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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】釣竿スタンド
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/10 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
A01K97/10 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018156610
(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公開番号】P2020028264
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100203460
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】加納 一啓
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3121333(JP,U)
【文献】実開平06-019474(JP,U)
【文献】登録実用新案第3176641(JP,U)
【文献】実開平02-009078(JP,U)
【文献】特開2009-050187(JP,A)
【文献】特開2015-123066(JP,A)
【文献】米国特許第08375622(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿を立てて保持可能な竿立て部材と、
内部に中空部を備え、複数の前記竿立て部材を着脱自在に取り付け可能な第1被取付部を上面に備える台座部材と、
を有する、釣竿スタンド。
【請求項2】
前記竿立て部材は、
前記釣竿を立てて保持可能な保持部材と、
前記保持部材を着脱自在に取り付け可能な第2被取付部が設けられるベース部材と、を備える、請求項1に記載の釣竿スタンド。
【請求項3】
前記保持部材は、
前記釣竿の移動を規制する移動規制部材と、
前記移動規制部材に設けられ、前記釣竿が備えるリールに当接して前記釣竿の軸回りの回動を規制する回動規制部材と、を備える請求項2に記載の釣竿スタンド。
【請求項4】
前記移動規制部材は筒であり、
前記回動規制部材は、前記移動規制部材の一方の端部に設けられ、
前記第2被取付部は、前記移動規制部材の他方の端部が取り付け可能である、請求項3に記載の釣竿スタンド。
【請求項5】
前記第1被取付部に前記竿立て部材を取り付けた場合に液体が前記竿立て部材から前記台座部材の底面へと通過可能な流路を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の釣竿スタンド。
【請求項6】
前記竿立て部材は、側面に、鉛直方向に起立した面に対して取り付け可能な取付部を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の釣竿スタンド。
【請求項7】
前記竿立て部材は、
前記第1被取付部への取り付け方向と平行な方向に貫通する孔と、
前記第1被取付部に前記竿立て部材を取り付けた場合に、前記孔の前記台座部材に対向する側を閉塞するカバー部材と、を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の釣竿スタンド。
【請求項8】
前記竿立て部材は、前記台座部材への取り付け方向と平行な方向に貫通する孔を備え、
前記台座部材の上面の、前記台座部材が取り付けられた場合に前記孔と対向する位置には、周囲よりも凹んだ凹部が設けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載の釣竿スタンド。
【請求項9】
釣竿を立てて保持可能な竿立て部材と、
内部に中空部を有し、複数の前記竿立て部材を着脱自在に取り付け可能な被取付部を備える台座部材と、
を有し、
前記竿立て部材は、側面に、鉛直方向に起立した面に対して取り付け可能な取付部を備える、釣竿スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿を立てて保持する釣竿スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
船上等で釣りを行う場合、釣竿を地面等に寝かせて置けば、釣竿やリールに傷がつくおそれがある。また、釣竿を寝かせて置くうえで十分なスペースを確保できない場合も多く、釣竿を立てて保持する釣竿スタンドが求められている。
【0003】
釣竿を立てて保持する釣竿スタンドとして、例えば、文献1~3に記載の釣竿スタンドがある。文献1に記載の釣竿スタンドでは、折り畳み可能な支持部材に、釣竿を支持するホルダを複数設けている。文献2に記載の釣竿スタンドでは、複数の釣竿を立てて保持可能な釣竿保持部をクーラーボックスに取り付けている。文献3に記載の釣竿スタンドでは、基台に複数の筒を設けるとともに、その基台を、木ねじにより固定するための対象物に取り付け可能としている。文献1~3では、以上のように構成することで、釣竿スタンドの持ち運びが容易に行え、且つ、複数の釣竿をひとつの釣竿スタンドに立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3119400号公報
【文献】実用新案登録第3121333号公報
【文献】実開平6-19474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文献1に記載されている釣竿スタンドは、折り畳み可能であるがゆえに、船上のような揺れが生ずる場所や、磯のような足場が不安定な場所では、釣竿スタンドが倒れるおそれがある。文献2に記載されている釣竿スタンドでは、クーラーボックスを別途用意する必要があるうえ、クーラーボックスの内容物の重量が軽ければ、釣竿立てが不安定となり、釣竿スタンドが倒れるおそれがある。文献3に記載されている釣竿スタンドでは、固定するための対象物を別途用意する必要があり、使用可能な状況が限定される。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、安定性が高く、且つ、狭い場所でも好適に使用可能な釣竿スタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の構成は、釣竿スタンドであって、釣竿を立てて保持可能な竿立て部材と、内部に中空部を備え、複数の竿立て部材を着脱自在に取り付け可能な第1被取付部を上面に備える台座部材と、を有するものである。
【0008】
第1の構成では、ひとつの台座部材の上部に複数の竿立て部材を取り付けることができるため、船上等のようなスペースに限りがある場所でも、ひとつの釣竿スタンドに複数の釣竿を立てて保持ことができる。一方、釣竿は長尺状であるため、釣竿を立てて保持する場合には重心が高くなり、釣竿スタンドが軽量であれば、釣竿スタンドが倒れるおそれがある。また、台座部材の上部に釣竿を保持する保持部材を設ける場合には、重心がより高くなり安定性がさらに低下する。したがって、複数の釣竿を安定して立てるためには、釣竿スタンドに十分な重さが必要になる。一方、釣竿スタンドを重くすれば、持ち運びの利便性が低下する。この点、第1の構成では、台座部材が内部に中空部を有しているため、釣りを行う場所に豊富に存在する水や砂等を台座部材の内部に入れ、台座部材の重さを確保することができる。したがって、釣竿スタンドの持ち運びの利便性を確保しつつ、台座部材の上部に釣竿を立てた場合でも、釣竿スタンドを安定させることができる。
【0009】
第2の構成では、第1の構成に加えて、竿立て部材は、釣竿を立てて保持可能な保持部材と、保持部材を着脱自在に取り付け可能な第2被取付部が設けられるベース部材と、を備える。
【0010】
この第2の構成では、台座部材に着脱自在に取り付け可能な竿立て部材についても、必要に応じて保持部を着脱することができるため、釣竿スタンドの構成を使用する釣竿の数に適したものとすることができる。
【0011】
第3の構成では、第2の構成に加えて、保持部材は、釣竿の移動を規制する移動規制部材と、移動規制部材に設けられ、釣竿が備えるリールに当接して釣竿の軸回りの回動を規制する回動規制部材と、を備える。
【0012】
この第3の構成では、釣竿スタンドを船上で使用した場合でも、船の揺れによる釣竿の移動や回動を抑制することができる。
【0013】
第4の構成では、第3の構成に加えて、移動規制部材は筒であり、回動規制部材は、移動規制部材の一方の端部に設けられ、第2被取付部は、移動規制部材の他方の端部が取り付け可能である。
【0014】
この第4の構成では、移動規制部材を切断することで長さを変更することができるため、竿立て部材の高さを使用する釣竿に適した高さに変更することができる。
【0015】
第5の構成では、第1~第4のいずれかの構成に加えて、第1被取付部に竿立て部材を取り付けた場合に液体が竿立て部材から台座部材の底面へと通過可能な流路を備える。
【0016】
第5の構成では、濡れた釣竿を竿立て部材に立てた際に、釣竿に付着した水が流路を通過して台座部材の底面へ抜けるため、竿立て部材や台座部材の上面における水の滞留を抑制することができる。
【0017】
第6の構成では、第1~第5のいずれかの構成に加えて、竿立て部材は、側面に、鉛直方向に起立した面に対して取り付け可能な取付部を備える。
【0018】
第6の構成では、台座部材に対して着脱可能な竿立て部材を、船の壁面等のような鉛直な面に対して取り付け可能であるため、釣竿スタンドの周囲の状況に適した構成で使用することができる。
【0019】
第7の構成では、第1~第6のいずれかの構成に加えて、竿立て部材は、第1被取付部への取り付け方向と平行な方向に貫通する孔と、第1被取付部に竿立て部材を取り付けた場合に、孔の台座部材に対向する側を閉塞するカバー部材と、を備える。
【0020】
台座部材は中空部を備えているため、ナイフや包丁、ハサミ等の刃物が接触した場合、穴が開くおそれがある。一方、釣竿スタンドには、釣りで使用する様々な道具を収容する機能も求められている。この点、第6の構成では、竿立て部材に孔を設け、魚釣りで使用されるハサミ等の刃物を収容可能としつつ、その孔の底を閉塞するカバー部材により台座部材を保護しているため、より釣りに適した機能を提供しつつ、台座部材の耐久性を向上させることができる。また、第6の構成のように、竿立て部材を壁面等に取り付ける場合、カバー部材を取り付けることによって孔の下方から刃物が突出することがなくなり、安全性を確保することができる。
【0021】
第8の構成では、第1~第6のいずれかの構成に加えて、竿立て部材は、台座部材への取り付け方向と平行な方向に貫通する孔を備え、台座部材の上面の、台座部材が取り付けられた場合に孔と対向する位置には、周囲よりも凹んだ凹部が設けられている。
【0022】
第8の構成では、竿立て部材に設けられている孔にナイフや包丁、ハサミ等の刃物が収容されたとしても、台座部材の上面に設けられた凹部により、刃物が台座部材の上面に到達しづらくなる。したがって、より釣りに適した機能を提供しつつ、台座部材の耐久性を向上させることができる。
【0023】
第9の構成は、釣竿スタンドであって、釣竿を立てて保持可能な竿立て部材と、内部に中空部を有し、複数の竿立て部材を着脱自在に取り付け可能な被取付部を備える台座部材と、を有し、竿立て部材は、側面に、鉛直方向に起立した面に対して取り付け可能な取付部を備える。
【0024】
第9の構成では、ひとつの台座部材に複数の竿立て部材を取り付けることができるため、船上等のようなスペースに限りがある場所でも、ひとつの釣竿スタンドに複数の釣竿を立てて保持ことができるうえ、水や砂等を台座部材の内部に入れ、台座部材の重さを確保することができる。加えて、台座部材に対して着脱可能な竿立て部材を、船の壁面等のような鉛直な面に対して取り付け可能であるため、釣竿スタンドの持ち運びの利便性を確保しつつ、釣竿スタンドを安定させることができ、且つ、釣竿スタンドの周囲の状況に適した構成で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】釣竿スタンドの斜視図である。
図2】台座部材の斜視図である。
図3】台座部材の上面図である。
図4】ベース部材の斜視図である。
図5】ベース部材の上面図である。
図6】ベース部材のAA断面図である。
図7】保持部材の斜視図である。
図8】ベース部材への保持部材の取付方法を示す図である。
図9】台座部材へのベース部材の取付方法を示す図である。
図10】壁面へのベース部材の取付方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
【0027】
本実施形態に係る釣竿スタンドは、図1に示すように、台座部材10と、台座部材10の上面側に取り付けられたベース部材30と、ベース部材30の上面側に取り付けられた保持部材50を備えて構成されている。
【0028】
まず、台座部材10の形状について、図2及び3を参照して説明する。台座部材10は、上面視にて角丸長方形であり、外周は、一対の平行な長辺及び一対の平行な短辺と、長辺と短辺とをつなぐ円弧により構成されている。また、台座部材10の上面と底面とは、上面及び底面に形成された凹凸を除き、平行である。なお、本実施形態に係る台座部材10は、ポリエチレンにより形成されている。
【0029】
台座部材10の上面には、上面から底面側へ向けて凹んだ第1凹部11が設けられている。この第1凹部11は、一対の平行な長辺及び一対の平行な短辺と、長辺と短辺とを結ぶ円弧により構成される外壁部12により囲まれる、略角丸長方形状の領域である。この外壁部12の幅は全周に亘って略均一であり、外壁部12の外周及び内周を構成する各面は、台座部材10の上面に対して略垂直である。第1凹部11の中央近傍には、第1凹部11の底から上方へ隆起した角丸長方形状の内壁部13が設けられている。この内壁部13の長辺は外壁部12の長辺と平行であり、内壁部13の短辺は外壁部12の短辺と平行である。この内壁部13の外周を構成する各面は、外壁部12の各面と同様に、台座部材10の上面に対して略垂直である。
【0030】
外壁部12と内壁部13との互いに対向する辺の間隔は、すべて等しい。外壁部12の内周の短辺の長さは、内壁部13の長辺の長さと等しい。したがって、外壁部12の内周の短辺の長さと、外壁部12と内壁部13との互いに対向する辺の間隔の2倍との合計の長さが、外壁部12の内周の長辺の長さと等しい。また、内壁部13の内側には、上面側から底面側へと凹んだ複数の中央凹部14が設けられている。
【0031】
この第1凹部11の底には、上面側から底面側へとさらに凹んだ第2凹部15、及び第3凹部19が、それぞれ2つずつ設けられている。各第2凹部15は、上面視にて円形である一対の円形凹部16,17と、一対の円形凹部16,17どうしをつなぎ、円形凹部16,17の直径よりも幅が狭い接続凹部18とで構成されている。
【0032】
この2つの第2凹部15は、上面視にて、台座部材10の中心に対して点対象に設けられている。一対の円形凹部16,17のうちの一方の円形凹部16は、第1凹部11の隅に、中心が外壁部12の内周の短辺及び長辺から等距離となるように設けられている。他方の円形凹部17の外壁部12の長辺からの離間距離は、一方の円形凹部16と等しい。接続凹部18は、外壁部12の内周の長辺に対して平行に設けられており、円形凹部16,17の側面どうしをつなぐ。また、ひとつの第2凹部における一方の円形凹部17の底には、上面側から底面側へと貫通した円形の水抜き孔23が設けられている。
【0033】
各第3凹部19は、上面視にて半円と長方形とを組み合わせた形状である一対の多角凹部20,21と、その多角凹部20,21どうしをつなぐ接続凹部22とで構成されている。接続凹部22は、外壁部12の内周の長辺に対して平行に設けられており、多角凹部20,21の半円の部分どうしをつなぐ。外壁部12の短辺に近接して設けられた多角凹部20では、長方形部分の長辺が外壁部12の長辺と平行に設けられており、他方の多角凹部21では、長方形部分の長辺が外壁部12の短辺と平行に設けられている。多角凹部20,21及び接続凹部22の深さは略均一である。加えて、ひとつの第3凹部19における一方の多角凹部21の底には、上面側から底面側へと貫通した円形の水抜き孔23が設けられている。
【0034】
第1凹部11において、第2凹部15と第3凹部18の間のそれぞれには、上面側から底面側へと貫通した円形の孔24が設けられている。この孔24の中心の位置は、外壁部12と内壁部13との対向する辺から等距離であり、且つ、外壁部12における孔24が近接する辺を挟む一対の辺からも等距離である。また、台座部材10の底面側において、孔24が設けられる位置の周囲は、台座部材10の上下方向の厚みが薄くなるように形成されている。
【0035】
以上、外形を説明した台座部材10は、その内部が中空に形成されている。台座部材10の側面には、台座部材10の内部空間と外部とをつなぐ孔が設けられており、その孔には、孔を閉塞する蓋25が着脱自在に取り付けられている。
【0036】
次に、ベース部材30について図4~6を参照して説明する。ベース部材30も、台座部材10と同様に、ポリエチレンにより形成されている。ベース部材30は、上面視にて略角丸長方形であり、一対の長辺と、長辺の両端を結ぶ一対の弧状の短辺により外周が構成されている。ベース部材30の上下方向の高さは、略均一となっている。このベース部材30の長手方向の長さは、台座部材10における、外壁部12の内周の短辺の長さ及びと内壁部13の長辺の長さと略等しい。また、ベース部材30の幅は、台座部材10の外壁部12と内壁部13との対向する辺の間隔と等しい。すなわち、ベース部材30の長手方向の長さと、ベース部材30の幅の2倍との合計の長さが、台座部材10における、外壁部12の内周の長辺の長さと略等しい。
【0037】
ベース部材30の長辺方向の両端部近傍には、それぞれ、上面側から底面側へ向けて凹んだ円筒形の円形凹部31,32が設けられている。2つの円形凹部31,32は同じ形状であり、円形凹部31,32の中心の、ベース部材30の両長辺、及び、近接する短辺からの距離は、いずれも略等しい。円形凹部31,32の側面の厚みは、略均一であり、円形凹部31,32の側面と、ベース部材30の側面との間には、空間が設けられている。各円形凹部31,32の底面には、上面側から底面側へと垂直に貫通する水抜き孔33が設けられている。この水抜き孔33は、上面視にて、円形凹部31,32と同心円状の円形であり、且つ、直径は円形凹部31,32の直径よりも小さい。
【0038】
ベース部材30の長手方向の中央には、上面側から底面側へと窪んだ四角筒形の四角凹部34が設けられている。この四角凹部34は上面視にて正方形であり、対向する一対の辺は、ベース部材30の長辺と平行である。上面視にて、四角凹部34の中心の位置は、ベース部材30の中心と略等しい。四角凹部34の底には、四角凹部34の底からさらに凹んだ円筒形の円形凹部35が設けられている。この円形凹部35は、上面視にて、四角凹部34の内接円と同心円であり、且つ、直径は、円形凹部31,32と等しい。したがって、円形凹部35の中心は、ベース部材30の中心と略等しく、各円形凹部31,32,35の中心は、ベース部材30の長手方向に平行な直線上に並ぶことになる。また、四角凹部34の底の四隅には、円形凹部35の周囲を囲うように上げ底された隆起部36が設けられている。この隆起部36は、上面視にて略角丸三角形である。
【0039】
円形凹部35の底には、円形凹部35の底からさらに凹んだ多角筒形の多角凹部37が設けられている。この多角凹部37は、本実施形態では正八角筒であり、上面視での内接円は、円形凹部35と同心円である。多角凹部37の底には、上面側から底面側へと垂直に貫通する孔38が設けられている。この孔38は、上面視にて、四角凹部34の内接円及び円形凹部35と同心円状の円形である。すなわち、孔38の中心は、ベース部材30の中心と略等しい。また、孔38の直径は、多角凹部37の内接円の直径よりも小さく、台座部材10の第1凹部11に設けられた孔24の直径と略等しい。
【0040】
一方の円形凹部31と四角凹部34との間には、上面側から底面側へと貫通し、上面視にて略長方形の孔39が設けられている。この孔39の一対の短辺はベース部材30の長辺と略平行である。この孔39の底面側には、有底筒状のカバー部材40が取り付けられている。このカバー部材40の上側に位置する開口の形状は、孔39と略同一の形状であり、ベース部材30に取り付けられることで、孔39を底面側から覆う。なお、孔39の底面側にカバー部材40を取り付けた場合、カバー部材40はベース部材30の底面よりも下方へ突出する。
【0041】
他方の円形凹部32と四角凹部34との間には、上面側から底面側へと貫通し、上面視にて長方形の孔41が、短辺どうしが対向し、且つ、それぞれの短辺をベース部材30の長辺に対向するように設けられている。
【0042】
ベース部材30の一方の長辺側の側面には、底面側から上面側へ向けて切り込まれた長方形のスリット42が設けられている。このスリット42は長手方向に間隔を空けて2つ設けられており、且つベース部材30の長手方向の中心との間隔が、互いに等しくなっている。
【0043】
続いて、保持部材50について、図7を参照して説明する。保持部材50は、円筒形の筒部60と、筒部の長手方向の一端に取り付けられた回動規制部70とで構成されている。筒部60は、例えばポリ塩化ビニールで形成されており、外径は、ベース部材30の円形凹部31,32,35の直径と略等しい。
【0044】
回動規制部70は、台座部材10及びベース部材30と同様に、ポリエチレンにより形成されている。この回動規制部70は、内径が筒部60の外径と概ね等しく形成された円筒形の接合部71を備えている。この接合部71の一方の端部には、接合部71の中心軸を中心とし、内径が接合部71の内径と等しく外径が接合部71の外径よりも大きい、円環板状のフランジ72を備えている。このフランジ72には、厚み方向に貫通する孔73が複数設けられている。
【0045】
フランジ72における接合部71側の反対側には、回動規制部70の中心軸に対して平行に延びる凸部74が、互いに間隔を空けて4つ設けられている。各凸部74は、上端部へ向けて幅が徐々に狭くなっており、上端部の形状は弧状である。周方向に隣接する一対の凸部74のうちのひとつの間には、回動規制部70の中心軸に対して垂直に突出した四角柱状の突出部75が設けられている。この突出部75には、回動規制部70の中心軸に垂直な方向に向けて貫通する、断面円形の孔76が設けられている。
【0046】
以上のように構成されている回動規制部70の接合部71に、筒部60の一方の端部が差し込まれることにより、保持部材50が構成される。
【0047】
以上説明した各部材の取付方法について、図8及び9を参照して説明する。図8に示すように、ベース部材30の円形凹部31,32,35へ、保持部材50の筒部60の端部が差し込まれることで、ベース部材30に保持部材50が取り付けられる。この場合に、ベース部材30が3つの円形凹部31,32,35を備えているため、ひとつのベース部材30に対して最大で3つの保持部材50を取り付けることができ、取り付ける保持部材50の数は、必要に応じて任意に選択することができる。
【0048】
台座部材10へのベース部材30の取り付けは、図9に示すように、台座部材10の第1凹部11にベース部材30を嵌め込む。上述したように、ベース部材30の長さが外壁部12の内周の短辺の長さと略等しく、ベース部材30の幅は、外壁部12と内壁部13の対向する辺の間隔と等しい。したがって、ベース部材30の長辺が外壁部12の内周の短辺に沿うように、ベース部材30を外壁部12と内壁部13との間の第1凹部に嵌め込む。また、別のベース部材30は、長辺が内壁部13の長辺に沿うように、外壁部12と内壁部13との間の第1凹部11に嵌め込む。上述したように、ベース部材30の長辺の長さが内壁部13の長辺の長さと等しく、ベース部材30の長手方向の長さとベース部材30の幅の2倍との合計の長さが、外壁部12の内周の長辺の長さと略等しい。したがって、外壁部11の長辺に沿うように嵌め込まれたベース部材30の長手方向の端部は、外壁部11の短辺に沿うように嵌め込まれたベース部材30に接する。
【0049】
ところで、上述したように、台座部材10の第1凹部11に設けられている孔24の中心の位置は、外壁部12と内壁部13との対向する辺から等距離であり、且つ、外壁部12における孔24に近接する辺を挟む一対の辺からの距離からも等距離である。また、ベース部材30の四角凹部34に設けられた孔38の中心は、ベース部材30の長手方向及び幅方向の中心に位置する。したがって、台座部材10の第1凹部11にベース部材30を嵌め込んだ場合に、台座部材10の孔24と、ベース部材30の孔38の中心が上面視で一致する。このように構成されているため、ベース部材30の四角凹部34の上面側から孔38にボルト80を挿入する。このボルト80の頭80aは、ベース部材30の多角凹部37の外径よりもわずかに小さい正八角形である。したがって、ボルト80を四角凹部34の上面側から孔38へ挿入する場合に、ボルト80の頭80aが多角凹部37に嵌まり、ボルト80の軸回りの回転が抑制される。台座部材10の孔24の底面側の円環形のナット81にねじ込むことで、台座部材10にベース部材30を固定する。また、ボルト80には、頭80aから軸方向に貫通する孔80bが設けられている。これにより、台座部材10にベース部材30を取り付けた場合に、ベース部材30の中央の円形凹部35の底から、ボルト80の孔80bを通り、台座部材10の底へと至る通路が形成される。
【0050】
一方、円形凹部31,32の底に設けられた水抜き孔33は、台座部材10の第2凹部15又は第3凹部19の上面に位置する。すなわち、台座部材10にベース部材30を取り付けた場合に、円形凹部31,32の底の水抜き孔33から台座部材10の第2凹部15又は第3凹部19を通り、台座部材10の水抜き孔23へと至る通路が形成される。また、台座部材10にベース部材30を取り付けた場合に、ベース部材30の孔39は、第3凹部19の多角凹部20,21の長方形の部分の上面に位置して対向するため、孔39の底にカバー部材40が取り付けられている場合にも、そのカバー部材40は本体部材10に接触しない。
【0051】
なお、台座部材10に取り付けるベース部材30の数は、必要に応じて任意に選択することができる。図1では、一例として、台座部材10にベース部材30を2つ取り付け、一方のベース部材30に2つの保持部材50を取り付け、他方のベース部材30にひとつの保持部材50を取り付けたものを挙げている。また、保持部材が取り付けられていないベース部材30を台座部材10に取り付けてもよい。
【0052】
以上のようにして、台座部材10にベース部材30を取り付け、そのベース部材30に保持部材50を取り付けたうえで、図1で示したように、保持部材50に釣竿90を差し込むことで、釣竿90を立てて保持することができる。このとき、釣竿90は筒部60により保持され移動が規制されるため、筒部60を移動規制部材と称することができる。釣竿90にリール91が取り付けられていれば、リール91が回動規制部70の凸部74間に嵌まり込み、釣竿90の軸回りの回動を抑制することができる。加えて、釣竿90に取り付けられた釣針をフランジ部72の孔73等に引っ掛けることもできる。また、台座部材10の中空部には、水や砂を入れることで、釣竿90が立てられる場合にも、釣竿スタンド全体の安定性を向上させることができる。なお、第1凹部11はベース部材30が取り付けられるため第1被取付部と称することができ、ベース部材30の円形凹部31,32は保持部材50が取り付けられるため第2被取付部と称することができる。
【0053】
一方、ベース部材30に保持部材50を取り付けたうえで、ベース部材30を台座部材10に取り付けず、図10に示すように、ベース部材30を壁面82に取り付けることができる。具体的には、ベース部材30の側面に設けられたスリット42に対して、ベース部材30の内側からボルト83を通し、ベース部材30の側面が壁面82に接するように取り付ける。この場合に、ベース部材30に保持部材50を取り付けたうえで、保持部材50に設けられた突出部75の孔にボルト等を通し、ベース部材30と保持部材50の両方を用いて壁面82等に取り付けてもよい。また、ベース部材30のスリット42は、底面側が開放している形状であるため、壁面82に設けられたフック等をスリット42の下側から差し込むことで、ベース部材30を壁面に取り付けることもできる。なお、ベース部材30が取り付けられる対象は壁面82に限られず、鉛直方向に起立した部分、例えば家具等の側面などにも取り付けることができる。
【0054】
上記構成により、本実施形態に係る釣竿スタンドは、以下の効果を奏する。
【0055】
・台座部材10に複数のベース部材30を取り付け可能で、ベース部材30には複数の保持部材50を取り付け可能であるため、使用する釣竿90の数に応じて、最適な構成を選択することができる。
【0056】
・台座部材10の上面にベース部材30を取り付け、ベース部材30の上面に保持部材50を取り付けるため、台座部材10を載置可能な面積を確保できれば、実施形態に係る釣竿スタンドを使用することができる。したがって、船上や磯のような狭い場所でも、釣竿スタンドを使用することができる。
【0057】
・釣竿90は長尺状であるため、釣竿90を立てて保持する場合には重心が高くなり、釣竿スタンドが軽量であれば、釣竿スタンドが倒れるおそれがある。また、台座部材10の上部に釣竿90を保持する保持部材50を設ける場合には、重心がより高くなり安定性がさらに低下する。したがって、複数の釣竿90を安定して立てるためには、釣竿スタンドに十分な重さが必要になる。一方、釣竿スタンドを重くすれば、持ち運びの利便性が低下する。この点、本実施形態では、台座部材10の内部を中空としているため、釣りを行う場所に豊富に存在する水や砂等を台座部材10の内部に入れ、台座部材10の重さを確保することができる。したがって、台座部材10の上部に設けた複数の保持部材50に複数の釣竿90を立てた場合でも、釣竿スタンドを安定させることができる。
【0058】
・釣竿90を収容して移動を規制する筒部60と、釣竿90のリール91に当接して釣竿90の回動を規制する回動規制部70とを備えているため、釣竿スタンドを船上で使用した場合でも、船の揺れによる釣竿90の移動や回動を抑制することができる。
【0059】
・台座部材10にベース部材30を取り付けた場合に、円形凹部31,32の底の水抜き孔33から台座部材10の第2凹部15又は第3凹部19を通り、台座部材10の水抜き孔23へと至る流路が形成される。また、円形凹部35の底のボルト80に、軸方向に貫通する孔80bを設けているため、ベース部材30の中央の円形凹部35の底から、ボルト80の孔80bを通り、台座部材10の底へと至る流路が形成される。これにより、濡れた釣竿90を保持部材90に立てた際に、釣竿90に付着した水が流路を通過して台座部材の底面へ抜けるため、ベース部材30や台座部材10の上面における水の滞留を抑制することができる。
【0060】
・ベース部材30の側面にスリット42が設けられており、台座部材10に対して着脱可能なベース部材30を船の壁面82等のような鉛直な面に対して取り付け可能であるため、釣竿スタンドの周囲の状況に適した構成で使用することができる。
【0061】
・ベース部材30への保持部材50の取り付けを、筒部60を挿入することにより行っており、この筒部60は切断することで長さを変更することができるため、保持部材50の高さを使用する釣竿90に適した高さに変更することができる。
【0062】
・台座部材10は中空に形成されているため、ナイフや包丁、ハサミ等の刃物が接触した場合、穴が開くおそれがある。一方、釣竿スタンドには、釣りで使用する様々な道具を収容する機能も求められている。この点、ベース部材30に孔39を設け、魚釣りで使用されるナイフや包丁、ハサミ等の刃物を収容可能としつつ、その孔39の底を閉塞するカバー部材40により台座部材10を保護しているため、より釣りに適した機能を提供しつつ、台座部材10の耐久性を向上させることができる。加えて、台座部材10の上面において、ベース部材30を取り付けた場合に孔38と対向する位置に第3凹部19を設けているため、刃物が台座部材の上面に到達しづらくなる。したがって、カバー部材40が取り付けられていない状況でも、台座部材10への刃物の接触を抑制することができる
【0063】
<変形例>
実施形態で示したものに限られず、種々の変更が可能である。共通の機能を有するものに適宜変更が可能である。実施形態に係る釣竿の機能を変更した例としては、例えば以下のものが挙げられる。なお、実施形態では各部材の素材を例示したが、各部材の素材は実施形態で示したものに限られず、適宜変更が可能である。
【0064】
・実施形態では、台座部材10に対して、ベース部材30を最大で4つ取付可能としたが、取り付け可能なベース部材30の数、及び、台座部材10の上面におけるベース部材30の配置は、実施形態で示したものに限られず、適宜変更することができる。
【0065】
・実施形態では、ベース部材30に円形凹部31,32,35を3つ設け、最大で3つの保持部材50を取付可能としたが、円形凹部31,32,35の数及び配置は実施形態で示したものに限られず、適宜変更することができる。
【0066】
・実施形態では、台座部材10の第1凹部11にベース部材30を嵌め込むことで、台座部材10にベース部材30を取り付けたが、台座部材10へのベース部材30の取付手段は、実施形態で示したものに限られず種々の変更が可能である。
【0067】
・実施形態では、ベース部材30に対して保持部材50を着脱自在に取り付けるものとしたが、ベース部材30の台座部材10へ取り付け可能な機能と、保持部材50の釣竿90の移動及び回動を規制する機能とを、ひとつの部材が備えるものとしてもよい。
【0068】
・実施形態では、ベース部材30に対して保持部材50を取り付けるものとしたが、台座部材10に保持部材50を取り付け可能な凹部等も設けるものとしてもよい。この場合には、ベース部材30を壁面82に取り付け、余剰のベース部材30が無い場合でも、台座部材10に保持部材50を取り付けることができる。
【0069】
・実施形態では、保持部材50に筒部60を設け、この筒部60に釣竿90を挿入することで釣竿90の移動を規制するものとしたが、釣竿90の移動を規制する形状はこれに限られない。例えば、長尺状の部材の側面に環状の部材を複数設け、その環状の部材により釣竿90を保持するものとしてもよい。また、ベース部材30の円形凹部31,32,35に保持部材を嵌め込む手段を採用しているが、ベース部材30の形状は、保持部材50の形状に応じて適宜変更することができる。
【0070】
・台座部材10へのベース部材30の取り付け方向は、上面側に限られず、側面に取り付けるものとしてもよいし、上面と側面のそれぞれに取り付けるものとしてもよい。側面にベース部材30を取り付ける場合には、ベース部材30のスリット42を用いて、台座部材10に取り付けるものとしてもよいし、ベース部材30のスリット42が設けられる側の反対側や長手方向の端部等に取付部を設け、その取付部を用いて台座部材10に取り付けるものとしてもよい。ベース部材30への保持部材50の取り付け方向についても同様である。
【0071】
・実施形態では、保持部材50に釣竿を挿入し、釣竿を立てて保持する用途を説明したが、釣りなどで使用する様々な長尺状の物品の保持にも利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
10…台座部材、11…第1凹部、15…第2凹部、19…第3凹部、23…水抜き孔、30…ベース部材、31…円形凹部、32…円形凹部、33…水抜き孔、円形凹部…35、39…孔、40…カバー部材、42…スリット、50…保持部材、60…筒部、70…回動規制部、74…凸部、90…釣竿
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