(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】試料容器と試料の特徴付けのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/01 20060101AFI20220225BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20220225BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20220225BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
G01N21/01 D
G01N35/02 A
G01N35/02 C
G01N33/49 K
G01N21/27 A
(21)【出願番号】P 2018539288
(86)(22)【出願日】2017-01-24
(86)【国際出願番号】 US2017014777
(87)【国際公開番号】W WO2017132171
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-21
(32)【優先日】2016-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】リストゥル、ルドヴィッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスマン、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ポラック、ベンジャミン,エス.
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-089978(JP,A)
【文献】特開平09-021916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0323462(US,A1)
【文献】特表2013-501937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0144898(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0140230(US,A1)
【文献】特表2010-534837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0080611(US,A1)
【文献】特開平04-069776(JP,A)
【文献】特開2011-247635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G01N 33/48-G01N 33/98
G01N 35/00-G01N 37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
品質チェックモジュールであって、
試料を収容する試料容器を受け取るように構成された前記品質チェックモジュール内の画像化位置と、
前記画像化位置に隣接する1つ以上の視点に位置する1つ以上のカメラと、
前記画像化位置に隣接して位置し、前記1つ以上のカメラに照明を提供するように構成された光パネル組立部を含み、複数の異なるスペクトル間で動作可能に切り替え可能に構成された1つ以上のスペクトル切替可能光源と、
を備え、
前記光パネル組立部内の光源は、
光ガイドの第1のエッジに沿って配置された少なくとも2つの異なるスペクトルを発光するように構成された照明要素を含む第1の光アレイと、
光ガイドの第2のエッジに沿って配置された少なくとも2つの異なるスペクトルを発光するように構成された照明要素を含む第2の光アレイと、
を含む、品質チェックモジュール。
【請求項2】
前記光パネル組立部は、
取付フレームと、
前記光ガイドと、
前記光ガイド内に光を放出し、前記光パネル組立部の前面の照明を提供するように構成された光源と、
を備える請求項1に記載の品質チェックモジュール。
【請求項3】
前記スペクトル切替可能光源が、
発光照明要素を含む前記光パネル組立部と、
2つ以上の個々に選択可能なバンドパスフィルタを含むフィルタ組立部と、
を備える請求項1または2に記載の品質チェックモジュール。
【請求項4】
前記個々に選択可能なバンドパスフィルタは、赤、緑、及び青のバンドパスフィルタを含む請求項3に記載の品質チェックモジュール。
【請求項5】
前記個々に選択可能なバンドパスフィルタは、近赤外線バンドパスフィルタ又は紫外線バンドパスフィルタを含む請求項3に記載の品質チェックモジュール。
【請求項6】
1つ以上の視点に位置する前記1つ以上のカメラは、スペクトル選択的であり、2つ以上の選択された異なる離散的スペクトルを出力するように構成された請求項1~5のいずれか1項に記載の品質チェックモジュール。
【請求項7】
前記画像化位置の周囲の複数の視点に配置された複数のカメラと、
前記画像化位置を照明するように配置される複数のスペクトル切替可能光源と、
を備える請求項1~6のいずれか1項に記載の品質チェックモジュール。
【請求項8】
前記1つ以上のカメラは、前記光パネル組立部によって照明されている間に複数の異なる露光時間及び複数の異なるスペクトルで複数の側方画像をキャプチャするように構成されている請求項1~7のいずれか1項に記載の品質チェックモジュール。
【請求項9】
前記光パネル組立部は、背面照明、前面照明、又は背面照明と前面照明との組み合わせを提供する請求項1~8のいずれか1項に記載の品質チェックモジュール。
【請求項10】
品質チェックモジュールであって、
試料を収容する試料容器を受け取るように構成された前記品質チェックモジュール内の画像化位置と、
前記画像化位置の周囲の複数の視点に配置された複数のカメラと、
複数のスペクトル切替可能光源であって、それぞれが前記画像化位置に隣接して配置され、前記複数のカメラに照明を提供するように構成された光パネル組立部を含み、複数の異なるスペクトル間で切り替え可能に構成された前記複数のスペクトル切替可能光源と、
前記複数のカメラに接続され、前記複数のカメラから取得された画像データを処理するように構成されたコンピュータと、
を備える品質チェックモジュールであって、
前記コンピュータは、
異なる露光時間の画像から最適に露光された画素を選択し、各スペクトルについて最適に露光された画像データを生成し、
統計データを生成するために各スペクトルにおける前記最適に露光された画素の統計を計算し、
試料の少なくとも血清又は血漿部分を識別する
ように構成された操作可能なコンピュータである、
品質チェックモジュール。
【請求項11】
各前記光パネル組立部は、
取付フレームと
光ガイドと、
前記光ガイド内に光を放出し、前記光パネル組立部のパネル前面の照明を提供するように構成された光源と、
を備える請求項10に記載の品質チェックモジュール。
【請求項12】
前記複数のスペクトル切替可能光源のうちの1つ以上が、
照明要素を含む前記光パネル組立部と、
個々に選択可能なバンドパスフィルタを含むフィルタ組立部と、
を備える請求項10または11に記載の品質チェックモジュール。
【請求項13】
前記試料容器を前記画像化位置に保持するキャリアを備える請求項10~12のいずれか1項に記載の品質チェックモジュール。
【請求項14】
前記複数のカメラは、前記光パネル組立部によって照明されている間に複数の異なる露出及び前記複数の異なるスペクトルで複数の側方画像をキャプチャするように構成される請求項10~13のいずれか1項に記載の品質チェックモジュール。
【請求項15】
前記光パネル組立部は、それぞれ異なる側方位置から前記試料容器を照射するように配置される、または、
前記光パネル組立部は、2つの前記光パネル組立部の各正面が、互いに実質的に平行であり、かつ前記試料容器を搬送するトラックの方向と実質的に平行となるように配置される、
請求項10~14のいずれか1項に記載の品質チェックモジュール。
【請求項16】
前記コンピュータは、前記試料容器の物理的寸法特徴を特徴付けるように動作可能である請求項10~15のいずれか1項に記載の品質チェックモジュール。
【請求項17】
前記複数の視点に配置された前記複数のカメラは、スペクトル選択的であり、2つ以上の選択された異なる離散的スペクトルを出力するように構成される請求項10~16のいずれか1項に記載の品質チェックモジュール。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか1項または請求項10~17のいずれか1項に記載の品質チェックモジュールを用いて、試料容器と試料の一方または双方を特徴付ける方法であって、
前記試料を収容する
前記試料容器を
、前記品質チェックモジュールの画像化位置に提供し、
前記画像化位置で画像をキャプチャするように
、前記品質チェックモジュールの1つ以上のカメラを備え、
前記1つ以上のカメラに照明を提供するように
、前記品質チェックモジュールの光パネル組立部を1つ以上備え、
前記1つ以上の光パネル組立部により前記画像化位置を照明し、
前記1つ以上のカメラにより前記試料容器と試料の複数の画像を複数の異なるスペクトルでキャプチャする
ことを含む方法。
【請求項19】
前記複数の画像は、複数の異なる露光でキャプチャされる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の画像を処理して、前記試料容器と前記試料の一方または双方を特徴付けること含む請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
試料検査装置であって、
トラックと、
試料容器を収容するように構成された前記トラック上のキャリアと、
前記トラック上の、請求項1~9のいずれか1項または請求項10~17のいずれか1項に記載の品質チェックモジュールであって、
試料を含む
前記試料容器を受け取るように構成された前記品質チェックモジュール内の画像化位置と、
前記画像化位置に隣接する1つ以上の視点に配置される1つ以上のカメラと、
1つ以上のスペクトル切替可能光源であって、それぞれが前記画像化位置に隣接して配置され、前記1つ以上のカメラに照明を提供するように構成された光パネル組立部を含み、複数の異なるスペクトルの間で切り替え可能に構成された1つ以上のスペクトル切替可能光源と、
を備えた品質チェックモジュールと、
を含む試料検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年1月28日に出願された「試料容器と試料の特徴付けのための方法及び装置」と題する米国仮特許出願第62/288,381号の優先権を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、生体試料を検査するための方法及び装置に関し、より詳細には、試料容器及びその内容物を特徴付けするための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自動検査システムは、尿、血清、血漿、間質液、脳脊髄液などの生体試料中の分析物又は他の成分を識別するために、1つ以上の試薬を用いて臨床化学又は化学分析を行うことができる。便宜上及び安全上の理由から、これらの試料は、試料容器(例えば、採血管)に収容してもよい。化学分析又は検査反応は、様々な変化を生じ得るものであり、読み取り及び/又は他の方法により操作して分析物又は試料内に存在する他の成分の濃度を判定する。
【0004】
自動化された検査技術の改良には、実験室自動化システム(LAS)の一部であってもよい自動分析前試料準備システムによるバッチ処理準備、試料成分を分離するための試料の遠心分離、試料アクセスを容易にするためのキャップ除去などの分析前サンプル調製及び取り扱い操作において対応する進歩が伴う。LASは、試料容器に収容されたキャリア上の試料を、多数の分析前試料処理ステーション並びに臨床化学分析装置及び/又は化学分析器を含む分析ステーション(以下、総称して「分析装置」と称する)に自動的に搬送することができる。
【0005】
LASは、バーコードラベル付き試料容器に収容される任意の数の異なる試料を一度に処理してもよい。LASは、すべての異なるサイズ及び種類の試料容器を取り扱うことができ、それらは混在していてもよい。バーコードラベルは、病院の検査室情報システム(LIS)に入力される人口統計情報に関連付けることができる受託番号を、検査依頼やその他の情報と共に含んでいてもよい。オペレータは、バーコードラベル付き試料容器をラック内などのようなLASシステム上に置くことができる。そして、LASシステムは、例えば遠心分離、キャップ取り外し、一定分量(アリコート)準備などの分析前操作のために試料容器を自動的に搬送してもよい。これらはすべて、試料に対して、実際に臨床分析が行われる前、又はLASの一部である1つ以上の分析装置による化学分析が行われる前に実施される。場合によっては、1つ以上のバーコードラベルが試料容器に貼付され、試料がいくつかの視点から見えなくなることがある。
【0006】
特定の試験では、分別(例えば、遠心分離)によって全血から得られた試料の血清又は血漿部分の量を吸引して使用することができる。場合によっては、ゲルセパレータを試料容器に加えて、血清又は血漿部分から沈降した血液部分の分離を補助してもよい。分別及びその後のキャップ取り外し処理の後、試料容器は、吸引によって血清又は血漿部分を試料容器から抽出し、血清又は血漿部分を反応容器(例えば、キュベット)中の1つ以上の試薬と組み合わせることができる適切な分析装置に搬送してもよい。分析測定は、例えば、しばしば検査用放射線のビームを使用して、又は測光又は蛍光測定吸収読み取りなどを使用して実行される。測定値から、終了点又は割合又は他の値を判定し、それらから既知の技術を用いて分析物又は他の成分の濃度を判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
残念なことに、サンプル処理又は患者の病状により、試料中に特定のインターフェレント又はアーチファクトが存在すると、分析物の検査結果又は分析装置から得られた成分測定値の精度に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、溶血、黄疸、及び/又は脂肪血(以下、HIL)があると、試料の検査結果に影響を及ぼす可能性がある。同様に、患者の疾患状態と無関係かもしれない試料中の凝塊(例えば、血塊)が、患者の疾患状態の解釈を変えてしまう可能性がある。さらに、凝塊を吸引すると、汚染、又は洗浄のためのシャットダウン時間など、他の問題を引き起こす可能性がある。また、気泡及び/又は泡が存在すると、空気を吸引するかもしれず、それにより患者の病状の解釈が変わってしまう可能性もある。
【0009】
先行技術では、試料の血清又は血漿部分の完全性は、熟練した実験技師であれば視覚的に検査できる。これには、HILの存在についての試料の血清又は血漿部分の色の確認、及び凝塊、気泡及び泡についての目視検査が含まれ得る。正常(Normal)な(以後、「N」)血清又は血漿部分は淡黄色から淡琥珀色を呈し、凝塊、気泡及び泡がない。しかし、視覚検査は非常に主観的であり、労働集約的であり、人為的ミスの可能性を伴う。
【0010】
手動検査には上記の問題が含まれているため、検査技術者による目視検査を使用せずに、実用の範囲で自動検査又はスクリーニング法を使用することにより、試料の完全性を評価することがますます重要になってきている。スクリーニング法は分析装置で分析する前に実施する。しかしながら、場合によっては試料容器に直接貼付された単数又は複数のバーコードラベルが、試料の視野を部分的に閉塞して、試料の血清又は血漿部分を通常の自動化スクリーニングプロセスで視覚的に観察することができない場合もある。
【0011】
いくつかのシステム、例えばミラーに付与された特許文献1には、試料容器を回転させることにより、単数又は複数のラベルによって遮られることのないビューウィンドウを見つけることができる技術が記載されている。画像化は、ビューウィンドウを見つけたときに行うようにしてもよい。しかしながら、そのようなシステムは、自動化し難い可能性がある。
【0012】
異なるサイズの試料容器をLASで使用する場合、並びに分析される試料にHIL又は凝塊、気泡、又は泡のようなアーチファクトが存在する場合に遭遇する問題のため、また、そのような試料を容易かつ自動的に画像化及び分析するように構成されたLASのような方法及び装置に対する未充足ニーズが存在する。この方法及び装置は、分析装置の検査結果を得る速度に、感知できるほどの悪影響を及ぼすべきではない。さらに、方法及び装置は、1つ以上のラベルが試料の少なくとも一部の視野を遮るようなラベル付き試料容器上でも使用可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様によれば、品質チェックモジュールが提供される。品質チェックモジュールは、試料を収容する試料容器を受け取るように構成された品質チェックモジュール内の画像化位置と、画像化位置に隣接する1つ以上の視点に位置する1つ以上のカメラと、画像化位置に隣接して位置し、1つ以上のカメラに対して照明を提供するように構成された光パネル組立部を含み、複数の異なるスペクトル間で動作可能に切り替え可能に構成された、スペクトル切替可能光源とを含む。
【0014】
別の態様では、品質チェックモジュールが提供される。品質チェックモジュールは、試料を含む試料容器を受け取るように構成された品質チェックモジュール内の画像化位置と、画像化位置の周囲の複数の視点に配置された複数のカメラと、それぞれが、画像化位置に隣接して位置し、複数のカメラに照明を提供するように構成された光パネル組立部を含む複数のスペクトル切替可能光源を含み、複数のスペクトル切替可能光源は、複数の異なるスペクトル間で切り替え可能に構成されている。
【0015】
別の態様によれば、試料容器及び/又は試料を画像化する方法が提供される。この方法は、試料を収容する試料容器を画像化位置に設けることと、画像化位置で画像をキャプチャするように構成された1つ以上のカメラを設けることと、1つ以上のカメラに照明を提供するように構成された1つ以上の光パネル組立部を設けることと、1つ以上の光パネル組立部を用いて画像化位置を照明することと、1つ以上のカメラで前記試料容器と試料の複数の画像を複数の異なるスペクトルでキャプチャすることとを含む。
【0016】
さらに別の態様によれば、試料検査装置試料が提供される。試料検査装置は、トラックと、試料容器を収容するように構成されたトラック上のキャリアと、トラック上の品質チェックモジュールとを含み、品質チェックモジュールは、試料を含む試料容器を受け取るように構成された品質チェックモジュール内の画像化位置と、画像化位置に隣接する1つ以上の視点に位置する1つ以上のカメラと、それぞれが、画像化位置に隣接して位置し、1つ以上のカメラに対して照明を提供するように構成された光パネル組立部を含み、複数の異なるスペクトルの間で切り替え可能に構成された1つ以上のスペクトル切替可能光源と、を含む。
【0017】
本発明のさらなる他の態様、特徴、及び利点は、本発明を実施するために考えられる最良の形態を含む多くの例示的な実施形態及び実施を例示することによって、以下の説明から容易に明らかになるであろう。本発明は、他の異なる実施形態も可能であり、そのいくつかの詳細は、本発明の範囲からすべて逸脱することなく、様々な点で変更してもよい。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的であると見なされるべきであり、限定的とみなされるべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての修正、均等物、及び代替物を含有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下に説明する図面は、説明のためのものであり、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。図面は、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【
図1】
図1は、1つ以上の実施形態による1つ以上の品質チェックモジュールと1つ以上の分析装置とを含む試料検査装置を示す上面概略図である。
【
図2】
図2は、試料を含む試料容器の側面図であり、その一方又は両方が、1つ以上の実施形態による方法を用いて特徴付けられてもよい。
【
図3】
図3は、試料及びゲルセパレータを含む試料容器を示す側面図であり、試料及び試料容器の一方又は両方は、1つ以上の実施形態による方法を用いて特徴付けられてもよい。
【
図4A】
図4Aは、1つ以上の実施形態による、複数の画像を取得及び分析して、試料及び/又は試料容器を特徴付けるように構成された品質チェックモジュールを示す等角図である。
【
図4B】
図4Bは、1つ以上の実施形態による、
図4Aの品質チェックモジュールの光パネル組立部を示す等角図である。
【
図4C】
図4Cは、1つ以上の実施形態による、
図4Aの品質チェックモジュールの光パネル組立部の様々な構成要素を示す分解等角図である。
【
図4D】
図4Dは、1つ以上の実施形態による、光パネル組立部及びフィルタ組立部を含む代替の品質チェックモジュールを示す概略側面図である。
【
図4E】
図4Eは、1つ以上の実施形態による、複数のカメラ及び複数の光パネル組立部を含む品質チェックモジュールを示す概略上面図(天井が取り除かれた状態)である。
【
図4F】
図4Fは、1つ以上の実施形態による、断面線4F-4Fに沿った
図4Eの品質チェックモジュールを示す概略側面図である。
【
図4G】
図4Gは、1つ以上の実施形態による、複数の光パネル組立部を含む別の品質チェックモジュールを示す概略上面図である。
【
図5A】
図5Aは、1つ以上の実施形態による、試料を特徴付けるように構成された品質チェックモジュールの構成要素を示すブロック図である。
【
図5B】
図5Bは、1つ以上の実施形態による、仮想3Dボクセルグリッド上に投影された試料容器画像を示す図である。
【
図6】
図6は、1つ以上の実施形態による、試料及び試料容器を特徴付ける能力を含む品質チェックモジュールの構成要素を示す全体のブロック図である。
【
図7】
図7は、1つ以上の実施形態による、試料容器及び試料の画像化方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の広い態様では、本発明の実施形態は、試料容器に収容された試料を画像化し、特徴付けるように構成された方法及び装置を提供する。1つ以上の実施形態において、特徴付け方法の最終結果は、試料容器に収容される試料の定量化であってもよい。例えば、定量化は、血清又は血漿部分の体積又は深さ、及び/又は分別した試料の、沈降した血液部分の体積又は深さを特徴付けることを含んでいてもよい。これらの値は、指示された検査を行うために、患者の疾患状態を判定するために(例えば、血清又は血漿部分と沈降した血液部分との間の比)、より正確にプローブ先端を配置するために、及び/又はロボットで操作中に試料容器とのロボット把持部又はプローブ先端の接触又は衝突を回避するために、十分な量の血清又は血漿部分が存在するかどうかを判定するため、後に行われる処理で使用してもよい。
【0020】
さらに、1つ以上の実施形態によれば、本発明を使用して、試料容器の特徴を判定してもよい。例えば、試料容器の寸法特徴、例えば高さ及び幅を判定することができる。これらの寸法特徴は、その後に行われる吸引中にプローブ(「ピペット」とも称する)の位置決めを適切に誘導するために使用されてもよく、体積計算に使用してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、特徴付け方法を使用して、試料の血清又は血漿部分における溶血(H)、黄疸(I)、及び/又は脂肪血(L)の存在など、インターフェレントの存在についての判定をすることができる。さらに、又は任意で、この方法を使用して、アーチファクト(例えば、凝塊、気泡、又は泡)が血清又は血漿部分に存在するかどうかを判定してもよい。
【0022】
本明細書に記載の試料は、採血管のような試料容器に採取することができ、分離後の沈降した血液部分と血清及び血漿部分(例えば、遠心分離による分別)を含んでもよい。沈降した血液部分は、白血球、赤血球、及び血小板などの血液細胞で構成され、血清又は血漿部分から凝集分離される。沈降した血液部分は、概ね、試料容器の底部に見られる。血清又は血漿部分は、沈降した血液部分の一部以外の血液の液体成分である。これは、概ね、沈降した血液の部分の上に見られる。血漿及び血清は、凝固成分、主にフィブリノーゲンの含有量が主に異なる。血漿は、凝固していない液体であり、血清は、内因性酵素又は外因性成分の影響下で凝固することが可能な血漿を指す。いくつかの試料容器では、小さなゲルセパレータ(例えば、プラグ)を使用してもよく、これは、分別中に沈降した血液部分と血清又は血漿部分との間に位置させる。これは、2つの部分の間の障壁として機能する。
【0023】
1つ以上の実施形態によれば、特徴付け方法は前分析検査又はスクリーニング法として実行することができる。例えば、1つ以上の実施形態において、特徴付け方法は、試料が1つ以上の分析装置で分析(臨床化学又は化学分析)に供される前に実行してもよい。特に、本発明の1つ以上の実施形態は、さらなる検査のための前提条件として試料の特徴付けを提供する。1つ以上の実施形態では、試料の特徴付けは、1つ以上の異なる側方視点から試料容器及び試料の側方2D画像を提供するように構成された1つ以上のカメラを含む、1つ以上の品質チェックモジュールで判定してもよい。画像生成を行っている間、試料容器及び試料を、照明してもよい。照明は、1つ以上の光パネル組立部によって行うことができる。特に、いくつかの実施形態では、1つ以上の光パネル組立部を用いた背面照明によって照明を提供してもよい。他の実施形態では、照明は、前面照明によって、又は1つ以上の光パネル組立部を用いた側面照明によって提供してもよい。
【0024】
1つ以上の実施形態では、試料及び/又は試料容器の特徴付けは、パネル化された光源と高ダイナミックレンジ(HDR)画像処理を利用した背面照明を使用することによって実行してもよい。この方法は、血清又は血漿部分及び/又は沈着した血液部分の界面境界の位置、並びにHDR画像処理を用いてこれらの成分の体積又は深度を含み、非常に正確に試料を定量化することができる。
【0025】
複数の視点の背面照明された2Dデータセットを用いて、試料容器及び/又は試料を特徴付けることができる。パネル化された光源を利用した背面照明で得た2Dデータセットは、アーチファクト(例えば、凝塊、気泡、泡)が存在するかどうかを判定するため、及び/又はインターフェレント、例えば、溶血、黄疸及び/又は脂肪血(以下「HIL」と称する)が試料に存在するかどうかを判定するためなど、試料についての情報を判定又は評価するために使用してもよい。
【0026】
他の実施形態では、パネル化された光源による背面照明を含む方法は、(高さ及び幅の識別を介して)容器の種類などの試料容器の他の特徴を識別又は評価するために使用されてもよく、さらにキャップの種類及び/又はキャップの色を特徴付けてもよい。
【0027】
この方法によって特徴付けした後、血清又は血漿部分にアーチファクト(例えば、凝塊、気泡、又は泡)又は1つ以上のH、I、又はLが含まれていることが判明した場合、試料にさらなる処理を施すことができる。例えば、識別された凝塊、気泡、又は泡は、別のステーション(例えば、遠隔ステーション)に運ばれ、オペレータによる凝塊、気泡、又は泡の除去、あるいは、さらなる処理、もしくはH、I、又はLのための指標のさらなる特徴付けなどが行われてもよい。このようなさらなる処理の後、いくつかの実施形態では、1つ以上の分析装置上で継続して試料のルーチン分析を行うことができる。他の場合には、試料を廃棄して再搭載してもよい。プレスクリーニングにより、試料が正常(Normal)(N)であることが分かった場合、試料は、1つ以上の分析装置による指示された分析に直接導いてもよい。
【0028】
1つ以上の実施形態では、1つ以上の品質チェックモジュールが、画像キャプチャを実行するように構成されている。1つ以上の品質チェックモジュールは、トラックが試料を1つ以上の分析装置に搬送するLASの一部として設けられてもよく、1つ以上の品質チェックモジュールは、トラック上又はトラックに沿った任意の適切な位置に設けてもよい。特定の実施形態では、品質チェックモジュールは、トラック上又はトラックに隣接して設けられ、パネル化された光源を有する背面照明を含む。例えば、品質チェックモジュールは、ローディングステーション又はトラックに沿った他の場所に配置して、試料及び試料容器がトラック上に位置する間に特徴付けを行うことができる。しかし、明確にするために、背面照明を含む品質チェックモジュールは、トラックを含まなくてもよく、また、試料を含む試料容器は、手動又はロボット把持部によってロード及びアンロードしてもよい。
【0029】
特徴付けは、複数の露光(例えば、露光時間)での背面照明、及び複数の異なるスペクトル(例えば、異なる公称波長を有する光源)による照明での画像キャプチャを含む、1つ以上の品質チェックモジュールで複数の画像をキャプチャすることによりHDRデータ処理を使用することによって、1つ以上の実施形態で達成することができる。いくつかの実施形態では、異なる視点から画像を取得するように構成された複数のカメラを使用して画像を取得してもよく、視点ごとにパネル化された背面照明を使用して生成してもよい。画像の各々は、パネル化された光源内の異なる光源を使用することによって、複数の異なるスペクトル(例えば、色)を有する照明を使用して取得することができる。例えば、赤色光源、緑色光源、及び青色光源を照明に使用することができる。任意で、白色光、近赤外線(NIR)、赤外線(IR)、又は紫外線(UV)光源を使用することができる。
【0030】
1つ以上の品質チェックモジュールで、各スペクトル(波長範囲)の複数の露光時間の画像を取得することができる。例えば、各スペクトル(波長範囲)で異なる露光時間で4~8枚の画像を得ることができる。次いで、これらの複数の画像を、コンピュータによってさらに処理して、特徴付け結果を生成することができる。
【0031】
本発明の特徴付け方法、品質チェックモジュール、及び1つ以上の品質チェックモジュールを含む試料検査装置のさらなる詳細については、本明細書の
図1~
図7を参照してさらに説明する。
【0032】
図1は、複数の試料容器102(例えば、試料採取管、
図2及び
図3参照)を自動的に処理可能な試料検査装置100を示す。試料容器102は、1つ以上の分析装置(例えば、それぞれ試料検査装置100の周囲に配置される、第1、第2、及び第3の分析装置106、108、110)への搬送及びこれによる分析の前に、ローディングエリア105にある1つ以上のラック104に収容してもよい。より多く、またはより少ない数の分析装置を使用できることは明らかである。分析装置は、臨床化学分析装置及び/又は分析器などの任意の組み合わせであってもよい。試料容器102は、採血管、検査管、サンプルカップ、キュベット、又は他の試料212を収容するように構成された概ね透明なガラス又はプラスチック容器などの、概ね透明又は半透明の容器であってもよい。
【0033】
典型的には、自動的に処理される試料212(
図2及び
図3)は、試料容器102内の試料検査装置100に提供される。試料容器102はキャップ214でキャップしてもよい(
図2及び
図3。別には「ストッパ」とも称する)。キャップ214は、異なる形状及び/又は色(例えば、赤色、ロイヤルブルー、ライトブルー、緑色、グレー、黄褐色、又は黄色、又は色の組み合わせ)を有していてもよく、試料容器102がどの検査に使用されるか、その中に含有される添加剤の種類等を示すという意味を持つ。他の色を使用してもよい。一態様によれば、キャップ214についての情報を特徴付けるためにキャップ214を画像化し、それを検査指示でクロスチェックして指示された検査に正しい試料容器102を確実に使用できるようにすることが望ましい場合がある。
【0034】
試料容器102のそれぞれには、試料検査装置100の周囲の様々な位置で機械可読の識別情報215(すなわち、指標)、例えば、バーコード、英字、数字、英数字、又はこれらの組み合わせを設けてもよい。識別情報215は、検査室情報システム(LIS)147を介して、患者の識別並びに試料212上で達成する検査又は、例えば、LISシステム147からの他の情報を示すことができる、あるいは、それらを相互に関連付けることができる。この識別情報215は、試料容器102に概ね貼付された、又は試料容器102の側面に設けられたラベル218上に設けてもよい。ラベル218は、概して、試料容器102の周囲全体、又は試料容器102の高さ全体にわたって延びているのではない。いくつかの実施形態では、複数のラベル218が貼付されていてもよく、互いにわずかに重なっていてもよい。したがって、ラベル218は、試料212の一部の視野を遮ることがあるが、試料212の一部は、依然として、ある視点から見ることができる。いくつかの実施形態では、ラック104は、その上に追加の識別情報を有してもよい。方法及び品質チェックモジュールの1つ以上の実施形態は、試料容器102を回転させることなく試料212の特徴付けが可能である。
【0035】
図2及び
図3に最もよく示されているように、試料212は、管212T内に収容された血清又は血漿部分212SP及び沈降した血液部分212SBを含んでいてもよい。空気212Aは、血清及び血漿部分212SPの上に設けられ、空気212Aと血清及び血漿部分212SPとの間の境界線は、本明細書では液体-空気界面(LA)として定義する。
図2に示すように、血清又は血漿部分212SPと沈降した血液部分212SBとの間の境界線は、本明細書では血清-血液界面(SB)として定義される。空気212Aとキャップ214との間の界面は、本明細書では管キャップ界面(TC)と称する。血清又は血漿部分212SPの高さは(HSP)であり、血清又は血漿部分212SPの上面から沈降した血液部分212SBの上面、すなわち
図2のLAからSBまでの高さとして定義する。沈降した血液部分212SBの高さは(HSB)であり、
図2のSBで沈降した血液部分212SBの底部から沈降した血液部分212SBの上面までの高さとして定義する。
図2のHTOTは、試料212の全高であり、HTOT=HSP+HSBである。
【0036】
ゲルセパレータ313を使用する場合(
図3参照)、血清又は血漿部分212SPの高さは(HSP)であり、血清又は血漿部分212SPの上面LAからゲルセパレータ313の上面SGまでの高さ、すなわち、
図3のLAからSGまでの高さとして定義する。沈降した血液部分212SBの高さは(HSB)であり、
図3の沈降した血液部分212SBの底部からゲルセパレータ313の底部BGまでの高さとして定義する。
図3のHTOTは、試料212の全高であり、
図3に示すように、HTOT=HSP+HSB+ゲルセパレータ313の高さとして定義する。いずれの場合も、壁厚はTwであり、外幅はWであり、試料容器102の内幅はWiである。管の高さ(HT)は、本明細書では、管212Tの最下部からキャップ214の底部までの高さとして定義する。
【0037】
より詳細には、試料検査装置100は、トラック121を取り付ける又は載置することができるベース120(例えば、フレーム又は他の構造体)を含んでいてもよい。トラック121は、レール付きトラック(例えば、モノ又はマルチレールトラック)、コンベヤベルトの集合、コンベヤチェーン若しくはリンク、移動可能なプラットフォーム、又は任意の他の適切な種類の搬送機構であってもよい。トラック121は、円形、蛇行、又は任意の他の適切な形状であってもよく、いくつかの実施形態ではクローズドトラック(例えば、無限トラック)であってもよい。トラック121は、動作中に、個々の試料容器102を、キャリア122内のトラック121の周囲に間隔を置いて配置された目的位置に搬送してもよい(いくつかはラベル付き)。
【0038】
キャリア122は、単一の試料容器102をトラック121上に担持するように構成された受動的で非運動性のパックであってもよく、トラック121は移動可能である。任意で、キャリア122は、トラック121が静止しているところであらかじめプログラムされた位置で停止する、又はトラック121の周囲を移動するようにプログラムされたリニアモータなどの搭載駆動モータを含んで自動化されてもよい。いずれの場合においても、キャリア122は、それぞれ、試料容器102を規定の位置、概ね直立位置に保持するように構成されたホルダ122H(
図4A)を含んでいてもよい。ホルダ122Hは、試料容器102をキャリア122に固定するが、その中に受け付けた異なるサイズの試料容器102が収容されるように側方に移動可能又は柔軟な複数のフィンガ又は板ばねを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、キャリア122は、そこにステージングされた1つ以上のラック104を有するローディングエリア105から退出してもよい。いくつかの実施形態では、ローディングエリア105は、分析が完了した後に、キャリア122から試料容器102を外すことを許容する二重の機能を果たすことができる。あるいは、トラック121の他の場所に、適切な荷下ろし用レーン(図示せず)を設けてもよい。
【0039】
ロボット124を、ローディングエリア105に設けてもよく、1つ以上のラック104から試料容器102を把持し、試料容器102を入力レーン又はトラック121の他の場所などのようなキャリア122上に搭載するように構成してもよい。ロボット124はまた、検査の完了時にキャリア122から試料容器102を除去するように構成され動作可能である。ロボット124は、X及びZ、Y及びZ、X、Y及びZ、r及びθ、又はr、θ及びZ運動が可能な1つ以上の(例えば、少なくとも2つの)ロボットアーム又は構成要素を含む。ロボット124は、ガントリーロボット、関節アームロボット、R-θロボット、又は他の適切なロボットであってもよく、ロボット124は、試料容器102をピックアップして配置可能なサイズのロボット把持フィンガを備えていてもよい。
【0040】
トラック121上に搭載されると、キャリア122によって担持された試料容器102は、いくつかの実施形態では、遠心分離機125(例えば、試料212の分別を実行するように構成されるデバイス)に進むことができる。試料容器102を運ぶキャリア122を、流入レーン126又は適切なロボット(図示せず)によって遠心分離機125に向かって迂回させてもよい。遠心分離後、試料容器102は流出レーン128を退出するか、あるいはロボットによって移動されて、引き続きトラック121上を進んでもよい。図示された実施形態では、キャリア122内の試料容器102は、次に、本発明の一実施形態に従って、
図4A~
図4Cを参照してさらに説明されるように品質チェックモジュール130に搬送してもよい。
【0041】
品質チェックモジュール130は、試料容器102に収容された試料212を特徴付けるように構成され、いくつかの実施形態では試料容器102を特徴付けるように構成してもよい。試料212の定量化は、品質チェックモジュール130で行うことができ、HSP、HSB、又はさらにはHTOTの判定を含んでいてもよく、LA、SB、及び/又はSG、及び/又はBGの位置の判定を含んでいてもよい。また、品質チェックモジュール130は、試料212に収容される溶血(H)、黄疸(I)、及び/又は脂肪血(L)の1つ以上などのインターフェレントの存在を判定するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、試料212は、品質チェックモジュール130においてアーチファクト(例えば、凝塊、気泡、又は泡)の存在について検査してもよい。いくつかの実施形態では、HT、管外幅(W)及び/又は管内幅(Wi)、TC、又はさらにはキャップの色及び/又はキャップの種類を判定するなど、試料容器102の物理的属性の定量化を品質チェックモジュール130で行うことができる。
【0042】
一旦試料212が特徴付けられたら、試料212を前進させて1つ以上の分析装置(例えば、第1、第2、及び第3の分析装置106、108、及び/又は110)で分析してから、各試料容器102をローディングエリア105に移動して降ろす。
【0043】
さらに、1つ以上の遠隔ステーション132は、遠隔ステーション132がトラック121に直接接続されていなくても、試料検査装置100上に設けてもよい。例えば、独立したロボット133(点線で示す)は、試料212を含む試料容器102を遠隔ステーション132に搬送し、それらを検査/処理の後に戻すことができる。任意で、試料容器102は、手動で取り出して戻すことができる。遠隔ステーション132を使用して溶血レベルなどの特定の成分を検査することができ、あるいは、1つ以上の添加物によって脂肪血症レベルを低下させるため、あるいは、例えば凝塊、気泡、又は泡を除去するためなどのさらなる処理を行ってもよい。他の検査又は処理は、遠隔ステーション132で達成できる。例えば、別の品質チェックモジュール130を遠隔ステーション132に配置することができる。さらに、追加の品質チェックモジュール130を含む追加のステーション(図示せず)は、トラック121の周りの、キャップ取り外しステーションなどの様々な望ましい位置に配置してもよい。
【0044】
試料検査装置100は、トラック121の周りの1つ以上の位置にセンサ116を含んでいてもよい。センサ116を使用して、試料容器102上に置かれた識別情報215(
図2)又は各キャリア122に設けられた同様の情報(図示せず)を読み取ることによって、トラック121に沿って試料容器102の位置を検出してもよい。いくつかの実施形態では、キャリア122にバーコードを設けてもよい。任意で、別体のRFIDチップを各キャリア122に埋め込み、従来のバーコードリーダ又はRFIDリーダをトラッキング動作に採用してもよい。キャリア122の位置をトラッキングするための他の手段、例えば近接センサなどを使用してもよい。全てのセンサ116は、各試料容器102の位置を常に知ることができるように、コンピュータ143とインターフェースをとってもよい。
【0045】
遠心分離機125及び分析装置106、108、110はそれぞれ、概ね、キャリア122をトラック121から除去するように構成されたロボット機構及び/又は流入レーン(例えば、流入レーン126、134、138、144)と、キャリア122をトラック121上に再投入するように構成されたロボット機構及び/又は流出レーン(例えば、流出レーン128、136、141、及び146)を備えていてもよい。
【0046】
試料検査装置100は、コンピュータ143によって制御してもよく、コンピュータ143は、適切なメモリと適切な調整用電子機器と、ドライバと、様々な構成要素を操作するためのソフトウェアとを有するマイクロプロセッサベースの中央処理装置(CPU)であってもよい。コンピュータ143は、ベース120の一部として、又はベース120から分離して収容されてもよい。コンピュータ143は、キャリア122のローディングエリア105への及びそこからの移動、トラック121の周囲の動き、遠心分離機125への及びそこからの動き、品質チェックモジュール130へ及びそこからの動きを制御するように動作してもよい。コンピュータ143は、品質チェックモジュール130の動作を制御することもできる。コンピュータ143又は別体のコンピュータは、遠心分離機125の動作、及び各分析装置106、108、110への及びそこからのその動きを制御することができる。通常、別体のコンピュータは、各分析装置106、108、110の動作を制御することができる。
【0047】
品質チェックモジュール130以外の全てについて、コンピュータ143は、ニューヨーク、タリータウンのシーメンスヘルスケアダイアグノスティックス株式会社(Siemens Healthcare Diagnostics Inc.)によって販売されているディメンション(登録商標)臨床化学分析装置で使用されるものなどのソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアコマンド又は回路に従って試料検査装置100を制御してもよく、このような制御は、コンピュータベースの電気機械制御プログラミングの当業者にとって典型的であるので、本明細書ではこれ以上説明しない。しかしながら、他の適切なシステムを使用して、試料検査装置100を制御してもよい。品質チェックモジュール130の制御は、本明細書で詳細に説明するように、本発明のモデル型画像化方法によれば、コンピュータ143によって提供してもよい。
【0048】
本発明の実施形態は、ユーザが様々なステータスに容易にアクセスして表示画面を制御することを可能にするコンピュータインタフェースモジュール(CIM)145を使用して実施してもよい。これらのステータス及び制御画面で、試料212の調製及び分析に使用される複数の相互に関係する自動化装置のいくつか又はすべての態様を説明することができる。したがって、CIM145を採用して複数の相互に関係する自動化装置の動作状態についての情報を提供してもよく、また、任意の試料212の位置を記述する情報及び試料212上で実行する、又は実行されている検査のステータスを記述する情報を提供してもよい。CIM145は、オペレータと試料検査装置100が相互作用しやすくなるように構成してもよい。CIM145は、オペレータが試薬検査装置100とインターフェースをとるアイコン、スクロールバー、ボックス、及びボタンを含むメニューを表示するように構成された表示画面を含んでいてもよい。メニューは、試料検査装置100の機能的な側面を表示するようにプログラムされた多数の機能ボタンを含んでいてもよい。
【0049】
本発明の1つ以上の実施形態に従って試料212をプレスクリーニングすることにより、血清又は血漿部分212SP及び/又は沈降した血液部分212SBの相対量及び/又はその間の比の判定の正確な定量化が可能になる。さらに、プレスクリーニングで、試料容器102のLA、SB又はSG、及び/又は最下部の物理的垂直位置、又は別のデータを判定してもよい。定量化は、指示された検査を実行するために利用可能な血清又は血漿部分212SPの量が不十分である場合に、試料212が1つ以上の分析装置106、108、110への進行を確実に停止する。
【0050】
有利なことに、LA及びSB又はSGの物理的位置を正確に定量化する能力は、空気を吸引する可能性を最小限に抑えるだけでなく、沈降した血液部分212SB又はゲルセパレータ313(試料容器102にゲルセパレータ313が存在する場合)を吸引する可能性を最小限に抑える。したがって、いくつかの実施形態では、分析装置106、108、110又は他のステーションに対して血清又は血漿部分212SPを吸引するために使用する試料吸引プローブの目詰まり及び汚染を回避又は最小化することができる。
【0051】
図4A~
図4Cを参照すると、スペクトル切替可能光源449を設けた品質チェックモジュール130の第1の実施形態が示されている。スペクトル切替可能光源449は、本明細書に示され説明されているように、切り替え可能な光源を含む光パネル組立部450として具体化してもよい。品質チェックモジュール130は、試料212(例えば、血清又は血漿部分212SP、沈降した血液部分212SB、又はその両方)を自動的に特徴付け及び/又は定量化するように構成することができ、及び/又は試料容器102を定量化することができる。品質チェックモジュール130によって得られた情報は、正確な吸引プローブ及び把持部の位置決め、液体部分(例えば、血清又は血漿部分212SP)の十分な量(例えば、体積又は高さ)が指示された検査に利用可能であるという判定、及び/又はH、I、又はLの識別、及び/又はアーチファクト(凝塊、気泡、又は泡)の存在の判定などを可能にする。したがって、品質チェックモジュール130を使用することにより、貴重な分析装置リソースが無駄にならないように、また、検査結果の信頼性が高まるように、把持部の衝突、プローブの目詰まり、プローブによる空気吸引を回避し、HIL及び/又はアーチファクトを識別できる。
【0052】
ここで
図4Aを参照すると、品質チェックモジュール130の第1の実施形態が示されている。品質チェックモジュール130は、カメラ440を含んでいてもよい。カメラ440は、デジタル画像(すなわち、画素化された画像)をキャプチャできる従来のデジタルカメラであってもよい。しかし、いくつかの実施形態では、カメラ440は、電荷結合装置(CCD)、光検出器のアレイ、1つ以上のCMOSセンサなどであってもよい。この実施形態では、カメラ440は、単一の側方視点から試料容器102及びその中に収容された試料212の画像を撮影するように構成されている。カメラ440は、任意の適切な画像サイズを有するデジタル画像を撮影してもよい。画像サイズは、例えば、2560画素×694画素とすることができる。別の実施形態では、カメラ440は、1280画素×384画素の画像サイズを有してもよい。他の画素密度を使用してもよい。
【0053】
カメラ440は、試料容器102の予想される位置を含む画像化位置441の画像ウィンドウに近接して、又は撮像(キャプチャ)するために向けて、又は焦点を合わせて設けてもよい。いくつかの実施形態では、試料容器102は、例えば、トラック121上に停止することによって、又はロボットによって画像化位置441に載置されるなどによって、画像化位置441に載置される又は停止することができるので、画像ウィンドウのほぼ中心に位置するようになる。構成されたように、カメラ440は、例えば、血清又は血漿部分212SPの一部、沈降した血液部分212SBの一部、キャップ214の一部、及び管212Tの最下部212Bを含む画像、又は参照データ442を生成することができる。参照データ442は、試料212の定量化を助け、ビューウィンドウ内の試料容器102の垂直位置を判定してもよい。参照データ442は、例えば、キャリア122のホルダ122H内の試料容器102の回転方向に関係なく見ることができる既知の垂直位置で試料容器102上に戴置された目視可能な単数又は複数のマーク(例えば、1つ以上の十字線、リングなど)でもよい。
【0054】
図4A~
図4Cを参照すると、品質チェックモジュール130は、スペクトル切替可能背面照明を提供するために、図示のような光パネル組立部450によって提供可能な能動的な背景として、スペクトル切替可能光源449を含んでいてもよい。光パネル組立部450は、フレーム452、光ガイド454、及びパネル前面450Sから発光するように動作する光源456を含んでいてもよい。図示された実施形態では、光源456は、
図4B~
図4Cに最もよく示されているように、光ガイド454の側縁部454L(例えば、サイドエッジ部)に発光してもよい。光パネル組立部450は、ディフューザ457をさらに含むことができ、ディフューザ457の一面は、光パネル組立部450のパネル前面450Sでもよい。他の保護フィルムをディフューザ457に、又はこれと共に使用することができる。
【0055】
フレーム452は、プラスチックなどの剛性材料でできていてもよく、固定取り付けロッド(図示せず)に取り付けられるように構成された孔455などの適切な固定構造体を含んでもよい。光パネル組立部450を画像化位置441に対して固定された向きに取り付けるために、他の適切な取り付け機構を含んでいてもよい。フレーム452は、ポケット458を含んでいてもよく、ポケット458は、その内部に光源456、光ガイド454、及びディフューザ457(使用されている場合)を受け取って配置するように構成された、開放された前面及び上面、及び閉鎖された背面458B及び底面を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、光源456、光ガイド454、及びディフューザ457は、ポケット458の頂部から挿入され、固定部材459によって適所に固定してもよい。フレーム452内に光源456、光ガイド454、ディフューザ457を固定する他の手段を使用することができる。光ガイド454は、内部光拡散粒子又は他の内部光拡散手段を含むプラスチックシートによって提供されるような、光拡散能力を含む適切に透明な光ガイド材料により形成してもよい。好適な材料の1つとして、ドイツのエッセンのEVONIK INDUSTRIES AGから入手可能な製品ACRYLITE LED(登録商標)ENDLIGHTENが挙げられる。光ガイド454は、例えば、幅約60mm~約150mm、高さ約120mm~180mm、及び厚さ約3mm~約5mmを有するシートで作ることができる。背面照明に有用な一実施形態では、光ガイド454は、例えば、幅約60mm、高さ約150mm、及び厚さ約4mmのシートで形成することができる。他の適切なサイズを使用してもよい。
【0056】
図4A及び
図4Bに示す実施形態では、光ガイド454は、光ガイド454のバルク材料を通る光源456の光アレイ456L(LEDストリップモジュール)によって側縁部に側方に発光された光を導き、その中の光拡散粒子との光相互作用によって光ガイド454の前面454F及び後面454Rで光を発光することによって機能する。いくつかの実施形態では、光ガイド454の後面454Rは、その上に形成された高反射材を含み、背面458Bに向かって通過する光透過を反射又は後方散乱し、光ガイド454のバルク材料に戻すことにより、前面454Fから放出してもよい。任意で、高反射材は、フレーム452の背面458B上に、又は背面458B及び光ガイド454との間の個々の要素として設けてもよい。高反射材料は、例えば、ミラー又は白色プラスチック要素として、又は、銀、金、クロム、スズ、又はこれらの組み合わせの金属コーティングを有する他のプラスチック又はガラス要素を含んでいてもよい。前面454Fから発光された光は、光ガイド454の全面にわたってほぼ均一に発光され、画像化位置441で試料容器102及び試料212を照射する。高反射材は、光パネル組立部450の発光出力が最大化される場合に有利となる。発光出力が重要でない場合、光吸収材料を、フレーム452の背面458B上に、又は背面458B及び光ガイド454との間の個々の要素として設け、光パネル組立部450の前面に入射する光の後方散乱を低減して、光学分析のための信号品質を向上させることができる。
【0057】
光源456は、光ガイド454の両側縁部454Lに隣接して配置された光アレイ456Lを含んでいてもよい。光アレイ456Lは、光ガイド454の側縁部454Lに沿って線形に配置された個々の光源要素(例えば、発光ダイオード-LED)の線形アレイを含むLED細長状(ストリップ)モジュールであってもよい。光アレイ456Lは、それぞれ、例えば、約8~80個のLEDのような複数のLEDを含んでいてもよく、LEDは、コンピュータ143との電気的接続を可能にするために設けられたコネクタ456Cを有する回路基板上に配置してもよい。光アレイ456Lは、ポケット458のそれぞれの側面に沿って設けられてもよく、各光源(例えば、LED)の発光部分が側縁部454Lに直接隣接して、そして可能であれば側縁部454Lに接触して設けられるように構成される。
【0058】
光アレイ456Lは、切り替え可能なマルチスペクトル照明を提供する。例えば、一実施形態では、光アレイ456Lは、複数の、独立して切り替え可能な照明要素、又は異なる発光スペクトルを有するLEDのようなグループの中で切り替え可能な照明要素を含んでいてもよい。照明要素の切り替えは、適切な電源及びドライバと結合されたコンピュータ143上で動作可能なソフトウェアによって達成してもよい。よって、一度の照明のために、照明要素のうちのいくつかのみを選択することによって、光パネル組立部450を複数の異なるスペクトルで照明してもよい。例えば、LEDは、公称波長が異なる光スペクトルを発光する赤色LED460(R)、緑色LED461(G)、及び青色LED462(B)のような異なる色のLEDを含んでいてもよい。光パネル組立部450は、例えば、634nm±35nmの赤色、537nm±35nmの緑色、及び455nm±35nmの青色の光を発光してもよい。特に、光アレイ456Lは、光アレイ456Lの高さに沿って繰り返し配置され得るR、G、及びBのLED460、461、462のクラスタを含んでいてもよい。例えば、ドイツのレーゲンスブルクのOsram Opto Semiconductors GmbHから入手可能な高出力OslonSSLモデルLEDを使用してもよい。同じ色のLEDのそれぞれを一度に照明してもよい。例えば、各LED又は赤色LED460を同時に点灯させて、光パネル組立部450からの赤色照明を提供し、その画像化中に試料212を収容する試料容器102を照明してもよい。同様に、緑色LED461の各々を同時にオンにして、画像化中に緑色照明を提供してもよい。同様に、青色LED462の各々を同時にオンにして、画像化中に青色照明を提供してもよい。R、G、及びBは一例に過ぎず、UV、NIR、及び/又はIRのような他のスペクトル光源を用いてもよいことを認識すべきである。したがって、光パネル組立部450は、切り替え可能な多重スペクトル発光器として構成できることは明らかであろう。
【0059】
いくつかの実施形態では、照明要素のいくつかは、白色光源を含み、特定の種類の画像化のために白色光(例えば、約400nm~約700nmの波長範囲)を選択できるようにしてもよい。他の実施形態では、紫外線(UV)(波長範囲約10nm~約400nm)、近赤外線(NIR)(波長範囲約700nm~約1200nm)及び赤外線(IR)(波長範囲約1200nm~約2500nm)が含まれてもよく、あるタイプの画像化のために時々スイッチオンしてもよい。よって、光パネル組立部450の1つ以上の実施形態は、異なる発光スペクトルを有する少なくとも2つの切り替え可能な照明要素を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、切り替え可能なR、G、及びB照明要素が提供される。いくつかの実施形態では、切り替え可能なR、G、B、及び白色照明要素が提供される。さらに他の実施形態では、切り替え可能なR、G、B、及びUV照明要素が設けられている。さらに他の実施形態では、切り替え可能なR、G、B、及びNIR又はIR照明要素が設けられている。光パネル組立部450には、切替え可能なR、G、B、白色、UV、NIR、及びIR照明要素のうちの2つ以上の任意の組み合わせを設けてもよい。NIRについては、850nm±20nmの波長を有するLEDを使用してもよい。そのような実施形態では、切り替え可能な照明要素の組み合わせは、等量で提供され、光ガイド454の高さに沿って概ね均等に離間させてもよい。
【0060】
光パネル組立部450は、任意に、拡散特性を含むディフューザ457を含んでいてもよく、いくつかの実施形態では、ドイツのエッセンのEVONIKから入手可能なAcrylite(登録商標)Satinceのシートとして提供してもよい。0D010DF無色は良好に機能することが判明した。ディフューザ457は、例えば、光ガイド454とほぼ同じ高さ及び幅の寸法、及び厚さ約2mm~約4mmのシートであってもよい。他の寸法を使用してもよい。ディフューザ457は、それを通過する光を散乱させることによって機能する。ディフューザ457及び光ガイド454は、それらの間に僅かな隙間を形成して互いに離間した関係で設けられてもよい。隙間は、例えば、約1mm~約5mmであり、いくつかの実施形態では約2.4mmであってもよい。他の隙間を使用してもよい。品質チェックモジュール130は、トラック121と画像化位置441を少なくとも部分的に取り囲むか覆うことができるハウジング446(点線で示す)を含んでいてもよい。ハウジング446は、外光の変化を排除するために設けられた箱状の構造体であってもよい。
【0061】
光パネル組立部450Wを含む品質チェックモジュール430の別の実施形態を、
図4Dに示し、説明する。品質チェックモジュール430は、試料212が画像化位置441に位置する場合は試料212(例えば、血清又は血漿部分212SP、沈降した血液部分212SB、又はその両方を含む)を自動的に特徴付け及び/又は定量化するように構成することができ、及び/又は試料容器102を定量化することができる。品質チェックモジュール430は、上述のように、単一の側方の視点から試料容器102と試料212の画像を取得するように構成されたカメラ440を含んでいてもよい。
【0062】
光パネル組立部450Wは、先に示したように構成してもよいが、この実施形態では、光ガイド454の高さに沿って配置されるLED又は照明要素は、白色光LED又は他の白色光発光要素であってもよい。発光される白色光の範囲は、例えば、約400nm~約700nmの波長範囲を超えてもよい。この実施形態では、スペクトル切替可能光源449は、光パネル組立部450Wと、カメラ440と光パネル組立部450Wとの間に配置されたフィルタ組立部463との組み合わせを含む。フィルタ組立部463は、選択された時間に2つ以上の(図では3つの)フィルタ要素464A、464B、464Cを個別にビューウィンドウ内に移動させることができる機械的に切り換え可能なフィルタ組立部であってもよい。フィルタ要素464A、464B、464Cの各々は、所定の波長範囲の光を通過させるバンドパス(帯域通過)フィルタでもよく、その範囲外の他の波長は効果的に遮断される。例えば、フィルタ部材464Aの帯域通過範囲は455nm±35nm(例えば、青色)であり、フィルタ部材464Bの帯域通過範囲は537nm±35nm(例えば、緑色)であり、フィルタ部材464Cの帯域通過範囲は634nm±35nm(例えば、赤色)であってもよい。他の数値及び/又は公称波長の複数のフィルタ要素を使用してもよい。フィルタ組立部463は、駆動組立部468によってカメラ440のビューウィンドウの前方で移動可能であり、フィルタ要素464A、464B、464Cの各々を個々に選択して光パネル組立部450Wから受け取った光が試料容器102及び試料212を透過する際に、その光をフィルタにかけることができる。駆動組立部468は、フィルタ組立部463に取り付けられ、フィルタ組立部463と共に移動可能なリニアラック469を含んでいてもよい。フィルタ組立部463が滑らかに並進できるように、適切な軸受け又はスライドを設けてもよい(図示せず)。ピニオン又は歯車470は、コンピュータ143からの制御信号を介してモータ471によって駆動され、リニアラック469及びフィルタ組立部463を移動させて、様々なフィルタ要素464A、464B、464Cを選択されたカメラ440と整列させる。フィルタ組立部463を駆動する他の手段、例えばリニアモータ又はさらに回転フィルタホイールを使用してもよい。
【0063】
図4E~
図4Fを参照して、スペクトル切替可能光源を含む品質チェックモジュール430の別の実施形態を示し、説明する。品質チェックモジュール430は、上述のように選択的に切り替え可能な複数のカメラ440A~440C及び複数の光パネル組立部450A~450Cを含んでいてもよい。品質チェックモジュール430Aは、試料(例えば、血清又は血漿部分212SP、沈降した血液部分212SB、又はその両方)及び/又は試料容器102の物理的寸法を自動的に特徴付け及び/又は定量化するように構成することができる。
【0064】
3つのカメラ440A~440Cが
図4Eに示されているが、2つ以上、3つ以上、又はさらに4つ以上のカメラを使用してもよい。エッジ歪みを最小にするために、3つ以上のカメラ440A~440Cを使用してもよい。カメラ440A~440Cは、上記のカメラ440と同様、デジタル画像(すなわち画素化画像)をキャプチャすることができる従来のデジタルカメラであってもよい。例えば、3つのカメラ440A、440B、440Cが
図4Eに示され、複数の(例えば、3つの)異なる側方視点から画像を撮影するように構成される。各カメラ440A、440B、440Cは、例えば、上述したような画像サイズを有するデジタル画像を撮影してもよい。本明細書で使用する画素は、単一の画素又はスーパー画素(密接にグループ化された複数の画素の集合)であってもよい。いくつかの例では、コンピュータ143による画像の処理は、スーパー画素を処理することによって、計算負荷が低減される。
【0065】
各カメラ440A~440Cは、試料容器102の少なくとも一部及び試料212の少なくとも一部の複数の側方画像を撮影するように構成及び動作可能である。例えば、カメラ440A~440Cは、ラベル218又はキャップ214の一部、管212Tの一部、及び試料212(
図2~
図3参照)をキャプチャしてもよい。最終的には、複数の画像から、2Dデータセットが各カメラによって生成され、コンピュータ143内のメモリに格納される。これらの2Dデータセットから、試料容器102内の試料212の複合モデルを開発してもよい。複合モデルは、いくつかの実施形態では3Dモデルであってもよく、これを使用して、試料212についての最終判定を行うために、又は個々のカメラ440A~440Cによって撮影された画像から2Dデータを使用することによって行われた判定を確認してもよい。
【0066】
図示の実施形態では、複数のカメラ440A~440Cは、画像化位置441の周囲に配置され、複数の視点から側方画像をキャプチャするように構成される。視点は、3つのカメラ440A、440B、440Cが使用されるときに、図示のように互いに約120度など、互いにほぼ等間隔になるように離間されていてもよい。図示のように、カメラ440A~440Cは、トラック121のエッジの周りに配置してもよい。複数のカメラ440A~440Cの他の配置及び間隔を使用してもよい。このようにして、試料容器102内の試料212の画像は、試料容器102がキャリア122に存在している間に撮影されてもよい。いくつかの実施形態では、画像はわずかに重なり合うことがある。
【0067】
1つ以上の実施形態では、各カメラ440A~440Cからの法線ベクトルが互いに交差する点などのような、キャリア122を品質チェックモジュール430A内の所定の位置で停止させることができる。いくつかの実施形態では、キャリア122を停止させるためにゲートを設けて、良好な品質の画像を撮影することができる。他の実施形態では、キャリア122は、キャリア122を所望の位置に停止させ、プログラムに応じてキャリア122をトラック121上の次のステーションに移動するように構成されたリニアモータを含んでいてもよい。品質チェックモジュール430にゲートを含む実施形態では、(センサ116などの)1つ以上のセンサを使用して、品質チェックモジュール430Aでキャリア122の存在を判定してもよい。
【0068】
カメラ440A~440Cは、画像ウィンドウ、すなわち、試料容器102の予想される位置を含む画像化位置に、近接して、又はキャプチャするために向けて、又は焦点を合わせて設けられてもよく、試料容器102は、ビューウィンドウのほぼ中心に配置されるように停止させてもよい。構成されたように、カメラ440A~440Cは、血清又は血漿部分212SPの一部、沈降した血液部分212SBの一部、キャップ214の一部又は全部、及び管212Tの最下部、又は参照データ442を含む画像と、をキャプチャすることができる。参照データ442は、試料212の定量化を助けることができる。参照は、例えば、TC、試料容器102の最下部212B、又は参照データ(例えば、既知の位置で試料容器102上に載置された可視マーク)に対して行ってもよい。
【0069】
動作中、各画像は、コンピュータによって送信されたトリガ信号に応答してトリガされてキャプチャされ、キャリア122が品質チェックモジュール430A内の所望の位置に位置することを示す信号をコンピュータ143が受信したときに通信ライン443A~443Cに供給される。キャプチャされた画像の各々は、本明細書で提供される方法の1つ以上の実施形態に従って処理してもよい。特に、HDR画像処理を使用して、画像をキャプチャして処理して、試料212及び試料容器102を高レベルの詳細及び情報内容で特徴付けてもよい。
【0070】
より詳細には、複数の異なる露光時間、複数の異なるスペクトル(又は1つ以上の波長範囲)、及び異なる視点から、品質チェックモジュール430Aで試料212(例えば、分別によって分離された試料212)の複数のスペクトル画像をキャプチャすることができる。例えば、各カメラ440A~440Cは、異なる露光時間で複数のスペクトルで4~8枚の画像を撮影することができる。
【0071】
一実施形態では、複数のスペクトル画像は、光パネル組立部450A~450Cを使用して背面照明することによって達成してもよい。光パネル組立部450A~450Cとして具体化されたスペクトル切替可能照明源は、
図4E~
図4Fに示すように、試料容器102を背面照明してもよく、また、上述したように、切り替え可能な光源を含んでいてもよい。任意で、別の実施形態では、スペクトル切替可能光源は、400nm~700nmの白色光で、あるいはさらに400nm~2000nmの広帯域光で試料容器102を背面照明可能な光パネル組立部450A~450Cで提供してもよく、選択可能なバンドパスフィルタを使用して、例えば上述したような複数の選択された波長において、画像をキャプチャしてもよい。したがって、各実施形態において、スペクトル切替可能光源は、複数の発光スペクトル(例えば、R、G、及びB)を提供する。複数のカラー画像のキャプチャ及び使用は、分析のために情報内容を増加させて特定の波長で画像化する際に特定の特徴的な吸収スペクトルを強調してもよい。
【0072】
例えば、第1のスペクトルで照明された画像をキャプチャするために、各光パネル組立部450A~450Cの赤色LED460(約634nm±35nmの公称波長)を使用して、試料212を3つの側方位置から照明する。光パネル組立部450A~450Cによる赤色照明は、異なる露光時間での複数の画像(例えば、4~8枚以上の画像)が各カメラ440A~440Cによってキャプチャされるときに提供するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、露光時間は、約0.1ms~256msの間でよい。他の露光時間を使用してもよい。各カメラ440A~440Cの赤色光で照明されているそれぞれの露光時間画像はそれぞれ同時に又は順次撮影され、コンピュータ143内のメモリに格納される。
【0073】
赤色で照明された画像がキャプチャされると、赤色LED460を消灯し、別の光スペクトル、例えば緑色LED461をオンにしてもよく(約537nm±35nmの公称波長)、異なる露光時間での複数の画像(例えば、4~8枚以上の画像)は、各カメラ440A~440Cによってそのスペクトルでキャプチャしてもよい。これは、各カメラ440A~440Cについて、青色LED462(約455nm±35nmの公称波長)を用いて繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、光パネル組立部450は、
図4Dを参照して説明した交換可能なフィルタ組立部の使用と組み合わせた白色光LED又は広帯域光源の使用によって達成することができる。光パネル組立部450A~450Cは、カメラ440A~440Cの全視野にわたって均質な光を発光してもよい。
【0074】
さらに他の実施形態では、光パネル組立部450A~450Cは、ディフューザ457の背後に設けられたそれぞれの個々に切り替え可能な、又は色グループの中で切り替え可能な光源(例えば、R、G、B LED)の光源マトリックスを含むことができる。よって、異なる色の照明(例えば、R、G、B、及び/又は多数の他の色)を選択的にオン及びオフに調整して、例えば、複数の異なる選択可能な光のスペクトルで画像化位置441を照明してもよい。
【0075】
別の実施形態では、光パネル組立部450A~450Cは、試料容器102を広帯域光源(例えば、約400nm~約2000nmの発光)で背後照明し、1つ以上のスペクトル選択可能カメラ(例えば、カメラ440又は440A~440C)と組み合わせて使用してもよい。スペクトル選択可能カメラ(マルチスペクトル又はハイパースペクトルカメラも)は、スペクトル選択可能画像、すなわちそれぞれの離散スペクトル(例えば、R、G、B、及び/又は多数の他の色)の複数の画像を生成するのに適している。スペクトル選択可能カメラは、従来のカラーカメラのベイヤーパターンスペクトルフィルタに類似しているが、血清又は血漿部分212SPの分析に潜在的に関連する異なる波長域又は範囲を有するスペクトルフィルタパターンを含んでいてもよい。フィルタパターンにより、画素レベルのスペクトル選択性を持つことができるようにしてもよい。例えば、1つの画素は、1つの公称波長で光を受信するのに適しており、別の画素は、異なる公称波長で光を受信するのに適していてもよい。したがって、1つの好ましくは広帯域照明スペクトルを使用して、複数のそれぞれの離散的スペクトルで取得された複数の画像を生成してもよい。他の手段を使用してカメラのスペクトル選択性を達成してもよい。
【0076】
品質チェックモジュール430Aは、トラック121を少なくとも部分的に囲む、もしくは覆うことができるハウジング446を含んでいてもよく、試料容器102及び画像化位置441は、画像取得段階中にハウジング446の内側に位置していてもよい。ハウジング446は、キャリア122がハウジング446の中に入る及び/又は出ることができるようにするためのドア446Dを1つ以上含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、天井は、試料容器102を把持するように構成された把持部を含むロボットによって、試料容器102がキャリア122内に搭載されることを可能にする開口部446Oを含んでいてもよい。
【0077】
別の実施形態では、
図4Gに最もよく示されているように、試料容器102は、各カメラ440A~440Cの向かい側に配置された光パネル組立部450D、450E、及び450Fを含むように、品質チェックモジュール430Bで照明してもよい。この実施形態では、カメラ440A~440Cはデジタルモノクロカメラであってもよく、光パネル組立部450D、450E、及び450Fを含む切り替え可能な光源は、それぞれ約634nm±35nm、537nm±35nm、及び455nm±35nmのR、G、及びBスペクトルなど、選択的に切り替え可能な公称波長を発光してもよい。
【0078】
この代替の実施形態では、透過型画像化、吸光度画像化、又は反射型画像化に焦点を当てることによって、異なるタイプの特徴付けに望ましい複数の照明モードを達成することが可能である。例えば、
図4Gの構成では、画像化位置441は、光パネル組立部450D、450E、及び450Fを使用して、前面照明及び背面照明又はそれらの様々な組み合わせを含んでいてもよい。図示の実施形態では、光パネル組立部450E、450Fは、正面450SE、450SFが互いに略平行であり、トラック121の方向とほぼ平行になるように配置される。例えば、(光パネル組立部450Dが照射されていない状態での)光パネル組立部450E及び450Fは、カメラ440Aのための試料212及び試料容器102の前面照明に使用してもよい。いくつかの実施形態では、カメラ440Aはモノクロカメラであってもよく、光パネル組立部450E及び450Fによる照明を、任意の順序で、例えば、赤色(R)から緑色(G)、緑色(G)から青色(B)、及び/又は他のスペクトルなど複数の離散的公称スペクトル間で切り替えることによって、多重波長での画像化中に前面照明を行うようにしてもよい。
【0079】
任意の実施形態では、光パネル組立部450E及び450Fは、画像化位置441を白色光で前面照明してもよく、カメラ440Aはカラーカメラであってもよい。次いで、異なる露光時間での複数の画像をカメラ440Aによって撮影してもよい。カメラ440Aによって撮影された各画像は、コンピュータ143のメモリに格納され、次いで、複数の波長で色成分に分離して、複数のスペクトルでキャプチャされた画像を提供してもよい。例えば、コンピュータ143は、画像を、約400nm~約700nmの間の少なくとも3つのキャプチャ波長に分離してもよい。例えば、それぞれ約450nm、560nm、及び635nmのRGB成分をコンピュータ143によって格納された画像データから分離して、前面照明視点からマルチスペクトルの複数の露光でキャプチャされた画像を生成してもよい。画像は、以前のように、光パネル組立部450E及び450Fによって照明されている間に、ライン443A内のコンピュータ143からの信号を介して撮影してもよい。このような前面照明画像化は、キャップ214の色の判定、ラベル218の位置の判定、バーコードの読み取り、又、さらには、セグメント化、すなわち、試料212と試料容器102の異なる部分の特徴付けに適していてもよい。
【0080】
別の実施形態では、3つすべてのカメラ及び3つすべての光パネル組立部450D~450Fが動作可能であり、光パネル組立部450D~450Fは、吸光度測定、HIL検出、アーチファクト検出、又、セグメント化などのような、透過型画像化のためのカメラ440A~440Cの背面照明源として作用可能である。
【0081】
さらに別の構成では、側面照明モードは、品質チェックモジュール430Bによって提供してもよい。側面照明は、例えば、光パネル組立部450Dで照明し、カメラ440B又は440C、又はその両方で画像化することによって達成してもよい。照明モードは、濁度分析又は試料容器102内の試料212の屈折率を判定するために使用してもよい。
【0082】
上記の設定のそれぞれについて、それぞれのスペクトル(例えば、R、G、及びB、又は白色光)ごとの複数の露光時間に撮影された、これらの複数の画像のすべてを迅速に連続して得ることができ、複数の視点からの試料212の画像収集全体が、例えば、約2秒未満で得られるようにしてもよい。他の時間を使用してもよい。
【0083】
例えば、
図4Aの品質チェックモジュール130を使用すると、カメラ440を使用するスペクトルごとに4つの異なる露出画像と、光パネル組立部450を含むスペクトルを切り替え可能な光源449を用いた背面照明とで、4つの画像×3色×3つのカメラ=36画像が得られることになる。
図4の品質チェックモジュール430Bを使用する別の例では、カメラ440Aを使用する4つの異なる露出画像と、光パネル組立部450E、450Fの白色光源による前面照明とで4つの画像×3つのカメラ=12画像が得られることになる。しかし、RGB画像は、個々のRGB成分に撮影された白色光画像を分離することによって、コンピュータ143でキャプチャできるようになる。よって、分離後に、36枚の画像もキャプチャされる。2D画像データは、コンピュータ143のメモリに格納され、その後、さらに処理される。
【0084】
画像データを処理する方法によれば、画像データの処理は、まず、例えば、異なる露光時間及び各スペクトルでキャプチャされた複数の画像の画像データから最適に露光された画素を選択すること、そして、(複数のカメラが使用される場合は)各カメラ440A~440Cについて、スペクトル(例えば、RGBカラー画像)ごとに、そしてカメラ440A~440Cごとに最適に露光された画像データを生成することを含む。これは、本明細書では「画像統合」と称することにする。対応する各画素について、視点ごとの画像のそれぞれに対して、最適な画像強度を示す画素を異なる露光時間画像それぞれから選択してもよい。一実施形態では、最適な画像強度は、例えば、所定の範囲内(例えば、0~255のスケールでは180~230)にある画素であってもよい。別の実施形態では、最適画像強度は、例えば、0~255のスケールで16~230の間である。2つの画像(1つのカメラからの)の対応する位置にある1つ以上の画素が最適に露光されると判定された場合、2つのうちのより高い強度を選択する。最適に露光された強度値のそれぞれは、それぞれの露光時間によって正規化される。その結果、全ての画素が最適に露光される視点ごとに(例えば、スペクトルごと(例えばR、G、及びB)に1つの画像データセット、複数の正規化されて統合された2Dカラー画像データセット(例えば、R、G、及びB)と視点が得られる。必要に応じて、他のスペクトル及び視点ごとの正規化及び統合された2Dカラー画像データセットをキャプチャすることもできる。
【0085】
特徴付け方法の一部として、品質チェックモジュール130、430、430、430Aの較正プロセスは、キャリア122内の試料容器102のない参照画像を撮影する場合に開始するようにする。このようにして、各2D画像データセットから管背景(試料容器102の外側の領域)を除去することによって、計算上の負担を最小限に抑えることができる。露光時間及び照明条件(R、G、B、白色光、UV、NIR、及び/又はIR)ごとの参照画像は、特徴付け/定量化を実行する前(あるいは、後)に品質チェックモジュール130、430、430、430Aによって撮影してもよい。
【0086】
最適露光画素を含む2D画像データセットごとに、セグメント化プロセスを実行して、1つの2D統合された画像を生成し、視点ごとに各画素のクラスを識別することができる。例えば、画素は、血清又は血漿部分212SP、沈降した血液部分212SB、ゲルセパレータ313(存在する場合)、空気212A、管212T、又はラベル218として分類してもよい。キャップ214も分類してもよい。分類は、複数のトレーニングセットから生成されたマルチクラス分類器(例えば、
図5Aのマルチクラス分類器515)に基づいて行うことができる。マルチクラス分類器515は、例えば、サポートベクトルマシン(SVM)又はランダム決定ツリーを備えることができる。
【0087】
画素レベルの分類を実行するために、異なるスペクトル(例えば、R、G、B等)での最適露光画素のそれぞれについて、及び各視点について第1の統計データを計算して、2D統計データを生成してもよい。2D統計データセットは、平均値及び共分散を含んでいてもよい。他の統計情報を生成してもよい。統計データは、平均値、変動、及び相関値を含む第2次までの属性を含んでいてもよい。特に、共分散マトリックスは、識別パターンを表す複数次元データ全体にわたって計算される。
【0088】
一度生成されると、各2D統計データセットは、マルチクラス分類器515に送られるとともに、そこで操作される。マルチクラス分類器515は、画像データセット内の画素を、1ー血清又は血漿部分、2―沈降した血液部分、3―ゲルセパレータ(使用している場合)、4―空気、5―管、6―ラベル、及びおそらくは7―キャップなどのような複数のクラスラベルの1つに属するものとして分類することができる。これにより、液体領域(すなわち、血清及び血漿部分212SP)並びに他の領域を構成する画素を識別することができる。セグメント化の結果は、統合された2Dデータセットであり、その中のすべての画素が分類される各視点に対して1つのデータセットである。
【0089】
マルチクラス分類器515は、線形又は非線形である任意の適切な種類の教師あり分類モデルであってもよい。例えば、マルチクラス分類器515は、線形又はカーネルベースのサポートベクトルマシン(SVM)であってもよい。任意で、マルチクラス分類器515は、適応ブースティング分類器(例えば、AdaBoost、LogitBoostなど)、任意の人工ニューラルネットワーク、ツリーベースの分類器(例えば、決定ツリー、ランダム決定フォレスト)、分類子としてのロジスティック回帰などのブースティング分類器であってもよい。SVMは、例えば、試料212及び試料容器102の分析で見られるような、液体と非液体との間の分類に特に効果的となり得る。SVMは、データを分析し、パターンを認識する、関連する学習アルゴリズムを有する教師あり学習モデルである。SVMは、分類及び回帰分析に使用される。
【0090】
マルチクラス分類器515をトレーニングするために複数セットのトレーニング例が使用され、次いで、マルチクラス分類器515によって画像データセットが操作され、各画素が結果として分類される。ラベル218による閉塞、血清又は血漿部分212SP及び沈降した血液部分212SBのレベル、ゲルセパレータ313を含むか否かなど、様々な試料条件を有する試料容器102の多くの例において、様々な領域をグラフィックスで輪郭を取ることによってマルチクラス分類器515のトレーニングを行ってもよい。500以上もの画像を使用してマルチクラス分類器515のトレーニングを行ってもよい。各トレーニング画像は、手動で輪郭を描いて、各クラスに属する領域を識別し、マルチクラス分類器515に教示してもよい。
【0091】
SVMトレーニングアルゴリズムを使用して、任意の新しい試料の画素をクラスの1つに割り当てるマルチクラス分類器515を構築してもよい。SVMモデルは、別々のクラスの例が可能な限り広い明確な隙間で分割されるようにマッピングされた空間における点としての例を表す。画像データセットからの新しい画素は、その同じ空間にマッピングされ、マップ上のどこにあるかに基づいて特定のクラスに属することを予測する。いくつかの実施形態では、SVMは、カーネルトリック(例えば、カーネルベースのSVM分類器)と称されるものを使用して非線形分類を効率的に実行し、その入力を高次元の特徴空間に暗黙的にマッピングしてもよい。SVM、ツリーベース分類器、及びブースティングが特に好ましい。他の種類のマルチクラス分類器を使用してもよい。
【0092】
血清又は血漿部分212SP及び/又は沈降した血液部分212SBであるとみなされるマルチクラス分類器515の結果を用いて、試料212をさらに定量化することができる。
【0093】
1つ以上の実施形態による特徴付け方法500のフローチャートを
図5Aに示す。まず、例えばキャリア122によって担持された試料212を含む試料容器102を、502の品質チェックモジュール(例えば、品質チェックモジュール130、430、430A、430B)に設ける。複数の画像が、504でキャプチャされる。その複数の画像とは、上述したように、複数の異なる露光で、また、複数の異なるスペクトルで、そして1つ以上の視点で撮影されたマルチスペクトル画像である。定量のために、品質チェックモジュール430Bの前面照明したセットアップを使用してもよい。521においてインターフェレントを検出するため、又は522においてアーチファクトを検出するために、
図4E、及び
図4F、又は
図4Gでセットアップした背面照明を使用してもよい。いずれの場合においても、複数の画像は、コンピュータ143のメモリに格納してもよい。これらの画像から、背景を508の背景削減フェーズで任意に除去して計算負荷を低減することができる。背景除去は、先だって510で撮影した参照画像を減算することによって達成できる。いくつかの実施形態では、様々な視点の間のデータの正規化を行うことができる。
【0094】
504における画像キャプチャ及び508における任意の背景除去の後、511においてセグメント化を行うことができる。511のセグメント化は、512における画像統合を含んでいてもよい。512における画像統合中に、各色(R、G、B等)及び視点ごとの様々な露光時間画像が、画素ごとに再検討され、(上述した)基準と比較して、最適に露光された画素を判定する。各視点の露光時間画像の対応する画素位置ごとに、最適露光画素のうちの最良のものが、カラースペクトルごと及び視点ごとに選択され、最適露光2D画像データセットに含まれる。したがって、512での画像統合に続いて、カラースペクトルごと(R、G、B等)及び視点ごと(各カメラ440、又はカメラ440A~440Cごと)に1つの最適に露光された2D画像データセットが生成される。HDR処理を使用することにより、特に反射及び吸収に関して、画像の詳細を豊かにし、これにより、特徴付け及び定量化の精度を高めることができるようになる。
【0095】
512での画像統合に続いて、又は、おそらくそれと並行して、514で統計生成を行うことができる。514では、平均及び共分散のような各画素について第2次までの統計的属性が生成される。次いで、この統計データ及び最適に露光された2Dデータセットは、マルチクラス分類器515によって操作され、516の画像データセットに存在する画素クラスを識別する。各スーパー画素位置について、小さなパッチ(例えば、11×11画素のスーパー画素)内で統計的記述を抽出する。各パッチは、評価プロセスにおいて考えられる記述子を提供する。典型的には、分類器は特徴記述子上で動作し、検査/評価中に出力クラスラベルを使用する。各スーパー画素の最終クラスは、各スーパー画素について信頼値を最大化することにより判定してもよい。計算された統計値は、クラスの特定の特性を符号化し、したがって、異なるクラス間の識別のために使用される。511のこのセグメント化から、統合された2D画像データセットが視点ごとに生成され、統合画像データセットの各画素には、上述の516における複数のクラス種類の1つとして分類が与えられる。511のこのセグメント化から、517で、統合された2D画像データセットから3Dモデルが生成され、構築される。複数のカメラ440A~440Cが使用される場合、3Dモデルを使用して、様々な視点の間で確実に一貫した結果を得られるようにしてもよい。
【0096】
この方法によれば、518において、液体領域(例えば、血清又は血漿部分212SP)を識別してもよい。これは、血清又は血漿部分212SPのクラスからのすべての画素をグループ化し、次いで、519において、統合された2D画像データセットのために液体(血清又は血漿部分212SP)及び空気212A(すなわち、LA)の間の上側界面の位置を判定することを含む。これは、各視点に対して行うことができる。血清又は血漿部分212SPとして分類された最も高い画素の位置を視点ごとに平均化することによって、LAの数値を統合された2D画像データセットそれぞれに対して計算してもよい。実質的な外れ値はすべて排除され、平均には使用されない。以前に実行された画素空間対機械空間(例えばmmで表す)の較正(キャリブレーション)は、任意の既知の機械空間対画像空間較正技術によって達成することができ、把持のためのロボット124によって、又は吸引に使用される他のロボットによって、画素空間を機械空間に変換するために使用されてもよい。各視点(2つ以上の視点の場合)に対するLAに関するこれらの数値は、3Dモデルで使用されるLAの最終的な値を識別するために集約することができる。集約は、例えば、視点ごとにLAの数値を平均化するなど、視点のそれぞれの結果を融合するための任意の適切な方法によって行うことができる。1つの値が他の2つの値より実質的に低い場合は、外れ値として破棄されることがある。
【0097】
ゲルセパレータ313が存在する(例えば、使用される)かどうかに応じて、定量化方法は、視点ごとに、520でSB又はSG(ゲルセパレータが存在する場合)の位置を判定してもよい。516において、血清又は血漿部分212SPとして分類された最も低い画素の位置を平均化又は集約することによって、520で、各視点のSB又はSGの数値を計算してもよい。SB又はSGの単一の値は、3Dモデルに対して様々な視点のSB値又はSG値を平均化して判定することができる。LA及びSB又はSGの位置から、血清又は血漿部分HSP(
図2及び
図3)の高さは、LA及びSB又はSGについての平均の減算を介して判定してもよい。
【0098】
液体領域(例えば、血清又は血漿部分212SP)を定量化することは、526において試料容器102の内部幅(Wi)を判定することをさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、外部幅(W)は、まず、526において、各統合された2D画像データセットに対して管212Tとして分類された画素を識別し、管212Tの側方の外側に位置する対応する、画素の位置(例えば、LAとSB又はSGの間で測定されるような)を減算し、さらに視点ごとの減算値を平均化することにより判定してもよい。外部幅Wの最終値は、視点からのW値を平均することにより判定することができる。実質的な外れ値は無視してもよい。Wiは壁厚Twの2倍を減算してWから判定することができる。Twは、すべての試料容器102について推定され、メモリ又はWiに格納された平均壁厚値であってもよく、試料容器102の判定された外幅W及び判定された高さHT値に基づいて判定される管の種類に基づく参照テーブルから取得してもよい。
【0099】
HSP及びWiから、液体領域(例えば、血清又は血漿部分212SP)の体積は、3Dモデルに対して、528において下の式1を用いて計算できる。
式1 VSP=HSP×Wi2Pi/4
【0100】
沈降した血液部分212SBを定量化するには、同様の方法に従う。沈降した血液部分212SBのクラスに対応する画素は、まず530で識別されてもよい。ゲルセパレータ313が存在するかどうかに応じて、各視点についての沈降した血液部分HSBの高さは、532において、各統合された2D画像データセット内の沈降した血液部分212SBの最下部の画素位置を確定し、次にSB又はBGのいずれかを減算することにより判定してもよい。SBは、520で判定してもよい。ゲルセパレータ313が存在する場合、BGは、ゲルセパレータ313として分類された画素の最下部垂直位置を平均することによって、視点ごとに判定してもよい。沈降した血液部分212SBの最下部の画素は、試料容器102の最も低い垂直方向の寸法を見つけ出し、次に、各視点について壁厚Twを減算することによって判定してもよい。Wiは、526で判定してもよい。HSBの最終値は、各視点のそれぞれのHSB値を平均することによって判定してもよい。HSB及びWiの最終値から、下の式2を用いて、3Dモデルに対して、534において、沈降した血液部分212SBの体積を判定してもよい。
式2 VSB=(HSB×Wi2Pi/4)-1/2Wi2+(Pi/24)Wi3
【0101】
任意で、視点の各々についての統合された2D画像の様々な画素クラスを集約してマッピングし、試料容器102を取り囲む3D仮想ボクセルグリッド345(
図5B)を再構成してもよい。各画素は、2D仮想グリッドで決定された位置を有しており、それを517において、3D仮想ボクセルグリッド345上に3方向から投影して3Dモデルを生成することができる。2D遠近法からのグリッドは、カメラ440A~440Cの間の較正情報に基づいて3D仮想ボクセルグリッド345と位置合わせされて視点ごとに位置決めをする。各2Dグリッドのエッジ構造間には、いくらかの冗長性(重複)が存在する可能性がある。各統合された2D画像データセットに対して割り当てられたクラスは、各視点とともにグループ化されて、それぞれの視点ごとに血清又は血漿部分212SP、沈降した血液部分212SB、ゲルセパレータ313(存在する場合)、空気212A、管212T、ラベル218、及び場合によってはキャップ214の領域を形成する。各領域のボクセルは、3D仮想ボクセルグリッド345上を横断し、クラスが隣接する視点間で一貫している場合に、重複領域内の画素に共通のクラスが割り当てられる。
【0102】
結果として、様々な領域が3Dモデルにマッピングされ、各領域は、3D仮想ボクセルグリッド345からの較正情報及び測定値を使用して定量化してもよい。3Dモデルの領域位置は、空気212A又は沈降した血液部分212SB又はゲルセパレータ313が吸引されないように吸引プローブチップをどこに載置すべきかを判定するために使用することができる。
【0103】
液体領域が518で識別されたら、その中のインターフェレント(例えば、H、I、及び/又はL)の存在は、1つ以上のインターフェレント分類器により液体領域の2Dデータセットを操作することによって判定してもよい。一実施形態では、2016年1月28日に提出された米国仮特許出願第62/288,375号「試料におけるインターフェレントを検出するための方法及び装置」に記載されているように、H、I、及びLのそれぞれに独立した分類器を使用することができる。平均値を使用して、複数の視点の平均として試料212のインターフェレントレベルを提供するために使用できるHILインデックス値(Havg、Iavg、Lavg)を521で提供可能であることもまた認識すべきである。このようにして、3DモデルのH、I、L、又はNの1つの一貫した分類を得ることができる。
【0104】
品質チェックモジュール130、430、430A、430Bにおいて、522で液体領域の2Dデータセットを1つ以上のアーチファクト分類器で操作することによって、アーチファクト(例えば、凝塊、気泡、及び/又は泡)の存在を判定してもよい。複数の視点がある場合、各視点を使用して、その特定のビューの領域を生成することができる。その後、様々な視点からのアーチファクトの領域を使用して、アーチファクトの推定量を判定することができる。2D画像を使用して、体積を幾何学的計算から導き出すことができる3Dの構造を三角法で測ることができる。アーチファクトの推定体積は、体積VSPから減算して、利用可能な液体のより良い推定値を提供してもよい。様々な視点を使用して、仮想3Dボクセルグリッド上にアーチファクトの位置を投影することができ、各2D投影からの寸法を使用して、アーチファクトのボリューム及び3D位置をより正確に推定することができる。アーチファクトの検出についてのさらなる考察は、2016年1月28日に出願された「試料中のアーチファクトを分類するための方法及び装置」という名称の米国仮特許出願第62/288,358号に記載されている。
【0105】
したがって、本明細書の品質チェックモジュール130、430、430A、430Bによって実行される、モデルに基づく特徴付け方法500により、試料212の血清又は血漿部分212SP及び/又は沈降した血液部分212SBの迅速な定量化が可能となることは理解できよう。最終的な結果及び判定は、複数の視点にわたって集約され、3Dモデルとして表示され得る。
【0106】
図6は、多くの品目が品質チェックモジュール130、430、430A、430Bを使用して特徴付けられる特徴付け方法600のフローチャートを示す。方法600の1つ以上の実施形態によれば、例えば、複数のカメラ(カメラ440Aが示されている)によって画像がキャプチャされる。カメラ440B、440Cを使用して、他の視点から画像をキャプチャすることができる。カメラ440Aでキャプチャされた画像について説明する処理は、他の視点の他のカメラ440B、440Cについても同じであり、ライン605のそれらの入力を使用して、最終的な判定、又は様々な視点間の違いを解決するために使用する試料212の3Dモデル635を生成することができる。
【0107】
カメラ440A及び他のカメラ440B、440Cによってキャプチャされた画像は、上述したように、複数スペクトル(例えば、R、G、B、又は他のスペクトル)及び複数露光画像であってもよい。特に、視点ごとに604Aで使用される光のスペクトルごとに、複数露光(例えば、4~8回以上の露光)を行ってもよい。各カメラ440A~440Cの各露光時のそれぞれの画像は、モノクロカメラを使用して、また、
図4E~
図4Fで説明した光パネル組立部450A~450Cによる背面照明を用いて同時また順次に取得することができる。任意で、
図4Gの光パネル組立部450E、450Fの白色光源を使用して、前面照明された複数露光画像は、カラーカメラを使用して604Bで取得してもよい。
【0108】
任意で、2つ以上の品質チェックモジュールを使用してもよい。例えば、品質チェックモジュール430Bを定量化に使用し、品質チェックモジュール430AをHILN検出に使用してもよい。しかしながら、品質チェックモジュール430A、430Bのいずれか1つを定量化及びHILN検出に使用してもよい。
【0109】
その後、任意の背景除去方法に関して上述したように、画像を任意で508において処理して、参照画像510を使用して背景を除去してもよい。その後、画像をさらに処理して、上述したように511でセグメント化を判定してもよい。いくつかの実施形態では、604Bでの前面照明カメラからの画像は、511でのセグメント化に最もよく使用できる。同様に、604Aでキャプチャされた任意の画像は、521でのHILNの特徴付けに最もよく使用される。しかしながら、明らかに、604Aでキャプチャされた画像は511でのセグメント化に使用でき、604Bでキャプチャされた画像は521でのHILN検出に使用できる。
【0110】
本明細書に記載された方法に従って、523での液体の識別及び定量化は、511でのセグメント化に続いて実行してもよい。523において液体を定量化することは、LA、SB、SG、及び/又はBGの物理的位置、HSP(血清又は血漿部分212SPの深さ)、HSB(沈降した血液部分212SBの深さ)、及び/又はHTOT、及び/又は528における血清又は血漿部分(VSP)の体積、及び/又は上述したような、534での沈降した血液部分(VSB)の体積などの試料212の特定の物理的寸法特徴の判定などを含んでいてもよい。内部幅(Wi)は、526における試料容器の特徴付けから得ることができる。
【0111】
検査に利用可能な血清又は血漿部分212SPの実際の体積をさらに正確に測定するために、又は単にアーチファクトの存在にフラグを立てるために、アーチファクト検出方法を522で採用して、凝塊、気泡、又は泡が血清又は血漿部分212SPに存在することを識別してもよい。存在する1つ以上のアーチファクトのそれぞれの推定体積は、より良い体積推定値を得るために、528で判定された血清又は血漿部分VSPの推定体積から減算されてもよい。アーチファクト分類器を使用して522において、視点ごとに2D画像データを処理して、血清又は血漿部分212SP中のアーチファクトの有無を判定してもよい。アーチファクト検出522によってアーチファクトであると識別された画素は、本明細書で説明される定量化方法において無視されてもよく、結果を歪ませないように、521でのHILN分類においても無視されてもよい。アーチファクトの検出により、いくつかの実施形態において修復を開始してもよい。
【0112】
511でのセグメント化の結果は、バーコードなどの識別情報215を含むラベル218を識別するためにも使用してもよい。バーコードは625で読み取ることができる。ラベル218が511でのセグメント化で識別された場合には、従来のバーコード読み取りソフトウェアを使用してもよい。特定の画像が、読み取られるべきバーコードを十分に含まない場合、他の視点から得られた他の画像からのデータから、又はそのデータに関連して、バーコードを読み取ることができる。
【0113】
試料容器102のさらなる特徴付けは、627でより広い方法600に従って達成してもよい。629での管の種類、631でのキャップの種類、633でのキャップの色の様々な視点からの特徴付けを供給して、635で3Dモデルの生成を可能にしてもよい。様々な視点からのデータを比較して、各視点から(例えば、カメラ440A~440Cから)の画像の処理に基づいて同じ特徴付けが達成されたことを検証する。わずかに異なる値が得られた場合、その値は平均化してもよい。521でのHILN分類、523での試料定量化、522でのアーチファクト検出、及び627での試料容器検出からの出力のすべてを使用して3Dモデル635を生成してもよい。3Dモデル635を使用して、最終的な意思判定、特徴付け、及び/又は様々な視点(例えば、カメラ440A~440C)からの結果の調和をさせることができる。636における3D較正は、様々な視点の位置を3D空間に調整することを含んでいてもよい。3D仮想ボクセルグリッドを使用して、2Dビューから3Dビューへの調整を行うことができる。
【0114】
図7は、1つ以上の実施形態による試料容器及び/又は内容物を画像化する方法を示すフローチャートである。方法700は、702において、画像化位置(例えば、画像化位置441)に試料(例えば、試料212)を収容する試料容器(例えば、キャップ付き採血管などの試料容器102)を提供することを含む。画像化位置441は、品質チェックモジュール130、430、430A、430Bの内部にあってもよい。試料容器(例えば、試料容器102)は、トラック(例えば、トラック121)上に搬送するか、又はロボット(例えば、ロボット124など)によってその上に載置されることによって、画像化位置(例えば、画像化位置441)に載置してもよい。
【0115】
方法700は、704で、画像化位置(例えば、画像化位置441)で画像をキャプチャするように構成された1台以上のカメラ(例えば、カメラ440、440A~440C)を設けることと、706で、1つ以上のカメラ(例えば、カメラ440、440A~440C)に照明を提供するように構成された1つ以上の光パネル組立部(例えば、光パネル組立部450、450A、450B)を提供することとを含む。照明は、一実施形態では複数のスペクトル(例えば、R、G、B、UV、NIR、及び/又はIR)であってもよく、別の実施形態では白色光(例えば、400nm~700nm)であってもよい。他のスペクトル照明要素を使用してもよい。
【0116】
方法700は、708において、1つ以上の光パネル組立部(例えば、光パネル組立部450、450A、450B)で画像化位置(例えば、画像化位置441)を照明することと、710において、試料容器(例えば、試料容器102)と試料(例えば、試料212)の複数の画像を1つ以上のカメラで、重ならない、又はわずかに重なる、異なる公称波長を有する複数の異なるスペクトルでキャプチャすることとを含む。この文脈で使用される波長という用語は、各画像が特定の公称の波長でキャプチャされることを意味するが、公称の周りのある小さな範囲の波長が含まれてもよい(例えば、±35nm)。
【0117】
710での複数の画像のキャプチャは、異なる露光(例えば、露光時間)だけでなく、異なるスペクトルによる照明で行ってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、異なる露光時間で撮影された4~8の異なる露光が存在してもよいが、各画像は同じ照明強度で撮影してもよい。1つ以上の実施形態では、白色光を使用して、また、フィルタ組立部(例えば、フィルタ組立部463)を使用する背面照明及び光フィルタリングを使用して、いくつかの画像をキャプチャすることができる。他の実施形態では、画像は、赤色、緑色、及び青色などの公称波長を含む複数の狭帯域光源を使用してキャプチャしてもよい。これらは、いくつかの実施形態において、背面照明光源を提供する光パネル組立部450~450Fによって提供してもよい。他の実施形態では、白色光素子を光パネル組立部450Wに使用してもよい。白色光画像は、上述したように、コンピュータ143によってキャプチャされるときにR、G、及びB画像に分解されてもよい。それぞれの場合において、複数のカメラ440A~440Cによって複数の視点から画像を撮影してもよい。
【0118】
本方法は、任意で、背景除去を含み、背景の一部を減算して計算負荷を低減してもよい。背景除去は、較正プロセスの一部として撮影することができる対応する参照画像から画像を減算することによって達成できる。参照画像は、試料容器102の画像と同じ露光時間、スペクトル、及び照明条件で撮影してもよいが、試料容器102又はキャリア122なしでキャプチャすることができる。背景除去はまた、いくつかの実施形態における様々な視点間の正規化を含んでいてもよい。
【0119】
方法700は、複数の視点から撮影された試料を収容する試料容器の複数の2D画像を処理することによって得られた、分類された2Dデータセットを提供することを含んでいてもよい。分類された2Dデータセットは、血清又は血漿、沈降した血液部分、ゲルセパレータ(存在する場合)、空気、管、ラベル、さらにキャップのうちの1つ以上として分類される。
【0120】
方法700は、分類された2Dデータセットにおける位置を統合された3Dデータセットに関連付けることを含んでいてもよい。このようにして、種々の視点から得られた分類された2Dデータセットに基づいて、3Dモデルを形成(例えば、構築)してもよい。様々な視点のセグメント化間の対応は、3Dモデルによって確認してもよい。いくつかの実施形態では、複数の2Dデータセットから生成された統合された3Dモデルを使用して、インターフェレント(H、I、及び/又はL)の存在又は不在(ノーマル-N)の特徴付けに関する最終結果を提供してもよい。インターフェレントが検出された場合、インターフェレントレベルを評価し、統合されたデータに基づいて報告してもよい。同様に、複数の2Dデータセットから生成された統合された3Dモデルを使用して、アーチファクト(凝塊、気泡、泡)の有無の特徴付けに関する最終結果を提供してもよい。2Dデータセット又は3Dモデルの結果は、表示画面上に3Dカラー画像を表示すること、カラープリントアウトを提供すること、測定された値のデータシートを表示又は提供することなど、任意の適切な方法又はフォーマットで表示又は報告してもよい。
【0121】
品質チェックモジュール130は、特徴付けが遠心分離機125での遠心分離の直後に行われるように
図1に示されているが、いくつかの実施形態では、この特徴を直接分析装置(例えば、分析装置106,108、及び/又は110)、あるいは、試料検査装置100の他の場所に含んでいるのが有利な場合もある。例えば、試料検査装置100のトラック121に物理的に接続されていない遠隔ステーション132のスタンドアロン分析装置は、この技術及び品質チェックモジュール130を使用して、分析前に試料212を特徴付けることができる。さらに、いくつかの実施形態では、品質チェックモジュール130をローディングエリア105に配置することができ、ロボット124が試料容器102をキャリア122にロードするとすぐに品質チェックを実施することができるように、いくつかの実施形態では、ラック104をローディングエリア105にロードする前に遠心分離を行ってもよい。品質チェックモジュール130、430、430A、430Bは、概して交換可能であり、ローディングエリアに戴置される前に、各試料容器102が訪れるトラックの周囲、あるいはスタンドアローンステーションとしての任意の所望の位置で使用できる。
【0122】
本発明は様々な変更及び代替形態が可能であるが、特定のシステム及び装置の実施形態及びその方法は、図面の例として示されており、本明細書で詳細に説明してきた。しかしながら、開示された特定の装置又は方法に本発明を限定することを意図するものではなく、反対に、本発明の範囲内に入るすべての変更、均等物、及び代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0123】
100 試料検査装置
102 試料容器
104 ラック
105 ローディングエリア
106、108、110 分析装置
121 トラック
122 キャリア
122H ホルダ
124 ロボット
130、430、430A、430B 品質チェックモジュール
143 コンピュータ
147 LISシステム
212 試料
212SB 沈降した血液部分
212SP 血清又は血漿部分
212T 管
214 キャップ
215 識別情報
218 ラベル
313 ゲルセパレータ
440A~440C カメラ
450 光パネル組立部
456 光源