したマスタである。ここで、百貨店は、デパート、スーパーマーケット、または、量販店等であってもよい。なお、委託元の売上計上基準は、納品基準に固定されていてもよく、その際、計上基準マスタ106aは、取引先である百貨店の売上計上基準を設定した取引先マスタであってもよい。また、計上基準マスタ(取引先マスタ)106aは、取引先名および/または取引先コード(CD)等を記憶していてもよい。
【0027】
取引ファイル106bは、取引データ記憶する。ここで、取引ファイル106bは、受注データ、仕訳データ、および/または、売上データ等を記憶していてもよい。ここで、受注データは、受注番号、取引先名、取引先CD、行番号、納品形態区分、商品名、商品CD、売上金額および/または売上計上済フラグ等を含んでいてもよい。また、売上データは、売上番号、取引先名、取引先CD、行番号、受注番号、受注行番号、商品名、商品CDおよび/または売上金額等を含んでいてもよい。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
制御部102は、前受仕訳連携装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、受注取得部102aと、納品形態判定部102bと、売上計上基準判定部102cと、仕訳部102dと、売上作成部102eとを備えている。
【0030】
受注取得部102aは、受注データを取得する。ここで、受注取得部102aは、商品の納品形態が規定された、百貨店の顧客からの商品の受注に関する受注データを取得してもよい。また、受注取得部102aは、受注データを取引ファイル106bに格納してもよい。
【0031】
納品形態判定部102bは、受注データに基づいて、商品の納品形態が後日納品であるか否かを判定する。ここで、納品形態判定部102bは、受注データに含まれる納品形態区分に基づいて、商品の納品形態が後日納品であるか(または、即日納品であるか)否かを判定してもよい。
【0032】
売上計上基準判定部102cは、商品の納品形態が後日納品である場合、百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ委託元の売上計上基準が納品基準であるか否かを判定する。ここで、売上計上基準判定部102cは、納品形態判定部102bにより商品の納品形態が後日納品であると判定された場合、百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ委託元の売上計上基準が納品基準であるか否かを判定してもよい。
【0033】
仕訳部102dは、仕訳データを作成する。ここで、仕訳部102dは、売上計上基準判定部102cにより百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ委託元の売上計上基準が納品基準であると判定された場合、商品の受注時に、貸方の勘定科目を前受金とする、受注に係る仕訳データを作成してもよい。また、仕訳部102dは、売上計上基準判定部102cにより百貨店の売上計上基準が納品基準であり且つ委託元の売上計上基準が納品基準であると判定された場合、商品の納品時に、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データを作成してもよい。また、仕訳部102dは、商品の納品形態が即日納品である場合、商品の受注時に、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データを作成してもよい。また、仕訳部102dは、売上計上基準判定部102cにより百貨店の売上計上基準が受注基準であり且つ委託元の売上計上基準が納品基準であると判定された場合、商品の納品時に、借方の勘定科目を前受金とする、売上に係る仕訳データを作成してもよい。また、仕訳部102dは、仕訳データを取引ファイル106bに格納してもよい。
【0034】
売上作成部102eは、商品の売上金額を含む売上データを作成する。ここで、売上作成部102eは、商品の納品形態が即日納品である場合、商品の受注時に、商品の売上金額を含む売上データを作成してもよい。また、売上作成部102eは、商品の納品時に、商品の売上金額を含む売上データを作成してもよい。
【0035】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図2から
図9を参照して説明する。
【0036】
[仕訳連携処理]
ここで、
図2から
図9を参照して、本実施形態における仕訳連携処理の一例について説明する。
【0037】
[受注仕訳処理]
図2を参照して、本実施形態における受注仕訳処理の一例について説明する。
図2は、本実施形態における前受仕訳連携装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
図2に示すように、受注取得部102aは、百貨店の従業員により入力装置112を介して、商品の納品形態区分および売上金額を含む、百貨店の顧客からの商品の受注に関する受注データが入力された場合、当該受注データを取得して取引ファイル106bに格納する(ステップSA-1)。なお、本実施形態において、計上基準マスタ106aに設定された委託元である自社(卸業者またはメーカ等)の売上計上基準は、納品基準に固定されているものとする。
【0039】
そして、納品形態判定部102bは、取引ファイル106bに記憶された受注データに含まれる納品形態区分に基づいて、商品の納品形態が後日納品であるか否かを判定する(ステップSA-2)。
【0040】
そして、納品形態判定部102bは、商品の納品形態が後日納品ではなく、即日納品であると判定した場合(ステップSA-2:即日納品)、商品の受注時に仕訳作成を行わず、処理を終了する。
【0041】
一方、納品形態判定部102bは、商品の納品形態が後日納品であると判定した場合(ステップSA-2:後日納品)、処理をステップSA-3に移行させる。
【0042】
そして、売上計上基準判定部102cは、計上基準マスタ106aに設定された委託元である自社の売上計上基準が納品基準に固定されているため、計上基準マスタ106aに設定された取引先である百貨店の売上計上基準が受注基準であるか否かを判定する(ステップSA-3)。
【0043】
そして、売上計上基準判定部102cは、百貨店の売上計上基準が受注基準ではなく、納品基準であると判定した場合(ステップSA-3:納品基準)、商品の受注時に仕訳作成を行わず、処理を終了する。
【0044】
一方、売上計上基準判定部102cは、百貨店の売上計上基準が受注基準であると判定した場合(ステップSA-3:受注基準)、処理をステップSA-4に移行させる。
【0045】
そして、仕訳部102dは、商品の受注時に、借方の勘定科目を売掛金、且つ、貸方の勘定科目を前受金とする、受注に係る仕訳データを作成し(ステップSA-4)、処理を終了する。
【0046】
[売上仕訳処理]
図3を参照して、本実施形態における売上仕訳処理の一例について説明する。
図3は、本実施形態における前受仕訳連携装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0047】
図3に示すように、受注取得部102aは、百貨店の従業員により入力装置112を介して、商品の納品形態区分および売上金額を含む、百貨店の顧客からの商品の受注に関する受注データが入力された場合、当該受注データを取得して取引ファイル106bに格納する(ステップSB-1)。なお、本実施形態において、計上基準マスタ106aに設定された委託元の売上計上基準は、納品基準に固定されているものとする。
【0048】
そして、納品形態判定部102bは、取引ファイル106bに記憶された受注データに含まれる納品形態区分に基づいて、商品の納品形態が後日納品であるか否かを判定する(ステップSB-2)。
【0049】
そして、納品形態判定部102bは、商品の納品形態が後日納品ではなく、即日納品であると判定した場合(ステップSB-2:即日納品)、処理をステップSB-3に移行させる。
【0050】
そして、仕訳部102dは、商品の納品時に、借方の勘定科目を売掛金、且つ、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データを作成し(ステップSB-3)、処理を終了する。
【0051】
一方、納品形態判定部102bは、商品の納品形態が後日納品であると判定した場合(ステップSB-2:後日納品)、処理をステップSB-4に移行させる。
【0052】
そして、売上計上基準判定部102cは、計上基準マスタ106aに設定された委託元である自社の売上計上基準が納品基準に固定されているため、計上基準マスタ106aに設定された取引先である百貨店の売上計上基準が受注基準であるか否かを判定する(ステップSB-4)。
【0053】
そして、売上計上基準判定部102cは、百貨店の売上計上基準が受注基準ではなく、納品基準であると判定した場合(ステップSB-4:納品基準)、処理をステップSB-3に移行させる。
【0054】
一方、売上計上基準判定部102cは、百貨店の売上計上基準が受注基準であると判定した場合(ステップSB-4:受注基準)、処理をステップSB-5に移行させる。
【0055】
そして、仕訳部102dは、商品の納品時に、借方の勘定科目を前受金、且つ、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データを作成し(ステップSB-5)、処理を終了する。
【0056】
ここで、
図4を参照して、本実施形態におけるデータ構造の一例について説明する。
図4は、本実施形態におけるデータ構造の一例を示す図である。
【0057】
図4に示すように、本実施形態においては、取引先CD、取引先名および売上計上基準が設定された取引先マスタ106aと、受注番号、取引先CD、受注行番号、納品形態区分、商品CDおよび売上金額を含む受注データ、ならびに、売上番号、取引先CD、行番号、受注番号、受注行番号、商品CDおよび売上金額を含む売上データを記憶した取引ファイル106bと、を備えており、取引先CDを介して取引先マスタ106aと受注データとが紐付いており、受注番号および受注行番号を介して受注データと売上データとが紐付いている。このようなデータリレーション構造をとることにより、本実施形態においては、受注仕訳計上時に、受注データの「納品形態区分」、および、取引先マスタ106aの「売上計上基準」を参照して作成仕訳を判断することができ、売上仕訳計上時に、売上データから紐づけた受注データの「納品形態区分」および取引先マスタ106aの「売上計上基準」を参照して作成仕訳を判断することができる。
【0058】
また、
図5を参照して、本実施形態における仕訳連携処理の具体例について説明する。
図5は、本実施形態における仕訳連携処理の一例を示すフロー図である。
【0059】
図5に示すように、本実施形態においては、取引先である百貨店へ消化仕入にて商品を委託している委託元により、各百貨店に対する売上計上基準が計上基準マスタ106aに設定される(ステップSD-1)。
【0060】
そして、
図5に示すように、本実施形態においては、百貨店の顧客から商品の注文を受け(ステップSD-2)、百貨店の従業員により受注データが入力された場合、受注データが取得され、納品形態および売上計上基準に基づいて、仕訳データおよび/または売上データが作成される(ステップSD-3)。
【0061】
すなわち、
図5に示すように、本実施形態においては、商品の注文時に、後日納品となるのかその場でお渡しを行う即日納品のかが百貨店の従業員により指定され、納品形態が後日納品であって、百貨店の売上計上基準が受注基準、且つ、委託元の売上計上基準が納品基準である場合、借方の勘定科目を売掛金、且つ、貸方の勘定科目を前受金とする、受注に係る仕訳データが作成される。また、
図5に示すように、本実施形態においては、納品形態が即日納品である場合、売上が計上された注文として、受注計上時点で、借方の勘定科目を売掛金、且つ、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データが作成され、更に、売上データまで作成されてもよい。
【0062】
そして、
図5に示すように、本実施形態においては、百貨店の顧客への商品の納品がされた場合(ステップSD-4)、受注データの内の、売上計上済フラグが「0:未売上」の状態(後日納品)の商品を対象として、売上に係る仕訳データ、および、売上データが作成され(ステップSD-5)、処理を終了する。
【0063】
すなわち、
図5に示すように、本実施形態においては、納品形態が後日納品であって、百貨店の売上計上基準が受注基準、且つ、委託元の売上計上基準が納品基準である場合、借方の勘定科目を前受金、且つ、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データが作成され、納品形態が後日納品であって、百貨店の売上計上基準が納品基準、且つ、委託元の売上計上基準が納品基準である場合、借方の勘定科目を売掛金、且つ、貸方の勘定科目を売上とする、売上に係る仕訳データが作成されてもよい。このように、本実施形態においては、後日納品の場合、商品の受け渡しをもって、売上として計上している。
【0064】
また、
図6から
図9を参照して、本実施形態における発生仕訳の一例について説明する。
図6から
図9は、本実施形態における発生仕訳の一例を示す図である。
【0065】
図6には、百貨店にて顧客より注文を受けるが、名入れおよび/または加工を介するために、実際の商品の受け渡しが後日(後日納品)となる際に、取引先である百貨店の売上計上基準が受注基準、且つ、委託元である自社の売上計上基準が納品基準である場合の注文時点、納品時点および入金時点の発生仕訳を示している。
【0066】
また、
図7には、百貨店にて顧客より注文を受けるが、名入れおよび/または加工を介するために、実際の商品の受け渡しが後日(後日納品)となる際に、取引先である百貨店の売上計上基準が納品基準、且つ、委託元である自社の売上計上基準が納品基準である場合の納品時点および入金時点の発生仕訳を示している。
図7に示すように、本実施形態においては、取引先および委託元の売上計上基準が納品基準である場合、注文時点における仕訳が発生しない。
【0067】
また、
図8には、百貨店にて顧客より注文を受け、その場で商品を渡す(即日納品)際に、取引先である百貨店の売上計上基準が受注基準、且つ、委託元である自社の売上計上基準が納品基準である場合の注文時点である納品時点、および、入金時点の発生仕訳を示している。
【0068】
また、
図9には、百貨店にて顧客より注文を受け、その場で商品を渡す(即日納品)際に、取引先である百貨店の売上計上基準が納品基準、且つ、委託元である自社の売上計上基準が納品基準である場合の注文時点である納品時点、および、入金時点の発生仕訳を示している。
【0069】
図8および
図9に示すように、本実施形態においては、注文時点と納品時点とが同時であるため、百貨店の売上計上基準に関わらず、この時点で消化仕入が計上され、自社の売上計上基準が納品基準であるため、受注=納品となり、この時点で売上も計上される。
【0070】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0071】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0072】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0073】
また、前受仕訳連携装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0074】
例えば、前受仕訳連携装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて前受仕訳連携装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0075】
また、このコンピュータプログラムは、前受仕訳連携装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0076】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0077】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0078】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0079】
また、前受仕訳連携装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、前受仕訳連携装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0080】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、百貨店と消化仕入形態での取引を行っている小売業等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0082】
100 前受仕訳連携装置
102 制御部
102a 受注取得部
102b 納品形態判定部
102c 売上計上基準判定部
102d 仕訳部
102e 売上作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 計上基準マスタ
106b 取引ファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク